(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037260
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】缶蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 17/32 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
B65D17/32
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-282546(P2011-282546)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2012-91870(P2012-91870A)
(43)【公開日】2012年5月17日
【審査請求日】2014年12月16日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】303002918
【氏名又は名称】熊倉 友一
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 友一
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−059362(JP,A)
【文献】
実開昭62−080822(JP,U)
【文献】
特開2007−076673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D17/00−17/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板に涙滴形状の開栓スコアの直線部の一辺に隣接する位置に緩角度の傾斜を持つ緩傾斜面を設け、缶蓋中心点よりずらした位置の緩傾斜面に開けたリベット用穴に、開栓レバーをリベットにより回転可能な状態で取り付けられ、もう一方の開栓スコア直線部に未削部を残した事を特徴とする缶蓋。
【請求項2】
天板の開栓スコアに囲まれた開口部を緩やかな斜面を持つ凸状に成型し、開口部斜面が緩傾斜面の延長線上となるよう高さを調整して成型した請求項1の缶蓋。
【請求項3】
開栓レバーは概ね“へ”の字若しくは直線の板状を成し、開栓レバー取り付けリベット用穴を“へ”の字の屈曲部分若しくは開栓レバーの長辺側の中心より離れた場所に開け、開栓レバー取り付けリベット用穴から緩傾斜面に添って缶淵以内の長さにした力点側端部側に指掛け用の凹凸及び切り欠きを設け、作用点側端部をリベット用穴から開栓スコア初綻部より短く、開栓スコア未削部までの距離よりも長くした請求項1から2いずれか1項の缶蓋。
【請求項4】
レバーに設けたリベット用の穴を、レバーの短辺方向にリベット直径と同じ幅の長円若しくは、開栓時に開栓スコアと接する作用点側端部を扇の要に相当する中心点とした扇形の長円とし、穴の長辺の長さをリベット頭部の直径より小さくした請求項1から3いずれか1項の缶蓋。
【請求項5】
補強リブ凸を開栓スコア未削部と隣接させた請求項1から4いずれか1項の缶蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口時に楽に開けられ中身のこぼれ難い缶蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来使用されているステイオンタブ式の缶蓋においては、タブの一端とパネル部との隙間に指先を挿入し、タブの一端を引き上げることによってタブの他端が押し下げられ、パネル部に設けられた開口部切り込みを破断させ開口していた。しかしながら、従来のステイオンタブ式の缶蓋の開口は、タブの一端と缶蓋のパネル部の隙間が狭く、指先がわずかしか挿入できないため指先に力が入りにくく特に力の弱い高齢者、女性、子供には開け辛く、爪を傷めやすかった。また、開栓時力を掛ける方向と開口部が同一の為、内容物が開口部から飛び出し易かった。更にタブと缶の結合部が破断してタブと缶が別々になる恐れがある為タブがゴミとして回収されない事がよくある。
【特許文献1】特開平7−165236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、従来のステイオンタブが力の弱い人や爪の短い人にとって開け難く、更に開栓時に反動で内容物が飛び出る事が有った。
【0004】
更に、リベット留めされたタブの固定部が複数回折り曲げられる事により破断し、缶とタブが別々になる事があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の目的を達成する為に天板
1の凸状の開栓スコア
6と隣接する緩傾斜面
3に、回転可能にリベット
15留めされた板状の開栓レバー
16を回転させる事により短辺側端部
19が
開口部斜面8に押し当てられ、梃子の原理によって開栓スコア
6が
開栓スコア初綻部9より破断し、もう一方の開栓スコア直線部
11の未削部
