(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
撮像光学系からの光を反射させてファインダー光学系に導く観察位置と、撮像光学系からの光を反射せずに撮像手段に入射させる退避位置に揺動するミラーを有する一眼レフカメラにおいて、
上記ミラーを載置固定し、ミラー回転軸を揺動軸とするミラーシートと;
上記ミラーの上記ミラー回転軸方向の一側部に位置し、ブレーキ軸を揺動軸とする連動回転部材と;
上記ミラーシートと上記連動回転部材を、上記ミラー回転軸及び上記ブレーキ軸を揺動中心として回転方向に連結する連結部材と;
上記連動回転部材に連動して回転するブレーキ部材と;
上記ブレーキ部材に接離するブレーキレバーであって、上記ミラーが上記退避位置に達する前に、上記ブレーキ部材に接触してブレーキを掛けるブレーキレバーと;
を有することを特徴とする一眼レフカメラのミラーブレーキ機構。
請求項1または2記載の一眼レフカメラのミラーブレーキ機構において、上記結合部材は上記ミラーシートの側面に連結されたミラー駆動軸からなっており、上記連動回転部材には、上記ブレーキ軸を中心とする放射方向に延びる長穴が形成されていて、この長穴に、上記ミラー駆動軸が挿通されている一眼レフカメラのミラーブレーキ機構。
請求項3記載の一眼レフカメラのミラーブレーキ機構において、上記連動回転部材は扇形ギヤからなっていて、この扇形ギヤと上記ブレーキ部材の間には増速ギヤ列が介在している一眼レフカメラのミラーブレーキ機構。
請求項1ないし4のいずれか1項記載の一眼レフカメラのミラーブレーキ機構において、上記ブレーキレバーは、その一方の端部に装着されたブレーキシューが上記ブレーキ部材に圧接してブレーキ部材にブレーキを掛けるブレーキ位置と、上記ブレーキシューがブレーキ部材から離反したブレーキ解除位置とに揺動可能であり、ブレーキばねによって上記ブレーキ位置方向に揺動付勢されている一眼レフカメラのミラーブレーキ機構。
請求項3ないし5のいずれか1項記載の一眼レフカメラのミラーブレーキ機構において、さらに、上記ミラー駆動軸を介して上記ミラーを揺動させるミラー駆動ユニットが備えられている一眼レフカメラのミラーブレーキ機構。
請求項6記載の一眼レフカメラのミラーブレーキ機構において、上記ミラー駆動ユニットは、該ミラー駆動ユニットに連動して、上記ミラーが観察位置にあるときは上記ブレーキレバーによるブレーキ作動を阻止し、上記ミラーが上記観察位置から退避位置に揺動するときは、上記ミラーが退避位置に達する前に上記ブレーキレバーによりブレーキを掛け、上記ミラーを上記退避位置から観察位置に揺動するときは上記ミラーが揺動開始する前に上記ブレーキレバーによるブレーキを解除する連動機構を備えたことを特徴とする一眼レフカメラのミラーブレーキ機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のミラーブレーキ機構は、ミラーを保持したミラーシートと一体に、該ミラーシートの回転軸の後方に延びる扇形ギヤを設け、この扇形ギヤに連動させてブレーキ機構を設けていた。このため、ミラー(ミラーボックス)の後方に、ミラーブレーキ機構用のスペースを必要とし、小型化に不利であった。
【0005】
本発明は、中判一眼カメラのミラーブレーキ機構についての以上の問題意識に基づき、カメラの奥行きを短くできるミラーブレーキ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、従来のミラーブレーキ機構では、ミラーシートと一体に、該ミラーシートの回転軸の後方に延びる扇形ギヤを設け、この扇形ギヤに連動させてブレーキ機構を設けていたため、必然的にミラーボックスの後方に大きなスペースを必要としていたのを改め、ミラーシートの側方に、ミラーシートと一緒に回動する連動回転部材を配し、この連動回転部材をブレーキ機構に連動させれば、ブレーキ機構の配置位置に自由度が生まれ、カメラの奥行きを短くできるとの着眼に基づいて完成されたものである。
【0007】
本発明は、撮像光学系からの光を反射させてファインダー光学系に導く観察位置と、撮像光学系からの光を反射せずに撮像手段に入射させる退避位置に揺動するミラーを有する一眼レフカメラにおいて、上記ミラーを載置固定し、ミラー回転軸を揺動軸とするミラーシートと;上記ミラーの
