(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるセルフチェックアウトシステム1の外観図である。
また、
図2は、セルフチェックアウトシステム1の電気的構成を示すブロック図である。
セルフチェックアウトシステム1は、顧客が自分で買上げ商品の登録と精算を行うことが可能なPOSレジスタであって、POSレジスタ本体10(CPU11,ROM12,RAM13を有している)と、バーコードスキャナ14と、液晶タッチパネル15と、金銭受取払出部16と、カードリーダ17と、レシートプリンタ18と、第1計量部19Aと、第2計量部19Bと、発光器20と、通信部21とを備えている。
【0012】
CPU11は、ROM12に格納されたプログラムを読み出して実行し、セルフチェックアウトシステム1の各部の動作を制御する。ROM12は、上記プログラムやプログラムの実行に必要なデータを記憶している。RAM13は、商品ファイル(
図3参照)や処理順序設定ファイル(
図4参照)や取り忘れ履歴ファイル(
図7参照)を記憶している。
【0013】
バーコードスキャナ14は、商品に付されたバーコードを読み取り、読み取った結果のデータをCPU11へ出力する。
液晶タッチパネル15は、CPU11の指示により各種の情報を表示し、また、顧客からの操作入力を受け付けて操作内容を示すデータをCPU11へ出力する。
【0014】
金銭受取払出部16は、紙幣投入口161及び硬貨投入口162へ投入された各種貨幣の種類と枚数を検出して検出結果のデータをCPU11へ出力し、また、CPU11から釣銭を払い出す指示を受けてその指示に応じた枚数の紙幣及び硬貨を紙幣払出口163と硬貨払出口164へ排出する。また、金銭受取払出部16は、排出した紙幣や硬貨が紙幣払出口163と硬貨払出口164から取り除かれたか否かを検出するセンサを備え、紙幣や硬貨が取り除かれた場合、そのことをCPU11へ通知する。
【0015】
カードリーダ17は、クレジットカードや電子マネーの情報を記憶させたICカード、あるいはキャッシュカード(これらのカードを総称して決済用媒体と呼ぶこととする)の情報を読み取り、読み取った情報をCPU11へ出力する。決済用媒体はカード入出口171へ挿入され、CPU11の指示に従ってカード入出口171から排出される。また、カードリーダ17は、排出した決済用媒体がカード入出口171から取り除かれたか否かを検出するセンサを備え、決済用媒体が取り除かれた場合、そのことをCPU11へ通知する。
【0016】
レシートプリンタ18は、CPU11から買上げ商品の精算に関する情報を取得してその情報をレシートとして印刷し、レシートをレシート発行口181から発行する。また、レシートプリンタ18は、発行したレシートがレシート発行口181から取り除かれたか否かを検出するセンサを備え、レシートが取り除かれた場合、そのことをCPU11へ通知する。
【0017】
第1計量部19Aは、カウンタ2の上面内部であってバーコードスキャナ14よりも上流側(
図1において左側)に配置され、第1カゴ3の中に入っている商品の重量を計量して計量値のデータをCPU11へ出力する。また、第2計量部19Bは、カウンタ2の上面内部であってバーコードスキャナ14よりも下流側(
図1において右側)に配置され、第2カゴ4の中に入っている商品の重量を計量して計量値のデータをCPU11へ出力する。第1計量部19Aと第2計量部19Bは、顧客による不正な商品登録を防止する目的で設けられている。
【0018】
即ち、顧客は、購入しようとする商品を入れた第1カゴ3をカウンタ2の第1計量部19Aの箇所に載置し、第1カゴ3から一つずつ商品を取り出してバーコードスキャナ14でバーコードの読み取りを行い、読み取り後の商品をカウンタ2の第2計量部19Bの箇所に載置されている第2カゴ4へ入れていく。この時、商品が第1カゴ3から取り出されて第2カゴ4へ入れられていく毎に、CPU11は、第1計量部19Aで計量した重量の減少値と、第2計量部19Bで計量した重量の増加値とを比較し、その値(絶対値)が異なっている場合、不正な商品登録であると判断して、店員等に対する所定の報知処理(例えば、発光器20の点滅等)を行う。
【0019】
