(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準受光部材と前記検出受光部材は、前記発光部材から同じ距離に配されると共に、前記ガラスから同じ距離に配されることを特徴とする請求項1に記載の水滴検出装置。
前記ガラスから反射されるパルス光を前記基準受光部材に受光させない第2遮蔽部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の水滴検出装置。
前記検出受光部材の受光軸および前記基準受光部材の受光軸は、前記ガラス面に対してほぼ垂直であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水滴検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような水滴検出装置を車両のウインドガラスに装着する場合、運転者の視野の妨げにならないように水滴検出装置を小型化する必要がある。
しかしながら、従来の水滴検出装置は、水滴の付着によって光が散乱することによる光量変化(減光量)を検出するものであるため、光量変化を大きくして水滴の検出精度を高めるためにはウインドガラスに45度以上の入射角を持って光を照射する必要があると共に、光路長をある程度長くする必要がある。このため、発光手段と受光手段との距離が長くなり、十分に装置の小型化を図ることができないという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、従来技術が抱える上記課題を解決し得る水滴検出装置と、この水滴検出装置を備えた水滴除去装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の水滴検出装置は、
ガラスの内表面に設けた反射部材にパルス光をほぼ垂直入射する発光部材と、
前記反射部材からほぼ垂直反射されるパルス光を受光する基準受光部材と、
前記ガラスからほぼ垂直反射されるパルス光を受光する検出受光部材と、
前記基準受光部材と前記検出受光部材の出力信号の位相を比べる位相比較部と、を備えており、
前記位相比較部の結果より、前記ガラスの内表面あるいは外表面の水滴の有無を検出することを特徴とする。
【0007】
本発明の水滴検出装置は、更なる好ましい特徴として、
「前記基準受光部材と前記検出受光部材は、前記発光部材から同じ距離に配されると共に、前記ガラスから同じ距離に配されること」、
「前記反射部材から反射されるパルス光を前記検出受光部材に受光させない第1遮蔽部材が設けられていること」、
「前記ガラスから反射されるパルス光を前記基準受光部材に受光させない第2遮蔽部材が設けられていること」、
「前記発光部材は、前記基準受光部材と前記検出受光部材より前記ガラス側に近づいて配されること」、
「前記検出受光部材の受光軸および前記基準受光部材の受光軸は、前記ガラス面に対してほぼ垂直であること」、
を含む。
【0008】
また、本発明の水滴除去装置は、前記水滴検出装置と、ワイパ駆動装置と、空調装置とを備えているものであって、
前記水滴検出装置が前記ガラスの外表面に水滴があることを検出すると、前記ワイパ駆動装置が動作し、
前記水滴検出装置が前記ガラスの内表面に水滴があることを検出すると、前記空調装置が動作することを特徴としているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水滴検出装置は、水滴検出装置全体を小型化できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に説明する。
【0012】
(第1の実施形態例)
本発明の実施形態例を
図1ないし
図4を用いて説明する。
本実施形態例に係る水滴検出装置1は、車両のフロントガラス2の内表面に固定される。この水滴検出装置1の設置場所として、特に限定されないが、運転者の視界の妨げにならない位置が好ましい。例えば、ルームミラーの取り付けベースの周辺等がある。
【0013】
この水滴検出装置1がガラスの内表面3に水滴があることを検出すると、車両内に設けた水滴除去装置である不図示の空調装置が動作し、この空調装置がガラスの内表面の水滴を除去する。
