(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0013】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0014】
(第1の実施形態)
(太陽電池モジュール1の製造方法)
以下、
図1〜
図8を参照しながら、
図8に示す太陽電池モジュール1の製造方法の一例について説明する。
【0015】
(複数の太陽電池20の用意工程)
まず、
図1に示す太陽電池20を複数用意する。本実施形態では、太陽電池20は、裏面接合型の太陽電池である。
【0016】
太陽電池20は、光電変換部23を有する。光電変換部23は、受光した際に電子や正孔などのキャリアを生成する。光電変換部23は、図示しない受光面と裏面23aとを有する。光電変換部23は、裏面23aにp型表面とn型表面との両方を有する。
【0017】
光電変換部23は、例えば、結晶性半導体からなる基板と、基板の一主面の上に配されたp型半導体層及びn型半導体層とを備える。この場合、p型表面は、p型半導体層により構成される。n型表面は、n型半導体層により構成される。p型半導体層及びn型半導体層のそれぞれと基板との間に、例えば数Å〜250Å程度の実質的に発電に寄与しない程度の厚みに実質的に真性なi型半導体層が設けられていてもよい。
【0018】
また、光電変換部23は、p型ドーパント拡散領域とn型ドーパント拡散領域とのそれぞれが一主面に設けられた結晶性半導体からなる基板により構成されていてもよい。
【0019】
なお、結晶性半導体からなる基板は、例えば単結晶シリコンにより構成することができる。p型半導体層は、例えばp型アモルファスシリコンにより構成することができる。n型半導体層は、例えばn型アモルファスシリコンにより構成することができる。i型半導体層は、i型アモルファスシリコンにより構成することができる。
【0020】
光電変換部23の裏面23aの上には、第1及び第2の電極21,22が配される。これら第1及び第2の電極21,22のうちの一方が、p側電極を構成しており、他方がn側電極を構成する。p側電極は、p型表面に電気的に接続されており、正孔を収集する。n側電極は、n型表面に電気的に接続されており、電子を収集する。
【0021】
第1及び第2の電極21,22のそれぞれは、x方向(一の方向)の一方側端部から他方側端部に至るように配される。
【0022】
第1及び第2の電極21,22のそれぞれは、くし歯状の形状を有する。具体的には、第1の電極21は、複数の第1のフィンガー部21aと、第1のバスバー部21bとを有する。第2の電極22は、複数の第2のフィンガー部22aと、第2のバスバー部22bとを有する。第1及び第2のフィンガー部21a、22aのそれぞれは、x方向に沿って延びている。複数の第1のフィンガー部21aと複数の第2のフィンガー部22aとは、x方向に対して垂直なy方向に沿って相互に間隔をおいて交互に配される。
【0023】
複数の第1のフィンガー部21aは、第1のバスバー部21bに電気的に接続される。第1のバスバー部21bは、複数の第1のフィンガー部21aのx方向のx1側に配される。第1のバスバー部21bは、裏面23aのx方向のx1側端部に配される。第1のバスバー部21bは、y方向に沿って延びている。
【0024】
複数の第2のフィンガー部22aは、第2のバスバー部22bに電気的に接続される。第2のバスバー部22bは、複数の第2のフィンガー部22aのx方向のx2側に配される。第2のバスバー部22bは、裏面23aのx方向のx2側端部に配される。第2のバスバー部22bは、y方向に沿って延びている。
【0025】
(太陽電池ストリング作製工程)
次に、用意した複数の太陽電池20を電気的に接続する。具体的には、x方向において隣り合う一方の太陽電池20の第1の電極21と、他方の太陽電池20の第2の電極22とを配線材30を用いて電気的に接続することにより、配線材30により電気的に接続された複数の太陽電池20を有する太陽電池ストリング25を作製する。このため、太陽電池20と配線材30とは、樹脂接着剤の硬化物を含む樹脂接着層40により接着される。
【0026】
