【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、第一の態様によると、本発明は、前記ガス内のCO
2量を減らすために、CO
2を含有するガスを処理する新たな方法を提供する。ここで処理する該ガスを、特定のタイプの吸収剤と接触させる。
【0007】
この特定の吸収剤は、本発明の別の目的を形成するが、CO
2を捕捉するための少なくとも1つの薬剤を含む。該CO
2捕捉剤は、固体複合材料(M)上に担持され、該材料は:
−少なくとも1つの、好ましくは多孔質、ポリマー(P);及び
−鉱物酸化物、シリコアルミン酸及び活性炭から選択される少なくとも1つの化合物(C)
を含み、ここで前記材料(M)は:
−平均粒径D50が少なくとも100μm、より好ましくは少なくとも150μmであり、該平均粒径が一般的に2,000μm以下を維持し、
−直径が3.6〜1,000nmの範囲で含まれる細孔で形成される細孔容積Vd1が、少なくとも0.2cm
3/g、好ましくは少なくとも0.4cm
3/gである。
【0008】
「CO
2捕捉剤」とは、本発明中では、好ましくは高いキネティクスで量的に、固体又は液体化合物(典型的には炭酸塩又は捕捉剤による付加生成物)を形成するために、CO
2と反応することができる化合物又は化合物の混合物を意味する。
【0009】
本発明に従って、よく用いられるCO
2捕捉剤としては、とりわけ、モノアミン(特にジエタノールアミン等の第二級アミン)、ポリアミン、モノグアニジン及びポリグアニジン、並びにこれら化合物の混合物が挙げられる。
【0010】
本発明に従って企図するアミン化された特定のCO
2捕捉剤として、以下のものが挙げられる:
−以下の式のうち1つに該当するアミノアルコキシシラン:
(RO)
α(CH
3)
βSi−(CH
2)
η−NR
ρR
ξ
(RO)
α(CH
3)
βSi−(CH
2)
η−NH−(CH
2)
μ−NHR
ρR
ξ,
ここで:
α及びβは、α+β=3であり、かつα=1又は2である2つの整数;
η及びμは、1〜18、例えば2〜10(例えばη=3及びμ=2である)である2つの整数;及び
各基R
ρ及びR
ξは、同一であっても異なってもよく、−H、又は飽和若しくは不飽和、直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、任意で芳香族、典型的には1〜18の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、又はアルキルアリール基(例えば、C
1〜C
8のアルキル基)である。
−以下の式のホスホリル誘導体:
(HO)
2(O)P−[A]−NR
ρR
ξ
ここで:
−[A]−は、飽和若しくは不飽和、直鎖状若しくは分岐状の炭化水素鎖、任意で芳香族、任意で1以上のヘテロ原子(例えばS及び/若しくはO)が割り込んだもの、例えば1〜18の炭素原子を有するアルキレン、アルキニレン、アリーレン、アリールアルキレン、又はアルキルアリレン基;及び
各基R
ρ及びR
ξは、同一であっても異なってもよく、−H、又は飽和若しくは不飽和、直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、任意で芳香族、典型的には1〜18の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、又はアルキルアリール基(例えば、C
1〜C
8のアルキル基)である。
【0011】
他の使用可能なCO
2捕捉剤は、CO
2と反応できるカルベン、ポリエーテル及びイオン性の液体である。
【0012】
本発明の範囲内で、発明者が以下に示すように、CO
2捕捉剤を、とりわけ上述した種類を、具体的には上記定義した特定の複合材料上に担持された状態で、ガスと接触させることにより、CO
2を最初含有するガス中のCO
2量を効率的に減らすことができる。本発明の範囲内で、フロー中のCO
2量の減少は、とりわけ担体上に存在するCO
2捕捉剤が、上述した好ましいCO
2捕捉剤、特にモノアミン、ポリアミン、モノグアニジン及びポリグアニジン、窒素含有ヘテロサイクル及びカルベンを放出する分子から選択されるときに、特に効率的であることが証明されている固体−ガスタイプのCO
2吸収方法に従って起こる。
【0013】
更に、本発明に従って特定の吸収剤を用いて最も頻繁に行われるCO
2捕捉は可逆的であることが分かる。一般則として、有り得ることであり、このことは、CO
2を遊離して吸収剤を回収するために、処理するガスに接触させる吸収剤を単純に熱処理することによって可能となる。ここで、該吸収剤はガスの処理に再利用することができる。前記可能性によって、特にサイクル処理/再生サイクル中での吸収剤の使用が可能となり、上述したBaO又はCaOタイプの吸収剤と比べて著しい利点となる。
【0014】
特定の理論に拘泥されることを企図するものではないが、本発明の範囲内でのCO
2吸収効率及び容量の観点から本発明者によって観察される興味深い特性は、少なくとも部分的には固体複合材料(M)の特定の多孔性に関連していることを提唱することができるように思われる。前記多孔性によって、含浸性の捕捉剤へCO
2が良好にアクセスできるようになると思われる。一方で、材料(M)の特定の多孔性によって、通常熱劣化に対して捕捉剤が保護されることになる。このことは、担持材料の環境内での捕捉剤のある種の保護安定効果によって説明できるように思われる。
【0015】
CO
2捕捉剤用の担体として本発明に従って最も頻繁に用いられる材料(M)は、強力な凝集力を有する材料であり、該凝集力は、該担体(及び従ってそれを含む吸収剤)が特定の場合においてダスト発生が非常に低い又はゼロでさえある傾向という事実によって最も頻繁に表される。この低いダスト発生によって、担持材料(M)は、CO
2捕捉剤のために選択される担体となり、吸収剤の合成、特にガス処理中での適用によく採用される担体となる。実際、微細な粒子を発生させる傾向が見られないという事実を考慮に入れると、前記担持材料は、ダストが発生する吸収剤を用いた場合に遭遇する圧力降下や閉塞現象を引き起こすことはない。
【0016】
本発明の範囲内において、本発明に従って用いられる材料(M)が、典型的には本明細書中で後述する試験に従って、2バール気圧ストレス後に得られる100μm未満のサイズの粒子レベルが1.5体積%未満になるように凝集していることが有利である。
【0017】
有利
には、材料(M)の、凝集数IC
Nが0.40超であることが更に好ましい。前記凝集数IC
Nは、本明細書中では:(4バール気圧ストレス後の数平均粒径)/(気圧ストレス無し(0バール)での数平均粒径)の比に相当し、本明細書中で後述する別の特定の試験に従って計測される。
【0018】
最も一般的な場合において、本発明の吸収剤中で担体として使用される複合材料(M)は:1つ又は複数の前記タイプのポリマー(P);及び1つ又は複数の前記タイプの化合物(C)を含む。特定の実施形態に従って、担持材料(M)は専ら、(i)少なくとも前記ポリマー(P)を含む1以上の、好ましくは多孔質の、ポリマー;及び(ii)少なくとも化合物(C)を含む、鉱物酸化物、シリコアルミン酸及び活性炭から選択される1以上の化合物で形成される。
【0019】
本発明に従って担体として用いられる材料(M)中に存在するポリマー(P)は、好ましくは以下のポリマーから選択される。:セルロース及びその誘導体(例えば酢酸セルロース又はセルロース硫酸塩等);デンプン及びその誘導体;アルギン酸塩及びその誘導体;ポリエチレン;グアル及びガーゴムタイプのゴム並びにその誘導体;並びにポリビニルアルコール及びその誘導体。ポリマー(P)を他のポリマーと組み合せて適用するときは、該追加ポリマーは上記リスト中のポリマーから選択した物自身であることが好ましい。
【0020】
通常、ポリマー(P)は、以下のポリマーのうちの1つであってもよい:セルロース、酢酸セルロース、セルロース硫酸塩、エチルセルロース;メチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシメチルセルロース;カルボキシメチルセルロース;デンプン、カルボキシメチルデンプン、デンプン−ヒドロキシプロピル;アラビアゴム;アガー;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム;アルギン酸カルシウム;トラガカントゴム、ガーゴム;イナゴマメゴム;ポリビニル酢酸(任意で加水分解されたもの)、ポリビニル酢酸及び脂肪族カルボン酸ビニルエステルのコポリマー;ポリビニルアルコール、ポリエチレン;エチレン及び飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステルのコポリマー、ポリシクロペンタジエン水和物。
【0021】
特定の実施形態によると、ポリマー(P)は、セルロース、又はその誘導体(有利なものとして酢酸セルロース又はセルロース硫酸塩)ポリエチレン、アラビアゴム、ポリビニルアルコールのうちの1つである。
【0022】
ポリマー(P)は、セルロース誘導体、好ましくは酢酸セルロース、セルロース硫酸塩、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースであることが有利である。
【0023】