また水滴検出装置1がガラスの外表面4に水滴があることを検出すると、ガラスの外表面4に設けた水滴除去装置である不図示のワイパ駆動装置が動作し、このワイパ駆動装置がガラスの外表面の水滴を除去する。
【0014】
本例の水滴検出装置1は、発光部材10と、基準受光部材20と、検出受光部材30と、第1遮蔽部材40と、第2遮蔽部材50、位相比較部60と、マイクロコンピュータ70を有する。
【0015】
発光部材10は、ガラスの内表面3に設けた反射部材11にパルス光をほぼ垂直入射するものである。発光部材10は、例えば、発光ダイオードからなり、ガラス2に向けてパルス光を照射している。この発光部材10には、駆動回路12から駆動信号が入力され、発光部材の駆動信号S1は、
図2(b)に示すように、振幅V1=3Vp−p、周期T1=0.5s、パルス幅T1P=0.25sのパルス波形となっている。
【0016】
この発光部材10は、
図1に示すように、基準受光部材20と検出受光部材30との間に配置されており、基準受光部材20と検出受光部材30は、発光部材10から同じ距離に配されると共に、ガラスの内表面3から同じ距離に配される。そして、水滴検出装置1の小型化のため、基準受光部材20と検出受光部材30は、発光部材10にそれぞれ近接して配されることが好ましい。
【0017】
また発光部材10は、ガラス2側にのみパルス光を照射する指向性の高いもの(本例では、発光部材10の照射軸(
図2の上下方向)から30度未満の広がり角のもの)であり、パルス光を直接、基準受光部材20と検出受光部材30に入射させないため、基準受光部材20と検出受光部材30の位置よりガラス2側に近づいて配されている。
【0018】
本例のガラスの内表面3には、このガラスの内表面3と平行に配された反射部材11が発光部材10の照射軸から僅かに外れて(本例では
図2の照射軸から右側に)設けられている。この反射部材11は、例えば、アルミニウム蒸着されている反射膜により形成され、発光部材10のパルス光が、反射膜面にほぼ垂直方向に入射され、高効率でパルス光を反射する。
本明細書において、ほぼ垂直入射とは、反射膜面あるいはガラス面に対して0度から10度の入射角を言う。
なお、反射膜の厚み(
図2の上下方向)は、発光部材10とガラスの内表面3との距離、あるいは、ガラス2の厚みH(
図2の上下方向)と比べて小さく形成されており、ほぼ無視できるものである。
【0019】
基準受光部材20は、例えば、フォトダイオードからなる。発光部材10から出射されたパルス光は、反射部材11でほぼ垂直反射し、基準受光部材20に入射することにより、受光されたパルス光に応じた出力信号が得られる。すなわち、パルス光の入射がない場合には出力信号は現れず、パルス光が入射した場合には所定の出力信号が現れる。
本例の基準受光部材の出力信号S2は、
図2(b)に示すように、一例として発光部材の駆動信号S1に比べ、パルス光の移動距離に応じて位相がθ1遅れた、振幅V2=0.5Vp−p、周期T1=0.5s、パルス幅T1P=0.25sのパルス波形となる。そして、基準受光部材の出力信号S2の位相は、後述の検出受光部材30の出力信号S3に対する基準の位相として設定される。
【0020】
検出受光部材30は、ガラス2からほぼ垂直方向に反射されるパルス光を受光するものである。この検出受光部材30は、例えば、フォトダイオードからなり、受光されたパルス光に応じた出力信号が得られる。すなわち、パルス光の入射がない場合には出力信号は現れず、パルス光が入射した場合には所定の出力信号が現れる。
【0021】
例えば、ガラスの内表面3に水滴5が付着している場合には、
図2(a)に示すように、発光部材10から出射されたパルス光は、ガラスの内表面3で乱反射し、検出受光部材30に入射する。すると、
図2(b)に示すように、検出受光部材の出力信号S3は、一例として基準受光部材の出力信号S2と同相となり(すなわち、発光部材の駆動信号S1に比べて、位相がθ1遅れた)、振幅V3=0.3Vp−p、周期T1=0.5s、パルス幅T1P=0.25sのパルス波形となる。
【0022】
また、ガラスの外表面4に水滴5が付着している場合には、
図3(a)に示すように、発光部材から出射されたパルス光は、ガラスの外表面4で乱反射し、検出受光部材30に入射する。すると、検出受光部材の出力信号S3は、