なお、樹脂接着層40は、樹脂接着剤の硬化物により構成されていてもよいし、樹脂接着剤の硬化物と、その硬化物中に含まれる導電材とを含んでいてもよい。その場合は、配線材30の配線32と第1または第2の電極21,22とは、直接接触することにより電気的に接続されていてもよいし、直接接触しておらず、導電材を介して電気的に接続されていてもよい。一方、樹脂接着層40が導電材を含まない場合は、配線32と第1または第2の電極21,22とは、直接接触することにより電気的に接続されることが好ましい。
【0027】
配線材30は、y方向に沿って延びる細長形状を有する。具体的には、配線材30は、長手方向がy方向を沿った矩形状である。
図3〜
図5に示すように、配線材30は、絶縁性基板31と、配線32とを有する。絶縁性基板31は、例えば樹脂やセラミックス等により構成することができる。絶縁性基板31は、例えば可撓性を有する樹脂基板により構成されていてもよい。なお、本発明において、「基板」には、可撓性を有するシートやフィルムが含まれるものとする。
【0028】
絶縁性基板31の太陽電池20側の表面31aの上には、配線32が配される。配線32が太陽電池20側に配されており、絶縁性基板31が太陽電池20とは反対側に配される。配線32は、導電性を有しており、x方向において隣接する太陽電池20を電気的に接続する。
【0029】
配線32は、配線本体32aと、複数の第1及び第2の線状部32b、32cとを有する。配線本体32aは、細長形状を有する。具体的には、配線本体32aは、矩形状である。配線本体32aは、絶縁性基板31のx方向における中央部を、絶縁性基板31の延びる方向であるy方向に沿って、絶縁性基板31のy方向の一方側端部から他方側端部にまで延びている。
【0030】
複数の第1の線状部32bのそれぞれは、配線本体32aからx方向のx1側に向かって延びている。複数の第1の線状部32bは、y方向に沿って相互に間隔をおいて配される。複数の第1の線状部32bのそれぞれは、配線本体32aに電気的に接続される。
【0031】
複数の第2の線状部32cのそれぞれは、配線本体32aからx方向のx2側に向かって延びている。複数の第2の線状部32cは、y方向に沿って相互に間隔をおいて配される。複数の第2の線状部32cのそれぞれは、配線本体32aに電気的に接続される。
【0032】
太陽電池ストリング作製工程では、第1の線状部32bの少なくとも一部が一の太陽電池20の第1のフィンガー部21aの上に位置した状態で、一の太陽電池20の、第1の電極21のx方向のx2側端部(少なくとも第1のバスバー部21bを含む)が配された領域以外の領域と配線材30とを樹脂接着剤を用いて接着する。これにより、配線材30の配線32の第1の線状部32bと一の太陽電池20の第1のフィンガー部21aとを電気的に接続する。具体的には、本実施形態では、一の太陽電池20の複数の第1のフィンガー部21aが設けられる領域に配線材30を接着する。このため、第1の電極21のうちの少なくとも第1のバスバー部21bの一部分は、樹脂接着層40から露出する。即ち、第1の電極21のうちの少なくとも第1のバスバー部21bの一部分は、樹脂接着層40により配線材30に接着されていない非接着領域となる。なお、非接着領域には、複数の第1のフィンガー部21aの一部分が含まれていてもよい。
【0033】
また、太陽電池ストリング作製工程では、第2の線状部32cの少なくとも一部が他の太陽電池20の第2のフィンガー部22aの上に位置した状態で、他の太陽電池20の、第2の電極22のx方向のx1側端部(少なくとも第2のバスバー部22bを含む)が配された領域以外の領域と配線材30とを樹脂接着剤を用いて接着する。これにより、配線材30の配線32の第2の線状部32cと他の太陽電池20の第2のフィンガー部22aとを電気的に接続する。具体的には、本実施形態では、他の太陽電池20の複数の第2のフィンガー部22aが設けられる領域に配線材30を接着する。このため、第2の電極22のうちの少なくとも第2のバスバー部22bの一部分は、樹脂接着層40から露出する。即ち、第2の電極22のうちの少なくとも第2のバスバー部22bの一部分は、樹脂接着層40により配線材30に接着されていない非接着領域となる。なお、非接着領域には、複数の第2のフィンガー部22aの一部分が含まれていてもよい。
【0034】
なお、本実施形態では、第1の線状部32bは、バスバー部21bには直接電気的に接続されていないが、本発明においては、第1の線状部は、フィンガー部を経由せずにバスバー部に直接電気的に接続されていてもよい。本実施形態では、第2の線状部32cは、バスバー部22bには直接電気的に接続されていないが、本発明においては、第2の線状部は、フィンガー部を経由せずにバスバー部に直接電気的に接続されていてもよい。
