特許第6037246号(P6037246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社PRODIAの特許一覧

特許6037246装飾体の製造方法及び装飾体及びスティック玩具
<>
  • 特許6037246-装飾体の製造方法及び装飾体及びスティック玩具 図000002
  • 特許6037246-装飾体の製造方法及び装飾体及びスティック玩具 図000003
  • 特許6037246-装飾体の製造方法及び装飾体及びスティック玩具 図000004
  • 特許6037246-装飾体の製造方法及び装飾体及びスティック玩具 図000005
  • 特許6037246-装飾体の製造方法及び装飾体及びスティック玩具 図000006
  • 特許6037246-装飾体の製造方法及び装飾体及びスティック玩具 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037246
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】装飾体の製造方法及び装飾体及びスティック玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20161128BHJP
   A63H 33/22 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   A63H33/00 303A
   A63H33/22 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-14933(P2015-14933)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-137176(P2016-137176A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2015年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】515027196
【氏名又は名称】株式会社PRODIA
(74)【代理人】
【識別番号】100092808
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 亘
(74)【代理人】
【識別番号】100140981
【弁理士】
【氏名又は名称】柿原 希望
(72)【発明者】
【氏名】小島 嘉恭
【審査官】 宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−214089(JP,A)
【文献】 特開2014−039804(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3166973(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3116440(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 33/00,33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有するシート素材の両端に所定の幅の連結領域を残して等間隔で複数のスリットを形成することで、両端が連結領域と繋がった同形状で複数の装飾帯を形成する装飾帯形成ステップと、
互いに対向する一対の前記連結領域の間で前記複数の装飾帯が外側に放射状に弧を描くように一対の前記連結領域に対して前記複数の装飾帯を反転させるとともに、一対の前記連結領域をそれぞれリング状に結合する反転結合ステップとを有することにより、
リング状に結合された連結領域が内側でそれぞれ対向しており、前記リング状に結合された連結領域に対して前記複数の装飾帯が反転して両連結領域間で外側に放射状に弧を描くことを特徴とする装飾体の製造方法。
【請求項2】
連結領域をリング状に結合する略円板状の結合部材を有し、
前記結合部材には周縁から突出した結合突起を複数備えるとともに、
前記連結領域には前記結合突起が嵌入する結合スリットを備え、
前記結合スリットに前記結合突起を嵌入することで前記連結領域をリング状に結合することを特徴とする請求項1記載の装飾体の製造方法。
【請求項3】
柔軟性を有するシート素材の両端に所定の幅で形成された連結領域と、前記連結領域間に設けられ両端が前記連結領域と繋がった同形状で複数の装飾帯と、を有し、
互いに対向する一対の前記連結領域の間で前記複数の装飾帯が外側に放射状に弧を描くように前記一対の連結領域に対して前記複数の装飾帯を反転させるとともに、前記一対の連結領域をそれぞれリング状に結合することにより、
リング状に結合された連結領域が内側でそれぞれ対向しており、前記リング状に結合された連結領域に対して前記複数の装飾帯が反転して両連結領域間で外側に放射状に弧を描くことを特徴とする装飾体。