発光器20は、ランプを備え、顧客が液晶タッチパネル15により店員呼出し操作をした場合や、上記のように不正な商品登録が行われた場合に、CPU11の指示に従ってランプの発光(点灯、点滅など)を行う。店員はランプの発光を見てセルフチェックアウトシステム1に何か問題があったことを知ることができる。
【0020】
通信部21は、LANを介して店内の他のコンピュータ(商品ファイルを管理しているストアコントローラ等)や外部ネットワークのコンピュータ(クレジットカード会社の決済用サーバ等)と各種データのやり取りを行う。
【0021】
図3は、RAM13に記憶されている商品ファイルの一例である。
商品ファイルには、商品毎に、PLU番号、品名、及び値段が対応付けられて格納されている。PLU番号は、各商品に固有の識別番号であり、商品に付されたバーコードの一部分がPLU番号のデータとなっている。PLU番号を特定することで、商品ファイルから品名と値段の各データを読み出すことができる。例えば、
図3の例において、PLU番号が00001の商品の品名はAAAであり、値段は200円である。
【0022】
図4は、RAM13に記憶されている処理順序設定ファイルの一例である。
処理順序設定ファイルは、次に説明するフローチャートにおけるレシート発行処理(ステップS11〜ステップS13)と釣銭・決済用媒体排出処理(ステップS14〜ステップS16)の実行順序を設定したファイルである。
図4の例では、レシート発行処理を先に実行し、その後、釣銭・決済用媒体排出処理を実行する設定になっている。なお、これとは反対の順序の設定としてもよい。
【0023】
次に、
図5に示すフローチャートを参照して、上述したセルフチェックアウトシステム1の動作を説明する。
まず、初期状態において、液晶タッチパネル15には「商品登録開始ボタン」が表示されている。顧客は、購入しようとする商品を入れた第1カゴ3をカウンタ2の第1計量部19Aの箇所に載置して、「商品登録開始ボタン」をタッチする。顧客が「商品登録開始ボタン」をタッチすると、CPU11は、商品登録の処理を開始し、第1計量部19Aからの計量値、即ち全買上げ商品の総重量をRAM13に一時記憶する(ステップS1)。
【0024】
次いで、顧客が第1カゴ3の中から商品を一つ取り出して、その商品に付されているバーコードをバーコードスキャナ14にかざすと、バーコードスキャナ14は、バーコードを読み取って読み取り結果のデータをCPU11へ出力する(ステップS2)。CPU11は、このデータからPLU番号を抽出し、そのPLU番号に対応する品名と値段の情報をRAM13の商品ファイルから読み出して、液晶タッチパネル15にその情報を表示させる(ステップS3)。また、CPU11は、液晶タッチパネル15に「登録した商品を右のかごに入れてください。」というメッセージを表示させる。
【0025】
顧客がメッセージに従って商品を第2カゴ4に入れると、第2計量部19BがCPU11へ出力する計量値のデータが増加する。これを受けて、CPU11は、顧客に次の商品の商品登録を促すため、液晶タッチパネル15に「次の商品を登録してください。」というメッセージを表示させる(ステップS4)。
【0026】
次に、CPU11は、顧客が購入しようとしている商品全てについて商品登録が完了したか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、CPU11は、第1計量部19Aによって計量された計量値がゼロであり、且つ、第2計量部19Bによって計量された計量値が、ステップS1においてRAM13に一時記憶された計量値と等しいか否かを判定する。換言すれば、CPU11は、第1カゴ3が空になり、初めに第1カゴ3に入っていた商品が全て第2カゴ4へ移ったか否かを判定している。この判定結果が肯定であれば全ての商品について商品登録が完了したことになり、判定結果が否定であればまだ商品登録が終わっていない商品が第1カゴ3に残っていることになる。
【0027】
ステップS5において全ての商品について商品登録が完了していない場合、次の商品の登録を行うため、CPU11は、ステップS2からの処理を再度実行する。
