特許第6037504号(P6037504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037504
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ハンドルバー用スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/16 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   B62J6/16
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-231460(P2012-231460)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-83856(P2014-83856A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】玉木 英一
【審査官】 佐々木 芳枝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−229037(JP,A)
【文献】 特開平08−161980(JP,A)
【文献】 実開昭62−198630(JP,U)
【文献】 特開2004−224192(JP,A)
【文献】 特開2003−115229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/16
H01H 13/00−13/04、13/14
21/02、25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルバーに固定されるスイッチケースと、
該スイッチケースに形成され、車両に搭載された前照灯を下方照射させる下方照射位置と当該前照灯を前方照射させる前方照射位置との間でスライド操作又は揺動操作可能な操作ノブを有するディマースイッチと、
該ディマースイッチの操作ノブがスライド操作又は揺動操作する際、前方照射位置と下方照射位置との間の領域において所定の節度を付与し得る節度付与手段と、
を具備し、前記ディマースイッチの操作ノブに対して前記節度付与手段にて所定の節度が付与される領域において前記下方照射及び前方照射を同時に行わせる同時点灯領域が設定されたハンドルバー用スイッチ装置において、
前記ディマースイッチの操作ノブを下方照射位置から前方照射位置又は前方照射位置から下方照射位置に向かって常時付勢する付勢手段を具備し、且つ、前記節度付与手段は、凹凸状に形成された凹凸形状面と、前記ディマースイッチの操作ノブがスライド操作又は揺動操作されて移動するのに伴って前記凹凸形状面に沿って摺動する摺動部材とから成り、当該摺動部材が凹凸形状面の凸部を乗り越える際に前記ディマースイッチの操作ノブに節度が付与される構成とされるとともに、前記同時点灯領域は、当該凸部の頂点より前記前方照射位置側又は下方照射位置側にオフセットした範囲の傾斜面に設定され、前記付勢手段は、前記ディマースイッチの操作ノブに対して、前記摺動部材が前記同時点灯領域の傾斜面を下って摺動する方向に付勢することを特徴とするハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項2】
前記ディマースイッチの操作ノブは、前記スイッチケースに形成された開口から突出しつつ当該開口に沿ってスライド操作可能とされたことを特徴とする請求項1記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項3】
前記付勢手段は、コイルスプリングから成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項4】
前記ディマースイッチは、前記操作ノブに組み付けられて一体化されるとともに可動接点を有した可動部材と、前記可動接点と接触又は離間可能な固定接点が形成された接点板とを有するものとされ、前記付勢手段が当該可動部材に当接して付勢することを特徴とする請求項1〜の何れか1つに記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項5】
前記スイッチケースに組み付けられた状態で、前記ディマースイッチの接点板を固定し得るカバー部材を具備したことを特徴とする請求項記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記ハンドルバーの外周面に倣って湾曲した弧状部を有するとともに、前記スイッチケースに組み付けられた状態で当該スイッチケース内の複数の操作スイッチを覆うことを特徴とする請求項記載のハンドルバー用スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディマースイッチの操作ノブに対して節度付与手段にて所定の節度が付与される領域において下方照射及び前方照射を同時に行わせる同時点灯領域が設定されたハンドルバー用スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、二輪車には操舵用のハンドルバーが備えられており、該ハンドルバーの両端には運転者が走行中把持可能な把持グリップ及びスロットルグリップがそれぞれ取り付けられている。これら把持グリップ又はスロットルグリップに隣接した位置には、二輪車が搭載する各種電装品を操作するための複数の操作スイッチが形成されたハンドルバー用スイッチ装置がそれぞれ固定されている。
【0003】