図3(b)に示すように、一例として基準受光部材の出力信号S2と比べて、ガラスの厚みHの2倍分、位相がθ2遅れて(すなわち、発光部材の駆動信号S1に比べて、位相が(θ1+θ2)遅れた)、振幅V3=0.3Vp−p、周期T1=0.5s、パルス幅T1P=0.25sのパルス波形となる。
【0023】
また、ガラスの内表面3とガラスの外表面4に水滴5が付着していない場合、
図4(a)に示すように、発光部材10から出射されたパルス光は、発光部材10から、ガラス2へと進むが、ガラス2からほとんど反射されない。そして、検出受光部材30にはパルス光が入射せず、
図4(b)に示すように、検出受光部材の出力信号S3は現れない。
【0024】
なお、検出受光部材30の受光軸および基準受光部材20の受光軸は、反射光を最も効率よく受光できるように、ガラス2の面にほぼ垂直に形成されることが好ましい。
【0025】
第1遮蔽部材40は、反射部材11から反射されるパルス光を検出受光部材30に受光させないものであり、発光部材10と検出受光部材30との間に設けられている。本例の第1遮蔽部材40は、発光部材10と検出受光部材30との間に設けた遮蔽板により形成されており、検出受光部材30の外周を覆った遮蔽筒により形成されてもよい。
【0026】
第2遮蔽部材50は、ガラス2から反射されるパルス光を基準受光部材20に受光させないものであり、発光部材10と基準受光部材20との間に設けられている。本例の第2遮蔽部材50は、発光部材10と基準受光部材20との間に設けた遮蔽板により形成されており、基準受光部材20の外周を覆った遮蔽筒により形成されてもよい。
【0027】
位相比較部60は、基準受光部材の出力信号S2の位相と検出受光部材の出力信号S3の位相を比べるものである。この位相比較部60には、基準受光部材の出力信号S2と検出受光部材の出力信号S3がそれぞれ入力され、位相比較部60は、基準受光部材の出力信号S2の位相を基準として、検出受光部材の出力信号S3の位相の遅れの程度を出力する。
【0028】
具体的には、本例の位相比較部60は、不図示の排他的論理和の論理演算回路で構成され、出力信号S2と出力信号S3が同相の場合には「ロー」が出力され、それ以外の場合には「ハイ」が出力され、本例の場合、次のようになる。
まず、ガラスの内表面3に水滴5が付着している場合、
図2(b)に示すように、出力信号S2と出力信号S3の位相は同じであるため、位相比較部60の出力信号S4はすべて「ロー」のままである。
また、ガラスの外表面4に水滴5が付着している場合、
図3(b)に示すように、出力信号S3は出力信号S2よりも位相がθ2だけ遅れているため、位相比較部60の出力信号S4は、パルス幅T2Pのパルス波形が現れ、このパルス幅T2Pは、出力信号S2と出力信号S3の位相差(θ2)と等しい。
また、ガラスの内表面3とガラスの外表面4に水滴5が付着していない場合、
図4(b)に示すように、出力信号S3がないため、位相比較部60の出力信号S4は、パルス幅T3Pのパルス波形が現れ、このパルス幅T3Pは、出力信号S2のパルス幅T1Pと等しい。
そして、この位相比較部60の出力信号S4は、マイクロコンピュータ70に入力される。
【0029】
マイクロコンピュータ70は、位相比較部60の出力信号を用いて、ガラスの内表面あるいは外表面の水滴の有無を検出するものである。このマイクロコンピュータ70の出力は、水滴除去装置であるワイパ駆動装置や空調装置に入力されており、マイクロコンピュータ70は、ワイパ駆動装置や空調装置を始動あるいは停止できるようになっている。
【0030】
次に、水滴検出ルーチンを
図5のフローチャートを用いて説明する。
【0031】
[水滴検出ルーチン]
まず、マイクロコンピュータ70は、発光部材10に入力させる信号を出力する。発光部材10はパルス光を照射し、基準受光部材20は、反射部材11からほぼ垂直方向に反射されるパルス光を受光する。そして、マイクロコンピュータ70は、位相比較部60の出力信号と発光部材の駆動信号S1を用いて次の判断を行う。
具体的には、
図4(b)に示すように、基準受光部材の出力波形S2のパルス幅T1Pと位相比較部の出力波形S4のパルス幅T3Pが同じ場合、マイクロコンピュータ70は、ガラスの内表面及び外表面に水滴がないことを検出する。