【0035】
(切断工程)
次に、太陽電池ストリング25に異常を有する太陽電池が含まれるか否かを検査する(検査工程)。ここで、異常を有する太陽電池とは、例えば、割れたりして損傷した太陽電池、半導体接合が好適に形成されておらず、受光した際に発電しない太陽電池等である。即ち、異常を有する太陽電池には、物理的に異常を有する太陽電池と、電気的に異常を有する太陽電池とが含まれる。
【0036】
検査方法は、特に限定されない。例えば、顯微鏡等を用いた目視検査、受光面に光を照射したときの蛍光を検出するフォトルミネッセンス(PL)法による検査、電圧を印加したときの蛍光を検出するエレクトロルミネッセンス(EL)法による検査等を行うことにより、異常を有する太陽電池の検出を行うことができる。
【0037】
本実施形態では、太陽電池ストリング25に含まれる複数の太陽電池20のうち、
図2に示される太陽電池20aのみに異常が発見された場合について説明する。
【0038】
本実施形態では、検査工程において異常を有する太陽電池20aが発見されたため、太陽電池20aの交換を行う。検査工程において異常を有する太陽電池が発見されなかった場合は、太陽電池の交換は行われない。
【0039】
太陽電池20aの交換に際しては、まず、太陽電池20aを太陽電池ストリング25から取り外す。具体的には、異常を有すると認定された太陽電池20aと、太陽電池20aに隣接する太陽電池20b、20cとに接着される配線材30a、30bを切断する(切断工程)。
【0040】
具体的には、配線材30aの太陽電池20bと接着される部分と太陽電池20aと接着される部分との間に位置し、太陽電池20に接着されていない非接着部を、カットラインL1に沿って分断する。また、配線材30bの太陽電池20cと接着される部分と太陽電池20aと接着される部分との間に位置し、太陽電池20に接着されていない非接着部を、カットラインL2に沿って分断する。その後、太陽電池20aを太陽電池ストリング25から取り外す。
【0041】
より具体的には、太陽電池20b、20cの配線材30a、30bと電気的に接続される電極の配線材30a、30bに接着されていない非接着領域が切断された配線材30a、30bの切断片30a1,30b1から露出するように配線材30a、30bを切断する。さらに具体的には、複数のフィンガー部21a、22aのバスバー部21b、22bに接続される基端部の上方において配線材30a、30bを切断する。このため、
図6に示すように、太陽電池20b、20cには、配線材30a、30bの切断片30a1,30b1が接着された状態となる。切断片30a1,30b1は、太陽電池20b、20cの第1または第2のフィンガー部21a、22aが設けられた領域に接着される。切断片30a1,30b1は、第1または第2の電極21,22の少なくともバスバー部21b、22bが設けられた領域の一部の上には配されていない。
【0042】
(再接続工程)
次に、新たな太陽電池20dを用意する。ここで、新たな太陽電池とは、検査工程において検査した太陽電池ストリングに含まれていなかった太陽電池をいい、未使用の太陽電池であってもよいし、未使用でないものの、異常を有さない太陽電池であってもよい。
【0043】
次に、太陽電池20b、20cと、新たな太陽電池20dとを、新たな配線材34a、34bを用いて電気的に接続する。これにより、新たな太陽電池ストリング25aを作製する。
【0044】
配線材34a、34bは、配線材30と同様に、絶縁性基板35と、配線36とを有する。配線材34a、34bは、配線材30と実質的に同様の構成を有していてもよいし、異なる構成を有していてもよい。
【0045】
より具体的には、新たな太陽電池20dと新たな配線材34aとを樹脂接着剤を用いて接着することにより、新たな太陽電池20dの第2の電極22と配線材34aの配線36とを電気的に接続する。このため、配線材34aと太陽電池20dとは、樹脂接着層41により接着された状態となる。また、配線材34aを、太陽電池20bの切断片30a1が接着される領域よりも端側(x2側)の領域に、樹脂接着剤を用いて接着する。具体的には、配線材34aを、太陽電池20bの第1のバスバー部21bが設けられる領域に、樹脂接着剤を用いて接着する。これにより、配線材34aの配線36と、太陽電池20bの第1のバスバー部21bとを電気的に接続する。太陽電池20bと配線材34aとは、樹脂接着層42により接着された状態となる。以上の工程により、新たな太陽電池20dと太陽電池20bとを電気的に接続する。