例えば、ハンドルバーにおける左側先端近傍(左側の把持グリップにおける基端側)には、ターンシグナルスイッチ、ディマースイッチ、ホーンスイッチなど種々操作スイッチが形成されたハンドルバー用スイッチ装置が取り付けられており、二輪車が搭載するウィンカの点滅操作、前照灯の前方照射又は下方照射切り換え操作、ホーンを鳴らす操作などが運転者によって任意に行われ得るようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、ハンドルバー用スイッチ装置に配設されたディマースイッチは、通常、車両に搭載された前照灯を下方に向けて照射させる下方照射位置と当該前照灯を前方に向けて照射させる前方照射位置との間でスライド操作又は揺動操作可能な操作ノブを有するものとされており、かかる操作ノブがスライド操作又は揺動操作する際、前方照射位置と下方照射位置との間の領域において所定の節度が付与されるよう構成されていた。かかる節度を付与するための節度付与手段は、凹凸状に形成された凹凸形状面と、ディマースイッチの操作ノブがスライド操作又は揺動操作されて移動するのに伴って凹凸形状面に沿って摺動する摺動部材とから成り、当該摺動部材が凹凸形状面の凸部を乗り越える際にディマースイッチの操作ノブに節度が付与される構成とされていた。
【0005】
すなわち、前照灯においては、車両の下方に向けて光を照射する下方照射手段と、車両の前方に向けて光を照射する前方照射手段とが配設されており、ディマースイッチの操作ノブをスライド操作又は揺動操作して節度付与手段の摺動部材が凸部を乗り越えることにより、前照灯における下方照射手段又は前方照射手段を任意に点灯させて下方照射と前方照射とを切り替え得るよう構成されているのである。さらに、下方照射と前方照射との切り替え過程において、下方照射手段及び前方照射手段の両方が消灯してしまうのを回避すべく、操作ノブにおける下方照射位置と前方照射位置との間に下方照射手段及び前方照射手段を同時に点灯させる同時点灯領域が設定されている。
【0006】
しかるに、同時点灯領域において操作ノブが意図せず止まってしまい、下方照射手段及び前方照射手段が同時に点灯した状態が長時間連続してしまう不具合を回避すべく、従来のハンドルバー用スイッチ装置における同時点灯領域は、節度付与手段を構成する凹凸形状面における凸部の頂点より前方照射位置側又は下方照射位置側にオフセットした範囲の傾斜面に設定されていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−115229号公報
【特許文献2】特開平8−161980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のハンドルバー用スイッチ装置においては、同時点灯領域が、節度付与手段を構成する凹凸形状面における凸部の頂点より前方照射位置側又は下方照射位置側にオフセットした範囲の傾斜面に設定されているものの、同時点灯領域において操作ノブが意図せず止まってしまうのを防止することが不十分であるという問題があった。すなわち、操作ノブには、操作に伴って生じるコジリ等による抵抗や摺動抵抗等が付与されることから、従来の如く傾斜面に同時点灯領域を設定したとしても、当該コジリ等による抵抗や摺動抵抗等によって同時点灯領域内で操作ノブが止まってしまう虞がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ディマースイッチの操作ノブが同時点灯領域で止まってしまうのを確実に防止することができるハンドルバー用スイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、車両のハンドルバーに固定されるスイッチケースと、該スイッチケースに形成され、車両に搭載された前照灯を下方照射させる下方照射位置と当該前照灯を前方照射させる前方照射位置との間でスライド操作又は揺動操作可能な操作ノブを有するディマースイッチと、該ディマースイッチの操作ノブがスライド操作又は揺動操作する際、前方照射位置と下方照射位置との間の領域において所定の節度を付与し得る節度付与手段とを具備し、前記ディマースイッチの操作ノブに対して前記節度付与手段にて所定の節度が付与される領域において前記下方照射及び前方照射を同時に行わせる同時点灯領域が設定されたハンドルバー用スイッチ装置において、前記ディマースイッチの操作ノブを下方照射位置から前方照射位置又は前方照射位置から下方照射位置に向かって常時付勢する付勢手段を具備し、且つ、前記節度付与手段は、凹凸状に形成された凹凸形状面と、前記ディマースイッチの操作ノブがスライド操作又は揺動操作されて移動するのに伴って前記凹凸形状面に沿って摺動する摺動部材とから成り、当該摺動部材が凹凸形状面の凸部を乗り越える際に前記ディマースイッチの操作ノブに節度が付与される構成とされるとともに、前記同時点灯領域は、当該凸部の頂点より前記前方照射位置側又は下方照射位置側にオフセットした範囲の傾斜面に設定され、前記付勢手段は、前記ディマースイッチの操作ノブに対して、前記摺動部材が前記同時点灯領域の傾斜面を下って摺動する方向に付勢することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記ディマースイッチの操作ノブは、前記スイッチケースに形成された開口から突出しつつ当該開口に沿ってスライド操作可能とされたことを特徴とする。
【0014】
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記付勢手段は、コイルスプリングから成ることを特徴とする。
【0015】
