(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記位置算出部は、GPS(Global Positioning System)信号を用いて、自装置の現在位置を算出する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の端末。
【発明を実施するための形態】
【0017】
初めに、
図1を用いて一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。
【0018】
上述のように、物品が顧客に渡されたか否かを第三者(担当者の上司等)が確認できる端末が望まれる。
【0019】
そこで、一例として
図1に示す端末100を提供する。端末100は、他の端末に情報を送信する通信部101と、自装置の現在位置を算出する位置算出部102と、物品に付された無線タグに格納された情報を読み取る読み取り部103と、位置算出部102が算出する現在位置と、無線タグが記憶する情報であって無線タグが付された物品を移転させる場所を示す位置情報と、に基づいて無線タグが付された物品の移転を監視するか否かを判定する判定部104と、移転が監視される物品に付された無線タグからの無線信号が非検出となった場合に、移転が監視される物品の移転を、通信部101を介して他の端末に通知する通知部105と、を備える。
【0020】
顧客を訪問する担当者は、顧客に渡す物品と共に端末100を持参する。物品には無線タグが付されており、無線タグは物品を渡す場所に関する位置情報を記憶する。端末100は、定期的に現在位置を確認し、現在位置と無線タグから得られる位置情報を比較する。比較した結果、両者が一致すれば、端末100は、当該物品は現在の場所にて顧客に渡す物品と判定し、移転を管理する監視対象物品に認定する。さらに、端末100は、監視対象物品に付された無線タグから無線信号を受信できなくなった場合に、当該監視対象物品が顧客に提供されたと判断し、その旨を他の端末(例えば、上司が使用する端末)に通知する。即ち、物品が意図されたとおりに顧客に渡されたか否かを、担当者の上司は確認できる。
【0021】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0022】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る物品配布確認システムの一構成例を示す図である。
図2を参照すると、物品配布確認システムは、担当者端末10と、上司端末20と、複数の物品30−1〜30−n(nは正の整数、以下同じ)と、を含んで構成される。なお、以降の説明において、物品30−1〜30−nを区別する特段の理由が無い場合には、単に「物品30」と表記する。
【0024】
担当者端末10は、顧客を訪問する保守技術者(カスタマエンジニア)や営業担当者等の担当者が使用する情報処理装置である。担当者端末10は、例えば、携帯電話、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ等である。
【0025】
担当者端末10は、通信機能を備え、インターネット等のネットワークを介して、データを上司端末20に送信する機能を備える。担当者は、顧客との打合せ場所(例えば、顧客社内の会議室等)に、担当者端末10を携帯し、物品30を持参する。
【0026】
上司端末20は、顧客を訪問する担当者の上司が使用する情報処理装置である。上司端末20は、ネットワークを介して担当者端末10から受信したデータを表示する機能を有する。上司端末20は、通常、上司及び担当者が属する会社の建物内に設置されている。
【0027】
物品30は、担当者が顧客との打合せ場所に持参する物品である。物品30は、例えば、製品のカタログ、提案書、見積書、技術資料、サンプル品等である。顧客に渡すべき物品には、紙資料、装置、交換部品等の部品、記憶媒体等が含まれる。
【0028】
物品30のそれぞれには、無線タグが貼付され、又は、埋め込まれている。物品30に付された無線タグは、物品の種類等に応じて定められた物品属性情報に関するデータを記憶する。物品属性情報は、無線タグが付された物品30を渡す場所(物品30を移転させる場所)、時間等に関する情報である。物品属性情報の詳細は、後述する。
【0029】
担当者は、持参した物品30の中から必要な物品を顧客に渡す。
【0030】
図2を参照しつつ、物品配布確認システムの動作の概要を説明する。
【0031】
