(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記顧客情報記憶部は、前記携帯端末のID、IPアドレス、メールアドレス、電話番号、の少なくとも1つを前記携帯端末に関する情報として記憶することを特徴とする、請求項2に記載のゲーム運営システム。
前記割当決定部は、前記成績管理部が管理する前記顧客のゲームの成績が基準となる成績と比較して所定の閾値以上下回っているかを判定し、下回っている場合に前記他の資源を前記顧客に割り当てると決定することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲーム運営システム。
前記割当決定部は、前記顧客が投入した資源の総量が所定の閾値を超えているかを判定し、超えている場合に前記他の資源を前記顧客に割り当てると決定することを特徴とする、請求項4に記載のゲーム運営システム。
前記割当決定部は、前記顧客が前記ゲームに参加した回数が所定の閾値を超えているかを判定し、超えている場合に前記他の資源を前記顧客に割り当てると決定することを特徴とする、請求項4又は5に記載のゲーム運営システム。
前記割当決定部は、前記顧客がゲームに投入した資源の総量に前記ゲームに予め設定されている控除率を乗算した値を基準値として、前記顧客がゲームに投入した資源の総量から前記ゲームの結果に基づいて供与を受けた資源の総量を差し引いた値が前記基準値よりも所定の閾値以上上回っているかを判定し、上回っている場合に前記他の資源を前記顧客に割り当てると決定することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載のゲーム運営システム。
前記ゲーム運営部は、事業者が参加する顧客に対する資源の供与規則を、ゲームの開催途中において、個々の参加顧客毎に変更することなく、すべての顧客についてその成績に関わらず同一の資源供与規則を適用して前記ゲームを行い、
前記基準となる成績は、前記資源供与規則に基づいて定められることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載のゲーム運営システム。
前記セグメント化処理部は、少なくとも顧客の控除率と、顧客がゲームに参加した回数と、顧客が失った資源の量と、に基づいて各顧客をセグメント化することを特徴とする、請求項9に記載のゲーム運営システム。
顧客が有する資金の量、顧客が投入した資源の量、顧客に供与した資源の量、顧客がゲームに参加する頻度、顧客がゲームに参加した回数、顧客の年齢、顧客の性別、顧客の職業、顧客の住所、の少なくとも1つに基づいて各顧客をセグメント化するセグメント化処理部を更に備え、
前記他資源決定部は、前記顧客のゲームの成績及び前記顧客が所属するセグメントに基づいて前記顧客に提供する前記他の資源の種類又は数量を決定することを特徴とする、
請求項9に記載のゲーム運営システム。
前記他資源決定部は、前記ゲームに各顧客が投入した資源と前記ゲームを通じて事業者から供与を受けた資源と他の資源とを含めた全体での事業者の損益が、事業者の損益分岐点を超えないように前記割り当てる他の資源の種類又は数量を決定することを特徴とする、請求項9に記載のゲーム運営システム。
前記他資源決定部は、前記割り当てられる他の資源まで含めた場合の前記顧客の成績が、前記基準となる成績と比較して所定の閾値以内に収まるように、前記顧客に割り当てる前記他の資源の種類又は数量を決定する、請求項4に記載のゲーム運営システム。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において同一の符号が付された部分は実質的に同一の機能を有している。また、発明の明確化のため、重複部分は適宜説明が省略されている。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1に係るシステム全体を示している。ゲームの運営主体である事業者は、ゲームに参加する多数の顧客10a〜10nに対してゲーム運営システム20を用いてゲームを提供する。各顧客が資源を投入し、事業者が結果に応じて顧客に資源を供与することでゲームが成立する。
【0023】
この場合、ゲームに投入する「資源」とは、ゲームに参加するために顧客が事業者に支払う金銭、クレジット、ポイント、現金や商品と交換可能なチップなどであって、予めそのゲームに専用の資源として事業者が定めたものである。顧客がゲームから供与される資源とは、金銭、クレジット、ポイント、景品である商品やチケット、現金や商品と交換可能なチップであって、予めそのゲームに専用の資源として事業者が定めたものである。
【0024】
このゲーム運営システム20は、ゲーム運営部21と、成績管理部22と、割当決定部23と、他資源決定部24と、他資源割当部25とを備えている。
【0025】
ゲーム運営部21は、顧客が資源を投入して参加し、事業者が結果に応じて顧客に資源を供与するゲームを運営する部分であり、ゲームの実施、顧客がゲームに投入した資源の管理、事業者が顧客に供与する資源の管理、ゲームの損益計算の管理などを行う。
【0026】
ここで、ゲーム運営部21が運営するゲームは、次のようなものである。
(a) 事業者が、参加する顧客に対する資源の供与規則を、ゲームの開催途中において、個々の参加顧客毎に変更することなく、すべての顧客についてその成績に関わらず同一の資源供与規則を適用する。
(b)前記ゲームに顧客が参加している状態において、顧客に対してゲームの勝敗に基づく資源の供与以外には、顧客に対してゲームを通じて他の資源を供与することがない。
【0027】
ここで、「他の資源」とは、ゲーム運営部21が運営するゲームで投入・供与される「資源」とは異なるものであって、事業者が予め定めた資源とは異なり、直接はゲーム運営部21が運営するゲームに投入することができないものである。ただし、ポイントやゲームへの無料参加券のように、ゲームに投入する資源と交換したり、ゲームに投入する資源に代えてゲームに投入することのできる資源も含む。また、事業者がゲーム運営部21で運営するゲームとは独立した他のゲーム(二次的ゲームという)であって、顧客が所有する端末上で実施される二次的ゲームへの参加権利も「他の資源」に含まれる。
【0028】
前記(a)と(b)は、ゲーム運営部21が運営するゲームは、顧客のゲームに対する参加回数、投入資源量、勝率によって、ゲームそれ自体の勝率に影響を与えることがないものであることを意味する。すなわち、公営ギャンブルやカジノにおいては、ゲームそれ自体の公平性の観点から、すべての顧客に対して同一の供与規則を当てはめており、本発明はそのような公平性を確保したゲームを運営するためのシステムである。ゲーム運営部21は、上述の資源供与規則に従ってゲームを実行する。
【0029】
