特許第6037130号(P6037130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037130
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】運転状態改善装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20161121BHJP
   A61B 5/18 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G08G1/16 F
   A61B5/18
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-95175(P2013-95175)
(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-215265(P2014-215265A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100131048
【弁理士】
【氏名又は名称】張川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】松永 真也
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−242763(JP,A)
【文献】 特開2008−204224(JP,A)
【文献】 特開平09−132052(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/055099(WO,A1)
【文献】 特開2007−248657(JP,A)
【文献】 特開2005−345237(JP,A)
【文献】 特開2004−061130(JP,A)
【文献】 特開2011−186622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
23/00−25/00
A61B 5/18
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態を検出する車両状態検出部と、
前記車両の状態に基づいて、不適切運転が行われている度合いを計測する計測部と、
前記車両の乗員が操作入力を行う操作入力部と、
前記度合いが予め定められた対処レベルに達したとき、前記乗員による操作入力を要求する運転状態改善情報を出力する情報出力部と、
を備え、
前記情報出力部は、前記運転状態改善情報として、予め定められた楽曲についての質問を出力し、前記乗員の操作入力による、前記質問に対する回答が正解であったか否かの判定結果を出力した上で、前記楽曲に関連する楽曲関連情報を出力する運転状態改善装置。
【請求項2】
前記楽曲関連情報を出力した後、予め定められた再生出力条件が成立したとき、前記楽曲を再生出力する再生出力部を備える請求項1に記載の運転状態改善装置。
【請求項3】
前記楽曲は、前記車両の乗員に、前記車両を停めること、あるいは休憩することを想起させるものを含む請求項1または請求項2に記載の運転状態改善装置。
【請求項4】
前記車両の状態は、前記車両の乗員の生体状態、および前記車両の走行状態のうち、少なくとも1つを含む請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の運転状態改善装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転状態改善装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行状況に応じて休憩を促すシステム(特許文献1参照)や、車両の長時間運転を検出すると、休憩を促すシステム(特許文献2参照)が考案されている。これらにより、運転者の運転状態の改善が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−194797号公報
【特許文献2】特開平07−215089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の構成は、車両の走行状態に応じて休憩指示が出力されるだけであり、運転者の休憩意思を反映したものではないため、「休憩を強制される」等、休憩指示に運転者が違和感を覚えることも考えられ、この場合には休憩指示が無駄に出力されてしまうという問題が生じる。
【0005】
上記問題点を背景として、本発明の課題は、車両の乗員が違和感あるいは強制感を覚えることなく、運転者の運転状態を改善可能な運転状態改善装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するための運転状態改善装置は、車両の状態を検出する車両状態検出部と、車両の状態に基づいて、不適切運転が行われている度合いを計測する計測部と、車両の乗員が操作入力を行う操作入力部と、度合いが予め定められた対処レベルに達したとき、乗員による操作入力を要求する運転状態改善情報を出力する情報出力部と、を含む。
