【実施例】
【0021】
以下に説明する開閉装置1は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置として適用可能であり、特に好ましい態様として、火災等の非常時に自動閉鎖されて火炎や煙の蔓延を防ぐ防火シャッター装置に適用した一例である。
【0022】
この開閉装置1は、
図1に示すように、閉鎖方向端部をスライドさせて自重閉鎖可能な開閉体10と、該開閉体10の幅方向(
図1の左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取装置30と、巻取装置30を制御する制御部60とを備え、閉鎖動作中の開閉体10が障害物Xに接触した場合に、開閉体10の閉鎖動作の停止や反転等、適宜な制御を行う。
【0023】
開閉体10は、開閉体本体11と、該開閉体本体11の下端側に接続され開閉体本体11に相対して開閉方向へ移動可能な可動座板12であって開閉体10の全閉時に着座対象部位Pに当接可能な可動座板12とを備え、該開閉体10の閉鎖方向端部側に、開閉体本体11に相対する可動座板12の開放方向への移動により接点13aを開閉させるスイッチ回路13を有する。
【0024】
開閉体本体11は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、上下に隣接する該スラット11a,11a間で回動するように複数連接してなり、この開閉体本体11の下端側には、開閉体幅方向へ連続して下方を開口した凹枠状の固定座板11bが設けられる(
図5参照)。そして、この固定座板11b内には、揺動部材11cが、その揺動支点部を開閉体厚さ方向の一端側に支持した状態で設けられ、固定座板11b内における揺動部材11cよりも下側には、開閉体幅方向へわたる長尺状の可動座板12が、上下方向へスライドするように係合している。
【0025】
揺動部材11cは、可動座板12に押圧されて開閉体開放方向へ揺動し、また自重によって開閉体閉鎖方向へ揺動するように、開閉体本体11における固定座板11bの内壁に回転自在に支持されている。
この揺動部材11cは、開閉体幅方向の何れの位置であっても可動座板12に対し当接するように、開閉体幅方向の略全長にわたって設けられる。
【0026】
また、可動座板12は、開閉体幅方向の略全長にわたる部材であり、開閉体本体11の下端部から下方へ突出しており、開閉体本体11に相対して上下方向へ所定量だけ自在に移動する。図示例の可動座板12は、単数もしくは複数の部材から縦断面略逆T字状に構成され、その上端側の部分を、開閉体本体11の固定座板11b内に、上下スライド可能に係合している。
【0027】
スイッチ回路13は、開閉体本体11下端側に設けられ、開閉体本体11下端の前記固定座板11b内に固定されたリミットスイッチAと、該リミットスイッチAから引き出された電気配線Bとを具備する。
【0028】
リミットスイッチAは、接点13aを内在するスイッチ本体a1と、該スイッチ本体a1に相対する動きにより接点13aを開閉(オンオフ)するアクチュエータa2とを備え、アクチュエータa2を開閉体厚さ方向へ傾斜する下方へ向けて、スイッチ本体a1を開閉体本体11に対し止着している。
【0029】
アクチュエータa2は、ばね材等の弾性変形可能な金属材料から長尺状に形成され、その一端側(基端側)を、ブラケット11eを介して開閉体本体11に止着するとともに、その他端側(自由端側)を、揺動部材11cの先端側の上面に対向するように配置している。
【0030】
接点13aは、アクチュエータa2における曲げ部分a21よりも前記一端側の部分に押されて閉(オン)となるように設けられている。
より詳細に説明すれば、可動座板12が開閉体本体11に相対して上昇すると、この上昇に伴って揺動部材11cが上方へ揺動し、この揺動部材11cに前記アクチュエータa2が押されて揺動し、この揺動部分に接点13aが押されることで、該接点13aは閉状態となる。