【0046】
同様にして、新たな太陽電池20dと太陽電池20cとを、新たな配線材34bを用いて電気的に接続する。新たな太陽電池20dの第1の電極21と配線材34bの配線36とが電気的に接続される。また、太陽電池20cの第2の電極22の第2のバスバー部22bと新たな配線材34bの配線36とが電気的に接続される。
【0047】
以上により、新たな太陽電池20dを含む新たな太陽電池ストリング25aを作製する。
【0048】
なお、新たな配線材34a、34bに屈曲部が形成されないように再接続工程を行うことが好ましい。
【0049】
(ラミネート工程)
次に、
図8に示されるように、太陽電池ストリング25aを、第1及び第2の保護部材12,11の間において、充填材層13を用いて封止する。具体的には、例えば、第2の保護部材11の上に、充填材層13の一部を構成するためのEVAシートなどの樹脂シートを載置する。その樹脂シートの上に、太陽電池ストリング25aを載置し、その上に、充填材層13の一部を構成するためのEVAシートなどの樹脂シートを載置し、さらにその上に、第1の保護部材12を載置する。これらを、減圧雰囲気下においてラミネートすることにより、太陽電池モジュール1を完成させることができる。
【0050】
(太陽電池モジュール1の構成)
以上のように製造された太陽電池モジュール1は、第1及び第2の保護部材12,11の間において、充填材層13中に封止された太陽電池ストリング25aを有する。太陽電池ストリング25aは、複数の太陽電池20を有する。複数の太陽電池20は、配線材30,34a、34bにより電気的に接続される。配線材30,34a、34bと太陽電池20とは、樹脂接着剤の硬化物を含む樹脂接着層40,41,42により接着される。
【0051】
複数の太陽電池20のうちの一部の太陽電池20b、20cの上には、切断片30a1,30b1が樹脂接着層40により接着される。切断片30a1,30b1は、第1及び第2のフィンガー部21a、22aが設けられた領域の上に位置する。切断片30a1,30b1は、第1及び第2のフィンガー部21a、22aの一方に電気的に接続される。具体的には、切断片30a1,30b1は、絶縁性基板31と、第1及び第2のフィンガー部21a、22aの一方に電気的に接続される配線32とを有する。切断片30a1,30b1は、配線材34a、34bと絶縁されていてもよいし、電気的に接続されていてもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態では、太陽電池20b、20cの切断片30a1,30b1が接着される領域よりも端側の領域に新たな配線材34a、34bを接着する。このため、新たな配線材34a、34bは、切断片30a1,30b1に跨がっていない。よって、配線材34a、34bに屈曲部が形成されることを抑制することができる。従って、配線材34a、34bが破断しにくく、優れた信頼性を有する太陽電池モジュール1を製造することができる。また、配線材に屈曲部が形成された場合は、配線材の屈曲部付近に充填材が確実に充填されない場合があるが、本実施形態では配線材34a、34bに屈曲部が形成されにくいため、充填材層13が確実に充填される。このため、充填材層13中に気泡が残存しにくい。よって、優れた耐候性を有する太陽電池モジュール1を製造することができる。
【0053】
より優れた信頼性及び耐候性を実現する観点からは、配線材34a、34bに屈曲部が形成されないように再接続工程を行うことが好ましい。
【0054】
以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。また、第2の実施形態において、
図2,
図5及び
図6を第1の実施形態と共通に参照する。
【0055】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、第1及び第2の電極21,22のそれぞれがバスバー部21b、22bを有する例について説明した。それに対して第2の実施形態では、