例えば、競馬や競輪などのゲームの場合、ゲーム運営部21は、馬券や車券などの売上、配当率の計算、払い戻し金の管理、出走・スタート・着順などの管理を行うコンピュータシステムなどによって構成される。カジノの場合には、ゲーム運営部21は、カジノで実施されているスロットマシン、カードゲーム、ルーレットなど各種のゲーム機器や当該ゲームにおける顧客の賭け金と配当の管理を行うコンピュータシステムなどによって構成される。また、コンピュータゲームなどにあってはゲームそのものがゲーム運営部21となる。
【0030】
成績管理部22は、ゲーム運営部21が運営するゲームにおける各顧客の投入資源と供与資源に基づくゲームの成績を管理する。成績管理部22は、顧客のゲームにおける実際の勝ち負け、期待値、勝率、偏差、多様性などの関連性を分析し、これを記憶する。
【0031】
割当決定部23は、顧客のゲームの成績に基づいて、ゲーム運営部21が運営するゲームにおいて投入及び供与される資源とは異なる他の資源を当該顧客に割り当てることを決定する。
【0032】
割当決定部23は、例えば、成績管理部22が管理する顧客のゲームの成績が基準となる成績と比較して所定の閾値以上下回ったかを判定し、下回っている場合に他の資源をこの顧客に割り当てると決定する。ここで、割当決定部23が比較の対象として参照する上記基準となる成績は、上述の資源供給規則に基づいて定められる。
【0033】
具体的には、事業者が予め設定した確率的な値である控除率、期待値、勝率などを基準の成績として用いる。割当決定部23は、顧客の実際のゲームの結果から求まるこれらの値が基準の成績から所定の数値以上下回っているかを判定する。
【0034】
例えば、ゲーム運営部21が運営するゲームが、資源供給規則として控除率25%に設定されている競馬であるとし、顧客が500円の投票券を20口購入したとする。この場合、事業者が当該顧客から得る収益の期待値は、顧客がゲームに投入した資源の総量である10000円に当該ゲームに予め設定されている控除率25%を乗算した値である2500円となる。顧客側からみると、10000円分の掛け金を資源として投入した場合に、事業者より7500円分の還元が得られることが期待されることになる。別の見方では、顧客は2500円を失うことが期待される。ここでは、この控除率や期待値が基準となる成績である。
【0035】
ゲームには不確実性が存在するため、10000円の投入に対して7500円を超える還元が得られる場合もあれば、7500円分未満の還元しか得られない場合が起こる。すなわち、偏差が生じる。
【0036】
ここで、上記の顧客が、ゲームの成績が良好ではなく、9000円を失い、1000円の還元しか得られなかったとする。この場合、結果的にこの顧客に対する控除率は90%に相当し、事業者が予め設定している25%の控除率との乖離が著しい状態となっている。
【0037】
このような場合に、割当決定部23は、この顧客に対して他の資源を割り当てると決定する。例えば、割当決定部23は、顧客が投入した資源が10000円以上であり、予め設定されている控除率と比較して50%以上低い控除率となっている場合に、他の資源を割り当てると決定する。
【0038】
また、割当決定部23は、顧客がゲームに参加した回数が所定の閾値を超えているかを判定し、超えている場合に他の資源を割り当てると決定する構成とすると更に良好である。例えば、ゲームの参加回数が20回以上である場合に、他の資源を割り当てると決定することができる。
【0039】
他資源決定部24は、顧客のゲームの成績に基づいて、当該顧客に提供する他の資源の種類又は数量を決定する。
【0040】
例えば、他資源決定部24は、割り当てられる他の資源まで含めた場合の顧客の成績が、基準となる成績と比較して所定の閾値以内に収まるように顧客に割り当てる他の資源の種類や数量を決定する。
【0041】
この時、他資源決定部24は、他の資源を割り当てることで発生するコスト(経費)が、この顧客について許容される追加コスト枠に収まる範囲で、他の資源の種類や数量を決定する。
【0042】
他資源割当部25は、割当決定部23で他の資源を割り当てると決定された顧客に対して、他資源決定部24で決定された種類又は数量の他の資源を割り当てる。
【0043】
他資源割当部25より他の資源が顧客に割り当てられることにより、投入資源に対する供与資源の割合が予め事業者が設定している割合よりも低くなっていても、投入資源に対する供与資源と他の資源とを合わせた資源の割合でみた場合は、事業者が予め設定している割合に近づくことになる。従って、顧客からすれば負けの意識が薄れるため、引き続き継続してゲームに資源を投入する可能性が高まることになり、事業者は収益を確保することが可能となる。
【0044】
例えば、上述の例では、事業者はこの顧客から9000円分の資源を獲得しているが、この顧客がここでゲームの参加を停止した場合は、この9000円がこの顧客から獲得できる資源の限度となる。ここで、他の資源をこの顧客に割り当てることで顧客がゲームの参加を継続し、合計50000円分の資源を投入したとする。この場合、この顧客の控除率が予め定められている25%に戻ったとしても、事業者はこの顧客から12500円を獲得することになる。例えば、仕入れ価格が500円である5000円の他の資源を事業者が顧客に割り当てたとしても、事業者は、他の資源まで含めた全体としての資源の還流の中で12000円の収益をこの顧客から得ていることになり、他の資源を割り当てない場合と比較して3000円の増収を実現している。
【0045】
次に、ゲーム運営システム20の動作について
図2のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
ゲーム運営部21は、顧客が投入する資源に基づいてゲームを実行し、ゲームの結果に応じて資源を顧客に供与する(ステップS101)。
【0047】
次に、ゲーム運営部21は、ゲームに参加した各顧客のプレイデータを取得する(ステップS102)。ここで、プレイデータには、顧客が投入した資源の量、ゲームの勝敗結果、供与される資源の量、などの情報が含まれる。ゲーム運営部21が取得した顧客毎のプレイデータは、成績管理部22に送られる。
【0048】
成績管理部22は、ゲーム運営部21より送られてくるプレイデータに基づいて、各顧客の投入資源と供与資源に基づくゲームの成績を算出する(ステップS103)。
【0049】
次に、割当決定部23は、顧客のゲームの成績に基づいて、他の資源をこの顧客に割り当てるかどうかを判断する(ステップS104)。顧客のゲームの成績が予め設定されている基準値を超えていない場合は、この段階では他の資源を割り当てないとして待機する。
【0050】
一方、ステップS104で顧客に他の資源を割り当てると決定された場合は、他資源決定部24は、この顧客のゲームの成績に基づいて、この顧客に提供する他の資源の種類又は数量を決定する(ステップS105)。
【0051】
他資源割当部25は、ステップS105で決定された種類又は数量の他の資源をこの顧客に対して割り当てる(ステップS106)。
【0052】
