特許第6037497号(P6037497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037497
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20161128BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H05K7/20 H
   H01L23/46 C
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-92508(P2012-92508)
(22)【出願日】2012年4月13日
(65)【公開番号】特開2013-222777(P2013-222777A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 大輔
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−091715(JP,A)
【文献】 特開2004−047835(JP,A)
【文献】 特開2008−077434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と
前記回路基板を覆い、前記回路基板に取り付けられるシャーシと、
前記シャーシ上に配置され、前記シャーシに取り付けられる底部を有し、前記回路基板の厚さ方向に沿った回転中心線を有する冷却ファンと、
前記冷却ファンの底部又は前記シャーシのうちの一方から他方に向かって突出し、前記冷却ファンの底部と前記シャーシとの間にクリアランスを確保する凸部と、
前記凸部は前記冷却ファンの回転中心線上に位置している
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
回路基板と
前記回路基板を覆い、前記回路基板に取り付けられるシャーシと、
前記シャーシ上に配置され、前記シャーシに取り付けられる底部を有し、前記回路基板の厚さ方向に沿った回転中心線を有する冷却ファンと、
前記冷却ファンの底部又は前記シャーシのうちの一方から他方に向かって突出し、前記冷却ファンの底部と前記シャーシとの間にクリアランスを確保する凸部と、を有し、
前記冷却ファンは、前記底部に、前記冷却ファンのロータと前記シャーシとの間に位置しているセンタープレート部を有し、
前記凸部は前記センタープレート部と前記シャーシとの間に位置し、それらの間のクリアランスを確保している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記凸部は前記冷却ファンの前記底部に設けられ、前記シャーシに取り付けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2に記載の電子機器において、
前記凸部は前記センタープレートに設けられ、前記シャーシに取り付けられている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項2又は4に記載の電子機器において、
前記凸部は前記冷却ファンの回転中心線上に位置している、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項2、4又は5に記載の電子機器において、
前記冷却ファンは、前記冷却ファンの底部に、前記センタープレート部の外周を囲むアウタープレート部を有し、
前記アウタープレート部は前記シャーシに接している、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項に記載の電子機器において、
前記アウタープレート部は前記シャーシに接する面を有し、
前記アウタープレート部の前記面には凹部が形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集積回路などの電子部品を冷却するための冷却ファンを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、回路基板上に配置される冷却ユニットが開示されている。冷却ユニットは、回路基板に対して垂直な回転中心線を有する冷却ファンと、冷却ファンを覆うカバーとを有している。冷却ファンはカバーの上壁によって支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0254086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器には、回路基板に取り付けられ、且つ、電子機器が備える種々の装置(例えばハードディスクドライブ)などを支持するシャーシを備えるものがある。冷却ファンをカバーによって支持する構造に替えて、冷却ファンをシャーシに取り付ける構造が検討されている。しかしながら、この構造では、シャーシに取り付けられる他の装置、例えば、上述したハードディスクドライブに冷却ファンの振動が伝わりやすくなる。
