特許第6037584号(P6037584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6037584-部品実装機 図000002
  • 特許6037584-部品実装機 図000003
  • 特許6037584-部品実装機 図000004
  • 特許6037584-部品実装機 図000005
  • 特許6037584-部品実装機 図000006
  • 特許6037584-部品実装機 図000007
  • 特許6037584-部品実装機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037584
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   H05K13/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-527081(P2015-527081)
(86)(22)【出願日】2013年7月16日
(86)【国際出願番号】JP2013069302
(87)【国際公開番号】WO2015008329
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】西山 識
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−302945(JP,A)
【文献】 特開2009−272651(JP,A)
【文献】 特開2006−261325(JP,A)
【文献】 特開平9−167898(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/076790(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びるR軸の回りを回転可能に設けられた回転ヘッドと、
前記回転ヘッドにその円周方向に所定間隔で下降可能に保持された複数のノズルホルダと、
前記複数のノズルホルダにそれぞれ下向きに保持され、部品を吸着する複数の吸着ノズルと、
前記回転ヘッドを前記R軸の回りを回転させることで前記複数のノズルホルダを前記複数の吸着ノズルと一体的に該回転ヘッドの円周方向に旋回させるR軸駆動機構と、
前記複数のノズルホルダをそれぞれ各ノズルホルダの軸心線の回りを回転させることで各ノズルホルダに保持された各吸着ノズルに吸着した各部品の向きを修正するQ軸駆動機構と
を備えた部品吸着装置を、ヘッド移動機構によって移動させるように構成した部品実装機において、
前記R軸駆動機構と前記Q軸駆動機構を組み付けたヘッド駆動ユニットが前記ヘッド移動機構に取り付けられ、
前記ヘッド駆動ユニットに対して、前記複数のノズルホルダが保持された前記回転ヘッドが着脱可能に連結され、
前記回転ヘッドには、前記Q軸駆動機構の回転力を前記各ノズルホルダに伝達するノズル回転ギア機構が設けられ、
前記Q軸駆動機構と前記ノズル回転ギア機構とは、それぞれに設けたリング状クラッチ部材の凹凸の噛み合いによって回転伝達可能に連結され、両リング状クラッチ部材の凹凸は、該リング状クラッチ部材の円周方向に沿って複数の凸と凹を配列するように形成されていることを特徴とする部品実装機。
【請求項2】
前記両リング状クラッチ部材の凹凸は、台形波状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記Q軸駆動機構のリング状クラッチ部材は、該Q軸駆動機構に対して上下動可能に取り付けられ且つ第1のばね部材で下方に付勢され、
前記両リング状クラッチ部材の凹凸を噛み合わせたときの上下方向の遊びを前記第1のばね部材で下方に付勢された前記Q軸駆動機構のリング状クラッチ部材で詰めるように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記Q軸駆動機構のリング状クラッチ部材は、その円周方向に回動可能に取り付けられ且つ第2のばね部材で回動方向に付勢されていることを特徴とする請求項3に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ヘッド(ロータリヘッド)にその円周方向に所定間隔で複数のノズルホルダを下降可能に設けた部品実装機に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