上述の流れに従って、事業者から顧客に対して還元されることが期待される「資源」の不足分を「他の資源」と言う形で別のルートから供与する構成とすることで、ゲーム運営部21が実行するゲームにおいて、資源供与規則を柔軟に変更できないという制約が課せられる状況においても、顧客のゲームへの参加意欲が低下することを抑えて収益の増加に繋げることが可能となる。
【0053】
従来のギャンブル産業は、ゲームで生じる偏差や結果の多様性をコントロールする対策を行っておらず、顧客ロイヤリティープログラムにより無料サービスや特典などを提供することで、単に顧客になるべく多くの資金、賭け金、ゲーム参加回数を行わせるように動機付けするのみであり、より精密なコントロール行うレベルに至っていなかった。これに対し、本実施形態1の発明によれば、ゲームの進行に伴って変動する各顧客のゲームの成績に基づいて柔軟に動機付けを行い、収益をコントロールすることができる。
【0054】
なお、上記処理の流れでは、割当決定部23が行う決定に基づいて他資源決定部24が顧客に提供する他の資源の種類や数量を決定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。他資源決定部24は、成績管理部22が管理する成績をリアルタイムで参照して割り当て予定の他の資源を決定しておき、割当決定部23の決定に基づいて、当該他資源決定部24が既に決定している他の資源を、他資源割当部25が顧客に割り当てる構成としても良い。
【0055】
(実施形態2)
本実施形態2に係るゲーム運営システムは、ゲームに参加する顧客が所有している携帯端末に「他の資源」のデータを送信することでリアルタイムに他の資源の割り当てを行うことを特徴とする。以下、図面を参照して詳細に説明する。但し、実施形態1で既に説明した部分については一部説明を省略する。
【0056】
図3は、本実施形態2に係るシステムの全体図である。ゲームに参加する各顧客10a〜10nは、それぞれ携帯電話やモバイルパソコンのような携帯端末11a〜11nを所持している。本実施形態では端末11a〜11nを携帯可能なものとしたが、自宅などに設置されたパソコンのような固定の端末でも良い。この端末11a〜11nには予め、二次的ゲーム実行ソフトや、商品名、商品価格と無料クーポンなどの画像データを表示するための表示処理ソフトがダウンロードされている。
【0057】
ゲームの運営主体である事業者は、他の資源を納入する複数の納入業者40a〜40mと提携しており、事業者がゲームを運営するにあたって使用するゲーム運営システム20は、顧客10a〜10nに対して提供可能な他の資源に関する情報を管理している。ここで、納入業者40a〜40mは、顧客10a〜10nに対して様々な商品やサービスを、無料又は割引価格で、販売又は提供を行う企業や販売店である。
【0058】
ゲーム運営システム20は、ゲーム運営部21と、成績管理部22と、割当決定部23と、他資源決定部24と、他資源割当部25と、に加えて新たに登録処理部26と、顧客情報記憶部27と、セグメント化処理部28と、他資源情報記憶部29と、を備える。
【0059】
登録処理部26は、顧客の会員登録処理を行う。事業者がゲーム運営システム20を用いて提供するゲームに初めて参加しようとする顧客は、自らの端末や事業者が設置する専用端末から自身の情報を入力し、登録処理部26は、当該入力された情報を新たに割り当てる会員番号と共にこの顧客の基本情報として顧客情報記憶部27に格納することで登録処理を完了する。
【0060】
ここで、顧客の基本情報としては、当該顧客の氏名、性別、年齢、職業、住所、連絡先などが含まれる。また、顧客が携帯端末11を所有している場合は、当該携帯端末11に関する情報も基本情報の一部として登録される。携帯端末11に関する情報とは、ゲーム運営システム20が当該携帯端末11にアクセスするために用いる情報であり、例えば携帯端末11のIDやIPアドレス、その他メールアドレスや電話番号、認証パスワードなどが該当する。これらの情報も基本情報として顧客情報記憶部27に記憶することで、ゲームに参加する各顧客の端末を管理する。
【0061】
顧客情報記憶部27は、ゲームに参加する各顧客の顧客情報を記憶する。顧客情報としては、上述の基本情報271の他、顧客がゲームに参加中であるかを示す参加情報272、顧客のこれまでのゲームのプレイデータを纏めた履歴情報273、顧客のゲームの成績に関する成績情報274などが含まれ、これらの情報がお互い関連付けられた状態で顧客情報記憶部27に記憶されている。顧客情報記憶部27は、具体的にゲーム機器や発券機に内蔵又は接続された状態でシステム内に配置されているデータベースである。
【0062】
セグメント化処理部28は、顧客をセグメント化する処理を行う。当該処理により、各顧客は、いずれかのセグメントに所属することになる。なお、顧客を所定の条件に基づいてセグメント化するという処理は、顧客を所定の閾値に基づいてランク付けするという処理と等価である。従って、セグメント化処理部28は、所定の評価指標に基づいて各顧客に所定のランクを設定するランク設定部とみることができる。
【0063】
セグメント化処理部28は、少なくとも顧客が投入した資源の量と顧客に供与した資源の量と、に基づいて各顧客をセグメント化する。従って、顧客が所属するセグメントは、この顧客のゲームの成績と関連している。
【0064】
セグメント化処理部28が設定するセグメントとしては、事業者が設定した数値に基づいて設定される低顧客層、中顧客層、高顧客層などのセグメントがある。例えば、セグメント化処理部28は、顧客が投入する資源である掛け金の総額が10万円未満の顧客を低顧客層に、10万円以上100万円未満の顧客を中顧客層に、100万円以上の顧客を高顧客層としてそれぞれ分類することで顧客のセグメント化を行う構成とする。
【0065】
また、セグメント化処理部28は、顧客が有する資金の量に応じて顧客をセグメント化する構成とすることも可能である。また、セグメント化処理部28は、顧客が一度に投入する資源の量や、これまでにゲームに参加した回数、ゲームに参加する頻度、参加するゲームの種類などに基づいて顧客を更に細かくセグメント化する構成とするとより適切な他の資源の割り当てが可能となるため好ましい。その他のセグメント化の基準としては顧客の職業、住所、性別、年齢、などを利用することも可能である。
【0066】
より好ましくは、セグメント化処理部28は、顧客が投入した資源の総量と、顧客がゲームに勝った確率を示す勝率と、に基づいて顧客をセグメント化する。投入した資源の総量が多い一方で、勝率が低い顧客はゲームへの参加意欲を減退させる可能性が高い顧客である。よって、このような顧客に適切な他の資源を割り当てることができるよう、顧客のゲームの成績のうち、上記指標でセグメント化する。
【0067】
また、別の好ましいセグメント化の指標としては、ゲーム参加回数がある。ゲーム参加回数が、偏差値や大数の法則に最も影響を与える要素であるためである。従って、セグメント化処理部28は、顧客のゲームへの参加回数を指標の一つとして各顧客をいずれかのセグメントに振り分けると更に良好である。
