(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のようにトレイ上にシートを積載収納して後処理する際に、シートを所定の基準位置に正しい姿勢で位置決めするように整合する整合機構は既に知られている。従来、この整合機構として左右一対の整合部材を整合位置(基準位置)から離れた待機位置に待機させた状態でトレイにシートを搬入し、その後左右の整合部材を整合位置に移動している。この待機位置から整合位置に移動する動作で左右いずれかに偏ったシートと傾斜して傾いたスキュシートを正しい姿勢に修正している。
【0011】
ところが、従来の整合機構は、左右の整合部材を搬送されてくるシートの偏り、或いはスキュに関係なく、待機位置から整合位置に移動しているため、基準位置に対して右寄りに偏ったシートと左寄りに偏ったシートをいずれも同一の整合動作で幅寄せ移動する。このため例えば右偏りのシートを整合するとき左整合部材を整合位置に位置させてシートの反対側を基準位置に規制した状態で整合することができない。
【0012】
図11(a)に例えばシートSh1がセンター基準から右側にΔaだけ偏ってトレイ100に搬入されたときの整合動作を示す。同図(a)においてトレイ100に搬入されたシートSh1が右側に偏よっている(偏り量Δa)とき、左右の整合部材101a,101bを待機位置Wpから整合位置Apに接近するように移動する。この整合動作を従来は左右の整合部材を同時に、同速度で待機位置から作動位置に移動させている。
【0013】
このとき、シートが右側に偏っていると、右側の整合部材101bが先にシート右側縁と係合して矢印a方向に移動し、左側の整合部材101aがシート側縁から離れた状態でシート全体を整合方向(矢印a方向)に移動している。
【0014】
この
図11(a)の状態では、シートSh1は、先端を規制ストッパ103に規制された状態で矢印a方向のオフセット力と矢印b方向の回転力を受ける。このように右偏りでトレイ上に搬入されたシートSh1を鎖線位置から実線位置に姿勢を修正すると、この搬入シートSh1の下方に位置する積載済シートSh2は既に整合された実線状態から破線状態に位置ズレする。この位置ズレは、搬入シートSh1が偏り側の右整合部材101aが先に幅寄せ移動するとき左側の整合部材101bはシート側縁から離れた位置にあるためこのシートと接する積載済シートSh2が正常な実線状態からスキュした破線状態に位置ズレを起こす。
【0015】
次に、左側の整合部材101aが時間的に遅れてシート側縁と係合すると破線状態に位置ズレした下層シートSh2(積載済最上シート;以下同様)は、位置ズレした破線状態から実線の状態に戻されるが、このときこの下層シートSh2にはストッパ103側に移送する搬送力が作用していないから
図11(b)に示すようにストッパ103から離れたレジスト(ストッパ未達;Δb)状態となる。このような現象が一旦発生すると、後続する集積動作の過程で位置ズレしたシートを修正する力(搬送力或いは整合力)が作用しないため、結果として位置ズレした状態のまま後処理(穴開け、スタンプ、綴じ処理など)が施される。
【0016】
また、トレイ100にシートが左肩寄りで搬入されたときには、上述と逆の整合動作となり、シートの不揃いを招く。つまりシートがトレイに右偏りで搬入される場合と左偏りで搬入される場合のいずれであっても、シートの不揃い集積を招く。
【0017】
そこで本発明者は、トレイに搬入されるシートの偏りを識別してその偏りに応じて左右の整合部材の動作を制御するとの着想に至った。これと共に本発明者はシートの偏り量に応じて、左右の整合部材の動作開始タイミング、動作速度、作動ストロークのいずれかを異ならせる最適条件を究明するに至った。
【0018】
本発明は搬送経路からトレイに搬入するシートを排紙直交方向に幅寄せ整合する際に積載済シートの位置ズレを引き起こすことなく正しい処理位置に正しい姿勢でシートを集積することが可能なシート整合装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
なお本発明にあって整合位置とは、所定のステージ(トレイ、経路ガイドなど)にシートを位置決めする際に、サイズの異なるシートを予め設定したセンターラインを基準に位置決めするか、又は左右いずれか一方のサイドラインを基準にシート幅方向を一致させるシート側縁位置をいう。そこで、上記課題を達成するため本発明は、搬送経路からシートを搬入する処理トレイに左右一対の整合部材と、この整合部材を予め設定した待機位置から作動位置に移動するシフト手段を設け、このシフト手段をトレイに搬入されるシートの搬送直交方向の偏りに応じて左右の整合部材の整合動作を異ならせることを特徴としている。
【0020】
この場合、搬送直交方向のシートの偏りは、処理トレイの上流側にシートの側縁位置を検出するセンサを設けて右偏りであるか、左偏りであるかを判別する識別機構と、シートの給紙・搬送機構に原因する偏り識別機構と、シートサイズ、材質などのシート性状に原因する偏り識別機構のいずれかを採用する。
【0021】
シート側縁をセンサ検出する場合には、例えば搬送経路に、搬送直交方向のセンサアレイを配置する。このセンサアレイは処理トレイの上流側で搬送されるシートの左右両側縁を検出するように左右一対配置するか、或いは左右いずれかに一方の側縁を検出するように片側にのみ配置する。前者はシートの左右の偏り量を検出することが出来、また後者はシートが左右いずれに偏っているか否かを検出することが出来る。
【0022】
給紙・搬送機構に原因する偏り識別機構と、シート性状に原因する偏り識別機構は、次の様に判別する。例えば装置の組立て精度による機体差でシートが左右何れか一方に偏って給紙される場合には、その右偏り傾向の給紙機構から送られたシートは右偏りとして判別する。また、シートサイズによって偏る場合、A4サイズ横送りのときには左側に偏り、A4サイズ縦送りのときには右側に偏り、などシートの性状で偏り方向が識別できる場合がある。このような時にはシート側縁を検出するセンサアレイを設けることなく、例えば左偏り傾向のA4サイズ横送りが指定されたときには左偏りとして判別する。