上記ミラー回転軸方向の一側部に位置し、ブレーキ軸を揺動軸とする連動回転部材と;上記ミラーシートと上記連動回転部材を、上記ミラー回転軸及び上記ブレーキ軸を揺動中心として回転方向に
連結する
連結部材と;上記連動回転部材に連動して回転するブレーキ部材と;上記ブレーキ部材に接離するブレーキレバー
であって、上記ミラーが上記退避位置に達する前に、上記ブレーキ部材に接触してブレーキを掛けるブレーキレバーと;を有することを特徴としている。
【0008】
上記連動回転部材、ブレーキ部材及びブレーキレバーは全てが、上記ミラーの
上記ミラー回転軸方向の一側部に位置していることが好ましい。
【0009】
上記
連結部材は上記ミラーシートの側面に連結されたミラー駆動軸から構成し、上記連動回転部材には、上記ブレーキ軸を中心とする放射方向に延びる長穴を形成し、この長穴に、上記ミラー駆動軸を挿通して、連動回転部材とミラーシートとを回転方向に結合すると、連動回転部材の軸(ブレーキ軸)とミラーのミラー回転軸との軸位置のずれを吸収することができる。
【0010】
上記連動回転部材は扇形ギヤから構成し、この扇形ギヤとブレーキ部材の間に増速ギヤ列を介在させることが好ましい。
【0011】
上記ブレーキレバーは、その一方の端部に装着されたブレーキシューが上記ブレーキ部材に圧接してブレーキ部材にブレーキを掛けるブレーキ位置と、上記ブレーキシューがブレーキ部材から離反したブレーキ解除位置とに揺動可能とし、ブレーキばねによって上記ブレーキ位置方向に揺動付勢することができる。
【0012】
本発明の好ましい態様では、さらに、上記ミラー駆動軸を介して上記ミラーを揺動させるミラー駆動ユニットが備えられている。
【0013】
このミラー駆動ユニットは、該ミラー駆動ユニットに連動して、上記ミラーが観察位置にあるときは上記ブレーキレバーによるブレーキ作動を阻止し、上記ミラーが上記観察位置から退避位置に揺動するときは、上記ミラーが退避位置に達する前に上記ブレーキレバーによりブレーキを掛け、上記ミラーを上記退避位置から観察位置に揺動するときは上記ミラーが揺動開始する前に上記ブレーキレバーによるブレーキを解除する連動機構を備えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ミラーシートの
ミラー回転軸方向の一側部に、該ミラーシートと一緒に回動する連動回転部材を配し、この連動回転部材をブレーキ機構に連動させたので、ミラーブレーキ機構を収容する奥行きが小さくて済み、カメラの小型化が可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この実施形態の一眼レフカメラのミラーブレーキ機構は、別体として構成されたミラーユニット100、ミラーブレーキユニット(ミラーブレーキ機構)200及びミラー駆動ユニット(ミラー駆動機構)300を備えている。
図1、
図3はミラーユニット100とミラーブレーキユニット200を示し、
図2はミラーブレーキユニット200単体を示し、
図4、
図5は、ミラーブレーキユニット200を取り外した状態のミラー駆動ユニット300(及びミラーユニット100の一部)を示し、
図6ないし
図10は全体の組立状態を示している。
図6ないし
図10では、ミラーブレーキユニット200のブレーキ搭載プレート201を省略している。以下の説明において、100台の符号は、ミラーユニット100の構成要素であり、200台の符号はミラーブレーキユニット200の構成要素であり、300台の符号はミラー駆動ユニット300の構成要素である。
【0017】
『ミラーユニット100』
ミラー101は、枠状のミラーシート111に載置固定されている。ミラーシート111には、一端部の両側面からミラー回転軸112が突出形成され、このミラー回転軸112にミラー回転軸受113が回転自在に嵌合されている。このミラーシート111は、このミラー回転軸受113を介して、図示しないミラーボックスに装着され、カメラボディに組み込まれた状態で、撮影光学系OSからの被写体光を反射してファインダー光学系に導く観察位置と(
図3)、撮影光学系OSからの光を撮像手段(イメージセンサ)に導く退避位置(撮影位置)とに揺動可能に軸支されている。
【0018】
ミラーシート111の一方の側面には、ミラー回転軸112よりも先端側に、ミラー駆動軸受114が形成されている。このミラー駆動軸受114に、ミラー駆動軸400が嵌合される。このミラー駆動軸400は、ミラーシート111を、ミラーブレーキユニット200(の扇形ギヤ211)とミラー駆動ユニット300(のミラー駆動レバー311(