ポリマー(P)は、酢酸セルロースであることがより好ましい。用いられる酢酸セルロースは、とりわけ置換度が1〜3、例えば2〜2.9、とりわけ2.5のオーダーである。本明細書中で言及するセルロースの置換度は、セルロース単位ごとにエステル化されたOH基の平均数に相当し、その範囲は0(非置換セルロース)〜3(全置換セルロース)である。
【0024】
本発明に従って使用される担持材料中(M)中に存在する化合物(C)は、鉱物酸化物であることが好ましい。特に、化合物(C)は、シリカ、又は、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄等の他の金属酸化物を含むことができる。特定の実施形態によると、前記化合物は、酸化セリウム等のレアアース酸化物であってもよい。留意すべきこととして、本発明によれば、(たとえこのことが企図されているとしても、)担持材料(M)はそれ自体CO
2吸収容量を持つ必要がない(即ちCO
2捕捉剤が欠損していてもよい)。
【0025】
或いは、化合物(C)はシリコアルミン酸又は他の活性炭(特にココナッツ活性炭)であってもよい。
【0026】
可能な実施形態によれば、材料(M)は、鉱物酸化物、シリコアルミン酸及び活性炭から選択される複数の化合物の混合物、例えば、シリカ(とりわけ沈降シリカ)及び活性炭の混合物を含んでもよい。
【0027】
本発明の好ましい別の実施形態によれば、材料(M)中に存在する化合物(C)は、シリカ、例えばアモルファスの合成シリカである。前記は沈降シリカ、発熱性シリカ、コロイド状シリカ、シリカゲル、前記シリカの混合物であってもよい。
【0028】
材料(M)中に存在する化合物(C)は、沈降シリカであ
ってもよい。本発明の範囲内の対象となる非限定的な沈降シリカとして、例えば、ケイ酸塩(典型的には、ケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩)を酸性化剤(典型的には硫酸)に反応させることによって、一般的には酸性化剤を水及びケイ酸塩開始剤に加えることによって得られる沈降シリカが挙げられる。この反応によって、沈降シリカ懸濁液を得ることができ、該懸濁液から、通常は固体/液体分離(典型的にはろ過ケークを生じさせるろ過によって)及び乾燥(例えば噴霧によって)によって、沈降シリカを乾燥形態で回収することができる。
【0029】
特に興味深い実施形態によれば、ポリマー(P)はセルロースの誘導体、好ましくは酢酸セルロースであり、化合物(C)はシリカ、好ましくは、前述したタイプの沈降シリカである。特定の実施形態によれば、材料(M)は、酢酸セルロース及び沈降シリカから成る。
【0030】
ポリマー(P)及び化合物(C)の性質に関わらず、本発明の吸収剤中の担体として使用される材料(M)は、多孔質材料であることが有利であり、前記材料は、平均粒径及び細孔容積の観点から特定の特徴を有する。
【0031】
本発明で言及する平均粒径(D50とも言う)は典型的には、規格NF X 11−666に準拠して、MALVERN MASTERSIZER 2,000型(Malvern Instruments)の粒度計で、超音波や分散剤なしで、脱気した脱イオン水(2gのサンプルを50mL中の水にマグネットスターラーで用いて分散させる)を測定液として用いてレーザー回折によって測定でき、測定の時間は5秒間である。同じサンプルを連続して三回測定した平均値を記録値とした。
【0032】
何ら特定をするものではないが、用語「平均粒径」又は「D50」は、材料に対してストレスを発生させる圧力が無い大気圧下での材料の粒子径のことを指す。圧力ストレス下得られる平均サイズは「D50
p」として記述する。ここで「p」はストレス下で試験材料が受ける圧力を示す。曖昧さを払拭するために、圧力ストレスなしで測定される、いわゆる平均D50粒子径は、「D50
0バール」として記載することができる。
【0033】
本発明に従った吸収剤の担持材料(M)は、平均粒径(D50)が100μm以上であり、一般的には少なくとも150μm、そして典型的には少なくとも200μm、好ましくは、該平均粒径が2,000μm未満である。典型的には100〜1,000μmの範囲、特には200〜1,000μmの範囲(例えば、250〜950μm)、とりわけ200〜950μm(例えば、250〜950μm)である。
【0034】
最も頻繁には、担持材料(M)の平均粒径は、平均250μm超、2,000μm未満であり、このサイズは、少なくとも300μmであることが好ましく、300μm〜1,000μmであることが有利であり、このサイズは、少なくとも400μmであることがより好ましい。
【0035】
従って、特定の実施形態によれば、平均粒径(D50)は、400〜2,000μm、特には450〜1,200μm、とりわけ400〜1,000μmの範囲に含まれることができる。平均粒径(D50)は、少なくとも450μmであることが好ましく、例えば少なくとも500μmであり、特には少なくとも600μmである。このサイズは、例えば、500〜900μm、とりわけ540〜900μm、特に540〜800μmに含まれることができる。
【0036】
一般的には、複合材料(M)は、粒径が100〜2,000μmの範囲で含まれ、150〜2,000μmがより有利であり、とりわけ200〜1,800μmであり、例えば250〜1500μmであり、特には400〜800μmであり、又は500〜800μmである。
【0037】
本明細書中で言及する細孔容積及び細孔径は、水銀ポロシメータ、典型的にはAutopore MICROMERITICS 9520ポロシメータによって、測定される。実際には、細孔容積及び細孔径の測定は典型的には下記の通り行われる:各サンプルを、予め大気圧下で90℃で2時間乾燥させ、その後、前記乾燥、及び例えば真空ポンプの手段による真空中での脱気に続いて、5分内に試験容器に投入する;0.22グラム(±0.01グラム)のサンプリングを行う;ペネトレーターNo.10を用いる。細孔径は、140°の接触角θ及び484dyn/cmの表面張力γからWASHBURNの関係によって計算される。本明細書中の意味での細孔容積を求めるためには、3.6〜1,000nmの直径を有する細孔のみを考慮する。
【0038】
本発明の吸収剤中に存在する担持材料(M)は、3.6〜1,000nmの範囲に含まれる直径を有する細孔によって形成され
る細孔容積(Vd1)を有する(即ち3.6〜1,000nmの範囲に含まれる直径を有する細孔の累計した細孔容積)、該細孔容積は、少なくとも0.2cm
3/gであり、少なくとも0.3cm
3/gであることが有利であり、及び少なくとも0.35cm
3/gであることとがさらに有利であり、該細孔容積は通常は、以下3.0cm
3/gである(該cm
3/gという記述は、本明細書中では、複合材料(M)のグラム当たりのcm
3を意味する)。
【0039】
本発明に従った吸収剤の担持材料(M)の細孔容積(Vd1)は、少なくとも0.4cm
3/gであり、例えば0.4〜2.0cm
3/gであり、とりわけ0.45〜1.5cm
3/gであることが好ましい。
【0040】
化合物(C)がシリカ(好ましくは沈降シリカ)である場合にはとりわけ、材料(M)の細孔容積(Vd1)は、少なくとも0.5cm
3/gであることが有利であり、例えば0.5〜3.0cm
3/gであり、とりわけ0.5〜2.0 cm
3/gであり、典型的には0.55〜1.5 cm
3/gである。 化合物(C)がシリカ(好ましくは沈降シリカ)である場合にはとりわけ、複合材料(M)の細孔容積(Vd1)は、少なくとも0.6cm
3/g、特に0.6〜3.0cm
3/gの範囲に含まれ、0.6〜2.0cm
3/gが好ましく、例えば0.7〜1.5cm
3/gであり、0.7〜1.4cm
3/gであることができる。更に好ましいのは、材料(M)の細孔容積(Vd1)は、少なくとも0.7cm
3/g、特に0.7〜2.0cm
3/gの範囲に含まれ、とりわけ0.75〜1.5cm
3/gであり、例えば0.8〜1.4cm
3/gであることがより好ましい。更には、複合材料(M)の細孔容積(Vd1)は、少なくとも0.8cm
3/gであり、特に0.8〜3.0cm
3/gの範囲に含まれ、とりわけ0.8〜2.0 cm
3/gであり、例えば0.9〜1.4cm
3/gであることがより好ましい。
【0041】
化合物(C)がシリカ、特に沈降シリカである場合にとりわけ、材料(M)内に存在する3.6〜1,000nmの範囲に含まれる直径を有する細孔は、平均細孔直径が、11nm超(例えば11超〜100nm又は11超〜50nm)であることが有利である。3.6〜1,000nmの範囲に含まれる直径を有する細孔の該平均直径は、少なくとも11.5nmであり、少なくとも12nmであることがより有利であり、例えば11.5〜100nmであり;とりわけ11.5〜50nm、特に12〜40nmであり、とりわけ12〜40nmであり、例えば12〜25nm又は12〜18nmであることが好ましく;また、13〜40nm、特に13〜25nm、例えば13.5〜25nm、又は13.5〜18nmの範囲で変化することもできる。
【0042】
とりわけ、材料(M)の凝集特性は以下の凝集試験を適用することによって測定することができる。
【0043】
乾燥ルートでサンプリングを行うためのシロッコモジュール(Sirroco module)と連結した、MALVERN MASTERSIZER 2,000型(Malvern Instruments)のレーザー粒度計を用いる。分析は、5秒間の測定時間で、光学フラウンホッファーモデル(Fraunhofer model)を用いて行う。