【請求項4】
連結領域をリング状に結合する略円板状の結合部材を有し、
前記結合部材には周縁から突出した結合突起を複数備えるとともに、
前記連結領域には前記結合突起が嵌入する結合スリットを備え、
前記結合スリットに前記結合突起を嵌入することで前記連結領域をリング状に結合することを特徴とする請求項3記載の装飾体。
【請求項5】
シート素材に絵もしくは模様が印刷されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の装飾体。
【請求項6】
装飾体がランプシェード、モビール、インテリアであることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の装飾体。
【請求項7】
請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の装飾体と、
結合部材から所定の間隔を取って設置され前記結合部材よりも大径の抑え板と、
前記結合部材及び抑え板の略中心に形成された貫通孔と、
前記貫通孔に挿入され、先端側に一方の前記結合部材を固定するとともに、他方の前記結合部材を可動な状態で保持するスティック部材と、を有し、
前記抑え板は反転した装飾帯の両方の外側に位置して、前記装飾帯の外側への広がりを規制することを特徴とするスティック玩具。
【請求項8】
先端側に固定された結合部材よりも先側のスティック部材に設置され、装飾帯の絡まりを防止する絡まり防止板を有することを特徴とする請求項7記載のスティック玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、俗にレインボースティックと呼ばれるスティック玩具と、これを応用することにより提供される装飾体、及びこれら装飾体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レインボースティックとは、スティック軸に対して固定される第一結束部材と、スティック軸に対して移動可能に結束される第二結束部材と、第一結束部材と第二結束部材との間に配する屈曲可能な複数の帯状部材とからなり、帯状部材の両端部がそれぞれ第一結束部材と第二結束部材に取り付けられている玩具である。この玩具はスティック軸を回転操作することにより現れる色彩の変化や、帯状部材の変形により、シャボン玉やクラゲ状、球状のような形状を作製して楽しむものである(特許文献1)。発明者は世界レインボースティック協会の副会長として、その製造販売に関して改良を重ねてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3116440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスティック玩具(レインボースティック)の製造方法について説明すると、まず、テープ素材あるいはシート素材を定尺にカットして帯状部材を作製し、円板片でなる第一結束部材に各帯状部材の端部を面方向を一致させて放射状に貼り合わせる。その後、第二結束部材に各帯状部材の他端を同じく面方向を一致させて放射状に貼り合わせる。これにより、帯状部材の両端部がそれぞれ第一結束部材と第二結束部材に取り付けられたテープ球体が出来上がる。次に、第一結束部材、第二結束部材の中心を通るようにスティック軸を挿入し、第一結束部材をスティック軸に固定すると共に、第二結束部材をスティック軸に対して移動可能に取り付ける。これにより、スティック軸を回転操作すると固定された第一結束部材に対して第二結束部材が回動し、それに伴って帯状部材の形状が変化して、その変化を楽しむスティック玩具を作製することができる。
【0005】
しかしながら、帯状部材を両結束部材に貼り付ける作業は一枚一枚手作業で行われているため非常に生産性が低く、コストが高いという問題点があった。特に、両結束部材の中心から放射状に帯状部材を貼る作業は、角度、奥行き、軸線がずれないように均一に貼る必要があり、この作業は熟練した者でも困難であった。このため、玩具として潜在的な需要が存在していても大量生産ができず販売を促進できなかった。また、帯状部材も手作業でカット及び貼り付けがされる為に、長さが異なっていると回転させた際に綺麗な形状にならないばかりか、逆回転させた瞬間に長いテープが短いテープを追い越して絡む場合があり、品質にばらつきがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明においてはスティック玩具の生産性及び品質の向上を図るとともに、この製造方法を応用したカバーやモビール、ランプシェード等の装飾体、及びこれら装飾体の製造方法を提案するものである。
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、下記により課題を解決する。
【0008】