図4以下参照))とを連結する部材である。ミラー駆動軸400のDカット断面部400D(
図2)は、ミラーシート111のミラー駆動軸受114に挿入される挿入部で、その平面部に、ミラー駆動軸受114径方向に螺入された固定ねじが当接して、ミラーシート111にミラー駆動軸400が固定される。
【0019】
『ミラーブレーキユニット200』
ミラーブレーキユニット200は、ミラー101が装着されたミラーシート111の揺動運動にブレーキを掛けるミラーブレーキ機構である。ミラーブレーキユニット200の構成部材は、ミラーシート111のミラー回転軸受113が支持されるミラーボックスとは別体の、ブレーキ搭載プレート201に装着されている。
【0020】
ブレーキ搭載プレート201には、扇形ギヤ(連動回転部材)211がブレーキ軸212を介して軸支されている。このブレーキ軸212は、ミラーユニット100にミラーブレーキユニット200を組み合わせた状態では、ミラー回転軸112の延長上に独立して位置する。扇形ギヤ211は、そのギヤ部がブレーキ軸212より前方(撮影光学系側)に位置するように配置されており、ブレーキ軸212から所定長離れた位置に、該ブレーキ軸212を中心とする放射方向に伸びる長穴213が形成されていて、この長穴213に、ミラーユニット100のミラー駆動軸400が挿通される。このミラー駆動軸400により、ミラーシート111と扇形ギヤ211が回転方向に結合される。長穴213の短軸方向の幅は、ミラー駆動軸400との間のガタがとれる長さに形成されており、その長軸方向の長さは、この長穴213の長さ方向の中央位置とブレーキ軸212の間隔が、ミラーシート111のミラー回転軸112とミラー駆動軸400の間隔と等しく設定されている。このようにミラー駆動軸400を挿入する長穴213を径方向の長穴とすることで、ミラー回転軸112とブレーキ軸212の軸位置のずれを吸収することができる。
【0021】
扇形ギヤ211は、増速ギヤ(列)221を介してブレーキドラム231にギヤ連結されている。より具体的には、増速ギヤ221は、軸222に同軸一体に形成された小ギヤ223と大ギヤ224を備え、小ギヤ223が扇形ギヤ211に、大ギヤ224がブレーキドラム231の小ギヤ233に噛み合っている。増速ギヤ221は軸222を介して、ブレーキドラム231はドラム軸232を介してそれぞれ、ブレーキ搭載プレート201に回動自在に支持されている。また、増速ギヤ221及びブレーキドラム231は、ブレーキ搭載プレート201上に支持された抜け止めプレート251によって抜け止め支持されている。ブレーキ搭載プレート201上にあって、扇形ギヤ211によって回転駆動される部材である小ギヤ223、大ギヤ224、小ギヤ233、ブレーキドラム231は、全てブレーキ軸212の前方に位置する。特に中判一眼レフカメラは、ミラーも大型であるため、このように、小ギヤ223、大ギヤ224、小ギヤ233、ブレーキドラム231の全てをブレーキ軸212の前方、すなわちミラーボックスの側方に配置することにより、カメラ全体の小型化(薄型化)が可能になる。
【0022】
ブレーキ搭載プレート201にはさらに、回転するブレーキドラム231に制動を掛けるブレーキレバー(ミラーブレーキ部材)241が、ブレーキレバー軸242によって揺動自在に軸支されている。このブレーキレバー241の先端部には、ブレーキドラム231の外周面に当接するブレーキシュー243が装着されている。ブレーキレバー241がブレーキレバー軸242を軸として揺動すると、ブレーキシュー243がブレーキドラム231に対して接離する。ブレーキドラム231は、例えば真鍮、ブレーキシュー243は例えばPOM(ポリアセタール樹脂)で形成することができる。
【0023】
ブレーキレバー241は、ブレーキばね244によって、ブレーキシュー243をブレーキドラム231外周面に押し付ける方向に回動付勢されている。ブレーキレバー241には、ブレーキレバー軸242を挟んでブレーキシュー243の反対側に、ブレーキ解除突片245が形成され、ブレーキシュー243の近傍に、ブレーキタイミング制御用のブレーキ規制切欠246が形成されている。このブレーキ解除突片245とブレーキ規制切欠246は、ミラー駆動ユニット300側のブレーキ解除レバー361とミラー駆動ばねチャージレバー321に連係して、ブレーキレバー241の位置が制御される。
