(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037352
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20161128BHJP
B62B 3/16 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
B62B3/02 F
B62B3/16
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-48110(P2015-48110)
(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2016-168868(P2016-168868A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2015年7月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日:平成27年2月16日 販売場所:株式会社 ティグ水口(滋賀県甲賀市水口町伴中山2677番地) 配布日:平成27年2月16日 配布場所:株式会社 ティグ水口(滋賀県甲賀市水口町伴中山2677番地)
(73)【特許権者】
【識別番号】515067022
【氏名又は名称】株式会社ティグ水口
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】中前 直也
【審査官】
林 政道
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2005/002393(WO,A1)
【文献】
特開2014−019452(JP,A)
【文献】
特開2005−014926(JP,A)
【文献】
実開昭49−059241(JP,U)
【文献】
特開2006−044476(JP,A)
【文献】
実開平01−150530(JP,U)
【文献】
実開昭50−130057(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00− 5/08
B65D 19/00−19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が載置される台車本体と、前記台車本体に固定された支柱保持部材と、前記支柱保持部材に取り外し可能に保持される支柱と、を備える運搬台車であって、
前記台車本体の側面には、前記側面の長手方向に沿って延びる支柱収容凹部が設けられ、前記支柱保持部材は前記側面に固定されて前記支柱収容凹部の外側開口部を部分的に閉塞し、
前記支柱収容凹部の長手方向端部は開放されており、
前記支柱収容凹部には、前記支柱保持部材から取り外された前記支柱を収容でき、
前記支柱保持部材は、前記支柱収容凹部の外側開口部を部分的に閉塞することによって、前記支柱が前記支柱収容凹部から脱落するのを防止することを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
前記台車本体の前記側面には、前記側面の長手方向に沿って延びる第1レール部が更に設けられ、
前記支柱保持部材は前記第1レール部に取り付けられ、前記支柱保持部材は前記第1レール部の長手方向に沿って位置調節可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【請求項3】
荷物が載置される台車本体と、前記台車本体に固定された支柱保持部材と、前記支柱保持部材に取り外し可能に保持される支柱と、を備える運搬台車であって、
前記台車本体の側面には、前記側面の長手方向に沿って延びる支柱収容凹部が設けられ、
前記支柱収容凹部には、前記支柱保持部材から取り外された前記支柱を収容でき、
前記支柱保持部材は、前記台車本体の前記側面に固定される固定部材と、前記固定部材に支持される支持部材と、を備え、前記支柱は前記支持部材によって取り外し可能に保持され、
前記支持部材は、水平方向に延びるピンを中心に回動することにより起立状態から傾倒状態へ折り畳み可能であることを特徴とする運搬台車。
【請求項4】
前記固定部材は、脚部材と前記ピンを備え、前記支持部材には前記ピンが遊嵌しており、
前記支持部材は、前記脚部材に対して下方位置と上方位置との間を移動可能であり、前記支持部材が前記下方位置にあるとき、前記支持部材の下端部は前記脚部材により収容保持され、前記支持部材が前記上方位置にあるとき、前記支持部材は前記ピンを中心に旋回することによって前記台車本体に対して折り畳み可能であり、