【0044】
第一の分析は、生成物の初期サイズにアクセスするために、ホッパー及びサクションの振動によって試験が行われるだけの材料を投入することによって行われる。該生成物の初期サイズは、数平均粒径(前記平均粒径D50
0バール)に相当し、「気圧ストレス無しでの数平均粒径」という用語でも表すことができる。
【0045】
第二の分析は、サンプリングモジュールのノズルを介して気圧を注入することによって行われ、材料にストレスをかけることが可能となる。該ストレスによって発生するが、可能な微細粒子(100μm未満のサイズの粒子)のレベルによって、生成物の凝集力(又は硬度)の評価を行うことが可能となる(材料は全て発生した微細粒子の量が多いため凝集力がより低い)。
【0046】
サンプリングモジュールのノズルを介して該第二の分析の間適用される気圧は、例えば、2バール(即ち2×10
5Pa)であってもよい。該2バールの負荷圧力値は参考値であり、専ら活性炭から成る材料に対する磨耗開始を引き起こすストレスが得られ始める限界値に相当する。
【0047】
活性炭単独で2バールで行われた以下の測定は、本発明に従った材料(M)を評価することができる値に対する参考値である(体積%):
100μm未満のサイズの粒子レベル=2.0%
20μm未満のサイズの粒子レベル=0.0%
【0048】
情報として、0バールで(すなわち負荷気圧無しで)以下の測定が活性炭単独で得られた:
100μm未満のサイズの粒子レベル=0.0%
20μm未満のサイズの粒子レベル=0.0%
【0049】
或いは/気圧2バールでの上記分析に対する追加分析として、第二の分析は、サンプリングモジュールのノズルを介して4バール(4×10
5Pa)の気圧を適用することによって行っても良い。該圧力値関して、活性炭粒子のみからなる材料の場合、微細な粒子の発生が観察される。
【0050】
該4バールの圧力で試験された生成物によって行われる磨耗レベルは、一方の気圧ストレス無し(0バール)で測定された粒子径分布ともう一方の気圧ストレス4バール後に測定された粒子径分布とを比較することによって評価できる。より詳細には、粒子径分布について記録されたインジケーターは、粒子径の数平均(上記D50
p)である。より具体的には、圧力ストレス無しでの平均サイズ(D50
0バール)と気圧ストレス4バール後の数平均サイズ(D50
4バール)との差分を観察する。この範囲内において、凝集数IC
Nは、D50
4バール/D50
0バールの比で(即ち(気圧ストレス4バール後の数平均粒子径)/(気圧ストレス無しでの数平均粒子径)比で)算出される。前記数値は、生成物によって示される磨耗耐性、即ち該生成物の凝集力を反映する:凝集数IC
Nが高いほど、該生成物の磨耗耐性が大きい、即ち生成物の凝集力が大きい。
【0051】
本発明に従って使用される複合材料(M)は、取り扱う際中に該材料がダストを生じないような凝集力を持つことが有利である。とりわけ前記目的の為に、気圧ストレス2バール後に得られる100μm未満のサイズの粒子レベルが、上述した凝集力試験に従って、1.5%未満、好ましくは0.5%未満であることが好ましい。
【0052】
実際、上述した凝集力試験に従って、気圧ストレス2バール後に得られた20μm未満のサイズの粒子のレベルが0.0体積%である複合材料(M)を使用することは、一般的には興味深いことである。
【0053】
更には、本発明に従って使用される複合材料(M)は、その凝集数IC
N(上記定義した条件の下で測定したときのD50
4バール/D50
0バール比)が、0.40超、及び0.50超がさらにより好ましく、少なくとも0.60がより有利であり、少なくとも0.75であることが最も有利であることが示される。更に、気圧ストレス4バール後の数平均粒径(D50
4バール)は、上述した凝集力試験に従って確立されるが、350μm超が有利であり、特に400μm超、例えば500μm超である。
【0054】
他の化合物間で、化合物(C)がシリカ(好ましくは沈降シリカ)であるとき、凝集力は、凝集数IC
Nが0.60超、好ましくは0.80超、特には少なくとも0.90であることが有利である。
【0055】
さらに、材料(M)は、上述した凝集力試験に従って、気圧ストレス無しで得られる、20μm未満のサイズの粒子レベル及び100μm未満のサイズの粒子レベルが両方とも0.0体積%であることが一般的に好ましい。
【0056】
材料(M)の凝集力は上述した凝集力試験に従って、2バールの気圧ストレス後に得られる、100μm未満のサイズの粒子レベルが0.0体積%であることが有利であり、とりわけ化合物(C)が沈降シリカであるとき特に有利である。
【0057】
非常に制限された、又はゼロのダスト発生となる、良好な凝集力特性は、特に化合物(C)がシリカであるとき、とりわけ沈降シリカであるとき、そして、ポリマー(P)がセルロース誘導体であるとき、特に酢酸セルロースであるときに、得られる。
【0058】
とりわけ、化合物(C)がシリカであるとき、特に沈降シリカであるとき、材料(M)の封入充填密度(PFD、packed filling density)は、ISO 787/11規格に従って測定することができるが、少なくとも0.30、例えば0.32超、典型的には0.33〜0.35の範囲で含まれることが有利である。
【0059】
正確な特性及び凝集特性に関わらず、本発明の吸収在中に存在する担持材料(M)は、通常BET比表面積が少なくとも50m
2/gである。一般的にはBET比表面積が1,300m
2/g未満であり、特には最大で1,200m
2/gであり、とりわけ最大で1,000m
2/gであり、例えば最大で900m
2/g、又は最大で700 m
2/g(複合材料グラム当たりのm
2)である。
【0060】
本明細書中で言及するBET比表面積は、「The Journal of the American Chemical Society,Vol.60 page 309,2月1938」に記載され、NF ISO 9277規格(1996年12月)に対応する、BRUNAUER−EMMETT−TELLER法に従って決定される。
【0061】
材料(M)のBET比表面積は、少なくとも100m
2/g、一般的には少なくとも160m
2/g、好ましくは少なくとも200m
2/g(例えば300m
2/g超)であってよい;該比表面積は、250〜1,300m
2/g、特に280〜1,200m
2/g、例えば280〜800m
2/gの範囲に含まれることができる。また、該比表面積は、320〜1,000m
2/g、特に320〜900m
2/g、とりわけ320〜700m
2/g、又は320〜600m
2/gの範囲に含まれることができる。例えば、化合物(C)がシリカ、特に沈降シリカである場合には、本発明に従った複合材料のBET比表面積は、200〜800m
2/g、特に200〜600m
2/g、とりわけ210〜500m
2/g、とりわけ210〜400m
2/g(例えば210〜300m
2/g)の範囲に含まれることができる。
【0062】
複合材料(M)の比表面積は、本質的には、化合物(C)の比表面積の関数であり、材料(M)内の前記化合物(C)の量の関数であり、複合材料内の化合物(C)の表面のアクセス性の関数であり、前記アクセス性は、ポリマー(P)の多孔性によって可能となる。しばしば、複合材料(M)は、化合物(C)の比表面積を高く保持している(典型的には少なくとも60%)。このことは、化合物(C)がシリカ(とりわけ沈降シリカ)である時、及びポリマー(P)が酢酸セルロースであるときに最も顕著となる。
【0063】
本発明の特定の実施形態によると、特に適切なのは、化合物(C)がシリカ(好ましくは沈降シリカ)であり、ポリマー(P)が酢酸セルロースであり、本発明に従って有利に用いられる担持材料(M)以下の時である:
−平均粒径(D50)が、少なくとも300μm、(そして、典型的には2,000μm以下)であり、前記サイズは、例えば400〜1,000μmの範囲、とりわけ500〜1,000μmの範囲に含まれ;
−BET比表面積が、300m
2/g超(及び一般的に1,200m
2/g以下)、前記比表面積は、特に320〜900m
2/g、とりわけ320〜700m
2/g、例えば320〜500m
2/g、及び典型的には340〜430m
2/gの範囲に含まれ;並びに
−凝集力が、上述した凝集力試験に従って、気圧ストレス2バール後に得られる100μm未満のサイズの粒子レベルが、0.0体積%となる。
【0064】
本発明の別の興味深い実施形態によると、特に適切なのは、化合物(C)がシリカ(好ましくは沈降シリカ)であり、ポリマー(P)が酢酸セルロースであり、本発明に従って有利に用いられる担持材料(M)以下の時である:
−平均粒径(D50)が、少なくとも400μm、(そして、例えば最大2,000μmであり)、とりわけ400〜1,000μmの範囲、例えば500〜800μmの範囲に含まれ、
−BET比表面積が、少なくとも200m
2/g、(そして、例えば最大1,000m
2/gであり)、好ましくは200〜800m
2/g、特に200〜600m
2/g、とりわけ200〜500m
2/g、例えば200〜400m
2/g、又は210〜400m
2/g、若しくは210〜300m
2/gであり;及び
−凝集力が、凝集数IC
Nで(上記定義した条件の下で測定したときのD50
4バール/D50