【0024】
『ミラー駆動ユニット300』
ミラー駆動ユニット300は、カメラボディに組み付けた状態で、ミラーユニット100とミラーブレーキユニット200の間に位置する。ミラー駆動ユニット300は、
図4及び
図5に示すように、正面視、ミラーボックスの右側面を構成するサイドプレート301を有し、各部材はこのサイドプレート301の外側面に装着されている。
【0025】
サイドプレート301上のレバー軸312には、ミラー駆動レバー311とミラー駆動ばねチャージレバー321が同軸に相対回転可能に枢着され、カムギヤ軸332には、ミラー制御カム333を一体に有するカムギヤ331が回動自在に軸支されている。ミラー駆動レバー311の先端部に形成された長穴313には、ミラー駆動軸400が嵌合する。ミラー駆動レバー311がレバー軸312を中心にミラーダウン位置とミラーアップ位置との間で揺動すると、ミラーシート111が観察位置と退避位置との間で移動する。
【0026】
このミラー駆動ばねチャージレバー321とミラー駆動レバー311は、連結ばね(トーションばね)323を介してばね結合されていて、常時は、両レバー321と311が一緒に回動する。つまり、
図4、
図5に示すように、連結ばね323のコイル部323Cはレバー軸312に嵌められ、両端の腕323Aと323Bは、ミラー駆動ばねチャージレバー321のばね掛け部321Bとミラー駆動レバー311のばね掛け部311Bの間に掛け止められていて、ミラー駆動ばねチャージレバー321に形成された係合片324とミラー駆動レバー311の当接部311aとが係合する方向に両レバーを回動付勢しており、両レバー321と311の一方の回動が阻止された状態において、他方が係合片324と当接部311aとが離れる方向に回動すると、連結ばね323がオーバーチャージされる。
【0027】
ミラー駆動ばねチャージレバー321には、その回転面と直交方向に屈曲したカラー部に調整ワッシャー(調整スペーサ、シム)325がねじ止めされている。この調整ワッシャー325は、ミラーブレーキユニット200とミラー駆動ユニット300を組み合わせた状態において、ブレーキばね244によって回動付勢されたブレーキレバー241のブレーキ規制切欠246が当接して、ブレーキレバー241のブレーキ作動方向の回動を規制する係合部として作用する(
図6、
図7)。調整ワッシャー325は、異なる厚さのものを複数枚組み合わせることで厚さ調整可能な構成であり、ブレーキ規制切欠246とによって、ブレーキレバー241のブレーキシュー243がブレーキドラム231に接触するタイミングを調整するブレーキタイミング調整手段を構成している。
【0028】
ミラー駆動ばねチャージレバー321には、レバー軸312を挟んで係合片324とは反対側に、ミラー駆動ばね326の一端部が係合されている。ミラー駆動ばね326の他端部はサイドプレート301に係合されていて、ミラー駆動ばねチャージレバー321を常時ミラー上昇方向に回動付勢している。さらにミラー駆動ばねチャージレバー321には、レバー軸312を挟んで係合片324とは反対側に、カムローラ327が回動自在に軸支されている。カムローラ327は、カムギヤ331と一体に形成されたミラー制御カム333の外周カム面333aに接触してミラー駆動ばねチャージレバー321の回動を規制し、ミラー駆動ばね326のチャージ、チャージ解放を制御する。
【0029】
板カムからなるミラー制御カム333は、外周カム面333aを転動するカムローラ327、及びカムローラ327が軸支されたミラー駆動ばねチャージレバー321を介して、その一回転によって一つのシーケンス(ミラー上昇下降サイクル)を実行する一回転カムである。この実施形態では、外周カム面333aは、カムギヤ軸332を中心としたサイクロイド曲線状に形成されていて、その一回転により、ミラー駆動ばね326のチャージ解放、ミラー上昇、上昇位置保持、ミラー駆動ばね326のチャージ、ミラー下降、及びミラー下降位置保持動作をさせる。
図14は、ミラー制御カム333のカム面333a形状(輪郭)を示しており、カムギヤ軸332を中心とする同心円領域(最大半径領域)からなる観察位置(ダウン位置)保持区間Xに続けて、回転方向に順に、チャージ解放、ミラー上昇、上昇位置保持区間(小径部、最小半径領域)Y及びチャージ、ミラー下降区間(チャージ区間)Zを有している。このミラー制御カム333は、ダウン位置保持区間X内に、回転基準位置(0゜位置、
