(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の副制御部のそれぞれは、それぞれに当該副制御部及び前記主制御部が共通して利用可能な最新の通信プロトコルに従って、前記第二信号線を介して前記主制御部に前記第二通信データを送信し、
前記主制御部は、前記第二信号線を介して各副制御部から、それぞれに当該副制御部及び前記主制御部が共に利用可能な最新のあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルに従って、前記第二通信データを受信する
請求項1記載の部品実装機。
前記複数の副制御部のそれぞれは、当該副制御部に接続された個別機器の状態に関連する情報である個別情報を、当該副制御部及び前記主制御部が共通して利用可能な最新のあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルに従って、前記第二信号線を介して前記主制御部に対して送信する
請求項1または2に記載の部品実装機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1記載の技術を部品実装機に適用して、主局及び従局をそれぞれ主制御部及び副制御部とした場合には、主制御部(主局)は、副制御部(従局)ごとに通信プロトコルを変更しながらデータの送信を行わなければならず、主制御部によるデータ送信の制御が煩雑になるという課題がある。
【0010】
この場合、副制御部は、部品実装機内の各所に配置されるため、主制御部と複数の副制御部とは、リング型ネットワークやバス型ネットワークなどのネットワークを介して接続されることが想定される。
【0011】
ここで、主制御部は、例えば副制御部に対する指示を含むデータを、ネットワークを介して副制御部に送信する。各副制御部は、当該データをネットワークから順次受信し、自身宛の指示を読み出し、指示に基づいて個別機器の動作を制御する。
【0012】
このように、主制御部から送信されたデータは、複数の副制御部によって処理される。また、各副制御部の個別機器の状態等が主制御部に受信される。主制御部は、受信したデータに書き込まれた個別機器の状態等を、その後の部品実装機の制御に反映させる。
【0013】
このような主制御部と副制御部との間の通信においては、通信速度等の通信プロトコルを一旦確定させた後は、その通信プロトコルに従ってデータの送受信が行われ、その後に通信プロトコルの改定が発生した場合には、全ての主制御部および副制御部を改定後の通信プロトコルに対応したものに置き換える必要がある。しかし、このような制御部の置き換えには時間および労力が要求される。また、費用面から、一斉に全ての制御部を置き換えることができない場合があり、徐々に新しい通信プロトコルに対応した制御部へ置き換えることが要求される。このため、古い通信プロトコルから新しい通信プロトコルへの過渡期においては、利用可能な通信プロトコルが異なる複数の制御部が混在することが想定される。
【0014】
また、1つのネットワーク内に複数の通信プロトコルのデータが流れる。このため、ある副制御部宛てに主制御部から送信されたデータを、通信プロトコルの異なる他の副制御部が自身宛のデータと解釈してしまう場合がある。このような場合には、自身宛のデータであると誤って解釈した副制御部が個別機器を誤って制御する可能性があるという課題がある。
【0015】
この課題の一例について
図1を用いて説明する。例えば、通信速度が1Mbpsの通信プロトコルでデータの送受信を行う第1副制御部と、通信速度が2Mbpsの通信プロトコルでデータの送受信を行う第2副制御部とが同一のネットワークに接続されているものとする。ここで、主制御部から
図1(a)に示すような通信データ(01100011…)が、2Mbpsの通信速度で第2副制御部に向けて送信されたとする。このとき、第2副制御部は、主制御部から送信された通信データを2Mbpsで正確に受信する。一方、第1副制御部は、同一の通信データを1Mbpsの通信速度で受信する。2Mbpsで送信された通信データを1Mbpsで受信すると、当該通信データを1ビット置きに受信することになる。つまり、第1副制御部は、
図1(a)に示した通信データ(01100011…)を、1ビットごとに間引いた
図1(b)に示すような通信データ(0101…)として受信する。
図1(b)において、ハッチングを施しているデータについては、第1副制御部が読み飛ばしたデータを示している。このとき第1副制御部は、受信した通信データ(0101…)を解釈することにより、偶然にも自身宛の通信データであると判断してしまった場合には、誤った通信データに基づいて、個別機器を制御する可能性がある。これにより、個別機器が誤動作してしまう可能性がある。
【0016】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、通信データ送受信の制御が簡易であり、かつ、個別機器の誤った制御が発生しない部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る部品実装機は、部品実装基板を生産する部品実装機であって、前記部品実装機の全体の動作を制御する主制御部と、各々が、少なくとも1つの通信プロトコルに従い前記主制御部との間で通信データの送受信を行う複数の副制御部と、前記部品実装基板の生産のための動作を行う複数の個別機器であって、前記複数の副制御部のうちのいずれかと情報の伝送が可能に接続された複数の個別機器と、各々が、前記主制御部と前記複数の副制御部とを接続する第一信号線及び第二信号線とを備え、前記主制御部は、(i)前記主制御部及び前記複数の副制御部がそれぞれ利用可能な全ての通信プロトコルのうち、前記主制御部及び前記複数の副制御部が共通して利用可能な最新のあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルを共通プロトコルとして決定し、(ii)前記共通プロトコルに従って、前記第一信号線を介して前記複数の副制御部に第一通信データを送信し、(iii)前記第二信号線を介して各副制御部から、当該副制御部及び前記主制御部が共に利用可能な通信プロトコルに従って、第二通信データを受信し、前記複数の副制御部のそれぞれは、(i)当該副制御部及び前記主制御部が共に利用可能な通信プロトコルに従って、前記第二信号線を介して前記主制御部に前記第二通信データを送信し、(ii)前記共通プロトコルに従って、前記第一信号線を介して前記主制御部から送信される前記第一通信データを受信する。