請求項記載の発明は、請求項1〜の何れか1つに記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記ディマースイッチは、前記操作ノブに組み付けられて一体化されるとともに可動接点を有した可動部材と、前記可動接点と接触又は離間可能な固定接点が形成された接点板とを有するものとされ、前記付勢手段が当該可動部材に当接して付勢することを特徴とする。
【0016】
請求項記載の発明は、請求項記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記スイッチケースに組み付けられた状態で、前記ディマースイッチの接点板を固定し得るカバー部材を具備したことを特徴とする。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項記載のハンドルバー用スイッチ装置において、前記カバー部材は、前記ハンドルバーの外周面に倣って湾曲した弧状部を有するとともに、前記スイッチケースに組み付けられた状態で当該スイッチケース内の複数の操作スイッチを覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、ディマースイッチの操作ノブを下方照射位置から前方照射位置又は前方照射位置から下方照射位置に向かって常時付勢する付勢手段を具備したので、ディマースイッチの操作ノブが同時点灯領域で止まってしまうのを確実に防止することができる。
また、同時点灯領域は、節度付与手段を構成する凸部の頂点より前方照射位置側又は下方照射位置側にオフセットした範囲の傾斜面に設定されたので、ディマースイッチの操作ノブが同時点灯領域で止まってしまうのをより確実に防止することができる。
さらに、付勢手段は、ディマースイッチの操作ノブに対して、摺動部材が同時点灯領域の傾斜面を下って摺動する方向に付勢するので、ディマースイッチの操作ノブが同時点灯領域で止まってしまうのをより一層確実に防止することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、ディマースイッチの操作ノブは、スイッチケースに形成された開口から突出しつつ当該開口に沿ってスライド操作可能とされたので、当該操作ノブを下方照射位置と前方照射位置との間でスライド操作する際、スイッチケースの開口縁部に干渉してしまっても、付勢手段で付与される付勢力によって当該操作ノブの姿勢を矯正しつつスライドさせることができる。したがって、操作ノブ4aをスライド操作する際の円滑な動作を保持することができ、操作性を向上させることができる。
【0022】
請求項の発明によれば、付勢手段は、コイルスプリングから成るので、より安価かつ簡単な構成でディマースイッチの操作ノブが同時点灯領域で止まってしまうのを防止することができる。
【0023】
請求項の発明によれば、ディマースイッチは、操作ノブに組み付けられて一体化されるとともに可動接点を有した可動部材と、可動接点と接触又は離間可能な固定接点が形成された接点板とを有するものとされ、付勢手段が当該可動部材に当接して付勢するので、下方照射及び前方照射の切り替え操作を安定して確実に行わせることができるとともに、当該ディマースイッチの操作ノブが同時点灯領域で止まってしまうのをより確実に防止することができる。
【0024】
請求項の発明によれば、スイッチケースに組み付けられた状態で、ディマースイッチの接点板を固定し得るカバー部材を具備したので、付勢手段による付勢力が接点板に及ぶ状態とされても、カバー部材にてその付勢力に確実に抗することができ、接点板の固定をより確実に維持させることができる。
【0025】
請求項の発明によれば、カバー部材は、ハンドルバーの外周面に倣って湾曲した弧状部を有するとともに、スイッチケースに組み付けられた状態で当該スイッチケース内の複数の操作スイッチを覆うので、ハンドルバー用スイッチ装置のスイッチケースをハンドルバーに固定させる際、操作スイッチがハンドルバーに干渉してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置を示す外観図
図2図1におけるII−II線断面図
図3図1におけるIII−III線断面図
図4】同ハンドルバー用スイッチ装置におけるスイッチケース及びカバー部材を示す分解斜視図
図5】同ハンドルバー用スイッチ装置におけるカバー部材を示す3面図
図6図5におけるVI−VI線断面図
図7】同ハンドルバー用スイッチ装置のターンシグナルスイッチを構成する部品を示す斜視図
図8】同ハンドルバー用スイッチ装置のディマースイッチを構成する部品を示す正面図、右側面図及び左側面図
図9】同ハンドルバー用スイッチ装置のディマースイッチを構成する部品を示す斜視図
図10】同ハンドルバー用スイッチ装置のホーンスイッチを構成する部品を示す斜視図
図11】同ハンドルバー用スイッチ装置におけるスイッチケースの内部(操作スイッチの組付け前の状態)を示す背面図
図12図11におけるXII−XII線断面図
図13】同ハンドルバー用スイッチ装置におけるスイッチケースの内部(操作スイッチの組付け後の状態)を示す背面図
図14】同ハンドルバー用スイッチ装置におけるスイッチケースの内部(カバー部材の組付け後の状態)を示す背面図
図15図14におけるXV−XV線断面図
図16】同ハンドルバー用スイッチ装置における付勢付与手段に対する同時点灯領域を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置1は、図1に示すように、二輪車等の車両のハンドルバーHに固定されるスイッチケース2、該スイッチケース2に形成され、車両に搭載された種々電装品を操作し得る複数の操作スイッチとを具備したものである。なお、同図中符号Gは、ハンドルバーHの左側先端部に取り付けられた把持グリップを示しており、当該把持グリップGを把持しつつ任意の操作スイッチを操作し得るよう構成されている。