【0023】
また、左右の整合部材の整合動作は、待機位置から整合位置に移動する動作開始タイミングを異ならせるか、待機位置から整合位置に移動する速度を異ならせるか、或いは整合位置と待機位置の距離を異ならせる。
【0024】
そして、シートが所定の整合エリアから外側に離れた偏り側のシート側縁と対向する整合部材より反対側の整合部材が先に整合位置に移動するように設定する。この場合、例えばシートが右偏りで搬入したときには左整合部材が整合位置に移動した後に右整合部材がシート側縁と係合を開始するタイミングが最も好ましい。
【0025】
このタイミングは、シートの厚さ、腰の強さによって作用が異なるが、少なくとも左右整合部材が整合位置に移動するタイミングを、シートの偏り方向の整合部材より反対側の整合部材の方が早くなるように設定する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上述のように左右一対の整合部材を、トレイに搬入されるシートの偏り状態に応じて整合動作の開示タイミング、動作速度、移動量を異ならせるものであるから以下の効果を奏する。
【0027】
トレイに搬入されるシートが右偏り又は左偏りいずれであるかを判別し、その偏りに応じて左右の整合部材の整合動作を制御するから所定の処理位置に正しい姿勢でシートを集積することが出来る。そして整合エリアから外側に外れたシート側縁と対面する整合部材を遅延させて、反対側の整合部材を先に整合位置に移動するように構成することによって積載済のシート側縁を反対側整合部材で位置規制した状態で、搬入シートの偏りと傾きを修正することとなり、整合済の積載シート(特にその最上シート)の位置ズレを引き起こすことがない。
【0028】
更に本発明は、偏り量を検出し、その偏り量に応じて左右整合部材の整合動作の開始タイミング、移動速度、移動開始位置(待機位置)を変更することによって正確な位置整合が可能となる。その構成は例えば排紙経路にシートの側縁を検出するセンサを配置し、このセンサからの検出信号で偏り量が大きいときには例えば左右の整合部材の動作開始タイミングを大きくズラし、偏り量が小さいときには、開始タイミングを同時若しくは小さくズラせる。このような構成の採用によってより正確な位置決めが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
図1は画像形成装置Aと後処理装置Cとで構成される画像形成システムを示し、後処理装置Cにはシート整合装置Bが内蔵されている。図示の構成において画像形成装置Aでシートの表面に画像を形成して排紙口13に搬出する。この排紙口13には後処理装置Cの搬入口25が連結され、画像形成されたシートを処理装置内部に搬入する。
【0031】
この後処理装置Cにはシートを積載して束状に集積する処理トレイ27が配置され、画像形成されたシートを処理トレイの紙載面上に集積する。この処理トレイ27にはシートの排紙方向前後を位置決めする手段(後述するシート後端規制部材32)と、排紙直交方向に位置合わせする手段(後述する幅寄せ整合機構;シート整合装置B)が設けられ、予め設定された姿勢で所定の位置に位置決めされる。
【0032】
そして処理トレイ27には集積されたシートに後処理を施す後処理ユニット28(ステープラユニット)が配置され、束状に集積されたシートを綴じ合わせる。処理トレイ27の下流側にはスタックトレイ29が配置され、後処理したシート束をスタックトレイ29に収納する。以下、画像形成装置A、後処理装置Cの順に説明する。
【0033】
[画像形成システム]
[画像形成装置A]
図1に示す画像形成装置Aについて説明する。画像形成装置Aはハウジング1内に、給紙部2と、画像形成部3と、排紙部4を備え、ハウジング1の上方に画像読取部5と原稿送り装置19がオプションユニットとして備えられている。上記ハウジング1はフロア据付タイプ(スタンドアロンタイプ)、デスクトップタイプなど適宜形状の外装ケーシングで構成されている。
【0034】
給紙部2は、異なったサイズのシートを収納する複数の給紙カセット2a、2b、2c(以下カセット2aで総称する)と、汎用されるシートを大量に収納する大容量カセット2dと、手差し給紙トレイ2eで構成されている。このように給紙部2はカセット2aと大容量カセット2dと手差しトレイ2eで構成されている。給紙カセット2aの構造は、種々のものが採用可能である。図示の各カセット2aにはシートを収容する紙載台と、紙載台上のシートを繰出す給紙ローラ2xと、シートを一枚に分離する分離手段(分離爪、リタード部材など)が内蔵されている。各カセット2a〜2cはハウジング1に着脱可能に装着されている。
【0035】
また大容量カセット2dは、大量に消費されるシートを収納する給紙ユニットであり、ハウジング1に内蔵される構造と、ハウジング1の外部に付設されるオプション構造が採用される。上記手差し給紙トレイ2eは、カセットに収納する必要のないシート、若しくはカセットに収納することができないシート、例えば厚紙シート、特殊コーティングシートなどを後述する画像形成部3の画像形成タイミングに合わせて供給する。
【0036】
なお、本発明にあって給紙カセット2aの数、大容量カセット2dの要否、手差しトレイ2eを備えるか否かは装置仕様に応じて自由に選択可能である。
図1には給紙部2を少なくとも異なる2つ以上の給紙機構を備える場合を示し、その給紙機構は例えば第1給紙カセット2aと第2給紙カセット2bの組合せ、1つの給紙カセット2aと大容量給紙カセット2dの組合せなどで構成する。
【0037】
