(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0015】
本発明に係る広告提示システム1は、
図1に示すように、ユーザ端末10と、ネットワーク11を介してユーザ端末10と無線通信可能なサーバ12(広告提示サーバ)とを備えている。
【0016】
ユーザ端末10は、例えば、タッチパネル付きの携帯端末装置(スマートフォン)、タブレット型端末装置、携帯用のノートパソコン等である。ユーザ端末10は、画面を表示する端末表示部(出力部)と、ユーザの操作により所定の指示の入力を受け付ける端末受付部(入力部)と、無線通信用の通信部と、各部を制御する端末制御部とを備えている。
【0017】
広告提示サーバ12は、一般的に使用されるコンピュータ等であり、データを蓄積する記憶部と、各種処理する処理部(行動収集部、通行者分析部、場所解析部、商品決定部、広告提示部、指示受付部、商品発送部等)を備えている。
【0018】
又、広告提示サーバ12は、コマースサーバ15から提供された広告(商品及びサービスを含む)から、特定の場所に適した広告を決定し提示する。
【0019】
ここで、広告提示サーバ12が広告を提示する際に、広告表示部13が用いられる。広告表示部13は、ポスター、ボード、看板、掲示板、デジタルサイネージ(電子看板)、ホログラム表示装置、音声放送のスピーカー等を含む。又、広告表示部13として、チラシの配布でも良い。
図1では、広告表示部13は、ネットワーク11を介して広告提示サーバ12と通信可能に接続されたデジタルサイネージを採用している。
【0020】
又、特定の場所を往来する複数のユーザの行動情報を検知するために、例えば、当該場所に設置された無線機器14が採用されても良い。無線機器14に特に限定は無いが、例えば、無線機器14は、ユーザ端末10又は広告提示サーバ12と近距離通信可能な通信部を備えている。
【0021】
ここで、近距離無線通信とは、無線信号の電波を用いて数十cm〜百数十mの範囲内の無線機器14とデータの送信又は受信を行うことを意味する。ユーザ端末10は、無線機器14の電波の受信圏(受信範囲)に入った場合、無線機器14と近距離無線通信する。
【0022】
無線機器14は、Wi−Fiセンサ、Beacon端末、又はこれらの組み合わせを含む。Wi−Fiセンサは、例えば、公衆無線LANスポット(Wi−Fiスポット、フリースポット、ホットスポット)の無線機器を利用しても良い。
【0023】
ユーザが、広告表示部13の広告を見て、広告の資料を請求したり、広告の商品を注文したりすることが出来る。広告提示サーバ12は、ユーザ端末10からの資料請求を受けて、コマースサーバ15を介して、資料の郵送処理を行う。広告提示サーバ12は、ユーザ端末10からの注文を受けて、商品の購入の受付処理を行い、コマースサーバ15を介して、商品の発送処理を行う。コマースサーバ15は、広告の提示を依頼する広告代理店や商品を製造したり提供したりする生産者に基づく。コマースサーバ15は、例えば、広告提示サーバ12から、資料の郵送の指示や商品の発送の指示を受けると、配送センタ16(郵送センタ)を介して、当該資料をユーザに郵送したり、当該商品をユーザに配送したりする。
【0024】
ユーザ端末10、広告提示サーバ12、コマースサーバ15は、図示しないCPU、ROM、RAM、HDD、SSD等を内蔵しており、CPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD、SSD等に記憶されているプログラムを実行する。又、後述する各部についても、CPUがプログラムを実行することで当該各部を実現する。
【0025】
次に、
図2、
図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、本発明に係る広告提示システムを構築し、広告提示サービスを提供するベンダが、広告代理店及び生産者を含むサプライヤからの指示に基づいて、広告を提示したい特定の場所を選択する。
【0026】
ここで、特定の場所は、ビル、マンション、店舗、通路、駅、地下鉄、店舗、商品の売り場、各商品棚、レジ、ショッピングモール等の内部及び外部を含み、ユーザが往来出来る程度の空間を意味する。又、ユーザの行動情報とは、前記場所の周辺で行った行動履歴を意味する。例えば、何も無い場所では、単なる通行人の行動情報となるが、特定の場所に、店舗、事務所、飲食店、カフェ、百貨店、スーパーや広告物等、当該場所を特徴付ける特徴物が存在すれば、これらに興味のあるユーザは、足を止めて確認したり中に入ったりする。一方、この特徴物に興味のないユーザは、単なる通行人となる。
【0027】
次に、ベンダは、前記場所を往来する複数のユーザの行動情報を収集する(
図3:S101)。ここで、複数のユーザの行動情報を収集する方法に特に限定は無い。例えば、ベンダが監視人を雇って、前記場所に監視人を配置し、目視で、当該場所を往来するユーザの行動情報を収集しても良い。又、前記場所に監視カメラを設置して、監視カメラの画像解析から、ユーザの行動情報を収集しても良い。
【0028】
本発明の実施形態では、
図4Aに示すように、ベンダが前記場所に無線機器14を設置する。ここで、前記場所における特徴物の近傍に無線機器14を設置すると、当該特徴物に対する興味に起因してユーザの行動情報が異なることから、当該場所の特徴を明確にし易くなる。そして、ベンダが無線機器14を広告提示サーバ12と無線通信可能に接続する。これにより、広告提示サーバ12の行動収集部201が、ユーザ端末10と無線機器14との近距離無線通信における通信情報に基づいて、当該場所を往来するユーザの行動情報を収集する。
【0029】
具体的には、ユーザ端末10を携帯したユーザが、無線機器14が設置された場所の近傍を通過すると、ユーザ端末10が無線機器14と近距離無線通信し、近距離無線通信における通信情報が広告提示サーバ12に送信される。この通信情報には、ユーザ端末10を識別するための端末IDと、無線機器14を識別するための機器IDと、電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)とを含む。尚、端末IDは、例えば、MACアドレス等のユーザ端末10を識別するための情報であって、ユーザを識別するための情報では無い。又、機器IDは、例えば、MACアドレス等の無線機器14を識別するための情報である。
【0030】
