(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動プレートは、有底筒状に形成され、内側に、前記ニードルに当接可能な当接面が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の複数の実施形態を図に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射弁を
図1に示す。燃料噴射弁1は、図示しない内燃機関に用いられ、燃料を内燃機関に噴射供給する。
【0012】
燃料噴射弁1は、ハウジング20、ノズル部10、固定コア60、可動コア40、ニードル30、可動プレート50、第1付勢部材としての第1スプリング80、第2付勢部材としての第2スプリング90、および、コイル70等を備えている。
図1に示すように、ハウジング20は、第1筒部材21、第2筒部材22、第3筒部材23、外周部材25および樹脂モールド部26から構成されている。第1筒部材21、第2筒部材22および第3筒部材23は、いずれも略円筒状に形成され、第1筒部材21、第2筒部材22、第3筒部材23の順に同軸となるよう配置され、互いに接続している。外周部材25は第1筒部材21と第3筒部材23の外周面に当接している。
【0013】
第1筒部材21、第3筒部材23および外周部材25は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材により形成され、磁気安定化処理が施されている。一方、第2筒部材22は、例えばオーステナイト系ステンレス等の非磁性材により形成されている。
【0014】
ノズル部10は、ハウジング20の第1筒部材21の第2筒部材22とは反対側の端部に設けられている。ノズル部10は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により形成されている。ノズル部10は、所定の硬度を有するよう焼入れ処理が施されている。
【0015】
本実施形態では、ノズル部10は、略円形の板状に形成されている。ノズル部10の中央には、ノズル部10を板厚方向に貫く噴孔11が形成されている。また、ノズル部10の一方の面には、噴孔11を囲むようにして環状の弁座12が形成されている。ノズル部10は、側壁が第1筒部材21の内壁に嵌合するようにして第1筒部材21に接続している。ノズル部10と第1筒部材21との嵌合箇所は溶接されている。
【0016】
固定コア60は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材により略円筒状に形成されている。固定コア60は、磁気安定化処理が施されている。固定コア60は、ハウジング20の内側に設けられている。固定コア60とハウジング20の第3筒部材23とは溶接されている。
【0017】
ニードル30は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により棒状に形成されている。
ニードル30は、ハウジング20内に軸方向へ往復移動可能に収容されている。ニードル30の棒状の本体32のノズル部10側の端部には、弁座12に当接可能なシール部31が形成されている。また、ニードル30には、ノズル部10とは反対側の端部からハウジング20の内壁24に向かうよう拡がって形成される鍔部33を有している。本実施形態では、鍔部33は略円盤状に形成されている。ニードル30は、シール部31が弁座12から離間(離座)または弁座12に当接(着座)することで噴孔11を開閉する。以下、適宜、ニードル30が弁座12から離間する方向を開弁方向といい、ニードル30が弁座12に当接する方向を閉弁方向という。なお、本体32の鍔部33側は、中空筒状に形成され、本体32の内壁321と外壁322とを接続する孔34が形成されている。
【0018】
可動コア40は、例えばフェライト系ステンレス等の磁性材により略円筒状に形成されている。可動コア40は、磁気安定化処理が施されている。ここで、可動コア40の端面41には、硬質被膜処理によって硬質被膜が形成されている。
【0019】
可動コア40は、ハウジング20の内側に、固定コア60とノズル部10との間を往復移動可能に設けられる。可動コア40の中央には、貫通孔44が形成される。可動コア40の貫通孔44の内壁441とニードル30の本体32の外壁322とは摺動可能であり、可動コア40の外壁42とハウジング20の内壁24とは摺動可能である。これにより、可動コア40は、ニードル30およびハウジング20と摺動しながらハウジング20の内側で往復移動可能である。
【0020】