一方、全ての商品について商品登録が完了したと判定された場合、CPU11は、液晶タッチパネル15に、商品登録の完了結果(買上げ商品の合計金額等)と、「すべての商品の登録が済みましたら、現金会計またはカード会計のいずれかで会計をお済ませください。現金会計の場合、現金を現金投入口に投入してください。カード会計の場合、カードをカード挿入口に挿入してください。」というメッセージとを表示させる。また、CPUは、液晶タッチパネル15に「現金会計ボタン」及び「カード会計ボタン」を表示させ、顧客がボタンを選択する操作を受け付ける(ステップS6)。この時の液晶タッチパネル15の表示例を
図6に示す。
【0028】
次に、CPU11は、顧客が「現金会計ボタン」をタッチしたか「カード会計ボタン」をタッチしたかを判定する(ステップS7)。
【0029】
「現金会計ボタン」がタッチされた場合、顧客が現金を紙幣投入口161や硬貨投入口162へ投入すると、金銭受取払出部16は、投入された金額を示すデータをCPU11へ出力する。CPU11は、投入された金額と買上げ商品の合計金額とから釣銭の金額を計算する(ステップS8)。この時点では、まだ釣銭は金銭受取払出部16から排出されない。
【0030】
「カード会計ボタン」がタッチされた場合、顧客が決済用媒体をカード入出口171へ挿入すると、カードリーダ17は、挿入された決済用媒体の情報を読み取ってCPU11へ出力する。CPU11は、カードリーダ17から取得した決済用媒体の情報に基づいて決済を行う(ステップS9)。この時点では、まだ決済用媒体はカードリーダ17から排出されない。
【0031】
次に、CPUは、RAM13の処理順序設定ファイルに設定されている実行順序に従って、レシート発行処理(後述のステップS11〜ステップS13)と釣銭・決済用媒体排出処理(後述のステップS14〜ステップS16)を実行する(ステップS10)。
【0032】
ここで、便宜上、処理順序設定ファイルが
図4の設定である場合について説明を行う。
初めに、レシート発行処理が開始される(ステップS10)。CPU11は、まず、レシートプリンタ18に買上げ商品の精算に関する情報を通知してレシートの発行を指示する。レシートプリンタ18は、これを受けて、レシートを印刷しレシート発行口181から発行する(ステップS11)。
【0033】
次いで、CPU11は、レシート発行口181からレシートが取り除かれたことを示す通知を、レシートプリンタ18から取得したか否かを判定する(ステップS12)。この通知を取得していない場合、CPU11は、レシートがまだレシート発行口181に残っている旨を液晶タッチパネル15に表示させる(ステップS13)。CPU11は、レシートプリンタ18から上記の通知を取得するまで、ステップS12とステップS13を繰り返す。したがって、顧客がレシート発行口181からレシートを取り除かない限り、次の釣銭・決済用媒体排出処理の実行が待機されることとなる。その結果、まだ釣銭や決済用媒体は排出されない。
【0034】
ステップS12においてレシートプリンタ18からの通知を取得した場合、釣銭・決済用媒体排出処理が開始される(ステップS17,ステップS10)。CPU11は、金銭受取払出部16への釣銭の排出指示、又は、カードリーダ17への決済用媒体の排出指示を行う。金銭受取払出部16及びカードリーダ17は、これを受けて、釣銭あるいは決済用媒体を排出する(ステップS14)。
【0035】
次いで、CPU11は、紙幣払出口163と硬貨払出口164から釣銭が取り除かれたことを示す通知、又は、カード入出口171から決済用媒体が取り除かれたことを示す通知を、金銭受取払出部16あるいはカードリーダ17から取得したか否かを判定する(ステップS15)。この通知を取得していない場合、CPU11は、釣銭がまだ紙幣払出口163や硬貨払出口164に残っている旨、あるいは決済用媒体がカード入出口171に残っている旨を液晶タッチパネル15に表示させる(ステップS16)。CPU11は、金銭受取払出部16あるいはカードリーダ17から上記の通知を取得するまで、ステップS15とステップS16を繰り返す。
【0036】
ステップS15において金銭受取払出部16あるいはカードリーダ17からの通知を取得すると、商品登録と精算の全ての処理が完了する(ステップS17)。
【0037】
なお、処理順序設定ファイルに設定されている実行順序が、