図12参照)を備えている。この0゜位置は、ミラー駆動ばねチャージレバー321がミラー駆動ばね326をチャージした(最も引き伸ばした)チャージ位置においてミラー制御カム333を停止させる位置であり、これを目視するために、ミラー制御カム333の側面に回転位置基準指標333b(
図11にも表れている)が設けられている。ミラー制御カム333は、カムローラ327が0゜位置に停止するように制御される。外周カム面333a上には、この0゜位置(回転位置基準指標333b)に対応させて、ミラー駆動ばねチャージレバー321をチャージ位置に保持するローラ保持凹部333c(
図14鎖線)を形成してもよい。 ミラー駆動ばねチャージレバー321は、ミラー制御カム333の一回転行程において、上記ブレーキレバー241のブレーキシュー243をブレーキドラム231に対して接離動作させるブレーキレバー制御機構を構成している。
【0030】
カムギヤ331には、減速ギヤ列341を介して、電動手段としてのミラーモーターMMが連結されている。ミラーモーターMMの回転軸の回転が、ピニオン343から減速ギヤ列341を介してカムギヤ331に伝達される。サイドプレート301と対向するカムギヤ331側面にはコードブラシ351が装着され、サイドプレート301にはコードブラシ351の軌跡に沿ってランド部を有するコード板352が配置されている。これらのコードブラシ351及びコード板352によって、カムギヤ331の回転位置(ミラーアップ位置とミラーダウン位置)が検知される。コード板352及びミラーモーターMMは制御回路401に接続されていて、制御回路401は、コード板352を介して検知したミラー制御カム333の位置に応じてミラーモーターMMを駆動制御する。
【0031】
ミラー駆動ユニット300には、サイドプレート301と平行な補助プレート301H(
図11)との間に、ブレーキ解除レバー軸362によって、ブレーキ解除レバー361が枢着されている。ブレーキ解除レバー361は、ミラー駆動ユニット300側の部材であるが、
図4、
図5には描いていない。ブレーキ解除レバー361は、ミラーブレーキユニット200のブレーキ解除突片245に当接するブレーキ解除アーム363と、ブレーキ解除レバー軸362を挟んで反対側に、ミラー制御カム333の回転軸(カムギヤ軸332)と直交する平面上に延びるカム部364とを備えている(
図6ないし
図11)。ミラー制御カム333の偏心位置には、その回転軸(カムギヤ軸332)と平行な方向に向けてブレーキ解除ピン334が形成されていて、このブレーキ解除ピン334がこのカム部364に係合して、ブレーキ解除レバー361をブレーキ解除方向に回転させる。
【0032】
以上のミラーユニット100、ミラーブレーキユニット200及びミラー駆動ユニット300は別体として形成された状態で、カメラボディに組み込まれる。通常は、ミラーユニット100にミラー駆動ユニット300が組み付けられた後にミラーブレーキユニット200が組み付けられる。ミラーブレーキユニット200は、ミラーユニット100のミラー回転軸112の軸心と扇形ギヤ211のブレーキ軸212との軸心が一致した位置に配置される。ミラー駆動軸400は、ミラー駆動レバー311の長穴313を貫通して扇形ギヤ211の長穴213に嵌合され、このミラー駆動軸400によって、ミラーユニット100、ミラーブレーキユニット200及びミラー駆動ユニット300が連動する。また、レバー軸312と同軸上にブレーキレバー軸242が位置し、ブレーキ解除レバー361のブレーキ解除アーム363とカム部364は、それぞれブレーキレバー241のブレーキ解除突片245とブレーキ解除ピン334と対向し、ミラー駆動ばねチャージレバー321の調整ワッシャー325はブレーキレバー241のブレーキ規制切欠246と係合する(
図6ないし
図10)。
【0033】
組立状態の動作を
図6ないし
図10及び
図12ないし
図14で説明する。
図12は、ミラー制御カム333の回転角度とブレーキ解除レバー361によるミラー101のアップダウン及びブレーキのオンオフ(ブレーキレバー241のブレーキドラム231に対する接離動作)のタイミングを示すタイムチャートであり、
