特許第6037231号(P6037231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037231
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】遊技球搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   A63F7/02 346Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-170625(P2013-170625)
(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公開番号】特開2015-39420(P2015-39420A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2014年7月4日
【審判番号】不服2015-21345(P2015-21345/J1)
【審判請求日】2015年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】501005966
【氏名又は名称】大都販売株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 良治
【合議体】
【審判長】 平城 俊雅
【審判官】 川崎 優
【審判官】 加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−185162(JP,A)
【文献】 特開昭53−42951(JP,A)
【文献】 特開平11−216243(JP,A)
【文献】 実開平4−58285(JP,U)
【文献】 特開2000−135367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機で使用される遊技球を搬送する遊技球搬送装置であって、
前記遊技球が通過可能な搬送体と、
前記搬送体の外周に巻き付けられたコイルであり、前記搬送体の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の前記コイルと、
前記複数のコイルに電流を供給するための回路と、
を備え、
前記回路によって前記複数のコイルの全てに電流を流すことにより、前記搬送体内の軸方向に沿って前記遊技球を搬送可能な電磁力を有する複数の電磁場を生じさせ、前記遊技球を前記複数の電磁場によって前記搬送体内の軸方向に搬送する、
ことを特徴とする遊技球搬送装置。
【請求項2】
前記搬送体は、軸方向に分割可能であり、
前記コイルは、分割された前記搬送体にそれぞれ配設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技球搬送装置。
【請求項3】
前記搬送体内には、前記遊技球の逆流防止のためのストッパが配設されている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の遊技球搬送装置。
【請求項4】
前記回路は、前記遊技球の量を検出するセンサを有しており、前記センサによって検出した前記遊技球の量が所定値以上の場合に、前記回路によって前記コイルに電流を流す、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の遊技球搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技機で使用される遊技球を搬送・移送する遊技球搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ球などの遊技球を使用した遊技機が設置されている遊技場においては、複数台の遊技機が設置された遊技機島に配設されており、遊技機島内において所定数の遊技球が循環するようになっている。
【0003】
例えば、パチンコ機遊技盤面の後部で環状体を回転駆動させ、環状体に遊技盤前面の遊技球を吸引作用する磁石を設け、環状体を回転駆動して磁石を上下動し、遊技盤前面の遊技球を吸着しながら揚送又は下降する遊技球揚送装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、汚れの付着した遊技球を電磁力によって順次励磁吸引を行い、遊技機設置島の下部タンクより遊技機設置島の遊技球供給タンクへ遊技球を揚送面の反対側に展張させた研磨布に接触させて研磨を行いながら揚送する揚送研磨装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、鉄球の揚送経路である非磁性パイプの外周面に沿って多数のソレノイドコイルが設けられ、ソレノイドコイルを順次オンさせるとともに、オンさせたソレノイドコイルの次に配置したソレノイドコイルがオンすると同時にオフさせる鉄球の搬送装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−337482号公報