【0018】
この構成によると、主制御部は、各副制御部に対して、主制御部及び複数の副制御部が共通して利用可能な共通プロトコルに従って、第一信号線を介して通信データの送信を行う。このため、主制御部は、通信データ送信時に、通信データの送信先の副制御部ごとに通信プロトコルを変更する必要が無く、通信データの送受信の制御を簡易にすることができる。また、ある副制御部が他の副制御部宛ての通信データを受信した場合に、自身宛の通信データであると誤って解釈することはない。このため、個別機器の誤った制御も発生しない。一方、各副制御部は、主制御部に対して、当該副制御部及び前記主制御部が共に利用可能な通信プロトコルに従って、第二信号線を介して前記主制御部に通信データを送信する。第二信号線は主制御部のみが通信データを受信可能な経路である。このため、送信元の副制御部とは異なる副制御部が、自身宛の通信データであると誤って解釈することはない。このため、個別機器の誤った制御も発生しない。よって、主制御部及び複数の副制御部の通信プロトコルを一斉にバージョンアップすることができない場合であっても、通信データの送受信を行うことが可能となる。
【0019】
例えば、前記複数の副制御部のそれぞれは、それぞれに当該副制御部及び前記主制御部が共通して利用可能な最新の通信プロトコルに従って、前記第二信号線を介して前記主制御部に前記第二通信データを送信し、前記主制御部は、前記第二信号線を介して各副制御部から、それぞれに当該副制御部及び前記主制御部が共に利用可能な最新のあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルに従って、前記第二通信データを受信してもよい。
【0020】
各副制御部は、当該副制御部と主制御部が利用可能な最新のあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルに従って通信データを送信することができる。このため、各副制御部から主制御部に対して通信データを高速に送信することができる。
【0021】
例えば、前記複数の副制御部のそれぞれは、当該副制御部が利用可能な通信プロトコルを前記主制御部に対して通知し、前記主制御部は、さらに、前記複数の副制御部のそれぞれから通知された、それぞれに前記利用可能な通信プロトコルに基づいて、前記主制御部及び前記複数の副制御部が共通して利用可能な最新の通信プロトコルを、前記共通プロトコルとして決定してもよい。
【0022】
具体的には、前記主制御部は、さらに、利用可能な通信プロトコルを問い合わせるための質問パケットを、前記第一信号線を介して前記複数の副制御部に対して送信し、前記複数の副制御部のそれぞれは、さらに、前記主制御部から送信された前記質問パケットの受信に応答して、当該副制御部が利用可能な通信プロトコルを前記主制御部に対して通知してもよい。
【0023】
この構成によると、副制御部が置き換えられることにより、当該副制御部が利用可能な通信プロトコルが変更された場合であっても、主制御部が共通プロトコルを決定しなおすことができる。
【0024】
また、前記複数の副制御部のそれぞれは、当該副制御部に接続された個別機器の状態に関連する情報である個別情報を、当該副制御部及び前記主制御部が共通して利用可能な最新のあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルに従って、前記第二信号線を介して前記主制御部に対して送信してもよい。
【0025】
この構成によると、主制御部は、各副制御部から送信された個別情報を、部品実装機の動作制御に反映させることができる。
【0026】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、通信データ送受信の制御が簡易であり、かつ、個別機器の誤った制御が発生しない部品実装機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係る部品実装機について、図面を参照しながら説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0030】
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0031】
まず、
図2〜
図4を用いて、実施の形態における部品実装機20の基本的な構成および動作について説明する。
【0032】
図2は、実施の形態における部品実装機20の構成を示す外観図である。
【0033】
図3は、実施の形態における部品実装機20の内部の主要な構成を示す平面図である。
【0034】
部品実装機20は、
図2に示すように、基板30に1以上の部品40を実装することで、部品実装基板を生産する装置である。
【0035】
部品実装機20は、
図3に示すように、基板30に対して部品40を実装する2つの実装ユニットを備えている。2つの実装ユニットは、お互いが協調し1枚の基板30に対して実装作業を行う。当該実装ユニットは、Xビーム120X及びYビーム120Yを有するXYロボット121、ヘッド100、カメラ400ならびに部品供給部300等によって構成されている。
【0036】
部品供給部300は、例えば、部品テープを収納する複数の部品カセット310の配列からなる。なお、部品テープとは、例えば、同一部品種の複数の部品40がテープ(キャリアテープ)上に均等に並べられたものであり、リール等に巻かれた状態で供給される。また、部品テープに並べられる部品40は、例えばBGAまたはチップ部品等である。
【0037】