【0005】
本発明の目的は、シャーシが支持する装置や部品に冷却ファンの振動が伝わるのを抑えることが可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、回路基板と前記回路基板を覆い、前記回路基板に取り付けられるシャーシと、前記シャーシ上に配置され、前記シャーシに取り付けられる底部を有し、前記回路基板の厚さ方向に沿った回転中心線を有する冷却ファンと、前記冷却ファンの底部又は前記シャーシのうちの一方から他方に向かって突出し、前記冷却ファンの底部と前記シャーシとの間にクリアランスを確保する凸部と、を備える。このような電子機器によれば、冷却ファンとシャーシとの接触面積を低減できるので、シャーシが支持する他の装置や部品に冷却ファンの振動が伝わることを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】上シャーシ上に配置された冷却ユニットを示す斜視図である。
図2】電子機器が備える装置及び部品の分解斜視図である。
図3】冷却ユニットが備える冷却ファンの斜視図であり、同図では冷却ファンの底面が示されている。
図4】冷却ファンが備えるベースプレートと上シャーシとの位置関係を示す平面図である。
図5図4に示すV−V線を切断面とする冷却ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る電子機器が備える装置の斜視図である。図1においては、上シャーシ2上に配置された冷却ユニット10が示されている。図2は電子機器が備える装置及び部品の分解斜視図である。図3は冷却ユニット10が備える冷却ファン20の斜視図であり、同図では冷却ファン20の底面が示されている。図4は冷却ファン20が備えるベースプレート23と上シャーシ2との位置関係を示す平面図である。図5図4に示すV−V線を切断面とする冷却ユニット10の断面図である。以下の説明においては、これらの図に示すX1及びX2をそれぞれ左方向及び右方向とし、Y1及びY2をそれぞれ前方及び後方とし、Z1及びZ2をそれぞれ上方及び下方とする。
【0009】
図2に示すように、電子機器は、冷却ユニット10と、上シャーシ2と、回路基板3と、下シャーシ4とを備えている。これらは、図1に示すように組み合わされて、ハウジング(不図示)に収容される。この例の電子機器は、ユーザによって当該電子機器に設置された光ディスク(不図示)や、ハードディスクドライブH(図1参照)に格納されたプログラムを実行したり、動画像データを再生するエンタテインメント装置である。
【0010】
回路基板3の一方の面には集積回路が実装されている。この例では、図2に示すように、回路基板3の上面に複数の集積回路31a,31b,32が実装されている。集積回路32は、例えば電子機器の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)である。集積回路31aは例えばGPU(Graphics Processing Unit)である。集積回路31bは例えば集積回路31aに接続されるRAM(Random Access Memory)である。この例の電子機器は複数の集積回路31bを有し、これらは集積回路31aを取り囲むように配置され、それぞれが集積回路31aに接続されている。また、この例では、回路基板3の上面には、コネクタ34a〜34eが取り付けられている。
【0011】
上シャーシ2は回路基板3の上面を覆っている。この例の上シャーシ2は回路基板3に対応したサイズを有し、回路基板3の上面の全体を覆っている。上シャーシ2のサイズは必ずしもこれに限られず、例えば回路基板3よりも大きくてもよい。下シャーシ4は回路基板3の下面を覆っている。下シャーシ4も回路基板3に対応したサイズを有し、回路基板3の下面の全体を覆っている。シャーシ2,4は金属製の板材である。
【0012】