また、この状態から、可動座板12が開閉体本体11に相対して下降すると、この下降に伴って揺動部材11cが下方へ揺動し、この揺動に伴って前記アクチュエータが逆方向へ戻されるため、接点13aが開状態となる。
なお、他例としては、前記とは逆に、可動座板12の開閉体本体11に相対する上昇により、接点13aが閉状態から開状態になる構成とすることも可能である。
【0031】
電気配線Bは、
図4に示すように、リミットスイッチAから開閉体幅方向へ延設され、固定座板11bの天壁に上方向きに貫通挿入され、固定座板11bの外部上面を這うようにして開閉体幅方向へ導かれるとともに、配線保護部材14,15内の空間を通り、配線保持具16に挿通された後、開閉体本体11面に沿って上方へ導かれる。
そして、電気配線Bは、開閉体10の閉鎖動作に伴ってリール装置70から繰り出され、開閉体10の開放動作に伴ってリール装置70に巻き取られる。なお、開閉体10が全開になった際、全ての電気配線Bがリール装置70に巻き取られるわけではなく、電気配線Bの一部は、垂れ下がるようにして下方へ延びている。この延び量は、開口部を通過する通過物の障害とならない程度に設定されている。
この電気配線Bは、ハーネスH1,H2、電線、及びこれらを着脱可能に接続するコネクター13h,13f等からなり、後述するスイッチ回路13を構成している。
【0032】
一方の配線保護部材14は、固定座板11bの開閉体幅方向の端部側に固定され、電気配線Bを覆い保護するとともに、開閉体10の全開時の上限を感知するためのタッチプレートとしても作用する。
この配線保護部材14は、
図5に示すように、断面略逆T字状の固定座板11bの上面に沿う電気配線Bをその上方側から覆うように設けられて、固定座板11bに固定され、固定座板11bから開閉体厚さ方向へ突出する鍔部14aを有する。この鍔部14aは、巻取装置30内の図示しないリミットスイッチにより感知されるように設けられる。
【0033】
他方の配線保護部材15は、固定座板11bの外部上面との間に、電気配線Bを挿通する空間を確保している。この配線保護部材15の外部上面には、後述する配線保持具16が止着される。そして、配線保護部材15は、開閉体本体11に対し、図示しない止着具(例えば、ボルトやネジ等)によって着脱可能に止着されている。したがって、メンテナンス等の際には、該配線保護部材15を外して、ハーネスH1,H2や電線等の接続箇所(コネクター13h,13f)を外部へ露出させることができる。
なお、
図4には表示されていないが、第一抵抗13b及び第二抵抗13cも、配線保護部材15内の空間に位置し、配線保護部材15によって覆い保護されている。
【0034】
配線保持具16は、配線保護部材15の上部に固定された、内部が中空の部材であり、図示例によれば略直方体の部材である。この配線保持具16は、壁部16a(
図4の一例によれば手前側の壁部)の貫通孔に、開閉体厚さ方向へ電気配線Bを挿通し、該電気配線Bを上方へ導いている。電気配線Bは、前記壁部16aよりも可動座板12側に、前記貫通孔よりも大きい結び目b1を有し、該結び目b1によって前記貫通孔から開閉体厚さ方向の外側へ引き抜かれて、コネクター13h,13f等が外れるのを防いでいる。第一抵抗13bと第二抵抗13c(ハーネスH1,H2及びコネクター13h,13f)は、配線保持具16の前記貫通孔及び結び目b1よりも、リミットスイッチA寄りに位置している。
【0035】
前記リミットスイッチA及び電気配線B等によって構成されるスイッチ回路13について、より詳細に説明すれば、このスイッチ回路13は、リミットスイッチAに内在された接点13aと、該接点13aに対し並列接続されるようにして該接点13aと制御部60との間に電気的に接続された第一抵抗13bと、接点13aに対し直列接続されるようにして接点13aと制御部60との間に電気的に接続された第二抵抗13cとを具備する(
図2参照)。