その理由は後述するようにシートを複数の給紙機構の1つから画像形成部3に給送するとき、給紙機構の特性(精度)によってシートが左右いずれか一方に偏る傾向が生ずることがある。この傾向があるときには、例えば第1給紙部から給送したシートは右偏り傾向で給送され、第2給紙部から給送したシートは左偏り傾向で給送されることがある。この場合にはシートが複数何れの給紙機構から給送されたかによってシートの偏りを判別することが可能である。
【0038】
上述の給紙部2の下流側には給紙経路6が設けられ、給紙カセット2aから供給されたシートを下流側の画像形成部3に給送する。このため給紙経路6にはシートを搬送する搬送機構(搬送ローラなど)と、画像形成部3の直前にレジストローラ7が設けられている。レジストローラ7は互いに圧接した一対のローラ対で構成され、停止状態のローラにシート先端を突き当ててループ状に湾曲させることによってシートの先端揃え(スキュ修正)を行う。
【0039】
このようなレジスト修正機構はよく知られた構造であり、比較的簡単な機構でシートのスキュを修正することができる。このレジスト機構で修正できないシートのスキュ或いは横レジ(シートの搬送直交方向の偏り;以下同様)は、その状態(未修正状態)で画像形成部3に送られ、画像形成される。このシートのスキュと横レジについて説明する。「シートスキュ」はシートが搬送方向に対し所定角度傾斜して送られる現象であり、スキュ状態となったシートは搬送経路に沿って斜行し、画像形成、後処理位置などに送られる。「横レジ」は、給紙カセットからシートを繰り出す際に給紙ローラが左右何れかに偏っているとシートはスキュして繰り出されるが、このシート側縁が搬送ガイドなどで規制されるとシートは左右何れかに偏った姿勢で下流側に送られる。
【0040】
なお、このシートスキュと横レジは、いずれもシートが設定された正しい姿勢(設計値)から角度方向に偏り(スキュ)、搬送直交方向に偏り(横レジ;レジストレーション)が生じた場合であり、角度方向は右方向にα角度とか、左方向に−α角度のように左右いずれかに傾く。同様に横レジは、右サイドにβmm偏るとか、左サイドに−βmm偏ることとなる。以下このシートの傾きと偏りの両方の位置ズレ現象を総称して「偏り」と云う。
【0041】
次に前述の給紙経路6には、
図1に示すように、その経路端部にレジストローラ7が配置され、経路ガイドにはシートをループ状に湾曲させるレジストエリアが形成されている。従って、複数の給紙カセット2aから送られたシートはレジストローラ7で先端揃えされ、その位置で画像形成のタイミングを待つように待機する。
【0042】
画像形成部3は、インクジェット印刷機構、シルクスクリーン印刷機構、オフセット印刷機構、インクリボン印刷機構などの画像形成機構が採用可能である。図示のものは静電式画像形成機構を示している。感光ドラム8の周囲に印字ヘッド9(レーザー発光器)と現像器10が配置されている。感光ドラムの表面は感光体で光によって静電特性が異なるように形成され、その表面に印字ヘッド9で潜画像を形成し、現像器10でトナーインクを付着する。これと共にレジストローラ7で待機しているシートをドラム周面に向けて給送し、チャージャ11でトナー画像をシート上に転写する。そして定着器12で定着し排紙部4に送る。
【0043】
排紙部4は、画像形成部3で画像形成されたシートをハウジング1に形成された排紙口13に案内する排紙経路15で構成されている。これと共に排紙部4にはデュープレックス経路14が設けられ、表面に画像形成したシートを表裏反転して再びレジストローラ7に案内し、画像形成部3でシート裏面に画像を形成した後に排紙経路15から排紙口13に案内する。このデュープレックス経路14は、画像形成部3から送られたシートの搬送方向を反転するスイッチバックパス(図示のものは排紙経路15と後処理装置Cのシート搬送経路26で構成している)とシートを表裏反転するUターンパスを有するデュープレックス経路14が配置されている。
【0044】
図1に示す画像読取部5は、読取プラテン16と、このプラテンに沿って往復動する読取キャリッジ17と、光電変換手段18で構成されている。キャリッジ17には光源ランプ(不図示)が内蔵されプラテン16にセットされたシート原稿に読取光を照射する。原稿からの反射光は集光レンズを介して光電変換素子18上に集光される。このような構成でプラテン上にセットした原稿をキャリッジ17で走査して光電変換素子18で電気信号に変換する。この電気信号は、画像データとして画像形成部3のデータ処理部に送られる。
【0045】
なお、図示19は原稿送り装置である。給紙トレイ20にセットした原稿を1枚ずつ分離して読取プラテン16に案内する。このプラテン16で画像読取されたシート原稿は排紙トレイ21に収納される。
【0046】
以上説明した画像形成装置Aでは、給紙カセット2aに準備されたシートに画像形成部3で画像形成し、排紙口13に搬出する。このとき上述したようにシートスキュ、横レジなどシートが偏った状態で画像形成される場合と、画像形成後にシートがスキュ、横レジなど偏った姿勢で排紙口13に送られることがある。
【0047】
このようなシート姿勢の不揃いは、製本綴じ、パンチ処理、スタンプ処理などシートの仕上げ品位に影響を及ぼす。例えば、画像形成後にシートを後処理部に搬送する過程でシートに横レジなどの片寄りが生ずるとパンチ穿孔、スタンプ捺印、或いはステープル綴じしたシート束の周縁が不揃いとなる問題が生ずる。
【0048】
[後処理装置]
上述の画像形成装置Aには排紙口13に連なるように後処理装置Cが連設されている。この後処理装置Cについて
図2に従って説明する。後処理装置Cは
図2に示すように、ケーシング24と、このケーシングに設けられた搬入口25と排紙口30を有するシート搬送経路26(搬送経路;以下同様)と、この搬送経路26から送られたシートを後処理のために一時的に収容する処理トレイ27(トレイ手段;以下同様)と、このトレイに配置された後処理手段28と、後処理されたシートを収納するスタックトレイ29で構成されている。