電波強度は、ユーザ端末10と無線機器14との間の距離が短い程、強くなる。近距離無線通信における電波強度は、例えば、前記距離に応じて複数(例えば、4つ)の段階に区分された近接度を採用する。電波強度が強い順番に、「Immediate」(すぐ近く)、「Near」(近い)、「Far」(遠い)、「Unknown」(不明)を示す。電波強度と距離との関係は、適宜設計される。例えば、ユーザ端末10が無線機器14の電波受信圏に入った場合(ユーザ端末10が無線機器14に対して数十m以内に近づいた場合)の電波強度は、「Far」となり、ユーザ端末10が無線機器14に対して数m以内に近づいた場合の電波強度は、「Near」となり、ユーザ端末10が無線機器14に対して数cm以内に近づいた場合の電波強度は、「Immediate」となり、ユーザ端末10が無線機器14の電波受信圏から出た場合の電波強度は、「Unknown」となる。
【0031】
無線機器14がWi−Fiセンサの場合、ユーザ端末10は、通常、無線LAN(Local Area Network)通信の中継機器(アクセスポイント)を検索するための電波(Beacon、無方向性の電波)を定期的に発信している。ユーザがWi−Fiセンサ14の電波受信圏に入ると、Wi−Fiセンサ14は、ユーザ端末10から発信している電波を受信する。この電波は、ユーザ端末10の端末ID(例えば、「aaa」)を含む。
【0032】
Wi−Fiセンサ14が、ユーザ端末10からの電波に基づいて、受信時刻における電波の端末ID(「aaa」)と、受信時刻における電波強度(「Far」)と、Wi−Fiセンサ14を識別するための機器ID(例えば、「111」)とを含む通信情報をネットワーク11を介して広告提示サーバ12に送信する。この場合、ユーザ端末10からの電波を利用するため、ユーザ端末10を所有するユーザの行動情報を漏れなく収集することが出来る。
【0033】
一方、無線機器14がBeacon端末の場合、Beacon端末14は近距離無線通信用の電波を定期的に発信している。ユーザがBeacon端末14の電波受信圏に入ると、ユーザ端末10が、Beacon端末14からの電波を受信する。この電波は、Beacon端末14を識別するための機器ID(「111」)を含む。Beacon端末14の機器IDには、UUID(Universally Unique Identifier)の他に、ベンダが任意に設定出来るMajor値とMinor値とを含む。
【0034】
ユーザ端末10が、Beacon端末14からの電波に基づいて、受信時刻における電波の機器ID(「111」)と、受信時刻における電波強度(「Far」)と、ユーザ端末10の機器ID(「aaa」)とを含む通信情報をネットワーク11を介して広告提示サーバ12に送信する。この場合、Beacon端末14からの電波をユーザ端末10を介して広告提示サーバ12に送信することから、Beacon端末14との通信情報を広告提示サーバ12に(自動的に)送信する特定のプログラムをユーザ端末10に予め導入しておく必要がある。
【0035】
さて、行動収集部201が、無線機器14からの通信情報を受信すると、
図4Bに示すように、通信情報テーブル400に、通信情報の機器ID(「111」)401と、端末ID(「aaa」)402と、電波強度(「Far」)403と、受信時刻(例えば、「2016/2/5 9:00」)404を記憶させる。
【0036】
ここで、例えば、前記場所における特徴物として、無線機器14の近傍にファッション関係の看板が存在し、ユーザが、その看板に興味を示し、看板に近づいて、その後、その場所を立ち去って、電波受信圏から出たとする。すると、無線機器14又はユーザ端末10は、「Near」、「Far」、「Unknown」の順の電波強度で通信情報を受信し、行動収集部201は、各受信時刻における通信情報を受信し、通信情報テーブル400に記憶させる。このように、電波強度の経時的な変化が蓄積される。
【0037】
ユーザが電波受信圏から出た場合、言い換えると、特定の端末ID(「aaa」)における電波強度が「Unknown」である通信情報が受信された場合、行動収集部201は、
図5Aに示すように、通信情報テーブル400のうち、特定の端末ID(「aaa」)に関連付けられた電波強度及び受信時刻に基づいて、前記場所における特定のユーザの行動情報を算出する。
【0038】
ユーザの行動情報は、ベンダにより適宜定義される。例えば、特定の端末ID(「aaa」)における通信情報のうち、弱い電波強度(例えば、「Far」)から強い電波強度(「Near」)に切り替わった場合、ユーザが無線機器14に接触したと考えられるため、前記切り替わった回数を接触数と定義する。特定の端末ID(「aaa」)において電波強度が「Far」から「Near」に切り替わった回数は、1回であるため、行動収集部201は、ユーザの接触数を「1回」と算出する。尚、「Far」のみである場合は、行動収集部201は、ユーザの接触数を「0回」と算出する。
【0039】
「Near」以上の強い電波強度が、所定時間、維持された場合、ユーザが無線機器14へ接触したまま立ち続けたと考えられるため、前記所定時間を接触時間と定義する。特定の端末ID(「aaa」)において電波強度「Near」が維持された所定時間は、「Near」の直後の「Far」の受信時刻「2016/2/5 9:20」から、当該「Near」の受信時刻「2016/2/5 9:10」を減算した時間「10分」であるため、行動収集部201は、ユーザの接触時間を「10分」と算出する。尚、「Far」のみである場合は、行動収集部201は、ユーザの接触時間を「0分」と算出する。
【0040】
電波受信圏に入った時の電波強度「Far」から電波受信圏から出た時の電波強度「Unknown」までの時間を、ユーザがWi−Fiセンサ14の電波受信圏に滞在していた滞在時間と定義する。ユーザが滞在した滞在時間は、「Unknown」の受信時刻「2016/2/5 9:25」から、最初に受信した「Far」の受信時刻「2016/2/5 9:00」を減算した時間「25分」であるため、行動収集部201は、ユーザの滞在時間を「25分」と算出する。
【0041】
最も強い電波強度は、ユーザが無線機器14に最も接近した距離を意味するため、当該距離を接触距離と定義する。特定の端末ID(「aaa」)において最も強い電波強度は「Near」であり、「Near」は「数m以内」の距離を意味するため、行動収集部201は、ユーザの接触距離を「数m以内」と算出する。尚、電波強度と接触距離との関係は、例えば、予めテーブルで定義付けておけば良い。
【0042】
更に、応用例として、行動パターン又は行動予測パターンをユーザの行動情報に含めても良い。特定の端末ID(「aaa」)における特定のユーザの通信情報を、日、週、又は月を含む特定の期間で蓄積し、当該特定の期間に特定のユーザが通行している回数を統計して、統計した回数に基づいてユーザの行動パターンを定義する。例えば、平日の一日において午前と午後とで1回ずつ「Far」以上の電波強度が存在する場合には、行動収集部201は、ユーザの行動パターンを「会社員」と算出する。行動パターンは、例えば、朝、昼、夜、毎週、隔週、特定の曜日、週末の期間(時間帯)に対する回数から定義出来る。又、行動パターンから、ユーザの行動予測パターンを定義しても良い。毎日に複数回「Far」以上の電波強度が存在する場合には、行動収集部201は、ユーザの行動予測パターンを「地域住民」と算出する。行動パターン又は行動予測パターンは、特定の機器ID(「111」)のみならず、他の機器ID(「222」)における特定の端末ID(「aaa」)の受信時刻及び電波強度を集計することで、更に具体的に定義付けることが出来て、広告の効果を高めることが出来る。以下、本発明の実施形態では、ユーザの行動情報として接触数、接触時間、滞在時間、接触距離を例に挙げて説明する。