シャーシ2,4は回路基板3に取り付けられている。この例では、図2に示すように、上シャーシ2と下シャーシ4と回路基板3は、互いに対応する位置に取付穴2a,4a,3aをそれぞれ有している。シャーシ2,4と回路基板3は、取付穴2a,4a,3aに嵌められる螺子によって、電子機器のハウジングに固定される。これにより、シャーシ2,4は回路基板3の上面と下面にそれぞれ取り付けられる。取付穴2a,4a,3aは上シャーシ2の外周部2bと下シャーシ4の外周部4bと回路基板3の外周部とに形成されている。
【0013】
上シャーシ2の上側には冷却ユニット10や電源ユニット(不図示)など電子機器が内蔵する種々の装置や部品が配置される。これらの装置や部品は上シャーシ2に取り付けられる。この例の電子機器は、図1に示すように、ハードディスクドライブHを有している。ハードディスクドライブHは上シャーシ2上に配置され、上シャーシ2によって支持されている。回路基板3にはコネクタ33が実装されている。ハードディスクドライブHはコネクタ33を通して回路基板3に接続されている。冷却ユニット10は冷却ファン20を有している(図2参照)。後において詳説するように、本実施形態の冷却ファン20は、冷却ファン20の回転駆動による振動が上シャーシ2を通してハードディスクドライブHに伝わるのを抑える構造を有している。
【0014】
図5に示すように、上シャーシ2の外周部2bは回路基板3の外周部に接している。上シャーシ2が有する、外周部2bより内側の部分は回路基板3の上面から離れて位置し、それらの間には隙間Gが形成されている。図1に示すように、上シャーシ2には複数の通気穴2gが形成されている。通気穴2gは外周部2bより内側の部分に形成され、且つ、冷却ユニット10の後述するカバー19の外側に位置している。冷却ファン20が回転駆動すると、空気は通気穴2gを通して回路基板3と上シャーシ2との間に吸い込まれる。そして、その空気は、後において詳説するように、上シャーシ2に形成された、冷却ファン20の下方に位置する通気穴2c,2d(図5参照)からカバー19の内側に取り込まれ、ヒートシンク11,12に送られる。
【0015】
図2に示すように、冷却ファン20はその回転中心線C1が回路基板3の厚さ方向に沿うように配置されている。すなわち、回転中心線C1は回路基板3に対して垂直となっている。冷却ファン20は上シャーシ2を挟んで回路基板3とは反対側に位置し、上シャーシ2上に配置されている。この例の冷却ファン20は上シャーシ2の上側に配置されている。
【0016】
図3及び図5に示すように、冷却ファン20はロータ21と、ロータ21の外周面から半径方向に張り出す複数のフィン24とを有している。また、冷却ファン20はステータ22を有し、ロータ21はステータ22の周りを回転する。この例のロータ21は下方に開いた筒状であり、ステータ22はロータ21の下側からロータ21の内側に嵌められている。
【0017】
図3及び図5に示すように、冷却ファン20は、その底部に、ステータ22を支持するベースプレート23を有している。この例のステータ22はその中心部に凸部22aを有し、凸部22aがベースプレート23に取り付けられている(図5参照)。この例のベースプレート23は、その中心部に、円盤状のセンタープレート部23aを有している。センタープレート部23aはロータ21とステータ22の下方に位置し、また、その外径はロータ21とステータ22の外径に概ね対応している。上述したステータ22の凸部22aはセンタープレート部23aに取り付けられている。
【0018】
ベースプレート23は、センタープレート部23aの外周を取り囲む略環状のアウタープレート部23bを有している。アウタープレート部23bの内径はセンタープレート部23aの外径よりも大きい。そして、アウタープレート部23bの内周縁とセンタープレート部23aの外周縁との間には開口23cが形成されている(図3参照)。開口23cはフィン24の下方に位置し、通気口として機能する。すなわち、ロータ21が回転すると、空気は開口23cを通して吸い込まれ、冷却ファン20の半径方向の外方に送り出される。この例のアウタープレート部23bの内径は、冷却ファン20の外径(複数のフィン24の端部を繋ぐ円の径)よりも僅かに小さい。そのため、アウタープレート部23bの内周縁はフィン24の端縁よりも冷却ファン20の回転中心線C1寄りに位置している。
【0019】
ベースプレート23は、センタープレート部23aの外周縁とアウタープレート部23bの内周縁とに掛け渡されるアーム部23dを有している。この例のベースプレート23は複数(この例では4つ)のアーム部23dを有し、これらは周方向に間隔を空けて配置されている。各アーム部23dはセンタープレート部23aの外周縁から冷却ファン20の半径方向に延びている。
