(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037023
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】乗客コンベア設備
(51)【国際特許分類】
B66B 23/00 20060101AFI20161121BHJP
B66B 29/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
B66B23/00 B
B66B23/00 A
B66B29/00 J
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-536343(P2015-536343)
(86)(22)【出願日】2013年9月11日
(86)【国際出願番号】JP2013074459
(87)【国際公開番号】WO2015037070
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2015年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(73)【特許権者】
【識別番号】000232944
【氏名又は名称】日立水戸エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】宇津宮 博文
(72)【発明者】
【氏名】千葉 久生
(72)【発明者】
【氏名】松尾 利昭
(72)【発明者】
【氏名】三村 一美
【審査官】
三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−016153(JP,A)
【文献】
特開2001−158585(JP,A)
【文献】
特開2012−144336(JP,A)
【文献】
特開2000−335861(JP,A)
【文献】
特開2013−067461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 23/00
B66B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物に支持され既設の乗客コンベアの構成部品が撤去された既設本体枠と、前記既設本体枠内に配置され、無端状に連結された複数の踏段が内部を循環移動する新設本体枠と、前記新設本体枠に設けられ前記複数の踏段を駆動するスプロケットと、前記スプロケットを駆動するための動力を発生させる駆動機と、前記駆動機を制御する電気盤とを備えた乗客コンベア設備において、
前記新設本体枠の端部から前記建築構造物までの隙間は前記既設本体枠の端部から前記建築構造物までの隙間よりも大きく設定され、
前記乗客コンベア設備の少なくとも一方の端部において、前記既設本体枠の端部に設けられた既設側受梁が、前記建築構造物の建築梁の上に、前記建築梁に対して相対移動可能に載置されているとともに、前記新設本体枠の端部に設けられた新設側受梁が、前記建築梁と前記既設側受梁との上に、前記建築梁と前記既設側受梁とに対して相対移動可能に載置され、
前記駆動機と前記電気盤とのうち少なくとも一方の少なくとも一部分が、前記既設本体枠と前記新設本体枠との間の隙間に配置され、
前記建築梁に対する前記新設側受梁のかかり代は、前記建築梁に対する前記既設側受梁のかかり代よりも大きく、
前記既設本体枠を前記新設本体枠に係合させる係合部品を有することを特徴とする乗客コンベア設備。
【請求項2】
前記駆動機は、電動機と減速機とで構成され、前記新設本体枠に設置されているとともに、一部分が前記新設本体枠から突出していることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア設備。
【請求項3】
前記駆動機は、電動機と減速機とで構成され、前記既設本体枠と前記新設本体枠とに跨って設置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア設備。
【請求項4】
前記電気盤は、一部分が前記新設本体枠の外部に配置され、他の部分が前記新設本体枠の内部に配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の乗客コンベア設備。
【請求項5】
前記電気盤は、全体が、前記既設本体枠の内部で、かつ、前記新設本体枠の外部に配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の乗客コンベア設備。
【請求項7】
前記新設本体枠の端部から前記建築構造物までの隙間は、前記建築構造物が想定される最大の大きさで揺れても前記新設本体枠が圧縮されて塑性変形しない大きさに設定されていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の乗客コンベア設備。
【請求項9】
建築構造物に支持され既設の乗客コンベアの構成部品が撤去された既設本体枠と、前記既設本体枠内に配置され、無端状に連結された複数の踏段が内部を循環移動する新設本体枠と、前記新設本体枠に設けられ前記複数の踏段を駆動するスプロケットと、前記スプロケットを駆動するための動力を発生させる駆動機と、前記駆動機を制御する電気盤とを備えた乗客コンベア設備において、