図13は、ミラー駆動レバー311の回転角度とミラー101のアップダウン及びブレーキのオンオフのタイミングを示すタイムチャートである。このタイムチャートにおいて、ミラー制御カム333及びミラー駆動レバー311の角度0゜は、ミラー101を観察位置(ダウン位置)に保持した初期位置である。ミラー制御カム333は同一方向に回転し、360゜回転して角度0゜の初期位置に戻るが、ミラー駆動レバー311は、ミラー制御カム333が角度0゜から360゜まで回転する間に、角度0゜と約20゜の間を1回揺動する。
【0034】
ミラー101が観察位置に保持されているときは、
図6に示すように、カムローラ327がミラー制御カム333のチャージ完了領域(観察位置保持区間)Xに位置して、ミラー駆動ばねチャージレバー321がミラー駆動ばね326をチャージした(最も引き伸ばした)チャージ位置に保持され、ミラー駆動レバー311はミラーダウン位置に保持されている。このとき、ミラーシート111は、ミラー下降ストッパー(図示せず)に当接する観察位置でそれ以上の回転が規制され、その結果、ミラー駆動レバー311のミラーダウン方向への回転が規制されているが、ミラー駆動ばねチャージレバー321はさらに、外周カム面333aによってさらにミラーダウン方向に回転して、係合片324が当接部311aから離反して隙間sができている(
図6、
図4参照)。すなわち、連結ばね323はオーバーチャージ状態となる。また、ミラー駆動ばねチャージレバー321の調整ワッシャー325は、ブレーキレバー241のブレーキ規制切欠246と係合して、ブレーキシュー243をブレーキドラム231から離間した位置(ブレーキ解除位置)に保持している。なお、ミラーシート111がミラー下降ストッパーに当接するときには、ミラー駆動ばねチャージレバー321のカムローラ327は、ミラー制御カム333の観察位置始端Z'(
図14)に当接する。この観察位置始端Z'は、チャージ区間Z内の保持区間X寄りの特定位置であって、この時点以降、連結ばね323のオーバーチャージが進行する。
【0035】
このミラー101の観察位置において、ミラーモーターMMを起動する(つまり、シャッタを切る)と、減速ギヤ列341を介して回動するカムギヤ331と一緒にミラー制御カム333が図の時計方向に回転する。ミラー制御カム333の回転初期に、カムローラ327が外周カム面333aのチャージ完了領域(観察位置保持区間)Xから上昇位置保持区間(最小半径領域)Yに落ち込んで、カムローラ327は瞬時に拘束が解かれ、ミラー駆動ばねチャージレバー321が解放される。すると、ミラー駆動ばねチャージレバー321が、ミラー駆動ばね326の弾性引張り力(復元力)によってミラーアップ方向(図の反時計方向)に回動する。すなわち、制御回路401は、ミラー制御カム333が回転してカムローラ327がミラー制御カム333の観察位置保持区間Xから外れたことをコードブラシ351及びコード板352によって検知し、ミラーモーターMMを瞬間的に停止させる。
【0036】
ミラー駆動ばねチャージレバー321がミラーアップ方向に回動すると、ミラー駆動レバー311が一緒にレバー軸312を中心に揺動し、ミラー駆動軸400を介してミラーシート111が退避方向に瞬間的に揺動する(
図12区間A、
図13区間A)。すなわち、ミラー101の観察位置から退避位置への移動は、ばね力により素早く行われる。実際にミラー101が観察位置から退避位置に達するのに要する時間(ミラーアップ時間)は、ミラー駆動ばね326の強さによって調整可能である。しかし、ミラー駆動ばね326の力が強すぎると、それだけショックも大きくなるため、スピードとショック、さらにはカメラ全体の動作シーケンスを勘案してその強さを定める。
【0037】
このミラー101の退避方向への移動に際し、ミラー駆動軸400は扇形ギヤ211の長穴213に嵌合しているので、扇形ギヤ211も退避方向(
図6ないし
図10において時計方向)に回転する。扇形ギヤ211が退避方向に回転すると、増速ギヤ221を介してブレーキドラム231が高速回転する。
【0038】
ミラー駆動ばねチャージレバー321がミラーアップ方向に揺動すると、ブレーキばね244の弾性付勢力によってブレーキ方向に回動付勢され、ブレーキ規制切欠246が調整ワッシャー325を押圧しているブレーキレバー241は、ミラー駆動レバー311の回動に追従してブレーキ方向に揺動する。そして、ミラーアップ完了の直前において、ブレーキレバー241のブレーキシュー243がブレーキドラム231に当接してブレーキが掛かり始め、調整ワッシャー325がブレーキ規制切欠246から離反を開始する(
図7、
図12B時点、