【0007】
本発明は、強制による動機付けよりも、好奇心や関心によって動機付けを行うことで、自発的に思考したり、問題解決を行ったりすることに着目している。すなわち、運転者の漫然・眠気・疲労・注意力低下・覚醒度低下等、運転に適さない状態(すなわち、不適切運転状態)を検出後、直ちに休憩指示を出力するのではなく、運転者が自発的に休憩可能地点に向かう、あるいは、結果として休憩と同等の行動をするように誘導する運転状態改善情報を出力するものである。
【0008】
上記構成によって、運転者(他の乗員を含んでもよい)は、「休憩を強制される」等の違和感を覚えることはない。また、「誘導にしたがって到達した地点で、(運転者の意思で)ついでに休憩する」、「誘導にしたがって到達した地点に暫時滞在することで、運転者が意識せず休憩できる」という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】運転状態改善装置の構成例を示す図。
図2】運転状態改善処理を説明するフロー図。
図3】楽曲出力処理を説明するフロー図。
図4】地域情報質問処理を説明するフロー図。
図5】地域情報出力処理を説明するフロー図。
図6】楽曲出力処理における質問の表示例を示す図。
図7図6に続く楽曲関連情報出力時の表示例を示す図。
図8】地域情報出力処理における質問の表示例を示す図。
図9図8に続く回答の表示例を示す図。
図10図9に続く経路案内推奨時の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。図1に運転状態改善装置1の構成図を示す。運転状態改善装置1は、制御回路10および制御回路10に接続された生体状態検出部21、車両走行状態検出部22、位置検出部23、表示器31、音声合成回路33、音声認識ユニット35、LAN I/F37を含む。
【0011】
制御回路10(本発明の計測部、経路案内部)は、周知のCPU11、メモリ12、データを一時保存するRAM13、時計IC15、入出力回路であるI/O16、およびこれらの構成を接続するバスライン17を備える。CPU11がメモリ12に記憶された制御プログラムを実行することで、運転状態改善装置1の種々の機能を実現する。
【0012】
メモリ12は、EEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の、電気的に書き換え可能なデバイスによって構成され、運転状態改善装置1の動作に必要なデータを記憶する。また、メモリ12には、乗員の生体状態の検出結果から乗員の生体状態を推定するために必要な情報(例えば、基準データ)も記憶される。さらに、メモリ12には、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データ、表示用となる所定の地図画像情報、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報、道路周辺の施設情報、経路案内の補助情報を記憶する電子地図データも記憶されている。
【0013】
また、メモリ12には、楽曲関連情報、楽曲のデータ、地域情報も記憶されている。地域情報は、車両の現在位置を含む予め定められた地域(走行地域、例えば、行政区域や現在位置から所定距離内の地域)内の地点あるいは施設、または、走行地域に関連する言葉、自然現象(例えば、蜃気楼、御来光、樹氷などの、特定の地点で発生することが知られているもの)、景勝地、イベント、名物や特産品、過去の事件、または人名の少なくとも一つを含む。
【0014】
時計IC15は、リアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU11からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU11は時計IC15から日時情報を取得する。また、後述の位置検出部23に含まれるGPS受信機で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU11に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。
【0015】
生体状態検出部21(本発明の車両状態検出部)は、以下のうちの少なくとも一つを用いて、乗員の生体状態を検出する。検出対象は、運転者のみとしてもよいし、全乗員としてもよい。なお、生体状態の検出結果から乗員の状態を推定する方法については、例えば特許第4441887号公報あるいは特開2006−282111号公報等により公知であり、概略を説明するに留める。
【0016】
・心電あるいは心拍:例えば、車両のハンドルの運転者把握位置に取り付けられ、心電あるいは心拍から心室の緊張波であるR波を検知し、自律神経系の活動レベルとその2つの部門である交感神経系と副交感神経系のバランスの測定分析を行い、その結果に基づき体調を判定する。
・脈拍センサ:脈拍を反映した血液流(脈波)を反射検知する反射式光センサ等で構成され、ハンドルの運転者把握位置に取り付けられる。脈波からもR波の検知が可能である。