0バール比)0.60超、特に0.80超である。
【0065】
一般的に、本発明に従って有利に担体として用いられる複合材料(M)は、複合材料(M)全体の質量に対して、10〜95質量%、好ましくは15〜45質量%の範囲で含まれるポリマー(P)量を有する。複合材料(M)の化合物(C)の量は、複合材料(M)全体の質量に対して、5〜90質量%、好ましくは55〜85質量%の範囲に含まれる。
【0066】
本発明に従って使用される複合材料(M)は、とりわけ押し出し物、例えばシリンダー状の押し出し物、より好ましくは果粒、とりわけ実質的には球状の果粒の形状であってよい。
【0067】
本発明に従って適用される複合材料(M)は、上述した特性を持つことが有利であるが、(e1)〜(e5)の連続的な以下の工程を含む方法に従って通常得ることができる:
(e1)溶媒(S)中にポリマー(P)溶液を形成し、化合物(C)をその後前記溶液に添加し、好ましくは攪拌しながら添加する(溶媒(S)中のポリマー(P)溶液は、任意でポリマー(P)以外の少なくとも1つのポリマーを含んでもよいことは理解されよう。そして、前記ポリマーは、多孔質であることが有利であり、そして化合物(C)は、任意で、鉱物酸化物、シリコアルミン酸及び活性炭から選択される少なくとも1つの他の化合物とともに添加してもよいことは理解されよう)。
(e2)工程(e1)中に得られた混合物を成形する、好ましくは果粒化又は押し出し成形によって成形する。
(e3)工程(e2)からの成形生成物を、ポリマー(P)に対して非溶媒性の液体媒体(NS)に、及び少なくともポリマー(P)溶液中に使用される溶媒(S)に部分的に混和する媒体に、投入する。そのことによって、ポリマー(P)を非可溶化する。
(e4)ポリマー(P)溶液中に使用される溶媒を少なくとも一部除去するために、工程(e3)終了時に得られる生成物を少なくとも1回洗浄する。
(e5)工程(e4)からの固体生成物を乾燥させる。
【0068】
前記方法の工程(e1)で使用される化合物は、鉱物酸化物、シリコアルミン酸及び活性炭から選択することができる。化合物(C)は、例えば、吸収剤及び触媒担体から選択される。好ましくは、前記化合物は、シリカであり、好ましくは沈降シリカであり、典型的にはケイ酸塩(典型的にはケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩)を酸性化剤(典型的には硫酸)で反応させることによって得られる。そして一般的には、ケイ酸塩開始剤に酸性化剤を添加することによって、及び/又は酸性化剤及びケイ酸塩を水及びケイ酸塩開始剤上に全く同時に又は一部同時に添加することによって得られる。このことにより、沈降シリカの懸濁液を得ることが可能となり、前記シリカは、特にろ過(ろ過ケークが得られる)した後乾燥(一般的には噴霧)させることにより、通常懸濁液から分離される。
【0069】
その正確な性質に関係なく、工程(e1)中に用いられる化合物(C)は、比較的高い比表面積を持つことが有利である。従って、一般的には、BET比表面積が少なくとも100m
2/g、好ましくは少なくとも200m
2/g、特には450m
2/g超である。前記ステップ(e1)〜(e5)を連続で行うことにより、化合物(C)の比表面積が良好な部位(一般的には少なくとも60%)を、合成された担持複合材料(M)中に維持することができる。
【0070】
さらに通常工程(e1)中に使用される化合物(C)は、平均粒径が少なくとも0.5μm、特に0.5〜100μmの範囲に含まれる。化合物(C)が沈降シリカであるとき、該シリカの平均粒径は、より詳細には0.5〜50μmが好ましく、とりわけ0.5〜20μm、例えば2〜15μmの範囲に含まれる。
【0071】
特に化合物がシリカ、とりわけ沈降シリカである場合には、本発明に従った方法の工程(e1)中で使用される化合物(C)は、好ましくはDOPオイル吸収が260mL/100g未満、とりわけ240mL/100g未満、例えば225mL/100g未満である。前記オイル吸収は、特定の場合には、210mL/100g未満、又は205 mL/100g未満でよい。一般的に、工程(e1)中で使用される化合物(C)のDOPオイル吸収は、80mL/g以上を維持しており、典型的には、145mL/100g超であり、例えば180mL/100g超である。本明細書中で言及するDOPオイル吸収は、ジオクチルフタレートを適用するISO 787/5規格に従って決定されるものである(測定は、化合物(C)に関してそのように行われる)。
【0072】
一方で、工程(e1)中で使用される化合物(C)は、好ましくはCTAB比表面積(NF T 45007(1987年11月)規格に従って決定される外部の表面積)が、280m
2/g超、とりわけ300m
2/g超、特に330m
2/g超、例えば350m
2/g超である。前記化合物がシリカ、とりわけ沈降シリカであるときは、前記比表面積は、一般的に450m
2/g以下である。
【0073】
工程(e1)中に適用される化合物(C)は、好ましくは、(25nmを超える直径の細孔によって形成される)細孔容積(V
d25)が、0.8mL/g超、とりわけ0.9mL/g超である(特に前記化合物がとりわけ沈降シリカであるとき)。本明細書中で言及する細孔容積V
d25は、Barett、Joyner及びHalenda法によって決定される直径に相当し、前記BJH法は、とりわけ「F.Rouquerol,L.Luciani,P.Llewwellyn,R.Denoyel and J.Rouquerol,in the<Les Techniques de l’Ingenieur>September 2001)」に記載されている。
【0074】
更に、工程(e1)中に適用される化合物(C)は、細孔の直径(d
p)が、最大の細孔サイズ分布をとっても、25nm未満、12.0nm未満、特には8.0nm未満であるとしばしば有利である(Barett、Joyner及びHalenda法)。
【0075】
工程(e1)での適用でよく採用される化合物(C)として、以下の特性を有する沈降シリカが挙げられる:
−DOPオイル吸収が、260mL/100未満、とりわけ240mL/100g未満、特に225mL/100g未満であり;及び
−25nmを超える直径の細孔によって形成されるが、細孔容積(V
d25)が、0.8mL/g超、とりわけ0.9mL/g超、例えば少なくとも0.95mL/gであり(細孔に関する細孔直径(dp)に関連して、最大の細孔径分布をとっても、直径が25nm未満、12nm未満、特には8nm未満であることが有利である);及び
−CTAB比表面積が280m
2/g超、とりわけ300m
2/g超、特に330m
2/g超、例えば350m
2/g超であり;及び
−好ましくは、BET比表面積が450m
2/g超、例えば510m
2/g超である。
【0076】
前記タイプの沈降シリカは、例えば、ケイ酸塩を酸性化剤と反応させることを含む方法によって調整できる;該方法によって、沈降シリカの懸濁液を得て、その後該懸濁液を分離して乾燥(とりわけ噴霧)する。ケイ酸塩の酸性化剤を用いた反応は好ましくは以下の連続的な工程に従って行われる:
(i)初期開始剤は、前記反応に携わるケイ酸塩全体量の一部のみを含んで形成され、前記初期開始剤中の前記ケイ酸塩(SiO
2で表される)濃度は、好ましくは10〜50g/L、好ましくは12〜48g/L、特に15〜45g/Lの範囲で含まれる。そして、前記初期開始剤の温度は、40〜65℃の範囲に含まれる。
(i’)任意で、5〜30分間、反応媒体のpH値が3.5〜8.5の範囲に含まれるまで、幾つかの酸性化剤を前記開始剤に添加する。
(ii)幾つかの酸性化剤及びケイ酸塩の残量を、好ましくは同時に20〜150分間、前記開始剤に添加する。添加されたケイ酸塩量(SiO
2で表される)/初期開始剤中に存在するケイ酸塩量(SiO
2で表される)の比は、以下の条件のいずれかの下で5超である。
a)同時添加終了時の反応媒体のpH値を3.5〜8.5の範囲にさせる一定の流量、又は
b)反応媒体のpH値を3.5〜8.5の範囲の一定値に維持するために制御された酸性化剤の流量。
(iii)工程(ii)の終了時での反応媒体のpH値が6.0超である場合には、反応媒体のpH値を3.5〜6.0の範囲にさせるように、3〜25分間幾つかの酸性化剤を反応媒体に添加する。
(iv)前記工程の終了時に得られる反応媒体については、5〜60分間、攪拌を維持する。
【0077】
正確な特性に関係なく、工程(e1)中に適用される化合物(C)は、官能基がついた化合物であってよく、とりわけ、有機分子のグラフトや吸着によって官能基がついてもよく、例えば、前記官能基には、少なくとも1つのアミノ基、フェニル基、アルキル基、シアノ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミド基、チオ基及び/又はハロゲン基が含まれる。
【0078】
本発明による方法の工程(e1)中で、化合物(C)は、ポリマー(P)の溶液と混合して、好ましくは攪拌する。前記混合によって、化合物(C)が(固体の形状で)、溶媒(S)中の溶液中のポリマー(P)によって形成される媒体中に分散することが可能となる。特定の実施形態によると、混合物は、化合物(C)を徐々にポリマー(P)の溶液中に投入することによって製造される。前記投入によって均一な混合物が得られる。工程(e1)の適用に関して、造粒タイプのミキサー、例えばRotolab Zanchetta型のミキサーをここでは用いると有利である。