ヘッド100は、複数のノズル110を備えており、部品カセット310に収容された部品テープの部品40を当該ノズル110で吸着して、吸着した部品40を基板30上に搬送し、基板30に当該部品40を装着する。
【0038】
具体的には、ヘッド100は、XYロボット121によって、XYロボット121が備えるXビーム120Xに沿ってX軸方向に移動される。またXビーム120Xは、XYロボット121によって、X軸方向と平行を保ちながらYビーム120Yに沿ってY軸方向に移動される。これにより、ヘッド100は、X軸方向およびY軸方向に移動する。
【0039】
図4は、実施の形態におけるヘッド100、カメラ400および発光部130を模式的に示す図である。
【0040】
ヘッド100は、
図4に示すように、部品40を保持する複数のノズル110を備えており、本実施の形態の場合、ノズル110は、真空吸着により部品40を保持する。また、ヘッド100は、ノズル110をそれぞれ独立してZ軸方向に上下動させる機構を備えており、部品40を保持して搬送し、基板30に部品40を装着する機能を備えている。
【0041】
つまり、ヘッド100は、部品供給部300に配置されている部品40をノズル110に吸着保持させ、ノズル110がカメラ400の上方を通過するように移動する。
【0042】
そして、カメラ400は、発光部130からの光が照射された、ノズル110およびノズル110が保持している部品40を撮像することで、ノズル110および部品40の位置等を認識する。
【0043】
なお、カメラ400は、例えば、撮像のための画素が行列状に並ぶエリアイメージセンサ410と、エリアイメージセンサ410表面に結像するための光学系(例えばテレセントリックレンズ、図示せず)とを備えている。
【0044】
その後、ヘッド100は、部品40を保持したノズル110を基板30の装着位置に移動させ、カメラ400の撮像結果を用いて、ノズル110に保持されている部品40の位置を補正し、基板30に部品40を装着する。
【0045】
部品実装機20は、このような基本的な動作により、1以上の部品40が実装された基板30である部品実装基板を生産する。
【0046】
次に、
図5〜
図10を用いて、実施の形態における部品実装機20の特徴的な構成および動作について説明する。
【0047】
図5は、実施の形態における部品実装機20の内部の通信ネットワーク構成を示す模式図である。
【0048】
図5に示すように、部品実装機20は、主制御部150と、複数の副制御部200と、複数の個別機器230とを備える。
【0049】
主制御部150は、本実施の形態では、部品実装機20の全体の動作を制御する制御部である。主制御部150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置、および情報の入出力を行うインターフェース等を有するコンピュータにより実現される。
【0050】
主制御部150は、特徴的な機能構成として、生成部151と、送信部152と、受信部153と、取得部155とを有する。
【0051】
主制御部150の生成部151は、複数の副制御部200との情報のやり取りのためのコマンド(指示情報)等を含む通信データ180を生成する。
【0052】
通信データ180のデータ構成例については、
図7を用いて後述する。
【0053】
主制御部150の送信部152は、生成部151が生成した通信データ180をリング型ネットワーク160の第一信号線161を介していずれかの副制御部200に送信する。
【0054】
主制御部150の受信部153は、リング型ネットワーク160の第二信号線162を介していずれかの副制御部200から送信される通信データ180を受信する。
【0055】
ここで、第一信号線161及び第二信号線162は、有線であっても良いし、無線であっても良い。
【0056】
なお、リング型ネットワーク160は、例えば、光ケーブルを情報の伝送媒体として有するリング型のネットワークであり、高速な情報の伝送が可能である。本実施の形態では、一例としてネットワーク構成をリング型ネットワーク160としているが、ネットワーク構成はリング型ネットワーク160に限定されるものではなく、バス型ネットワークやスター型ネットワーク等の他のネットワーク構成であっても良い。
【0057】
主制御部150における取得部155は、受信部153がリング型ネットワーク160を介して受信した通信データ180に書き込まれている情報を取得する。取得部155により取得された情報は、主制御部150による、部品実装機20の動作の制御に反映される。
【0058】
なお、主制御部150は、受信部153が受信した通信データ180に書き込まれた情報の処理等も行うが、このような、部品実装機20の動作の制御のための一般的な処理についての詳細な説明は省略する。
【0059】
複数の副制御部200のそれぞれは、主制御部150とリング型ネットワーク160を介して接続されている。
【0060】
副制御部200は、例えば、CPU、FPGA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)、および記憶装置等を有し、主制御部150から送信される通信データ180を処理する。
【0061】
例えば、副制御部200は、受信した自身宛の通信データ180に含まれるコマンドに従って自身に接続された個別機器230の動作を制御する。
【0062】
つまり、副制御部200は、主制御部150と協働して、自身に接続された個別機器230の動作を制御する。また、副制御部200は、個別機器230から得られる情報を主制御部150に送信する役目も有する。
【0063】
すなわち、副制御部200は、主制御部150と個別機器230との間の情報のやり取りを中継する中継器またはゲートウェイとしての機能も有する。
【0064】
副制御部200は、特徴的な機能構成として、受信部222と、生成部224と、送信部226とを有する。
【0065】
副制御部200の受信部222は、リング型ネットワーク160の第一信号線161を介して主制御部150から通信データ180を受信する。