前記台車本体に対して折り畳まれた状態における前記支持部材の上面の高さ位置は、前記台車本体の上面の高さ位置以下であることを特徴とする請求項3に記載の運搬台車。
【請求項5】
前記支柱保持部材は、前記側面の長手方向に沿って位置調節可能であり、
前記支持部材には溝孔が設けられ、前記固定部材には前記支持部材が折り畳まれた際に前記支持部材を下方から支持する支持片が設けられ、前記支持片には前記溝孔に挿入される係止部が設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の運搬台車。
【請求項6】
前記支柱収容凹部は、その底面が外方に向かうに従い下方に傾斜することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の運搬台車。
【請求項7】
前記台車本体の下面に固定されるキャスタを更に備え、
前記台車本体は矩形状に組み合わされた4本のフレーム部材からなるフレームを有し、
前記フレームの下面の角部には、一対のフレーム部材間に斜めに掛け渡されたリブが設けられ、前記フレームの下面には前記台車本体の外周に沿って延びるレール溝が設けられ、
前記キャスタは、前記リブ及び前記レール溝に取り付けられることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り外し可能な支柱を有する運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、棒などの長い荷物を運搬するための運搬台車には荷崩れを防止するための支柱が荷台の四隅に設けられ、荷台よりも大きな荷物を搬送する場合には支柱を抜き取って外せるように構成されている。また従来より、支柱を抜き取った状態で複数の運搬台車を積み重ねることにより、複数の運搬台車をコンパクトに収納できるように構成された運搬台車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−327471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、荷台から支柱を取り外してしまうと支柱が紛失したり支柱の置き場所に困ったりするなどの問題があった。また、従来の運搬台車では荷台に対する支柱の設置箇所が固定されており、使い勝手が悪いという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、取り外された支柱を収容可能な運搬台車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の運搬台車は、荷物が載置される台車本体と、前記台車本体に固定された支柱保持部材と、前記支柱保持部材に取り外し可能に保持される支柱と、を備え、前記台車本体の側面には、前記側面の
長手方向に沿って延びる支柱収容凹部が設けられ、
前記支柱保持部材は前記側面に固定されて前記支柱収容凹部の外側開口部を部分的に閉塞し、前記支柱収容凹部の長手方向端部は開放されており、前記支柱収容凹部には、前記支柱保持部材から取り外された前記支柱を収容でき
、前記支柱保持部材は、前記支柱収容凹部の外側開口部を部分的に閉塞することによって、前記支柱が前記支柱収容凹部から脱落するのを防止することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載の運搬台車は、前記台車本体の前記側面には、前記側面の
長手方向に沿って延びる第1レール部が更に設けられ、前記支柱保持部材は前記第1レール部に取り付けられ、前記支柱保持部材は前記第1レール部の長手方向に沿って位置調節可能とされていることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の運搬台車は、荷物が載置される台車本体と、前記台車本体に固定された支柱保持部材と、前記支柱保持部材に取り外し可能に保持される支柱と、を備える運搬台車であって、前記台車本体の側面には、前記側面の長手方向に沿って延びる支柱収容凹部が設けられ、前記支柱収容凹部には、前記支柱保持部材から取り外された前記支柱を収容でき、前記支柱保持部材は、前記台車本体の前記側面に固定される固定部材と、前記固定部材に支持される支持部材と、を備え、前記支柱は前記支持部材によって取り外し可能に保持され、前記支持部材は、水平方向に延びるピンを中心に回動することにより起立状態から傾倒状態へ折り畳み可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項
4に記載の運搬台車は、前記
固定部材は、脚部材と
前記ピンを備え、前記支持部材には
前記ピンが遊嵌しており