【0049】
[搬送経路]
シート搬送経路26はケーシング24に水平方向に配置された略直線経路で構成され、排紙口30を備えている。搬入口25は画像形成装置Aの排紙口13に連なる位置に配置され、排紙口30は処理トレイ27の上方に段差を形成して配置されている。処理トレイ27は、下流側に配置されたスタックトレイ29との間でシートをブリッジ支持するように配置されている。つまり排紙口30から送られたシートの先端側をスタックトレイ29(正確には積載された最上シート)で支持し、シート後端側を処理トレイ27で支持する。
【0050】
このスタックトレイ29は昇降トレイで構成され、図示しない昇降機構によって積載された最上シートが処理トレイ27上に支持されるシートとほぼ同一平面となるように高さ調節可能に構成されている。
【0051】
シート搬送経路26には送られるシートにファイル穴を穿孔するパンチユニット28pが配置されている。シート搬送経路26にはシートを搬入口25から排紙口30に向けて搬送する搬送ローラと、排紙口30には排紙ローラ31bが配置されている。また搬入口25の近傍にはシートセンサ(入口センサ)Se1が排紙口30近傍にはシートセンサ(排紙センサ)Se2が配置されている。
【0052】
排紙口30と処理トレイ27との間には段差が形成され、排紙口30からシート先端をトレイ上の最上シートの上に送り、シート後端を排紙口から落下させて集積するようになっている。この処理トレイ27にはシートを所定位置に位置決めする規制ストッパ32(後端規制部材)と、このストッパにシートを送る反転ローラ33(正逆転ローラ)と、摩擦回転体34が配置されている。
【0053】
図示の後処理手段28は、トレイ上に集積されたシート(束)を綴じ処理するステープルユニットで構成されている。この他、後処理手段28としては穿孔装置、捺印装置などで構成する。従って処理トレイ27は排紙口30から送られたシートを束状に堆積させて部揃え集積する構成(後処理手段がステープルユニットのとき)に限定されない。排紙口30から送られたシートを1枚ずつ後処理する構成(後処理手段が捺印装置のとき)としても良い。
【0054】
上記反転ローラ33は、排紙口30から送られたシートを下流側(
図2左側)に移送する機能と、シート後端が排紙口30から処理トレイ上に落下した後にこのシートを規制ストッパ32に向けて移送する機能とを有している。このため反転ローラ33は正逆転可能な駆動モータ(不図示)に連結され、同時に処理トレイ上方の待機位置からトレイ上の作動位置に上下昇降可能に装置フレームに支持されている。そして図示しない昇降モータによって待機位置と作動位置との間で上下動する。
【0055】
反転ローラ33の動作は、シート先端が排紙口30から処理トレイ27上に進入するまでは上方の待機位置に位置し、シート先端がローラ位置に進入した後に、このシートの上に降下するとともにローラが排紙方向に回転してシートをスタックトレイ方向に送る。そしてシート後端が排紙口30から処理トレイ27上に落下した後には反転ローラ33は排紙逆方向(
図2反時計方向)に回転する。そしてシート後端が摩擦回転体34に喰え込まれた後にシートと係合する作動位置から待機位置に上昇して待機する。この動作の前後に反転ローラ33の回転は停止する。
【0056】
摩擦回転体34は、排紙口30から処理トレイ上に落下したシート後端を掻き込み搬送する回転体で構成され、シート後端を規制ストッパ32に向けて移送する。このため摩擦回転体34は、フレキシブルベルト(タイミングベルト、リング状ベルト)、或いは上下揺動するアーム部材(ブラケット)に軸支持された昇降ローラなどで構成される。これは処理トレイ上に積載されたシートの高さ位置に応じて上下動させるためである。
【0057】
上記規制ストッパ32は、
図3に示すように処理トレイ後端部27aに配置された突当て規制面32xを有するストッパ片32a、32bで構成されている。図示のストッパ32は後述するステープルユニット28の移動動作の関係で、間隔を隔てて配置された複数のストッパ片で32a、32b構成されている。
【0058】
上述したように画像形成装置Aの排紙口13に送られたシートは、後処理装置Cのシート搬送経路26に搬入され、その排紙口30から処理トレイ27に収納される。そしてこの処理トレイ27で後処理が施された後に下流側のスタックトレイ29に収納される。そこでこの処理トレイ27にはシート端を突き当て規制する規制ストッパ32(32a、32b)と共に、シートの幅方向姿勢を予め設定された基準ラインと一致させる整合機構が設けられている。以下この整合構成について説明する。
【0059】
[整合機構の構成]
処理トレイ27には以下の整合機構が配置されている。シート搬送経路26から処理トレイ27に送られたシートは、その搬送方向先端(図示のものは排紙方向後端)を前述の規制ストッパ32に突当てられて停止し、このストッパ面に沿ってシートの搬送方向は位置決めされる。これと共に、シートの搬送直交方向(シート幅方向;以下単に「幅方向」という)は以下の整合機構で位置決めされる。
【0060】
処理トレイ27には基準ラインが設定され、異なるサイズのシートをこの基準ラインに一致するようにシート幅方向を位置決めする。基準ラインは、センタ基準とサイド基準のいずれかに設定される。センタ基準は異なるサイズのシートをシートセンタが基準ラインに一致するように位置決めする。またサイド基準は、左右側縁の一方を基準ラインに設定され、異なるサイズのシートをシート側縁がこの基準ラインに一致するように位置決めする。
【0061】
