(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037340
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】表面の化学的性質の非接触測定装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/39 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
G01N21/39
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-533855(P2013-533855)
(86)(22)【出願日】2011年8月26日
(65)【公表番号】特表2013-539865(P2013-539865A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011049331
(87)【国際公開番号】WO2012050669
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年6月2日
【審判番号】不服2015-13815(P2015-13815/J1)
【審判請求日】2015年7月22日
(31)【優先権主張番号】12/903,548
(32)【優先日】2010年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイー, ポール ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルナー, グレゴリー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】シェリー, ポール エイチ.
【合議体】
【審判長】
郡山 順
【審判官】
福島 浩司
【審判官】
信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−345760(JP,A)
【文献】
特開2008−232919(JP,A)
【文献】
特表平10−512678(JP,A)
【文献】
特開2002−055045(JP,A)
【文献】
特開2010−117272(JP,A)
【文献】
HINKOV,B. 他,“Broad band tunable quantum cascade lasers for stand−off detection of explosives”, Proceedings of SPIE, Volume 7484, 2009年9月17日, Article 748406, 13 Pages
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01N21/00-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に化学的に汚染された領域を有する複数の標準物を設けること、
波長可変赤外線レーザー分光計(4)を設けること、
前記標準物上の前記表面の化学的に汚染された領域の赤外線スペクトルを得ること、
前記表面の化学的に汚染された領域に合わせて前記赤外線スペクトルを較正すること、
前記波長可変赤外線レーザー分光計(4)を用いて汚染の可能性のある表面の赤外線スペクトルを得ること、および、
前記汚染の可能性のある表面の前記赤外線スペクトルを前記表面の化学的に汚染された領域の前記較正された赤外線スペクトルと比較することを含む表面の化学的性質の非接触測定方法。
【請求項2】
前記波長可変赤外線レーザー分光計(4)を用いて汚染の可能性のある表面の赤外線スペクトルを得ることが、前記波長可変赤外線レーザー分光計(4)を用いてシリコーン汚染の可能性のある表面の赤外線スペクトルを得ることを含む請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複合構造物などの構造物の表面上の汚染またはその他の表面の化学的性質の測定に関する。より詳細には、本開示は、検査されている表面との物理的接触を必要としない表面の化学的性質の非接触測定装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合構造物またはその他の構造物の表面上の汚染物質やその他の表面の化学的性質を検出する現在の方法は、赤外分光法の使用を含むことがある。しかしながら、従来の赤外分光法技術は、構造的接着の品質に影響を及ぼす可能性のある表面の化学的性質の変化または低度の汚染を測定するための感度を有していないことがある。現在の赤外分光法は測定中に表面との接触を要するので、表面上にさらなる汚染物質をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、概して、表面の化学的性質の測定装置を対象とする。表面の化学的性質の測定装置に関する一実施形態には、プロセッサと、プロセッサと接続しており、かつ、ある範囲の赤外波長を用いて測定対象面にわたる表面の化学的性質を同時測定するために構成されている波長可変赤外線レーザー分光計のアレイと、プロセッサと接続しており、かつ、測定対象面から反射する赤外波長の赤外線スペクトルを表示するよう適合されている表示部とが含まれる。