【0043】
さて、無線機器14の電波受信圏に入った特定のユーザが当該電波受信圏を出ると、行動収集部201は、当該ユーザの行動情報(接触数、接触時間、滞在時間、接触距離)を算出する。そして、行動収集部201は、
図5Bに示すように、場所解析テーブル500に、無線機器14の機器ID(「111」)501と、ユーザの行動情報が算出された端末ID(「aaa」)502と、当該端末ID502におけるユーザの行動情報(接触数、接触時間、滞在時間、接触距離)503とを記憶させる。
【0044】
尚、前記場所には、複数のユーザが随時往来する。そのため、行動収集部201は、通信情報を受信すると、特定の端末ID毎に電波強度と受信時刻とを紐付けることで、各ユーザ毎の行動情報を算出する。例えば、他のユーザが無線機器14の電波受信圏に入って、そのまま通過し、電波受信圏から出ると、行動収集部201は、
図4Bに示すように、受信した通信情報のうち、他のユーザ端末の端末ID(例えば、「bbb」)に関連する電波強度と受信時刻とを集計して、他のユーザの行動情報(接触数、接触時間、滞在時間、接触距離)を算出する。このように、行動収集部201は、複数のユーザの行動情報を収集する。
【0045】
行動収集部201が収集し、特定のタイミングが到来すると、次に、広告提示サーバ12の通行者分析部202は、前記収集された複数のユーザの行動情報に基づいて、前記場所の通行者層の特徴を示す通行者特徴情報を分析する(
図3:S102)。特定のタイミングは、行動情報が収集されたユーザの数や期間である。
【0046】
ここで、通行者分析部202が通行者特徴情報を分析する方法に特に限定は無いが、例えば、下記のようになる。先ず、通行者分析部202は、場所解析テーブル500に基づいて、無線機器14に接触した接触者を選択する。
【0047】
接触者の定義は、ベンダにより適宜変更される。例えば、ユーザの行動情報のうち、接触数が1回以上である場合、ユーザは単なる通行人で無く、無線機器14に接触した接触者であると考えられる。そのため、通行者分析部202は、接触数が1回以上である端末ID502を接触者の端末IDとして選択する。又、滞在時間が5分を超過する端末ID502のユーザを接触者と定義しても良いし、接触距離が数cm以内の端末ID502のユーザを接触者と定義しても良いし、これらの組み合わせでも構わない。ユーザの行動情報の種類や数に応じて定義を適宜変更すれば良い。
【0048】
次に、通行者分析部202は、接触者属性情報テーブルを参照する。接触者属性情報テーブル600には、
図6Aに示すように、参照端末ID(例えば、「aaa」)601と、端末属性情報(例えば、「abc」)602とが関連付けて記憶されている。参照端末ID601は、ユーザ端末10の端末IDと同等の情報であり、端末属性情報602は、参照端末ID601のユーザ端末10を所有するユーザの属性情報(ユーザを特徴付ける情報、例えば、性別、年齢層、趣味趣向等)である。端末属性情報602は、ユーザが端末IDに対して予め登録した属性情報でも良い。又、ユーザ端末10の過去の行動情報、ユーザ端末10が過去に接触した無線機器14の属性情報、ユーザの行動パターン、行動予測パターンでも良い。ここでは、例えば、「abc」を「女性」とし、「def」を「男性」として設定する。
【0049】
通行者分析部202は、前記選択した接触者の端末ID(「aaa」)502と、接触者属性情報テーブル600の参照端末ID(「aaa」)601とを照合し、
図5Bに示すように、照合した参照端末ID(「aaa」)601に対応する端末属性情報(「abc」)602を場所解析テーブル500の接触者特徴情報504に関連付けて記憶させる。これにより、接触者の端末IDから、接触者の属性情報を紐付けることが出来る。
【0050】
次に、通行者分析部202は、全ての接触者特徴情報504のうち、同一の接触者特徴情報504の割合(%)を算出し、最も高い割合の接触者特徴情報504(例えば、「abc」)を通行者特徴情報として分析(選択)する。これにより、割合に基づいて、通行人層のうち、代表的な接触者の特徴を抽出することが出来る。
【0051】
尚、通行者特徴情報の定義は、ベンダにより適宜変更される。例えば、特定の期間において、全てのユーザの行動情報を行列化し、その行列を、特定の期間を区分した各時間帯で分割して、代表的なユーザの行動パターン又は行動予測パターンを統計して抽出する。この抽出された行動パターン又は行動予測パターンを通行者特徴情報として分析しても良い。通行者特徴情報の分析手法に限定は無い。
【0052】
通行者分析部202が分析を完了すると、次に、広告提示サーバ12の場所解析部203は、前記分析された通行者特徴情報(「abc」)と、前記場所に関連する場所関連情報とに基づいて、前記場所の特徴を示す場所特徴情報を解析する(
図3:S103)。
【0053】
ここで、場所解析部203が場所特徴情報を解析する方法に特に限定は無いが、例えば、下記のようになる。先ず、場所解析部203は、機器属性情報テーブルを参照する。機器属性情報テーブル603には、
図6Aに示すように、参照機器ID(例えば、「111」)604と、場所関連情報605とが関連付けて記憶されている。参照機器ID604は、無線機器14の機器IDと同等の情報であり、場所関連情報605は、ベンダにより予め設定される情報であり、その定義は、適宜変更される。例えば、場所関連情報605は、無線機器14の属性情報(住所、地域、設置場所、設置場所の種類等)を示す機器属性情報605a、前記場所の特徴物の情報(建物、看板、広告物等)を示す特徴物情報605b、前記場所のことを経験的に知っている地域住民の情報(年齢層、性別等)を示す経験情報605cを含む。経験情報605cは、例えば、前記場所にある飲食店の店長が認識している客層情報(20代前半の女性が8割を占める)でも構わない。以下、本発明の実施形態では、場所関連情報605として機器属性情報605aとし、無線機器14がファッション関係の看板の近傍に設置されたことから、「ghi」を「ファッション」として、例に挙げて説明する。
【0054】