可動コア40は、固定コア60側の端面41に、貫通孔44の内壁441から径外方向へ環状に拡がるよう形成される収容凹部45を有する。また、可動コア40は、固定コア60側の端面41に、収容凹部45の側壁451の底壁452とは反対側の端部から径外方向へ環状に拡がるよう形成される嵌入溝部46を有する。収容凹部45にはニードル30の鍔部33が収容され、嵌入溝部46には後で説明する可動プレート50が嵌入される。
【0021】
可動プレート50は、例えばマルテンサイト系ステンレス等の金属により収容凹部45よりも径が大きい円盤状に形成され、中央に孔51を有する。可動プレート50は、可動コア40のノズル部10とは反対側に、可動コア40およびニードル30の鍔部に当接可能に設けられる。本実施形態の場合、可動プレート50は嵌入溝部46に嵌入可能に設けられる。
【0022】
コイル70は、略円筒状に形成され、ハウジング20の特に第2筒部材22および第3筒部材23の径方向外側を囲むようにして設けられ、第1筒部材21、第2筒部材22、第3筒部材23および外周部材25との間に樹脂モールド部26が充填されている。樹脂モールド部26は、周方向の一部が外周部材25から外側に突出し、コイル70と電気的に接続された通電ターミナル(図示せず)が内部に配されたコネクタ部(図示せず)を形成している。コイル70は、上記コネクタ部を介して電力が供給されると磁力を生じる。
【0023】
コイル70に磁力が生じると、固定コア60、可動コア40、第1筒部材21、第3筒部材23および外周部材25に磁気回路が形成される。これにより、可動コア40は、固定コア60に吸引される。このとき、収容凹部45の底壁452はニードル30の鍔部33に当接するため、ニードル30は、可動コア40とともに固定コア60側、すなわち開弁方向へ移動する。これにより、シール部31が弁座12から離間し、噴孔11が開放される。また、可動コア40は、端面41が固定コア60に当接することにより、開弁方向への移動が規制される。
【0024】
第1スプリング80は、一端が可動プレート50のニードル30とは反対側の面52に当接するよう設けられている。第1スプリング80の他端は、固定コア60の内側に圧入固定されたアジャスティングパイプ61の一端に当接している。第1スプリング80は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、第1スプリング80は、可動プレート50を付勢することで可動コア40およびニードル30を閉弁方向に付勢している。
【0025】
第2スプリング90は、一端が可動コア40の端面43に形成された溝部431の底面に当接するよう設けられている。第2スプリング90の他端は、ハウジング20の第1筒部材21の内側に形成された環状の段差面211に当接している。第2スプリング90は、軸方向に伸びる力を有している。これにより、第2スプリング90は、可動コア40を付勢することで可動プレート50を固定コア60側に付勢している。
【0026】
本実施形態では、第1スプリング80の付勢力は、第2スプリング90の付勢力よりも大きく設定されている。そのため、コイル70に電力が供給されていない状態、つまり、燃料噴射弁1が作動していない状態(以下、「非作動の状態」という。)では、ニードル30のシール部31は、弁座12に当接した状態、すなわち閉弁状態となる。
【0027】
図2に示すように、本実施形態の燃料噴射弁1の非作動の状態において、第1スプリング80および第2スプリング90の付勢力によって、可動プレート50のニードル30側のニードル側端面53と、ニードル30の鍔部33の端面331および可動コア40の嵌入溝部46の底壁461とが当接する。ここで、鍔部33の軸方向の長さをL1とし、可動プレート50のニードル30側のニードル側端面53と収容凹部45の底壁452との軸方向の距離をL2とすると、鍔部33、可動プレート50、収容凹部45、および、嵌入溝部46は、L1<L2の関係を満たすよう形成されている。
【0028】
また、鍔部33の端面332と収容凹部45の底壁452との軸方向の距離をG1とし、可動コア40の端面41と固定コア60の可動コア40側の端面との軸方向の距離をG2とすると、鍔部33、可動プレート50、収容凹部45、嵌入溝部46、可動コア40、および、固定コア60は、G1<G2、および、G1=L2−L1の関係を満たすよう設けられている。
第3筒部材23の第2筒部材22とは反対側の端部には、略円筒状の燃料導入パイプ62が圧入および溶接されている。
【0029】
燃料導入パイプ62の導入口から流入した燃料は、固定コア60、アジャスティングパイプ61、可動プレート50の孔51、ニードル30の本体32の内側、ニードル30の孔34、第1筒部材21とニードル30との間、および、ニードル30のシール部31とノズル部10の弁座12との間を流通し、噴孔11に導かれる。つまり、ハウジング20の内側には、燃料が流通する燃料通路100が形成されている。