図2に示すスイッチ回路13の一例では、第一抵抗13bの端子間の抵抗値を抵抗測定手段61によって測定するようにして制御部60に電気的に接続される。抵抗値の測定は、例えば、コンパレータを使用して電圧比較を行う回路等による。
【0036】
接点13aの一方の端子と他方の端子は、それぞれ制御部60側の電気配線に対し着脱可能に接続される。
詳細に説明すれば、接点13aの一方(
図2に)の端子には、電線13dが接続され、同接点13aの他方の端子には、電線13eが接続される。そして、これら電線13d,13eの制御部60側には、コネクター13fが接続される。
コネクター13fは、片半部13f1と他半部13f2とを着脱可能に接続してなり、片半部13f1に電線13d,13eを接続するとともに、他半部13f2には、一方の電線13dに導通させるようにして第二抵抗13cを、他方の電線13eに導通させるようにして電線13gを、それぞれ接続している。第二抵抗13cと電線13gは、束ねられて、図示しないビニル電線管に収容されることで一体化される。
そして、第二抵抗13c及び電線13gの制御部60側には、コネクター13hが接続される。コネクター13hは、片半部13h1と他半部13h2とを着脱可能に接続してなり、片半部13h1に第二抵抗13cと電線13gを接続するとともに、他半部13h2には、第二抵抗13cに導通させるようにして電線13iを、電線13gに導通させるようにして電線13jを、それぞれ接続している。電線13i,13jの反コネクター13h側は、制御部60内の抵抗測定手段61に接続され、また、これら電線13iと電線13jとの間には、第一抵抗13bが接続される。
【0037】
よって、上記スイッチ回路13によれば、第二抵抗13c及び電線13g(詳細には、第二抵抗13c、電線13g、コネクター13hの片半部13h1、コネクター13fの他半部13f2、及び図示しない電線管)を一体的なハーネスH1として扱うことができる。
同様に、接点13a(詳細には、接点13a、電線13d、電線13e、及びコネクター13fの片半部13f1)も一体的なハーネスH2として扱うことができる。
【0038】
なお、上記構成のスイッチ回路13から、ハーネスH1を省き、ハーネスH2をコネクター13hの他半部13h2に直接接続すれば、従来技術と略同様の構成にすることが可能である。すなわち、上記構成のスイッチ回路13によれば、従来のスイッチ回路のコネクター13hの他半部13h2と、ハーネスH2との間に、ハーネスH1を装着するようにして、従来のスイッチ回路を本実施例のスイッチ回路13に容易に変更することができる。
【0039】
また、スイッチ回路13における電線13i,13jの制御部60側の部分は、ビニル電線管に挿通されて束ねられて上記電気配線Bを構成し、ガイドレール20の外側で開閉体10面に沿って、巻取装置30の収納ケース31内へ導かれ、リール装置70の巻取体に巻かれる。なお、他例としては、電気配線Bをガイドレール20内に挿通して収納ケース31内へ導くことも可能である。
【0040】
ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体10によって着座される着座対象部位P(例えば、床面や地面、枠部材等)と巻取装置30との間にわたって配設されている(
図1参照)。
【0041】
巻取装置30は、開閉体幅方向へ長尺な略直方体状の収納ケース31と、該収納ケース31内で開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸32と、該巻取軸32をチェーン及びスプロケット等の動力伝達手段33を介して駆動回転させたり制動したりする開閉機40と、該開閉機40を制動解除操作して開閉体10を自重によって閉鎖動作させる自動閉鎖装置50と、スイッチ回路13の電線13i,13jを巻き取ったり繰り出したりするリール装置70とを具備している(
図1参照)。
【0042】