回転ヘッド型の部品実装機は、例えば特許文献1(特開2004−39818号公報)に記載されているように、回転ヘッドにその円周方向に複数のノズルホルダを所定間隔で下降可能に設けると共に、各ノズルホルダにそれぞれ吸着ノズルを下向きに保持させ、更に、R軸駆動機構により回転ヘッドをR軸(鉛直軸)の回りを回転させることで、複数のノズルホルダをそれらに保持した複数の吸着ノズルと一体的に該回転ヘッドの円周方向に旋回させると共に、その旋回軌道の所定位置で、Z軸駆動機構により1つのノズルホルダを下降させることで部品の吸着・実装を行い、Q軸駆動機構により各ノズルホルダをその軸心線の回りを回転させることで、各ノズルホルダに保持した各吸着ノズルに吸着した各部品の向き(角度)を修正するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−39818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノズルホルダに保持させる吸着ノズルは、吸着する部品の種類(サイズ、形状等)に応じた適切な径寸法・パッド形状の吸着ノズルを使用する必要がある。このため、ノズルホルダに保持させる吸着ノズルを、吸着する部品の種類に応じて交換できるように構成したものがあるが、回転ヘッドを交換できないため、その回転ヘッドに組み付けられたノズルホルダに取付可能な吸着ノズルの種類(サイズ、形状等)が制限されてしまい、吸着可能な部品の種類が制限されてしまう。
【0005】
この課題を解決するために、本発明者は、部品実装機のヘッド移動機構に回転ヘッドを交換可能に取り付ける構成を研究しているが、回転ヘッドとR軸駆動機構やQ軸駆動機構等のヘッド駆動ユニットを含む部品吸着装置全体を部品実装機のヘッド移動機構から取り外して自動交換するように構成すると、交換する装置部分が大型化・高コスト化してしまう。
【0006】
そこで、本発明者は、回転ヘッドをヘッド駆動ユニットから分離して着脱できるように構成して、交換する全ての回転ヘッドに対してヘッド駆動ユニットを共通して使用できるようにする構成を研究しているが、この場合、回転ヘッドをヘッド駆動ユニットに連結する際に、回転ヘッドの回転方向の位置精度を確保するために、回転ヘッドのノズル回転ギア機構をヘッド駆動ユニットのQ軸駆動機構に安定して連結する必要があり、これを実現する連結構造を新たに開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、上下方向に延びるR軸の回りを回転可能に設けられた回転ヘッドと、前記回転ヘッドにその円周方向に所定間隔で下降可能に保持された複数のノズルホルダと、前記複数のノズルホルダにそれぞれ下向きに保持された複数の吸着ノズルと、前記回転ヘッドを前記R軸の回りを回転させることで前記複数のノズルホルダを前記複数の吸着ノズルと一体的に該回転ヘッドの円周方向に旋回させるR軸駆動機構と、前記複数のノズルホルダをそれぞれ各ノズルホルダの軸心線の回りを回転させることで各ノズルホルダに保持された各吸着ノズルに吸着した各部品の向きを修正するQ軸駆動機構とを備えた部品吸着装置を、ヘッド移動機構によって移動させるように構成した部品実装機において、前記R軸駆動機構と前記Q軸駆動機構を組み付けたヘッド駆動ユニットが前記ヘッド移動機構に取り付けられていると共に、前記ヘッド駆動ユニットに対して、前記複数のノズルホルダが保持された前記回転ヘッドが着脱可能に連結され、前記回転ヘッドには、前記Q軸駆動機構の回転力を前記各ノズルホルダに伝達するノズル回転ギア機構が設けられ、前記Q軸駆動機構と前記ノズル回転ギア機構とは、それぞれに設けたリング状クラッチ部材の凹凸の噛み合いによって回転伝達可能に連結され、両リング状クラッチ部材の凹凸は、該リング状クラッチ部材の円周方向に沿って複数の凸と凹を配列するように形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この構成では、Q軸駆動機構とノズル回転ギア機構とを、それぞれに設けたリング状クラッチ部材の複数の凹凸の噛み合いによって回転伝達可能に連結するように構成しているため、回転ヘッドのノズル回転ギア機構をヘッド駆動ユニットのQ軸駆動機構に安定して連結することができる。更に、部品吸着装置のヘッド駆動ユニットから回転ヘッドを分離して着脱できるため、交換する全ての回転ヘッドに対してヘッド駆動ユニットを共通して使用できる。これにより、交換する回転ヘッドにヘッド駆動ユニットを組み付ける必要がなくなり、交換する回転ヘッドの小型化・低コスト化や交換作業スペースの省スペース化を実現できる。