【0079】
工程(e1)中の溶媒(S)として、とりわけ酢酸(特にポリマー(P)が酢酸セルロースであるとき)、水(特にポリマー(P)がセルロース硫酸塩、ポリビニルアルコール、又はアラビアゴムであるとき)、また更に他にはナフテン系オイル(特にポリマー(P)がポリエチレンであるとき)を用いることが可能である。
【0080】
ポリマー(P)が酢酸セルロースであるときには、一般的には該ポリマーは、酢酸+水の混合物中の溶液に、例えば、以下の割合(酢酸セルロース、酢酸及び水の全体の質量に対する質量で表される)で投入される。
酢酸セルロース:10〜25%
酢酸:65〜80%
水:5〜15%
【0081】
工程(e1)の終了時に、得られたポリマー(P)及び化合物(C)の混合物に溶媒を加えると有利であり(例えばポリマー(P)が酢酸セルロースである場合には酢酸)、とりわけ混合物の粘度を小さくすることが可能となる。
【0082】
工程(e1)中で適用されるポリマー(P)及び化合物(C)の割合は、最終複合材料の所望の割合による。一般的に、工程(1)中で製造される混合物中では、ポリマー(P)量は、10〜95重量%の範囲に含まれ、好ましくは、15〜45重量%である。そして、化合物(C)量は、5〜90%であり、好ましくは55〜85%である。これらの含有量は、ポリマー及び以下の種類の化合物の全体質量に対する質量%で表される:工程(e1)中に調整された混合物内の鉱物酸化物、シリコアルミン酸及び活性炭。
【0083】
前記工程(e1)終了時に得られる混合物を成形するための工程(e2)は、圧縮(例えばAlexanderwerk compacterの手法)によって行うことができる。
【0084】
にも関わらず、前記工程(e2)は、むしろ顆粒化又は押し出し成形によって行うことが好ましい。
【0085】
顆粒化を適用した場合には、前記工程(e2)は、連続的に又は回分式処理で行われる。そして工程(e2)終了時に得られる生成物は果粒状になる。前記顆粒化は、通常攪拌しながら行われ、典型的には室温(設備側の温度が例えば5〜35℃の間)で行われる。
【0086】
顆粒化は、ローターを備えた機械的な造粒機、例えばスキの刃を備えたローター造粒機、とりわけ手ごろなせん断速度を有するLodigeの造粒機で行うことができる。顆粒化は、高いせん断速度を有する造粒機で行うことが好ましく、刃又はピンを備えたローターを有する造粒機を用いることが好ましく、特に、Rotolab Zanchetta造粒機が好ましく、一般的に回分式で稼動する。
【0087】
有利なことに、工程(e2)中で顆粒化を適用するときには、特にRotolab Zanchetta造粒機の場合には、工程(e1)の終了時に得られた混合物を、造粒機のボウル(タンク)中該容積の25〜75%の高さまで満たすことが好ましい。造粒機のローターのスピードは、特にRotolab Zanchetta造粒機の場合には、200〜1,000rpm、例えば400〜600rpmであってよい。
【0088】
工程(e2)中で押し出し成形を適用するときには、前記工程は、高圧押し出し成形(例えば、ピストンプレス方装置による方法)であってもよく、低圧押し出し成形(例えばFuji Paudal型装置による方法)であってもよい。工程(e2)の終了時に得られる成形生成物は、その後押し出し物として、一般的にシリンダー状の形をしている。
【0089】
任意で、工程(e2)の終了時且つ工程(e3)の前で、所望のサイズでない可能性のある生成物を除外するために、随意の校正及び/又はミル工程を適用してもよい。該方法は、任意で更に生成物の球形特性を増加させるために、球状化工程を含んでもよい。
【0090】
前記方法中の工程(e3)中では、工程(e2)からの生成物を、ポリマー(P)の溶媒ではない液体(NS)に投入することにより、ポリマー(P)を、不溶化(沈降化)させる。前記非溶媒(NS)は、工程(e1)中で適用されるポリマー(P)溶液中で用いられる溶媒(S)に対して、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に混和性を有する。工程(e3)中で起こるポリマー(P)の不溶化によってポリマー(P)から、化合物(C)が再度分散する多孔質固体マトリックスを形成する。工程(e3)は、攪拌しながら行うのが有利である。
【0091】
工程(e3)中の非溶媒(NS)として、例えば水を使用することが可能であり、特にポリマー(P)が酢酸セルロースであり、使用される溶媒が酢酸のときに使用可能である。さらに他には使用可能なものとして以下のものが挙げられる:
・酢酸の水性希釈溶液(特にポリマー(P)が酢酸セルロースであり、使用される溶媒が酢酸のとき)、
・エタノール(特にポリマー(P)がセルロース硫酸塩であり、使用される溶媒が水であるとき)、
・カルボン酸(特にポリマー(P)がポリビニルアルコールであり、使用される溶媒が水であるとき)、
・アルコール(特にポリマー(P)がアラビアゴムであり、使用される溶媒が(熱)水であるとき)、
・ヘキサン(特にポリマー(P)がポリエチレンであり、使用される溶媒がナフテン系オイルであるとき)。
【0092】
工程(e3)において、非溶媒(NS)は、工程(e2)中に得られた成形生成物と接触させる前に、典型的には30℃超、又は40℃の高温で加熱するのが有利である。従って、例えば、ポリマー(P)が酢酸セルロースであり、非溶媒(NS)が水であるとき、水は30〜90℃の範囲に含まれる温度で、特には45〜75℃、又は50〜70℃の温度で使用される。そして、工程(e3)は、典型的には工程(e2)からの生成物を、上述した温度に予め設定した水中で使用することによって行われる。
【0093】
工程(e3)中では、典型的にはおおよそ70〜130グラムの、工程(e2)からの成形生成物が、非溶媒(NS)1リットル当たりで、特に非溶媒が水の時に、処理される。
【0094】
前記方法の工程(e4)中では、少なくとも部分的に及び好ましくは全体的に残留溶媒を除去するために、工程(e3)終了時点で得られた生成物に対する1以上の洗浄が行われる。前記洗浄は水で行われ、とりわけポリマー(P)用に使用される溶媒が酢酸のときに、行われる。一般的に、工程(e4)を適用する前に、工程(e3)終了時点で得られる生成物を、工程(e3)中で使用される液体から分離する。
【0095】
工程(e4)の後及び工程(e5)の前で、(好ましくは穏やかな)脱水工程を任意で行うことができる。
【0096】
乾燥工程(e5)を用いて、工程(e4)で使用された洗浄液を除去することができる。とりわけ、洗浄液が水であるとき、そして特にポリマー(P)が酢酸セルロースであるとき、乾燥工程(e5)は、50〜120℃の範囲に含まれる温度で行うことが有利であり、例えば、換気装置(とりわけオーブンや流動床)中では、一般的に2〜60時間、特には5〜30時間行うことが有利である。
【0097】
工程(e5)終了時に得られる複合材料は、典型的には粒子サイズが100〜2,000μm、とりわけ200〜1500μm、特に200〜800μm、又は400〜800μmの範囲に含まれる。任意で乾燥工程(e5)の後に、とりわけ目的となる応用によるが、所望のサイズでない可能性のある生成物を除去するために、ミル及び/又はシフティング(分離)工程を行うことができる。
【0098】
また、好ましくは、本発明による前記方法を用いて、特にポリマー(P)が酢酸セルロース、とりわけ化合物(C)が活性炭及び/又は特にシリカ(好ましくは沈降シリカ)であるときに、使用する化合物(C)の比表面積の大部分(例えば少なくとも60%)を維持する複合材料を得ることが可能となる。
【0099】
別の実施形態によると、しばしば有利であることが示されているが、本発明に従って適用される複合材料(M)は、以下の連続工程(ε1)〜(ε5)を含む方法に従って、粒子として(典型的には果粒)として得られる:
(ε1)−化合物(C);及び
−溶媒(S)中のポリマー(P)溶液
を押出機に投入する;
(ここで溶媒(S)中のポリマー(P)溶液は、任意で前記ポリマー(P)以外の少なくとも1つのポリマーを含むことができることが理解され、前記ポリマーは多孔質であることが有利であり、化合物(C)は任意で、鉱物酸化物、シリコアルミン酸及び活性炭から選択される少なくとも1つの他の化合物と共に添加できることが理解される);
(ε2)ポリマー(P)と化合物(C)の混合物を、押出機内、該押出機の出口へ移動させ、押出機は前記出口に以下のものを備えている:
−穴(複数可)のあいたプレート;及び
−前記穴のあいたプレートと前記押出機の出口の間に位置する刃。
(ここで備えてある出口は、ポリマー(P)の非溶媒であり、少なくとも部分的に前記溶媒(S)と混和性を有する液体(NS)を含む浴槽の中へ開口しており、前記浴槽中に前記刃は浸っている。
前記により、ポリマー(P)と化合物(C)とを含む混合物を強制的に穴のあいたプレート中の穴へ通過させ、その後刃によって切断する。このことによって、ポリマー(P)及び化合物(C)を含む混合物流が滴形態へ分画される。従って、それによって、形成された滴は再度、固体粒子(典型的には果粒)として沈殿する非溶媒液体(NS)を含む浴槽へ注入される);
(ε3)工程(ε2)で合成された(果粒タイプの)固体粒子は液体(NS)を含む浴槽から分離される;
(ε4)前記によって分離された(果粒タイプの)固体粒子を、少なくとも部分的にポリマー(P)溶液中で使用される溶媒(S)を除去するために洗浄する;その後、