初めに、担当者又はその上司は、担当者が顧客を訪問する際の事前準備を行う。具体的には、担当者又は上司は、担当者が顧客との打合せ場所に持参する物品30に付された無線タグのそれぞれに、物品属性情報を入力する。その際、担当者等は、無線IDリーダ/ライタの書き込み機能を利用して、物品属性情報を無線タグに書き込む。
【0032】
また、担当者又は上司は、担当者端末10に、担当者が顧客に渡す必要がある物品30に関する情報(以降、移転物品情報と表記する)を入力する。例えば、担当者等は、担当者が持参するn個の物品のうち、物品30−1及び30−2を訪問先の顧客に渡す必要がある場合には、物品30−1及び30−2に関する移転物品情報を、担当者端末10に入力する。
【0033】
事前準備が終了すると、担当者は、物品30を顧客との打合せ場所に持参する。担当者端末10は、移転物品情報と、物品30に付された無線タグから得られる物品属性情報と、に基づいて、必要な物品30が顧客に渡されたか否かを判断する。
【0034】
担当者端末10は、必要な物品30が正しく顧客に渡されたと判断した場合には、その旨を含む情報を、上司端末20に送信する。上司端末20を操作する上司は、担当者端末10から送信されてくる情報を確認することで、必要な物品30が顧客に渡されたことを確認する。
【0035】
図3は、担当者端末10の内部構成の一例を示す図である。
図3を参照すると、担当者端末10は、表示部201と、入力部202と、通信部203と、位置算出部204と、時刻算出部205と、無線タグリーダ206と、制御部207と、記憶部208と、を含んで構成される。
図3に示す各部は、内部バスにより相互に接続されている。
【0036】
表示部201は、液晶パネル等の表示デバイスを含んで構成され、情報を表示する手段である。入力部202は、タッチパネル等の操作デバイスを含んで構成され、担当者の操作を入力する手段である。
【0037】
通信部203は、ネットワークを介して上司端末20に情報を送信する手段である。具体的には、担当者端末10は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g/n等で規格化された無線LAN(Local Area Network)や、LTE(Long Term Evolution)等で規格化されたモバイル通信を用いて、情報を上司端末20に送信する。但し、通信部203による通信方式を限定する趣旨ではなく、他の規格であっても良いし、ネットワークに有線接続する形態であってもよい。
【0038】
位置算出部204は、GPS(Global Positioning System)アンテナ等を含んで構成され、GPS信号から担当者端末10の現在位置を算出する手段である。
【0039】
時刻算出部205は、現在時刻を算出する手段である。時刻算出部205は、発振器等からなるカウンタを用いて現在時刻を算出しても良いし、GPS信号に含まれる時間情報を用いて現在時刻を算出してもよい。あるいは、時刻算出部205は、ネットワーク上の時刻同期サーバ等から現在時刻を取得してもよい。
【0040】
無線タグリーダ206は、物品30に付された無線タグが発する無線信号(ICタグ信号)を受信する手段である。
【0041】
制御部207は、担当者端末10の全体を制御すると共に、
図3に示す各部を制御する。制御部207は、判定部301と通知部302と、含む。判定部301及び通知部302を含む制御部207に関する動作の詳細は後述する。なお、制御部207は、担当者端末10に搭載されたコンピュータに、そのハードウェアを用いて、後に詳述する制御部207の処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することもできる。
【0042】
記憶部208は、制御部207の動作に必要な情報を記憶する。また、記憶部208は、移転物品情報を記憶するデータベースを有する。
【0043】
図4は、記憶部208に構築されたデータベースの一例を示す図である。
図4を参照すると、記憶部208に構築されたデータベースは、物品提供位置フィールドと、物品提供時間フィールドと、物品特定情報フィールドと、を有する。
【0044】
物品提供位置フィールドには、物品30を顧客に渡す場所の位置情報が登録される。例えば、
図4を参照すると、物品提供位置フィールドには、緯度と経度からなる座標が登録される。なお、物品提供位置フィールドに登録する情報は、緯度及び経度からなる座標に限定されず、顧客と打ち合わせる場所の住所等であってもよい。即ち、物品提供位置フィールドに登録する値は、顧客に物品30を渡す場所が一意に定まる情報であれば、どのような形式でもよい。物品提供位置フィールドに登録する値(位置情報)は、物品30を渡す顧客を識別するための情報として機能する。