【0028】
スイッチケース2は、所定材料を成形して成るもので、図1〜4に示すように、半割れ形状の第1スイッチケース2a及び第2スイッチケース2bを組み合わせて構成されている。これら第1スイッチケース2aの第2スイッチケース2bとの合わせ面には、円弧状の孔が形成されるとともに、第2スイッチケース2bにおける当該孔と対応する部位には、同じく円弧状の孔が形成されており、ハンドルバーHの外周面を当該2つの孔で嵌合させつつ第1スイッチケース2aと第2スイッチケース2bとを嵌め合わせ、ボルトなどで両者を締め上げれば、スイッチケース2がハンドルバーHに固定されることとなる。
【0029】
第1スイッチケース2aの所定位置には、開口部a〜dが形成されており、これら開口部a〜dに操作スイッチとしてのターンシグナルスイッチ3、ディマースイッチ4、モードスイッチ5及びホーンスイッチ6がそれぞれ配設されるよう構成されている。なお、本実施形態においては、第2スイッチケース2bの所定位置にパッシングスイッチ7を構成するスイッチノブ7aが配設されており、当該スイッチノブ7aを揺動操作することで、車両の前照灯を一時的に前方照射させてパッシングし得るようになっている。
【0030】
ターンシグナルスイッチ3は、車両が搭載するウィンカ(フラッシャー)を任意選択的に点滅させ得るもので、図7に示すように、操作ノブ3aと、揺動軸3baが形成された支持部品3bと、連動部材3cと、図示しない可動接点が形成された可動端子3dと、固定接点3eaが形成された接点板3eとを主な構成部品としている。かかるターンシグナルスイッチ3の構成部品は、後述するカバー部材8の収容部8a(図4参照)に組み付けられるとともに、操作ノブ3aが第1スイッチケース2aの開口aから突出して操作可能とされている。
【0031】
より具体的には、支持部品3b及び接点板3eが収容部8aに取り付けられるとともに、その支持部品3bの揺動軸3baに操作ノブ3a及び連動部材3cが揺動自在に取り付けられている。そして、操作ノブ3aが揺動軸3baを中心に左右方向に揺動操作されると、連動部材3cも連動して同方向に揺動し得るようになっている。連動部材3cは、その先端部が可動端子3dと連結されており、当該連動部材3cの揺動方向に接点板3e上を摺動することにより、その可動接点と接点板3eに形成された固定接点3eaとを接触又は離間させ得るよう構成されている。
【0032】
しかして、操作ノブ3aを左側に揺動操作すると、連動部材3cが連動して可動端子3dを同方向に摺動させて可動接点と所定の固定接点3eaとが接触し、車両が搭載するウィンカのうち左側のウィンカを点滅させる一方、操作ノブ3aを右側に揺動操作すると、連動部材3cが連動して可動端子3dを同方向に摺動させて可動接点と所定の固定接点3eaとが接触し、車両が搭載するウィンカのうち右側のウィンカを点滅させ得るようになっている。なお、本実施形態においては、上記操作の如くウィンカを点滅させた後、操作ノブ3aを押圧操作すると、ウィンカの点滅が停止するようになっている。
【0033】
ディマースイッチ4は、車両に搭載された前照灯を下方照射させる下方照射位置と当該前照灯を前方照射させる前方照射位置との間でスライド操作可能な操作ノブ4aを有するスライドスイッチ(摺動型スイッチ)から成るものである。本実施形態に係るディマースイッチ4は、図8、9に示すように、運転者による操作で第1スイッチケース2aの表面に沿って下方照射位置と前方照射位置との間をスライド可能な操作ノブ4aと、該操作ノブ4aに組み付けられて一体化されるとともに可動接点4cを有した可動部材4bと、固定接点4eが形成された接点板4dとを主な構成部品としている。かかるディマースイッチ4の構成部品は、第1スイッチケース2a内に取り付けられるとともに、操作ノブ4aが開口bから突出しつつ当該開口bに沿ってスライド操作可能とされている。
【0034】
より具体的には、第1スイッチケース2aの内周面には、図11に示すように、取付リブeが一体形成されており、図13に示すように、かかる取付リブeに接点板4dが嵌め込まれて取り付けられるとともに、操作ノブ4aを開口bから突出させつつ可動部材4bが接点板4dと隣接する位置に配設されている。また、可動部材4bは、図8に示すように、その一方の面に可動接点4cが固定されるとともに、他方の面にスチールボールm(後で詳述する節度付与手段の構成部品)の一部を臨ませている。
【0035】
そして、操作ノブ4aを上下方向にスライド操作すると、可動部材4bの可動接点4cが接点板4d上を摺動して所定の固定接点4eと接触又は離間することで、車両の前照灯を前方照射と下方照射との間で切り替え操作可能とされている。本実施形態においては、操作ノブ4aが開口bの下部縁側にあるとき、前照灯を下方照射(具体的には、前照灯における下方照射手段を点灯)させ得る下方照射位置(LO位置)とされるとともに、操作ノブ4aが開口bの上部縁側にあるとき、前照灯を前方照射(具体的には、前照灯における前方照射手段を点灯)させ得る前方照射位置(HI位置)とされている。なお、下方照射手段及び前方照射手段は、前照灯内に配設された一対の発光手段から成り、下方照射手段が点灯すると、車両の下方に向かって光が照射されるとともに、前方照射手段が点灯すると、車両の前方に向かって光を照射し得るようになっている。
【0036】