(ε5)固体粒子(又は果粒)を乾燥させる。
【0100】
前記方法の工程(ε1)で使用される化合物(C)は、鉱物酸化物、シリコアルミン酸及び活性炭から選択することができる。化合物(C)は、例えば、吸収剤及び触媒担体から選択することができる。好ましくは前記化合物は、シリカ、好ましくは、沈降シリカであり、該沈降シリカは、典型的にはケイ酸塩(典型的にはケイ酸ナトリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩)を酸性化剤(典型的には硫酸)と反応させることによって得られ、一般的にはケイ酸塩の開始剤に酸性化剤を添加することによって、及び/又は酸性化剤及びケイ酸塩を水及びケイ酸塩の開始剤に全く同時に若しくは部分的に同時に添加することによって得られる。前記反応を用いて、沈降シリカの懸濁液を得ることができる。前記シリカは通常懸濁液から分離、特にろ過して(ろ過ケークが得られて)、その後乾燥(一般的には噴霧による)させる。
【0101】
その特性に関係なく、工程(ε1)で使用される化合物(C)は、比較的高い比表面積を持つことが有利である。一般的には、特に沈降シリカ及び/又は活性炭の場合には、BET比表面積は、少なくとも100m
2/g、好ましくは少なくとも200m
2/g、特に450m
2/g超である。上述した工程(ε1)〜(ε5)を連続で行うことによって、合成された担持複合材料(M)中の化合物(C)の比表面積の良好な部分(一般的に少なくとも60%)を維持することが可能となる。
【0102】
工程(ε1)中で使用される化合物(C)は、本明細書中の記載の中で上述した実施形態による方法の工程(e1)への適用に採用される材料(C)に関して定義される好ましい特性の少なくとも1つ、好ましくは全てを持つことが有利である。即ち:
−平均粒径が少なくとも0.5μm、特に0.5〜100μmの範囲で含まれ(化合物(C)が沈降シリカのときには、0.5〜50μmの範囲で含まれるのが有利であり、とりわけ0.5〜20μmであり、例えば2〜15μmである);及び/又は
−特に化合物(C)がシリカであるときは、とりわけ沈降シリカのときにDOPオイル吸収が260mL/100g未満、とりわけ240mL/100g未満、例えば225mL/100g未満であり、210mL/100g未満であり、又は205mL/100g未満である。該DOPオイル吸収は一般的には80mL/g以上であり、典型的には145mL/100gであり、例えば180mL/100g超である;及び/又は
−CTAB比表面積が280m
2/g超であり、とりわけ300m
2/g超であり、特に330m
2/g超であり、例えば350m
2/g超である;該比表面積は、特に前記化合物がシリカ、とりわけ沈降シリカであるときには、一般的に450m
2/g以下であり;及び/又は
−25nm未満の直径の細孔によって形成されるが、細孔容積(V
d25)が、0.8mL/g超であり、とりわけ0.9mL/g超であり;及び/又は
細孔の直径(d
ip)が、25nm未満の直径を有する細孔に関して、最大の細孔容積サイズ分布をとっても、12.0nm未満、特に8.0nm未満である。
【0103】
従って、工程(e1)の適用に対してよく採用される化合物(C)は、とりわけ以下の特性を有する沈降シリカである:
−DOPオイル吸収が、260mL/100未満、とりわけ240mL/100g未満、特に225mL/100g未満であり;及び
−25nm未満の直径の細孔によって形成されるが、細孔容積(V
d25)が、0.8mL/g超、とりわけ0.9mL/g超、例えば少なくとも0.95mL/gであり;及び
−CTAB比表面積が280m
2/g超、とりわけ300m
2/g超、特に330m
2/g超、例えば350m
2/g超であり;及び
−好ましくは、BET比表面積が450m
2/g超、例えば510m
2/g超である。
【0104】
前記タイプの沈降シリカは、例えば、ケイ酸塩を酸性化剤と反応させることを含む方法によって調整することができる:前記反応によって、沈降シリカの懸濁液が得られ、その後懸濁液を分離して乾燥(とりわけ噴霧)させる。ケイ酸塩と酸性化剤との反応は、好ましくは、本明細書中で上記定義した連続的な工程(i)、(i’)、(ii)、(iii)及び(iv)に従って行う。
【0105】
正確な特性に関係なく、工程(e1)中に適用される化合物(C)は、官能基がついた化合物であってよく、とりわけ、有機分子のグラフトや吸着によって官能基がついてもよく、例えば前記官能基には、少なくとも1つのアミノ基、フェニル基、アルキル基、シアノ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミド基、チオ基及び/又はハロゲン基が含まれる。
【0106】
工程(ε1)中で、化合物(C)及びポリマー(P)溶液を押出機に投入することによって、押出機内で溶液中の化合物(C)及びポリマー(P)の混合物が形成され、できる限り均一な混合物の形態であることが有利である。
【0107】
本発明の別の方法によると、化合物(C)及びポリマー(P)溶液は、別々に押出機に投入されてもよく、この場合、これらの混合は、実際の押出機内で行われ、とりわけ、押出機が一般的に備えているスクリュー運動の効果の下で行われる。
【0108】
或いは、別の方法によると、化合物(C)及びポリマー(P)溶液は、押出機に投入する前に予め一緒に混合する。この場合、化合物(C)とポリマー(P)溶液を予め混合するのは、化合物(C)をポリマー(P)溶液に添加することによって、好ましくは、攪拌しながら添加することによって行うことが有利である。必要なら、化合物(C)のポリマー(P)溶液への添加は、徐々に行うのが有利であり、とりわけ、できりだけ均一な化合物が得られるようにする。前記好ましい予備工程によって、溶媒中の1つの溶液のポリマー(P)によって形成される媒体中で(固体形状で)化合物(C)が分散する。調製された化合物(C)とポリマー(P)溶液の混合物は、均一なスラリーであることが有利である。前記均一なスラリーを得るために、刃又はピンを備えたローターを有するミキサー、例えばRotolab Zanchetta型のミキサー、又は好ましくはスキの刃を備えたローターを有するミキサー、とりわけ、手ごろなせん断速度を有するLodigeが典型的には用いることができる。前記混合物は、室温(設備側の温度が典型的には5〜35℃の間)で製造することができる。
【0109】
前述した工程(ε1)〜(ε5)を含む方法の範囲内で用いられる溶媒(S)は、工程(e1)〜(e5)を含む方法の範囲内で本明細書中で上記定義した優先的な溶媒(S)から選択するのが有利である。
【0110】
従って、特に、工程(ε1)〜(ε2)の範囲で適用される溶媒(S)は、酢酸(とりわけポリマー(P)が酢酸セルロースのとき)、水(特にポリマー(P)がセルロース硫酸塩、ポリビニルアルコール又はアラビアゴムであるとき)、又はナフテン系オイル(特にポリマー(P)がポリエチレンであるとき)であることが有利である。工程(ε1)〜(ε2)の範囲で適用されるポリマー(P)が酢酸セルロースであるとき、溶媒(S)は、好ましくは酢酸+水の混合物であり、その後ポリマー溶液は典型的には以下の含有量を有する(酢酸セルロース、酢酸、及び水の全体質量に対する質量で表される):
酢酸セルロース: 10〜25%,
酢酸: 65〜80%,
水: 3〜15%。
【0111】
特定の実施形態によると、溶媒はポリマー(P)及び化合物(C)の混合物用に添加し、とりわけ混合物の粘度を低下させることを可能にする。前記溶媒(例えばポリマー(P)が酢酸セルロースである場合の酢酸)の添加は、典型的には、前記溶媒を混合中、混合後(典型的には混合物を押出機に投入する前に行うとき)、又は化合物(C)とポリマー(P)の溶液を混合する前に、ポリマー(P)の溶液に添加することによって行うことができる。
【0112】
混合物中のポリマー(P)と化合物(C)割合は、最終複合材料中の所望の割合による。一般的に、混合物内のポリマー(P)量は、混合物全体の質量に対して、10〜95重量%、好ましくは15〜45重量%であり、及び化合物(C)量は、5〜90重量%、好ましくは55〜85重量%である。
【0113】
好ましくは、工程(ε1)〜(ε2)で用いられる押出機は、ツインスクリュー押出機(とりわけ共回転を有する)、例えば、Clextral BV21型の押出機である。押出機の圧力作用は、一般的に10〜40バール、例えば20〜30バールである。
【0114】
工程(ε2)で行われる顆粒化のために適用される押出機の出口に存在する穴のあいたプレートは、1つ、好ましく複数の穴を備えていることが好ましい(とりわけ1〜200の穴、特には20〜200の穴、例えば30〜180の穴)。プレート上に存在する穴の直径は、典型的には、0.1〜2mmの範囲、特に0.2〜1mmの範囲、例えば0.3〜0.5mmの範囲にわたることができる。
【0115】
非好適な別の実施形態ではあるが、工程(ε1)及び(ε2)は、任意で押出機を適用せずに、化合物(C)及びポリマー(P)溶液から得られた混合物を穴から押し出す別の手段(例えば、囲い内の単純なピストン)によって行っても良い。
【0116】