、前記支持部材は、前記脚部材に対して下方位置と上方位置との間を移動可能であり、前記支持部材が前記下方位置にあるとき、前記支持部材の下端部は前記脚部材により収容保持され、前記支持部材が前記上方位置にあるとき、前記支持部材は前記ピンを中心に旋回することによって前記台車本体に対して折り畳み可能であり、前記台車本体に対して折り畳まれた状態における前記支持部材の上面の高さ位置は、前記台車本体の上面の高さ位置以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項
5に記載に運搬台車は、
前記支柱保持部材は、前記側面の長手方向に沿って位置調節可能であり、前記支持部材には溝孔が設けられ、前記
固定部材には前記支持部材が折り畳まれた際に前記支持部材を下方から支持する支持片が設けられ、前記支持片には前記溝孔に挿入される係止部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項
6に記載の運搬台車は、前記支柱収容凹部は、その底面が外方に向かうに従い下方に傾斜することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項7に記載の運搬台車は、
前記台車本体の下面に固定されるキャスタを更に備え、前記台車本体は矩形状に組み合わされた4本のフレーム部材からなるフレームを有し、前記
フレームの下面の角部には、一対のフレーム部材間に斜めに掛け渡されたリブが設けられ、前記フレームの下面には前記台車本体の外周に沿って延びる
レール溝が設けられ、
前記キャスタは、
前記リブ及び前記
レール溝に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の運搬台車によれば、台車本体の側面には支柱収容凹部が設けられているので、取り外された支柱を支柱収容凹部に収容させることができ、取り外された支柱が紛失したり支柱の置き場に困ったりすることがない。
【0014】
本発明の請求項2に記載の運搬台車によれば、台車本体の側面には第1レール部が設けられ、支柱保持部材は第1レール部に対して位置調節可能に取り付けられているので、例えば既存の什器の脚部に合わせて支柱保持部材の固定箇所を調整することによって、当該什器と組み合わせて使用することができ、使用形態を拡大できる。また、載置される荷物の長さに応じて支柱保持部材の間隔、ひいては支柱保持部材に保持される支柱の間隔を調整することによって、比較的短い棒状の荷物が載置された場合であっても荷崩れを防止することができる。
【0015】
本発明の請求項
4に記載の運搬台車によれば、支柱保持部材は支柱を取り外し可能に保持する支持部材を備え、支持部材はピンを中心に旋回することによって台車本体に対して折り畳み可能に構成され、折り畳まれた状態における支持部材の上面の高さ位置は、台車本体の上面の高さ位置以下とされているため、支持部材を折り畳むことにより運搬台車の上面をフルフラットにでき、台車本体よりも幅広の荷物を載せた場合であっても支持部材が干渉することがない。
【0016】
本発明の請求項
5に記載の運搬台車によれば、支持部材には溝孔が設けられ、台車本体の側面には支持部材が折り畳まれた際に支持部材を下方から支持する支持片が設けられ、支持片には溝孔に挿入される係止部が設けられているので、折り畳まれた支持部材の水平方向へのがたつきが溝孔に挿入された係止部によって防止される。
【0017】
本発明の請求項
6に記載の運搬台車によれば、支柱収容凹部は、その底面が外方に向かうに従い下方に傾斜するので、例えば屋外に放置された運搬台車の支柱収容凹部に雨水が浸入しても、雨水は支柱収容凹部内に溜まることなく底面に沿って流れ落ちるので、水はけを良くできる。
【0019】
本発明の請求項7に記載の運搬台車によれば
、キャスタは
レール溝に取り付けられるので、異なる寸法のキャスタを用いた場合であっても、
レール溝に沿ってキャスタの取付位置を調節でき、種々の寸法のキャスタに容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】
図1に示す運搬台車の支柱保持部材とその周辺部を示す拡大図。
【
図6】支柱が取り外された状態の運搬台車を示す斜視図。
【
図8】支持部材を折り畳んだ状態の運搬台車を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る運搬台車について説明する。
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る運搬台車1は、荷物が載置される台車本体2と、台車本体2の側面21に取り付けられた複数の支柱保持部材3と、各支柱保持部材3に取り外し可能に保持される複数の支柱4と、台車本体2の下面に設けられた複数のキャスタ5と、を備え、台車本体2の側面21には、側面21の周方向に沿って水平方向に延びる支柱収容凹部22が設けられ、支柱保持部材3から取り外された支柱4を支柱収容凹部22に収容できるように構成されている。