【0066】
副制御部200の生成部224は、主制御部150に送り返す通信データ180を生成する。具体的には、生成部224は、例えば、当該副制御部200に接続された個別機器230の状態に関する情報(状態情報)である個別情報を含む通信データ180を生成する。
【0067】
なお、個別情報は、個別機器230が生成して副制御部200に取得されてもよく、副制御部200が個別機器230から受信した情報に基づいて生成してもよい。また、副制御部200が、個別機器230との間での情報の送信または受信が不可であることを検出することで、例えば当該個別機器230のエラーを示す個別情報を副制御部200が生成してもよい。
【0068】
副制御部200の送信部226は、副制御部200の生成部224によって生成された通信データ180を、リング型ネットワーク160の第二信号線162を介して主制御部150に送信する。
【0069】
なお、副制御部200は、上述のように通信データ180に含まれるコマンドの処理等も行うが、このような、部品実装機20の動作の制御のための一般的な処理についての詳細な説明は省略する。
【0070】
また、
図5では、副制御部200のそれぞれを区別するために<1>〜<n>の整数を付している。以下、<m>(mは1〜nのいずれかの整数)が付された副制御部200を特定して説明する場合、副制御部_mと表記する。
【0071】
部品実装基板の生産のための動作を行う機器である実装部としての機能部である、上述のノズル110、ヘッド100、およびカメラ400等は、それぞれ、個別機器230としての機能部として構成される場合もある。これらは個別機器230の例示であり、部品実装機20が備える、部品実装基板の生産のための動作を行う各種の機器は個別機器230として扱うことが可能である。
【0072】
なお、
図5では、個別機器230のそれぞれを区別するために“a”、“b”等のアルファベットを付している。
【0073】
これら複数の個別機器230は、それぞれが、複数の副制御部200うちのいずれかと、情報の伝送が可能に接続されている。
【0074】
例えば、互いに近い位置に配置されている2以上の個別機器230が、1つの副制御部200に接続されている。
【0075】
本実施の形態では、例えば実装部としてのヘッド100の1つのノズル110に対応して、1つの副制御部200が設けられ、当該副制御部200に、当該ノズル110の動作に関連する複数の個別機器230が接続される。
【0076】
図6は、実施の形態における副制御部200に接続された個別機器230の例を示す図である。
【0077】
上述のように、ヘッド100には独立して動作可能な複数のノズル110が備えられており、ヘッド100は、これらノズル110のそれぞれを用いて、部品40の吸着および吸着した部品40の基板30への装着を行うことができる。
【0078】
また、部品実装機20では、このような動作を実現するためのノズル110ごとの個別機器230として、Z軸サーボモータ231、θ軸サーボモータ232、バルブ233、および流量センサ234等を備えている。
【0079】
また、これらZ軸サーボモータ231等の複数の個別機器230は、1つの副制御部200に接続されている。例えば、1つのヘッド100に16本のノズル110が備えられている場合、当該ヘッド100には16個の副制御部200が配置される。
【0080】
Z軸サーボモータ231は、ノズル110の上下方向(Z軸方向)の移動を駆動するモータであり、エンコーダ等の、Z軸サーボモータ231の状態(パルスまたは位置情報)を検出する検出器を有する。
【0081】
θ軸サーボモータ232は、ノズル110のZ軸回りの方向(θ軸方向)の回転を駆動するモータであり、エンコーダ等の、θ軸サーボモータ232の状態(パルスまたは位置情報)を検出する検出器を有する。
【0082】
これら、個別機器230としてのZ軸サーボモータ231およびθ軸サーボモータ232のそれぞれは、
図6に示す副制御部200からの制御信号に従って、当該ノズル110のZ軸方向の移動およびθ軸方向の回転を行う。これにより、例えば、部品40の吸着および部品40の基板30への装着が精度よく実行される。
【0083】
また、Z軸サーボモータ231は、当該ノズル110をZ軸方向のどの位置まで移動させたかを示す情報(パルスまたは位置情報)等の、Z軸サーボモータ231についての個別情報を、当該副制御部200に送信する。また、θ軸サーボモータ232も同様に、当該ノズル110をθ軸方向に何度回転させたかを示す情報(パルスまたは位置情報)等の、θ軸サーボモータ232についての個別情報を、当該副制御部200に送信する。
【0084】
バルブ233は、例えば電磁式のバルブであり、部品40の吸着のための負圧を当該ノズル110に与える真空発生装置(図示せず)と当該ノズル110、の間に形成された真空吸引回路に設けられている。
【0085】
バルブ233は、
図6に示す副制御部200からの制御信号に従って、真空吸引回路の遮断および開放を行う。例えば当該ノズル110が部品40を吸着する際に、バルブ233は、遮断していた真空吸引回路を、当該副制御部200からの制御信号に従って開放する。これにより、当該ノズル110の先端に部品40が吸着保持される。
【0086】
また、例えば当該ノズル110が部品40を基板30に装着する際に、バルブ233は、開放していた真空吸引回路を、当該副制御部200からの制御信号に従って遮断する。
【0087】
なお、このとき、当該ノズル110に接続された大気開放バルブ(図示せず)が開けられ、当該ノズル110内部の圧力が少なくとも大気圧まで上昇する。これにより、当該ノズル110に吸着保持されていた部品40が、当該ノズル110から離れ、基板30に装着される。
【0088】
また、バルブ233は、真空吸引回路を遮断しているかまたは開放しているか等を示す、バルブ233についての個別情報を、当該副制御部200に送信する。
【0089】
流量センサ234は、上記の真空吸引回路を流れる空気の量(空気流量)を検出するセンサである。