前記新設本体枠の端部から前記建築構造物までの隙間は前記既設本体枠の端部から前記建築構造物までの隙間よりも大きく設定され、
前記乗客コンベア設備の少なくとも一方の端部において、前記既設本体枠の端部に設けられた既設側受梁が、前記建築構造物の建築梁の上に、前記建築梁に対して相対移動可能に載置されているとともに、前記新設本体枠の端部に設けられた新設側受梁が、前記建築梁と前記既設側受粱との上に、前記建築梁と前記既設側受梁とに対して相対移動可能に載置され、
前記建築梁に対する前記新設側受梁のかかり代は、前記建築梁に対する前記既設側受粱のかかり代よりも大きく、
前記既設本体枠を前記新設本体枠に係合させる係合部品を有することを特徴とする乗客コンベア設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエスカレーターや電動道路を含む乗客コンベア設備に係り、特に、既設乗客コンベアの既設本体枠を利用して新設乗客コンベアを設置する乗客コンベア設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
既設乗客コンベアの既設本体枠を利用して新設乗客コンベアを設置する乗客コンベア設備としては、例えば特許文献1〜3がある。
【0003】
また、既設乗客コンベアの既設本体枠を利用したものではないが、既設階段を利用して新設乗客コンベアを設置する乗客コンベア設備としては、例えば特許文献4がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−16153号公報
【特許文献2】実開昭58−191174号公報
【特許文献3】特開2008−189418号公報
【特許文献4】特開2000−335861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜3に記載の乗客コンベア設備では、既設乗客コンベアの構成部品を撤去した既設本体枠内に、新設乗客コンベアの新設本体枠を設置する構造となっている。
【0006】
ここで、例えば巨大地震や強風などにより建築構造物が大きく揺れ、乗客コンベア設備が架け渡された下階と上階の建築梁の間隔が狭くなった場合、乗客コンベア設備の本体枠が押しつぶされ、塑性変形して本体枠自体の全長が短縮し、その状態で建築梁の間隔が戻って広くなった場合に、乗客コンベア設備の受梁と建築梁とのかかり代が不足し、最悪の場合落下することが考えられる。
【0007】
したがって、乗客コンベア設備を設置する際には、建築構造物が想定される最大の大きさで揺れても本体枠が圧縮されて塑性変形しないように設計されることが望まれる。
【0008】
しかしながら、例えば建築基準などが改定されるなどして、建築構造物の想定される最大の揺れの大きさの基準が変更された場合、既設乗客コンベアでは本体枠が圧縮されて塑性変形しないという条件を満たさない可能性が生じる。
【0009】
ここで、例えば特許文献1のような構造の場合、既設本体枠と新設本体枠とのそれぞれに受梁が設けられて建築梁に載置されているため、既設本体枠が圧縮されて塑性変形しても新設本体枠が圧縮されて塑性変形しなければ、かかり代が不足して落下することは回避できるものの、特許文献1ではそのような問題については考慮されておらず、図面上では既設本体枠と新設本体枠との間の隙間はあまり大きく設定されていない。
【0010】
また、新設本体枠には様々な構成部品が組み込まれるため、仮に新設本体枠の長さを短縮しようとしても、その長さには限界がある。
【0011】
また、特許文献2では、新設本体枠を既設本体枠に固定し、既設本体枠の受梁のみで建築梁に載置されているため、既設本体枠が圧縮されて塑性変形すると既に述べたようにかかり代が不足する可能性があるという問題が生じる。
【0012】
また、特許文献3では、新設本体枠よりも幅の広いスプロケットを設置できるようにするために、スプロケットと駆動機とを新設本体枠の外部の既設本体枠に設置しているため、結果的に新設本体枠の長さは大幅に短くなっているが、その結果、新設本体枠の端部から建築梁までが非常に遠くなっているため、新設本体枠には受梁を設けず、新設本体枠を既設本体枠内に設けた強度部材で支持する構造としている。したがって、特許文献2の場合と同様に、既設本体枠が圧縮されて塑性変形するとかかり代が不足する可能性があるという問題が生じる。
【0013】
また、特許文献4では、既設階段を利用して新設乗客コンベアを設置するために、制御用機器(電気盤)あるいは駆動機の全体を本体枠の外の既設階段の上に設けるとともに、本体枠と建築構造物の床までの距離が遠いため、受梁を設けず、既設階段の段の上に本体枠を載置する構造としており、本体枠の端部が既設階段の段の鉛直面と接した構造となっている。したがって、建築構造物の揺れにより本体枠が圧縮されて塑性変形することについては考慮されておらず、本体枠が圧縮されて塑性変形すると段の上に乗っている部分のかかり代が不足する可能性があるという問題が生じる。
【0014】