【0009】
この場合、両リング状クラッチ部材の凹凸は、例えば、矩形波状、三角波状、鋸歯状に形成しても良いが、台形波状に形成することが望ましい。両リング状クラッチ部材の凹凸を台形波状に形成すれば、両リング状クラッチ部材の凹凸を噛み合わせる際に、両リング状クラッチ部材の円周方向(回動方向)の位置がずれていても、両リング状クラッチ部材の凹凸を容易に噛み合わせることができると共に、凹凸の側面の傾斜面によって両リング状クラッチ部材の円周方向の位置ずれを自動的に修正することができ、回転ヘッドの回転方向の位置精度を容易に確保できる。
【0010】
また、本発明は、前記Q軸駆動機構のリング状クラッチ部材を、該Q軸駆動機構に対して上下動可能に取り付け且つ第1のばね部材で下方に付勢し、前記両リング状クラッチ部材の凹凸を噛み合わせたときの上下方向の遊び(ガタ)を、前記第1のばね部材で下方に付勢された前記Q軸駆動機構のリング状クラッチ部材で詰めるように構成しても良い。このようにすれば、ヘッド駆動ユニットに連結する回転ヘッドを交換する際に、回転ヘッドのノズル回転ギア機構のリング状クラッチ部材の凹凸の高さ位置が製造公差等により回転ヘッド毎にばらついていても、両リング状クラッチ部材間の上下方向の遊びをQ軸駆動機構のリング状クラッチ部材で詰めることができ、両リング状クラッチ部材を上下方向のがたつきなく連結することができる。
【0011】
更に、本発明は、前記Q軸駆動機構のリング状クラッチ部材を、その円周方向に回動可能に取り付け且つ第2のばね部材で回動方向に付勢するように構成しても良い。このようにすれば、両リング状クラッチ部材の凹凸の噛み合いの回動方向の遊びをQ軸駆動機構のリング状クラッチ部材で詰めることができ、両リング状クラッチ部材を回動方向のがたつきなく連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の一実施例を示す部品吸着装置のヘッド駆動ユニットから回転ヘッドを取り外した状態を示す斜視図である。
図2図2は部品吸着装置のヘッド駆動ユニットを斜め下方から見た斜視図である。
図3図3は部品吸着装置のヘッド駆動ユニットの主要部の横断面図である。
図4図4は回転ヘッド全体の斜視図である。
図5図5は回転ヘッドの上部側の斜視図である。
図6図6はQ軸駆動機構のリング状クラッチ部材の部分拡大縦断面図である。
図7図7は部品実装機の制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、部品実装機の部品吸着装置10の構成を説明する。
【0014】
図1に示すように、部品吸着装置10の回転ヘッド11には、その円周方向に所定間隔で複数のノズルホルダ12が下降可能に保持され、各ノズルホルダ12の下部には、それぞれ部品を吸着する吸着ノズル13が下向きに交換可能(着脱可能)に係合保持されている。
【0015】
回転ヘッド11は、部品実装機のヘッド移動機構20(図7参照)によって移動されるヘッド駆動ユニット21の下方に延びるR軸22(図2参照)に交換可能(着脱可能)に保持される。ヘッド駆動ユニット21には、R軸22を回転させるR軸駆動機構23(ヘッド回転駆動機構)が組み付けられている。R軸駆動機構23は、R軸22の上端に固定されたR軸ギア24(歯面図示せず)をR軸モータ25により回転させて、回転ヘッド11をR軸22を中心にして回転させることで、複数のノズルホルダ12が複数の吸着ノズル13と一体的に該回転ヘッド11の円周方向に旋回するようになっている。
【0016】
R軸22には、Q軸駆動機構26(ノズル回転駆動機構)の駆動源となるQ軸ギア27(歯面図示せず)が回転可能に挿通され、該Q軸ギア27がQ軸モータ28によりR軸22の回りを回転するようになっている。
【0017】