・赤外線センサ:例えば赤外線サーモグラフィを用いて、運転者の顔部分から放射される赤外線を捉え、その赤外線の量を温度データに変換することにより熱画像として表示して体温の測定(平熱か否かの判定等)を行う。
・体温センサ:ハンドルの運転者把握位置に取り付けられた温度センサからなる。体温は、病気のときや疲れている場合、あるいは注意力が散漫になっている場合、などは高目になり、逆に、落ち着いているときは、低目になる。
・顔カメラ:車室内に設置され、着座した乗員の顔を撮影する。また、顔の表情や視線方向から乗員の注意力レベルを判定することができる。
・マイクロフォン:運転者の声を検出する。例えば、声の大小から体調を判定する。
・感圧センサ:ハンドルやシフトレバーの、運転者による把握位置に取り付けられ、運転者の握り力や、握ったり放したりの繰り返し頻度などを検出し、その結果に基づいて、運転者の精神状態や注意力レベルを判定する。
・脳波センサ:乗員の頭部に着けて頭部皮膚の電位の変化を検出、その結果に基づいて、運転者の精神状態を判定する。例えば、4〜8Hzのθ波が発生しているときは眠気がありボンヤリしている状態にあるので、疲労していると判定することができる。
【0017】
生体状態検出部21の検出結果と、メモリ12に記憶された乗員の生体状態の基準データとを比較することで、不適切運転の度合いを判定する。例えば、両者の差が大きいほど、不適切運転の度合いが大きいと判定する。
【0018】
車両走行状態検出部22(本発明の車両状態検出部)は、以下のうちの少なくとも一つを用いて、車両の走行状態を検出する。
・車速センサ:周知の回転センサを含み、例えば車輪の回転速度をパルス信号として検出する。単位時間当たりの車速の変化が大きいほど、不適切運転の度合いが大きいと判定する。
・エンジン回転センサ:車両のエンジンの回転状態に応じた信号を出力する。単位時間当たりのエンジン回転の変化が大きいほど、不適切運転の度合いが大きいと判定する。
・レーダ:例えば、車両の前後のバンパーの先端部に取り付けられ、車両周囲に存在する物体(他の車両など)との距離を測定する。他の車両との距離が所定値を下回るとき、あるいは、車両との距離の変化量が所定値を上回るとき、不適切運転の度合いが大きいと判定する。
・照度センサ:車両の周囲の照度を検出する。例えば夜間のように、照度が暗いほど、不適切運転の度合いを大きくする(後述のレベル判定基準を厳しくする)。
・操舵角センサ:車両のハンドルの操舵角を検出する。例えば、ハンドルがふらついていれば、運転者の体調が正常でないと判定し、不適切運転の度合いが大きいと判定する。
・カメラ:例えば、車両の前後のバンパーの先端部に取り付けられ、撮影画像から、車両の挙動を判定したり、車両の周囲に存在する物体を認識する。
【0019】
また、運転開始時からの経過時間を計測し、経過時間に基づいて、不適切運転の度合いを計測してもよい。一般的に、経過時間が2時間に達すると、休憩をすることが好ましいといわれているので、経過時間が2時間に達したとき、不適切運転の度合いを最も高くする。
【0020】
位置検出部23は、例えば、周知の地磁気センサ、車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ、車両の走行距離を検出する距離センサ、および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機のうちの少なくとも一つを用いる。これらのセンサは各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用してもよい。さらに、上述の、操舵角センサあるいは車速センサ等を用いてもよい。
【0021】
表示器31(本発明の情報出力部)は、例えば周知のカラー液晶表示器であり、表示制御を行うための図示しないドライバ回路を含む。表示器31の表示画面上にはタッチパネル32(本発明の操作入力部)が形成される。表示器31として有機EL(Electro Luminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。また、表示器31として、車両のメータ装置の表示器あるいはナビゲーション装置の表示器などの、他の車両用装置の表示器を用いてもよい。操作部として、タッチパネル32の他に、メカニカルなスイッチ、あるいは、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0022】
音声合成回路33は、メモリ12に記憶される楽曲データやデジタル音声データをアナログ音声に変換してスピーカ34から送出する。なお、音声合成回路33およびスピーカ34が本発明の本発明の情報出力部、再生出力部に相当する。
【0023】
音声認識ユニット35は、車室内に取り付けられたマイク36から入力された音声信号を周知の音声認識技術により処理を行い、その結果に応じた操作コマンドに変換する。あるいは、上述の生体状態の検出に用いる。なお、音声認識ユニット35およびマイク36が本発明の操作入力部に相当する。
【0024】