【0090】
流量センサ234は、例えば、部品40が当該ノズル110によって吸着保持されているべき期間に当該空気流量の所定の値以上の上昇を検出した場合、当該上昇を示す情報を当該副制御部200に送信する。つまり、当該副制御部200は、当該ノズル110における吸着エラーの発生を示す情報を、流量センサ234からの個別情報として受信する。
【0091】
なお、以上説明した、Z軸サーボモータ231、θ軸サーボモータ232、バルブ233、および流量センサ234のそれぞれは、実装部としてのヘッド100の1つのノズル110に対応して設けられる個別機器230の一例である。つまり、これらの例示によって、1つのノズル110に対応して設けられる個別機器230の個数および種類は限定されない。
【0092】
また、各個別機器230から副制御部200への個別情報の送信は、副制御部200からの要求の応答として実行されてもよく、各個別機器230が自発的に実行してもよい。
【0093】
このような個別機器230が1以上接続された副制御部200は、リング型ネットワーク160の第一信号線161から通信データ180を受信する。副制御部200は受信した通信データ180に基づく当該1以上の個別機器230の制御、および、個別機器230の個別情報の主制御部150への当該通信データ180を用いた伝達の少なくとも一方を行う。
【0094】
図7は、実施の形態における主制御部150および副制御部200が生成する通信データ180のデータ構成の一例を示す図である。
【0095】
図7に示す通信データ180は、ヘッダ部181と、データ部182と、誤り検出符号部183とを含んでいる。なお、リング型ネットワーク160を介して送受信される通信データ180のデータサイズは、固定長であるか可変長であるかについて限定されない。
【0096】
ヘッダ部181は、通信データ180の送信元及び送信先を示すアドレス等の情報を格納する領域である。データ部182は、主制御部150から当該宛先の副制御部200に対するコマンド、または、当該副制御部200に接続された個別機器230の個別情報(状態情報)等を格納する領域である。誤り検出符号部183は、ヘッダ部181およびデータ部182に格納された情報の誤りを検出して訂正するための符号であり、例えば、パリティ符号やCRC(Cyclic Redundancy Check)符号等の誤り検出符号を格納する領域である。
【0097】
例えば、主制御部150の生成部151は、副制御部_1宛ての通信データ180を生成する。つまり、主制御部150の生成部151は、当該通信データ180のヘッダ部181に、送信先として副制御部_1のアドレスを書き込み、送信元として主制御部150のアドレスを書き込む。また、主制御部150の生成部151は、当該通信データ180のデータ部182に、副制御部_1に対するコマンドを書き込む。さらに、主制御部150の生成部151は、ヘッダ部181およびデータ部182に格納された情報の誤り検出符号を誤り検出符号部183に書き込む。主制御部150の送信部152は、主制御部150の生成部151が生成した通信データ180をリング型ネットワーク160の第一信号線161に送信する。
【0098】
各副制御部200の受信部222は、通信データ180をリング型ネットワーク160を介して受信し、通信データ180のヘッダ部181を参照することにより、受信した通信データ180が自身宛のものか否かを判断する。自身宛の通信データ180ではないと判断した場合には、受信部222は、受信した通信データ180を破棄する。自身宛の通信データ180を受信した副制御部_1は、当該通信データ180のデータ部182に示されるコマンドを実行する。また、副制御部_1の生成部224は、主制御部150に返信する通信データ180を新たに作成する。つまり、副制御部_1の生成部224は、当該通信データ180のヘッダ部181に、送信先として主制御部150のアドレスを書き込み、送信元として副制御部_1のアドレスを書き込む。また、副制御部_1の生成部224は、当該通信データ180のデータ部182に、副制御部_1に接続された個別機器230についての個別情報(状態情報)を書き込む。さらに、副制御部_1の生成部224は、ヘッダ部181およびデータ部182に格納された情報の誤り検出符号を通信データ180の誤り検出符号部183に書き込む。
【0099】
例えば、
図6に示す副制御部200が、副制御部_1である場合を想定する。この場合、副制御部_1は、主制御部150からリング型ネットワーク160を介して受信した通信データ180のデータ部182に、ノズル110を所定量だけ下方に移動させるコマンドが含まれている場合、当該コマンドに従って、対応する個別機器230としてのZ軸サーボモータ231等を制御する。これにより、ノズル110が当該所定量だけ下方に移動する。
【0100】
また、副制御部_1の生成部224は、Z軸サーボモータ231等の、副制御部_1に接続された各個別機器230についての個別情報(状態情報)を、データ部182に書き込んだ新たな通信データ180を生成する。
【0101】
例えば、副制御部_1の生成部224は、上述のように、当該ノズル110のZ軸方向の位置を示す個別情報をZ軸サーボモータ231から取得し、当該個別情報をデータ部182に書き込む。
【0102】
このようにして、副制御部_1の生成部224によって新たに生成された通信データ180は、送信部226により、リング型ネットワーク160の第二信号線162を介して主制御部150に送信される。なお、副制御部_1の生成部224は、新たに通信データ180を生成するとしたが、新たな通信データの生成ではなく、リング型ネットワーク160を介して受信する通信データ180に個別情報等を書き込んで生成するものであっても良い。
【0103】
このように、主制御部150によって生成されリング型ネットワーク160の第一信号線161に送出された通信データ180は、副制御部_1〜16のいずれかによって処理される。
【0104】