【0045】
物品提供時間フィールドには、物品30を顧客に渡す時間帯に関する時間情報が登録される。例えば、
図4を参照すると、物品提供時間フィールドには、担当者と顧客が打ち合わせを行う時間帯が登録されている。物品提供時間フィールドに登録する値(時間情報)は、物品30を渡す相手(例えば、顧客企業の担当者)をより正確に識別するための情報として機能する。
【0046】
例えば、担当者及びその上司は、企業Aの社員とする。また、企業Bは企業Aの顧客とする。この場合、物品提供位置フィールドに登録した値により、物品30を企業Bに渡すことが必要と判別できる。しかし、物品提供位置フィールドに登録した値だけでは、担当者は、企業Bのどの担当者に物品30を渡すべきかまでは分からない。そこで、物品提供時間フィールドに登録した値(時間情報)が用いられる。
【0047】
物品提供時間フィールドには、企業Aの担当者(物品30を持参する担当者)と企業Bの担当者(物品30を受け取る担当者)の打合せに関するスケジュールが登録され得る。同じ企業Bの敷地内であっても、打合せ時間が異なれば、出席する担当者は異なるのが通常である。従って、物品提供時間フィールドに登録した値を用いることで、物品30を渡す相手を正確に識別できる。
【0048】
物品特定情報フィールドには、物品30を特定するための情報が登録される。例えば、
図4を参照すると、物品30が紙資料であれば、その旨及びページ数が登録される。あるいは、サンプル品や保守部品といった物品30の種類を、物品特定情報フィールドに登録してもよい。物品特定情報フィールドに登録する値は、物品30を識別するための情報として機能する。
【0049】
図5(a)は、物品30の外観の一例を示す平面図である。物品30のそれぞれには、無線タグ31が取り付けられている。具体的には、無線タグ31は、担当者から顧客に渡す物品30の表面(紙や薄いプラスチックシート)に貼り付けられている。
【0050】
図5(b)は、
図5(a)に示すA1−A1間の断面の一例を示す図である。
図5(b)を参照すると、紙又はプラスチックシートの片面(物品30の表面)に無線タグ31を接着剤等の固定材を用いて貼り付ける。さらに、貼り付けられた無線タグ31の表面を覆うように、紙、プラスチックシート、金属シート等からなる保護シート32を貼り付け、無線タグ31を保護しつつ密封する。あるいは、
図5(c)に示すように、無線タグ31上だけでなく、物品30の全面を覆うように保護シート32を貼り付けてもよい。
【0051】
図6(a)は、物品30の別の外観の一例を示す斜視図である。物品30が、サンプル品や部品等の立体形状を有している場合には、無線タグ31を物品30に埋め込む形態であってもよい。
【0052】
図6(b)は、
図6(a)に示すA2−A2間の断面の一例を示す図である。
図6(b)を参照すると、立体形状の物品30の一部に無線タグ31を埋め込む空間を作り、当該空間の底面に無線タグ31を接着剤等の固定材を用いて貼り付け、固定する。埋め込まれた無線タグ31を保護するため、無線タグ上方の開口部に、紙、ブラスチックシート、金属シート等からなる保護シート32を貼り付け、密閉する。
【0053】
なお、物品30が立体形状であっても、
図5(a)や
図5(b)に示すように、サンプル品等の表面に無線タグ31を貼り付けてもよい。
【0054】
無線タグ31は、当該タグが付された物品30に関する物品属性情報を記憶する。
【0055】
図7は、無線タグ31に格納する物品属性情報の一例を示す図である。なお、
図7において、無線タグの参照符号31に続くハイフン後の数字は、
図2に示す物品30を識別する数字に対応する。例えば、物品30−1に付された無線タグを、無線タグ31−1と表記している。
【0056】
物品属性情報は、少なくとも、物品提供位置、物品提供時間及び物品特定情報を関連付けて構成される。これらの情報は、
図4を用いて説明した移転物品情報に係るデータベースを構成する各フィールドに登録される値と相違する点はないので、その説明を省略する。
【0057】
無線タグ31は、パッシブタグ及びアクティブタグのいずれでもよい。無線タグ31は、物品属性情報を記憶でき、担当者端末10が有する無線タグリーダ206との距離が所定範囲内であれば、その存在が検出され得るものであればよい。但し、無線タグ31は、薄型且つ小型(アンテナを含む面積が小さい)であることが望ましい。
【0058】
なお、無線タグリーダ206が、無線タグ31を検出できる所定距離は、物品配布確認システムの実際の運用に合わせて適宜調整する。具体的には、無線タグ31が付された物品30が担当者の手元にある場合には、その存在が検出され、担当者から離れ顧客に渡った場合には、その存在が検出されない程度の距離に設定する。