図4とは反対に、釣銭・決済用媒体排出処理が先で、レシート発行処理が後となっている場合は、ステップS14〜ステップS16が先に実行され、その後、ステップS11〜ステップS13が実行される。このとき、CPU11は、金銭受取払出部16あるいはカードリーダ17からの通知を取得するまで、ステップS15とステップS16を繰り返すので、顧客が紙幣払出口163や硬貨払出口164から釣銭を取り除かない限り、又は、顧客がカード入出口171から決済用媒体を取り除かない限り、次のレシート発行処理の実行が待機されることとなって、レシートが排出されないことになる。
【0038】
このように、本実施形態によれば、レシートが排出後に取り除かれたことが検出されないと釣銭や決済用媒体が排出されないように制御が行われる。したがって、顧客は、釣銭や決済用媒体が排出されてこないことからセルフチェックアウトシステムでの取引が終わっていないことを知ることができ、取引を終了させるためにレシートを取り除く必要があるので、確実にレシートを受け取ることができる。また、本実施形態によれば、釣銭や決済用媒体が排出後に取り除かれたことが検出されないとレシートが排出されないように制御が行われる。したがって、顧客は、レシートが排出されてこないことからセルフチェックアウトシステムでの取引が終わっていないことを知ることができ、取引を終了させるために釣銭や決済用媒体を取り除く必要があるので、確実に釣銭や決済用媒体を受け取ることができる。
【0039】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0040】
例えば、処理順序設定ファイルを、顧客が実際にレシートや釣銭、決済用媒体を取り忘れた実績に応じて更新するようにしてもよい。具体的には、例えば
図7(A)に示すような取り忘れ履歴ファイルを用いて、レシート等の取り忘れの実績を管理する。そして、この取り忘れ履歴ファイルにおいて、レシートの取り忘れが釣銭又は決済用媒体の取り忘れよりも発生頻度が高い場合、処理順序設定ファイルを、レシート発行処理を先に実行する設定とし、釣銭又は決済用媒体の取り忘れがレシートの取り忘れよりも発生頻度が高い場合、処理順序設定ファイルを、釣銭・決済用媒体排出処理を先に実行する設定とする。取り忘れの頻度が高い方の処理を先に実行するのは、先に実行される処理で排出される物を取り除かないと次の処理が開始されないため、顧客が先の処理の排出物を忘れずに受け取るよう行動することが期待されるからである。なお、取り忘れ履歴ファイルは、レシートや釣銭、決済用媒体が所定の時間内に排出口から取り除かれなかった場合に、取り忘れであると見做して対応する取り忘れ回数の値を増加させるものとする。
【0041】
また、
図7(B)に示すような顧客毎の取り忘れ実績を記録した取り忘れ履歴ファイルを用いて、レシート発行処理と釣銭・決済用媒体排出処理の実行順序を顧客に応じて変えるようにしてもよい。この場合、顧客を識別する会員情報を記憶させた会員カードを会員カードリーダで読み取った上で、商品登録と精算の処理を行うようにすればよい。
【0042】
また、上記の実施形態では、液晶タッチパネル15に「現金会計ボタン」及び「カード会計ボタン」を表示させて、顧客がそのいずれをタッチしたかの判定結果に応じて、その後の処理を進めているが、このようなボタン表示をしないで、顧客が現金を紙幣投入口161や硬貨投入口162へ投入したか、あるいは決済用媒体をカード入出口171へ挿入したかを検出するようにし、その検出結果に応じてその後の処理を進めるようにしてもよい。
【0043】
また、金銭受取払出部16、カードリーダ17、及びレシートプリンタ18が備える各排出物が取り除かれたか否かを検出するセンサとしては、例えば、発光部から発した光を受光部で受光できたか否かにより物体の存在を検出するセンサを用いることができる。なお、このセンサが検出する対象物は、顧客の手であってもよい。
また、例えば、レシートプリンタ18は、レシートを発行してから所定時間経過してもレシートが取り除かれていないことをセンサで検出した場合にその旨をCPU11へ通知し、CPU11は、この通知を受けた時に、レシートがまだレシート発行口181に残っている旨を液晶タッチパネル15に表示させる処理(ステップS13)を行うようにしてもよい。