また、これら副制御部_1〜16のそれぞれは、データ部182に個別情報を書き込んだ通信データ180を生成し、リング型ネットワーク160の第二信号線162を介して主制御部150に送信する。主制御部150は、副制御部_1〜16のそれぞれから受信した通信データ180のデータ部182に書き込まれた個別情報等を読み出して処理する。このようにして得られた個別情報等は、主制御部150による部品実装機20の動作制御に反映される。
【0105】
ここで、本実施の形態では、主制御部150および複数の副制御部200が共通して利用可能な最新の通信プロトコルあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルである共通プロトコルを用いて、主制御部150から各副制御部200へのデータの送信を行うことを特徴とする。
【0106】
図8は、主制御部150および複数の副制御部200が利用可能な通信プロトコルを示す表である。ここで、説明の簡単化のため、通信プロトコルとして、第1プロトコル、第2プロトコルおよび第3プロトコルの3つの通信プロトコルが存在するものとし、このうち、第1プロトコルが最も古い時期に制定され、第3プロトコルが最も新しい時期に制定されたものとする。また、複数の副制御部200は、副制御部_1〜3を含むものとする。ここで、通信プロトコルが異なると、通信速度、通信データ180のデータ長、または使用する誤り訂正符号等が異なる。なお、通信速度に関して言えば、新しい通信プロトコルほど、通信速度が大きいのが一般的である。
【0107】
図8に示すように、主制御部150、副制御部_1および副制御部_3は、第1プロトコル、第2プロトコルおよび第3プロトコルの全ての通信プロトコルに従ってデータの送受信を行うことができるものとする。これに対して、副制御部_2は、第1プロトコルおよび第2プロトコルに従ってデータの送受信を行うことができるものの、第3プロトコルに従ってデータの送受信を行うことができないものとする。このため、主制御部150および複数の副制御部_1〜3が共通して利用可能な第1プロトコルおよび第2プロトコルのうちの最新の通信プロトコルである第2プロトコルを共通プロトコルとして、共通プロトコルに従って主制御部150が副制御部_1〜3へデータの送信を行う。
【0108】
次に、
図9のフロー図に従って、主制御部150と複数の副制御部200との間のデータの送受信について説明する。ここでは、説明の簡単化のために複数の副制御部200として、副制御部_1およびnのみを示している。図示しない他の副制御部200も、副制御部_1およびnと同様の動作を行う。
【0109】
主制御部150は、複数の副制御部_1〜nに対して質問パケットを送信する(S11)。質問パケットとは、各副制御部200が利用可能な通信プロトコルを問い合わせるための通信データ180である。つまり、主制御部150の生成部151は、データ部182に、利用可能な通信プロトコルを問い合わせるためのコマンドを書き込んだ質問パケットを、宛先である副制御部200のアドレスごとに生成する。送信部152は、質問パケットを、リング型ネットワーク160の第一信号線161を介して副制御部_1〜nに送信する。このとき、質問パケットの送信および受信に利用される通信プロトコルは、主制御部150および副制御部_1〜nが必ず利用可能なベースとなる通信プロトコルとし、例えば、共通して利用可能な最も古い通信プロトコル(
図8の例では第1プロトコル)である。部品実装機20の電源投入後から、主制御部150および副制御部_1〜nは、この通信プロトコルに従ってデータの送受信を行うことが予め定められているものとする。
【0110】
副制御部_1の受信部222は、自身宛の質問パケットを受信する(S21a)。つまり、受信部222は、ヘッダ部181に副制御部_1のアドレスが宛先として示されている質問パケットを受信し、それ以外の質問パケットを破棄する。このとき利用する通信プロトコルは、質問パケットの送信時に利用されたのと同じ通信プロトコルである。
【0111】
副制御部_1の生成部224は、受信部222が受信した質問パケットに示されるコマンドに従って、副制御部_1が利用可能な通信プロトコルの情報をデータ部182に書き込んだ通信データ180であって、宛先を主制御部150とする通信データ180を生成する。また、副制御部_1の送信部226は、生成部224が生成した当該通信データ180を、主制御部150に送信する(S22a)。
図8に示した表によると、当該通信データ180には、副制御部_1が利用可能な通信プロトコルの情報として、第1プロトコル、第2プロトコルおよび第3プロトコルを示す情報が含まれる。
【0112】
副制御部_nも、副制御部_1と同様に、質問パケットを受信し、副制御部_nが利用可能な通信プロトコルの情報を含む通信データ180を主制御部150に送信する(S21b、S22b)。
【0113】
主制御部150の受信部153は、各副制御部200に送信した質問パケットに応答して各副制御部200から送信された通信データ180を、受信する(S12)。つまり、受信部153は、各副制御部200から、利用可能な通信プロトコルの情報を受信する。
【0114】
主制御部150の生成部151は、受信した各副制御部200が利用可能な通信プロトコルの情報に従って、各副制御部200が通信データ180の送信時に利用する通信プロトコルを示すプロトコルテーブルを作成する(S13)。作成したプロトコルテーブルは、主制御部150の記憶装置等に保持される。
図10(a)及び
図10(b)は、プロトコルテーブルの一例を示す図である。
図10(a)に示すように、プロトコルテーブル157は、各副制御部200が主制御部150に対する通信データ180の送信時に利用する通信プロトコルを示すデータテーブルである。例えば、副制御部_1および副制御部_3は、第3プロトコルを利用し、副制御部_2は、第2プロトコルを利用することが示されている。プロトコルテーブル157の通信中フラグの欄は、主制御部150が最後に通信データ180を送信した副制御部200を、「1」で示している。つまり、