しかして、運転者が下方照射位置にある操作ノブ4aを上方に向かってスライド操作して前方照射位置とすると、可動接点4cが接触する固定接点4eが切り替わることで、前照灯が下方照射から前方照射に切り替わり(下方照射手段のみの点灯から前方照射手段のみの点灯に電気回路が切り替わり)得るとともに、運転者が前方照射位置にある操作ノブ4aを下方に向かってスライド操作して下方照射位置とすると、可動接点4cが接触する固定接点4eが切り替わることで、前照灯が前方照射から下方照射に切り替わり(前方照射手段のみの点灯から下方照射手段のみの点灯に電気回路が切り替わり)得るようになっている。
【0037】
さらに、本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置1においては、ディマースイッチ4の操作ノブ4aがスライド操作する際、前方照射位置と下方照射位置との間の領域において所定の節度を付与し得る節度付与手段を具備している。この節度付与手段は、図11、12に示すように、凹凸状に形成された凹凸形状面2aaと、ディマースイッチ4の操作ノブ4aがスライド操作されて移動するのに伴って凹凸形状面2aaに沿って摺動するスチールボールm(摺動部材)とから成り、これら凹凸形状面2aa及びスチールボールmにより、操作ノブ4aをスライド操作する際の節度が得られるよう構成されている。
【0038】
かかる凹凸形状面2aaは、第1スイッチケース2aの内周側壁面において操作ノブ4aのスライド方向に沿って一体形成された部位から成り、図12に示すように、所定部位に凸部2abが形成されている。また、摺動部材としてのスチールボールmは、スプリング等により図8中s方向に付勢されており、操作ノブ4aと共に可動部材4bが移動する際、スチールボールmが凹凸形状面2aa(図11〜13参照)に押圧されつつ摺動するとともに、当該スチールボールmが凹凸形状面2aaの凸部2abを乗り越える際にディマースイッチ4の操作ノブ4aに節度が付与されるようになっている。
【0039】
例えば、図16に示すように、ディマースイッチ4の操作ノブ4aが下方照射位置にあるとき、スチールボールmが部位P1に位置するとともに、当該操作ノブ4aが前方照射位置にあるとき、スチールボールmが部位P2に位置するものとした場合、操作ノブ4aが下方照射位置と前方照射位置との間で摺動する過程において、スチールボールmが凸部2abを乗り越えるものとされている。なお、同図中符号L1は、前照灯を下方照射とする範囲(下方照射手段を点灯させる範囲)を示しており、符号L2は、前照灯を前方照射とする範囲(前方照射手段を点灯させる範囲)を示している。
【0040】
しかるに、本実施形態においては、ディマースイッチ4の操作ノブ4aに対して節度付与手段にて所定の節度が付与される領域において下方照射及び前方照射を同時に行わせる(具体的には、下方照射手段と前方照射手段とを同時に点灯させる)同時点灯領域L3が設定されている。すなわち、同時点灯領域L3は、図16に示すように、前照灯を下方照射とする範囲L1と前照灯を前方照射とする範囲L2とが重なった範囲(オーバーラップした範囲)に設定されており、本実施形態においては、凹凸形状面2aaにおける凸部2abの頂点P3より前方照射位置P2側にオフセットした範囲の傾斜面に設定されている。
【0041】
ここで、本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置においては、ディマースイッチ4の操作ノブ4aを下方照射位置から前方照射位置に向かって常時付勢するコイルスプリング9から成る付勢手段を具備している。かかるコイルスプリング9は、図11、13、15に示すように、一端が第1スイッチケース2aの裏面側の所定位置(開口bの下部側の位置)に一体形成された受け部hに当接されるとともに、他端がディマースイッチ4を構成する可動部材4bに当接されている。
【0042】
これにより、付勢手段としてのコイルスプリング9は、ディマースイッチ4の操作ノブ4aに対して、スチールボールm(摺動部材)が同時点灯領域L3の傾斜面を下って摺動する方向(図16中の矢印で示した方向)に常時付勢するものとされている。すなわち、スチールボールmは、同時点灯領域L3を摺動する際、コイルスプリング9により凸部2abの傾斜面に対して下る方向に付勢力が付与されているので、スチールボールmの自重に加え、コイルスプリング9の付勢力にて同時点灯領域L3内を摺動させることとなり、当該同時点灯領域L3内でスチールボールmが止まってしまうのを防止し得るようになっているのである。
【0043】
モードスイッチ5は、車両のエンジン又は変速機を所望のモードに切り替え操作するためのスライドスイッチから成るもので、ディマースイッチ4と同様、操作ノブ5aと、可動部材5bと、接点板5cとを主な構成部品としている。かかるモードスイッチ5の構成部品は、第1スイッチケース2a内におけるディマースイッチ4と隣接した部位に取り付けられるとともに、操作ノブ5aが開口cから突出して操作可能とされている。
【0044】
より具体的には、第1スイッチケース2aの内周面には、図11に示すように、取付リブfが一体形成されており、図13に示すように、かかる取付リブfに接点板5cが嵌め込まれて取り付けられるとともに、操作ノブ5aを開口cから突出させつつ可動部材5bが接点板5cと隣接する位置に配設されている。そして、操作ノブ5aを上下方向にスライド操作すると、可動部材5bの可動接点(不図示)が接点板5c上を摺動して所定の固定接点(不図示)と接触又は離間することで、車両のエンジン又は変速機を所定のモードに切り替え可能とされている。
【0045】
ホーンスイッチ6は、車両に搭載されたホーン(警笛出力装置)を鳴らすためのボタンスイッチから成るもので、図10に示すように、操作ボタン6aと、コイルスプリング6bと、取付板材6cとを主な構成部品としている。かかるホーンスイッチ6の構成部品は、第1スイッチケース2a内におけるモードスイッチ5の下部に取り付けられるとともに、操作ボタン6aが開口dから突出して操作可能とされている。