場所解析部203は、通行者特徴情報が分析された対象の機器ID(「111」)501と、機器属性情報テーブル603の参照機器ID(例えば、「111」)604とを照合し、照合した参照機器ID(「111」)604に対応する場所関連情報605の機器属性情報(「ghi」)605aを選択する。これにより、接触者が接触行動を起した場所又は特徴物の属性情報を推定することが出来る。
【0055】
そして、場所解析部203は、通行者特徴情報(「abc」)と、選択した場所関連情報(「ghi」)との組み合わせ(「abc」×「ghi」)を場所特徴情報として解析する。場所特徴情報の定義は、ベンダにより適宜変更される。本発明の実施形態では、「abc」が「女性」であり、「ghi」が「ファッション」であることから、場所特徴情報「abc」×「ghi」は、通行人層が主に「女性」であり、「ファッション」に関心があることを意味する。
【0056】
ここで、場所特徴情報の解析において通行者特徴情報に場所関連情報を組み合わせることで、実績値と設定値とのバランスで場所特徴情報が構成されることになるため、場所特徴情報の有効性を高めることが出来る。つまり、通行者特徴情報は、現実のユーザの行動情報に基づいて分析されるため、実績値であるものの、ノイズを多く含み、意味解釈が不明になり易い。一方、場所関連情報は、機器属性情報、特徴物情報、経験情報等、予め決定されているため、設定値であるものの、設定値以外の情報を含まず、現実から離れやすく、真理が不明になり易い。そこで、本発明では、実績値となる通行者特徴情報と、設定値となる場所関連情報とを掛け合わせることで、意味解釈及び現実を明確にし、有効性の高いジオターゲティングの指標を打ち出すことが出来るのである。
【0057】
さて、場所解析部203が解析を完了すると、広告提示サーバ12の商品決定部204は、前記解析された場所特徴情報と、商品の特徴を示す商品特徴情報とに基づいて、前記通行人層の特徴に合致する商品を決定する(
図3:S104)。
【0058】
ここで、商品決定部204が商品を決定する方法に特に限定は無いが、例えば、下記のようになる。即ち、商品決定部204は、先ず、商品情報テーブルを参照する。商品情報テーブル700には、
図7Aに示すように、商品を提供するサプライヤの提供ID(例えば、「aa11」)701と、サプライヤが提供する商品の商品情報(例えば、「ab12」)702と、商品の特徴(又はカテゴリー)を示す商品特徴情報(例えば、「abc」、「ghi」)703とが関連付けて記憶されている。提供ID701は、サプライヤを識別するための情報であり、商品情報702は、商品を識別するための情報である。商品特徴情報703は、ベンダ又はサプライヤが、商品の消費者を考慮して商品を特徴付ける情報であり、通行者特徴情報、場所関連情報、又はこれらの組み合わせで予め設定される。例えば、商品情報の「ab12」が「新作のハイヒール」の場合、ベンダは、「新作のハイヒール」を特徴付ける情報として、「女性」の「abc」と「ファッション」の「ghi」との組み合わせを商品特徴情報703に設定する。商品情報テーブル700の提供ID701と、商品情報702は、主に、コマースサーバ15からの情報の提供(例えば、広告代理店や生産者の商品コンテンツの入稿等)により作成される。
【0059】
そして、商品決定部204は、前記解析された場所特徴情報(「abc」×「ghi」)と、商品情報テーブル700の商品特徴情報703とを照合し、照合した商品特徴情報(「abc」×「ghi」)703に
対応する商品情報(「ab12」)702を決定する。ここで、場所特徴情報が商品特徴情報と
照合するとは、例えば、場所特徴情報の要素の全部が商品特徴情報の要素の全部と同一である、又は場所特徴情報の要素の一部が商品特徴情報の要素の一部と同一であることを意味する。言い換えると、場所特徴情報が商品特徴情報と同一か類似かで決定される。これにより、通行人層が興味を惹くと考えられる商品を決定することが出来る。
【0060】
さて、商品決定部204が決定を完了すると、広告提示サーバ12の広告提示部205は、前記決定された商品を紹介する広告を前記場所に提示する(
図3:S105)。
【0061】
ここで、広告提示部205が広告を提示する方法に特に限定は無いが、例えば、下記のようになる。即ち、広告提示部205は、前記商品情報702に基づいて、広告情報を生成する。広告情報704には、
図7Bに示すように、広告のタイトル「SUITABLE FASHIONS HERE !」705と、商品の画像706と、商品のコメント「LOVE ME ?」(名称や品種等)707と、商品の購入方法「Scan code by app Or Talk to app “love it”」708と、商品を識別するための商品コード709とが表示される。商品コード709は、例えば、キーワード、数字、文字列、認証コード、QRコード(登録商標)、バーコード、商品の購入方法708の発声文字等を含む。これにより、広告情報を確認したユーザは、商品コード709を用いて商品を購入することが出来る。
【0062】
ここで、前記場所における無線機器14の近傍に、広告表示部13としてデジタルサイネージが設置されており、ネットワーク11を介して広告提示サーバ12と通信可能に接続されている場合、広告提示部205が、ネットワーク11を介してデジタルサイネージ13へ広告情報704を送信することで、デジタルサイネージ13は当該広告情報704を前記場所に表示する。この場合、広告提示部205は、広告情報をコンテンツにした配信機能を有し、前記場所に特化した広告を簡単に表示させることが出来る。
【0063】
尚、前記場所にデジタルサイネージ13が無い場合は、ベンダが無線機器14の近傍にデジタルサイネージ13を設置し、ネットワーク11を介して広告提示サーバ12と通信可能に設定してから、広告情報がデジタルサイネージ13に送信される。又、他の方法として、例えば、ベンダが、広告情報をポスター専用のプリンタでポスターとして印刷して、当該ポスターを前記場所の近傍に貼り付ければ、前記場所に提示することが出来る。デジタルサイネージ、ポスターの他に、ボード、看板、ホログラム表示装置により広告を提示しても構わない。
【0064】
又、広告提示部205が広告情報を生成する方法に特に限定は無く、例えば、
図8Aに示すように、広告提示部205が、前記商品情報702に関係する複数の商品を選択し、選択された商品の画像706と、各商品の画像706毎の商品コード709を表示させても良い。複数の商品が表示される場合には、商品決定部204が、前記通行人層の特徴に合致する複数の商品を決定し、広告提示部205が、決定された各商品毎に広告情報を生成すれば良い。又、ここでの商品は、動産に限らず、不動産や塾、セミナー等の商品を含む。又、商品の購入方法に代えて、商品の詳細を示す資料の請求方法が表示されても良い。
図8Aには、複数の新築マンションの画像706と、新築マンションの資料の請求のための商品コード709が表示されている。