図示のものはセンタ基準に設定する場合を示し、シートは上流側の画像形成装置Aからセンタ基準で搬出され、シート搬送経路26と、この経路に配置された排紙ローラ31bおよび反転ローラ33はいずれもセンタ基準で配置されている。このセンタ基準のレイアウト構成は、基準ラインSc0を中心に排紙ローラ31bと反転ローラ33と規制ストッパ32が左右バランスするようにラインSc0を基準に左右対称(線対称)に配置されている。
【0062】
整合機構は、左右一対の整合部材36a、36bと、この整合部材36をシート幅方向に移動するシフト手段で構成される。左右一対の整合部材36は、それぞれシート側縁と係合する整合面36xを備え、この整合面36xは基準ライン(センタ基準又はサイド基準;以下同様)と平行に形成される。この整合機構は、シート搬送経路26に配置されるか、或いは処理トレイ27に配置される。以下図示の処理トレイ27に整合機構を配置する場合について説明する。
【0063】
処理トレイ27には表裏貫通するスリット溝27xが設けられ、この溝に沿ってトレイ背面にガイドレール(凹溝)が形成されている。このガイドレール(凹溝)に左右の整合部材36a、36bは基端部36yを嵌合支持され、先端部36zをトレイ上に突出させ、この先端部に整合面36xが形成されている。整合部材36は図示のように板上部材(プレート)で構成する場合、ピン部材で構成する場合、揺動レバーで構成する場合など、種々の構造が採用可能である。整合部材はいずれの構造であってもシート側縁と2点以上で係合するか、面で係合するように構成する。
【0064】
図示の整合部材36は、断面略L字状の板状部材で構成され、その基端部は処理トレイ27のガイドレールに嵌合され、スリット溝27xに沿ってシート幅方向に移動可能に支持されている。また整合面36xは平板形状でシート側縁と面接触するようになっている。図示の左右一対の整合部材36a、36bは、それぞれ整合面36xを有する板状部材で構成する場合を示しているが、必ずしも左右同一構造で構成する必要はない。
【0065】
[シフト手段]
上述の整合部材36を所定ストロークで往復動させるシフト手段について説明する。左右一対の整合部材36a、36bは、ホームポジションHpと、待機位置Wpと、整合位置Apの間で往復動する。ホームポジションHpは、左右整合部材36の初期位置として設定され、装置起動時のイニシャライズ動作で各整合部材をこの位置に移動する。このため、ホームポジションHpには、ポジションセンサ(不図示;ホトセンサ、レバーセンサなど)が設けられ、左右の整合部材36a、36bがホームポジションに位置するか否かを判断するようになっている。
【0066】
待機位置Wpは、処理トレイ上にシートが搬入される際に、シートの進入路から退避した位置に待機する。この待機位置Wpは、シートサイズ毎に設定する場合と、シートサイズに拘わらず最大サイズシートの進入路から設定する。サイズ毎の場合には、基準ラインSc0を基点に搬入されるシートの最大偏り量と補正値から設定する。
例えばA4サイズ(210×297ミリ)シートの場合には、センターラインから待機位置Wpを基準ラインから(210/2=105ミリ)+(予想される最大偏り量Δmaxミリ)+(安全補正値α)離れた位置に設定する。
Wpd=210/2+Δmax+α (式1)
尚、ここでWpdは処理トレイ上に設定された基準ライン(センタ基準かサイド基準)と待機位置Wpとの間の距離とする。
【0067】
また、待機位置Wpをサイド基準で設定するときには、基準に設定したシートサイド側(例えば右サイド)の整合部材36aの待機位置Wpd1を式2で、反対側のシートサイド側(例えば左サイド)の整合部材36bの待機位置Wpd2を式3に従って設定すると良い。
Wpd2=Δmax+α (式2)
Wpd1=210+Δmax+α (式3)
このように各サイズ及びシート搬送方向(縦送りか横送りか)に応じて処理トレイ27に供給されるシートの予想される最大偏り量を下回らないように位置設定する。
【0068】
作動位置Apはシートサイズ毎に、シートセンタ(又はシートサイド)が基準ラインSc0に一致する位置に設定する。この場合、センタ基準のときには、その基準ラインと作動位置との間隔(Apd)は、
Apd=シート幅/2 (式4)
に設定する。
なお、この場合シート幅に誤差があるが、整合板の動作ではこの誤差はネグレクトすることが可能である。このほか、整合面36xを弾性変形可能なバネで構成することも可能である。
【0069】
なお、本発明にあって、ホームポジションHpと待機位置Wpとを同一ポジションに設定することも可能であり、例えばホームポジションHpを最大サイズシートの待機位置Wpに設定する。これによって処理トレイに装着する整合部材の移動ストロークを最短に設定することが出来る。
【0070】
次にシフト手段Bの構成について説明する。上述の左右一対の整合部材36をホームポジションHpから待機位置Wp、待機位置から作動位置Apに移動するシフト手段について説明する。本発明は処理トレイ27に搬入したシートを左右の整合部材36で基準ラインと一致する位置に整合する際に、搬入シートの偏り(搬送直交方向の位置ズレ;以下同様)を識別して、その偏りに応じて左右の整合部材36の整合動作を制御することを特徴としている。
【0071】
例えば処理トレイ27に基準ラインと一致する姿勢でシートが搬入されたときには左右の整合部材を、同一距離関係にある待機位置から作動位置に、同時に、同速度、で移動してもトレイ上に積載されている(整合済み)シートを位置ズレさせることはない。しかし処理トレイ上に積載されている最上シートの上に、右偏りまたは左偏りのシートが搬入されたときには、偏り側に位置する右整合部材が先にシート側縁と係合してシートを基準位置に幅寄せ移動すし、シートを整合位置に修正したときに反対側の左整合部材がシート側縁と係合する。
【0072】
このため