【特許文献2】特開2010−158328号公報
【特許文献3】特開2000−185162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1のような装置では、揚上高さが高くなるほど、すなわち、搬送長さが長くなるほど、搬送力が増加するため大きな動力を必要とする。また、チェーン、スプロケットホイール、モータを含む機械的な構成部品の摩耗もあるので長期間の使用に対して揚上能力を維持することが困難であった。また、特許文献2に記載のような装置では、マイクロプロセッサによって電磁石の励磁のタイミングを制御する必要があり、遊技球が落下しないようにするためには、常時、電磁石を順次励磁させて、上へと吸引されるようにする必要がある。さらに、特許文献3に記載のような装置では、順次オンするソレノイドコイルに鉄球が吸着されるものであり、鉄球が落下しないようにするためには、常時、ソレノイドコイルを順次オンさせて、上へと吸引されるようにする必要がある。
【0006】
そこでこの発明は、簡易な構造で遊技球を上方に搬送することが可能で、消費電力を抑えた遊技球搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技機で使用される遊技球を搬送する遊技球搬送装置であって、前記遊技球が通過可能な搬送体と、前記搬送体の外周に巻き付けられたコイルであり、前記搬送体の軸方向に沿って所定間隔で配置された複数の前記コイルと、前記複数のコイルに電流を供給するための回路と、を備え、前記回路によって前記複数のコイルの全てに電流を流すことにより、前記搬送体内の軸方向に沿って前記遊技球を搬送可能な電磁力を有する複数の電磁場を生じさせ、前記遊技球を前記複数の電磁場によって前記搬送体内の軸方向に搬送する、ことを特徴とする遊技球搬送装置である。
【0008】
この発明によれば、回路によって複数のコイルの全てに電流を流すことにより、搬送体内の軸方向に沿って遊技球を搬送可能な電磁力を有する複数の電磁場を生じさせるので、遊技球は、複数の電磁場によって搬送体内の軸方向に沿って搬送される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技球搬送装置において、前記搬送体は、軸方向に分割可能であり、前記コイルは、分割された前記搬送体にそれぞれ配設されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の遊技球搬送装置において、前記搬送体内には、前記遊技球の逆流防止のためのストッパが配設されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載の遊技球搬送装置において、前記回路は、前記遊技球の量を検出するセンサを有しており、前記センサによって検出した前記遊技球の量が所定値以上の場合に、前記回路によって前記コイルに電流を流す、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、搬送体内の軸方向に沿って生じる電磁力によって、遊技球を搬送体内の軸方向に沿って搬送するので、ベルト、プーリ、駆動モータなどを含む機械的な構成部品を使用する場合に比べて駆動音を抑えることができる。また、機械的な構成部品が不要であり、構成部品の点数が少なくなるため、装置を簡素かつ小型化することができる。また、遊技球を搬送するための機構が簡易になるので、故障の発生を減らすことができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、搬送体およびコイルが軸方向に分割可能であるので、故障や点検時に当該部分のみを交換することができるので、メンテナンスが容易である。
【0014】
請求項3の発明によれば、搬送体内には、遊技球の逆流防止のためのストッパが配設されているので、遊技球の逆流を防止することができる。すなわち、コイルに電流を流すことを中断した場合であっても、ストッパによって遊技球が落下することを防止することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、遊技球の量が所定値以上の場合に限って、回路によってコイルに電流を流すように制御するので、コイルに電流を流し続ける場合に比べて消費電力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置の一部を破断して内部を示した図である。
図2図1の遊技球搬送装置の一部を破断して内部を示した図である。
図3図1の遊技球搬送装置の一部を破断して内部を示した平面図である。
図4図1の遊技球搬送装置の搬送体を示す平面図である。
図5図1の遊技球搬送装置の搬送体周辺に電磁力が生じた状態を示す図である。
図6図1の遊技球搬送装置の回路を示す図である。
図7】遊技機島が設置された遊技場を示した図である。