【0030】
本実施形態の燃料噴射弁1の組付け方法について
図3に基づいて説明する。
まず、
図3(a)に示すように、ニードル30を可動コア40の貫通孔44に挿入し、収容凹部45の収容空間に鍔部33を収容する。
次に、
図3(b)に示すように、可動プレート50を可動コア40の嵌入溝部46に嵌め込み、第1スプリング80の一端を可動プレート50のニードル30とは反対側のスプリング側端面52に当接させる。そして、第2スプリング90の内側にニードル30が位置するよう、ニードル30のシール部31側から第2スプリング90の一端を可動コア40の溝部431の底面に当接させる。
【0031】
図3(c)に示すように、組み合わせた第1スプリング80、可動プレート50、ニードル30、可動コア40、および、第2スプリング90をハウジング20内に入れ込み、第2スプリング90の他端をハウジング20の段差面211に当接させる。
最後に、固定コア60およびアジャスティングパイプ61をハウジング20内に圧入し、第1スプリング80の他端をアジャスティングパイプ61に当接させる。ここで、G1<G2の関係を満たすよう、固定コア60の位置を調整する。また、第2スプリング90の付勢力より第1スプリング80の付勢力が大きくなるよう、アジャスティングパイプ61の位置を調整する。
【0032】
次に、本実施形態の燃料噴射弁1の作動を
図4〜6に基づいて説明する。
図4(a)に示すように、非作動の状態において、第1スプリング80は可動プレート50を付勢することでニードル30を閉弁方向に付勢している。また、第2スプリング90は、可動コア40を固定コア60側に付勢している。ここで、可動プレート50のニードル30側のニードル側端面53は、ニードル30の鍔部33の端面331、および、可動コア40の嵌入溝部46の底壁461に当接している。このとき、可動プレート50のニードル側端面53と収容凹部45の底壁452との軸方向の距離L2は、鍔部33の軸方向の長さL1よりも大きい。そして、鍔部33の端面332と収容凹部45の底壁452との軸方向の所定距離G1は、可動コア40と固定コア60との軸方向の距離G2よりも小さい。
また、このとき、ノズル部10の噴孔11は、ニードル30のシール部31が弁座12に着座することによって閉塞状態となっている。
【0033】
コイル70に電流が供給されると、
図4(b)に示すように、可動コア40は固定コア60に吸引され固定コア60側へ移動する。ここで、可動プレート50は可動コア40に押されて第1スプリング80の付勢力に抗して第1スプリング80側へ移動する。また、可動コア40は、所定距離G1分加速し、加速距離分の運動エネルギーを持った状態でニードル30の鍔部33の端面332に衝突する。
このとき、ニードル30は急速に開弁方向へ移動し、シール部31が弁座12から離間する。よって、ノズル部10の噴孔11は急速に開口する。燃料導入パイプ62から流入した燃料は、燃料通路100を流通し、噴孔11から噴射される。
【0034】
図4(c)に示すように、可動コア40と固定コア60とが衝突すると、可動コア40の移動が規制される。
このとき、ニードル30のリフト量が最大となり、ノズル部10の噴孔11は最大の開口状態となる。
【0035】
コイル70への電流供給を停止すると、コイル70の発生する吸引力は小さくなる。ここで、コイル70への電流供給が停止された直後、
図5(a)に示すように、可動コア40と固定コア60とは当接する状態を短時間維持する。
そして、コイル70の発生する吸引力が開弁保持力を下回ると、
図5(b)に示すように、可動プレート50、可動コア40、および、ニードル30は閉弁方向へ移動する。
【0036】
ニードル30は、シール部31がノズル部10の弁座12に当接することで移動が停止する。可動プレート50は、
図5(c)に示すように、ニードル30の端面331に当接することで移動が停止し、第1スプリング80によってニードル30側に付勢される。
【0037】
その後、
図6(a)に示すように、可動コア40は、慣性によって第2スプリング90をノズル部10側へ押し付ける。
押し付けられた第2スプリング90は、限界まで縮んだ後、可動コア40を可動プレート50側へ移動させる。
図6(b)に示すように、可動コア40は、収容凹部45の底壁452がニードル30の鍔部33の端面332に当接することなく、嵌入溝部46の底壁461が可動プレート50のニードル側端面53に当接する。そして、可動コア40は、第1スプリング80の付勢力によって、再び段差面211側へ移動する。
【0038】
可動コア40は、運動エネルギーが無くなるまで振動し、最後は