【0065】
ここまでで、広告提示の処理は終了する。次に、ユーザが広告を確認して行動を起こす場合について、
図7Bに示す広告情報に基づいて説明する。広告提示部205が提示を完了すると、広告提示サーバ12の指示受付部206が、ユーザ端末10から、前記広告に対応する商品の購入又は資料の請求の指示と、前記ユーザ端末10のユーザの氏名及び住所を含むユーザ情報との受付を開始する。
【0066】
ここで、指示受付部206が指示及びユーザ情報を受け付ける方法に特に限定は無いが、例えば、下記のようになる。即ち、ユーザが、前記広告情報704が提示された場所を通過中に、当該広告情報704に興味を示した場合、ユーザは、広告情報704に接近する。この場所には、無線機器14が設置されていることから、ユーザが広告表示部13に近づくことで、ユーザ端末10が、無線機器14と近距離無線通信し、この通信情報は、広告提示サーバ12の行動収集部201へ送信され、行動収集部201は、ユーザの行動情報を収集する(
図3:S201)。
【0067】
ユーザが、広告情報704を確認し、例えば、商品を購入する(又は資料を請求するための専用のアプリケーションをユーザ端末10にダウンロードするか、広告提示サーバ12の専用のWebサイトにアクセスする。次に、ユーザは、広告情報704の商品コード709をユーザ端末10に入力する。
【0068】
ここで、商品コード709がキーワード、認証コード等であれば、ユーザがユーザ端末10の端末受付部(キーボードキー等)を用いて入力する。商品コード709がQRコード(登録商標)、バーコード等であり、ユーザ端末10が読取部(カメラ等)を有する場合、ユーザが、この読取部を用いて入力する。又、ユーザ端末10が音声認識入力部を有する場合、ユーザが音声認識入力部に購入方法708の発声文字「love it」を発声することで、商品コード709を音声入力する。
【0069】
すると、商品コード709を入力されたユーザ端末10の端末制御部207は、当該商品コード709に対応する商品情報を端末表示部に表示させる。
図8Bに示すように、端末表示部には、前記商品情報における商品の画像800と、購入キー801とが表示される。ここで、商品情報を表示する画面は、例えば、オンラインショップのショッピングカートを採用し、商品コード709の入力に対応し、画面がショッピングカートに遷移するよう構成しても良い。ショッピングカートでは、商品コード709に対応する商品情報を一時的に保存する。
【0070】
ところで、商品コードの入力に代えて超音波の発信を利用しても良い。例えば、ユーザ端末10に予め設けられたマイクロフォンは、超音波に反応して特定の情報を受け取ることが出来る。そこで、広告表示部13の近傍に、商品コードを情報として含む超音波を発信する超音波発信部を設けて、ユーザ端末10のマイクロフォンが超音波発信部の超音波を受信すると、ユーザ端末10の端末制御部207が、超音波に含まれる商品コードの入力を受け付けて、商品コードに対応する商品情報のショッピングカートに遷移するよう構成しても良い。これにより、商品コードの入力の手間を軽減することが出来る。
【0071】
さて、ユーザは、商品の画像800を見ながら、購入キー801を選択すると、端末制御部207は、前記入力された商品コード709と、当該ユーザ端末10のユーザのユーザ情報とをネットワーク11を介して広告提示サーバ12に送信する。
【0072】
ここで、ユーザ情報が取得される方法に特に限定は無い。例えば、ユーザが、前記アプリケーションをダウンロードした際に、ユーザ端末10が、ユーザ情報の入力を受け付け、入力されたユーザ情報を前記アプリケーション(ユーザ端末10側のデータ領域、メモリ領域)に予め登録しておく。そして、端末制御部207が、商品コードとともにユーザ情報を広告提示サーバ12に送信する。又、ユーザが購入キー801を選択する際に、ユーザ端末10がユーザ情報の入力を受け付けても良い。
【0073】
そして、指示受付部206が、ユーザ端末10から商品コードとユーザ情報とを受信すると、商品の購入の指示及びユーザ情報を受け付ける(
図3:S202YES)。
【0074】
尚、ユーザ情報は、広告提示サーバ12側に予め登録されても良く、ユーザが、前記Webサイトにアクセスした際に、当該Webサイトが、ユーザ端末10からユーザ情報の入力を受け付け、入力されたユーザ情報を前記Webサイト(広告提示サーバ12側のデータ領域、メモリ領域)に予め登録しても良い。ここで、ユーザ端末10の端末IDにユーザ情報を関連付けておき、ユーザ端末10が、商品コードとともに端末IDを広告提示サーバ12に送信することで、指示受付部206が、端末IDに対応するユーザ情報を受け付けても良い。
【0075】
ここで、広告表示部13の近傍に無線機器14が設けられていることから、指示受付部206が、ユーザ端末10と無線機器14との近距離無線通信を利用して、ユーザの実存認証を行った上で、商品の購入の指示及びユーザ情報を受け付けると好ましい。
【0076】
例えば、端末制御部207が商品コードの入力を受け付ける際に、無線機器14と近距離無線通信し、当該無線機器14の機器IDを接触機器IDとして取得する。そして、端末制御部207が、広告提示サーバ12にアクセスし、前記商品コード705の商品情報(「ab12」)に対応する場所特徴情報(「abc」×「ghi」)を検索し、当該検索された場所特徴情報が解析された場所の無線機器14の機器ID(「111」)を認証機器IDとして広告提示サーバ12から取得する。
【0077】
そして、端末制御部207が、認証機器ID(「111」)と、接触機器IDとを照合し、認証機器IDが接触機器IDに一致している場合、端末制御部207は、入力された商品コード及びユーザ情報を指示受付部206に送信する。一方、認証機器IDが接触機器IDに一致しない場合に、端末制御部207は、入力された商品コードを破棄する。この場合は、例えば、端末制御部207は、エラーを端末表示部に表示する。
【0078】
このように、ユーザの実在認証を行うことで、ユーザが広告情報704を視認し、購入又は資料請求の行動を起こしたことを示すコンバージョンを測定することが可能となる。特に、複数の広告表示部13を各場所に設置して、同一の広告情報704を様々な場所に提示した場合、どこの広告情報704によりユーザが行動を起こしたかを検証することが出来て、次の広告情報の選定等に有効である。更に、ユーザは、広告情報704が提示されている場所でしか商品の購入(資料の請求)を行うことが出来ないことから、場所に限定した商品の購入を担保することが出来る。
【0079】