巻取軸32は、開閉体幅方向へわたる長尺円筒状の部材であり、不動部位である収納ケース31に対し双方向へ回転するように支持されている。この巻取軸32は、不動部位に固定された固定軸に対し、その周囲の巻取体を回転させる態様や、不動部位に対し直接的に回転自在に巻取体を支持した態様、巻取体をその下方側の一対のローラによって回転自在に支持する態様、ガイド軸によって略水平方向へ導かられる開閉体10を巻取体に巻き取るようにした態様(二軸式の巻取軸)等とすることが可能である。
【0043】
開閉機40は、例えば実開平01−118084号公報に示される周知構造の開閉機に、露出した操作体41を設けてなり、ブラケット等を介して収納ケース31等の不動部位に支持される。
この開閉機40は、より詳細に説明すれば、内在する付勢部材の付勢力により拘束状態になり前記操作体41の操作により解放状態になるブレーキ機構42と、該ブレーキ機構42によって拘束されたり開放されたりする駆動軸43と、該駆動軸43を回転させる回転駆動源44(例えば、回転式電動モータや、水圧や油圧、空圧により回転するモータ等)とを一体的に備え、前記駆動軸43の回転力を、動力伝達手段33を介して巻取軸32に伝達する。
【0044】
自動閉鎖装置50は、開閉機40にブラケット等を介して支持され、制御部60から電気信号によって進退する進退部材(図示せず)によって、開閉機40における操作体41を拘束方向や解除方向(逆方向)へ移動させて、ブレーキ機構42を拘束状態にしたり開放状態にしたりする。この自動閉鎖装置50の電源は、商用電源とすることも可能であるが、停電時でも作動が可能なように、災害時等の非常信号がある場合には、図示しないバッテリー電源に切り替えられる。
【0045】
制御部60は、マイコン回路やシーケンサー等のプログラムドロジック回路、あるいは電子回路やリレー回路等によるワイヤードロジック回路等により構成され、図示しない操作部(操作BOXや、リモコン、操作信号を発するコンピュータ、携帯端末、起動センサー等)などから入力される信号に応じて回転駆動源44を正方向や逆方向へ回転させたり、火災時等の非常信号に応じて自動閉鎖装置50を作動させてブレーキ機構42を解除し開閉体10を自重降下させたり等する。
さらに、この制御部60は、スイッチ回路13の合成抵抗値を測定する抵抗測定手段61を備え、該抵抗測定手段61の測定値に応じて、例えば、開閉体10の閉鎖動作を停止したり、開閉体10を停止後反転したり、スイッチ回路13の異常に応じた処理を行ったり等、所定の制御を行う。
【0046】
抵抗測定手段61は、スイッチ回路13の合成抵抗値を測定し、その測定値に応じた電気信号を出力する回路である。制御部60は、前記電気信号によって把握される合成抵抗値に応じて、所定の制御を行う。
【0047】
また、リール装置70は、スイッチ回路13の電線13i,13jを含む電気配線Bを巻き取ったり繰り出したりするように回転自在に支持された巻取体と、該巻取体を巻き取り方向へ付勢する付勢手段(例えば、コイルばねゼンマイ等)と、電線13i,13jにより伝達される電気信号を出力する出力端子等を備え、前記出力端子から出力される電気信号を制御部60へ送信するように電気的に配線されている。
【0048】
次に、制御部60による制御動作の一例を
図3に沿って詳細に説明する。
制御部60は、災時等の非常信号を受けると、自動閉鎖装置50を作動させてブレーキ機構42を解除し開閉体10を自重降下させる。
ステップ1では、スイッチ回路13の合成抵抗値が第一の範囲内にあるか否かを判断し、第一の範囲内であればステップ2へ処理を進め、そうでなければ、ステップ1aへ処理をジャンプする。
前記第一の範囲は、断線や短絡等のない状態で、接点13aが閉となった場合におけるスイッチ回路13全体の抵抗値を含む数値範囲であり、例えば、並列接続された第一抵抗13bと第二抵抗13cの合成抵抗値を含む抵抗値幅であって、且つ誤動作等を生じない適宜な抵抗値幅を設定すればよい。この第一の範囲は、図示例によれば、20〜30kΩの範囲とされる。
【0049】
ステップ2では、接点13aが閉である判断して、この判断に応じた所定の制御を行い、その後、処理を前記ステップ1へ戻す。