【0020】
ベースプレート23と上シャーシ2のうち一方には、ベースプレート23と上シャーシ2のうちの他方に向かって突出し、ベースプレート23と上シャーシ2との間にクリアランスを確保する凸部が形成されている。この例では、図3及び図5に示すように、ベースプレート23のセンタープレート部23aには円柱状の取付凸部23eが形成されている。取付凸部23eはセンタープレート部23aから上シャーシ2に向かって突出している。この例の取付凸部23eは上シャーシ2に取り付けられている。この例では、取付凸部23eは上シャーシ2の下側から嵌められる螺子41によって上シャーシ2に取り付けられている。取付凸部23eの存在により、センタープレート部23aと上シャーシ2との間にクリアランスが形成される。その結果、冷却ファン20の振動が上シャーシ2に伝わることを抑えることができる。図3に示すように、取付凸部23eは、ロータ21の回転中心線C1上に位置している。これにより、冷却ファン20を取付凸部23eで安定的に上シャーシ2に固定できる。
【0021】
図4及び図5に示すように、上シャーシ2は、冷却ファン20に対応する位置に、複数の通気穴2c,2dを有している。すなわち、複数の通気穴2c,2dは冷却ファン20の下方に位置している。上述したように、上シャーシ2と回路基板3との間には隙間が設けられている。冷却ファン20が回転駆動すると、上シャーシ2に形成された通気穴2g(図1参照)から上シャーシ2と回路基板3との間の隙間G(図5参照)に空気が吸い込まれる。そして、この空気は通気穴2c,2dから冷却ファン20に向けて吸い込まれ、冷却ファン20によって半径方向に送り出される。すなわち、図5に示す空気流F1が形成される。
【0022】
上述したように、取付凸部23eの存在により、センタープレート部23aと上シャーシ2との間にはクリアランスが形成されている。図4に示すように、複数の通気穴2c,2dのうち一部はセンタープレート部23aの下方に位置している。そのため、この一部の通気穴2c,2dから吸い込まれる空気によって、センタープレート部23aと上シャーシ2との間のクリアランスを通る空気流F2が形成され得る(図5参照)。これにより、冷却ファン20による吸気効率を向上できる。
【0023】
図5に示すように、アウタープレート部23bは上シャーシ2に接している。図3に示すように、アウタープレート部23bには複数の凹部23fが形成されている。これにより、アウタープレート部23bと上シャーシ2との接触面積が減少し、冷却ファン20の振動が上シャーシ2に伝わることを抑えることができる。この例では、複数の凹部23fは冷却ファン20の周方向に間隔を空けて形成され、全体として回転中心線C1を取り囲むように形成されている。また、各凹部23fは、冷却ファン20の半径方向での幅よりも大きな周方向の幅W1を有している(図3参照)。アウタープレート部23bと上シャーシ2との接触部分は冷却ファン20の周方向において途切れることなく設けられている。つまり、凹部23fは、アウタープレート部23bと上シャーシ2との接触部分が冷却ファン20の全周に亘って連続的に設けられるように形成されている。なお、この例のアウタープレート部23bは、上シャーシ2における外周部2bの内側の部分(すなわち、回路基板3の表面から離れて位置する部分)よりも外方に張り出した張り出し部23nを有している(図4参照)。この張り出し部23nでは、図3に示すように、半径方向において並ぶ2つの凹部23fが形成されている。
【0024】
上述したように、アウタープレート部23bの内径は冷却ファン20の外径(フィン24の端部を繋ぐ円の径)よりも僅かに小さい。そのため、図5に示すように、アウタープレート部23bの内周縁はフィン24の端部よりも僅かに回転中心線C1寄り位置している。アウタープレート部23bは上シャーシ2に接している。そのため、上シャーシ2に形成された通気穴2c,2dを通る空気流F1を円滑化できる。すなわち、通気穴2c,2dから冷却ファン20に向けて吸い込まれる空気は、上シャーシ2とアウタープレート部23bとの間を通ることなく、冷却ファン20から半径方向に送り出される。図3に示すように、アウタープレート部23bに形成された凹部23fの縁は、アウタープレート部23bの内周縁から離れており(図3参照)、アウタープレート部23bの内周縁は上シャーシ2に接している。そのため、空気が上シャーシ2とアウタープレート部23bとの間に進入することを抑えることが可能となり、空気流F1をより円滑化できる。