【0004】
いくつかの実施形態において、表面の化学的性質の測定装置は、入射赤外線ビーム開口、可視レーザービーム開口および反射赤外線ビーム開口を有する装置筐体と、装置筐体内のプロセッサと、装置筐体内に存在し、かつ、プロセッサならびに入射赤外線ビーム開口および可視レーザービーム開口と接続している波長可変レーザー赤外線分光計のアレイとを含んでいてもよい。波長可変赤外線レーザー分光計のアレイは、ある範囲の赤外波長を用いて測定対象面にわたる表面の化学的性質を同時測定するために構成されていてもよい。装置筐体内の可視レーザーは、可視レーザービーム開口と接続していてもよい。表示部は、プロセッサと接続していてもよく、かつ、測定対象面から反射する赤外波長の赤外線スペクトルを表示するよう適合されていてもよい。
【0005】
さらに本開示は、概して、表面の化学的性質の非接触測定方法を対象としている。該方法の一実施形態は、表面の化学的性質の汚染の広がり(range)を有する複数の標準物を設けること、波長可変赤外線レーザー分光計のアレイを設けること、標準物上の表面の化学的性質の汚染の広がりの赤外線スペクトルを得ること、表面の化学的性質の汚染の広がりに合わせて赤外線スペクトルを較正すること、波長可変赤外線レーザー分光計のアレイを用いて汚染の可能性のある表面の赤外線スペクトルを得ること、および、汚染の可能性のある表面の赤外線スペクトルを表面の化学的性質の汚染の広がりの赤外線スペクトルと比較することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、表面の化学的性質の非接触測定装置の一実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、表面の化学的性質の非接触測定装置の一実施形態の模式ブロック図である。
【
図3】
図3は、表面の化学的性質の非接触測定方法の一実施形態のフロー図である。
【
図4】
図4は、航空機の製造および保守方法論のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は本質的に単なる例示であり、説明する実施形態または説明する実施形態の用途および使用を限定するよう意図していない。本明細書で用いられる「例示的な」や「一実施形態」という語は、「一例、場合または実施例としての役割を果たす」という意味である。本明細書における「例示的な」や「一実施形態」として説明するいかなる実施構成も、その他の実施構成より、好適または有利であると必ずしも解釈されるべきではない。以下で説明する実施構成のすべては、当業者が本発明を生産または使用できるように提供される例示的な実施構成であり、かつ、請求項により規定される本発明の範囲を限定するよう意図されてはいない。さらに、前出の技術分野、背景技術、発明の概要または以下の詳細な説明において提示される明示的または暗示的な理論に縛られるよう意図されてはいない。
【0008】
図1および
図2を参照するに、表面の化学的性質の非接触測定装置(以後、装置と呼ぶ)の一実施形態は全体として参照番号1により示す。装置1は、装置1の機能的構成要素の少なくともいくつかを収容する可能性のある装置筐体2を含んでいてもよい。
図1に示すように、前面筐体板2aが装置筐体2上に設けられていてもよい。前面筐体板2aには、入射赤外線ビーム開口12、可視レーザービーム開口13および反射赤外線ビーム開口14が設けられていてもよい。いくつかの実施形態において、
図1にさらに示すように、可視レーザービーム開口13は通常、入射赤外線ビーム開口12と反射赤外線ビーム開口14との間に存在してよい。
【0009】
図2に示すように、装置1は、CPU(中央処理装置)3を含んでいてもよい。波長可変赤外線レーザー分光計アレイ4は、CPU3と接続していてもよい。波長可変赤外線レーザー分光計アレイ4は、ある範囲の赤外波長において複合材料またはその他の材料24の測定対象面25にわたる同時測定のために構成されていてもよい。波長可変赤外線レーザー分光計アレイ4は、赤外線エミッター5を含んでいてもよい。赤外線エミッター5は、前面筐体板2aに設けられている入射赤外線ビーム開口12(
図1)と接続していてもよい。可視レーザーポインター6は、CPU3と接続していてもよい。可視レーザーポインター6は、前面筐体板2aに設けられている可視レーザービーム開口13と接続していてもよい。波長可変赤外線レーザー分光計アレイ4は、赤外線受信機7を含んでいてもよい。赤外線受信機7は、装置筐体2の前面筐体板2aに設けられている反射赤外線ビーム開口14と接続していてもよい。表示部8は、CPU3と接続していてもよい。いくつかの実施形態において、表示部8は、