前記判断以外の場合、マイクロコンピュータ70は、ガラスの内表面あるいは外表面に水滴があることを検出する(S101〜S103)。
【0032】
ガラス2の内表面あるいは外表面に水滴があることを検出した場合、マイクロコンピュータ70は、次の判断を行う。
図2(b)に示すように、位相比較部60の出力信号が現れない場合、マイクロコンピュータ70は、ガラスの内表面3に水滴5が有ることを検出して、空調装置動作信号を出力し、空調装置は水滴の除去を行う。
また、
図3(b)に示すように、位相比較部60の出力信号が現れると、マイクロコンピュータ70は、ガラスの外表面4に水滴5が有ることを検出して、ワイパ駆動装置動作信号を出力し、ワイパ駆動装置は水滴の除去を行う(S104〜S106)。
【0033】
このように本例は、ガラスの内表面3に設けた反射部材11にパルス光をほぼ垂直入射する発光部材10と、反射部材11からほぼ垂直反射されるパルス光を受光する基準受光部材20と、ガラス2からほぼ垂直方向に反射されるパルス光を受光する検出受光部材30と、基準受光部材20と検出受光部材30の出力信号の位相を比べる位相比較部60と、を備えている。そして、本例は、位相比較部60の出力結果より、ガラス2の内表面あるいは外表面の水滴の有無を検出している。
【0034】
よって、本例は、基準受光部材と検出受光部材の出力信号の位相を比べる位相比較部を有することにより、発光部材は、ガラスや反射部材にほぼ垂直入射させることが可能となる。そのため、本例は、従来例のように、発光手段と受光手段を離す必要がなくなり、基準受光部材と検出受光部材を発光部材に近接させることができ、水滴検出装置全体を大幅に小型化できる。
すなわち、従来例のような構成では、水滴の検出精度を高めるためにウインドガラスに45度以上の入射角を持って光を照射する必要があり、受光手段と発光手段との距離を縮められず水滴検出装置の小型化が出来なかった。
一方、本例は、基準受光部材と検出受光部材の出力信号の位相を比べる位相比較部を有することにより、光量によって変化しない位相を比べるため検出精度を高められると共に、発光部材は、ガラスや反射部材にほぼ垂直入射させることが可能となり、その結果、基準受光部材と検出受光部材を発光部材に近接して配置でき、水滴検出装置全体を大幅に小型化できる。
【0035】
また、従来例のような構成では、水滴の検出精度を高めるために光路長をある程度長くする必要があり、発光手段と受光手段はガラス面に近づけて配置できなかった。
一方、本例では、基準受光部材と検出受光部材の出力信号の位相を比べる位相比較部を有するため、水滴検出装置をガラス面に近づけて配置しても、ガラスの内表面あるいは外表面の水滴の有無を位相差によって検出できることにより、水滴検出装置はガラス面に対して設置距離を短くできる。そのため、本例は、水滴検出装置全体の小型化と相俟って、水滴検出装置をガラス面に非常にコンパクトに装着できる。
【0036】
また、本例は、ガラスの内表面3に反射部材11を設けたことにより、ガラスの内表面及び外表面の水滴の有無を確実に検出できる。
すなわち、反射部材11をガラスの外表面4に設けると、ガラスの内表面あるいは外表面に水滴が付着した際、基準受光部材の出力信号S2と検出受光部材の出力信号S3は、同じ信号となり、ガラスの内表面あるいは外表面の水滴の有無を検出できない。
具体的には、ガラスの外表面に水滴が付着した場合、検出受光部材の出力信号S3は、基準受光部材の出力信号S2と同相となる。また、ガラスの内表面に水滴が付着した場合も、反射部材11に対応するガラスの内表面に付着した水滴に反射して、検出受光部材の出力信号S3は、基準受光部材の出力信号S2と同相となる。よって、この場合では、位相比較部60の出力を検出しても、ガラスの内表面あるいは外表面の水滴の有無を検出できない。
一方、本例は、ガラスの内表面3に反射部材11を設けたことにより、ガラスの内表面3に水滴5が付着している場合、検出受光部材の出力信号S3は、基準受光部材の出力信号S2と同相となり、ガラスの外表面4に水滴5が付着している場合、検出受光部材の出力信号S3は、基準受光部材20の出力信号S2と比べて、ガラスの厚みの2倍分、位相が遅れて現れる。よって、本例は、位相比較部の出力結果より、ガラスの内表面及び外表面の水滴の有無を確実に検出できる。
【0037】