図10(a)のプロトコルテーブル157では、主制御部150が最後に通信データ180を送信した副制御部200は、副制御部_1であることが示されている。その後、主制御部150が副制御部_2に新たに通信データ180を送信すると、プロトコルテーブル157の通信中フラグの欄が
図10(b)のように更新される。つまり、通信中フラグの副制御部_2の欄が「1」に設定され、その他の欄が「0」に設定される。
【0115】
なお、本実施の形態では、各副制御部200は主制御部150に対して、それぞれ利用可能な最新の通信プロトコルあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルを用いて通信データ180の送信を行うものとする。このため、主制御部150の生成部151は、各副制御部200よりそれぞれ主制御部150が受信可能に利用可能な通信プロトコルの情報に従って、各副制御部200が送信時に利用する通信プロトコルを一意に決定することができる。なお、各副制御部200が主制御部150に対して、通信データ180の送信時に利用する通信プロトコルを通知するようにしても良い。
【0116】
主制御部150の生成部151は、リング型ネットワーク160を介して主制御部150と接続される各副制御部200が利用可能な通信プロトコルの情報に従って、主制御部150および副制御部_1〜nが利用可能な最新の通信プロトコルあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルである共通プロトコルを決定する(S14)。共通プロトコルの決定方法については、
図8の例を用いて説明したとおりである。
【0117】
主制御部150の生成部151は、データ部182に共通プロトコルの情報を書き込んだ通信データ180を、宛先である副制御部200のアドレスごとに生成する。送信部152は、生成した通信データ180を、リング型ネットワーク160の第一信号線161を介して副制御部_1〜nに送信する(S15)。
【0118】
副制御部_1の受信部222は、主制御部150から送信された共通プロトコルの情報を含む通信データ180を受信する(S23a)。同様に、他の副制御部_nの受信部222は、主制御部150から送信された共通プロトコルの情報を含む通信データ180を受信する(S23b)。
【0119】
共通プロトコルが各副制御部200に通知された後は、主制御部150は、各副制御部200に対して、共通プロトコルに従ってデータの送信を行う。また、各副制御部200は、主制御部150から、共通プロトコルに従ってデータの受信を行う。
【0120】
例えば、主制御部150の生成部151は、プロトコルテーブル157の通信中フラグの欄を更新する(S16a)。
図10(a)に示すように、副制御部_1に通信データを送信する場合には、通信中フラグの副制御部_1の欄を「1」に設定し、その他の欄を「0」に設定する。
【0121】
主制御部150の送信部152は、副制御部_1の個別機器230を制御するためのコマンドをデータ部182に含む通信データ180を、主制御部150及び複数の副制御部200が共通して利用可能な共通プロトコルに従って、リング型ネットワーク160の第一信号線161を介して副制御部_1に送信する(S17a)。
【0122】
副制御部_1の受信部222は、共通プロトコルに従って、主制御部150から送信された副制御部_1宛ての通信データ180を受信する(S24a)。
【0123】
副制御部_1は、受信部222が受信した通信データ180のデータ部182に示されるコマンドに従って、個別機器230を制御する(S25a)。
【0124】
副制御部_1の生成部224は、主制御部150に送り返す通信データ180を生成する(S26a)。つまり、生成部224は、例えば、当該副制御部200に接続された個別機器230の状態に関する情報である個別情報を、通信データ180に書き込んで、通信データ180を生成する。
【0125】
副制御部_1の送信部226は、生成部224によって生成された通信データ180を、主制御部150と副制御部_1が少なくとも共に利用可能な最新の通信プロトコルあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルである共通プロトコルに従って、リング型ネットワーク160の第二信号線162を介して主制御部150に送信する(S27a)。
【0126】
主制御部150の受信部153は、S27aにおいて副制御部_1から送信された通信データ180を、副制御部_1が送信時に利用する通信プロトコルに従って受信する(S18a)。ここでは、各副制御部200は、主制御部150からリング型ネットワーク160の第一信号線161を介して送信された通信データ180に応答して、通信データ180を主制御部150にリング型ネットワーク160の第二信号線162を介して送信するものとする。このため、主制御部150の受信部153は、予め作成されたプロトコルテーブル157を参照することにより、通信データ180の受信に利用するべき通信プロトコルを知ることができる。つまり、主制御部150の受信部153は、プロトコルテーブル157の通信中フラグの欄が「1」の副制御部200が使用する通信プロトコルを、当該副制御部200に対する通信データ180の受信に利用するべき通信プロトコルとする。
図10(a)の例では、通信中フラグの欄が「1」の副制御部200は、副制御部_1であるため、主制御部150は、第3プロトコルを副制御部_1からの通信データ180の受信に利用するべき通信プロトコルとする。主制御部150の取得部155は、受信した通信データ180から個別情報を取得する。取得部155により取得された情報は、主制御部150による、部品実装機20の全体動作の制御に反映される。
【0127】
主制御部150は、他の副制御部200に対しても、共通プロトコルに従って、通信データ180の送信を行うと共に、各副制御部200は、主制御部150に対して、それぞれお互いに(共に)利用可能な最新の通信プロトコルあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルを用いて通信データ180の送信を行う(S17b、S18b、S24b〜S27b)。これらの処理は、上述した主制御部150と副制御部_1との間の通信データ180の送受信の処理(S17a、S18a、S24a〜S27a)と同様である。このため、その詳細な説明は省略する。