図9に示すように、第1及び第2の電極21,22のそれぞれは、複数のフィンガー部21a、22aにより構成されるバスバーレスの電極である。
【0056】
第2の実施形態では、
図10及び
図11に示すように、太陽電池ストリング作製工程において、x方向において隣接する2つの太陽電池20のうちの一方の太陽電池20の複数の第1のフィンガー部21aのx方向におけるx2側端部が配された領域以外の領域に配線材30を接着する。これにより、配線材30と、一方の太陽電池20の複数の第1のフィンガー部21aとを電気的に接続する。また、x方向において隣接する2つの太陽電池20のうちの他方の太陽電池20の複数の第2のフィンガー部22aのx方向におけるx1側端部が配された領域以外の領域に配線材30を接着する。これにより、配線材30と、他方の太陽電池20の複数の第2のフィンガー部22aとを電気的に接続する。以上の工程により、複数の太陽電池20が配線材30により電気的に接続された太陽電池ストリング25を作製する。
【0057】
即ち、本実施形態では、太陽電池ストリング作製工程において、第1及び第2のフィンガー部21a、22aのx方向における端部を、配線材30に接着されていない非接着領域とする。このため、切断片30a1,30b1は、太陽電池20b、20cの第1及び第2のフィンガー部21a、22aのx方向における端部が設けられた領域以外の領域に接着される。
【0058】
また、本実施形態では、
図12に示すように、再接続工程において、太陽電池20b、20cの切断片30a1、30b1が接着される領域よりもx方向における端側の領域において配線材34a、34bと太陽電池20b、20cの第1または第2のフィンガー部21a、22aとを電気的に接続する。
【0059】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、配線材34a、34bに屈曲部が形成されることを抑制することができる。従って、配線材34a、34bが破断しにくく、優れた信頼性を有する太陽電池モジュール1を製造することができる。また、優れた耐候性を有する太陽電池モジュール1を製造することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
本実施形態においては、
図1〜
図5を第1の実施形態と共通に参照する。本実施形態において、第1の実施形態の
図1〜
図5に関する説明を援用する。
【0061】
太陽電池ストリング作製工程では、x方向において隣り合う一方の太陽電池20のx方向における端部以外の部分と配線材30とを樹脂接着剤を用いて接着すると共に、他方の太陽電池20のx方向における端部以外の部分と配線材30とを樹脂接着剤を用いて接着する。即ち、太陽電池20の端部には配線材30を接着しない。これにより、太陽電池20のx方向における端部に、配線材30に接着されていない領域を設ける。
【0062】
(切断工程)
次に、太陽電池ストリング25に異常を有する太陽電池が含まれるか否かを検査する(検査工程)。ここで、異常を有する太陽電池とは、例えば、割れたりして損傷した太陽電池、半導体接合が好適に形成されておらず、受光した際に発電しない太陽電池等である。即ち、異常を有する太陽電池には、物理的に異常を有する太陽電池と、電気的に異常を有する太陽電池とが含まれる。
【0063】
検査方法は、特に限定されない。例えば、顯微鏡等を用いた目視検査、受光面に光を照射したときの蛍光を検出するフォトルミネッセンス(PL)法による検査、電圧を印加したときの蛍光を検出するエレクトロルミネッセンス(EL)法による検査等を行うことにより、異常を有する太陽電池の検出を行うことができる。
【0064】
本実施形態では、太陽電池ストリング25に含まれる複数の太陽電池20のうち、
図2に示される太陽電池20aのみに異常が発見された場合について説明する。
【0065】
本実施形態では、検査工程において異常を有する太陽電池20aが発見されたため、太陽電池20aの交換を行う。検査工程において異常を有する太陽電池が発見されなかった場合は、太陽電池の交換は行われない。
【0066】
太陽電池20aの交換に際しては、まず、太陽電池20aを太陽電池ストリング25から取り外す。具体的には、異常を有すると認定された太陽電池20aと、太陽電池20aに隣接する太陽電池20b、20cとに接着される配線材30a、30bを切断する。