【0068】
他資源情報記憶部29は、顧客に対して割り当て可能な他の資源に関する情報を記憶する。他資源情報記憶部29は、事業者に他の資源を納入する納入業者40a〜40mの名前や住所、連絡先などである外部販売企業基本データの他、それぞれの企業が提供する無料サービス、クーポン、商品、これらの販売価格、卸値、などを記憶しておく。これらの情報は、他資源管理ファイル291に纏められて他資源情報記憶部29に記憶される。
【0069】
図4は、割当可能な他の資源に関する情報を纏めた他資源管理ファイル291の一例を示している。
図4の例では、他の資源を納入する企業(納入業者)、その企業の業種、他の資源の具体的情報、他の資源の卸値が、纏められている。また、他資源情報記憶部29は、これら他の資源であるクーポン券などを表す画像データを記憶している。なお、割当可能な他の資源の種類や数量、期限、条件、販売店の住所などに関する情報が他資源管理ファイル291に更に纏められていても良い。このように割当可能な他の資源の数量などに限りがある場合は、他資源割当部25が割り当てる他の資源に基づいて、割当可能な他の資源を更新する他資源更新部をシステム内に別途配置しておく。
【0070】
ゲーム運営部21は、ゲーム提供部211と、顧客特定部212と、プレイデータ取得部213と、を備える。
【0071】
ゲーム提供部211は、顧客が資源を投入して参加し、事業者が結果に応じて顧客に資源を供与するゲームを提供する。ゲーム提供部211は、具体的に事業者が設定するスロットマシンやルーレットなどのゲーム機器などである。
【0072】
顧客特定部212は、ゲーム提供部211が提供するゲームに参加している顧客を特定する。顧客特定部212は、特定した顧客について顧客情報記憶部27に記憶されている参加情報272を読み出して更新することで、各顧客の現在の状態を把握する。顧客特定部212は、別途設置したカメラでゲームに参加する顧客を撮影し、顔認証システム等を用いて特定する方法や、顧客がゲームに参加する際にIDカードをゲーム機器に付随して設置している読み取り機器にかざすことで、顧客を特定する方法などを用いることができる。
【0073】
プレイデータ取得部213は、ゲーム提供部211が提供するゲームに参加している顧客のプレイデータを取得し、成績管理部22に送る。ここで、プレイデータには、顧客の投入した資源、そのゲームにおける成績(勝敗結果)、当該成績に応じて顧客に供与される資源、などに関する情報が含まれる。プレイデータ取得部221は、ゲーム提供部211で提供するゲームが終わる毎にそのゲームにおけるプレイデータを取得して成績管理部22に送る。
【0074】
成績管理部22は、プレイデータ管理部221と、プレイデータ分析部222と、を備える。
【0075】
プレイデータ管理部221は、プレイデータ取得部213で取得された顧客のプレイデータを、顧客情報記憶部27に記憶されている当該顧客の履歴情報273に追加していくことでプレイ履歴の更新を行う。
【0076】
図5は、プレイデータ管理部221が更新する履歴情報273の一例を示している。履歴情報273は、少なくともプレイしたゲームの種類、投入した資源(掛け金)、供与を受けた資源(払戻金)、に関する情報が時系列状に記録されている。
【0077】
プレイデータ分析部222は、これまでにゲームに投入した資源や供与された資源、ゲームにおける実際の勝敗結果などのプレイデータに基づいて分析を行い、期待値、勝率、偏差、多様性などを求める。プレイデータ分析部222は、求めた情報を当該顧客の成績に関する成績情報274として顧客情報記憶部27に格納する。
【0078】
図6は、プレイデータ分析部222が更新する成績情報274の一例を示している。
図6の例では、これまでに投入された資源の総量、これまでに供与された資源の総量、これらの値から求まるこの顧客の控除率、事業者がこの顧客から獲得した収益、勝率、ゲームの参加回数、が成績情報274に含まれている。また、プレイデータ分析部222は、ゲーム毎にこれらの各項目のデータを算出し、成績情報274の一部として記録している。
【0079】
割当決定部23は、ゲーム提供部211が提供するゲームにおいて投入及び供与される前記資源とは異なる他の資源を顧客に対して割り当てるかどうかの判断を行う。具体的には、割当決定部23は、顧客のゲームの成績と基準となるゲームの成績とに基づいて、他の資源を当該顧客に割り当てることを決定する。
【0080】
他資源決定部24は、顧客に提供する他の資源の種類又は数量を決定する。具体的には、他資源決定部24は、他資源情報記憶部29に記憶されている割り当て可能な他の資源の中から、顧客の成績や顧客が所属するセグメントなどの情報に基づいて割り当てる他の資源の種類や数量を選択する。
【0081】
他資源割当部25は、割当決定部23における決定に基づいて、他資源決定部24が選択した種類又は数量の他の資源を顧客に割り当てる。他資源割当部25は、他資源送信部251を備えており、この他資源送信部251は、顧客情報記憶部27に記憶されている基本情報を参照して顧客の携帯端末11のアドレス等を取得し、他の資源のデータを携帯端末11に送信することで他の資源の割り当てを行う。例えば、他資源送信部251は、割り当てる他の資源の種類に応じて、クーポンの画像データや、商品無料引き替え用のバーコード画像データ、商品無料購入ページにジャンプするアドレスを含むデータなどを、携帯端末11に送信する。
【0082】
携帯端末11は、他資源送信部251より送信された他の資源のデータを受信し、表示用ソフトを実行して他の資源のデータを表示パネルに表示させる。顧客は自身の携帯端末11の表示パネルに表示される画面を見て他の資源が自身に割り当てられたことを確認することができる。
【0083】
以上のように、本実施形態2に係る発明は、顧客が所有する携帯端末11に関する情報を少なくとも含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶部27を更に備える。そして、他資源割当部25は、割当決定部23で他の資源を割り当てると決定された顧客が所有する携帯端末11に、他資源決定部24で決定された種類又は数量の他の資源のデータを送信することを特徴とする。
【0084】
本実施形態2に係る発明によれば、ゲームの継続的参加により刻々と変化する実際の勝ち負けと期待値との差異などを加味しながら、ゲーム中にリアルタイムに様々な動機付けのサービスを顧客の携帯端末11に表示することで、柔軟に収益を制御することが可能となる。
【0085】
また、ギャンブルという偶然の事象により収益を得るビジネスモデルにおいて、確率上の設定値である期待値と実際の勝ち負けの差異は様々な要素により発生するが、本実施形態2に係る発明においては、それらの差異を数学的な視点から修正することができる。
【0086】