図13B時点)。調整ワッシャー325はこのブレーキ開始タイミングを調整する部材であって、ブレーキ開始が、全体の厚さを薄くすると早くなり、全体の厚さを厚くすると遅くなる。
【0039】
さらにミラー駆動レバー311がミラーアップ方向に揺動すると、調整ワッシャー325がブレーキ規制切欠246から離反して、ブレーキ作用が継続する(
図12区間C、
図13区間C)。つまり、このブレーキ作用によって、増速ギヤ221を介して扇形ギヤ211の揺動が抑止されて、ミラー駆動軸400を介してミラーシート111の退避方向揺動を急減速させる。そうしてミラーシート111は、減速しながらミラー上昇ストッパー131に衝突して、退避位置で停止する(
図8、
図12H時点、
図13H時点)。
【0040】
ミラーシート111が退避位置で停止し、ミラー制御カム333が停止した状態において、ミラー駆動ばねチャージレバー321は、カムローラ327がミラー制御カム333の外周カム面333aの小径部(最小半径領域)Y内に落ち込んで外周カム面333aから離反したミラーアップ位置で停止している(
図8)。したがって、ミラーシート111は、ミラー駆動ばね326の弾性付勢力によって回動付勢されたミラー駆動ばねチャージレバー321、ミラー駆動レバー311及びミラー駆動軸400を介してミラー上昇ストッパー131に押し付けられ、かつブレーキばね244の弾性付勢力によってブレーキシュー243が押し付けられ摩擦力により回転阻止されたブレーキドラム231によってミラーブレーキが掛かった状態で、退避位置に静止している(
図8)。このようにミラー101が退避位置に保持された状態において、露光、撮影処理が実行される。
【0041】
ブレーキ解除レバー361は、ミラー制御カム333の特定の回転位相で、ミラー駆動ばねチャージレバー321の位置とは無関係に、ブレーキレバー241によるブレーキ作用を解除する(
図12時点E)。すなわち、露光、撮影処理が終了すると、制御回路401はミラーモーターMMを時計方向に再度起動する。ミラー制御カム333が時計方向に回転すると、ブレーキ解除ピン334がカム部364に当接し擦動してブレーキ解除レバー361をブレーキ解除方向(
図9では反時計方向)に揺動させる。すると、ブレーキ解除レバー361のブレーキ解除アーム363がブレーキレバー241のブレーキ解除突片245に当接して、ブレーキレバー241をブレーキ解除方向に回動させるので、ブレーキシュー243がブレーキドラム231から離反して、ミラーブレーキが解除される(
図12時点E)。
【0042】
さらにミラー制御カム333が時計方向回転すると、外周カム面333aのチャージ区間Zがカムローラ327に接触を始める(
図9参照)。その後、カムローラ327がミラー制御カム333の外周カム面333aを転動しながらカムギヤ軸332から離反する方向に押されて、ミラー駆動ばねチャージレバー321がミラーダウン方向であるチャージ方向(図の時計方向)に揺動して、ミラー駆動ばね326をチャージ(引き伸ばし)しながら、ミラー駆動レバー311及びミラー駆動軸400を介してミラーシート111を観察位置方向に揺動させる。
【0043】
さらにミラー制御カム333が時計方向回転を続けると、ブレーキ解除ピン334がカム部364から離反する(
図12時点F)が、それまでには、調整ワッシャー325がブレーキレバー241のブレーキ規制切欠246に接触する位置まで移動している(
図12時点G)。従って、ブレーキシュー243はブレーキドラム231から離反したブレーキ解除状態を維持する。つまり、ブレーキ解除レバー361が存在しないと仮定したときに調整ワッシャー325がブレーキ規制切欠246に接触する位置(
図10二点鎖線)では、既に、ミラー駆動ばねチャージレバー321がブレーキを解除している(
図10実線)。このように、ミラー駆動ばねチャージレバー321とは別に、ミラー駆動ばねチャージレバー321がブレーキを解除する前に、ブレーキ解除レバー361によって、ブレーキを解除することにより、下降を開始しようとするミラー101の動きを妨げる現象を防止し、滑らかにミラー101を下降させることができる。つまり、ミラー駆動ばねチャージレバー321は、ミラー制御カム333のチャージ区間Zにカムローラ327が入ることでミラー101を下降させようとするのに対し、このとき、ブレーキレバー241のブレーキシュー243がブレーキドラム231に接触していると、ミラー101の円滑な下降ができず、かつ連結ばね323をオーバーチャージするので、ミラー駆動ばねチャージレバー321の調整ワッシャー325がブレーキ規制切欠246に接触押圧してブレーキを解除した瞬間にミラー101が大きく移動してショックが発生する可能性がある。これに対し、ミラー駆動ばねチャージレバー321とは別のブレーキ解除レバー361によってブレーキを解除することにより、ミラー下降時には確実にブレーキを解除し、円滑に下降させることができる。