12で折れ曲がり開口する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、開栓レバー16の回転軸となるリベット15
が緩傾斜面3に留められる事によって角度が付けられている為、未開栓時は長辺側端部
20が缶上端よりはみ出す事も無く、開栓時に缶上端より
長辺側端部20がはみ出る為に力を掛け易く、更に缶蓋中心点2から回転軸をずらす事でリベット15から長辺側端部20までの距離もより長く取れ、開栓レバー16を
リベット15で回転させ
開口部斜面8に押し当てる事により、梃子の原理にて容易に開栓することが出来。開栓時の缶の動きも水平方向の回転となる為、内容物が飛び出し難い缶蓋を提供する事を目的としている。
【0007】
開口部7を緩やかな開口部斜面8を持つ凸状に成型する事で、強度を確保しつつ天板
1の緩傾斜面3
が浅い角度でも開栓を可能にした。
【0008】
タブに指先を引っ掛ける必要が無い為、爪を傷付ける事もない。また回転軸が斜めになっているので、缶上端から開栓レバー16がはみ出し指の腹側で力を掛け易くなる。
【0009】
開栓レバー16の開栓レバー取り付け用穴17を扇形長円状開栓レバー取り付け用穴21にする事で、開栓時に開栓レバー16をスライドさせ天板1から浮かせ、親指や複数の指を開栓レバー1
6に掛けやすくする事が出来るので、より楽に開栓出来る。
【0010】
開栓作業が開栓レバー16を回転軸で回転させ開口部斜面8に押し当てる方法であり、垂直方向の回転運動ではない為、開栓時に反動で内容物が飛び出る事もない。
【0011】
リベット15による回転軸の為開栓レバー16が破断して缶と分離する事もない。
【0012】
補強リブ凸14と開栓スコア
の未削部12を隣接させ段差を作る事で、開栓スコア
の未削部12と開栓レバー16への皮膚の挟み込みを防止出来る
。
【0013】
開栓作業による指の運動方向に開栓スコア6が無い為、切り口で指を怪我する危険が少ない。
【産業上の利用可能性】
【0014】
上記において説明したように本発明は容易に実施可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面に従って本発明の実施の形態について説明する。
図1は缶蓋の上面図であり、
図2は缶蓋の側面図である。
図3は天板の上面図であり
図4は天板の側面図である。
図5は開栓レバーの正面図であり、
図6は
図5のa−a´矢印の断面図、
図7は
図5のb−b´矢印の断面図である。
図8は請求項4に記載した
扇形長円状開栓レバー取り付け用穴を持つ開栓レバーの正面図である。図9は開栓時の正面図である。
【0016】
これらの図において、1は天板であり2は缶蓋中心点、3は緩傾斜面で4はリベット用穴、5は突起で6は開栓スコア、7は開口部で8は開口部斜面、9は開栓スコア初綻部で10は凸部、11は開栓スコア直線部で12は未削部、13は補強リブ凹で14は補強リブ凸、15はリベットで16は開栓レバー、17は開栓レバー取り付け用穴で18は指掛け用切り欠き、19は短辺側端部で
20は長辺側端部で21は扇形長円状開栓レバー取り付け用穴である。
【0017】
以下、本発明の実施の形態についての一例を説明する。
まず、開栓レバー16を緩傾斜面
3に回転可能な状態且つ開栓レバー16の短辺側端部19が開口部斜面8と隣接するようリベット15にて取り付ける。
その際指掛け用切り欠き18に突起5がはまり開栓レバー16の動きはある程度制限される。
【0018】
尚、開栓レバー取り付け用穴17から短辺側端部19までの距離をL、リベット用穴4から未削部12までの距離をAとすると、L>Aとする。
【0019】
上記構成による天板1に設けられた開口部7が開口するまでの動作を説明すれば、まず、開栓レバー16が開口部斜面8と隣接する状態を開栓前とし開栓レバー16の指掛け用切り欠き
18を押し出すようにリベット15を中心に回転させる。
【0020】
この時、開栓レバー取り付け用穴17を扇形長円状取り付け用穴21にする事で、 開栓レバー16が僅かにスライドして
長辺側端部20が天板1よりはみ出る為、より指が掛け易くなる。
【0021】
これによって短辺側端部19が、開口部斜面8に乗り上げる形になり、開栓スコア初綻部9へと圧力が加わり開栓スコア6が破断し開栓できる。
【0022】
その際、開栓レバー16は突起5により短辺側端部19を緩傾斜面3に押し付ける方向に力が掛かる事で、より強く開口部斜面8に力が伝わる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図8】扇形長円の開栓レバー取り付け用穴を持つ開栓レバーの正面図
【符号の説明】
【0024】
1.天板
2.缶蓋中心点
3.緩傾斜面
4.リベット用穴
5.突起
6.開栓スコア
7.開口部
8.開口部斜面
9.開栓スコア初綻部
10.凸部
11.開栓スコア直線部
12.未削部
13.補強リブ凹
14.補強リブ凸
15.リベット
16.開栓レバー
17.開栓レバー取り付け用穴
18.指掛け用切り欠き
19.短辺側端部
20.長辺側端部
21.扇形長円状開栓レバー取り付け用穴