図11に基づいて前述したようにシートを右整合部材が位置修正するときに、このシートと接している最上シートは、搬入シートの位置修正と同時に、このシートが連れ送りによって位置ズレしてしまう。そしてこのシートを左側整合部材で再整合するときに完全に位置修正することが出来ない。特に搬送方向はストッパに規制されているが、このストッバに突き当てる搬送力が作用することがないため、搬入シートの下(下層部)で位置ズレしたシートは、搬送方向のズレを修正することが難しくなる。
【0073】
そこで本発明は、処理トレイ27に搬入されるシートの偏りを判別し、その偏り方向の反対側に位置する整合部材を先にトレイ上の積載シート側縁に突き当て、その状態で偏り側に位置する整合部材をシート側縁と係合させて偏りを修正する方向に移動する。
【0074】
つまり右偏りのシートのときには、まず左整合部材36aを処理トレイ上の積載シートの左側縁と係合させ、その状態で右整合部材36bを先に積載シートの側縁と係合させた状態で左整合部材36aを搬入シートの側縁と係合させて基準位置に位置移動する。また逆に搬入シートが左偏りのときには右整合部材36bを先に積載シートの側縁と係合させ、その後に左整合部材36aを搬入シート側縁と係合させて整合位置に幅寄せ移動する。このような左右の整合部材の動作を実行する方法は、次の第1〜4のいずれかを採用すると可能である。
【0075】
(1)第1の方法は、シートの偏り方向反対側に位置する整合部材36を待機位置Wpからで整合位置Apに移動した後に、偏り方向に位置する整合部材36を待機位置Wpから整合位置Apに移動する左右の整合動作の実行タイミングを異ならせる。
【0076】
(2)第2の方法は、偏り方向反対側に位置する整合部材36を待機位置Wpから作動位置Apに向けて移動開始した後に、偏り側に位置する整合部材36を待機位置Wpから作動位置Apに移動開始する。
このように左右の整合動作を時間的に遅延させる方法であり、この場合の遅延時間は、偏り方向反対側の整合部材が偏り方向の整合部材より先に積載済シートの側縁と係合する。この場合の遅延時間は偏り方向反対側の整合部材が偏り方向の整合部材より先に積載済シートの側面と係合し、次いで偏り側の整合部材が搬入シートの側縁と係合するように時間設定する。この時間設定は、シートの偏り量の実験値を平均的にデータ化し、そのデータに基づいて遅延時間を設定するか、若しくはシート搬送の都度、シートの偏り量をセンサ検出して、この偏り量から遅延時間を算出(例えば偏り量Δ/整合速度)する。
【0077】
(3)第3の方法は、偏り反対側に位置する整合部材36の移動速度を偏り側に位置する整合部材の移動速度より高速度に設定する。この速度差は、偏り反対側の整合部材が先に整合位置Apに到達し、偏り側の整合部材が遅れて整合位置Apに到達するように速度差する。この速度差も前述の場合と同様に、実験で平均的な偏り量を求め、待機位置Wpから整合位置Apに偏り反対側の整合部材が先に到達し、その後に偏り側の整合部材が(平均的偏り量の)搬入シートの側縁と係合するように設定する。
【0078】
(4)第4の方法は、偏り反対側の待機位置Wpと整合位置Ap間の距離(ストローク間隔という;以下同様)と、偏り側の待機位置Wpと整合位置Apとの間のストローク間隔より短く設定する。この間隔差は偏り反対側の整合部材が先に整合位置Apに到達し、その後に偏り側の整合部材が搬入シートの側縁に係合するように設定する。この間隔差も前述のものと同様に偏り量をセンサ検出して距離を割り出す場合と、実験的に求めた平均(又は最大)偏り量から算出する。
【0079】
上述したように、シートの偏り量に応じて左右整合部材36a、36bの動作タイミング、整合速度、整合ストローク、を異ならせる。このときのイミング、速度、距離の設定は、実際の搬送シートの偏り量を検出して、その実測偏り量から算出する方法と、装置製作時に予め実験データとして求めた偏り量(平均値、最大値、偏差値など)かデファクト値として設定する方法がある。具体的な実施形態としては偏り量の実測値から算出する制御プログラムを例えばROMに準備するか、予め設定したデファクト値を制御データとしてRAMに準備する。
【0080】
[偏り状態判別手段]
上述の整合方法を実行する際に、シートの「偏り量」を判別する必要がある。これは前述したように処理トレイ27に搬入されるシートが右偏りに搬入されたか、左偏りに搬入されたかを判別する方法は、次の第1第2第3の実施形態がある。
【0081】
「第1実施形態」
給紙機構、搬送機構に原因してシートの偏りが発生する場合がある。例えば給紙機構のピックアップローラ2xが機体差で一方に傾いているときには、シートはスキュして給紙経路6に送られ下流側のレジストローラ7で左右いずれか一方に偏って、給送されることがある。同様に搬送機構でもシートが一方に偏る傾向となる場合がある。例えば片面印刷のシートは右偏りに搬出され両面印刷のシートは左偏りに搬出されることがある。
【0082】
従って、処理トレイ27に搬入されたシートが、複数の給紙機構のどの給紙機構から送られたのか、複数の搬送経路のどの搬送経路から送られたのかによってシートの偏り傾向が判別できる。この実施形態においては、シート搬送経路26若しくは、その上流側に配置されている画像形成装置Aなどの給紙条件、搬送条件を情報として入手し、後述する制御装置50は上流側の装置から送られた給紙、搬送条件から処理トレイ27に搬入されるシートの整合条件も設定することができる。補助する制御手段50は画像形成装置Aの各給紙機構のシート偏り量を実験して平均偏りデータをROM51に記録し、制御プログラムはこの偏りデータを呼び出して左右の整合部材36a、36bに整合動作を実行させるように構成されている。
【0083】
「第2実態」
この実施形態は、図示しないがシートの表面処理、紙厚さ、材質、サイズなどシートの性上から設定する。例えばシート表面がオーバコートされているときには、シートは左右いずれか一方に偏って処理トレイ27に送られる場合がある。同様にシートがプラスチックフィルム、厚紙などのときには、シートの性状によって左右の整合部材36a、36bの整合動作を異ならせることができる。その具体的構成は前述の第1実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0084】