【0025】
図4に示すように、上シャーシ2には、通気穴2cよりも大きな通気穴2dが形成されている。通気穴2dの一部はアウタープレート部23bの下方に位置し、通気穴2dの他部はアウタープレート部23bとセンタープレート部23aとの間の開口23cの下方に位置している。図3に示すように、アウタープレート部23bには凹部23gが形成されている。凹部23gは上シャーシ2の通気穴2dに対応した位置に形成されている。また、凹部23gは、凹部23fとは異なり、アウタープレート部23bの内周縁に繋がっている。そのため、通気穴2dから凹部23gを通って冷却ファン20に向かう空気流を形成でき、冷却ユニット10の吸気効率をさらに向上できる。
【0026】
図3及び図5に示すように、アーム部23dのアウタープレート部23b寄りの部分23hは、アーム部23dのセンタープレート部23a寄りの部分23iに比して厚くなっている。そして、部分23hは上シャーシ2に接している。つまり、センタープレート部23aからアウタープレート部23bに向けて半径方向へアーム部23dの厚みを徐々に増すことにより、取付凸部23eによって形成されたクリアランスが吸収されている。そして、上シャーシ2に接している部分23hには凹部23jが形成されている。これにより、さらにベースプレート23と上シャーシ2との接触面積を低減できる。その結果、冷却ファン20の振動が上シャーシ2に伝わることを抑えることができる。
【0027】
図3及び図5に示すように、ベースプレート23のアウタープレート部23bには突起23kが形成されている。この例のアウタープレート部23bは、取付凸部23eを挟んで互いに反対側に位置する2つの突起23kを有している。上シャーシ2は、突起23kに対応する位置に穴を有しており、突起23kは上シャーシ2に形成された穴に嵌められる。この突起23kによって、冷却ファン20の上シャーシ2における位置が規定されている。
【0028】
図4に示すように、アウタープレート部23bには複数の取付穴23mが形成されている。取付穴23mは例えば螺子によって上シャーシ2に取り付けられる。上述したように、冷却ファン20は、その回転中心線C1上に取付凸部23eを有している。そのため、アウタープレート部23bに形成される取付穴23mの数を低減できる。この例のアウタープレート部23bは、その左側部分に、上述した張り出し部23nを有している。この張り出し部23nには、後述するカバー19の湾曲壁部19cの下縁が接続され、張り出し部23nは湾曲壁部19cの内側に形成される空気流路の底壁を構成している。張り出し部23nには上述した取付穴23mが形成されている。また、張り出し部23nの最前部には取付穴23pが形成されている。この取付穴23pにはカバー19の湾曲壁部19cの下縁が取り付けられる。
【0029】
冷却ユニット10は、図2に示すように、第1ヒートシンク11と第2ヒートシンク12とを有している。ヒートシンク11,12は冷却ファン20に対してその半径方向に位置している。この例では、第1ヒートシンク11は冷却ファン20の後方に位置している。第1ヒートシンク11は集積回路31aを冷却するためのヒートシンクである。この例の第1ヒートシンク11は、第1ヒートシンク11の底面に取り付けられたヒートパイプ(不図示)を通して集積回路31aに接続されている。第2ヒートシンク12は第1ヒートシンク11に隣接している。この例の第2ヒートシンク12は第1ヒートシンク11の右に配置され、冷却ファン20に対して後方且つ右方向に位置している。第2ヒートシンク12は集積回路32を冷却するためのヒートシンクである。第2ヒートシンク12はその底部に受熱ブロック12aを有し、受熱ブロック12aは集積回路32上に配置されている。
【0030】
カバー19は冷却ファン20とヒートシンク11,12とを覆っている。詳細には、図1に示すように、カバー19はヒートシンク11,12と冷却ファン20の上側に位置する上壁部19aと、冷却ファン20とヒートシンク11,12とを取り囲む周壁部19bとを有している。周壁部19bは上壁部19aの縁から上シャーシ2に向かって下がり、その下縁は上シャーシ2に取り付けられている。
【0031】
周壁部19bは、その前部に、冷却ファン20の外周に沿って湾曲している湾曲壁部19cを有している。湾曲壁部19cと冷却ファン20との間には、冷却ファン20の外周に沿った空気流路が形成される。図2に示すように、周壁部19bは湾曲壁部19cの一方の端部に続く側壁部19dと、湾曲壁部19cの他方の端部に続く側壁部19eとを有している。第1ヒートシンク11と第2ヒートシンク12は側壁部19d,19eの間に位置している。