【0046】
より具体的には、第1スイッチケース2aの内周面には、図11に示すように、内側に向かって延びる凸部gが一体形成されており、図13に示すように、かかる凸部gの突端部に取付板材6cが取り付けられるとともに、操作ボタン6aを開口dから突出させつつコイルスプリング6bが取付板材6c上に取り付けられている。そして、操作ボタン6aをコイルスプリング6bの付勢力に抗して押圧操作すると、図示しない可動接点と固定接点とが接触することで、車両のホーンを鳴らすことが可能とされている。
【0047】
ここで、本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置1は、操作スイッチのうちターンシグナルスイッチ3が配設されるとともに、スイッチケース2に組み付けられた状態で、ターンシグナルスイッチ3とは異なる他の操作スイッチ(本実施形態においては、ディマースイッチ4、モードスイッチ5及びホーンスイッチ6)の所定部位をスイッチケース2に固定し得るカバー部材8を具備している。
【0048】
かかるカバー部材8は、樹脂や金属など所定の材料を所定形状に成形して成るもので、図4〜6に示すように、収容部8aと、弧状部8bと、切欠き部8cと、一対のリブ部(8d、8e)と、弧状部8bに形成されたリブ部8fと、ボス部8gとを有して構成されている。収容部8aは、カバー部材8の下端部に一体形成された部位から成り、ターンシグナルスイッチ3を構成する部品(本実施形態においては、操作ノブ3a、支持部品3b、連動部材3c、可動端子3d及び接点板3e)を取り付け可能なものとされている。
【0049】
弧状部8bは、ハンドルバーHの外周面に倣って湾曲した部位から成り、図2、3に示すように、カバー部材8を第1スイッチケース2aに組み付けた状態において、ハンドルバーHの外周面と対向して配設されるものである。また、カバー部材8を第1スイッチケース2aに組み付けた状態においては、図14に示すように、当該カバー部材8によって、複数の操作スイッチ(本実施形態においては、ディマースイッチ4、モードスイッチ5及びホーンスイッチ6)が覆われるようになっている。
【0050】
切欠き部8cは、カバー部材8の上端部において凹状に切り欠かれた部位から成り、その左右縁部には、それぞれリブ部(8d、8e)が形成されている。これらリブ部(8d、8e)は、カバー部材8に一体成形されたリブ状の部位から成り、他のスイッチとしてのディマースイッチ4及びモードスイッチ5の所定部位(本実施形態においては、固定接点が形成された接点板4d、5c)を第1スイッチケース2aの内周面に対して押圧して当該第1スイッチケース2aの内部に固定し得るものである。
【0051】
さらに、本実施形態に係るリブ部(8d、8e)は、カバー部材8が第1スイッチケース2aに組み付けられた状態で他のスイッチとしてのディマースイッチ4及びモードスイッチ5の所定部位(接点板4d、5c)と当接して撓み得るとともに、その撓みによる付勢力で他のスイッチの所定部位(接点板4d、5c)を押圧し得るようになっている。例えば、リブ部8dについて説明すると、カバー部材8が第1スイッチケース2aに組み付けられた状態においては、図3、6、15に示すように、リブ部8dの先端部に形成された凸部8daが接点板4dと当接して、図6中α方向に撓むよう設定されており、その反対方向(図6中β方向)に生じる復元力が付勢力となって当該接点板4dを同方向に押圧し得るのである。
【0052】
一方、リブ部8eも、リブ部8dと同様、その先端部に凸部8eaが形成されており、カバー部材8が第1スイッチケース2aに組み付けられた状態においては、図2に示すように、リブ部8eの先端部に形成された凸部8eaが接点板5cと当接して撓むよう設定されており、その反対方向に生じる復元力が付勢力となって当該接点板5cを同方向に押圧し得るのである。このように、一対のリブ部(8d、8e)は、互いに独立して撓み得る構成とされており、接点板4d及び接点板5cの組付け誤差をそれぞれが独立して吸収し得るようになっている。
【0053】
しかるに、本実施形態においては、リブ部(8d、8e)が、カバー部材8に形成された切欠き部8cの縁部に形成されるとともに、当該切欠き部8cに他のスイッチ(本実施形態においては、ディマースイッチ4及びモードスイッチ5)から延設される配線(具体的には、ディマースイッチ4及びモードスイッチ5と車体側とを電気的に接続するための配線)が挿通可能とされている。
【0054】
また、弧状部8bに形成されたリブ部8fは、カバー部材8に一体成形されたリブ状の部位から成り、ホーンスイッチ6の所定部位(本実施形態においては、取付板材6c)を第1スイッチケース2aの内周面に対して押圧して当該第1スイッチケース2aの内部に固定し得るものである。すなわち、カバー部材8を第1スイッチケース2aに組み付けた状態において、リブ部8fの突端がホーンスイッチ6の取付板材6cの裏面と当接し、第1スイッチケース2aの内周面に対して押圧し得るよう構成されているのである。
【0055】
ボス部8gは、カバー部材8の弧状部8bにおける所定部位に一体的に突出形成されたもので、カバー部材8が第1スイッチケース2aに組み付けられた状態において、その突端が第1スイッチケース2aの内周面に当接又は近接し、当該カバー部材8の第1スイッチケース2aに対する位置決めが図られるよう構成されている。これにより、カバー部材8は、第1スイッチケース2a内に組み付けられる際、正規の位置にて位置決めされることとなり、リブ部8d、8eによる接点板4d、5cに対する押圧固定やリブ部8fによる取付板材6cに対する押圧固定をより確実に行わせることができる。