【0128】
以上説明したように、本実施の形態に係る部品実装機20によると、主制御部150は、各副制御部200に対して、主制御部150及び複数の副制御部200が共通して利用可能な最新の通信プロトコルあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルである共通プロトコルに従って、リング型ネットワーク160の第一信号線161を介して通信データ180の送信を行う。このため、主制御部150は、通信データ180送信時に、通信データ180の送信先の副制御部200ごとに通信プロトコルを変更する必要が無く、通信データ180の送受信の制御を簡易にすることができる。また、ある副制御部200が他の副制御部200宛ての通信データを受信した場合に、自身宛の通信データ180であると誤って解釈することはない。このため、個別機器230の誤った制御も発生しない。一方、各副制御部200は、主制御部150に対して、当該副制御部200及び主制御部150が共に利用可能な最新の通信プロトコルあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルに従って、リング型ネットワーク160の第二信号線162を介して主制御部150に通信データを送信する。第二信号線162は主制御部150のみが副制御部200より通信データを受信可能な経路である。このため、送信元の副制御部200とは異なる副制御部200が、自身宛の通信データであると誤って解釈することはない。このため、個別機器の誤った制御も発生しない。よって、主制御部150及び複数の副制御部200の通信プロトコルを一斉にバージョンアップすることができない場合であっても、通信データ180の送受信を行うことが可能となる。
【0129】
また、各副制御部200は、当該副制御部200と主制御部150が共に利用可能な最新の通信プロトコルあるいは通信速度が最も大きい通信プロトコルに従って通信データを送信することができる。このため、各副制御部200から主制御部150に対して通信データを高速に送信することができる。
【0130】
また、主制御部150は、質問パケットを複数の副制御部200に送信し、各副制御部200から受信した利用可能な通信プロトコルの情報に基づいて共通プロトコルを決定している。このため、副制御部200が置き換えられることにより、当該副制御部200が利用可能な通信プロトコルが変更された場合であっても、主制御部150が共通プロトコルを決定しなおすことができる。
【0131】
また、各副制御部200は、個別情報を主制御部150に送信している。このため、主制御部150は、各副制御部200から送信された個別情報を、部品実装機20の動作制御に反映させることができる。
【0132】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る部品実装機について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、および、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0133】
例えば、主制御部150は、部品実装機20の全ての動作の制御を行わなくてもよく、部品実装機20の少なくとも一部の動作を制御すればよい。つまり、部品実装機20は、複数の主制御部150を有する場合等では、少なくとも主制御部150は、複数の副制御部200を介して、部品実装機20が備える全ての個別機器230のうちの一部の個別機器230と情報のやり取りを行えばよい。
【0134】
また、例えば、副制御部200と個別機器230とは、少なくともいずれか一方から他方への情報の伝送が可能に接続されていればよい。つまり、副制御部200と個別機器230とは双方向の情報伝送を行わなくてもよい。
【0135】
また、副制御部200と個別機器230とは、1つの筐体に含まれていてもよい。つまり、副制御部200と個別機器230とが一体の機器として、リング型ネットワーク160に接続されていてもよい。
【0136】
つまり、副制御部200としての機能を備える個別機器230、または、個別機器230としての機能を備える副制御部200が、リング型ネットワーク160に接続されていてもよい。
【0137】
また、本実施の形態における、“主制御部”および“副制御部”等の名称についても、部品実装機20が備える機器としての名称の一例である。例えば、“主制御部”および“副制御部”は、“親局”および“子局”であってもよく、また、“主局”および“従局”であってもよい。
【0138】
また、本実施の形態では、リング型ネットワーク160に対してデータを送受信する構成部として、主制御部150においては、通信データ180のリング型ネットワーク160への送信およびリング型ネットワーク160からの受信の双方を通信部153が行うとした。また、副制御部200においては、通信データ180のリング型ネットワーク160への送信は送信部226が行い、通信データ180のリング型ネットワーク160からの受信は受信部222が行うとした。
【0139】
しかしながら、例えば、主制御部150における通信部153を、通信データ180を送信する送信部と通信データ180を受信する受信部とに分けてもよい。また、副制御部200における送信部226と受信部222とをまとめて1つの通信部としてもよい。
【0140】
すなわち、リング型ネットワーク160に対してデータを送受信する機能である送受信の構成部を、送信および受信のそれぞれの機能を有する送信部と受信部とに分け扱うか、または、送信および受信の双方の機能を有する通信部として扱うかについては限定されない。このことは、主制御部150および副制御部200のいずれにおいても同じである。