押出機出口に存在し、前記穴のあいたプレートの下流に存在する刃は、典型的には切断刃又はナイフである。押出機の出口に存在する造粒機は、一般的には、これらの刃を備えている(「押出機の出口」とは、本明細書中の意味として、造粒機を包含する)。押出機の出口に存在する刃は、典型的には2〜10個、とりわけ4〜7個存在する。これらは、回転刃(切断刃、又は回転ナイフ)であることが有利であり、回転速度は典型的には2,000〜7,500rpm、特には3,000〜5,000rpmである。
【0117】
工程(ε2)を適用するために、押出機の出口は、非溶媒液体(NS)を含む浴槽の中へ開口しており、押出機の出口に存在する刃は、前記浴槽中に浸っている。穴のあいたプレートは、前記浴槽に浸っていてもよく、浸っていなくともよい。
【0118】
工程(ε2)中の非溶媒(NS)として、とりわけ水(特にポリマー(P)が酢酸セルロースであり、かつ使用される溶媒が酢酸であるとき)を使用することができ、さらに他には:
・酢酸の水性希釈溶液(特にポリマー(P)が酢酸セルロースであり、使用される溶媒が酢酸のとき)、
・エタノール(特にポリマー(P)がセルロース硫酸塩であり、使用される溶媒が水であるとき)、
・カルボン酸(特にポリマー(P)がポリビニルアルコールであり、使用される溶媒が水であるとき)、
・アルコール(特にポリマー(P)がアラビアゴムであり、使用される溶媒が(熱)水であるとき)、
・ヘキサン(特にポリマー(P)がポリエチレンであり、使用される溶媒がナフテン系オイルであるとき)。
非溶媒液体(NS)として水を用いることは特に興味深いところである。
【0119】
工程(ε2)中でポリマー(P)、溶媒(S)及び化合物(C)の混合物は、穴の開いたプレートの穴を通過することによる効果で滴に分画され(押出機内部で作用する圧力によって確保される)、その後刃によって切断される。それによって、形成された滴は、複合材料の固体粒子(典型的には果粒)に変換される。より具体的には、形成された滴が非溶媒液体(NS)と接触させたときに得られる脱溶媒和の効果の下、ポリマー(P)の沈降物は、化合物(C)が分散している多孔質固体マトリックスによって、ポリマーから形成される。
【0120】
滴からの粒子形成を制御するために、特定の実施形態によれば、工程(ε2)中で、幾つかの追加の非溶媒液体(NS)及び/又は1以上の追加のポリマー(P)タイプのポリマーを追加することができる。
【0121】
工程(ε2)中に適用される非溶媒(NS)浴槽は、好ましくは、非静的で、好ましくは非溶媒液体(NS)の流れ又はフローから成ることが好ましい。前記流れ(又はフロー)の粘度は、例えば5〜20L/min、とりわけ8〜15L/minであり、特に押出機出口における(流出物の)流速については、100〜300g/min、例えば200g/minである。
【0122】
更に、とりわけ脱溶媒和の効果を最適化するために、工程(ε2)中で適用される非溶媒(NS)浴槽の温度が、押出機から生じる化合物(C)及びポリマー(P)の混合物の温度を超えることがしばしば好ましい。従って、一般的には、少なくとも工程(ε2)の間、非溶媒(NS)液体を含む浴槽の温度は、25〜80℃、特に45〜70℃、例えば55〜65℃である。
【0123】
工程(ε2)終了時に、複合材料(M)は、溶媒(S)及び非溶媒(NS)液体を含有する液体媒体中の多孔質固体粒子の分散形態で得られる。工程(ε3)中で、これらの複合材料(M)の固体粒子は、液体媒体から分離される。前記固体/液体分離は、任意の知られた分離手段又は回収手段で確保できる。例えば、それらはフィルーターバッグの手段によって回収される。
【0124】
工程(ε4)で回収される複合材料(M)の固体粒子は、少なくとも部分的に及び好ましくは完全に残留溶媒を除去するために、工程(ε4)中(1つ又は複数の洗浄剤で)洗浄される。前記洗浄は、とりわけポリマー(P)のために使用される溶媒が酢酸であるとき、(例えば数時間水中に浸すことによって)水を用いる。そ一般的には工程(ε4)を適用する前に、工程(ε3)の終了時に得られる生成物は、工程(ε3)中に使用される液体から分離される。
【0125】
工程(ε4)後かつ工程(ε5)前では、工程(ε4)で使用された洗浄液体を除去するために、任意で(好ましくは穏やかな)脱水工程を行うことが可能である。
【0126】
乾燥工程(ε5)によって、工程(ε4)で使用された洗浄液体を除去することが可能となる。とりわけ洗浄液体が水であるとき、そして、特にポリマー(P)が酢酸セルロースであるとき、乾燥工程(ε5)は、温度40〜110℃の範囲で、例えば、換気した装置(とりわけオーブン又は流動床)で、一般的には2〜60時間、特には4〜30時間行うことが有利である。
【0127】
工程(ε1)〜(ε5)を連続して行うのは、回分式又は好ましくは連続式で行うことができる。特に工程(ε1)〜(ε2)を連続で行うのは、連続式で行うことが好ましい。
【0128】
留意すべき点として、上述した方法は、工程(ε1)〜(ε5)までの連続で行うことを含んでいるが、特に連続式のモードに従って行うときに、比較的簡単かつ迅速な方法で、材料(M)粒子に、そして限られたな工程数を有する方法でアクセスできる可能性をもたらしている。実際、果粒タイプの粒子の合成は非常に容易に起こる:
混合物(溶液中の化合物(C)+ポリマー)の滴が穴の開いたプレートの穴を通過したときにごく簡単に形成されて、押出機の出口で刃によって切断される。非溶媒(NS)液体媒体に接触しているため、これらの滴は直接的に粒子(典型的には果粒)として硬化する。こうした転換は形成粒子間での接着することなく起こり、形成された粒子は、その後単純な洗浄及び乾燥工程で回収することができる。従って、工程(ε1)〜(ε5)を連続で行うことによって、単純且つ直接的な方法で、予め決められたサイズの果粒を得ることが可能であり、前記工程は校正、シフティング、及び/又はミル工程を必要としない。
【0129】
本発明の範囲内で用いられる吸収剤中で、上記定義したように複合材料(M)は、少なくとも1つのCO
2捕捉剤のための担体として使用される。
【0130】
本発明に従った吸収剤中で担持された状態で存在するCO
2捕捉剤は、モノアミン、ポリアミン、モノグアニジン及びポリグアニジンから選択される少なくとも1つの化合物を含むことが有利であり、好ましくは、pKaが12超である。
【0131】
本発明の範囲内の適切なCO
2捕捉剤を表すものとして、とりわけ以下のものが挙げられる:
−モノエタノールアミン H
2N−(CH
2)
2−OH(いわゆるMEA)、単独又はピペラジンとの混合物として;
−ジエタノールアミンHN[(CH
2)
2−OH]
2 (いわゆるDEA);
−テトラエチレンペンタミン;
−ポリアミン、好ましくは重量分子量Mwが800〜750,000;
−アミン化されたアルコキシシランにアジリジンを添加することにより生じる高分岐化合物;
−ポリグアニジン、好ましくはpKaが12超であって、有利には以下の式で表されるポリグアニジン:
【化1】
(ここでzは通常1〜4である;)
−アミン化された多糖類(例えばキチン質等);
−コリン、有利には尿素の混合物;
−ポリアミジン、好ましくはpKaが12超、有利には以下の式にあてはまるポリアミジン:
【化2】
(ここでzは通常1〜4である。)
【0132】
より一般的には、本明細書中で上記定義した複合材料(M)上に担持されているなら、本発明の範囲内で他のタイプのCO
2捕捉剤を用いることが可能である。例として、以下から選択される化合物がCO
2捕捉剤に含まれる:
−ポリエーテル、とりわけ以下の式の1つに適合するポリエーテル:
R
a(−CH
2−CH
2−O−)x−R
b
R
a(−CH
2−CH(CH
3)−O−)y−R
b
R
a(−CH
2−CH
2−O−)z(−CH
2−CH(CH
3)−O−)z’−R
b
(ここで:
各R
a及びR
bは、同一か又は異なってもよく、アルキル基、アリール基又はアリールアルキル基(典型的には、1〜10の炭素原子を含む)を表し;及び
x、y、z及びz’は、1〜100の整数、及び好ましくは50未満の整数であり、z+z’の合計が100未満であることが有利であり、50未満であることがより好ましい);
−例えばテトラホスホニウムアミノ酸、メチルイミダゾリウム、メチルイミダゾリウム塩(とりわけ、塩素臭素タイプの対イオン、及びアニオンPF
6-又はBF
4-の塩に関連するもの)、又は以下の式のうち1つにあてはまるイオン性化合物を含む化合物等のイオン性の液体:
(R
c)
4P
+ X
-
(R
c)
4N
+ X
-
(ここで:
各4つのR
c基は、同一であっても、異なってもよく、アルキル基、アリール基、又はアリールアルキル基(典型的には1〜10の炭素原子を含み)を表し;及び
X
-は、アニオンを表し、好ましくはCl
-、Br
-、PF
6-又はBF
4-を表す);
−カルベン。
【0133】
本明細書中での意味において、用語「カルベン」は、2つの非結合性電子を有する二価の炭素を含む化学種である。該二価の炭素は6価の電子を典型的に有し、電荷を持たない。本発明の範囲内で用いることができるカルベンとして、とりわけカルベン、いわゆるN−ヘテロサイクリックカルベン(「NHC])又はアルキルアミノサイクリックユニットを有するカルベン、いわゆるCAAC(「環状アルキルアミノカルベン」)が挙げられ、例えばこれらのタイプの化合物はWO2006/138166に記載されており、該化合物の製造方法も記載されている。
【0134】
本発明に従ってCO
2捕捉剤としてカルベンを用いるときに企図される実施形態によれば、CO