【0022】
より具体的に、台車本体2は、矩形状のフレーム6と、フレーム6の上面に固定された天板20と、を備え、フレーム6は矩形状に組み合わされた4本のフレーム部材61から構成されている。フレーム6の外周面には上述した支柱収容凹部22が全周に渡って環状に設けられている。この支柱収容凹部22は、各フレーム部材61の外面に設けられた凹部62が連結されることにより構成されており、各凹部62はフレーム部材61の長手方向全体に渡って水平方向に延び、その両端は開放されている。また、
図3及び
図4に示す様に、支柱収容凹部22は、上下寸法が外方(
図3及び
図4における左側)に向かうに従い漸増するようにテーパ状に形成されており、その底面62aは外方に向かうに従い下方に傾斜している。
【0023】
また、
図1に示す様に、フレーム6の外周面(台車本体2の側面21)における支柱収容凹部22の上下方向両側には、フレーム6の全周に渡って延びる環状の一対の第1レール部63が、支柱収容凹部22と平行に設けられている。
図3及び
図4を参照して、各第1レール部63には外方に開口するレール溝64が設けられ、縦断面略C字状を有して構成されている。即ち、レール溝64は、上下方向に対向する上面64a及び底面64bと、上面64a及び底面64bを連結する奥面64cと、上面64a及び底面64bから上下方向内側に延びてレール溝64の開口部を規定する一対の突出部64dにより規定されている。このレール溝64にはナットN1(取付手段)が収容保持される。第1レール部63も、支柱収容凹部22と同様に、各フレーム部材61の外面に設けられたレール部が連結されることにより構成されている。また、第1レール部63の角部には第1レール部63を覆うゴム製の緩衝部材65が装着されている。
【0024】
更に、フレーム6の下面(台車本体2の底面)には、フレーム6の周面に沿って延びる環状の第2レール部66が設けられている。第2レール部66には下方に開口するレール溝67が設けられている。より具体的に、第2レール溝67は、水平方向に対向する一対の側面67a、67bと、一対の側面67a,67bを接続する上面67cと、一対の側面67a,67bの下端から相互に近接する方向に延びて第2レール溝67の開口部を規定する一対の突出部67d,67dと、により規定されており、
図4に示す例では一対の側面67a,67bには、その中途部から相互に近接する方向に延びる一対の当接部67e,67eが設けられている。レール溝67には
図3に示す様にナットN2(取付手段)が収容保持される。
【0025】
支柱保持部材3は、例えば
図1に示す様に、台車本体2の側面21のうち、左右側面21a,21bに間隔を空けて2個ずつ取り付けられる。
図5をも参照して、各支柱保持部材3は、台車本体2の側面21に固定される固定部材7と、固定部材7に支持される支持部材8と、を備える。固定部材7は、第1レール部63の長手方向に沿って位置調節可能に固定される平板部材71と、平板部材71の外面に平板部材71と一体に設けられた脚部材72,支持片73及びピン74(
図3)と、を有する。
【0026】
平板部材71の上下寸法D1はフレーム6の上下寸法D2と実質同一とされており、平板部材71に挿通された複数のビスB1を一対の第1レール部63に収容保持された複数のナットN1に螺着させることにより、支柱保持部材3が台車本体2に対して位置調節可能に固定されている。また、このように平板部材71を支柱収容凹部22の上下方向両側に設けられた一対の第1レール部63に取り付けることによって、支柱収容凹部22の外側開口部が平板部材71によって部分的に閉塞される。
【0027】
脚部材72は平板部材71の外方に突出して垂設されており、脚部材72の下端は台車本体2の下面に取り付けられたキャスタ5の接地面よりも上方に位置している。この脚部材72は、下方が開口されたキャップ状の下部材72aと、下部材72aの上面から起立して延びる筒状(本実施形態では角筒状)の上部材72bを有して構成され、下部材72aの下端開口部の横断面積は上部材72bの横断面積よりも大きく設定されている。
【0028】
支持片73は、平板部材71から外方に向かって突出する突出部73aと、突出部73aから上方に突出する係止部73bと、が一体形成されて構成されており、突出部73の上端の高さ位置は脚部材72の上端の高さ位置とほぼ等しい。ピン74は脚部材72よりも上方位置において平板部材71から水平方向に突設されている。
【0029】