図6(c)に示すように、非作動の状態に戻る。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、鍔部33、可動プレート50、収容凹部45、および、嵌入溝部46は、可動コア40と可動プレート50とが当接した状態において、L1<L2の関係を満たすよう形成されている。これにより、鍔部33の端面332と収容凹部45の底壁452との間には、軸方向の所定距離G1を有する隙間が形成される。このため、電力が供給されたコイル70の磁力によって、可動コア40が開弁方向に吸引されると、可動コア40は所定距離G1分加速してからニードル30の鍔部33に衝突する。したがって、衝突時のエネルギーを利用してニードル30を早く開弁させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、鍔部33の端面332と収容凹部45の底壁452との間に所定距離G1の隙間が形成されるため、第2スプリング90を押し付けた後第2スプリング90により押し戻される可動コア40が、閉弁しているニードル30の鍔部33に当たることを抑制することができる。したがって、第2スプリング90により押し戻された可動コア40による二次開弁の発生を抑制することができる。
【0041】
さらに、所定距離G1は、鍔部33の軸方向の長さL1、および、可動プレート50と収容凹部45の底壁452との軸方向の距離L2によって決められる。このため、鍔部33の軸方向の長さL1、または、可動プレート50と収容凹部45の底壁452との軸方向の距離L2を変えることで、所定距離G1を調整することができる。よって、クリアランスの管理を簡単に行うことができる。
【0042】
本実施形態では、可動コア40は、固定コア60側の端面41に、可動プレート50が嵌入可能な嵌入溝部46を有する。このため、可動プレート50と可動コア40とが当接するとき、可動プレート50が可動コア40の端面41で遊離することを抑制することができる。
【0043】
(第2実施形態)
本実施形態の燃料噴射弁を
図7に示す。上記実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図7に示すように、燃料噴射弁2の可動コア420の固定コア60側には、貫通孔44より径の大きい収容凹部450のみ形成される。可動プレート50は、ニードル30の鍔部33、および、可動コア420の固定コア60側の端面421に当接可能に設けられる。
このような構成により、本実施形態は上記実施形態と同様に、ニードル30を早く開弁させることができる。そして、第2スプリング90により押し戻された可動コア40による二次開弁の発生を抑制することができる。
【0044】
(第3実施形態)
本実施形態の燃料噴射弁を
図8に示す。上記実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図8に示すように、燃料噴射弁3の可動プレート530の周縁533は、ニードル30側から第1スプリング80側へ向かうに従い径が大きくなるテーパ状に形成される。つまり、可動プレート530の周縁533は、ニードル30側のニードル側端面532よりも第1スプリング80側のスプリング側端面531が大径となるようテーパ状に形成される。
【0045】
また、可動コア430の固定コア60側の端面41の収容凹部45の開口周縁454は、収容凹部45の底壁452側から固定コア60側へ向かうに従い径が大きくなるようテーパ状に形成される。本実施形態では、可動プレート530と可動コア430とが当接するとき、可動プレート530の周縁533と収容凹部45の開口周縁454とが対向して当接する。
【0046】
本実施形態では、可動プレート530の周縁533がテーパ状に形成されるため、可動プレート530と可動コア40とがずれることを抑制することができる。また、可動コア430の収容凹部45の開口周縁454がテーパ状に形成されるため、可動プレート530と可動コア40とがずれることを抑制する効果を高めることができる。
【0047】
(第4実施形態)
本実施形態の燃料噴射弁を
図9に示す。上記実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図9に示すように、燃料噴射弁4の可動プレート540の外径は、固定コア60の内径よりも大きく形成される。また、可動プレート540の周縁543の軸方向の高さは、可動コア440の嵌入溝部464の側壁465の軸方向の高さよりも大きく形成される。よって、可動プレート540のニードル側端面542と嵌入溝部464の底壁462とが当接した状態において、可動プレート540の固定コア60側のスプリング側端面541が可動コア440の固定コア60側の端面442よりも固定コア60側に位置する。
【0048】