尚、上述した実在認証は、広告提示サーバ12の指示受付部206が行っても良い。この場合、端末制御部207が、商品コード及びユーザ情報を送信する際に、無線機器14の接触機器IDを広告提示サーバ12に送信する。指示受付部206は、接触機器IDと、認証機器IDとを照合し、認証機器IDが接触機器IDに一致している場合、指示受付部206は、接触機器IDとともに送信された指示及びユーザ情報を受け付け、認証機器IDが接触機器IDに一致しない場合、指示受付部206は、接触機器IDとともに送信された指示及びユーザ情報を破棄する。
【0080】
ここで、実在認証を実行する無線機器14がBeacon端末の場合は、
図8Bに示すように、ユーザ端末10がBeacon端末14から機器IDを含む電波を自動的に受信するため、商品コード及びユーザ情報とともに機器IDを広告提示サーバ12に送信することが出来る。
【0081】
一方、無線機器14がWi−Fiセンサの場合、Wi−Fiセンサ14が、ユーザ端末10の端末IDを受信して、端末ID及び機器IDを広告提示サーバ12に送信する。そのため、指示受付部206が、ユーザ端末10から商品コード及びユーザ情報を受け付けた際に、ユーザ端末10の端末IDを取得し、Wi−Fiセンサ14からの第一の端末IDと、ユーザ端末10からの第二の端末IDとを照合するとともに、Wi−Fiセンサ14からの端末IDの第一の受信時刻が、ユーザ端末10からの端末IDの第二の受信時刻と近接しているか、又は第二の受信時刻を中心とした所定の時間帯に存在するか否かを判定する。第一の端末IDが第二の端末IDと照合し、且つ、第一の受信時刻が第二の受信時刻と近接している場合に、指示受付部206は、ユーザ端末10が無線機器14の近傍に存在する(実在認証)と判定する。又、端末IDに代えて、Wi−Fiセンサ14からの機器IDを接触機器IDとして、上述の判定をする必要がある。
【0082】
そのため、無線機器14は、ユーザの行動情報を収集する場合には、Wi−Fiセンサであると好ましく、ユーザ端末10から指示が送信される場合には、Beacon端末であると好ましい。無線機器14が、Wi−Fiセンサの機能とBeacon端末の機能とを兼ね備えていると更に好ましい。
【0083】
さて、指示受付部206が指示及びユーザ情報を受け付けると、広告提示サーバ12の商品発送部208が、前記ユーザ情報に基づいて、前記指示に対応する商品又は資料を前記ユーザ情報のユーザに発送する。
【0084】
ここで、商品発送部208が発送する方法に特に限定は無いが、例えば、下記のようになる。即ち、商品発送部208は、商品情報テーブル700を参照し、指示された商品の商品情報(「ab12」)と、商品情報テーブル700の商品情報702とを照合し、照合された商品情報702(「ab12」)に対応する提供ID(「bb11」)701を取得する。そして、商品発送部208は、
図9Aに示すように、取得した提供IDに基づいて、サプライヤのコマースサーバ15に、商品情報(「ab12」)とユーザ情報(氏名、住所)とを商品の発注として送信する(
図3:S203)。
【0085】
コマースサーバ15は、商品情報(「ab12」)とユーザ情報(氏名、住所)とを受信すると、前記指示が商品購入の場合、当該商品情報の商品(「新作のハイヒール」)を当該ユーザ情報の住所に当該ユーザ情報の氏名宛で発送する指示を配送センタ16に送信する。配送センタ16では、商品情報の商品(「新作のハイヒール」)をユーザ情報の住所に配送する(
図3:S204)。これにより、商品を購入したユーザは、後ほど、配送センタ16から配送される商品を、ユーザ情報の住所で受け取ることが出来る。又、コマースサーバ15は、前記指示が資料請求の場合は、当該商品情報の資料(カタログ、パンフレット等)を当該ユーザ情報の住所に当該ユーザ情報の氏名宛で郵送する指示を配送センタ16に送信する。配送センタ16では、資料をユーザ情報の住所に郵送する(
図3:S204)。この資料は、ユーザ情報の住所のポストに投函される。これにより、資料を請求したユーザは、後ほど、配送センタ16から郵送された資料を、ユーザ情報の住所で受け取ることが出来る。
【0086】
ここで、商品の購入に伴う代金の支払処理に特に限定は無いが、例えば、指示受付部206が、ユーザ端末10から商品の購入の指示を受け付ける際に、ユーザからクレジットカード情報を受け付けることで行われても良い。
【0087】
又、プリペイド方式を採用しても良い。例えば、ユーザが、特定の金額を広告提示サーバ12のベンダに支払うと、広告提示サーバ12が、特定の金額に対応するプリペイドコードをユーザに発行する。そして、ユーザが、商品コードを入力する際に、プリペイドコードを入力し、指示受付部206が、プリペイドコードの金額から商品コードの商品の金額を減算し、残金が0円以上であれば、商品の購入の指示を受け付ける。そして、商品発送部208がコマースサーバ14に発注を指示する際に、先にユーザから支払われた金額を支払う処理を行っても良い。又、指示受付部206が、ユーザの希望に応じて、代金引換情報を受け付けても良い。
【0088】
一方、S202において、ユーザが、前記広告情報704の場所を通過する際に、当該広告情報704に興味を示すこと無く、そのまま通過して立ち去った場合、この場所に設置された無線機器14は、このユーザ端末10と近距離無線通信をするものの、単なる通行人と評価される通信情報が広告提示サーバ12の行動収集部201へ送信される。この場合には、指示受付部206は、ユーザ端末10から何も受け付けない(
図3:S202NO)。
【0089】
ところで、広告表示部13の近傍に無線機器14が設けられていることから、広告情報704が提示された後、行動収集部201は、前記場所におけるユーザの行動情報を継続的に収集する。この場合に、指示受付部206が、前記指示を受け付けると、行動収集部201が、指示された商品の商品情報を、前記ユーザの行動情報に関連付けることで、複数のユーザの行動情報のうち、広告で行動を起こした行動者を識別することが出来る。
【0090】
例えば、広告情報704が提示された後に、ユーザが当該広告情報704に接近して、ユーザ端末10を用いて指示し、その場を立ち去ると、行動収集部201は、当該ユーザ端末10から通信情報を取得し、ユーザの行動情報を算出する。ここで、行動収集部201は、指示受付部206からの指示の結果を受けて、
図9Bに示すように、場所解析テーブル500に商品情報505を追加し、ユーザ端末10の端末ID(「eee」)502において、行動を起こしたユーザの行動情報503に、指示された商品の商品情報(「ab12」)を記憶させる。
【0091】
一方、他のユーザが広告情報704に接近しても、当該広告情報704に興味を持たず、その場を立ち去ると、場所解析部201は、ユーザ端末10の端末ID(「fff」)502において商品情報505に何も記憶されない。
【0092】
このように、場所解析テーブル500の商品情報505の有無により、ユーザ端末10のユーザが行動者か否かを識別することが出来るため、広告情報704の有効性を検討したり、ユーザ端末10のユーザの趣味趣向を推定したりすることが出来る。