加えて、顧客の収益性と事業者の設定により意図的に選択された二次的な無料サービスを携帯端末11に表示させ、顧客がそのコンプリメンタリーを地域で使用することで、ギャンブルの収益の一部を地域経済に適切に分配することができる。
【0087】
ギャンブルが認可されている本来の理由は、浮遊金を吸収し、それらのお金を社会還元することを目的とするためである。現在の法体系やシステムにおいては、売上の一部は納付金として政府に納付され、政府や自治体などの関係機関が決めるインフラの整備、施設の建設や管理、非営利団体への寄付、災害復興のための財源など利用されている。
【0088】
従って、一般の企業や人々が還元金から利益を直接享受する機会は少なく、故に、既存のギャンブル産業は、本来ギャンブルが認可されている理由である社会の発展をサポートするとの役割を柔軟に果たしているとはいえなかった。
【0089】
一方、本実施形態2に係る発明によれば、ギャンブルに投じられた資金の一部が、無料クーポンや商品券など市場で直接使用可能な他の資源と言う形で顧客に還元されるため、経済を活性化することができる。特に、顧客の住所などに基づいてその地域限定のクーポンを積極的に選択して還元することにより、冷え込みがちな地域経済の活性化に繋げることができ、単に事業者と顧客との間で資金の移動が起きるだけの現行のギャンブルと比較しても、その導入意義を高めることができる。
【0090】
この場合、他資源決定部24は、顧客の住所に基づいて、他の資源の種類又は数量を決定する。例えば、他資源決定部24は、顧客の住所を含む地域で使用可能なクーポン券や割引券などを顧客に割り当てる他の資源として決定する。
【0091】
なお、割当決定部23や他資源決定部24は、顧客のゲーム参加回数に基づいて他の資源を割り当てるかの決定や、割り当てる他の資源の種類や数量を決定する構成とすると更に良好である。ゲーム参加回数が、偏差値や大数の法則に最も影響を与える要素であるためである。
【0092】
また、本実施形態2に係る発明は、少なくとも顧客が投入した資源の総量と顧客に供与した資源の総量と、に基づいて各顧客をセグメント化するセグメント化処理部28を更に備える。そして、他資源決定部24は、顧客が所属するセグメントに基づいて前記顧客に提供する前記他の資源の種類又は数量を決定する。当該構成を備えることで、各顧客の成績と関連しているセグメントに基づいて判定処理や決定処理を行うため、計算量を抑えながら適切な他の資源の割り当てが可能となる。
【0093】
また、本実施形態2に係る発明において、他資源記憶部29は、他の資源を事業者に提供する納入業者と、その納入業者が他の資源を事業者に提供する場合の市場価格に対する納入価格の割合を記憶する構成を採用することが、事業者の収益を考慮したより適切な他の資源の割り当ての選択を行う上で好ましい。この場合、セグメント化処理部28は、ゲームに投入した資源に対するゲームによって供与された資源の割合が少なく、かつ投入した資源量が大きい顧客を高いほどランクのセグメントに所属させ、他資源割当部25が、市場価格に対する納入価格の割合が低い他の資源を、前記セグメント化処理部によって低いランクのセグメントに所属する顧客に割り当てる構成とする。当該構成とすることで、事業者の損益分岐点を考慮に入れながら適切なコスト管理を実行しつつ、柔軟な収益の増加を実現することができる。
【0094】
(実施形態3)
本実施形態3に係るゲーム運営システムは、携帯端末を介して二次的なゲームを顧客に提供することを特徴とする。以下、図面を参照して詳細に説明する。但し、実施施態1、2で既に説明した部分については一部説明を省略する。
【0095】
図7は、本実施形態3に係るゲーム運営システム20の機能構成を示すブロック図である。ゲーム運営システム20は、ゲーム運営部21と、成績管理部22と、割当決定部23と、他資源決定部24と、他資源割当部25と、登録処理部26と、顧客情報記憶部27と、セグメント化処理部28と、他資源情報記憶部29と、に加えて新た第2ゲーム運営部30を備えることを特徴とする。
【0096】
第2ゲーム運営部30は、携帯端末11と通信を行い、当該携帯端末11を介して顧客にゲームを提供する。以下の説明では、ゲーム運営部21が顧客に提供するゲームを一次的ゲームと称し、第2ゲーム運営部30が携帯端末11を介して顧客に提供するゲームを二次的ゲームと称する。
【0097】
ゲーム運営部21が運営する一次的ゲームが、上述した(a)、(b)の資源供給規則に束縛されるのに対し、第2ゲーム運営部30が運営する二次的ゲームは、携帯端末11を介して提供されるゲームであり、上記資源供給規則には縛られないものとする。すなわち、ゲーム運営部21が運営する一次的ゲームが資源供給規則に基づいて現実空間(リアル)な場で提供されるゲームであるのに対し、第2ゲーム運営部30が運営する二次的ゲームは、例えばゲームの途中で控除率を変更したり、顧客のゲームの成績や顧客が所属するセグメントに基づいて控除率を変更することが認められるインターネット空間などの仮想空間(バーチャル)な場で提供されるゲームであることが一つの大きな特徴である。
【0098】
第2ゲーム運営部30は、多種多様な期待値設定がされた二次的ゲームを顧客に対して提供可能な構成をとり、携帯端末11を介して顧客から指定された二次的ゲームを実行する。
【0099】
ここでは、第2ゲーム運営部30は以下の3つの二次的ゲームを提供可能であるとして説明する。
ゲーム1:期待値−25%(競馬などのパリミューチュラル方式)
ゲーム2:期待値−5.26%(カジノなどのオッズ方式)
ゲーム3:期待値−1.3%(カジノなどのオッズ方式)
【0100】
二次的ゲームをプレイする場合、顧客は、携帯端末11を操作して二次的ゲーム用の資源を投入し、ゲームの勝敗結果に応じて二次的ゲーム用の資源の供与を受け取る。
【0101】
第2ゲーム運営部30は、当該二次的ゲームのプレイデータを取得し、成績管理部22に送る。
【0102】
成績管理部22は、ゲーム運営部21における一次的ゲームの成績と、第2ゲーム運営部30における二次的ゲームの成績の両方を管理する。これら両方のゲームの成績は、成績情報として顧客情報記憶部27に記憶される。
【0103】
割当決定部23は、顧客のゲームの成績に基づいて、他の資源を顧客に割り当てることを決定する。この時、割当決定部23は、二次的ゲームの成績まで含めた全体の成績に基づいて当該決定処理を行う構成としても良いし、一次的ゲームの成績に基づいて当該決定処理を行う構成としても良い。
【0104】
他資源決定部24は、顧客のゲームの成績に基づいて、顧客に割り当てる他の資源の種類又は数量を決定する。ここで、他の資源には、顧客が二次的ゲームに投入する二次的ゲーム用の資源が含まれる。例えば、二次的ゲームをプレイするための無料参加券や、二次的ゲームに資源として投入するクレジットなども含まれる。
【0105】
他資源情報記憶部29は、これらの二次的ゲーム用の資源に関する情報についても割り当て可能な他の資源に関する情報として記憶している。