LAN I/F37は、車内LAN40を介して、他の車両用装置との通信、センサのデータの取得を行うための通信インターフェース回路である。LAN I/F37を介して、(乗員が飽きないよう最新の情報を提供するため、)楽曲関連情報、楽曲のデータ、地域情報を取得してもよい。また、LAN I/F37を介して、生体状態検出部21、車両走行状態検出部22、位置検出部23からの各種情報を取得してもよい。
【0025】
上述のような構成により、運転状態改善装置1は、乗員(特に運転者)の状態改善機能(詳細は後述)の他に、車両の現在位置を位置検出部23により検出し、その現在位置を表示器31上にメモリ12に記憶された道路地図とともに表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示器31やスピーカ34などによって案内する車両用ナビゲーション装置としての機能を合わせ持つ。
【0026】
よって、運転状態改善装置1は、単独の装置とする他に、車両用ナビゲーション装置に含むように構成することもできる。また、運転状態改善装置1の機能を、車両に脱着可能な端末、とりわけ、周知のスマートフォンに代表されるタブレット型端末(液晶ディスプレイなどの表示部分にタッチパネルを搭載し、指で操作する携帯情報端末の総称)に含めてもよい。タブレット型端末を用いる場合、制御プログラムは、OS(Operating System)上で動作するアプリケーションソフトとして動作する。これにより、車両用装置と連携動作できるようにすることで、タブレット型端末の用途が広がり、車両用装置との連携が強化される。その結果、ユーザの利便性が向上するとともに、さらなるコストの低減につながる。
【0027】
図2を用いて、運転状態改善処理について説明する。なお、本処理はメモリ12に記憶された制御プログラムに含まれ、CPU11によって、制御プログラムの他の処理とともに繰り返し実行される。
【0028】
まず、以下のうちの少なくとも一方を用いて、車両の状態を検出する(S11)。
・生体状態検出部21により検出した乗員の生体状態。
・車両走行状態検出部22により検出した車両の走行状態。
本構成が、「車両の状態は、車両の乗員の生体状態、および車両の走行状態のうち、少なくとも1つを含む」ものである。生体状態検出部21の構成要素は、例えば居眠り運転防止装置に取り付けられており、車両走行状態検出部22の構成要素は既に車両に取り付けられているものが多く、比較的低コストで本発明の構成を実現できる。また、これら検出部のいずれか一方でも、車両の状態を検出できる。
【0029】
次に、生体状態および車両の状態に基づいて、不適切運転の度合いを計測する(S12)。不適切運転の度合いの計測のうち、居眠り運転および脇見運転については、特開2013−065246号公報に開示されている。車両走行状態検出部22の他の構成要素による度合いの計測は、上述したとおりである。
【0030】
そして、生体状態検出部21および車両走行状態検出部22の各構成要素によって計測された不適切運転の度合いの総和(数値)を求め、その総和に基づいて、不適切運転か否かを判定する。そして、不適切運転でないと判定したとき(S13:No)、本処理を終了する。
【0031】
本実施例では、不適切運転の度合いの総和に基づいて、不適切運転のレベル(すなわち、対処レベル)を以下のように設定している。
・レベル1未満:不適切運転ではないレベル。
・レベル1以上〜レベル2未満(「レベル1」と称する):不適切運転になりつつあるレベル。
・レベル2以上〜レベル3未満(「レベル2」と称する):レベル1よりも不適切運転であり、休憩することを推奨するレベル。
・レベル3以上〜レベル4未満(「レベル3」と称する):レベル2よりも不適切運転であり、休憩することを勧告するレベル。
・レベル4以上(「レベル4」と称する):レベル3よりも不適切運転であり、直ちに休憩することを指示・警告するレベル。
【0032】
一方、不適切運転であると判定したとき(S13:Yes)、そのレベルに応じて、以下のような処理を実行する。
・レベル1:楽曲出力処理を実行(S14、図3参照)。
・レベル2:地域情報質問処理を実行(S15、図4参照)。
・レベル3:地域情報出力処理を実行(S16、図5参照)。
・レベル4:直ちに休憩することを指示する(S17)。このとき、表示器31に、車両の現在位置に最も近い休憩可能施設を表示してもよいし、休憩指示あるいは長時間運転警告のメッセージを表示器31あるいはスピーカ34から出力してもよい。休憩指示あるいは長時間運転警告の詳細については、特許文献1あるいは特許文献2のようにしてもよい。
【0033】
図3を用いて、図2のステップS14に相当する、楽曲出力処理について説明する。まず、メモリ12に記憶されている、予め定められた楽曲に関する質問(本発明の運転状態改善情報)を表示器31に出力する(S31)。図6に、表示器31への出力例を示す。このとき、音声メッセージを出力してもよい。楽曲は、位置検出部23が検出した、車両の現在位置に関連するものを選択してもよいし、乗員(特に運転者)の気分を転換するためのもの(例えば、アップテンポのものや乗員の嗜好に合ったもの)を選択してもよい。時計IC15から取得した日時情報に基づいて、季節や時間帯に因んだものを選択してもよい。乗員に車両を停めること、あるいは休憩することを想起させるようなものを選択してもよい。また、質問は、乗員の操作負荷を大きくしないために、択一式が好ましい。