【0093】
ところで、行動収集部201がユーザの行動情報を継続的に算出・蓄積し、通行者分析部202が、特定のタイミングで通行者特徴情報を定期的に更新することで、場所特徴情報を再解析し、商品を再決定し、広告を再提示して、広告の内容を切り替えても良い。
【0094】
例えば、場所特徴情報が「abc」×「ghi」と解析され、これに適した商品情報「ab12」の広告情報が提示された場合、行動収集部201が、
図10Aに示すように、当該広告情報が提示された直後からのユーザの行動情報を算出し、場所解析テーブル500に蓄積する。そして、通行者分析部202は、端末ID502毎に、接触者特徴情報504を算出し、接触者特徴情報504が記憶された端末ID(接触者)の数が特定の数(例えば、1000人)を超過した場合に、全ての接触者特徴情報504のうち、同一の接触者特徴情報504の割合(%)を算出する。そして、特定の接触者特徴情報(例えば、「def」)504の割合(%)が特定の閾値(例えば、60%)を超過した場合、通行者分析部202は、閾値を超過した特定の接触者特徴情報(「def」)504を通行者特徴情報として分析する。そして、場所解析部203は、通行者特徴情報(「def」)と、場所関連情報の機器属性情報(「ghi」)605aとの組み合わせ(「def」×「ghi」)を場所特徴情報として解析する。これは、前記場所を往来する通行人層の特徴が変わったことで生じる。ここで、本発明の実施形態では、「def」が「男性」であり、「ghi」が「ファッション」であれば、場所特徴情報「def」×「ghi」は、通行人層は主に「男性」であり、「ファッション」に関心があることを意味する。
【0095】
場所特徴情報が変更されると、商品決定部204は、変更後の場所特徴情報と、商品特徴情報とに基づいて、商品を再決定する。ここで、
図10Bに示すように、場所特徴情報が、「abc」×「ghi」から「def」×「ghi」に変更されることで、
図7Aの商品情報テーブル700における商品情報702が、「ab12」から「ab13」に変更される。ここでは、「ab13」は、「男性向けの化粧品」を想定する。商品情報702が「ab13」となることで、
図10Bに示すように、広告情報704が「新作のハイヒール」から「男性向けの化粧品」変更される。
【0096】
ここで、広告表示部13がデジタルサイネージであれば、広告提示部205が、変更後の広告情報をデジタルサイネージ13に送信することで、広告情報を容易に切り替えることが出来る。又、広告表示部13がポスターであれば、ベンダが変更後の広告情報をポスターとして印刷し、ポスターを貼り直すことで、広告情報を切り替える。このように、ユーザの行動情報を定期的に更新することで、広告情報を容易に切り替えることが可能となる。
【0097】
尚、上述では、通行者分析部202が、端末ID(接触者)の数が特定の数を超過したタイミングで同一の接触者特徴情報504の割合(%)を算出し、通行者特徴情報を更新したが、他のタイミングでも構わない。例えば、ユーザの行動情報を通信情報の受信時刻と関連付けて記憶させ、一日の時間帯(朝、昼、夜)、季節(春夏秋冬)等で区分して、特定の時間又は季節になった場合に、同一の接触者特徴情報504の割合(%)を算出し、通行者特徴情報を更新しても良い。
【0098】
又、広告表示部13がデジタルサイネージであり、前記場所に無線機器14が存在する場合、ユーザ端末10がデジタルサイネージ13に近づいた時に、商品決定部204が、解析された場所特徴情報に、当該近づいたユーザ端末10の接触者特徴情報504を加味して、ユーザ端末10のユーザに適した商品を決定し、広告提示部205が、前記ユーザ端末10のユーザに好まれると考えられる商品の広告情報に切り替えても良い。例えば、ユーザ端末10の接触者特徴情報504が「主婦」である場合、広告提示部205が、広告情報を「男性向けの化粧品」から「家庭用バス液剤」に切り替える。このように、通行者特徴情報に接触者特徴情報を組み合わせて、ユーザ端末10毎に広告情報を切り替えても良い。
【0099】
又、場所特徴情報に通行者特徴情報の年齢層が含まれる場合は、性別に加えて、年齢層に応じて広告情報を切り替える。例えば、年齢層が高齢層である場合、又は性別が女性である場合のいずれか一方又は両方において、広告情報は、持って帰る際に負担が掛かる米や飲料水に切り替え、年齢層が若年層である場合、及び、性別が男性である場合、広告情報は、安価な特産物に切り替える。又、広告情報の商品は、価値の高い食材、鮮度の高い海産物、肉、各都道府県の特産物等、場所特徴情報に合わせて選定することが出来る。
【0100】
又、広告表示部13は、画像に限らず音声放送による広告の提示でも構わない。例えば、広告表示部13がスピーカーである場合、
図11Aに示すように、広告表示部205が、広告情報を「商品XXXが10%オフ!」にして、スピーカー13で音声放送する。スピーカー13の近傍には、無線機器14が設置され、ユーザ端末10と近距離無線通信し、ユーザがスピーカー13の近傍に存在することは認証される。ここで、ユーザが音声放送を聞いた際に、ユーザ端末10の音声認識入力部を利用して、「買います」の発声をユーザ端末10に入力すると、端末制御部207は、当該発声を商品コードとして受け付けて、「商品XXX」の画像1100と、購入キー1101とが表示される。このように、ユーザは音声放送で広告情報を聴取し、音声で商品の購入を指示しても構わない。資料請求も同様である。
【0101】
又、広告表示部13の近傍に、ユーザの動作検知部17を設置し、ユーザからの動作を検知して、ユーザの意思伝達に利用しても良い。例えば、
図11Bに示すように、広告表示部13で、広告情報704の中に、「この商品が良いと思う人 手で丸を描く!」というユーザの意思に対して特定の動作を促すメッセージ1102を入れる。ユーザが、前記メッセージ1102を確認した際に、手で丸を描く動作を行うと、動作検知部17が、ユーザの動作を検知し、検知された動作情報を無線機器14を介して広告提示サーバ12に送信する。広告提示サーバ12では、広告情報704のメッセージ1102が示す動作情報と、動作に対する意思情報(例えば、「イイね!」)とを関連付けておき、広告提示サーバ12は、受信した動作情報から意思情報を決定する。このように、ユーザの動作から意思伝達を行うようにすることで、広告情報704の意見収集やアンケートに利用することが出来る。尚、動作検知部17は、赤外線を利用したセンサ、映像カメラ等を採用することが出来る。
【0102】