【0032】
上壁部19aは、冷却ファン20の上側に位置する開口19fを有している。開口19fは冷却ファン20の外径に対応した内径を有している。この例では、開口19fの内径は冷却ファン20の外径よりも僅かに小さく、開口19fの内周縁は冷却ファン20のフィン24の端部よりも回転中心線C1寄りに位置している。冷却ファン20が回転すると、空気は開口19fと上シャーシ2に形成された通気穴2c,2dを通してカバー19内に取り込まれる。そして、その空気は冷却ファン20の半径方向に押し出される。冷却ファン20から湾曲壁部19cに向けて流れ出た空気は、湾曲壁部19cの内側に形成された上述した空気流路を通って第2ヒートシンク12に送られる。また、冷却ファン20から後方に流れ出た空気、より詳細には、冷却ファン20から側壁部19d,19eの間に流れ出た空気は、直接的にヒートシンク11,12に送られる。
【0033】
以上説明した電子機器は、回路基板3と、回路基板3を覆い、回路基板3に取り付けられる上シャーシ2と、上シャーシ2上に配置され、上シャーシに取り付けられる底部(ベースプレート23)を有し、回路基板3の厚さ方向に沿った回転中心線C1を有する冷却ファン20とを有している。また、ベースプレート23には上シャーシ2に向かって突出し、ベースプレート23と上シャーシ2との間にクリアランスを確保する取付凸部23eが形成されている。そのため、冷却ファン20の振動が上シャーシ2を通して、ハードディスクドライブHなど上シャーシ2によって支持される装置に伝わることを抑えることができる。
【0034】
また、取付凸部23eは上シャーシ2に取り付けられている。これによれば、ベースプレート23と上シャーシ2との間にクリアランスを確保するための専用の凸部を設ける構造に比して、冷却ファン20の構造を簡素化できる。
【0035】
また、取付凸部23eは冷却ファン20の回転中心線C1上に位置している。これによれば、冷却ファン20の上シャーシ2への取付箇所の数を低減できる。
【0036】
また、冷却ファン20は、その底部に、センタープレート部23aと、センタープレート部23aの外周を囲むアウタープレート部23bとを有し、取付凸部23eはセンタープレート部23aに形成され、アウタープレート部23bは上シャーシ2に接している。これによれば、空気流F1を円滑化できる。
【0037】
また、アウタープレート部23bの下面は上シャーシ2に接しており、アウタープレート部23bの下面には凹部23f,23gが形成されている。これによれば、アウタープレート部23bと上シャーシ2との接触面積を低減でき、冷却ファン20の振動が上シャーシ2を通して、ハードディスクドライブHなど上シャーシ2によって支持される装置に伝わることを抑えることができる。
【0038】
なお、本発明は以上説明した電子機器に限られず、種々の変更が可能である。
【0039】
例えば、冷却ファン20のベースプレート23に向かって突出する凸部が上シャーシ2に形成され、この凸部によって上シャーシ2とベースプレート23との間にクリアランスが形成されてもよい。
【0040】
また、取付凸部23eは必ずしも冷却ファン20の回転中心線C1上に無くてもよい。この場合、ベースプレート23のセンタープレート部23aには複数の取付凸部23eが設けられてもよい。
【0041】
また、アウタープレート部23bにも、アウタープレート部23bと上シャーシ2との間にクリアランスを確保するための凸部が形成されてもよい。
【0042】
また、冷却ファン20とヒートシンク11,12の位置関係は以上説明したものに限られず、種々の変更がなされてよい。
【0043】
また、ベースプレート23のセンタープレート部23aと上シャーシ2とのクリアランスを確保するための凸部は必ずしも柱状でなくてもよい。例えば、センタープレート部23aの外周部に環状の凸部が形成され、この凸部によってセンタープレート部23aと上シャーシ2との間にクリアランスが確保されてもよい。
【符号の説明】
【0044】
2 上シャーシ、2c,2d,2g 通気穴、3 回路基板、4 下シャーシ、10 冷却ユニット、19 カバー、20 冷却ファン、23 ベースプレート、23a センタープレート部、23b アウタープレート部、23d アーム部、23e 取付凸部、23f,23g,23j 凹部。
図1
図2
図3
図4
図5