【0067】
具体的には、配線材30aの太陽電池20bと接着される部分と太陽電池20aと接着される部分との間に位置し、太陽電池20に接着されていない非接着部を、カットラインL1に沿って分断する。また、配線材30bの太陽電池20cと接着される部分と太陽電池20aと接着される部分との間に位置し、太陽電池20に接着されていない非接着部を、カットラインL2に沿って分断する。その後、太陽電池20aを太陽電池ストリング25から取り外す。
【0068】
なお、カットラインL1,L2の位置は、配線材30a、30bの樹脂接着層40により太陽電池20に接着されていない部分であれば特に限定されない。カットラインL1,L2は、太陽電池20b、20cの上であってもよいし、太陽電池20b、20cと太陽電池20aとの間であってもよい。
【0069】
(再接続工程)
次に、新たな太陽電池20dを用意する。ここで、新たな太陽電池とは、検査工程において検査した太陽電池ストリングに含まれていなかった太陽電池をいい、未使用の太陽電池であってもよいし、未使用でないものの、異常を有さない太陽電池であってもよい。
【0070】
次に、太陽電池20b、20cと、新たな太陽電池20dとを、新たな配線材34a、34bを用いて電気的に接続する。これにより、新たな太陽電池ストリング25aを作製する。
【0071】
配線材34a、34bは、配線材30と同様に、絶縁性基板35と、配線36とを有する。配線材34a、34bは、配線材30と実質的に同様の構成を有していてもよいし、異なる構成を有していてもよい。
【0072】
より具体的には、新たな太陽電池20dと新たな配線材34a、34bとを樹脂接着剤を用いて接着することにより、新たな太陽電池20dの第1または第2の電極21,22と配線材34a、34bの配線36とを電気的に接続する。このため、配線材34a、34bと太陽電池20dとは、樹脂接着層41により接着された状態となる。
【0073】
詳細には、新たな太陽電池20dのx方向における端部以外の部分と新たな配線材34a、34bとを樹脂接着剤を用いて接着する。即ち、太陽電池20dの端部には、配線材34a、34bを接着しない。これにより、太陽電池20dのx方向における端部に、配線材34a、34bに接着されていない領域を設ける。詳細には、太陽電池20dの第1及び第2の電極21,22が設けられる領域の端部には、配線材34a、34bを接着しない。これにより、太陽電池20dの第1及び第2の電極21,22が設けられる領域の端部に、配線材34a、34bに接着されていない領域を設ける。
【0074】
また、新たな配線材34a、34bを、x方向において切断片30a1,30b1に跨がるように配し、太陽電池20b、20cの切断片30a1,30b1が接着される領域よりも中央側の領域に、樹脂接着剤を用いて接着する。これにより、配線材34a、34bと太陽電池20b、20cの第1または第2の電極21,22とを電気的に接続する。配線材34a、34bと太陽電池20b、20cとは、太陽電池20b、20cのx方向における端部が位置する領域以外の領域において、樹脂接着層42により接着された状態となる。
【0075】
(ラミネート工程)
次に、
図15に示されるように、太陽電池ストリング25aを、第1及び第2の保護部材12,11の間において、充填材層13を用いて封止する。具体的には、例えば、第2の保護部材11の上に、充填材層13の一部を構成するためのEVAシートなどの樹脂シートを載置する。その樹脂シートの上に、太陽電池ストリング25aを載置し、その上に、充填材層13の一部を構成するためのEVAシートなどの樹脂シートを載置し、さらにその上に、第1の保護部材12を載置する。これらを、減圧雰囲気下においてラミネートすることにより、太陽電池モジュール1を完成させることができる。
【0076】
(太陽電池モジュール1の構成)
以上のように製造された太陽電池モジュール1は、第1及び第2の保護部材12,11の間において、充填材層13中に封止された太陽電池ストリング25aを有する。太陽電池ストリング25aは、複数の太陽電池20を有する。複数の太陽電池20は、配線材30,34a、34bにより電気的に接続される。配線材30,34a、34bと太陽電池20とは、樹脂接着剤の硬化物を含む樹脂接着層40,41,42により接着される。配線材30,34a、34bのそれぞれは、太陽電池20のx方向における端部には接着されていない。