図8】この発明の他の実施の形態に係る遊技球搬送装置の一部を破断して内部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0018】
図1ないし図3は、この発明の実施の形態に係る遊技球搬送装置1を示す図であり、この遊技球搬送装置1は、図7に示すように、遊技機210で使用された遊技球101の中で入賞しなかったアウト球を回収して遊技機島200の上方に搬送するための装置である。遊技機島200には、複数台の遊技機210が設置されており、下方には、遊技機210の入賞口やアウト口等に入球して外部へ排出された遊技球101を受ける遊技球回収タンク211が配設され、上方には、遊技機210に遊技球101を供給する遊技球供給タンク212が配設されている。この実施の形態においては、複数の遊技機210で構成される島(遊技機群)内、いわゆる遊技機島200内で遊技球101が循環する場合を主として説明するが、遊技球101が、各遊技機210内でのみ循環する場合であってもよい。
【0019】
「遊技球搬送装置1の構成」
この遊技球搬送装置1は、図1ないし図3に示すように、主として、搬送体としての搬送管2と、ゴミ落としスノコ3と、コイル4と、ストッパ5と、図6に示すような放電回路6とを備えている。
【0020】
「搬送管2の構成」
搬送管2は、図1ないし図3に示すように、遊技球101が通過可能な、略正方形の断面を有する非磁性パイプで構成されており、軸方向が上下方向となるように並列に、この実施の形態では、6本の搬送管2〜2が配設されている。搬送管2の断面は、図4に示すように、一辺の長さが遊技球101の直径よりもわずかに大きい略正方形となっており、搬送管2の各内周面部と遊技球101とが4点のみで接するようになっている。搬送管2は、下端側開口2aが遊技機島200の遊技球回収タンク211側に接続され、上端側開口2bが遊技球供給タンク212側に接続されている。
【0021】
後述するコイル4に流れる電流によって、搬送管2の内周側には、下から上へ向かう電磁場が形成されるようになっている。これにより、遊技球回収タンク211側から下端側開口2aを介して流入した遊技球101が、搬送管2内を下方から上方に向かって搬送されて、上端側開口2bから遊技球供給タンク212に流出するようになっている。ここで、搬送管2の形状は、略正方形の断面を有する直管パイプには限らず、他の略多角形、略楕円を含む断面を有する直管パイプであってもよい。さらに、略円形の断面を有する直感パイプであってもよい。この場合は、搬送管2の各内周面部と遊技球101とが全周に亘って接触するために、摩擦が増大する。また、並列に配設する搬送管2は6本に限定されず、当該遊技機島200における遊技球101の搬送能力に合わせて本数を増減させてもよい。さらにまた、搬送管2は、屈曲部を有する曲管パイプであってもよい。
【0022】
さらに、搬送管2は、メンテナンスが容易となるように、6本の2〜2を一体化してユニットとしてもよい。
【0023】
さらにまた、搬送管2は、軸方向に分割された複数の搬送管2を接続して構成するようにしてもよい。このようにすることにより、遊技機島200に応じた搬送管2の長さ調節が容易となり、メンテナンスが容易となる。
【0024】
「ゴミ落としスノコ3の構成」
ゴミ落としスノコ3は、一端側が遊技球回収タンク211側と接続され、他端側が搬送管2側(下端側開口2a)と接続されており、図2図3に示すように、遊技球101を整列させた状態で、遊技球回収タンク211内から搬送管2側に送り出すものである。ゴミ落としスノコ3は、図2に示すように、下端側開口2a側が低くなるように、傾斜角θに設定されており、遊技球101を遊技球回収タンク211側から搬送管2側に送り出すようになっている。ゴミ落としスノコ3は、具体的には、図3に示すように、遊技球101の直径よりも小さい間隔で配設された板体31によってレール部32が形成されており、遊技球101が隣接する2本の板体31上を転動するようになっている。ゴミ落としスノコ3は、搬送管2の本数に応じて増減させるものであり、この実施の形態では、7本の板体31〜31によって6本のレール部32〜32が形成されている。このレール部32〜32によって、それぞれ整列した状態の遊技球101が1球ずつ搬送管2の各下端側開口2aに向かって案内されるようになっている。
【0025】
また、ゴミ落としスノコ3はレール状に形成されているため、遊技球101がゴミ落としスノコ3上を通過する際に、遊技球101表面に付着したゴミや遊技球101と共に搬送されたゴミや異物が下方に落下するようになっている。
【0026】
「コイル4の構成」