【0059】
また、無線タグ31に書き込まれた情報は、顧客が知る必要はないので、無線タグ31に書き込まれた情報は、そのまま読み取っても、情報の中身が分からないように予め定められた規則に従って決められた文字列やデータ列に置き換えられたものでもよい。読み取り側である無線タグリーダ206は、読み込んだ情報を予め定められた規則に照らし合わせて、その意味や情報を把握する。また、無線タグ31に書き込まれた情報は、所定の規則に従って暗号化されたものでもよい。この場合には、無線タグリーダ206は、読み込んだ情報を所定の規則に従って暗号を解読し、その意味や情報を把握してもよい。さらに、セキュリティ上の観点からは、無線タグ31と無線タグリーダ206の間の通信は暗号化されることが望ましい。以上のように、無線タグ31に書き込まれる情報を、そのまま読み取っても意味が不明なように暗号化等する、あるいは、両者の通信を暗号化することで、顧客は無線タグ31に書き込まれた情報を参照できない。
【0060】
担当者端末10の動作について説明する。
【0061】
図8は、担当者端末10の動作の一例を示す図である。
【0062】
ステップS101において、判定部301は、位置算出部204から現在位置を取得する。
【0063】
ステップS102において、判定部301は、記憶部208に構築されたデータベースの中に、現在位置と一致する物品提供位置フィールドを持つエントリーが存在するか否かを確認する。なお、現在位置と物品提供位置フィールドの値が一致するとは、両者の値が実質的に一致するという意味であり、多少の誤差を許容しないものではない。
【0064】
両者が一致するエントリーがある場合(ステップS102、Yes分岐)には、判定部301は処理をステップS103に遷移する。一致するエントリーがない場合(ステップS102、No分岐)には、判定部301はステップS101に戻り、処理を継続する。
【0065】
ステップS103において、判定部301は、現在位置と一致する物品提供位置フィールドを持つエントリーを抽出する。例えば、担当者端末10の現在位置が(X1、Y1)であるとする。この場合、
図4を参照すると、判定部301は、番号1及び番号2の2つのエントリーを抽出する。
【0066】
ステップS104において、判定部301は、時刻算出部205から現在時刻を取得する。
【0067】
ステップS105において、判定部301は、ステップS103にて抽出されたエントリーの中に、現在時刻を含む物品提供時間フィールドを持つエントリーが存在するか否かを確認する。
【0068】
現在時刻を含むエントリーがある場合(ステップS105、Yes分岐)には、判定部301は処理をステップS106に遷移する。現在時刻を含むエントリーがない場合(ステップS105、No分岐)には、判定部301はステップS101に戻り、処理を継続する。
【0069】
ステップS106において、判定部301は、現在時刻を含む物品提供時間フィールドを持つエントリーを抽出する。例えば、現在時刻を13時10分とする。この場合、判定部301は、番号1のエントリーを抽出する。
【0070】
ステップS107において、判定部301は、無線タグリーダ206を介して、物品30に付された無線タグ31から物品属性情報を取得する。例えば、各物品30から
図7に示す物品属性情報が取得されたものとする。
【0071】
ステップS108において、判定部301は、ステップS106にて抽出されたエントリーに相当する移転物品情報と、ステップS107にて取得した物品属性情報と、が一致するか否かを判定する。具体的には、制御部207は、ステップS106にて抽出されたエントリーの各フィールド(物品提供位置フィールド、物品提供時間フィールド、物品特定情報フィールド)の値と、各無線タグ31から取得した物品属性情報の値(物品提供位置、物品提供時間、物品特定情報)と、を比較する。上述の例では、番号1により管理されているエントリーの移転物品情報と、物品30−1の無線タグ31−1から得られる物品属性情報と、が一致する。
【0072】
移転物品情報と物品属性情報が一致する場合(ステップS108、Yes分岐)には、判定部301は、当該物品属性情報に対応する物品30を監視対象物品に設定する(ステップS109)。移転物品情報と物品属性情報が一致しない場合(ステップS108、No分岐)には、判定部301は、ステップS101に戻り処理を継続する。
【0073】