本実施形態では、可動プレート540の外径が固定コア60の内径よりも大きく形成され、可動プレート540の周縁543の軸方向の高さが嵌入溝部464の側壁465の軸方向の高さよりも大きく形成される。これにより、固定コア60は可動コア440に当接することなく、可動プレート540のみに当接する。このため、可動コア440の代わりに可動プレート540の表面に硬質加工処理を行えばよい。よって、上記実施形態に比べ、可動コア440をシンプルな形で形成することができ、コストを低減することができる。
【0049】
(第5実施形態)
本実施形態の燃料噴射弁を
図10に示す。上記実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図10に示すように、燃料噴射弁5の可動コア420の固定コア60側には、貫通孔44より径の大きい収容凹部450のみ形成される。また、可動プレート540の外径は、固定コア60の内径よりも大きく形成される。
このような構成により、本実施形態は上記第4実施形態に比べ、可動コア440をシンプルな形で形成することができ、さらにコストを低減することができる。
【0050】
(第6実施形態)
本実施形態の燃料噴射弁を
図11に示す。上記実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図11に示すように、燃料噴射弁6の可動コア460は軸方向に形成された複数の第1孔47を有する。複数の第1孔47は、可動コア460の軸心に対して対称となるよう形成される。また、第1孔47は、収容凹部456の底壁457と可動コア460のノズル部10側の端面463とを接続する。
【0051】
また、可動プレート560は、鍔部33と当接する位置に可動プレート560の板厚方向を貫く複数の第2孔563を有する。第2孔563は、可動プレート560の固定コア60側のスプリング側端面561とニードル30側のニードル側端面562とを接続する。
【0052】
本実施形態では、可動コア460に複数の第1孔47を形成することで、ニードル30の鍔部33と収容凹部456の底壁457とが当接してから離間するとき、リンギング力による張り付きを抑制することができる。また、可動プレート560に複数の第2孔563を形成することで、可動プレート560と鍔部33とが当接してから離間するとき、リンギング力による張り付きを抑制することができる。
【0053】
(第7実施形態)
本実施形態の燃料噴射弁を
図12に示す。上記第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図12は、燃料噴射弁7の閉弁状態を示す模式的断面図である。
図12に示すように、ニードル30には係止部35が設けられている。係止部35は、鍔部33とシール部31との間の本体32の外壁322において、本体32径外方向に突出するよう設けられている。これにより、第2スプリング97は、可動コア40と係止部35との間に設けられ、係止部35を経由してニードル30を閉弁方向に付勢する。
【0054】
ここで、本実施形態の燃料噴射弁7の開弁時の作動を
図13に基づいて説明する。
図
13(a)に示すように、非作動の状態において、スプリング80は可動プレート50を付勢することでニードル30を閉弁方向に付勢している。また、スプリング97は、一端が係止部35に当接し、他端が可動コア40に当接することで、ニードル30を閉弁方向に付勢し、可動コア40を固定コア60側に付勢する。
このとき、ノズル部10の噴孔11は、ニードル30のシール部31が弁座12に着座することによって閉塞状態となっている。
【0055】
コイル70に電流が供給されると、
図13(b)に示すように、可動コア40は固定コア60に吸引され固定コア60側へ移動する。ここで、可動プレート50は可動コア40に押されてスプリング80の付勢力に抗してスプリング80側へ移動する。また、可動コア40は、加速距離分の運動エネルギーを持った状態でニードル30の鍔部33の端面332に衝突する。
このとき、ニードル30は急速に開弁方向へ移動し、シール部31が弁座12から離間する。よって、ノズル部10の噴孔11は急速に開口する。燃料導入パイプ62から流入した燃料は、燃料通路100を流通し、噴孔11から噴射される。
【0056】
図13(c)に示すように、可動コア40と固定コア60とが衝突すると、可動コア40の軸方向の移動が規制される。
このとき、ニードル30のリフト量が最大となり、ノズル部10の噴孔11は最大の開口状態となる。また、ニードル30は、燃料の圧力fにより閉弁方向に押し付けられるとともに、第2スプリング97の付勢力により閉弁方向に押し付けられる。
【0057】
本実施形態では、ニードル30に係止部35が設けられ、第2スプリング97は、係止部35を経由してニードル30を付勢する。これにより、