【0106】
他資源割当部25は、割当決定部23で他の資源を割り当てると決定された顧客に対して、他資源決定部で24決定された種類又は数量の他の資源を割り当てる。具体的には二次的ゲームをプレイするための参加券や二次的ゲームに資源として投入するクレジットのデータなど、他資源決定部23で決定された他の資源のデータを携帯端末11に送信することで他の資源の割り当てを行う。
【0107】
他資源割当部25より二次的ゲームに関する他の資源を受信した携帯端末11は、表示パネルに二次的ゲームの画面を表示することで顧客に二次的ゲームがプレイ可能な状態であることを知らせる。顧客が二次的ゲームをプレイする場合は、第2ゲーム運営部30と携帯端末11との間で通信が行われ、二次的ゲーム用の資源の投入や供与、その他ゲーム画面データや制御データの送受信が行われる。
【0108】
次に、具体的な例をあげてゲーム運営システム20の動作について説明する。
【0109】
顧客A〜顧客Dが、ゲーム運営部21が運営する一次的ゲームに参加したとする。ここでは、具体的にゲーム運営部21が提供する一次的ゲームはルーレットであり、控除率は5.26%に設定されているものとする。なお、顧客A〜顧客Dは既に会員登録済みであり、基本情報が顧客情報記憶部27に記憶されている。ここでは、各顧客の基本情報は次のように、顧客A(男性、25歳、住所)、顧客B(女性、30歳、住所)、顧客C(男性、47歳、住所)、顧客D(男性52歳、住所)、であるとする。
【0110】
各顧客は一次的ゲームに参加するにあたり、他の資源を受け取れるよう自身の携帯端末11を予めゲーム運営システム20に有線又は無線のいずれかの方法で接続させている。
【0111】
顧客Aは10万円の資金でスタートし、100円を100回賭け、2000円負けたとする。この場合の期待値は526円である。
【0112】
顧客Bは50万円の資金でスタートし、200円を500回賭け、6000円勝ったとする。この場合の期待値は5260円である。
【0113】
顧客Cは100万円の資金でスタートし、2000円を1000回賭け、4500円負けているとする。この場合の期待値は105200円である。ゲームは進行中であるとする。
【0114】
顧客Dは200万円の資金でスタートし、1000円を3000回賭け、80万円負けているとする。この場合の期待値は157800円である。ゲームは進行中であるとする。
【0115】
ここでは、セグメント化処理部28は、これまでに顧客の投入した資源の総量に基づいて顧客のセグメント化を行うものとする。具体的には、総掛け金が10万円未満を低顧客層、10万円以上100万円未満を中顧客層、総掛け金が100万円以上を高顧客層、として各顧客をセグメント化する。
【0116】
顧客Aは、総掛け金が10万円未満であるため低顧客層のセグメントに所属する。顧客Bは、総掛け金が10万円以上100万円未満であるため中顧客層のセグメントに所属する。顧客C及び顧客Dは、それぞれ総掛け金が100万円以上であるため高顧客層のセグメントに所属する。セグメント化処理部28は、各セグメントの条件に従って各顧客をグルーピングし、いずれかのセグメントに所属させる。セグメント化処理後の各顧客の状態は
図8のようになる。
【0117】
他資源決定部24は、顧客が所属するセグメントに基づいて、顧客に割り当てる他の資源の種類又は数量を決定する。他資源決定部24には、事業者が望む売上設定値とそれに関わる経費も予め入力してあり、顧客のプレイ内容に応じて最も効率的な商品やサービスを選択するようプログラミングされている。ここでは、他資源決定部24は、各顧客に対して使用できる経費の上限を期待値の50%以内に設定して、各顧客に対して割り当てる他の資源を決定する。
【0118】
上述の通り、顧客Aの期待値は526円であるため、顧客Aに対して使用できる最大経費が263円となる。顧客Bの期待値は5260円であるため、顧客Bに対して使用できる最大経費は2630円となる。顧客Cの期待値は105200円であるため、顧客Cに対して使用できる最大経費は52600円となる。顧客Dの期待値は157800円であるため顧客Dに対して使用できる最大経費は78900円となる。
【0119】
他資源決定部24は、これらの最大経費内で所定のアルゴリズムに従って他の資源を選び出す。
図9は、他資源決定部24が選び出した他の資源の一例を示している。
【0120】
顧客AはセグメントLOWに所属しているため、他資源決定部24は、企業Aが提示する無料PR商品群から263円分の商品を他の資源として割り当てると決定する。企業Aの無料商品券の卸値は0円であるため、事業者にかかる経費は0円である。当該無料商品券のデータが、他の資源に関する情報として、他資源送信部251より顧客Aの携帯端末11に送信され、当該携帯端末11の表示パネルに表示される。
【0121】
顧客BはセグメントMIDに所属しているため、他資源割当部24は、企業Dが提示する1300円のTシャツ2枚を他の資源として割り当てると決定する。この場合、事業者にかかる経費は260円である。当該2600円相当のTシャツに関するデータが、他の資源に関する情報として、他資源送信部251より顧客Bの携帯端末11に送信され、当該携帯端末11の表示パネルに表示される。
【0122】
顧客CはセグメントHIGHに所属しているため、他資源割当部24は、第2ゲーム運営部30が提供する二次的ゲームに参加するための権利を他の資源として割り当てると決定する。ここでは、他資源割当部24は、上述のゲーム1の競馬ゲームの無料参加券と600円分の無料プレイ券(クレジット)を他の資源として割り当てるとする。この場合、競馬ゲームの控除率は25%に設定されているため、実質経費は450円となる。顧客は、受け取った600円分の無料プレイ券や自己資金を投入して携帯端末11でゲーム1の競馬ゲームに参加することができる。
【0123】
顧客DもセグメントHIGHに所属しているため、他資源決定部24は、第2ゲーム運営部30が提供する二次的ゲームに参加するための権利を他の資源として割り当てると決定する。ここで顧客Dに対する一次的ゲームでの控除率が高くなっているため、他資源決定部24は、より多くの無料プレイ券を割り当てると決定する。他資源決定部24は、上述のゲーム2のルーレットゲームの無料参加券と5万円分の無料プレイ券を他の資源として割り当てると決定する。この場合、ルーレットゲームの控除率は5.26%に設定されているため、実質経費は47370円となる。顧客は、受け取った5万円分の無料プレイ券や自己資金を投入して携帯端末11でゲーム2のルーレットゲームを参加することができる。
【0124】
このように、他資源割当部25は、市場価格に対する納入価格の割合が低い他の資源を、セグメント化処理部28によって低いランクのセグメントに所属する顧客に割り当てることで、優良な顧客により手厚い付加サービスを提供することを特徴としている。
【0125】