なお、ステップS109において、制御部207は、監視対象物品に設定された物品30が存在する旨を、表示部201等を用いて担当者に通知してもよい。その際、担当者端末10は、監視対象物品に設定された物品30の物品特定情報を、表示部201に表示するのが好ましい。担当者は、表示部201を視認することで、紙資料を顧客に渡す必要があるのか、サンプル品を渡す必要があるのかを確認できる。あるいは、担当者端末10がスピーカやバイブレータを有する場合には、所定の音声や振動を用いて、監視対象物品の設定を担当者に通知してもよい。監視対象物品の設定を担当者に通知することで、担当者は顧客に渡す必要のある物品30の存在を認識することができ、より確実に必要な物品30を顧客に渡すことができる。
【0074】
ステップS110において、通知部302は、無線タグリーダ206を介して、監視対象物品が発する無線信号が非受信となるか否かを判定する。
【0075】
無線信号が非受信となった場合(ステップS110、Yes分岐)には、通知部302は、ステップS111に処理を移行する。無線信号が受信できる場合(ステップS110、No分岐)には、通知部302は、無線タグリーダ206を介した無線信号の監視を続ける。
【0076】
ステップS111において、通知部302は、監視対象物品が顧客に渡された旨を含むデータを、通信部203を介して上司端末20に送信する。ここで、担当者端末10は、ステップS111に処理が移行した時点で、顧客に渡す必要がある物品30(監視対象物品)が、担当者から顧客に渡されたと判断する。そのため、ステップS111において、担当者端末10は、上司端末20に向けて物品30が正しく顧客に渡された旨を送信することになる。
【0077】
なお、ステップS111における情報送信の際に、通知部302は、監視対象物品が顧客に渡された場所、時刻に関する情報を合わせて上司端末20に送信する。上司端末20を操作する上司は、GPS機能により算出した位置情報も得ることができるので、上司は担当者の手元から物品が離れた場所(位置情報)を把握できる。また、上司が確認できる情報には、当該位置情報に加え、上司が指定した顧客と指定した物品が合致しているか否か、上司が指定した時間に物品を渡しているか否か、といった情報も得ることができる。
【0078】
図9は、担当者端末10から上司端末20に向けた情報送信を説明するための図である。
図9(a)に示すように、担当者端末10を中心として所定の範囲内に物品30(監視対象物品)が存在し、無線信号を検出できる場合には、担当者端末10は、物品30は顧客に渡されていないと判断する。一方、
図9(b)に示すように、物品30が所定範囲から外れ、無線信号を検出できない場合には、担当者端末10は、物品30は顧客に渡されたと判断し、その旨を上司端末20に送信する。
【0079】
以上のように、第1の実施形態に係る担当者端末10は、顧客の下に持参した物品30を渡す場所(提供場所)、時刻(予定時刻)にて、物品30に付された無線タグ31から物品属性情報を読み出す。担当者端末10は、読み出した物品属性情報と移転物品情報を比較することで、顧客に渡すべき物品30を特定する。担当者端末10は、特定した物品30を監視対象物品に設定し、当該監視対象物品に付した無線タグ31が発する無線信号の非検出を契機に、物品が顧客に渡ったと判断する。その後、担当者端末10は、物品が顧客に渡った旨を上司端末20に送信する。
【0080】
第1の実施形態に係る担当者端末10を用いることで、担当者に指示を与えた上司が、指定した顧客に対して指定した期日及び物品が顧客に渡されたか否かを適宜確認できる。指定した顧客の位置(住所)において、担当者が携帯している無線リーダ(担当者端末10)が、物品に付した無線タグ31が発する無線信号を検出できるか否かに応じて、物品が正しく提供されたか否かを確認するためである。つまり、担当者端末10では、指定された場所及び時刻にて、物品30に付した無線タグ31が発する無線信号を当初(打合せ開始時)受信できている。その後、担当者の手元を離れて顧客の下に物品が渡されると、当該物品に付した無線タグ31と担当者端末10との間に距離が生じ、担当者端末10は無線信号を受信できなくなる。担当者端末10は、この無線信号の非検出を、物品の移動(物品の所有が担当者から顧客への移転)とみなし、物品が正常に顧客に渡されたと判断する。
【0081】
また、上司は、物品30が正しく顧客に渡されたか否かの情報だけではなく、物品が渡された場所や時刻をリアルタイムに把握することが可能である。従って、万が一、担当者が物品を顧客に渡していない場合には、担当者に連絡を取り、必要な物品を顧客に渡すよう促すこともできる。つまり、上司が指示した配布すべき資料等を、担当者の失念、勘違い等により顧客に配布できなかったとしても、資料等が配布されていないことを上司がタイムリーに感知することで、担当者に注意喚起できる。