図2に示すように、R軸22の下端部には、回転ヘッド11を着脱可能に係合保持するための複数(例えば4個)の係合部材31が上下方向に移動可能に設けられ、各係合部材31の近傍には、それぞれ係合部材31を上下方向に駆動するエアシリンダ(図示せず)が設けられている。各係合部材31は、それぞれL字状又はJ字状に形成されて、R軸22の円周方向に等間隔に配列され、各係合部材31の爪部の向きがR軸22の正回転方向(又は逆回転方向)と同じ方向となるように揃えられている。
【0018】
一方、回転ヘッド11には、Q軸ギア27の回転力を各ノズルホルダ12に伝達するノズル回転ギア機構32(図4図5参照)が設けられている。ノズル回転ギア機構32は、回転ヘッド11の上部側に同心状に回転可能に保持された円筒ギア33(歯面図示せず)と、各ノズルホルダ12にそれぞれ取り付けられた小ギア34とを噛み合わせ、ヘッド駆動ユニット21のQ軸ギア27とノズル回転ギア機構32の円筒ギア33とを後述するリング状クラッチ部材51,52の凹凸の噛み合いによって回転伝達可能に連結して、Q軸ギア27によって円筒ギア33を回転させて各ノズルホルダ12の小ギア34を回転させることで、各ノズルホルダ12がそれぞれ各ノズルホルダ12の軸心線の回りを回転して、各ノズルホルダ12に保持された各吸着ノズル13に吸着した各部品の向き(角度)を修正するようになっている。
【0019】
円筒ギア33内にヘッド駆動ユニット21のR軸22を挿入できるように該円筒ギア33の内径寸法がR軸22の外径寸法よりも若干大きく形成されている。図5に示すように、回転ヘッド11の上面部のうちの円筒ギア33の内側の位置には、R軸22の各係合部材31を挿通して係合するための複数の長孔状の係合孔35が円周方向に等間隔に形成されている。
【0020】
部品実装機のヘッド駆動ユニット21の移動範囲内の所定位置には、交換用の回転ヘッド11を載置するヘッド載置部(図示せず)が設けられている。このヘッド載置部は、複数種類の回転ヘッド11を載置できるように構成されている。このヘッド載置部に載置された回転ヘッド11をヘッド駆動ユニット21に取り付ける場合は、ヘッド駆動ユニット21のR軸22を円筒ギア33内に挿入してR軸22の各係合部材31を回転ヘッド11の各係合孔35に挿通し、R軸ギア24の回転によりR軸22を回転させて各係合部材31を各係合孔35の端縁部に係合させた状態で各係合部材31を引き上げて保持する。ヘッド駆動ユニット21には、様々なタイプの回転ヘッド11を保持できる他、単数ノズル用装着ヘッド(図示せず)も保持可能となっている。
【0021】
Q軸駆動機構26のQ軸ギア27とノズル回転ギア機構32の円筒ギア33とは、それぞれに設けた同径のリング状クラッチ部材51,52(図2図4参照)の凹凸の噛み合いによって回転伝達可能に連結される。Q軸ギア27のリング状クラッチ部材51は、該Q軸ギア27とは別の部材で形成され、円筒ギア33のリング状クラッチ部材52は、該円筒ギア33の上端部に一体に形成されている。尚、円筒ギア33のリング状クラッチ部材52を別の部材で形成しても良いことは言うまでもない。両リング状クラッチ部材51,52の凹凸は、同一の形状に形成され且つ該リング状クラッチ部材51,52の円周方向に沿って複数の凸と凹を等ピッチで配列するように形成されている。両リング状クラッチ部材51,52の凹凸は、例えば、矩形波状、三角波状、鋸歯状に形成しても良いが、本実施例では、台形波状に形成している。
【0022】
また、Q軸ギア27のリング状クラッチ部材51は、該Q軸ギア27に対して上下動可能に取り付けられ且つ複数の第1のばね部材53(図6参照)で下方に付勢されている。これにより、両リング状クラッチ部材51,52の凹凸を噛み合わせたときの上下方向の遊び(ガタ)を複数の第1のばね部材53で下方に付勢されたQ軸ギア27のリング状クラッチ部材51で詰めるようにしている。本実施例では、複数の第1のばね部材53は、それぞれ圧縮コイルばね等で形成されて、リング状クラッチ部材51の円周方向に沿って等間隔に配置され、該リング状クラッチ部材51全体を複数の第1のばね部材53で均等に真っ直ぐ下方に付勢するようにしている。
【0023】