【0034】
図3に戻り、質問に対して所定時間(例えば、10秒)以内に乗員の回答操作がなかったとき(S32:No)、上述の不適切運転のレベルを上げる(S37)。あるいは、上述の不適切運転の度合いを所定値増やす。本構成が、「予め定められた時間内に、質問に対する乗員の操作入力がないとき、度合いをより大きくする」ものである。これにより、次回は、乗員に対して、不適切運転状態にあることをより強く自覚させるような運転状態改善情報を出力することができる。
【0035】
なお、回答操作は、タッチパネル32の操作、あるいはマイク36からの音声入力のいずれでもよい。また、回答操作は、運転者以外の乗員が行ってもよい。この質問に関して乗員同士の会話が弾んだり、乗員が運転者に話しかけたりすると、運転者に外部から刺激を与えることになる。運転者がこの刺激に反応することで、刺激に対する反応や集中力が向上し、運転状態が改善することを期待できる。
【0036】
一方、質問に対して所定時間以内に乗員の回答操作があったとき(S32:Yes)、図7のように、結果(正解/不正解)を出力した上で、その楽曲に関連する情報(楽曲関連情報)を出力する(S33)。このとき、楽曲関連情報に合わせて、「気分転換をして、安全な運転を心がけましょう」のような、気分転換(すなわち、車両を停止させて休憩すること)を誘導するメッセージを出力してもよい。
【0037】
上述の構成が、「情報出力部は、運転状態改善情報として、予め定められた楽曲についての質問を出力し、質問に対する乗員の操作入力の内容に基づき、楽曲に関連する楽曲関連情報を出力する」ものである。運転状態改善情報は対話形式であるため、回答操作を行うことで、漫然とした運転状態の運転者に適度な刺激を与えることができ、運転状態が改善することを期待できる。また、質問に回答しなくても、すなわち、運転状態改善情報に注意を払うのみでも運転状態が改善することを期待できる。さらに、他の乗員が運転状態改善情報に回答したとしても、運転者がその状況に反応して(刺激を受け)、運転状態が改善することを期待できる。
【0038】
次に、楽曲関連情報を出力してから所定時間経過したとき、あるいは、乗員の再生指示操作を検出したとき(図7の画面上で「はい」をタッチしたとき)、楽曲を再生出力する(S34)。この後、マイク36で乗員の音声を検知して音声認識ユニット35による音声認識の結果、楽曲の再生前よりも、会話が弾んでいる、あるいは楽曲に合わせて口ずさんでいる(すなわち、気分転換の効果があった)と判断したとき(S35:Yes)、上述の不適切運転のレベルを下げる(S36)。もしくは、度合いを所定値減らす。
【0039】
上述の構成が、「楽曲関連情報を出力した後、予め定められた再生出力条件が成立したとき、楽曲を再生出力する再生出力部を備える」ものである。再生出力条件は、楽曲関連情報を出力してから所定時間経過したとき、および乗員の再生指示操作を検出したとき、の少なくとも一方である。本構成によって、楽曲の再生出力により、乗員に適度な刺激を与えることで、運転状態が改善することを期待できる。また、歌を歌うと脳が刺激されるという研究報告もある。
【0040】
一方、乗員の音声を検知しないとき(S35:No)、不適切運転のレベルを上げる(S37)。あるいは、不適切運転の度合いを所定値増やす。
【0041】
図3において、予め定められた楽曲についての質問を出力しない、すなわち、ステップS31およびS32を実行しない構成としてもよい。本構成が、「情報出力部は、運転状態改善情報として、予め定められた楽曲に関連する楽曲関連情報を出力する」ものである。本構成によっても、楽曲関連情報に注意が向くことで運転状態が改善することを期待できる。また、楽曲に関連する質問を準備しておく必要がないので、メモリ12の使用量を削減できる。
【0042】
図4を用いて、図2のステップS15に相当する、地域情報質問処理について説明する。まず、メモリ12に記憶されている、位置検出部23が検出した、車両の現在位置が含まれる走行地域に関連する質問(本発明の運転状態改善情報)を表示器31に出力する(S51)。時計IC15から取得した日時情報に基づいて、季節や時間帯に因んだものを選択し出力してもよい。図8に、表示器31への出力例を示す。
【0043】
上述の構成が、「車両の現在位置を検出する現在位置検出部を備え、情報出力部は、現在位置を含む予め定められた地域を走行地域とし、運転状態改善情報として、走行地域に関連する質問を出力し、質問に対する乗員の操作入力の内容に基づき、質問に関連した地域情報を出力する」ものである。運転状態改善情報は対話形式のため、回答操作を行うことで、漫然とした運転状態の運転者に現在走行中の地域についての興味を生じさせる等の適度な刺激を与えることができ、運転状態が改善することを期待できる。また、質問に回答しなくても、すなわち、運転状態改善情報に注意を払うのみでも、運転状態が改善することを期待できる。さらに、他の乗員が運転状態改善情報に回答したとしても、運転者がその状況に反応して(刺激を受け)、運転状態が改善することを期待できる。