(1)柔軟性を有するシート素材の両端に所定の幅の連結領域を残して等間隔で複数のスリットを形成することで、両端が連結領域と繋がった同形状で複数の装飾帯を形成する装飾帯形成ステップと、
互いに対向する一対の前記連結領域の間で前記複数の装飾帯が外側に放射状に弧を描くように一対の前記連結領域に対して前記複数の装飾帯を反転させるとともに、一対の前記連結領域をそれぞれリング状に結合する反転結合ステップとを有することにより、
リング状に結合された連結領域が内側でそれぞれ対向しており、前記リング状に結合された連結領域に対して前記複数の装飾帯が反転して両連結領域間で外側に放射状に弧を描くことを特徴とする装飾体の製造方法を提供する。
(2)また、連結領域をリング状に結合する略円板状の結合部材を有し、
前記結合部材には周縁から突出した結合突起を複数備えるとともに、
前記連結領域には前記結合突起が嵌入する結合スリットを備え、
前記結合スリットに前記結合突起を嵌入することで前記連結領域をリング状に結合することを特徴とする(1)記載の装飾体の製造方法を提供する。
(3)柔軟性を有するシート素材の両端に所定の幅で形成された連結領域と、前記連結領域間に設けられ両端が前記連結領域と繋がった同形状で複数の装飾帯と、を有し、
互いに対向する一対の前記連結領域の間で前記複数の装飾帯が外側に放射状に弧を描くように前記一対の連結領域に対して前記複数の装飾帯を反転させるとともに、前記一対の連結領域をそれぞれリング状に結合することにより、
リング状に結合された連結領域が内側でそれぞれ対向しており、前記リング状に結合された連結領域に対して前記複数の装飾帯が反転して両連結領域間で外側に放射状に弧を描くことを特徴とする装飾体を提供する。
(4)連結領域をリング状に結合する略円板状の結合部材を有し、
前記結合部材には周縁から突出した結合突起を複数備えるとともに、
前記連結領域には前記結合突起が嵌入する結合スリットを備え、
前記結合スリットに前記結合突起を嵌入することで前記連結領域をリング状に結合することを特徴とする(3)記載の装飾体を提供する。
(5)シート素材に絵もしくは模様が印刷されていることを特徴とする(3)又は(4)記載の装飾体を提供する。
(6)装飾体がランプシェード、モビール、インテリアであることを特徴とする(3)乃至(5)のいずれかに記載の装飾体を提供する。
(7)(3)乃至(5)のいずれかに記載の装飾体と、
結合部材から所定の間隔を取って設置され前記結合部材よりも大径の抑え板と、
前記結合部材及び抑え板の略中心に形成された貫通孔と、
前記貫通孔に挿入され、先端側に一方の前記結合部材を固定するとともに、他方の前記結合部材を可動な状態で保持するスティック部材と、を有し、
前記抑え板は反転した装飾帯の両方の外側に位置して、前記装飾帯の外側への広がりを規制することを特徴とするスティック玩具を提供する。
(8)先端側に固定された結合部材よりも先側のスティック部材に設置され、装飾帯の絡まりを防止する絡まり防止板を有することを特徴とする(7)記載のスティック玩具を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る装飾体の製造方法及び装飾体によれば、柔軟性を有するシート素材の両端に連結領域を残して複数の装飾帯を形成し、このシート素材を反転させるとともに、連結領域をそれぞれリング状に結合することで、複数の装飾帯が外側に放射状に弧を描く装飾体を容易かつ高い生産性で製造することができる。
【0010】
また、本発明に係るスティック玩具は、特徴的な結合部材により生産性の向上とコスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る(a)シート素材及び(b)結合部材の分解図である。
図2】(a)結合部材を示す図、(b)結合部材により連結領域をリング状に結合させた図、(c)結合部材で連結領域をそれぞれリング状に結合させた模式断面図である。
図3】スティック玩具に用いる(a)結合部材、(b)抑え板、(c)結合部材と抑え板とを結合させた図である。
図4】スティック玩具に用いる(a)結合部材と抑え板とを結合させた図、(b)スティック玩具の模式断面図である。
図5】(a)スティック玩具を回転させた場合に表れる形状の一例を示す図、(b)スティック玩具を回転させた場合に表れる形状の一例を示す図である。
図6】模様が印刷されたシート素材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明を詳しく説明する。先ず、図1は本発明に係るシート素材を示す図である。シート素材1は柔軟性を有するシートであり、合成樹脂製のフィルムを用いることが好ましいが、後述の装飾帯が反転可能な程度の柔軟性を有していれば素材に限定はなく、紙や木製シートなどの天然素材由来のシートでも良いし、アルミ蒸着フィルムなど金属が蒸着されたシートや薄いステンレスなどの金属シートを利用することも可能である。さらに、複数の素材を粘着シートで貼り合わせた複合シートや、ラミネートシートを貼り合わせても構わない。また、シート素材1は無地でも良いが、図6に示すように、シート素材1の表面に図柄、イラスト等を印刷したり、着色したり、ホログラム処理すれば、装飾効果をさらに高めることができるため特に好ましい。また、シート素材1の厚みについてはアルミ蒸着フィルムを用いる場合、10μm〜100μmが好ましいが、この厚みはシート素材1の柔軟性や装飾体の用途に応じて適宜選択される。