以上のように、本実施形態3に係る発明は、顧客が所有する携帯端末11を介して二次的ゲームを提供する第2ゲーム運営部30を更に備えることを特徴とする。他資源情報記憶部29は、無料クーポンや商品引換券などに加えて、第2ゲーム運営部30が提供する二次的ゲームに参加するための参加券やクレジットなど二次的ゲームに投入可能な資源を割当可能な他の資源として記憶している。ここで、他資源決定部24は、第2ゲーム運営部30が提供する二次的ゲームに参加するための参加券又は前記二次的ゲームに投入可能な資源を顧客に割り当てる他の資源として決定する。他資源割当部25は、他資源決定部24で決定された二次的ゲームに参加するための参加券のデータ又は二次的ゲームに投入可能な資源のデータを携帯端末11に送信する。
【0126】
上記特徴を有する本実施形態3の発明によれば、ギャンブルにおける売上の増加を見込むために、一次的なゲームから得られる収益とそれに関わるコストを、携帯端末11を介した二次的なゲーム(ギャンブル、ゲーム、懸賞など)を用いて影響を与えることが可能となる。加えて、一次的なゲームから得られる収益とそれに関わるコストを、携帯端末11を介した二次的な還元システム(無料サービス、プレゼント、割引など)によって影響を与えると同時に、携帯端末11を介してそれらの還元額を地域社会に配分することが可能となる。
【0127】
すなわち、本実施形態3に係る発明によれば、顧客が有する携帯端末11を用いてリアルタイムに二次的な賭けや二次的な無料サービスを提供することで顧客の消費行動に影響を与え、売上やコストに影響を与えるような総合的なシステムとすることができる。一次的ゲームで基準となる期待値から大きく逸脱して負けている場合に、顧客が無料で二次的ゲームをプレイできるように他の資源を割り当てることで、一次的ゲームと二次的ゲームの全体でみた勝率や控除率、期待値などの顧客のゲームの成績は、予め基準として設定されている勝率、控除率、期待値などの値に近づくためである。
【0128】
より詳細には、成績管理部22が、顧客が行う一次的な賭けのパターンを分析することで収益性を正確に分析し、それらデータを基に顧客に対して多種多様な二次的な賭けを行えるゲームサービスを提供することで期待値と大数の法則に影響を与えることができる。
【0129】
加えて、一次的な賭けのパターンを分析することで得られた分析データを基に、ギャンブルにおける付帯サービス中心となるコンプリメンタリー(無料サービス)を選択することで、予め登録してある商品群の中から事業者が予め設定したコストに適合する商品を最適なコストパターンで選び出すことができる。ゲーム機器に接続された顧客の携帯端末11に商品券やクーポン等のコンプリメンタリーのデータを移動させ、顧客が彼らの実生活の中でコンプリメンタリーを使用することで効率的に地域経済と密着させ、本来ギャンブルが担う社会的役割を効率的に行うことが可能となる。
【0130】
また、本実施形態3に係る発明によれば、ギャンブルにおける売上、経費、利益を顧客の主観や行動、確率や大数の法則に任せるのではなく、特別な賭けや無料サービス、キャッシュバック(現金の還元)などを刻々と変化する顧客のデータに応じてリアルタイムで提供することで、ゲーム中の顧客の賭け方や回数などを心理的側面・確率的側面から影響を与えると同時に、ギャンブルの価格を下げたり、無料サービスやクーポンを提供したりすることで、カジノの価格、売上、経費、利益価格を事業者が設定した設定値になるように管理・コントロールし、安定した経営を獲得することが可能となる。
【0131】
また、ゲーム運営システム20と顧客のスマートフォンなどの携帯端末11を接続することで、顧客は自身の端末で特別な賭けや無料サービス、クーポンを表示させることができ、顧客は、これらの特典をゲーム場の外でも使用することができる。従って、ギャンブルのお金が一般の市場において消費されることになり、地域の活性化にも影響を与えることができる。これらの資源の還元を顧客の消費行動と密接にリンクさせることができるため、ギャンブルから生じる財源が柔軟且つ、流動的に社会に広がることになる。
【0132】
さらに認可・登録されたゲーム機の確率を個々の顧客の変化するプレイ内容により変化させることに法的な制約がある場合でも、本発明においては付属する顧客の携帯端末11に表示させることで認可対象の枠から外れることも可能なので、顧客のプレイに応じた柔軟な対応が可能となる。
【0133】
ここで二次的ゲームの控除率は一次的ゲームの控除率と比較して低く設定しておくと更に良好である。すなわち、第2ゲーム運営部30は、ゲーム運営部21が提供するゲームの控除率よりも低い控除率に設定されたゲームを運営する。当該構成とすることで、顧客は二次的ゲームで良い成績を残せる可能性が高まるため、ゲームに参加する意欲を高めることができ、更なる自己資金の投入が期待でき、事業者側の収益確保に繋げることができる。
【0134】
(実施形態4)
本実施形態4に係るゲーム運営システム20は、基本となる一次的ゲームに対して、二次的なサービスやゲームを提供することで、平均としての控除率や期待値が、事業者が期待する控除率や期待値に近づくよう効率的にコントロールすることを特徴とする。以下、図面を参照して詳細に説明する。但し、実施形態1〜3で既に説明した部分については一部説明を省略する。
【0135】
図10は、本実施形態4に係るゲーム運営システム20の構成を示すブロック図である。ゲーム運営システム20は、ゲーム運営部21と、成績管理部22と、割当決定部23と、他資源決定部24と、他資源割当部25と、登録処理部26と、顧客情報記憶部27と、セグメント化処理部28と、他資源情報記憶部29と、第2ゲーム運営部30と、に加えて新たに目標控除率設定部31と、控除率制御部32と、を備えることを特徴とする。
【0136】
セグメント化処理部28は、総掛け金、参加頻度、実際の勝ち負けの額など、顧客のゲームの成績に基づいて算出する優良度に従って各顧客をセグメント化する。ここでは、セグメント化処理部28は、顧客の優良度に基づいて(1)シルバー会員、(2)ゴールド会員、(3)ダイヤモンド会員、(4)プラチナ会員、と言ったセグメントに振り分ける。
【0137】
目標控除率設定部31は、事業者が目標とする顧客側から見た控除率(以下、顧客側控除率という)及び事業者側から見た控除率(以下事業者側控除率という)をセグメント毎に設定する。なお、顧客側控除率と事業者側控除率は、
図11に示す式で表される。
図11の式において、顧客が失う確率上の損失である期待値と事業者が獲得する確率上の利益である期待値とは同一の値である。
【0138】
図12は、目標控除率設定部31が設定するセグメント毎の顧客側控除率と事業者側控除率の一例を示している。
【0139】
控除率制御部32は、実際の控除率が目標控除率設定部31で設定されている顧客側控除率及び事業者側控除率に近づくように制御を行う。
図11から分かるように、他の資源又は期待値を変更することで顧客側控除率を変更することができ、他の資源の経費又は期待値を変更することで事業者側控除率を変更することができる。