コイル4は、図1に示すように、6本の搬送管2の外周を囲うように、軸方向に所定間隔で、ここでは、コイル4〜4が配設されている。コイル4には、後述する放電回路6によって電流が流れるようになっており、図5に示すような電磁場が生じるようになっている。すなわち、コイル4によって、搬送管2の内周側には、下から上へ向かう電磁場が形成される。コイル4は、遊技球101を一つ上のコイル4まで持ち上げ可能な電磁力が生じるように、巻き付け数や流れる電流値が設定されている。そして、具体的には、下端側開口2aから搬送管2内に流入した遊技球101を、コイル4によって形成される電磁場によって上方に持ち上げ、次のコイル4によって形成される電磁場によって搬送管2内をさらに上方に持ち上げる。このようにして、コイル4によって生じる電磁場は、搬送管2内の遊技球101を順次上方に持ち上げるようになっている。
【0027】
また、コイル4が外周に配設された搬送管2は、電磁ノイズを除去するために全体に低周波磁気シールドを施す。
【0028】
「ストッパ5の構成」
ストッパ5は、遊技球101の逆流防止のためのものであり、搬送管2の内周面部に所定間隔、ここでは、隣接するコイル4〜4間に配設されている。ストッパ5は、搬送管2の内周面部に突出して遊技球101の通過を妨げるように配設されており、上方側に傾倒可能である。ストッパ5は、通常時は搬送管2内に突出するようバネによって付勢されており、搬送管2内の下方から遊技球101が当接すると上方側に傾倒して、遊技球101が搬送管2内を通過可能となるようになっている。そして、遊技球101が通過すると、ストッパ5は、再び搬送管2内に突出するようになっている。すなわち、ストッパ5は、遊技球101が下方に落下するのを防止するとともに、下方から上方に搬送される遊技球101の通過を妨げないようになっている。
【0029】
「放電回路6の構成」
放電回路6は、AC200V三相の商用電源であり、図中の出力端子OUTPUTにコイル4が接続されて、電流を流すようになっているものである。また、放電回路6は、図2に示すように、ゴミ落としスノコ3に滞留している遊技球101が所定量以上であるか否かを検出する検出センサ60を有している。検出センサ60によって、ゴミ落としスノコ3上に所定量以上の遊技球101が検出された場合は、放電回路6をONし、ゴミ落としスノコ3上に所定量以上の遊技球101が検出されない場合、すなわち、ゴミ落としスノコ3上の遊技球101が所定量以下の場合は、放電回路6をOFFにするように制御する。これにより、ゴミ落としスノコ3に滞留している遊技球101が所定量以上の場合のみ、放電回路6はコイル4に電流を供給するようになっている。
【0030】
「遊技球搬送装置1の作用」
次に、このような構成の遊技球搬送装置1の作用などについて説明する。
【0031】
まず、アウト球である遊技球101が、遊技球回収タンク211から、ゴミ落としスノコ3の傾斜によって、1球ずつ搬送管2の各下端側開口2aに向かって案内される。検出センサ60によって、ゴミ落としスノコ3上に所定量以上の遊技球101が検出された場合は、放電回路6がONされる。
【0032】
下端側開口2aから搬送管2内に流入した遊技球101が、コイル4によって形成される電磁場によって搬送管2内を上方に搬送される。遊技球101が、コイル4と4の間を通過する際は、ストッパ5は上方に押し倒されて、遊技球101は搬送管2内を通過可能となる。遊技球101が通過すると、ストッパ5は搬送管2内に突出した状態に戻る。遊技球101は、コイル4によって形成される電磁場によって搬送管2内をさらに上方に搬送される。上端側まで持ち上げられた遊技球101は、上端側開口2bから遊技球供給タンク212へ供給される。
【0033】
下端側開口2aにおいては、先行する遊技球101が搬送管2内の上方に順次持ち上げられることによって、後続の遊技球101が下端側開口2aから搬送管2内に流入して上方に持ち上げられる。
【0034】
このようにして、図2に示すように、遊技球101が、遊技球回収タンク211からゴミ落としスノコ3に沿って移動し、下端側開口2aから搬送管2内に流入して、順次上方に持ち上げられる。これにより、後続の遊技球101がゴミ落としスノコ3に沿って移動し、下端側開口2aから搬送管2に流入して、順次上方に持ち上げられる。このような動作・作用が連続的に行われて、遊技球101が順次上方に搬送される。
【0035】
そして、遊技球101が上方に搬送されて遊技球供給タンク212に流出されるのに伴って、ゴミ落としスノコ3上の遊技球101が減少する。このとき、検出センサ60によって、ゴミ落としスノコ3上の遊技球101が所定量以下と検出された場合は、放電回路6がOFFされる。つまり、搬送管2内に電磁場が生じなくなるので、遊技球101の搬送が停止される。このとき、搬送管2内の遊技球101は、ストッパ5によって支持されており、逆流(落下)が防止された状態となっている。
【0036】
その後、遊技球101が、遊技球回収タンク211から、ゴミ落としスノコ3上の傾斜によって、1球ずつ下端側開口2aに向かって案内される。検出センサ60によって、ゴミ落としスノコ3上に所定量以上の遊技球101が検出された場合は、放電回路6がONされる。つまり、搬送管2内に上向きの電磁場が生じるので、遊技球101が順次上方に搬送される。このような動作が、遊技機210からの遊技球101の排出、すなわち、遊技球101のゴミ落としスノコ3上への貯留に応じて、順次繰り返されるものである。