このステップ2における前記所定の制御とは、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物Xに当接したことに対する制御であり、本実施例では、自動閉鎖装置50を復帰位置(ブレーキ機構42を拘束状態する位置)にする信号を送信する。
したがって、開閉体10が閉鎖動作中の場合は、自動閉鎖装置50の復帰方向への動作により、ブレーキ機構42が開放状態から拘束状態になって、開閉体10の閉鎖動作が停止する。また、開閉体10の閉鎖方向端部が既に障害物Xに当接し、開閉体10の閉鎖動作が途中停止している状態であれば、その停止状態が継続される。
このステップ2における前記所定の制御の他例としては、開閉体10を停止後に所定量反転動作させる態様や、開閉体10の停止と共に障害物を感知したことの警報の出力(光や音の発生、電気信号の出力等を含む)を行う態様等としてもよい。
【0050】
また、ステップ1aでは、スイッチ回路13の合成抵抗値が第二の範囲内にあるか否かを判断し、第二の範囲内であればステップ2aへ処理を進め、そうでなければ、ステップ1bへ処理をジャンプする。
このステップ1aにおける第二の範囲は、断線や短絡等のない状態で、接点13aが開となった場合におけるスイッチ回路13全体の抵抗値を含む数値範囲であり、例えば、第一抵抗13bのみの抵抗値を含む抵抗値幅であって、且つ誤動作等を生じない適宜な抵抗値幅を設定すればよい。この第二の範囲は、図示例によれば、40〜60kΩの範囲とされる。
【0051】
ステップ2aでは、接点13aが開である判断して、この判断に応じた所定の制御(ステップ2の場合とは異なる制御)を行い、その後、処理を前記ステップ1へ戻す。
このステップ2aにおける前記所定の制御とは、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物Xに当接していないことを前提とした制御であり、例えば、開閉体10が閉鎖動作中の場合には、自動閉鎖装置50の作動状態及びブレーキ機構42の解放状態を維持することで、開閉体10の閉鎖動作を継続し、開閉体10の閉鎖動作が途中停止している場合には、自動閉鎖装置50を復帰状態から作動状態にすることで、ブレーキ機構42を拘束状態から開放状態にして、開閉体10の閉鎖動作を再開する。
なお、開閉体10の閉鎖動作中であることを報知するように、警報音や点滅光を発するようにしてもよい。
【0052】
ステップ1bでは、異常と判断して次のステップ2bへ処理を移行する。すなわち、このステップ1,1a及び1bによれば、スイッチ回路13の合成抵抗値が第一の範囲内になく且つ第二の範囲内にもない場合には、何らかの異常と判断し、次のステップ2bへ処理を進める。
【0053】
ステップ2bでは、スイッチ回路13の合成抵抗値が第一の範囲よりも小さい第三の範囲内にあるかを判断し、第三の範囲内であれば次のステップ3bへ処理を進め、そうでなければステップ1cへ処理を進める。
ここで、前記第三の範囲は、第一抵抗13b及び第二抵抗13cよりも制御部60で、電線13i,13j間が短絡した場合におけるスイッチ回路13全体の数値範囲であり、例えば、第一抵抗13bと第二抵抗13cの何れの抵抗値よりも小さい範囲の抵抗値幅であって、且つ誤動作等を生じない適宜な抵抗値幅を設定すればよい。この第三の範囲は、図示例によれば、0〜10kΩの範囲とされる。
【0054】
ステップ3bでは、短絡異常と判断するとともに、この判断に応じた所定の制御を行い、その後、ステップ4bへ処理を進める。
すなわち、第一抵抗13b及び第二抵抗13cよりも制御部60側で、電線13i,13j間が短絡した場合、あるいは、電線13i,13j間が断線し、その断線箇所が短絡した場合には、抵抗測定手段61によって測定される抵抗値が、第一の範囲及び第二の範囲よりも大幅に低くなって、第三の範囲内となるため、このことによって、前記のような短絡異常の発生を判断することができる。