本発明の目的は、既設乗客コンベアの既設本体枠を利用して新設乗客コンベアを設置する乗客コンベア設備において、巨大地震などにより建築構造物が大きく揺れても新設本体枠の落下を防ぐことができる乗客コンベア設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の乗客コンベア設備は、例えば、建築構造物に支持され既設の乗客コンベアの構成部品が撤去された既設本体枠と、前記既設本体枠内に配置され、無端状に連結された複数の踏段が内部を循環移動する新設本体枠と、前記新設本体枠に設けられ前記複数の踏段を駆動するスプロケットと、前記スプロケットを駆動するための動力を発生させる駆動機と、前記駆動機を制御する電気盤とを備えた乗客コンベア設備において、前記新設本体枠の端部から前記建築構造物までの隙間は前記既設本体枠の端部から前記建築構造物までの隙間よりも大きく設定され、前記乗客コンベア設備の少なくとも一方の端部において、前記既設本体枠の端部に設けられた既設側受梁が、前記建築構造物の建築梁の上に、前記建築梁に対して相対移動可能に載置されているとともに、前記新設本体枠の端部に設けられた新設側受梁が、前記建築梁と前記既設側受梁との上に、前記建築梁と前記既設側受梁とに対して相対移動可能に載置され、前記駆動機と前記電気盤とのうち少なくとも一方の少なくとも一部分が、前記既設本体枠と前記新設本体枠との間の隙間に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、既設乗客コンベアの既設本体枠を利用して新設乗客コンベアを設置する乗客コンベア設備において、新設本体枠の受梁が建築梁に対して相対移動可能に載置されているとともに、駆動機と電気盤とのうち少なくとも一方の少なくとも一部分が、既設本体枠と新設本体枠との間の隙間に配置されていることにより、新設本体枠の長さを短縮できるので、建築構造物が大きく揺れても新設本体枠が圧縮されて塑性変形することを回避できるとともに、仮に既設本体枠が圧縮されて塑性変形したとしても、新設本体枠の落下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例の乗客コンベア設備を示す全体斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。尚、各図において、同一又は類似の構成要素には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例の乗客コンベア設備を示す全体斜視図であり、
図2は、
図1の分解斜視図であり、
図3は、
図1の駆動側機械室の拡大断面図であり、
図4は、
図1のB−B線に沿う拡大断面図である。尚、ここでは乗客コンベア設備の一例としてエスカレーター設備を例にして説明するが、電動道路に適用しても良い。
【0020】
図1、
図2に示すように、エスカレーター設備1は、既設のエスカレーターの構成部品が撤去された既設本体枠2と、この既設本体枠2内に配置された新設エスカレーター3とを有している。
【0021】
既設本体枠2は、
図2、
図3、
図4に示すように、左右に間隔をあけて配置された側枠4A,4Bと、これら左右の側枠4A,4Bを、底部において機械的に連結する底板5と、左右の側枠4A,4Bの長手方向端部に設けた端枠6A,6Bとを備えており、端枠6A,6Bには夫々受梁7A,7Bが枠外に水平に突出して設けられている。そして、既設本体枠2の受梁7A,7Bを、建築構造物8の互いに離れた建築梁9,9間に跨るように係合させている。
【0022】
一方、新設エスカレーター3は、新設本体枠10をベースに構成されており、この新設本体枠10も、既設本体枠2と同じように、左右に間隔をあけて配置された側枠11A,11Bと、これら側枠11A,11Bの長手方向端部に設けた端枠12A,12Bとを備えており、端枠12A,12Bには夫々受梁13A,13Bが枠外に水平に突出して設けられている。このように構成された新設本体枠10には、新設本体枠10内に配置され内部を循環移動する無端状に連結された複数の踏段16と、踏段16の移動方向に沿って立設された欄干17と、欄干17の周縁を踏段16と同期して循環移動する移動手摺18と、新設本体枠10の長手方向の両端部に設けられる乗降床19と、踏段16や移動手摺18を駆動するスプロケット15と、スプロケット15を駆動するための動力を発生させる駆動機21と、駆動機21を制御して運転を制御する電気盤20等が実装される。
【0023】
ここで、複数の踏段16は、例えばスプロケット15に巻き掛けられたチェーン等により無端状に連結されてスプロケット15により駆動される。駆動機21は、電動機と減速機とで構成され、発生された動力は例えばチェーンやベルト等を介してスプロケット15に伝達されてスプロケット15を駆動する。
【0024】
そして、新設本体枠10は、既設本体枠2の内側に収納され、新設本体枠10の支持部である受梁13A,13Bを、既設本体枠2の支持部である受梁7A,7B上に配置させる。
【0025】
ここで、乗客コンベア設備1の長手方向の端部のうち、建築構造物8の揺れに対応するために、少なくとも一方は自由端とされている。例えば、一方を自由端とし、他方を固定端としても良いし、両端を自由端としても良い。
【0026】