【0013】
次に、本発明に係る装飾体の製造方法を説明する。先ず、シート素材1を装飾体の目的に応じた大きさにカットする。そして当該シート素材1の長辺方向にスリット10を複数形成する。この際、シート素材1の両端から両端までカットせずに、互いに対向する一対の連結領域11を残してスリット10を形成する。これにより、連結領域11によって両端が連結した複数の装飾帯13を有する1枚のシートが形成される。以上が装飾帯形成ステップに相当する。尚、スリット10は直線状とすることが好ましいが、曲線で構成しても良い。また、スリット10は等間隔に形成し、装飾帯13を全て同一幅で同一形状とすることが望ましい。尚、必要に応じて隣り合う装飾帯13を切除し、間引いてもよい。

【0014】
シート素材1へのスリット10の形成は、周知のスリット加工方法を用いることができる。例えば、トムソン刃などのカッターによる打ち抜き加工やレーザー切断によってスリット10を設けても良いし、カッティングプロッタを用いても良い。なお、レーザー切断を用いる場合には、スリット10の形成部分に機械の動作中にガスが発生して、そのガスが透明なフィルムに汚れとして付着する場合があるため、保護用シートをラミネートした後、レーザー切断を行い、その後、保護用シートを剥離除去することが好ましい。また、薄い樹脂製のシート素材等の場合はレーザーの熱で過度に溶融する場合があるため、カッティングプロッタ等によってスリット10を形成することが好ましい。一方、カッティングプロッタは厚手のシート素材1をカットするには適さない。したがって、スリット10の形成手法はシート素材1に応じて適宜選択することが好ましい。このように、上記の装飾体形成ステップにより、シート素材1への装飾帯13の形成を自動化することにより、従来の手作業によって一本一本作製していた帯状部材を、高い生産性で効率良く、高精度に作製することができる。
【0015】
また、シート素材1の両短辺に位置する連結領域11には結合スリット12となる切込が複数設けられている。結合スリット12の形成方法はスリット10の形成と同じ方法により設けることができる。尚、結合スリット12は後述する結合突起21の数よりも一つ多く設けることが好ましい。これにより、連結領域11の各両端に位置する2つの結合スリット12が1つの結合突起21に嵌入し、装飾帯13を切れ目なく一周に亘って結合部材2に巻回させることができる。また、連結領域11の両端は装飾帯全体の幅よりも長くしておくことで、連結領域11をリング状に結合した際に両端の装飾帯13の重複を防ぐことができ、全体として連続した美しい形状を呈するようになる。尚、結合スリット12は図1に示すように、両端に位置する装飾帯13の近傍に両端の結合スリット12を設けることにより、シート素材1をリング状に結合した際に両端の装飾帯13が重複することなく、全体として連続した美しい形状を形成することができる。
【0016】
図2は結合部材2により連結領域11をリング状に結合させることを示す図である。図2(a)に示すように、結合部材2は周縁から突出した結合突起21を複数備えた円板形状を呈している。尚、この結合突起21の数は連結領域11(シート素材1の短辺)の長さにより適宜決定される。そして、図2(b)に示すように、結合突起21を結合スリット12に嵌入することにより、連結領域11が結合部材2の周縁を巻回する。結合突起21と結合スリット12とは嵌入した後も十分な保持力を維持できる大きさとすることが好ましい。また、シート素材1や結合部材2の素材によっては結合スリット12から結合突起21が抜け落ちる場合もあるので、結合突起21を折り曲げることによって抜け落ちを防止するようにしても良い。また、結合部材2に折り曲げるのが困難な素材を用いる場合等には、結合突起21をカギ状にするなど、抜け落ちを防止する形状としても良い。さらに、結合スリット12と結合突起21とを接着剤にて固定しても良いし、連結領域11の端部を接着して固定しても良い。
【0017】
尚、図2(c)の模式断面図に示すように、結合部材2はシート素材1の両方の連結領域11に用いるため、一つの装飾体につき2つ必要となる。なお、図2(c)において、装飾体13は一部省略して記載している。結合部材2もプラスチックなどの合成樹脂で形成することが好ましいが、厚紙や木などを用いても良いし、金属を用いることも可能である。ただし、結束部材2の重みが過剰な場合、装飾帯13の形状が損なわれる可能性があるので、軽量であることが望ましく、シート素材1に応じたものを適宜選択して使用することが望ましい。尚、結束部材2の間の空間を保持するスペーサー等の支持具を設ければ、結束部材2の重さは特にこだわる必要はない。