図1に示したように、装置筐体2の外面に設けられていてもよい。例えば限定はされないが、USBポートなどの少なくとも1つのポート9は、CPU3と接続していてもよい。1つまたは複数のポート9は、装置筐体2の外面に設けられていてもよい。制御盤10は、CPU3と接続していてもよい。いくつかの実施形態において、制御盤10は、装置筐体2の外表面に設けられていてもよい。いくつかの実施形態において、制御盤10は、タッチスクリーンの形式で設けられていてもよく、かつ、表示部8内に組み込まれていてもよい。
【0010】
可視レーザーポインター6は、可視レーザービーム開口13(
図1)を介して、かつ、その表面の化学的性質または汚染が測定されることとなる材料24の測定対象面25上の選択された領域または地点に対して、可視レーザービーム19を発するよう適合されていてもよい。波長可変赤外線レーザー分光計アレイ4は、赤外線エミッター5から入射赤外線ビーム開口12(
図1)を介して、かつ、測定対象面25上の選択された領域または地点に対して、ある範囲の赤外波長を有する入射赤外線ビーム18を発するよう適合されていてもよい。赤外線受信機7は、測定対象面25からの反射赤外線ビーム20を受けるよう適合されていてもよい。いくつかの実施形態において、赤外線エミッター5は、入射赤外線ビーム18を発する能力を有していてもよく、赤外線受信機7は動作波長範囲(例えば、波数400(cm
−1)から波数約4000(cm
−1)まで)のすべてまたは一部にわたって、反射赤外線ビーム20を集光するよう適合されていてもよい。
【0011】
CPU3は、反射赤外線ビーム20に対応する赤外線スペクトルを処理および保存するとともに、表示部8上に該スペクトルを表示する能力を有していてもよい。CPU3は、スペクトルの多変量解析の実行を始めとする、スペクトルを含むデータの数値操作を行う能力を有していてもよい。CPU3は、表面汚染の広がりを有する標準物から得られる赤外線スペクトルを、標準物上に表面汚染が存在する状態で較正するよう適合されていてもよい。CPU3は、複合標準物から得られる赤外線スペクトルを汚染の可能性のある表面から得られる赤外線スペクトルと比較して、表示部8にその比較を表示する能力をさらに有していてもよい。いくつかの実施形態において、CPU3は、測定された表面上の汚染度を定量化して、表示部8上に定量化された汚染度を数値またはその他の形態で表示する能力を有していてもよい。CPU3から外部装置(図示せず)上へのデータアップロードを促進するために、外部装置が装置筐体2のポート9に接続されていてもよい。
【0012】
装置1の例示的用途において、表面上にシリコーンやその他の汚染の広がりを有する複合標準物またはその他の標準物(図示せず)を準備してもよい。いくつかの用途において、標準物は、グラファイト繊維エポキシ複合標準物とすることができる。その他の実施形態では、標準物は、代替の材料を含んでいてもよい。装置1の波長可変赤外線レーザー分光計アレイ4は、各標準物の表面に対して入射赤外線ビーム18を発することができる。可視レーザーポインター6はまず、表面の汚染度が測定されることとなる各標準物の表面上の選択された領域または地点に対して可視レーザービーム19を発することにより、表面上の選択された領域または地点に対する入射赤外線ビーム18の衝突を誘導してもよい。赤外線受信機7は、各標準物の表面から反射される反射赤外線ビーム20を受けてもよい。CPU3は、各標準物に対応する反射赤外線ビーム20から得られる赤外線スペクトルを処理および保存してもよい。いくつかの用途において、部分最小二乗(PLS)ルーチンを用いて、標準物から得られる赤外線スペクトルを標準物上のシリコーン汚染量に合わせて較正し、測定感度を検証してもよい。
【0013】
標準物から得られた赤外線スペクトルの較正後、装置1は、複合材料またはその他の材料24の測定対象面25の赤外線スペクトルを得るよう動作させてもよい。ある実施形態において、材料24は、測定対象金属面25を有していてもよい。他の実施形態では、材料24は、測定対象複合またはその他の非金属面25を有していてもよい。こうして、装置1の波長可変赤外線レーザー分光計アレイ4は、測定対象面25に対して入射赤外線ビーム18を発することができる。可視レーザーポインター6はまず、測定対象面25上の選択された領域または地点に対して可視レーザービーム19を発することにより、測定対象面25上の選択された領域または地点に対する入射赤外線ビーム18の衝突を誘導してもよい。赤外線受信機7は、測定対象面25から反射される反射赤外線ビーム20を受けてもよい。CPU3は、測定対象面25に対応する反射赤外線ビーム20から得られる赤外線スペクトルを処理および保存してもよい。CPU3は、標準物に対応する赤外線スペクトルとともに測定対象面25に対応する赤外線スペクトルを表示してもよい。CPU3は更に、測定対象面25の赤外線スペクトルをシリコーン汚染標準物から得られる赤外線スペクトルと比較してもよい。いくつかの用途において、CPU3は、測定対象面25上の汚染度を定量化してもよい。