【0044】
その後、カムローラ327はミラー制御カム333の外周カム面333aのチャージ区間Zを転動するので、ミラー駆動ばねチャージレバー321はさらにチャージ及びミラーダウン方向に揺動して、ミラー駆動ばね326をチャージしながら、ミラーシート111を観察位置方向に下降揺動させる。ミラーシート111が観察位置に入り(カムローラ327がミラー制御カム333の観察位置始端Z'から保持区間Xに入り)(
図12時点D)、さらにカムローラ327が保持区間X中の0゜位置(
図12時点I)に進んだとき、制御回路401は、この0゜位置に相当するコード板の位置を検知して、ミラー制御カム333(ミラーモーターMM)が停止するように制御する。
【0045】
以上の扇形ギヤ211、増速ギヤ221及びブレーキドラム231は、ミラーシート111が退避位置、観察位置に揺動(アップダウン)する揺動中は調速機構(ガバナー)としても機能する。
【0046】
ブレーキレバー241、ミラー駆動ばねチャージレバー321及び調整ワッシャー325は、ミラー101が観察位置から退避方向に揺動している過程において、ミラー101が退避位置に達する前にミラーブレーキユニット200にミラーブレーキを掛けさせる連動機構を構成している。
【0047】
ブレーキ解除レバー361及びブレーキ解除ピン334は、ミラー制御カム333の回転に連動して、ミラー101が退避位置から観察位置方向への揺動を開始すると同時またはその前にミラーブレーキユニット200によるミラーブレーキを解除するタイミングを設定し、連動機構も構成している。
【0048】
このように、本発明の一眼レフカメラのブレーキ機構を備えたミラー駆動装置によれば、ミラー101を観察位置から退避位置に上昇揺動させる過程において、ミラーシート111がミラー上昇ストッパー131に衝突する前にブレーキレバー241のブレーキシュー243がブレーキドラム231に圧接してミラーブレーキが掛かるので、ミラーシート111がミラー上昇ストッパー131に衝突する際の衝撃が小さく、衝突音も小さくなり、かつミラーブレーキが掛かっているのでミラーバウンドも小さく、短時間で静止する。 さらにミラー101を退避位置から観察位置に下降揺動させるときは、ミラーシート111が下降揺動を開始する前に、ブレーキ解除レバー361によりブレーキレバー241のブレーキシュー243がブレーキドラム231から離反してミラーブレーキが解除されるので、ミラー駆動系、ミラーブレーキ系に過負荷が作用することが無い。
【0049】
さらに本発明の一眼レフカメラのミラーブレーキ機構によれば、ミラーシート111の上昇運動にブレーキを掛けるミラーブレーキユニット200は、ブレーキ軸212がミラー回転軸112と別体して形成され、ミラー回転軸112と離反させて互いの軸心が他方の軸心の延長と略一致するように組み付けられる構成なので、ミラーユニット100に対してミラーブレーキユニット200を組み立てる際にギヤの噛み合せが無く組み付け作業が容易であり、カメラボディに組み付ける際にギヤを噛み合せる場合と比較して、部品誤差、組立誤差の許容範囲が広く、組立が容易である。しかもミラーブレーキユニット200は、全部材が1枚のブレーキ搭載プレート201に搭載されてユニット化されているので、ミラーブレーキユニット200自体の組立が容易であり、ミラーブレーキユニット200をカメラボディに組み付ける作業も容易である。
【0050】
以上、上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は様々な変更を施すことが可能である。
例えば、連動回転部材としての扇形ギヤ211は、ミラー駆動レバー311のミラー駆動軸121が嵌合する長孔を有するレバー部と、該レバー部と一体に回転してブレーキドラム231と連動回動するギヤ部とに分割形成してもよい。連動回転部材をレバー部とギヤ部とに分割形成することで、部材の形状の自由度、配置の自由度が増える。