更に、Q軸ギア27のリング状クラッチ部材51は、該Q軸ギア27の下面側に形成した小径部27a(図3参照)に対してその円周方向に回動可能に取り付けられ且つ引っ張りコイルばね等からなる第2のばね部材54で回動方向(図3の時計回り方向)に付勢されている。本実施例では、図3に示すように、リング状クラッチ部材51の直径方向両側に2つの第2のばね部材54が配置され、各第2のばね部材54の一端が止め具55によりリング状クラッチ部材51に取り付けられ、各第2のばね部材54の他端が止め具56によりヘッド駆動ユニット21側に取り付けられている。
【0024】
図3に示すように、Q軸ギア27の小径部27aの外周部には、リング状クラッチ部材51を回り止めするためのストッパ凸部57が形成され、第2のばね部材54により回動付勢されたリング状クラッチ部材51の切欠部58の端面がストッパ凸部57に当接することで、リング状クラッチ部材51が回り止めされるようになっている。
【0025】
R軸駆動機構23とQ軸駆動機構26の他に、Z軸モータ37(図7参照)を駆動源とするZ軸駆動機構(図示せず)がヘッド駆動ユニット21と一体的に移動するように設けられ、該Z軸駆動機構により、ノズルホルダ12の旋回軌道の所定の停止位置で、ノズルホルダ12を下降させるように構成されている。
【0026】
部品実装機には、回路基板の基準マークを撮像するカメラ61(図7参照)が搭載され、ヘッド移動機構20によってカメラ61が部品吸着装置10と一体的に移動するようになっている。カメラ61は、回路基板の基準マークの他に、ヘッド載置部上の回転ヘッド11の基準マーク62(図4図5参照)を撮像するカメラとしても使用される。回転ヘッド11の基準マーク62は、円筒ギア33の上端部に一体に形成されたリング状クラッチ部材52の所定位置の凸(歯)の上面に形成され、この基準マーク62をカメラ61で撮像して、その画像を部品実装機の制御装置41(図7参照)で処理することで、基準マーク62の位置を検出して、円筒ギア33の回転位相を検出する。
【0027】
以上のように構成した部品吸着装置10のヘッド駆動ユニット21は、部品実装機のヘッド移動機構20に支持されてXYZ方向に移動するようになっている。部品実装機の制御装置41(図7参照)は、生産プログラムに従って、ヘッド移動機構20、ヘッド駆動ユニット21のR軸モータ25、Q軸モータ28及びZ軸モータ37を制御して、部品実装機にセットされたフィーダ42から供給される部品を吸着ノズル13に吸着して回路基板に実装する動作を制御すると共に、ヘッド載置部上の回転ヘッド11をヘッド駆動ユニット21に保持させる動作等を制御する。
【0028】
部品実装機の制御装置41は、ヘッド載置部上の回転ヘッド11をヘッド駆動ユニット21に保持させる際に、該回転ヘッド11の円筒ギア33の基準マーク62をカメラ61で撮像して、その画像を処理することで、基準マーク62の位置を検出して、円筒ギア33の回転位相を検出する。この後、ヘッド移動機構20によりヘッド駆動ユニット21のR軸22をヘッド載置部上の回転ヘッド11の上方へ移動させると共に、Q軸モータ28により該ヘッド駆動ユニット21のQ軸ギア27の回転位相を回転ヘッド11の円筒ギア33の回転位相に合わせる。この後、ヘッド移動機構20によりヘッド駆動ユニット21を下降させてR軸22を円筒ギア33内に挿入し、Q軸ギア27のリング状クラッチ部材51の凹凸を円筒ギア33のリング状クラッチ部材52の凹凸に噛み合わせて両者を回転伝達可能に連結すると共に、R軸22の各係合部材31を回転ヘッド11の各係合孔35に挿通し、R軸モータ25によりR軸ギア24を回転させてR軸22を回転させて各係合部材31を各係合孔35の端縁部に係合させた後、エアシリンダ(図示せず)により各係合部材31を引き上げて係合状態を保持する。これにより、両リング状クラッチ部材51,52の凹凸を噛み合わせたときの上下方向の遊び(ガタ)が複数の第1のばね部材53で下方に付勢されたQ軸ギア27のリング状クラッチ部材51で詰められた状態になると共に、Q軸ギア27のリング状クラッチ部材51が第2のばね部材54で回動方向に付勢されることで、両リング状クラッチ部材51,52の凹凸の噛み合いの回動方向の遊びが詰められた状態になる。これにより、ヘッド駆動ユニット21に回転ヘッド11を連結する動作が完了する。
【0029】