【0056】
上記実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置1によれば、ディマースイッチ4の操作ノブ4aを下方照射位置から前方照射位置に向かって常時付勢するコイルスプリング9から成る付勢手段を具備したので、ディマースイッチ4の操作ノブ4aが同時点灯領域L3で止まってしまうのを確実に防止することができる。なお、本実施形態に係る付勢手段としてのコイルスプリング9は、ディマースイッチ4の操作ノブ4aを下方照射位置から前方照射位置に向かって常時付勢しているが、これに代えて、操作ノブ4aを前方照射位置から下方照射位置に向かって常時付勢するものとしてもよい。
【0057】
なお、本実施形態においては、コイルスプリング9(付勢手段)によって、ディマースイッチ4の操作ノブ4aを下方照射位置から前方照射位置又は前方照射位置から下方照射位置に向かって常時付勢するよう構成されているので、その付勢された方向の操作をより軽い力で行わせることで、操作性を向上させることができるとともに、付勢の向きとは反対方向の操作をより強い力で行わせることで、誤操作を防止することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るディマースイッチ4の操作ノブ4aは、スイッチケース2(第1スイッチケース2a)に形成された開口bから突出しつつ当該開口bに沿ってスライド操作可能とされたので、当該操作ノブ4aを下方照射位置と前方照射位置との間でスライド操作する際、スイッチケース2の開口bの縁部に干渉してしまっても、付勢手段(コイルスプリング))で付与される付勢力によって当該操作ノブ4aの姿勢を矯正しつつスライドさせることができる。したがって、操作ノブ4aをスライド操作する際の円滑な動作を保持することができ、操作性を向上させることができる。
【0059】
さらに、本実施形態に係る同時点灯領域L3は、節度付与手段を構成する凸部2abの頂点P3より前方照射位置側にオフセットした範囲の傾斜面に設定されたので、ディマースイッチ4の操作ノブ4aが同時点灯領域L3で止まってしまうのをより確実に防止することができる。なお、本実施形態に代えて、節度付与手段を構成する凸部2abの頂点P3を含む範囲に亘って同時点灯領域L3を設定するようにしてもよい。
【0060】
またさらに、付勢手段(コイルスプリング9)は、ディマースイッチ4の操作ノブ4aに対して、摺動部材(スチールボールm)が同時点灯領域L3の傾斜面を下って摺動する方向に付勢するので、ディマースイッチ4の操作ノブ4aが同時点灯領域L3で止まってしまうのをより一層確実に防止することができる。なお、同時点灯領域L3について、節度付与手段を構成する凸部2abの頂点P3より下方照射位置側にオフセットした範囲の傾斜面に設定するものとしてもよいが、この場合であっても、付勢手段(コイルスプリング9)は、ディマースイッチ4の操作ノブ4aに対して、摺動部材(スチールボールm)が同時点灯領域L3の傾斜面を下って摺動する方向に付勢するよう配設するのが好ましい。
【0061】
なお、ディマースイッチ4の操作ノブ4aがスライド操作又は揺動操作されて移動するのに伴って凹凸形状面2aaに沿って摺動する摺動部材は、本実施形態の如くスチールボールmから成るものに限らず、これに代えて他の形態の摺動部材(例えば、ピン状部材等)としてもよい。さらに、凹凸形状面2aaは、スイッチケース2の他の部位に一体形成されたものであってもよく、当該スイッチケース2とは別体のものとしてもよい。
【0062】
さらに、本実施形態に係る付勢手段は、コイルスプリング9から成るので、より安価かつ簡単な構成でディマースイッチの操作ノブが同時点灯領域で止まってしまうのを防止することができる。またさらに、本実施形態に係るディマースイッチ4は、操作ノブ4aに組み付けられて一体化されるとともに可動接点4cを有した可動部材4bと、可動接点4cと接触又は離間可能な固定接点4eが形成された接点板4dとを有するものとされ、付勢手段(コイルスプリング9)が当該可動部材4cに当接して付勢するので、下方照射及び前方照射の切り替え操作を安定して確実に行わせることができるとともに、当該ディマースイッチ4の操作ノブ4aが同時点灯領域L3で止まってしまうのをより確実に防止することができる。
【0063】
また、本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置1によれば、スイッチケース2(第1スイッチケース2a)に組み付けられた状態で、ディマースイッチ4の接点板4dを固定し得るカバー部材8を具備したので、付勢手段(コイルスプリング9)による付勢力が接点板4dに及ぶ状態とされても、カバー部材8にてその付勢力に確実に抗することができ、接点板4dの固定をより確実に維持させることができる。
【0064】
またさらに、本実施形態に係るカバー部材8は、ハンドルバーHの外周面に倣って湾曲した弧状部8bを有するとともに、スイッチケース2に組み付けられた状態で当該スイッチケース2内の複数の操作スイッチ(ディマースイッチ4を含む種々操作スイッチ)を覆うので、ハンドルバー用スイッチ装置1のスイッチケース2をハンドルバーHに固定させる際、操作スイッチ(ディマースイッチ4を含む種々操作スイッチ)がハンドルバーHに干渉してしまうのを防止することができる。
【0065】