【0014】
装置1が、例えば限定はされないが、高速実時間測定により、金属および複合接着表面を含む多種多様な接着表面についての化学的情報に対するアクセスを提供してもよいことは、当業者により理解されるであろう。該測定は、対象となっている表面上のさまざまな所望の化学種または不要な汚染物質種の不在を確認または検証するために用いてもよい赤外波長区分のアレイとして実施されてもよい。装置1は、接着表面の化学的性質を測定するのに十分な電力を用いて対象となっている表面の非接触測定を促進することにより、そうでなければ表面との赤外線計器の接触により生じる可能性がある表面の汚染を防ぐ。装置1は、大きな接着表面領域に対する表面測定を完全にカバーする高速測定方法を促進してもよい。赤外分光法領域の同時アレイは、多種多様な汚染物質および表面の化学的性質の測定に対するアクセスを提供してもよい。さらに、該方法を用いて、表面上の薄い被膜を該被膜または表面に触れることなく測定可能であることは、当業者により理解されるだろう。このことは、測定のために表面に触れることが望ましくないが、接着下塗りの厚みの測定は望まれる(約0.2ミルから約0.5ミルまで)、金属および複合材上の接着下塗りに有用である可能性がある。
【0015】
次に
図3を参照して、表面の化学的性質の非接触測定方法の一実施形態のフロー
図100を示す。ブロック102において、標準物の表面上にシリコーンまたはその他の汚染の広がりを有する複合標準物またはその他の非金属もしくは金属標準物を設ける。ブロック104において、波長可変赤外線レーザー分光計のアレイを設ける。ブロック106において、複合標準物上のシリコーン汚染の赤外線スペクトルを得る。いくつかの実施形態において、波数約400(cm
−1)から波数約4000
(cm−1)までの赤外波長を用いた赤外線スペクトルを得る。ブロック108において、ブロック106において得られた赤外線スペクトルを複合標準物の表面上の汚染の広がりに合わせて較正する。いくつかの実施形態において、赤外線スペクトルは、部分最小二乗(PLS)ルーチンを用いて複合標準物の表面上の汚染の広がりに合わせて較正してもよい。ブロック110において、波長可変赤外線レーザー分光計のアレイを用いて、シリコーンまたはその他の汚染の可能性がある表面の赤外線スペクトルを得る。いくつかの実施形態において、波数約400(cm
−1)から波数約4000
(cm−1)までの赤外波長を用いた赤外線スペクトルを得る。いくつかの実施形態において、汚染の可能性がある表面は、金属製であってもよい。いくつかの実施形態において、汚染の可能性がある表面は、複合材またはその他の非金属材料であってもよい。ブロック112において、汚染の可能性がある表面の赤外線スペクトルを標準物の赤外線スペクトルと比較する。ブロック114において、汚染の可能性のある表面上の汚染度を定量化する。
【0016】
次に
図4および
図5を参照して、
図4に示すような航空機の製造および保守方法78ならびに
図5に示すような航空機94との関連において、本開示の実施形態を使用できる。本生産の前で、例示的方法78は、航空機94の仕様および設計80ならびに材料調達82を含んでいてもよい。生産の際は、航空機94の構成部品および部分組立品の製造84ならびにシステム統合86が行われる。その後、航空機94は、認証および納品88を経て、運航90されてもよい。顧客による運航中、航空機94は、(変更、再構成、改修などをも含むかもしれない)定期的整備および保守92を受けることとなってもよい。
【0017】
方法78の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者および/または操作者(例えば、顧客)により行われるかまたは実施されてもよい。この記述の意図するところは、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造者および主要なシステム下請け業者を含んでもよいが、これらに限定されるわけではない。第三者は、任意の数の取り扱い業者、下請け業者および供給業者を含んでもよいが、これらに限定されるわけではない。操作者は、航空会社、リース会社、軍隊、保守組織などであってもよい。
【0018】
図5に示すように、例示的方法78により製造された航空機94は、複数のシステム96および内装100とともに機体98を含んでいてもよい。高度システム96の例としては、推進システム102、電気システム104、油圧システム106および環境システム108のうちの1つ以上が挙げられる。任意の数の他のシステムを含んでもよい。航空宇宙の例が示されているが、本発明の原理は、自動車産業といった他の産業に適用することもできる。