【0082】
<変形例>
なお、
図2に示す物品配布確認システムの構成は例示であって、種々の変形が可能である。
【0083】
第1の実施形態では、物品提供位置、物品提供時間及び物品特定情報を用いて、監視対象物品を判定しているが、物品提供時間及び物品特定情報を利用しなくともよい。例えば、顧客の従業員が少数又は1人である場合には、物品提供位置により顧客に渡すべき物品を十分に特定できるためである。
【0084】
第1の実施形態では、担当者端末10内部の記憶部208に移転物品情報を格納するデータベースを構築する例を説明したが、当該データベースはネットワーク上のサーバに構築されていてもよい。
【0085】
物品提供時間フィールドや物品提供時間には、物品を渡す日付に関する情報が含まれていてもよい。日付を物品提供時間に導入することで、担当者等は顧客に訪問する日以外にも事前準備を行うことができる。
【0086】
第1の実施形態では、担当者端末10に入力された移転物品情報と、現在位置等を比較しているが、移転物品情報を使用しなくともよい。例えば、現在位置を取得するたびに、無線タグ31から情報を取得し、現在位置と無線タグ31に記載された物品提供位置を比較することで、監視対象物品の設定を行ってもよい。但し、担当者端末10に入力された移転物品情報を参照することで、無線タグ31に対する頻繁なアクセスが抑制され、担当者端末10の消費電力を抑制できる。
【0087】
担当者端末10は、無線リーダ機能だけではなく、無線タグライタ機能を有するのが望ましい。担当者端末10に、無線タグライタ機能が備わっていれば、担当者自らが事前に無線タグに物品属性情報を書き込むことができるので、利便性が向上する。
【0088】
担当者端末10は、物品30を顧客に渡す場所、時刻において、監視対象物品に設定すべき物品30を発見できない時は、その旨を担当者に通知してもよい。具体的には、
図8のステップS106の処理の実行は、現在位置及び現在時刻にて顧客に渡す必要のある物品30の存在が担当者端末10に登録されていることと同じ状況である。このような状況において、持参した物品30の中に、移転物品情報と物品属性情報が一致する物品30が存在しない(ステップS108、No分岐)場合は、担当者が必要な物品30を持参していない可能性がある。仮に、そのような状況であれば、担当者端末10からその旨の通知を受けることで、担当者は必要な措置(他の者に必要な物品30を持参して貰う、顧客に謝罪する等)を講じることができる。
【0089】
第1の実施形態に係る担当者端末10は、GPS信号を用いて現在位置を算出している。しかし、GPS衛星が発する電波が届かない場所にて打合せが行われる可能性もある。そのような場合を考慮し、位置算出部204は、GPS信号に基づいて現在位置を算出できない場合には、過去に算出した位置情報を現在位置としてもよい。あるいは、位置算出部204は、過去に算出した位置情報の有効期間を定め、当該有効期間外に算出された位置情報を、現在位置の算出には使用しないとしてもよい。
【0090】
あるいは、担当者端末10がアシストGPS機能を有し、且つ、位置測定に必要なGPS衛星のうち、一部のGPS衛星からGPS信号を受信できる場合には、アシストGPS機能を用いて現在位置を算出してもよい。
【0091】
また、担当者端末10は、GPS信号による現在位置の算出だけでなく、モバイル通信網の基地局の位置に基づいて、現在位置を算出してもよい。例えば、位置算出部204は、複数の基地局からの電波強度を用いて、現在位置を算出してもよい。なお、携帯電話等に使用される送信電力制御による結果を電波強度としてもよい。つまり、担当者端末10からの送信電力が弱い場合には、基地局が近くにあると判断し、送信電力が強い場合には、基地局が遠いと判断する。
【0092】
また、担当者端末10が、無線LAN機能を有する場合には、無線LAN接続情報を利用して、現在位置を算出してもよい。具体的には、位置算出部204は、予め把握している接続している無線LAN基地局の位置情報を、現在位置としてもよい。
【0093】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0094】
[付記1]
他の端末に情報を送信する通信部と、
自装置の現在位置を算出する位置算出部と、
物品に付された無線タグに格納された情報を読み取る読み取り部と、
前記位置算出部が算出する現在位置と、前記無線タグが記憶する情報であって前記無線タグが付された物品を移転させる場所を示す位置情報と、に基づいて前記無線タグが付された物品の移転を監視するか否かを判定する判定部と、