「第3実施形態」
第3の実施形態は、第1第2実施形態と異なり、処理トレイ27に到達するシートが右偏りであるか左偏りであるかを装置構成から特定することが出来ないとき若しくは困難な場合に採用する。処理トレイ27の上流側(トレイ若しくはシート搬送経路26)にシートの偏りを検出するセンサSe3(Se4)を配置する。このセンサはシートが右偏りであるか左偏りであるか、偏り方向のみを検出するホトセンサ、レバーセンサ、フラグセンサなどをシート搬送経路26又は処理トレイ27にシート幅方向左右いずれかに一方にシート有無を検出するセンサを配置する。
【0085】
このシート有無を検出かるセンサは、シートサイズに応じて幅方向に位置移動する可動センサで構成するか、シートサイズ毎に複数配列したセンサ群で構成する。そしてシートサイズに対応するセンサがシート有りを検出するときにはシートはセンサを配置した側に偏って搬送され、このセンサがシート無しを検出したときには、センサを配置した反対側に偏ってシートが搬出されたことが別可能となる。
【0086】
また、シートセンサSe3(Se4)は、シートの偏り方向と同時に偏り量を検出するときにはセンサアレイで構成する。
図4にその実施形態を示す。シート搬送経路26には、シートセンサを排紙直交方向左右それぞれに右センサアレイSe3と左センサアレイSe4を配置してある。このセンサアレイSe3(Se4)はシート搬送経路26から処理トレイ27に向けて搬送されるシートが、右偏りであるか左偏りであるかと、その偏り量を検出可能な検知素子配列で構成されている。
【0087】
つまり右センサアレイSe3がシート有りを検出すると、このシートは右偏りで搬送され、配列何番目のセンサ素子がオンからオフに変化したかによって偏り量δを判別することができる。
【0088】
[シフト手段の実施形態]
シフト手段は、駆動モータMと、その回転を左右の整合部材36a、36bに伝達する伝動手段で構成される。以下、左右の整合部材に個別の駆動モータで異なる整合動作を実行させる第1実施形態と、単一の駆動モータで左右の整合部材に異なる整合動作を実行させる第2実施形態と、2つのモータで左右の整合部材の動作ストロークを単一の駆動モータで異ならせる第3実施形態について説明する。
【0089】
[第1実施形態]
図5(a)に示すシフト手段は個別の駆動モータMa、Mbで左右の整合部材36a、36bを待機位置Wpと作動位置Apの間を往復動させる機構である。左右の整合部材36a、36bは前述したように処理トレイ27にシート幅方向に移動可能に支持されている。そして各整合部材36a、36bには整合モータMa、Mbが、左整合部材36aには左整合モータ38aが、右整合部材36bには右整合モータMbが連結されている。この各整合モータMa、Mbはステッピングモータで減速機構を内蔵したギアドモータで構成されている。各整合モータMa、Mbの出力軸は左右の整合部材36a、36bに連結した走行ベルト37(タイミングベルト)に連結されている。
【0090】
従って各整合モータMa、Mbは供給した電源パレスに応じて、所定速度に減速された回転がタイミングベルト37に伝達される。そして各モータの正逆転で、左右の整合部材36a、36bは接近動作と離間動作を繰り返すこととなる。
【0091】
[第2実施形態]
図5(b)に示すシフト手段は左右の整合部材36a、36bは処理トレイ27にシート幅方向に移動可能に支持され、それぞれにラック41bが形成されている。このラック41bには駆動モータMcに連結された駆動ピニオン42と右伝動ピニオン43b、左伝動ピニオン43aがギア連結されている。そして各伝動ピニオンにはクラッチ(電磁クラッチ、バネクラッチなど)が内蔵されている。
【0092】
そこで駆動モータMcを回転し、右伝動ピニオン43bの内蔵クラッチをonすると右整合部材36bを接近および離間方向に移動する。この動作と分離して左伝動ピニオン36aの内蔵クラッチをonすると左整合部材36aを接近および離間方向に移動する。これによって左右の整合部材36a、36bは、それぞれ異なったタイミングで、接近方向(整合方向)にも、離間方向(待避方向)にも移動する。つまり後述する制御手段50は、伝動ギアに内蔵されたクラッチをオンオフすることによって左右の整合部材36a、36bを異なったタイミングで整合動作させることが可能となる。
【0093】
[第3実施形態]
図6に示すシフト手段は、左右の整合部材36a、36bの待機位置から整合位置への移動距離(整合ストローク)を、シートの偏りに応じて異ならせる機構を示す。前述のように左右の整合部材36a、36bは、処理トレイ27にシート幅方向に移動可能に支持されるが、図示のものは処理トレイ27にシート幅方向に移動可能に支持されたスライドフレーム44(シフトフレーム)にマウントされている。このスライドフレーム44には処理トレイ(又は装置フレーム)にマウントされたモータMd(以下オフセットモータという)の出力ピニオンと噛合するラック44rが形成してある。
【0094】
これと共に、左右の整合部材36a、36bは、スライドフレーム44にシート幅方向に移動可能に支持され、このフレームに固定された駆動ピニオンと整合モータMeに歯車結合されている。従って、オフセットモータMd(例えばステッピングモータ)を所定量回転させてスライドフレーム44を所定量右方向又は左方向に移動する。すると左右の整合部材36a、36bは、同一量同一方向にオフセットされその位置を起点に待機位置から作動位置に移動することとなる。
【0095】
