(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6037299
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】瓦釘打ち補助具
(51)【国際特許分類】
E04D 15/02 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
E04D15/02 S
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-128139(P2016-128139)
(22)【出願日】2016年6月10日
【審査請求日】2016年7月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508309131
【氏名又は名称】佐藤 秀男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀男
【審査官】
西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第6352009(US,B1)
【文献】
特開昭58−004056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 15/02
E04D 15/00
E04D 15/04
B25C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉厚金属を用いて形成されている略U形幹体に於いて、開口空間側を内側面とし、内側面とその反対側の外側面は共に平坦面を成しており、一方の先端部近くの外側面に、ハンマーの口を打ち当てる的となる凸状の打的ヘッド部が設けてあり、他方の先端部外側面には面幅一杯の正方形的領域で・領域を縁取る様に・平坦面から少し立ち上がった外郭リブが設けてあり、この外郭リブに囲われてできた凹部が、そこに釘傘を捕収し傘面に正確に当てがう釘傘捕収部を成しているのであって、ハンマーで打的ヘッド部に加えられた打撃は、略U形幹体内をあたかも高速の打撃道として伝わり、一瞬で釘傘捕収部を介して瓦釘へと到達することを特徴とする瓦釘打ち補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓦屋根の破損した旧設瓦の交換時に、新設瓦を釘留めするための瓦釘打ち補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、瓦屋根の破損した旧設瓦の釘を抜去して新しい瓦に交換する際に、新設瓦を釘留めするのは難しかった。破損した旧設瓦を丁寧に引き抜いた後、新設瓦に接着剤を塗布して元の跡に差し込む交換方法も知られている(特許文献1参照)。また、略コの字状に折曲された瓦固定金具とそれを用いた瓦交換方法も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−314015号公報
【特許文献2】特開平10−306546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
差し換えられた新しい瓦の周りの旧設瓦が釘留めされていても、新設瓦の釘留めが厄介だからといって釘留めされていないと、地震で抜け落ちたり、強風で拭き飛ばされてしまう危険が大きい。また、屋根の点検時に知らずにそこに踏み乗って瓦が抜け落ちて、転んだり屋根から落下したりする危険がある。
特許文献1に示される先行技術は、瓦の交換方法としては一つの有効な手段であろうけれども、接着剤は釘よりもかなり劣化が早いと思われるし、釘留めされた屋根瓦は交換時にも釘留めされるのが安心で、確かめられた自然で望ましい処置であると思われる
特許文献2に示される先行技術は、旧設瓦を抜去した後、略コの字状の瓦固定金具をまず野地板に固定し、一旦側を短く折り返した係止片に新設瓦を固定するというもので、釘一本に比べたらいささか大げさな金具諸共に設置することになり、コスト高にもなろうかと思われる。
これらのいずれも、本来のベストな釘留め固定の現状復旧を諦めた前提に立っている処置だと言える。地震や強風による瓦の脱落・落下自体は接着剤や固定金具等によってもとりあえず防止できるが、家屋の屋根というものは、非常に長い年月に亘ってそこに住む人の暮らしを護る決定的に重要な要素であるので、とりあえずの極めて限定的部分的な「用」を為せれば良しという訳にはいかない。
本発明は、これらの問題点を解決すべくなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
肉厚金属を用いて形成されている略U形幹体に於いて、開口空間側を内側面とすれば、内側面とその反対側の外側面は共に平坦面を成しており、一方の先端部近くの外側面に、ハンマーの口を打ち当てる的となる凸状の打的ヘッド部が設けてあり、他方の先端部外側面には面幅一杯の正方形的領域で・領域を縁取る様に平坦面から少し立ち上がった外郭リブが設けてあり、この外郭リブに囲われてできた凹部に釘傘を捕収し傘面に正確に当てがう釘傘捕収部を成しているのであって、ハンマーで打的ヘッド部に加えられた打撃は、略U形幹体内をあたかも高速の打撃道として伝わり、一瞬で釘傘捕収部を介して瓦釘へと到達する。
以上を特徴とする瓦釘打ち補助具である。
【発明の効果】
【0006】
交換瓦の釘留め固定の作業が、本発明によって比較的簡単・確実にできるようになった。
屋根瓦における破損部分の旧設瓦を取り換えるに際して、その他の全て釘留めしてある瓦と同様に「釘留め現状復帰」されるので、接着剤や固定金具等の謂わば「異物」が持ち込まれることによる「拒絶反応」の如き「屋根の傷み易さの原因」を作り出すことがない。
地震や強風による交換瓦部分の脱落・落下自体も、釘留めの方が接着剤や固定金具よりもずっと確実・安全であるのは勿論のこと、交換瓦部分が屋根全体に溶け込んで極めて自然な形に現状復帰される。
屋根瓦交換作業が「厄介」であったが故に敬遠され、屋根全体の「長年に亘って人の暮らしを支える決定的要素」であることを知りつつも、「とりあえずの応急措置」でお茶を濁してきた従来の業界の姿勢を、本発明によって、屋根瓦本来の決定的な役割に相応しい「瓦交換作業」を敬遠せず、正面から向き合う方向に改善する実際的手段を与えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】 本発明の使用時において、打たれる釘が見えるように略U型幹体の一部を切り欠いて見せた斜視図
【
図3】
図1に示された本発明を別の角度から表した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
肉厚金属を用いて形成されている、略U形幹体(1)に於いて、開口空間側を内側面(13)とすれば、内側面(13)とその反対側の外側面(12)は共に平坦面を成しており、一方の先端部(4a)近くの外側面(12)に、ハンマー(15)の口を打ち当てる的となる凸状の打的ヘッド部(2)が設けてあり、他方の先端部(4b)外側面(12)には面幅一杯の正方形的領域で・領域を縁取る様に平坦面から少し立ち上がった外郭リブ(14)が設けてあり、この外郭リブ(14)に囲われてできた凹部に釘傘を捕収し傘面に正確に当てがう釘傘捕収部(3)を成しているのであって、ハンマー(15)で打的ヘッド部(2)に加えられた打撃は、略U形幹体(1)を高速の打撃道(10)として伝わり、一瞬で釘傘捕収部(3)を介して瓦釘(7)へと到達する。
以下、この実際の使い方・形態を説明する。
新設瓦(5)の釘孔(6)に釘(7)を差し込んでセットし、旧設瓦(9)に設置されている旧設釘(11)の反対側先端(8)を持ち上げ下に差し込み、瓦釘打ち補助具を使用して釘打ちを行うと、旧説瓦(11)にダメージを与えず初期に行った釘打ちと同様の釘打ちを施すことができる。
【符号の説明】
【0009】
1 略U形幹体 2 打的ヘッド部
3 釘傘捕収部
4a 先端部 4b 先端部
5 新設瓦 6 釘孔
7 釘 8 旧設瓦先端
9 旧設瓦 10 打撃道
11 旧設釘 12 外側面
13 内側面 14 外郭リブ
15 ハンマー
【要約】
【課題】 瓦屋根の破損した瓦を交換する時に、新設瓦を釘留めし易くする瓦釘打ち補助具を提供する。
【解決手段】 略U形幹体の片方の先端部近くに、外側面に打的ヘッドを設けてあり、もう片方の先端部に外側面に釘の頭をキャッチする釘傘捕収部を設けてあることを特徴とする瓦釘打ち補助具。
【選択図】
図1