また、基準受光部材20と検出受光部材30は、発光部材10から等距離に配されると共に、ガラス2から等距離に配される。
よって、基準受光部材の出力信号S2の位相を基準として、この位相と、検出受光部材の出力信号S3の位相とを単に比べることにより、マイクロコンピュータ70は、ガラスの外表面あるいは内表面の水滴の有無を容易に検出でき、装置が簡素化され製造コストが低減する。
具体的には、ガラスの内表面に水滴があると、検出受光部材の出力信号S3の位相が基準受光部材の出力信号S2の位相と同相となることを利用して、マイクロコンピュータは、ガラスの内表面に水滴が有ることを出力する。また、ガラスの外表面に水滴があると、検出受光部材の出力信号S3の位相が基準受光部材の出力信号S2の位相より遅れる(ガラスの厚みHの2倍分、位相が遅れる)ことを利用して、マイクロコンピュータは、ガラスの外表面に水滴が有ることを出力する。そのため、基準受光部材と検出受光部材の出力信号の位相を単に比べることで、ガラスの外表面あるいは内表面の水滴の有無を容易に検出でき、装置が簡素化され製造コストが低減できるものである。
【0038】
また、反射部材11から反射されるパルス光を検出受光部材30に受光させない第1遮蔽部材40が設けられている。
よって、検出受光部材は、反射部材から反射されるパルス光の影響を受けにくくなるため、誤検出を低減できる。
特に、本例の場合、基準受光部材に入射されるパルス光は、検出受光部材に入射されるパルス光に比べて強いため(振幅値が大きいため)、検出受光部材は、反射部材からのパルス光の影響を確実に少なくでき、誤検出を低減できる。
【0039】
また、ガラス2から反射されるパルス光を基準受光部材20に受光させない第2遮蔽部材50が設けられている。
よって、基準受光部材は、ガラスから反射されるパルス光の影響を受けにくくなるため、誤検出を低減できる。
【0040】
また、本例の発光部材10は、基準受光部材20と検出受光部材30よりガラス2側に近づいて配されている。よって、発光部材10のパルス光は、基準受光部材20と検出受光部材30に直接入射しにくくなるため、誤検出をより低減できる。
【0041】
また、本例の検出受光部材30の受光軸および基準受光部材20の受光軸は、ガラス面に対してほぼ垂直に形成されている。
よって、基準受光部材と検出受光部材は、反射部材とガラスからの反射光を最も効率よく受光でき検出精度が向上する。
【0042】
また、本例の発光部材10は第1遮蔽部材40と第2遮蔽部材50と接していると共に、基準受光部材20が第2遮蔽部材50に接し、さらに、検出受光部材30が第1遮蔽部材40に接していると、水滴検出装置をさらに小型化できる。
【0043】
また、水滴除去装置は、水滴検出装置1と、ワイパ駆動装置と、空調装置を備え、水滴検出装置がガラスの外表面4に水滴があることを検出すると、ワイパ駆動装置が動作して、ワイパ駆動装置がガラスの外表面4の水滴を除去し、水滴検出装置がガラスの内表面3に水滴があることを検出すると、空調装置が動作して、空調装置がガラス内表面の水滴を除去する。
よって、水滴除去装置は、車両の運転者による手動操作を行わずに、水滴除去装置の始動、停止の判断を自動的に行うことができる。したがって、本例は、ワイパ駆動装置や空調装置の駆動を自動的に行うことができる小型の水滴検出装置を備えた水滴除去装置を提供できる。
【0044】
(第2の実施形態例)
図6は、本発明の第2の実施形態例に係る水滴検出装置の検出原理を示し、(a)はガラスの内表面に水滴がある場合のパルス光の経路であり、(b)は(a)の信号説明図である。
図6において、
図1ないし
図5中の符号と同一の符号は同等の部材を指しており、詳細な説明は省略する。
【0045】
第1の実施形態例の発光部材10は、基準受光部材20と検出受光部材30との間に1つ配置されているが、本例では、駆動回路12から駆動信号が同時に入力される、2つの発光部材13、14が設けられている。一方の発光部材13は基準受光部材20の斜め左前方に配置され、他方の発光部材14は検出受光部材30の斜め右前方に配置されている。
この一方の発光部材13と他方の発光部材14は、ガラスの内表面3から同じ距離に近接して配されていると共に、基準受光部材20と検出受光部材30は、ガラスの内表面3から同じ距離に配される。また、この基準受光部材20と検出受光部材30は、一方の発光部材13と他方の発光部材14からそれぞれ同じ距離に配される。