【0037】
以上のように、この遊技球搬送装置1によれば、搬送管2内の軸方向に沿って生じる電磁力によって、遊技球101を搬送管2内の軸方向に沿って上方に搬送するので、ベルト、プーリ、駆動モータなど機械的な構成部品を使用する場合に比べて駆動音を抑えることができる。また、機械的な構成部品が不要であり、構成部品の点数が少なくなるため、装置を簡素化かつ小型化することができる。また、遊技球101を搬送するための機構が簡易になるので、故障の発生を減らすことができる。
【0038】
また、搬送管2およびコイル4が軸方向に分割可能であるので、故障や点検時に当該部分のみを交換することができるので、メンテナンスが容易である。
【0039】
さらに、搬送管2内には、遊技球101の逆流防止のためのストッパ5が配設されているので、遊技球101の逆流を防止することができる。すなわち、ゴミ落としスノコ3上の遊技球101の量に応じて、コイル4に電流を流すことを中断した場合であっても、ストッパ5によって搬送管2内において遊技球101が逆流することを防止することができる。
【0040】
さらにまた、検出センサ60によって、ゴミ落としスノコ3上の遊技球101の量が所定値以上であることが検出された場合に限って、回路によってコイル4に電流を流すように制御するので、コイル4に電流を流し続ける場合に比べて消費電力を抑えることができる。
【0041】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の発明の実施では、搬送管2が直管パイプであるものとしたが、図7に示すように、分岐路、すなわち、分岐用搬送管20を接続した搬送経路であってもよい。例えば、遊技球搬送装置1は、通常は、遊技球回収タンク211から遊技球供給タンク212へ遊技球101を搬送するものであるが、点検時など、遊技球回収タンク211から他のタンクに遊技球101を搬送する場合に、分岐用搬送管20に遊技球101を搬送する場合について説明する。分岐用搬送管20に遊技球101を搬送する場合は、放電回路6は、コイル4〜4と、コイル40〜40に電流を流すように制御される。これにより、下端側開口2aから搬送管2内に流入した遊技球101は、コイル4によって形成される電磁場によって搬送管2内を上方に搬送され、次のコイル4によって形成される電磁場によって搬送管2内をさらに上方に搬送される。そして、次に通電されているコイル40によって形成される電磁場によって分岐用搬送管20内に吸引されて分岐用搬送管20内を所定の方向に搬送されるようになっている。このように、放電回路6を制御して、通電するコイル4、40を変えることによって、遊技球101の搬送経路を自在に変更することができる。しかも、この場合であっても、遊技球搬送装置1は、駆動音を抑えることができ、構成部品の点数が少なくなるため装置の小型化が可能で、機構が簡易になるので故障の発生を減らすことができる。
【0042】
また、遊技球搬送装置1は、遊技球供給タンク212から他の遊技機島200の遊技球供給タンク212へ遊技球101を移送する樋の代わりに使用することができる。通常の樋を設置する場合は、遊技球101を転動させるための傾斜を必要するが、遊技球搬送装置1を採用する場合は、搬送管2内の軸方向に沿って生じる電磁力によって遊技球101を搬送管2内の軸方向に沿って所望の方向へ搬送することができる。これにより、樋を設置する際に必要であった傾斜は不要となり、傾斜を与えるための送り側の高さを低くすることができるので、装置の小型化が可能で、機構が簡易になる。
【0043】
また、コイル4によって搬送管2内に所定の方向の電磁場を形成することができるので、搬送管2は直線ではなく、遊技球101が通過可能であれば曲部を有する曲管パイプであってもよい。これにより、遊技場における遊技機島200のレイアウトに応じて遊技球101の搬送経路を自在に設定することができる。
【0044】
さらに、搬送管2は、管状には限定されず、遊技球101が通過可能な溝部が並列に形成された板状であってもよい。
【0045】
さらにまた、搬送管2の下端側開口2a側や上端側開口2b側に研磨装置を配設したり、搬送管2の内周面部に研磨部材を配設したりして、遊技球101を研磨するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 遊技球搬送装置
2 搬送管(搬送体)
2a 下端側開口
2b 上端側開口
3 ゴミ落としスノコ
4 コイル
5 ストッパ
6 放電回路
60 検出センサ(センサ)
101 遊技球
200 遊技機島
210 遊技機
211 遊技球回収タンク
212 遊技球供給タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8