尚この場合には各整合部材36は、付勢スプリングで整合面36xが進退する構造に構成してあり、所定圧力でシート側縁と係合した後は、弾性変形して整合面が後退するようになっている。そして整合部材36が待機位置Wpから整合位置Apに移動するとき、積載済シートの側縁に係合するとそれ以上は移動しないように構成され、設けられレバーは整合したシート側縁を付勢するように設けてある。これによって整合部材36がトレイ上の積載済シートの側縁に係合した後は、それ以上駆動モータからの移動力が伝達されても整合面36xが移動することがない。
【0096】
なお前記第1の整合方法のときには上記第1実施形態又は第2実施形態のシフト手段を採用すると良く、第2の整合方法のときには上記第2実施形態のシフト手段を採用する良い。また前記第3の整合方法のときには第2実施形態のシフト手段を採用するとよく、第4の整合方法のときには第3実施形態のシフト手段を採用すると良い。
【0097】
[片側基準の方法]
上述した発明では整合部材36はシートセンタを基準に異なるサイズのシートを整合する場合ついて説明したが、これはサイド基準(片側基準)で異なるサイズのシートを位置決めするようにしても良い。この時には基準側に位置する整合部材はシートの最大偏り量より大きい間隔で待機位置が設定され、基準側と反対側の整合部材は、シートサイズに応じて待機位置が設定される。
【0098】
[制御手段の構成]
まず本発明の整合動作について
図9に示すフローに従ってその概念を説明する。
シート偏り判別手段53で処理トレイ27に搬入するシートの偏り方向を判別する。この判別はシートが処理トレイ27に搬入される上流側若しくは処理トレイにシートが搬入された後に判別する。シートの偏り判別は、画像形成装置Aから送られた情報を、サイズなどのシート性状情報、給紙機構情報、搬送機構情報などの装置仕様から偏りを判別する(機体特性判別)か、搬入されるシートの偏りを検出して偏りを判別する(実測判別)。制御手段50は機体特性判別か、実測判別か、いずれかによって処理トレイ上に搬入されたシートの偏り方向が右偏りであるか左偏りであるか、その偏り量を検出する(偏り量を検出しない制御のときもある)。次に制御手段50は整合動作を実行する。この整合動作は偏り方向に応じて前述した第1〜第4のいずれかの整合方法で整合動作を実行する。つまり左右の整合部材36a、36bの整合動作開始タイミングを偏りに応じて設定するか、整合動作速度を偏りに応じて設定するか、整合動作の動作ストロークを偏りに応じて設定する。そしてこの設定した条件で整合動作を実行する。
【0099】
本発明の制御構成を
図10に従って説明する。後処理装置Cの制御部は制御CPU50でコンピュータ制御されるようになっている。ROM51に記憶された制御プログラムに従ってRAM52に記憶された制御データに従って後処理動作を制御する。この動作は、画像形成されたシートを部揃え集積して後処理(ステープル綴じ)を施し、綴じ処理したシート束をスタックトレイに搬出する動作を実行する。このため制御CPU50は画像形成装置Aの制御部45からシートサイズ(搬送直交方向長さも含む)情報と、シート性上(紙厚さ、材質、カール度合い)情報と、給紙経路情報、搬送経路情報とジョブ終了信号を受信する。
【0100】
上記制御CPU50(以下単に制御手段という)は、上流の画像形成装置Aから搬出されたシートをシート搬送経路26に受け入れる排紙制御部50aと、シート整合制御部50bと、後処理制御部50cと、シート束搬出制御部50dを備えている。排紙制御部50aは、シート搬送経路26に搬入されたシートを搬送ローラで排紙口30に向けて搬送するように搬送ローラ駆動モータを制御する。これと共に排紙制御部50aは反転ローラ33を、シートが排紙口30から搬出されたときにはローラを待機位置に待機させ、シート先端が通過した後にローラを互いに圧接し、このローラを排紙方向に回転した後にシート後端が排紙センサSe2を通過したタイミングでローラの搬送方向を反転する。この制御は反転ローラ33の昇降モータで上下動を、ローラ駆動モータで正逆制御する。
【0101】
シート整合制御部50bは、処理トレイ上にシートが搬入され、その後端が規制ストッパ32に到達した見込み時間の後、左右の整合部材36a、36bを待機位置Wpから整合位置Apに位置移動する。この左右の整合部材36a、36bの位置移動は前述した整合方法の1〜4のいずれかの方法を実行する。
【0102】
後処理制御部50cは、ステープル綴じ、パンチ穿孔、スタンプ捺印などの後処理に応じて各ユニットを制御する。図示のステープルユニット28はジョブ終了信号で最後のシートが処理トレイ27に搬入され、その幅方向が整合された動作の後、制御手段50はステープルユニット28のドライブモータに起動信号を送信する。この信号を受けてステープルユニット28は綴じ動作を実行し、その動作終了後にエンド信号を制御手段50に送る。
【0103】
シート束搬出制御部50dは、後処理ユニット28からのエンド信号を受けて反転ローラ33で処理トレイ上のシート束を圧接し、スタックトレイ方向にローラを回転する。この動作で処理トレイ上のシート束は下流側のスタックトレイ29に収納される。
【0104】
本発明は上記シート整合制御部50bに処理トレイ27に搬入されたシートの偏りを判別するシート偏り判別手段53を有している。この判定手段は、シート搬送経路26に配置したセンサアレイSe3(Se4)、若しくは処理トレイ27に配置したセンサアレイでシートの偏り方向は左右いずれであるかを判別するか、この判別と同時に偏り量も検出する。その他の構成は、例えば画像形成装置Aから情報取得した給紙機構、搬送機構、シート性上などのシート偏り原因に関する情報を取得し、その情報からシートの偏り方向(同時に偏り量を判別する場合もある)を判別する。具体的には制御手段50は、上流側の画像形成制御部(本体制御部)45からシートの偏りに関する情報を取得する。例えばシート厚さ情報を取得したときには、RAM52に記憶されているデータからシート厚さと一致するシートの偏り情報取得する。