前記移転が監視される物品に付された無線タグからの無線信号が非検出となった場合に、前記移転が監視される物品の移転を、前記通信部を介して前記他の端末に通知する通知部と、
を備える、端末。
[付記2]
現在時刻を算出する時刻算出部をさらに備え、
前記無線タグは、前記無線タグが付された物品を移転させる時間を示す時間情報を記憶し、
前記判定部は、前記無線タグが付された物品の移転を監視するか否かの判定に、現在時刻と前記時間情報をさらに用いる、付記1の端末。
[付記3]
前記無線タグは、前記無線タグが付された物品を特定する第1特定情報を記憶し、
前記判定部は、前記無線タグが付された物品の移転を監視するか否かの判定に、前記第1特定情報と、ユーザにより入力される情報であって移転が指示される物品を特定する第2特定情報と、をさらに用いる、付記1又は2の端末。
[付記4]
少なくとも前記位置情報及び前記第2特定情報を関連付けて記憶する記憶部をさらに備える付記3の端末。
[付記5]
前記通知部は、前記移転が監視される物品が移転した場所及び/又は時刻を、前記他の端末に通知する、付記1乃至4のいずれか一に記載の端末。
[付記6]
前記無線タグは、物品の表面に貼付又は物品の内部に埋め込まれている、付記1乃至5のいずれか一に記載の端末。
[付記7]
前記位置算出部は、GPS(Global Positioning System)信号を用いて、自装置の現在位置を算出する、付記1乃至6のいずれか一に記載の端末。
[付記8]
前記位置算出部は、前記GPS信号を用いて現在位置の算出ができない場合には、過去に算出した現在位置を自装置の現在位置とする、又は、アシストGPS機能を用いて自装置の現在位置を算出する、付記7の端末。
[付記9]
前記位置算出部は、モバイル通信網の基地局の位置を用いて、自装置の現在位置を算出する、付記1乃至6のいずれか一に記載の端末。
[付記10]
前記位置算出部は、予め把握している無線LAN(Local Area Network)基地局の位置情報を利用して、自装置の現在位置を算出する、付記1乃至6のいずれか一に記載の端末。
[付記11]
他の端末に情報を送信する通信部と、
自装置の現在位置を算出する位置算出部と、
物品に付された無線タグに格納された情報を読み取る読み取り部と、
を備える端末の制御方法であって、
前記位置算出部が算出する現在位置と、前記無線タグが記憶する情報であって前記無線タグが付された物品を移転させる場所を示す位置情報と、に基づいて前記無線タグが付された物品の移転を監視するか否かを判定する工程と、
前記移転が監視される物品に付された無線タグからの無線信号が非検出となった場合に、前記移転が監視される物品の移転を、前記通信部を介して前記他の端末に通知する工程と、
を含む、端末の制御方法。
[付記12]
他の端末に情報を送信する通信部と、
自装置の現在位置を算出する位置算出部と、
物品に付された無線タグに格納された情報を読み取る読み取り部と、
を備える端末を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記位置算出部が算出する現在位置と、前記無線タグが記憶する情報であって前記無線タグが付された物品を移転させる場所を示す位置情報と、に基づいて前記無線タグが付された物品の移転を監視するか否かを判定する処理と、
前記移転が監視される物品に付された無線タグからの無線信号が非検出となった場合に、前記移転が監視される物品の移転を、前記通信部を介して前記他の端末に通知する処理と、
を実行するプログラム。
[付記13]
第1の端末と、
前記第1の端末とネットワークを介して通信する第2の端末と、
を含み、
前記第2の端末は、
自装置の現在位置を算出する位置算出部と、
物品に付された無線タグに格納された情報を読み取る読み取り部と、
前記位置算出部が算出する現在位置と、前記無線タグが記憶する情報であって前記無線タグが付された物品を移転させる場所を示す位置情報と、に基づいて前記無線タグが付された物品の移転を監視するか否かを判定する判定部と、
前記移転が監視される物品に付された無線タグからの無線信号が非検出となった場合に、前記移転が監視される物品の移転を、前記第1の端末に通知する通知部と、
を備える、物品配布確認システム。
なお、付記11〜13の形態は、付記1の形態と同様に、付記2の形態〜付記10の形態に展開することが可能である。
【0095】
なお、引用した上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。