【0077】
複数の太陽電池20のうちの一部の太陽電池20b、20cの上には、配線材30a、30bの切断片である切断片30a1,30b1が樹脂接着層40により接着される。配線材34a、34bは、x方向において切断片30a1,30b1に跨がって配される。配線材34a、34bは、太陽電池20b、20cと、切断片30a1,30b1よりもx方向における中央側において、樹脂接着層42により接着される。即ち、配線材34a、34bは、太陽電池20b、20cのx方向における端部以外の部分に接着されている。
【0078】
以上説明したように、本実施形態では、太陽電池ストリング作製工程において、x方向において隣り合う一方の太陽電池20のx方向におけるx1側の端部以外の部分と配線材30とを樹脂接着剤を用いて接着すると共に、他方の太陽電池20のx方向におけるx2側の端部以外の部分と配線材30とを樹脂接着剤を用いて接着する。具体的には、太陽電池20と配線材30との間に樹脂接着剤を介在させた状態で太陽電池20と配線材30とを互いに近接する方向に加圧した状態で樹脂接着剤を加熱するなどして硬化させる。このため、太陽電池20と配線材30とを樹脂接着剤を用いて接着する際に、太陽電池20の端部を加圧する必要がない。従って、太陽電池ストリング作製工程において、太陽電池20に割れやクラック等が発生し難い。
【0079】
また、再接続工程において、新たな配線材34a、34bを、太陽電池20b、20cの切断片30a1,30b1が接着される領域よりも中央側の領域に、樹脂接着剤を用いて接着する。具体的には、太陽電池20b、20cと配線材34a、34bとの間に樹脂接着剤を介在させた状態で太陽電池20b、20cと配線材34a、34bとを互いに近接する方向に加圧した状態で樹脂接着剤を加熱するなどして硬化させる。このため、太陽電池20b、20cと配線材34a、34bとを樹脂接着剤を用いて接着する際に、太陽電池20b、20cの端部を加圧する必要がない。よって、再接続工程において、太陽電池20b、20cに割れやクラック等が発生し難い。
【0080】
従って、太陽電池モジュール1を効率的に、高い良品率で製造することができる。
【0081】
さらに本実施形態では、新たな太陽電池20dのx方向における端部以外の部分と新たな配線材34a、34bとを樹脂接着剤を用いて接着する。具体的には、太陽電池20dと配線材34a、34bとの間に樹脂接着剤を介在させた状態で太陽電池20dと配線材34a、34bとを互いに近接する方向に加圧した状態で樹脂接着剤を加熱するなどして硬化させる。このため、太陽電池20dと配線材34a、34bとを樹脂接着剤を用いて接着する際に、太陽電池20dの端部を加圧する必要がない。従って、再接続工程において、太陽電池20dに割れやクラック等が発生し難い。従って、太陽電池モジュール1をさらに効率的に、さらに高い良品率で製造することができる。
【0082】
なお、上記実施形態では、第1及び第2の電極21,22のそれぞれがバスバー部21b、22bを有する例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、
図9に示すように、第1及び第2の電極21,22のそれぞれは、複数のフィンガー部21a、22aにより構成されるバスバーレスの電極であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、異常を有する太陽電池20aを取り除く切断工程において、配線材30aの太陽電池20に接着されていない非接着部を分断して、太陽電池20aを取り外す。しかし、上記のような方法に限定されず、例えば、太陽電池20bに樹脂接着層40が残るように、配線材30aを太陽電池20bから取り除いてもよい。この場合、新たな配線材34aを、太陽電池20bに残った樹脂接着層40を跨ぐように、太陽電池20dに樹脂接着剤を用いて接着する。すなわち、太陽電池20bの残存した樹脂接着層40よりも中央側の領域に新たな配線材34aを樹脂接着剤を用いて接着する。
【0084】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態を含む。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。