よって、本例も、基準受光部材20と検出受光部材30を発光部材13、14に近接させることができ、水滴検出装置全体を大幅に小型化できると共に、基準受光部材の出力信号S2の位相を基準として、この位相と、検出受光部材の出力信号S3の位相とを単に比べることにより、マイクロコンピュータ70は、ガラスの外表面あるいは内表面の水滴の有無を容易に検出でき、装置が簡素化され製造コストを低減できる。
また、本例の発光部材13、14は、基準受光部材20と検出受光部材30よりガラス2側に近づいて配されているため、発光部材13、14のパルス光は、基準受光部材20と検出受光部材30に直接入射しにくくなり、誤検出を低減できる。
【0046】
また、第1の実施形態例では、発光部材10と検出受光部材30との間に、第1遮蔽部材40が設けられ、発光部材10と基準受光部材20との間に、第2遮蔽部材50が設けられているが、本例の第3遮蔽部材80は1つ設けられ、第3遮蔽部材80の一側(右側)には、一方の発光部材13と基準受光部材20が配置され、第3遮蔽部材80の他側(左側)には、他方の発光部材14と検出受光部材30が配置されている。
この第3遮蔽部材80は、反射部材11から反射されるパルス光を検出受光素子30に受光させないように配されていると共に、ガラス2から反射されるパルス光を基準受光部材20に受光させないように配されている。すなわち、第3遮蔽部材80は、第1実施形態例における第1遮蔽部材40と第2遮蔽部材50の両方の役割を1つの部材で構成している。
よって、検出受光部材は、反射部材から反射されるパルス光の影響を受けにくくなるため、誤検出を低減できると共に、基準受光部材は、ガラスから反射されるパルス光の影響を受けにくくなり、誤検出を低減できる。
【0047】
また、本例の場合、一方の発光部材13と基準受光部材20間には、遮蔽部材を配置していないと共に、他方の発光部材14と検出受光部材30間には、遮蔽部材を配置していない。
よって、本例では、基準受光部材20は、照射軸の垂直方向に対して、一方の発光部材13と一部重畳して配置できると共に、検出受光部材30は、照射軸の垂直方向に対して、他方の発光部材14と一部重畳して配置できるため、水滴検出装置全体をより小型化できる。
【0048】
なお、
図6は、ガラスの内表面に水滴がある場合を説明しており、
図6(a)は、
図2(a)において2つの発光部材13、14から照射される場合のパルス光の経路となり、
図6(b)は、
図2(b)と同様な信号説明図となる。
また、本例のガラスの外表面に水滴がある場合のパルス光の経路は、
図3(a)において2つの発光部材13、14から照射される場合のパルス光の経路となり、この場合の信号説明図は、
図3(b)と同様となる。
また、本例のガラスの内表面と外表面に水滴がない場合のパルス光の経路は、
図4(a)において2つの発光部材13、14から照射される場合のパルス光の経路となり、この場合の信号説明図は、
図4(b)と同様となる。
そして、本例の水滴検出ルーチンは、第1の実施形態例と同様のルーチンとなる。
【0049】
以上、本発明の2つの実施形態例を説明したが、本発明はこれらの実施形態例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態例を適宜に変形可能である。例えば、本例の発光部材の駆動信号S1(パルス波形)が振幅変調(例えば、変調周波数100kHz)されて発光部材により照射されてもよい。この場合、基準受光部材と検知受光部材の出力信号が不図示の復調回路に入力され、この復調回路は振幅変化を出力することで、上述の実施形態例と同様に扱うことができる。
【0050】
また、上述の基準受光部材20と検出受光部材30は、ガラス2から同じ距離に配されているが、基準受光部材20と検出受光部材30は、ガラス2から同じ距離に配されなくてもよい。例えば、検出受光部材が基準受光部材に対してガラス側から離れて配されれば、その離された距離分だけ、検出受光部材の出力信号S3が遅れることになる。そして、得られた検出受光部材の出力信号S3に、その離された距離分だけ位相を進ませるように構成すれば、本例は、上記実施形態例と同様に扱うことができる。