【0019】
ここで実施されている装置は、製造および保守方法78のいずれか1つまたはそれ以上の段階中に使用してもよい。例えば、製造プロセス84に対応する構成部品や部分組立品は、航空機94が運航されている間に製造される構成部品や部分組立品と同様に組立てまたは製造されてもよい。また、航空機94の組立てを大幅に早めるか、または、航空機94のコストを削減することにより、例えば、製造段階84および86中に、一以上の装置の実施形態を利用してもよい。同様に、航空機94の運航から、例えば限定はされないが、整備および保守92の間に、一以上の装置の実施形態を利用してもよい。
【0020】
ある例示的な実施形態に関して本開示の実施形態を説明してきたが、当業者は他の変形例に想到するため、該特定の実施形態は、限定ではなく説明を目的とするものであると理解されるべきである。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
プロセッサと、
前記プロセッサと接続しており、かつ、ある範囲の赤外波長を用いた測定対象面にわたる表面の化学的性質の同時測定のために構成されている波長可変赤外線レーザー分光計のアレイと、
前記プロセッサと接続しており、かつ、前記測定対象面から反射する赤外波長の赤外線スペクトルを表示するよう適合されている表示部と、
を含む表面の化学的性質の測定装置。
(態様2)
前記プロセッサと接続している可視レーザーポインターをさらに含む態様1に記載の装置。
(態様3)
装置筐体をさらに含み、かつ、前記波長可変赤外線レーザー分光計のアレイが前記装置筐体に収容されている態様1に記載の装置。
(態様4)
前記筐体に入射赤外線ビーム開口をさらに含み、かつ、前記波長可変赤外線レーザー分光計のアレイが前記入射赤外線ビーム開口と接続している態様3に記載の装置。
(態様5)
前記装置筐体に可視レーザービーム開口と、前記プロセッサと接続しており、かつ、前記可視レーザービーム開口と接続している可視レーザーポインターとをさらに含む態様4に記載の装置。
(態様6)
前記筐体に反射赤外線ビーム開口をさらに含み、かつ、前記波長可変赤外線レーザー分光計のアレイが前記反射赤外線ビーム開口と接続している態様4に記載の装置。
(態様7)
前記波長可変赤外線レーザー分光計のアレイが、波数約400(cm−1)から波数約4000までの赤外波長を用いた測定対象面にわたる表面の化学的性質の同時測定のために構成されている態様1に記載の装置。
(態様8)
前記プロセッサと接続している少なくとも1つのポートをさらに含む態様1に記載の装置。
(態様9)
入射赤外線ビーム開口、可視レーザービーム開口および反射赤外線ビーム開口を有する装置筐体と、
前記装置筐体内のプロセッサと、
前記装置筐体内に存在し、かつ、前記プロセッサならびに前記入射赤外線ビーム開口および前記可視レーザービーム開口と接続している波長可変赤外線レーザー分光計のアレイであって、
ある範囲の赤外波長を用いた測定対象面にわたる表面の化学的性質の同時測定のために構成されている前記波長可変赤外線レーザー分光計のアレイと、
前記装置筐体内に存在し、かつ、前記可視レーザービーム開口と接続している可視レーザーと、
前記プロセッサと接続しており、かつ、前記測定対象面から反射する赤外波長の赤外線スペクトルを表示するよう適合されている表示部と、
を含む表面の化学的性質の測定装置。
(態様10)
前記波長可変赤外線レーザー分光計のアレイが、波数約400(cm−1)から波数約4000までの赤外波長を用いた測定対象面にわたる表面の化学的性質の同時測定のために構成されている態様9に記載の装置。
(態様11)
前記プロセッサと接続している少なくとも1つのポートをさらに含む態様9に記載の装置。
(態様12)
前記可視レーザービーム開口が、概して、前記入射赤外線ビーム開口と前記反射赤外線ビーム開口との間に存在する態様9に記載の装置。
(態様13)
表面の化学的性質の汚染の広がり(range)を有する複数の標準物を設けること、
波長可変赤外線レーザー分光計のアレイを設けること、
前記標準物上の前記表面の化学的性質の汚染の広がりの赤外線スペクトルを得ること、
前記表面の化学的性質の汚染の広がりに合わせて前記赤外線スペクトルを較正すること、
前記波長可変赤外線レーザー分光計のアレイを用いて汚染の可能性のある表面の赤外線スペクトルを得ること、および、
前記汚染の可能性のある表面の前記赤外線スペクトルを前記表面の化学的性質の汚染の広がりの前記赤外線スペクトルと比較すること
を含む表面の化学的性質の非接触測定方法。
(態様14)
前記波長可変赤外線レーザー分光計のアレイを用いて汚染の可能性のある表面の赤外線スペクトルを得ることが、前記波長可変赤外線レーザー分光計のアレイを用いてシリコーン汚染の可能性のある表面の赤外線スペクトルを得ることを含む態様13に記載の方法。