以上説明した本実施例では、Q軸ギア27のリング状クラッチ部材51と円筒ギア33のリング状クラッチ部材52に、それぞれ、円周方向に沿って複数の凸と凹を配列するように形成して、両リング状クラッチ部材51,52を両者の複数の凹凸の噛み合いによって回転伝達可能に連結するようにしているが、比較例として、円筒ギア33の1箇所に設けた突起部を、Q軸ギア27に設けた2つのローラで挟み込んで円筒ギア33とQ軸ギア27とを回転伝達可能に連結する構成が考えられる。しかし、この比較例の構成では、円筒ギア33とQ軸ギア27とを1箇所で回転伝達可能に連結するため、Q軸ギア27を回転させる力が回転ヘッド11の振れ回りを生じさせる原因となる可能性がある。
【0030】
これに対し、本実施例では、Q軸ギア27のリング状クラッチ部材51と円筒ギア33のリング状クラッチ部材52とを、それらの円周方向に沿って形成した複数の凹凸の噛み合いによって回転伝達可能に連結するようにしているため、回転ヘッド11の円筒ギア33をヘッド駆動ユニット21のQ軸ギア27に安定して連結することができ、回転ヘッド11の振れ回りを防止できる。更に、ヘッド駆動ユニット21から回転ヘッド11を分離して着脱できるため、交換する全ての回転ヘッド11に対してヘッド駆動ユニット21を共通して使用できる。これにより、交換する回転ヘッド11にヘッド駆動ユニット21を組み付ける必要がなくなり、交換する回転ヘッド11の小型化・低コスト化や交換作業スペースの省スペース化を実現できる。
【0031】
しかも、本実施例では、両リング状クラッチ部材51,52の凹凸を台形波状に形成したので、両リング状クラッチ部材51,52の凹凸を噛み合わせる際に、両リング状クラッチ部材51,52の円周方向(回転方向)の位置がずれていても、両リング状クラッチ部材51,52の凹凸を容易に噛み合わせることができると共に、凹凸の側面の傾斜面によって両リング状クラッチ部材51,52の円周方向の位置ずれを自動的に修正することができ、回転ヘッド11の回転方向の位置精度を容易に確保できる。
【0032】
更に、本実施例では、Q軸ギア27のリング状クラッチ部材51を、該Q軸ギア27に対して上下動可能に取り付け且つ第1のばね部材53で下方に付勢し、両リング状クラッチ部材51,52の凹凸を噛み合わせたときの上下方向の遊び(ガタ)を第1のばね部材53で下方に付勢されたQ軸ギア27のリング状クラッチ部材51で詰めるように構成したので、ヘッド駆動ユニット21に連結する回転ヘッド11を交換する際に、回転ヘッド11の円筒ギア33のリング状クラッチ部材52の凹凸の高さ位置が製造公差等により回転ヘッド11毎にばらついていても、両リング状クラッチ部材51,52間の上下方向の遊びをQ軸ギア27のリング状クラッチ部材51で詰めることができ、両リング状クラッチ部材51,52を上下方向のがたつきなく連結することができる。
【0033】
更に、本実施例では、Q軸ギア27のリング状クラッチ部材51を、その円周方向に回動可能に取り付け且つ第2のばね部材54で回動方向に付勢するように構成したので、両リング状クラッチ部材51,52の凹凸の噛み合いの回動方向の遊びをQ軸ギア27のリング状クラッチ部材51で詰めることができ、両リング状クラッチ部材51,52を回動方向のがたつきなく連結することができる。
【0034】
尚、本発明は、上記実施例に限定されず、例えば、ヘッド駆動ユニット21に回転ヘッド11を係合保持する構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【符号の説明】
【0035】
10…部品吸着装置、11…回転ヘッド、12…ノズルホルダ、13…吸着ノズル、20…ヘッド移動機構、21…ヘッド保持ユニット、22…R軸、23…R軸駆動機構(ヘッド回転駆動機構)、24…R軸ギア、25…R軸モータ、26…Q軸駆動機構(ノズル回転駆動機構)、27…Q軸ギア、28…Q軸モータ、31…係合部材、32…ノズル回転ギア機構、33…円筒ギア、34…小ギア、35…係合孔、37…Z軸モータ、41…制御装置、42…フィーダ、51,52…リング状クラッチ部材、53…第1のばね部材、54…第2のばね部材、57…ストッパ凸部、61…カメラ、62…基準マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7