【0140】
他資源決定部24は、控除率制御部31からの制御に基づいて、実際の控除率が、それぞれこの顧客が属するセグメントに設定された控除率に近づくように、他の資源と種類又は数量を決定する。
【0141】
第2ゲーム運営部30は、控除率制御部31からの制御に基づいて、実際の控除率が、それぞれこの顧客が属するセグメントに設定された控除率に近づくように、二次的ゲームの控除率を設定し、当該設定した控除率の二次的ゲームを顧客に提供する。
【0142】
次に、具体的な例を用いてゲーム運営システム20の動作について説明する。
【0143】
シルバー会員である顧客Aは、ゲーム運営部21が運営する控除率10%のゲームに参加し、10万円の資金を投入したとする。この場合の投入資金である10万円に控除率10%を乗算した1万円が、事業者側の確率上の利益である期待値となる。
【0144】
ここで、顧客Aのゲームの成績が優良顧客の基準に達し、上位のセグメントに所属することになったとする。当該基準は、総掛け金や参加頻度、勝ち負けの額などに基づいて設定されている。この場合、ゴールド会員となった顧客Aに対する目標となる顧客側控除率は5%に、事業者側控除率は9.5%にそれぞれ変更される。
【0145】
割当決定部23は、セグメントが変更されたことにより、この顧客に他の資源を割り当てることを決定する。他資源決定部24は、控除率制御部32からの制御に従い、現在の控除率が顧客側控除率と事業者側控除率に近づくように他の資源の種類又は数量を決定する。ここでは、控除率制御部32は、他の資源の割り当てにより現在の控除率が目標となる控除率に近づくように他資源決定部24を制御する。
【0146】
顧客者側控除率を−10%から−5%に、また事業者控除率を10%から9.5%に変更するために、他資源決定部24は、経費が500円である5000円の無料商品券を他の資源として割り当てると決定する。
【0147】
他資源割当部25は、他資源決定部24で決定された当該無料商品券を顧客に割り当てる。具体的には、他資源割当部25は、携帯端末11に当該無料商品券のデータを送信する。
【0148】
上記処理が行われることで、以下の式により顧客側控除率を目標値である−5%とすることができる。
100×{5000円(他の資源)−1万円(期待値)}/10万円(総投入資源)
【0149】
また、以下の式により事業側控除率を目標値である9.5%とすることができる。
100×{1万円(期待値)−500円(他の資源の経費)}/10万円(総投入資源)
【0150】
また、別の方法として他資源決定部24は、第2ゲーム運営部30が運営するゲームの無料参加券を割り当てる他の資源として決定する。他資源割当部25は、当該無料参加券のデータを携帯端末11に送信する。
【0151】
ここで、第2ゲーム運営部30は、控除率制御部32からの制御に基づいて当該顧客に対して提供する二次的ゲームの控除率を0%に設定する。
【0152】
第2ゲーム運営部30が提供する二次的ゲームに顧客が10万円を投入したとする。この場合、全体としてみた場合の期待値は、以下の式により1万円となる。
10万円(賭け1)×10%(控除率)+10万円(賭け2)×0%=1万円(期待値)
また、控除率は、以下の式により5%を実現している。
100×1万円(期待値)/20万円(総投入資源)
【0153】
以上のように本実施形態4に係る発明では、顧客のゲームの成績に基づいて、第2ゲーム運営部30が顧客に提供する二次的ゲームの控除率を制御する控除率制御部32を更に備える。第2ゲーム運営部30は、控除率制御部32が制御する控除率で二次的ゲームを顧客に提供する。
【0154】
また、他資源情報記憶部29は、他の資源の市場価格と納入価格(コスト)の両方を合わせて記憶しておき、顧客に対して設定した目標とする控除率に近づくように他の資源の市場価格から割り当てる他の資源を選択し、同時に、事業者に対して設定した目標とする控除率に近づくように他の資源の納入価格から割り当てる他の資源を選択する。
【0155】
以上各実施形態で説明したように、本発明によれば、顧客がゲームに投入した資源と事業者が顧客らに供与した資源の量と割合、及びゲームにおける事業者の損益分岐点と設定値に基づいて、顧客にゲームに投入及び供与される資源とは異なる他の資源を提供したり、異なる他の確率ゲームを提供したりすることが可能となり、事業者の利益を損なうことなくゲームへの参加意欲をかき立てることにより設定値から遺脱した顧客のゲーム結果を修正することができるゲーム運営システムを提供することができる。
【0156】
また、本発明は、ギャンブルにおいては長期的には大数の法則が働き、実際の負け額と期待値は均衡するはずであるが、賭け方や賭け金の大小により短期・中期的な結果は多様性を含むという点に着目し、刻々と変化する個々の顧客のプレイ内容(賭け金や参加回数など)によりもたらされる売上、ポイントバックに掛る経費、実際のゲーム結果と期待値との偏差を全体の売上と短期・中期的にリンクさせ、長期的な売上、経費、利益をコントロールする総合的なシステムを実現している。
【0157】
また、本発明によれば、ゲームで得られる期待値と実際のゲームの結果を無料サービスや二次的なゲームを利用してトータルでコントロールすることができるため、顧客からの資源投入を促進することが可能となる。すなわち、顧客が参加するゲームや資源ではなく、顧客の端末に対して他の資源を供与することで、公営ギャンブルなどのようにゲーム機器や資源の供与規則を変更することの困難なゲームについても、顧客の成績に対応した量や内容の他の資源を供与することを可能としたゲーム運営システムを提供することができる。
【0158】
また、本発明によれば、顧客がゲームに投入した資源と事業者が顧客らに供与した資源の量と割合、及びゲームにおける事業者の損益分岐点とに基づいて、顧客にゲームに投入及び供与される資源とは異なる他の資源を提供することが可能となるため、勝率の低い顧客に対して事業者の利益を損なうことなく、ゲームへの参加意欲をかき立てることのできるゲーム運営システムを実現することができる。
【0159】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、各実施形態の発明を組み合わせた構成とすることも可能である。例えば、上述したゲーム運営システム20は、1台の情報処理サーバ(制御装置)で構成されていても良いし、複数の情報処理サーバやデータベースが相互に接続される形で構成されていても良い。また、上述したゲーム運営システム20は、データの入出力装置、記憶装置、演算装置などを有するコンピュータ上でプログラムを実行することによって実現される。当該プログラムは、記録媒体に記録して提供する事が可能である。記録媒体としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、CDROM、DVD、ROMカートリッジ等の記録媒体が含まれる。