【0018】
次に本発明に係る装飾体の組立て方法について説明する。前述の装飾帯形成ステップにより、短辺の両端が連結領域11として連結した、複数の装飾帯13を有する1枚のシート素材1を得た。本発明に係る装飾体の組立て方法は、このシート素材1を反転させるとともに、結合突起21を結合スリット12に嵌入する。以上が反転結合ステップに相当する。この反転結合ステップにより、連結領域11を結合部材2の周縁にそれぞれ巻回させてリング状に結合し、複数の装飾帯13が両連結領域11間で外側に放射状に弧を描く装飾体を製造することができる。
【0019】
以上の方法によって組み立てられた装飾体はアートとして部屋のインテリアに用いることができる。例えば糸等で吊り下げモビールとして用いる場合には、装飾帯13を、柔軟性を有するシート素材1で構成することで、独特の形状の変化を楽しむことができ、癒し効果を得ることができる。また、両結合部材2間にLED灯等の照明部材を設けることで照明器具のカバーやランプシェードとして活用することができる。また、結合部材2の円板面内に比較的大径の孔を設け、植木鉢等のカバーとすることも可能である。なお、本発明に係る装飾体で大きい径を持つカバーを作製する場合は、シート素材1の短辺方向に装飾帯13を形成し、上記の作製方法と同様に作製すれば良い。また、装飾体を金属で構成する場合は衝撃吸収効果を持ったサスペンションとしても機能する装飾体を得ることができる。
【実施例1】
【0020】
本発明に係るスティック玩具において、シート素材1としては上述の通りであるが、例えばアルミ蒸着シートを用いることができる。尚、従来の製造方法では複数のテープを所定の長さの短尺状にカットして帯状部材を作製し、これを一枚一枚貼り付けていたので、色彩豊かなスティック玩具を得るためには、多様な色のテープを揃える必要があった。しかしながら、本発明に係るスティック玩具においては、装飾帯13が一体的に成形された一枚のシート素材1を用いることで、このシート素材1の狙った位置に所定のパターンの配色あるいは図柄、イラスト等をプリントすることができるので、従来の方法よりも容易に美しい模様や色彩、意匠を形成することが可能となる。スティック玩具のシート素材1の厚みとしては、10μm〜100μmのものを用いることが好ましく、着色あるいはホログラム処理を施すなど、装飾効果の高いものが好ましい。尚、本発明に係るスティック玩具は、柔軟性を持つシート素材1を用いることで、スティック玩具を回動させた場合に、上記の絵柄等の印刷やホログラム処理が相まって、従来よりも美しく多彩な美観を呈することができる。なお、装飾体形成ステップに関しては前述と同様である。
【0021】
図3は本発明をスティック玩具に応用した場合の結合部材2A、2B並びに抑え板3A、3Bの分解図である。本発明に係るスティック玩具の結合部材2A、2Bについては図3(a)に示すように、スティック4が貫入できるよう、中心に貫通孔24、25を有する。また、結合部材2A、2Bには抑え板3A、3Bと結合するための結合スリット23が設けられており、このスリットに抑え板3A、3Bの結合突起31を嵌入させる。なお、材質に関しては前述と同様であるが、スティック玩具ではスティック4を回転することから、特に可動側の結合部材2Bの重量でスティック玩具が破損したり、美しい形状の変化を楽しむことができなくなる可能性があるため、軽量の材質で作製することが好ましい。
【0022】
また、抑え板3A、3Bは結合部材2A、2Bと一定の間隔で離間し、前記結合部材2A、2Bよりも大径の円板で構成される。尚、抑え板3A、3Bは、結合部材2A、2Bと同等の材質でなり、プラスチックなどの合成樹脂で形成することが好ましいが、厚紙や木などを用いても良いし、金属を用いても良い。ただし、スティック玩具ではスティック4を回転することから、特に可動側の抑え板3Bの重量でスティック玩具が破損したり、美しい形状の変化を楽しむことができなくなる可能性があるため、軽量の材質で作製することが好ましい。
【0023】
また、抑え板3A、3Bは図4(b)に示すように、反転した装飾帯13(シート素材1)の両方の外側(スティック4の上下方向)に位置し、反転した装飾帯13の根本部分を抑えることにより、装飾帯13の広がりを外側へ強制するものである。また、図3(b)に示すように、抑え板3A、3Bの中心にもスティック4を貫入するため、中心に貫通孔34、35が設けられている。そして、結合部材2A、2Bと結合するための結合突起31が抑え板3A、3Bの面内に設けられている。結合突起31は抑え板3A、3Bの面内に打ち抜き加工等によって形成されており、図3(c)に示すように、結合部材2A、2Bとの結合時には抑え板3A、3Bの面から略垂直方向に立ち上げられる。また、結合突起31には凹部32が設けられており、結合スリット23に結合突起31が嵌入するとともに、凹部32が結合スリット23に嵌って係止される。このように、結合部材2A、2Bも抑え板3A、3Bは、結合突起31を立ち上げて結合スリット23に差し込むことで、図3の(c)、図4(a)に示すように、結合部材2A、2Bと抑え板3A、3Bとの間隔を一定に保つことができる。なお、図3(c)は可動側の結合部材2B、抑え板3Bであり、スティックに対して下側に設けられるものである。図4(a)は固定側の結合部材2A、抑え板3Aであり、スティックに対して上側に設けられるものである。