支持部材8は、本実施形態においては角筒状部材とされ、対向する一対の側面81における下方部位には、支持部材8の長手方向に沿って延びる長孔82が形成され、この長孔82には平板部材71に突設されたピン74が遊嵌されている。また、ピン74の先端には抜け止め用のネジ83が螺着されている。かかる構成により、支持部材8は長孔82の範囲内において、
図5(a)に示す下方位置と
図5(b)に実線で示す上方位置との間を脚部材72に対して上下方向に相対移動可能とされている。そして、
図5(a)に示す下方位置においては、支持部材8の下方部位は脚部材72に収容された状態とされ、その下端は脚部材72の下部材72aの上面によって支持される。なお、支持部材8が下方位置にある場合における支柱保持部材3の高さ寸法D3は、キャスタ5の下端(接地面)から台車本体2の上面23までの距離D4(
図1)よりも大きく設定されている。
【0030】
一方、
図5(b)に実線で示す上方位置においては、支持部材8の下端は脚部材72の上端よりも上方に位置し、この状態で支持部材8を
図5(b)に実線で示す起立状態から破線で示す傾倒状態へピン74を中心に回動させることにより、フレーム2の外面21に沿うように支持部材8を折り畳むことができる。傾倒状態においては、支持部材8は平板部材71に突設された支持片74によって下方から支持され、それ以上の回動が阻止される。また、傾動状態において下方に位置することになる支持部材8の側面84にはスリット85が設けられ、このスリット85に支持片74の係止部74bが挿入されることにより、傾動状態における支持部材8の水平方向へのがたつきが防止される。更に、傾倒状態における支持部材8の上面86の高さ位置は、台車本体2の上面23の高さ位置以下とされ、傾倒状態において支持部材8が台車本体2の上面23よりも上方に突出しないように構成されている。
【0031】
各支柱4は筒状部材(本実施形態では角筒状部材)とされ、対向する一対の側面41における下端部には、ピン74を逃がすための切欠き部42が、支柱4の長手方向に沿って延びるように設けられている。支柱4は、支持部材8の横断面よりも若干大きな横断面を有して構成され、
図1及び
図5(a)に示す様に、支持部材8に対して取り外し可能に外嵌され、
図1に示す様に支持部材8に外嵌された状態においては、その下端が脚部材72の上端に当接することによって、脚部材72により下方から支持される。
【0032】
図1を参照して、本実施形態に係る運搬台車1は更に一対の補強板9(
図1には一方の補強板9のみ示す)を備え、これら補強板9は、支柱保持部材3が取り付けられた台車本体2の左右側面21a,21bにおける長手方向中央位置に取り付けられている。補強板9は、一対の第1レール部63にビスB2を介して取り付けられる板部材91と、板部材91の側面から支柱収容凹部22内に突出するように形成された仕切り片92と、を備える。これにより、支柱収容凹部22の外側開口部は補強板9の板部材91によっても部分的に閉塞される。
【0033】
図2を参照して、各キャスタ5はフレーム6の下面における角部に取り付けられる取付板51と、取付板51により支持された車輪52と、を備える。フレーム6の各角部には、一対のフレーム部材61間に斜め掛け渡されたリブ10が設けられ、取付板51に挿通された複数のビスB3,B4によってキャスタ5がフレーム6及びリブ10に固定されている。より具体的に、ビスB3はフレーム6の第2レール部66に保持された複数のナットN2(
図3)に螺着され、ビスB4は取付板51及びリブ10に挿通されてリブ10の上方に配置されたナット(図示せず)に螺着されている。
【0034】
このように構成された運搬台車1の取扱方法について説明する。まず、通常の使用時には、
図1に示す様に支柱4を各支柱保持部材3に保持させた状態で台車本体2に荷物を載置し、支柱4を把持して(或いは荷物を押して)運搬台車1を所定位置まで移動させればよい。このように支柱4を支柱保持部材2に保持させることにより、棒などの長い荷物を台車本体2に載置しても、支柱4がガイドとして機能し、荷崩れが防止される。
【0035】
一方、運搬台車1の不使用時等においては、
図5及び
図6に示す様に、支柱4を支柱保持部材3から取り外し、取り外した支柱4を台車本体2の側面21(より具体的には、台車本体2の側面21のうち、支柱保持部材3及び補強板9が取り付けられた左右側面21a,21b)に設けられた支柱収容凹部22に差し込んで収容させる。このとき、補強板9の内面には仕切り片92が設けられていることから、使用者は支柱4の先端が仕切り片92に当接するまで支柱4を支柱保持凹部22に挿入させれば良い。そして、このように支柱4を収容させると、支柱4は台車本体4の側面21の周方向に沿って保持され、支柱保持部材3の平板部材71及び補強板9により、支柱4が支柱保持凹部22から脱落するのが防止される。即ち、支柱保持部材71及び補強板9が支柱4の脱落防止手段として機能する。