図13(c)に示す開弁保持時において、ニードル30は、燃料の圧力fにより閉弁方向に押し付けられるとともに、第2スプリング97の付勢力により閉弁方向に押し付けられる。このため、ニードル30の軸方向の相対振動が抑制されることで、ニードル30の着座安定性を高めることができる。
【0058】
(第8実施形態)
本実施形態の燃料噴射弁を
図14に示す。上記第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図14に示すように、燃料噴射弁8の固定コア60は筒状に形成され、内壁63、および、ノズル側端部64を有する。
【0059】
可動コア480は、固定コア60側に形成されている第1凹部481および第2凹部482を有する。第1凹部481は、可動コア480の端面41から軸方向に凹むよう形成され、第1底部483を有する。第2凹部482は、第1凹部481の第1底部483から軸方向に凹むよう形成され、第2底部484を有する。また、貫通孔44は第2底部484に形成されている。
【0060】
可動プレート580は、スプリング側端面581、ノズル側端面582、および、ノズル側端面582に形成されている収容部583を有する。収容部583は、ノズル側端面582から軸方向に凹むよう形成され、底部584および側壁部585を有する。底部584には、孔586が形成されている。
【0061】
本実施形態の場合、可動プレート580は、固定コア60の内壁63にガイドされ、軸方向に沿って往復移動可能に設けられている。ここで、可動プレート580のスプリング側端面581と噴孔11との間の軸方向の距離d2、および、固定コア60のノズル側端部64と噴孔11との間の軸方向の距離d1は下記式1を満たす。
d1<d2 ・・・式1
【0062】
また、可動プレート580は、ノズル側端面582と可動コア480の第1凹部481の第1底部483とが当接可能に設けられている。これにより、可動コア480の貫通孔44に挿通されているニードル30の鍔部33側の端部は、収容部583内に収容されるとともに、収容部583の側壁部585にガイドされ、軸方向に移動可能に設けられている。ここで、閉弁時には、鍔部33の端面331と収容部583の底部584とが当接する。そして、開弁時には、鍔部33の端面332と第2凹部482の第2底部484とが当接する。
【0063】
第8実施形態では、可動プレート580は、固定コア60の内壁63にガイドされ、軸方向に沿って往復移動可能に設けられている。また、ニードル30の鍔部33は、収容部583の側壁部585にガイドされ、軸方向の往復移動可能に収容部583内に収容される。これにより、ニードル30は、可動プレート580を介して固定コア60の内壁63にガイドされる。このような構成は、例えば、ニードル30が可動コア480を介してハウジング20の内壁24によりガイドされる構成に比べ、固定コア60と可動プレート580とニードル30との同軸度を向上させるのに有利である。このため、ニードル30の軸方向の往復移動において、径方向に傾くことを抑制することができる。よって、ニードル30の軸方向の往復移動の安定性を高めることができる。
【0064】
また、可動プレート580は、可動プレート580のスプリング側端面581と噴孔11との間の軸方向の距離d2が、固定コア60のノズル側端部64と噴孔11との間の軸方向の距離d1より長くなるよう設けられている。これにより、例えば、閉弁時において、可動プレート580が固定コア60の内壁63から脱離することを防止することができる。このため、ニードル30の軸方向の往復移動の安定性をより高めることができる。
【0065】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態では、収容凹部を可動プレートのニードル側に形成する。この場合、ニードルの鍔部の軸方向の長さが、可動コアの固定コア側の端面と収容凹部の底壁との軸方向の距離よりも小さくなるよう、鍔部および収容凹部が形成される。
(他の実施形態)
上述の実施形態では、可動プレートおよび可動コアに軸方向の孔が形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、ニードルの鍔部に軸方向の孔を形成することとしてもよい。
上述の実施形態では、ハウジングとノズル部とが別体に形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、ハウジングとノズル部とを一体に形成することとしてもよい。
上述の実施形態では、収容凹部の開口周縁がテーパ状に形成される例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、嵌入溝部の開口周縁をテーパ状に形成することとしてもよい。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。