【0024】
そして、スティック4の先端側に位置する結合部材2Aと抑え板3Aは、固定具5等を用いてスティック4に固定される。この固定具5はスティック4と略同径の内径を持つ筒状部材等で構成することが好ましい。また、結合部材2A、抑え板3Aの貫通孔24、34はスティック4と略同径に形成することが好ましい。また、スティック4の下方に設けられる結合部材2Bと抑え板3Bの貫通孔25及び貫通孔35はスティック4の径よりも大きく設け、スティック4に対し可動な状態で設置される。
【0025】
本発明に係るスティック玩具の組み立て方に関して述べると、装飾体形成ステップにより装飾帯13が形成されたシート素材1を作製した後、結合スリット23に結合突起31を嵌入して結合部材2A、2Bと抑え板3A、3Bとを結合させ、図3(c)、図4(a)の部材を製造する。次に、結合部材2A、2Bの結合突起21にシート素材1の結合スリット12を反転させながら装着させる反転結合ステップにより、抑え板3A、3Bが装飾帯13の根本を抑えつつ、図4(b)に示すように、装飾帯13が外側に放射状に弧を描くテープ球体を構成する。図4(b)において装飾体13は一部省略して記載している。この際、抑え板3A、3Bは装飾帯13の湾曲を外側方向に強制し、スティック玩具の外形をより綺麗な略楕円もしくは略球体に整える機能を果たす。
【0026】
さらに、本発明に係るスティック玩具は、図5(a)、(b)に示すように、スティック4の上方に絡まり防止板6を設けても良い。図5(a)(b)においても装飾体13は一部省略して記載している。この構成によれば、スティック玩具の回転時に装飾帯13がスティック4先端を飛び越えて絡まることを防止することができる。この絡まり防止板6の材質については、プラスチックなどの合成樹脂で形成することが好ましいが、厚紙や木などを用いても良いし、金属を用いても良い。また、スティック玩具を販促物として用いる場合は、絡まり防止板6に宣伝効果のある画像やイラスト、キャラクター等を印刷しても良い。絡まり防止板6は支持具等によって挟み込みスティック4に固定しても良いが、絡まり防止板6をスティック4に対し可動な状態で設置するとともに絡まり防止板6に羽根を設け、スティック玩具の回転と同時にプロペラのように回転するようにしても良い。この構成によれば、スティック玩具の本体の変形に加え、絡まり防止板6の回転や絵柄の変化を楽しむこともできる。
【0027】
そして、図5に示すように、スティック4を回転させると、図5(a)に示すように装飾帯13の外形が球形になる。また、急に逆回転させると、自由端の下方側の回転に遅延が生じるため、図5(b)に示すように、ダルマのような形状となる。
【実施例2】
【0028】
本発明に係る第2の実施例は、前述した実施の形態、つまり装飾体及びスティック玩具に対して応用することができ、それらの装飾性をさらに高めるためるものである。すなわち、結合スリット12の位置を、装飾帯0.5本分ずらした装飾帯13形成済のシート素材1を、もう一枚重ねて、合計2枚を反転結合させることによって装飾帯の間隔を詰めることができ、美しい形状を形成することができる。すなわち、結合スリット12の位置が異なるシート素材1を複数用いることによって、装飾帯の数を増やしたものである。結合部材2に固定する結合スリット12は複数のシートとも同じ位置から巻回することが好ましい。一枚のシートのみで構成される場合、スリットの幅を変更するだけでは球体に形成した場合、隙間を埋めることができず、繊細な模様をシート素材1に印刷していても、それを認識することができないという問題があるが、装飾帯13の出方が異なるように、結合スリット12の位置をずらしたシート素材1を複数重ねるという方法によれば、球体になった場合にその球面の隙間を埋めることが可能になる。
【0029】
尚、本例で示した装飾体、スティック玩具の各部の構成は一例であるから上記の例に限定されるわけでは無く、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 シート素材
10 スリット
11 連結領域
12、23 結合スリット
13 装飾帯
2 結合部材
21、31 結合突起
24、25、34、35 貫通孔
3 抑え板
32 凹部
33 脚部
4 スティック
5 支持具
6 絡まり防止板
図1
図2
図3
図4
図5
図6