加えて、本実施形態によれば、操作スイッチのうちターンシグナルスイッチ3が配設されるとともに、スイッチケース2に組み付けられた状態で、他の操作スイッチの所定部位(本実施形態においては、ディマースイッチ4及びモードスイッチ5の接点板4d、5c、及びホーンスイッチ6の取付板材6c)をスイッチケース2に固定し得るカバー部材8を具備したので、部品点数を削減することができるとともに、複数の操作スイッチをスイッチケース2に対して容易に固定させることができる。
【0066】
また、本実施形態に係るカバー部材8は、ターンシグナルスイッチ3の構成部品を収容するための収容部8aと、他の操作スイッチを固定するための一対のリブ部(8d、8e)及びリブ部8fとが一体形成されており、特定の操作スイッチを収容する機能と、他の操作スイッチを固定する機能とを一つの部品にて兼ね備えることができる。さらに、本実施形態に係るカバー部材8は、他のスイッチの所定部位をスイッチケース2(第1スイッチケース2a)に対して押圧して当該スイッチケース2に固定し得るリブ部(8d、8e、8f)が一体形成されたので、より確実かつ安定した状態にて他のスイッチ(ディマースイッチ4、モードスイッチ5及びホーンスイッチ6)をスイッチケース2に固定させることができる。
【0067】
特に、本実施形態に係るリブ部(8d、8e)は、カバー部材8がスイッチケース2に組み付けられた状態で他のスイッチの所定部位(ディマースイッチ4及びモードスイッチ5の接点板4d、5c)と当接して撓み得るとともに、その撓みによる付勢力で他のスイッチの所定部位を押圧し得るので、他のスイッチのスイッチケース2に対する組付け誤差を吸収しつつ当該他のスイッチをスイッチケース2により確実に固定させることができる。
【0068】
また、リブ部(8d、8e)は、カバー部材8に形成された切欠き部8cの縁部に形成されるとともに、当該切欠き部8cに他のスイッチ(ディマースイッチ4及びモードスイッチ5)から延設される配線が挿通可能とされたので、当該他のスイッチ(ディマースイッチ4及びモードスイッチ5)から延設された配線の取り回しをより容易かつ簡易に行わせることができる。
【0069】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばディマースイッチの操作ノブを下方照射位置から前方照射位置又は前方照射位置から下方照射位置に向かって常時付勢する付勢手段として、コイルスプリング9に代え、若しくは当該コイルスプリング9と共に、他の汎用的な付勢手段(板バネや弾性部材等)としてもよい。また、本実施形態においては、ディマースイッチ4の操作ノブ4aが、下方照射位置と前方照射位置との間でスライド操作可能とされているが、これに代えて、下方照射位置と前方照射位置との間で揺動操作可能なものとしてもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、スイッチケース2に組み付けられた状態で、ディマースイッチ4の接点板4dを固定し得るカバー部材8を具備しているが、当該カバー部材8を具備しないもの、又はディマースイッチ4の接点板4dを固定しないカバー部材を具備したものとしてもよい。なお、カバー部材8の収容部8aに取り付けられる操作スイッチをターンシグナルスイッチ3とは異なる操作スイッチ(ディマースイッチ4、モードスイッチ5、ホーンスイッチ6の何れか1つ又は何れかの組み合わせ、或いはスイッチケース2に取り付けられる他の形態の操作スイッチ等)としてもよい。
【0071】
また、本実施形態に係るカバー部材8は、ディマースイッチ4及びモードスイッチ5の接点板4d、5c及びホーンスイッチ6の取付板材6cをリブ部8d、8e、8fにて押圧して固定させているが、ディマースイッチ4、モードスイッチ5或いはホーンスイッチ6の他の部位を押圧して固定させるものとしてもよい。さらに、リブ部8d、8eを形成してリブ部8fを廃したもの、或いはリブ部8fを形成してリブ部8d、8eを廃したものとしてもよい。
【0072】
なお、本実施形態に係るハンドルバー用スイッチ装置1においては、二輪車におけるハンドルバーHの左側先端部に取り付けられているが、当該ハンドルバーHの右側先端部に取り付けられるものとしてもよい。さらに、適用される車両は、ハンドルバーを有するものであれば足り、例えば雪上車やATV等の他の車両のハンドルバーに取り付けられるものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
ディマースイッチの操作ノブを下方照射位置から前方照射位置又は前方照射位置から下方照射位置に向かって常時付勢する付勢手段を具備し、且つ、節度付与手段は、凹凸状に形成された凹凸形状面と、ディマースイッチの操作ノブがスライド操作又は揺動操作されて移動するのに伴って凹凸形状面に沿って摺動する摺動部材とから成り、当該摺動部材が凹凸形状面の凸部を乗り越える際にディマースイッチの操作ノブに節度が付与される構成とされるとともに、同時点灯領域は、当該凸部の頂点より前方照射位置側又は下方照射位置側にオフセットした範囲の傾斜面に設定され、付勢手段は、ディマースイッチの操作ノブに対して、摺動部材が同時点灯領域の傾斜面を下って摺動する方向に付勢するハンドルバー用スイッチ装置であれば、外観形状が異なるもの、或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 ハンドルバー用スイッチ装置
2 スイッチケース
2aa 凹凸形状面
3 ターンシグナルスイッチ
4 ディマースイッチ
4a 操作ノブ
5 モードスイッチ
6 ホーンスイッチ
7 パッシングスイッチ
8 カバー部材
9 コイルスプリング(付勢手段)
m スチールボール(摺動部材)
H ハンドルバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図16