【0044】
質問に対して所定時間(例えば、10秒)以内に乗員の回答操作がなかったとき(S52:No)、上述の不適切運転のレベルを上げる(S58)。あるいは、上述の不適切運転の度合いを所定値増やす。
【0045】
一方、質問に対して所定時間以内に乗員の回答操作があったとき(S52:Yes)、図9のように結果(正解/不正解)を出力した上で、その質問に関連する地域情報を出力する(S53)。次に、地域情報に関連する地点(例えば、サービスエリア、パーキングエリア、道の駅、店舗などの駐車可能な施設)への経路案内を推奨するメッセージを出力する(S54、図10参照)。そして、乗員の、経路案内を行うか否かの操作入力を待つ。
【0046】
上述の構成が、「車両の現在位置を検出する現在位置検出部を備え、情報出力部は、現在位置を含む予め定められた地域を走行地域とし、運転状態改善情報として、走行地域に関連する地域情報を出力する」ものである。本構成によって、本構成によって、運転者に現在走行中の地域についての興味を生じさせ、適度に刺激を与えることで、運転状態が改善することを期待できる。
【0047】
所定時間(例えば、10秒)以内に、乗員の経路案内を行う旨の操作があったとき(S55:Yes)、上述の地点を目的地とした経路案内を実施する(S56)。次に、上述の不適切運転のレベル(あるいは、度合い)を維持する(S57)。もしくは、不適切運転のレベルを下げる、あるいは、度合いを所定値減らす。
【0048】
上述の構成が、「地域情報を出力した後、予め定められた経路案内条件が成立したとき、地域情報に対応する地点への経路案内を行う」ものである。経路案内条件は、乗員の経路案内を行う旨の操作があったときである。本構成によって、運転者に、「ならば、立ち寄ってみよう」という気を起こさせ、自発的にその地点へ向かうことで、強制されることなく休憩を取ることができ、運転状態が改善することを期待できる。
【0049】
一方、所定時間以内に、乗員の経路案内を行う旨の操作がなかったとき(S55:No)、上述の不適切運転のレベルを上げる(S58)。あるいは、上述の不適切運転の度合いを所定値増やす。
【0050】
乗員の経路案内を行う旨の操作がなく所定時間経過したとき(この場合、経路案内条件が成立したときに相当)でも、経路案内を実施してもよい。これは、休憩の指示・警告に近い。
【0051】
図5を用いて、図2のステップS16に相当する、地域情報出力処理について説明する。まず、位置検出部23が検出した、車両の現在位置から最寄りの(あるいは、所定距離内にある)サービスエリア、パーキングエリア、道の駅、店舗などの駐車可能な施設に関する情報(地域情報、本発明の運転状態改善情報)を出力する(S71、例えば図9の正解を除いたもの)。時計IC15から取得した日時情報に基づいて、季節や時間帯に因んだものを選択し出力してもよい。次に、その地点への経路案内を推奨するメッセージを出力する(S72、例えば図10)。そして、乗員の、経路案内を行うか否かの操作入力を待つ。
【0052】
上述の構成が、「車両の現在位置を検出する現在位置検出部を備え、情報出力部は、現在位置を含む予め定められた地域を走行地域とし、運転状態改善情報として、走行地域に関連する地域情報を出力する」ものである。本構成によって、本構成によって、運転者に現在走行中の地域についての興味を生じさせ、乗員に適度な刺激を与えることで、運転状態が改善することを期待できる。
【0053】
所定時間(例えば、10秒)以内に、乗員の経路案内を行う旨の操作があったとき(S73:Yes)、上述の地点を目的地とした経路案内を実施する(S74)。次に、上述の不適切運転のレベル(あるいは、度合い)を維持する(S75)。もしくは、不適切運転のレベルを下げる、あるいは、度合いを所定値減らす。
【0054】
上述の構成も、「地域情報を出力した後、予め定められたタイミング(乗員の操作)で地域情報に対応する地点への経路案内を行う」ものである。
【0055】
一方、所定時間以内に、乗員の経路案内を行う旨の操作がなかったとき(S73:No)、上述の不適切運転のレベルを上げる(S76)。あるいは、上述の不適切運転の度合いを所定値増やす。
【0056】
乗員の経路案内を行う旨の操作がなく所定時間経過したとき(予め定められたタイミング)でも、経路案内を実施してもよい。これは、休憩の指示・警告に近い。
【0057】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 運転状態改善装置
10 制御回路(計測部、経路案内部)
21 生体状態検出部
22 車両走行状態検出部
23 位置検出部
31 表示器(情報出力部)
32 タッチパネル(操作入力部)
33 音声合成回路(情報出力部、再生出力部)
34 スピーカ(情報出力部、再生出力部)
35 音声認識ユニット(操作入力部)
36 マイク(操作入力部)
図1
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図10