【0036】
このように支柱4を取り外した状態においては、複数の運搬台車1同士を積み重ねてコンパクトに保管することができる。この場合には、
図7に示す様に、下段側の運搬台車1の支持部材8の上端部に対して上段側の運搬台車1の脚部材72の下端部を突き当てる。脚部材72の下方開口部は、支持部材8の横断面よりも大きな横断面を有することから、下段側の運搬台車1の支持部材8の上端部位が下段側の運搬台車1の脚部材72に下方から挿入されるようにして上段側の運搬台車1が支持され、これにより積み重ねられた運搬台車1の横ずれが防止される。また、上述したように、支持部材8が下方位置にある場合における支柱保持部材3の高さ寸法D3は、キャスタ5の下端(接地面)から台車本体2の上面までの距離D4よりも大きく設定されているため、上段側の運搬台車1のキャスタ5は下段側の運搬台車1の台車本体2から浮いた状態に保たれ、上段側の運搬台車1のキャスタ5が触れることにより下段側の運搬台車1の天板20が汚れるのを防止できる。
【0037】
また、運搬台車1の幅よりも大きな荷物を載置する場合等には、支柱4が取り外された
図7の状態から支持部材8を引き上げて折り畳むことにより、
図8に示す様に運搬台車1をフルフラットな状態にすることができる。
【0038】
一方、
図8に示す状態から
図1に示す状態に戻すには、まず支持部材8を傾倒状態から起立状態へ起立させ、次に支持部材8の下方部位を脚部材72に挿入させながら下方位置へ戻す。そして、支柱収容凹部22から支柱4を取り出し、支持部材8を支柱4に挿入させるようにして支柱4の下方部位を支持部材8に外嵌させればよい。
【0039】
このように、本実施形態によれば、支柱保持部材3から取り外した支柱4を支柱収容凹部22に収容させることができるので、取り外された支柱4が紛失したり支柱4の置き場に困るといった問題を回避できる。また、支柱収容凹部22の底面64aは、外方に向かって斜め下方に傾斜して延びるので、例えば屋外に放置された運搬台車1の支柱収容凹部22に雨水が浸入しても、雨水は支柱収容凹部22内にたまることなく底面64aに沿って流れ落ち、水はけを良くできる。
【0040】
更に、支柱保持部材3は第1レール部63に沿って位置調節可能とされているため、載置される荷物の長さ応じて支柱保持部材3の間隔を調整することにより、比較的短い棒状の荷物が載置された場合であっても荷崩れを防止することができる。また、例えば
図7に示す様に、既存の什器100に合わせて支柱保持部材3の取付箇所を調整すれば、運搬台車1と什器100とを段積みさせることもできる。
【0041】
キャスタ5はフレーム6の下面に設けられた第2レール部66に保持されたナットN2にビスB3を螺着させて取り付けられるので、用いられるキャスタ5の寸法に応じてビスB3の取付位置が変わっても、ビスB3の取付位置を第2レール部66に沿って調整できるので、種々の寸法のキャスタ5に容易に対応することができる。
【0042】
なお、このように構成された運搬台車1は、例えば
図9に示す上段部材200と組み合わせて用いることもできる。この上段部材200は、載置台201と、載置台201の四隅に垂設された筒状の連結具202とを備え、各連結具202に運搬台車1の支柱4を挿通させることにより、運搬台車1を二段式運搬台車として用いることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態に係る運搬台車について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0044】
例えば、上述した実施形態においては、平面視長方形に形成された台車本体2において、その長手方向(
図2における左右方向)に延びる左右側面21a,21bに支柱保持部材3及び補強板9を取り付けた例について説明したが、左右側面21a,21bに加え(又はこれに代えて)、台車本体2の短手方向に延びる前側面21c及び/又は後側面21dに支柱保持部材3及び/又は補強板9を取り付ける様にしてもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、脚部材72の上部材72b及び支持部材8を角筒状としたが、必ずしも角筒状である必要はなく、円筒状等であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 運搬台車
2 台車本体
3 支柱保持部材
4 支柱
5 キャスタ
6 フレーム
7 固定部材
8 支持部材
9 補強板
62 支柱収容凹部
63 第1レール部