2捕捉剤はカルベン前駆体から元の状態(in situ)で形成される。特定の範囲内において、本発明に従った吸収剤は、複合材料(M)上に担持された前記カルベン前駆体を含む吸収剤前駆体から元の状態で得られる。前記目的で用いられるカルベン前駆体は、詳細には以下の通り:
−例えばJ.Am.Chem.Soc.,Vol.127,p.9079,(2005)に記載されているタイプのカルベン及びアルコール付加物であって、又は例えばAngew.Chem.Int.Ed.Vol.112,p.541(2000)に記載されているタイプの二量体のカルベンであって、これらは熱処理したときにカルベンを遊離する;
−とりわけ、WO97/34875、US2005/0249925、WO2005016941、又はUS7,109,348に記載されている等の、イミダゾリウム塩(とりわけカルボキシレート、硫酸塩、硫化水素塩、スルホン酸塩、リン酸塩、リン酸水素、ハロゲン化合物、過塩素酸塩、ホウ酸塩)であって、塩基と反応させることによりカルベンを形成する。
【0135】
正確な特性に関係なく、CO
2捕捉剤は、一般的に本発明に従った吸収剤中に、吸収剤全体質量に対して0.5〜75質量%の量で含まれて存在する。吸収剤中のCO
2捕捉剤含有量は、少なくとも5質量%が有利であり、少なくとも10質量%がより好ましく、少なくとも25質量%がより有利である。捕捉剤含有量が高いため、CO
2吸収容量は、一般的には全てより高くなる。CO
2抽出の観点から興味深い結果が得られるが、捕捉剤の含有量が低いもの(例えば0.5〜25質量%)も含むが、本発明に従った吸収剤中のCO
2捕捉剤の含有量は、吸収剤全体の質量に対して、25質量%を超えると有利であり、例えば25〜75質量%であり、とりわけ30〜60質量%であり、例えば40〜55質量%である。
【0136】
本発明に従った吸収剤中に存在するCO
2捕捉剤は典型的には材料(M)上に、それ自体知られた任意の含浸方法に従って、含浸によって投入される。この事項において強調すべきこととして、本発明の範囲内で用いる材料(M)は、非常に良好な吸収特性を有しており、ほとんどのCO
2捕捉剤を容易に且つ効果的に含浸させることができる。
【0137】
CO
2捕捉剤の材料(M)への含浸は、とりわけ不均一な種類のルートに従って達成することができ、即ち直接複合材料(M)にCO
2捕捉剤を接触させたり、典型的には粉末状の状態で捕捉剤と複合材料を混合したりすることによって達成される。
【0138】
あるいは、前記含浸は、より均一な種類のルートによっても得ることができ、即ち溶媒中でCO
2捕捉剤と複合材料を接触させ、必要な場合には該溶媒は、トルエン、ジクロロメタン、キシレン又はTHF等の非プロトン製有機溶媒から選択することができる。
【0139】
含浸させるために、液体状態(例えば、要すれば溶媒中の溶液として)のCO
2捕捉剤を使用し、ミキサー中、例えばロータリーインナーシャフトを備えるVミキサー中の材料(M)に対して噴射することによって含浸させることも可能である。そして、該ミキサーは液体状態のCO
2捕捉剤を噴射し、有利には塊砕ナイフが付属しているプレートを備えている。とりわけ液体状態のCO
2捕捉剤が比較的粘度が高い場合、(例えば40〜90℃、とりわけ50〜85℃で)流動性及び従って含浸効果を向上させるために加熱することが有利である。
【0140】
本発明の特定の吸収剤は、複合材料(M)上に担持された状態のCO
2捕捉剤を含むが、ガス排出物内のCO
2量を減少させるのに特に効果的であることが証明される。
【0141】
特定の吸収剤を用いた本発明のガス処理方法は、任意のCO
2含有ガスを処理するために用いることができ、とりわけ、火力発電所、ガスタービン、石油化学精製ユニット、セメント工場、又は廃棄物焼却ユニットから生じるフローを処理するために使用できる。
【0142】
一般則として、本発明に従って処理するガス(即ち、本発明に従って処理されることを意図するガス及び本発明に従った処理をうけるガス)中のCO
2量は、かなり広範囲にわたってもよい。好ましくは1〜30質量%であり、好ましくは7〜25質量%である。
【0143】
本発明の処理方法は、処理されるガスと、担持材料(M)に含浸したCO
2捕捉剤(A)を含む吸収剤とを接触させるための任意の既知の方法自身に従って行うことができる。
【0144】
本発明の方法において、処理するガスと吸収剤とを接触させるのは、処理するガスが通過する固定床の形態で吸収剤を用いることによって達成されることが好ましい。本発明に従った吸収剤は、特に前記実施形態において採用されることが証明される。該対象に関して、本発明者によって成される業績の結果として、特にガスフローが固定床を通過したときに得られる圧力降下が許容可能であること、および使用される吸収剤が微粉を形成しないことを示している。
【0145】
或いは、処理されるガス及び吸収剤を接触させることは、流動床の形式で吸収剤を使用することによっても達成され(及び材料(M)の平均粒径D50が小さいため益々顕著になり)、又は輸送層の形式で達成される(特にCO
2とCO
2捕捉剤との反応のキネティクスが速い)。
【0146】
一般側として、本発明の方法に従ってCO
2を含有するガスの処理は、吸収剤と担体を温度T1で接触させることによって行われることが好ましく、該温度T1は、10〜100℃、例えば25〜90℃、典型的には温度が80℃未満、又は50℃未満、例えば室温(とりわけ10〜30℃)である。
【0147】
大半の場合は、前記温度T1で得られるCO
2捕捉剤は、可逆的であり、典型的には、CO
2を捕捉した吸収剤を加熱することによって、即ちCO
2を最も頻繁に回収することが可能である。前記加熱は、CO
2を遊離させるために、吸収剤をT1を上回る温度T2で加熱し、少なくとも20℃が有利であり、(T2−T1)の両温度の差が典型的には通常20〜50℃の範囲である。
【0148】
従って、特定の実施形態に従って、本発明の方法は、以下の工程を含む:
−第一工程、ここではCO
2を含有する処理するガスと上記定義した吸収剤とを、10〜100℃、例えば25〜90℃(典型的には80℃未満、又は50℃未満、例えば室温、とりわけ10〜30℃)である第一温度T1で接触させ、該接触によって、ガス中に存在する少なくとも一部のCO
2を吸収剤によって捕捉する;及び、その後に
−第二工程、ここではCO
2を含むガスフローを、第一工程で得られたCO
2を捕捉した吸収剤から回収し、前記回収は捕捉したCO
2を有する吸収剤を第一温度T1を超える第二温度T2に曝すことによって行われ、前記第二温度T2は、一般的には50〜180℃、典型的には80〜150℃であり、温度差(T2−T1)は、20〜50℃であることが有利である。
【0149】
本実施形態によると、第一工程において、本発明に従って所期通りCO
2が除去される(典型的には本発明によって処理されたガスの大気中への放出を想起させる可能性を与える)。更に、第二工程の適用中に、第一工程で吸収剤によって吸収されたCO
2の一部又は全てが、熱処理効果の下、該吸収剤から遊離する。それによって、CO
2を含む、一般的には特に純CO
2フローで典型的には少なくとも95質量%、又は少なくとも98質量%のCO
2を含むガスフローが遊離する。前記遊離は、最も頻繁にはCO
2を含むガスフローが得られるように、処理されたガスから行われる(一般的にガスフローは実質的にCO
2から成り、遊離されたガスは典型的にCO
2を少なくとも95%又は少なくとも98%のオーダーで含む)。そして、該CO
2は、処理されCO
2が除去されたガスフローから分離される。
【0150】
換言すれば、前記特定の実施形態によって、最初CO
2を含有するガスから2つの分離したガスフローが得られる可能性がもたらされる。即ち:
(i)(第一工程で得られた)処理されてCO
2が除去されたガスを含有する第一フロー;
(ii)(第二工程で得られた)CO
2を含有する第二フロー。
【0151】
吸収剤を熱処理することによって得られたCO
2を含有するガスフロー(ii)は、一般的にCO
2リッチであり、最も頻繁には、実質的にCO
2から成る(典型的には、少なくとも90質量%、最も頻繁には少なくとも95質量%、又は少なくとも98重量%のCO
2を含むガスフローである)。
【0152】
前記CO
2リッチなフロー(ii)は、とりわけ、求核性の又は電子供与性の化合物(グリニャール試薬型、水、アルコラート、アミン等の有機化金属試薬)との反応、炭酸ジメチルの合成のためのメタノールとの反応、若しくは炭酸ジアルキルの合成のためのエーテルとの反応等、より一般的にはCO
2が関与する「Chem.Rev.,Vol.107,pp.2365−2387(2007)」に記載の任意の反応に適用することができる。前記範囲内では、吸収剤から遊離した直後にCO
2を使用することが有利である。
【0153】
本発明の実施形態において、CO
2を含有する処理するガス及び吸収剤を接触させるために、そしてその後反応した吸収剤を熱処理することによって、CO
2を回収するために、上述した工程を両目的で適用することを、より低いCO
2量のガスからCO
2リッチなガスを提供するために、有利に利用することができる。典型的には、第一工程において、例えば、1〜30質量%、好ましくは7〜25質量%のCO
2を最初に含むガスを処理することが可能であり、前記処理によって、少なくとも95質量%のCO
2、又は少なくとも99質量%のCO
2を含むガスフローを生成できる。