図3は、自由端側を示しており、既設本体枠2の端部に設けられた既設側受梁7Aが、建築構造物8の建築梁9の上に、建築梁9に対して相対移動可能に載置されているとともに、新設本体枠10の端部に設けられた新設側受梁13Aが、建築梁9と既設側受梁7Aとの上に、建築梁9と既設側受梁7Aとに対して相対移動可能に載置されている。
【0027】
図3において、既設本体枠2の受梁7Aと建築梁9とのかかり代Rは通常130〜150mm程度、隙間gは50〜70mm程度としているが、巨大地震などが発生した場合、建築構造物8の剛性によっては、建築構造物8が想定を越えて大きく揺れ、下階と上階の建築梁9の間隔が狭くなったり、広くなったりして、かかり代R、隙間gが不足する可能性がある。
【0028】
このため、下階と上階の建築梁9の間隔が広くなった場合の対応として、例えば巨大地震などが発生した場合を想定したかかり代Kとして160mm以上に設定するとともに、下階と上階の建築梁9の間隔が狭くなった場合に新設本体枠10が押しつぶされないように、隙間Sは80mm以上の隙間をとるようにした。
【0029】
ここで、新設本体枠10と建築梁9との隙間Sを大きくするには、新設本体枠10の機械室スペースを縮小しなければならなくなり、今までのように本体枠内に駆動機21や電気盤20などの機器を組み込んである新設本体枠10の場合には新設本体枠10の長さの短縮には限界がある。つまり、従来のような構成では巨大地震などに備えた既設乗客コンベアのリニューアルができないという問題が生じる。
【0030】
そこで、
図3に示すように、駆動機21と電気盤20とのうち少なくとも一方の少なくとも一部分が、既設本体枠2と新設本体枠10との間の隙間に配置されるようにして、新設本体枠10の長さを短縮し、新設本体枠10の端部から建築構造物8までの隙間である隙間Sを確保するようにした。
【0031】
例えば、駆動機21を新設本体枠10に設置するとともに、一部分を新設本体枠10から突出させる、或いは、
図3に示すように駆動機21を既設本体枠2と新設本体枠10とに跨って設置する。
【0032】
また、例えば、電気盤20を既設本体枠2に取り付け、新設本体枠10側に突出させるか、新設本体枠10に取り付け、既設本体枠2側に突出させることで、一部分が新設本体枠10の外部に配置され、他の部分が新設本体枠10の内部に配置されるようにする。或いは、薄型電気盤20Aのようにして既設本体枠2と新設本体枠10との間に設置することで、電気盤の全体が、既設本体枠2の内部で、かつ、新設本体枠10の外部に配置されるようにしてもよい。
【0033】
尚、通常は駆動機21は電気盤20に比べて大きいため、駆動機21の全体を新設本体枠10の外部に配置した場合には、隙間Sが大きくなりすぎて受梁13Aを建築梁9の上に載置することが難しくなる。したがって、駆動機21の一部分のみを新設本体枠10の外部に配置することが望ましい。
【0034】
尚、新設本体枠10の端部から建築構造物8までの隙間Sは、建築構造物8が想定される最大の大きさで揺れても新設本体枠10が圧縮されて塑性変形しない大きさに設定されている。
【0035】
また、建築梁9に対する既設側受梁7Aのかかり代Rが不足する場合には、建築梁9に対する新設側受梁13Aのかかり代Kを、建築梁9に対する既設側受梁7Aのかかり代よりも大きくすることが望ましい。尚、建築梁9に対する既設側受梁7Aのかかり代Rが不足していない場合には、かかり代Kをかかり代Rと同じに設定しても良い。
【0036】
このような構成にすることで、既設乗客コンベアの既設本体枠2を利用して新設乗客コンベア3を設置する乗客コンベア設備1において、新設本体枠2の受梁13Aが建築梁9に対して相対移動可能に載置されているとともに、駆動機21と電気盤20とのうち少なくとも一方の少なくとも一部分が、既設本体枠2と新設本体枠10との間の隙間に配置されていることにより、新設本体枠10の長さを短縮できるので、建築構造物8が大きく揺れても新設本体枠10が圧縮されて塑性変形することを回避できるとともに、仮に既設本体枠2が圧縮されて塑性変形したり電気盤20や駆動機21が破損したとしても、新設本体枠10を圧縮させず維持できるため、新設本体枠2の落下を防ぐことができる。
【0037】
また、
図4に示すように、万一に備え、係合部品30で既設本体枠2を新設本体枠10に係合させておいてもよい。
【0038】
なお、
図3では上階側の駆動側機械室拡大断面図で説明したが、下階側も同様の構成としてもよい。
【0039】
以上、本発明の実施例を説明してきたが、これまでの実施例で説明した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、それぞれの実施例で説明した構成は、互いに矛盾しない限り、組み合わせて用いても良い。
【符号の説明】
【0040】
1…エスカレーター設備、2…既設本体枠、3…新設エスカレーター、4A,4B,11A,11B…側枠、5…底板、6A,6B,12A,12B…端枠、7A,7B,13A,13B…受梁、8…建築構造物、9…建築梁、10…新設本体枠、15…スプロケット、16…踏段、17…欄干、18…移動手摺、19…乗降床、20,20A…電気盤、21…駆動機、30…係合部品。