又、本発明の実施形態では、行動収集部201が、無線機器14の通信情報に基づいてユーザの行動情報を詳細に算出したが、ラフに算出しても良い。例えば、通信情報の電波強度の種類によらず、電波強度「Far」の存在と受信時刻を用いて、無線機器14と近距離無線通信したユーザ端末10の端末IDの数Nを通行者数として特定の期間t(例えば、一日の朝、昼、夜)でプロットすると、
図12Aに示すように、特定の期間tにおいて通行者数の変動を示すグラフが作成される。通行者が多い場合、Nは百以上となる。第一の場所(例えば、飲食店)の近くに無線機器14が設置された場合、昼頃に通行者数がピークとなり、第二の場所(例えば、駅)の近くに無線機器14が設置された場合、朝頃と夜頃に通行者数がピークとなる。このグラフをユーザの行動情報としても良い。この場合、通行者分析部202は、グラフの高低や時間帯に基づいて通行者特徴情報を分析する。通行者分析部202は、第一の場所の場合、「昼頃に多くなる通行者」を通行者特徴情報として分析し、第二の場所の場合、「朝頃と夜頃に多くなる通行者」を通行者特徴情報として分析する。この場合、代表的なユーザの行動パターン又は行動予測パターンは、容易に抽出することが出来る。そして、場所解析部203は、第一の場所に関連する場所関連情報(例えば、「飲食店」)を用いて、場所特徴情報を「昼頃に通行者が多くなる飲食店」を場所特徴情報として解析し、第二の場所に関連する場所関連情報(例えば、「駅」)を用いて、「朝頃と夜頃に通行者が多くなる駅」を場所特徴情報として解析する。これにより、場所の意味付けが明確になる。
【0103】
行動収集部201が、通信情報の電波強度の種類に応じ、受信時刻を用いて、ユーザ端末10の端末IDの数Nを通行者数として特定の期間t(一日の朝、昼、夜)でプロットすると、
図12Bに示すように、特定の期間tにおいて通行者数及び近接度の変動を示すグラフが作成される。近接度を加えることで、通行者が接近したか否かが明確に分かるため、通行者特徴情報を分析し易くなる。又、電波強度の変化を行動パターン(例えば、「Far → Near → Far」、「Near → Immediate → Near」等)として定義し、特定の端末IDにおける通信情報から、行動パターンの数(頻度、割合等)を抽出し、最も数の多い行動パターンを通行者特徴情報の頻出パターンとして分析しても良い。電波強度も加味することで、例えば、同一の場所において、デジタルサイネージを設ける前後における通行者の行動パターンの変化を確認し、デジタルサイネージ等の広告表示部13の有効性を検証することも出来る。
【0104】
又、本発明の実施形態では、行動収集部201が、特定の場所に設置した一つの無線機器14の通信情報に基づいてユーザの行動情報を算出したが、複数の場所にそれぞれ設置した複数の無線機器14の通信情報に基づいて、特定の場所におけるユーザの行動情報を算出しても良い。例えば、デジタルサイネージ等の広告表示部13を設置予定の場所と、この場所の周辺場所にそれぞれ無線機器14を設置する。ここでは、
図13Aに示すように、広告主の店舗の第一の場所に第一の無線機器14aを設置し、店舗の周辺駅の第二の場所に第二の無線機器14bを設置し、広告設置予定の第三の場所に第三の無線機器14cを設置する。そして、行動収集部201は、第一の無線機器14aから第三の無線機器14cまでの通信情報を収集する。例えば、これらの通信情報の電波強度の種類によらず、受信時刻を用いて、各無線機器14a、14b、14c毎のユーザ端末10の端末IDの数Nを通行者数として特定の期間t(一日の朝、昼、夜)でプロットする。すると、
図13Bに示すように、各無線機器14a、14b、14c毎のグラフが作成される。例えば、第一の場所のグラフが昼頃をピークになだらかな山形であり、第二の場所のグラフが夜頃をピークにシャープな山形であり、第三の場所のグラフが夕方をピークにシャープな山形であれば、第一の場所の通行者と第二の場所の通行者に関連が無く、第三の場所の通行者が第二の場所へ流れていると推定される。そのため、通行者分析部202は、「第二の場所へ流れる通行者」を第三の場所の通行者特徴情報として分析することが出来る。
【0105】
更に、通行者分析部202は、複数の無線機器14a、14b、14cで想定される経路パターンを行動パターン(例えば、「第一の場所 → 第三の場所」、「第三の場所 → 第二の場所」等)と定義する。ここで、三つ以上の場所の経路パターンを定義しても良いが、二つの場所の経路パターンに限定することで、二点間リンク強度を知ることが出来る。そして、特定の端末IDにおける複数の無線機器14a、14b、14cの通信情報から、行動パターンの数を抽出し、最も数の多い行動パターンを通行者特徴情報の頻出パターンとして分析する。例えば、「第一の場所 → 第三の場所」の数が、「第三の場所 → 第二の場所」の数よりも少ない場合は、通行者分析部202は、「第一の場所から来ない通行者であって、第二の場所へ向かう通行者」を第三の場所の通行者特徴情報として分析することが出来る。この場合は、第三の場所を含めて、代表的なユーザの行動パターン又は行動予測パターンを容易に推定することが出来る。そして、場所解析部203は、第三の場所に関連する場所関連情報(例えば、「駅周辺の通り」)を用いて、場所特徴情報を「駅へ向かう通行者が多い駅周辺の通り」を場所特徴情報として解析する。ここで、例えば、第三の場所に、第一の場所の店舗の広告を表示するデジタルサイネージ13を設置することで、駅へ向かう通行者を店舗へ流れるように案内することが出来る。又、デジタルサイネージ13の有効性は、広告設置後の複数の無線機器14の通信情報から、上述と同様に評価することが出来る。更に、第三の場所を変更することで、広告の提示が最も有効に機能する最適な広告設置場所を探索することも可能となる。もちろん、電波強度を加味して、上述の解析を行っても良い。
【0106】
又、本発明の実施形態では、広告提示システム1が各部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを装置に読み出させ、当該装置が前記各部を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各部が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【解決手段】広告提示システム1において、行動収集部201は、特定の場所を往来する複数のユーザの行動情報を収集する。通行者分析部202は、前記収集された複数のユーザの行動情報に基づいて、前記場所の通行者層の特徴を示す通行者特徴情報を分析する。場所解析部203は、前記分析された通行者特徴情報と、前記場所に関連する場所関連情報とに基づいて、前記場所の特徴を示す場所特徴情報を解析する。商品決定部204は、前記解析された場所特徴情報と、商品の特徴を示す商品特徴情報とに基づいて、前記通行人層の特徴に合致する商品を決定する。広告提示部205は、前記決定された商品を紹介する広告を前記場所に提示する。