また、このステップ3bにおける前記所定の制御は、例えば、開閉体10の停止、及び/又は、短絡異常が生じたことの警報の出力(光や音の発生、電気信号の出力等を含む)等の制御とすればよい。
【0055】
次のステップ4bでは、復旧信号があるのを待ち、復旧信号があった場合には、ステップ1へ処理を戻す。
ここで、復旧信号とは、異常停止した開閉体10を再降下させるために発せられる信号であり、通常、短絡や断線などの異常個所を修理あるいは交換した後に発せられる信号である。この復旧信号は、例えば、図示しない操作部の開ボタンと閉ボタンを同時に押す操作等の特別な操作により発せられる信号や、図示しない復旧専用スイッチの操作により発せられる信号、又は遠隔操作で発せられる信号、異常個所の修理や交換が完了したことを自動感知して送信される信号等とすればよい。
なお、他例としては、前記のような復旧信号の入力を省略し、例えば、修理後等により異常以外の通常状態になったことを、制御回路の状態や他の手段等により認識し、この認識の後に、復旧処理(ステップ1へ戻す処理)を行うようにしてもよい。
【0056】
また、ステップ1cでは、スイッチ回路13の合成抵抗値が第二の範囲よりも大きい第四の範囲内にあるかを判断し、第四の範囲内であれば次のステップ2cへ処理を進め、そうでなければステップ1dへ処理を移行する。
ここで、前記第四の範囲は、第一抵抗13b及び第二抵抗13cよりも制御部60で、電線13i,13j間が断線した場合におけるスイッチ回路13全体の数値範囲であり、例えば、第一抵抗13bと第二抵抗13cの何れの抵抗値よりも大きい範囲の抵抗値幅であって、且つ誤動作等を生じない適宜な抵抗値幅を設定すればよい。この第四の範囲は、図示例によれば、60kΩ〜無限大の範囲とされる。
【0057】
ステップ2cでは、断線異常と判断するとともに、この判断に応じた所定の制御を行い、その後、ステップ4bへ処理を進める。
すなわち、第一抵抗13b及び第二抵抗13cよりも制御部60側で、電線13iと電線13jの何れかが断線した場合、あるいは、電線13i,13jにおける接続部分が外れた場合等には、抵抗測定手段61によって測定される抵抗値が、第一の範囲及び第二の範囲よりも大幅に大きくなって、第四の範囲内となるため、このことによって、前記のような断線異常が発生したことを判断することができる。
また、このステップ2cにおける前記所定の制御は、例えば、開閉体10の停止、及び/又は、断線異常を生じたことの警報の出力(光や音の発生、電気信号の出力等を含む)等の制御とすればよく、好ましくは、異常の種類を区別できるように、ステップ3b及び後述するステップ1dの制御内容とは異なる制御とされる。
【0058】
ステップ1dでは、上述した短絡異常でなく且つ断線異常でもないその他の異常と判断し、所定の制御を行った後に、ステップ4bへ処理を進める。
すなわち、例えば、ノイズ等により制御回路の誤動作やその他の原因等により、合成抵抗値が第一の範囲でなく、第二の範囲でもなく、第三の範囲でもなく、かつ第四の範囲でもない場合には、このステップ1dが実行される。
このステップ1dにおける前記所定の制御は、例えば、開閉体10の停止、及び/又は、その他の異常を生じたことの警報の出力(光や音の発生、電気信号の出力等を含む)等の制御とすればよく、好ましくは、異常の種類を区別できるように、ステップ3b及び後述するステップ2cの制御内容とは異なる制御とされる。
【0059】
よって、
図3に示すフローチャートによれば、スイッチ回路13の異常がない場合には、開閉体10の閉鎖動作を継続したり、障害物の感知(接点13aの開閉)に応じて開閉体10を停止したり開閉体10を再降下したり等の適宜な制御を行うことができる(ステップ1〜2,1a〜2a参照)。
また、異常が生じた場合には、その異常が、断線異常か、短絡異常、これら以外の異常かを判断し、それぞれの異常の種類に応じた制御を行うことができる(ステップ1b〜3b,1c〜2c,1d参照)。
そして、前記何れかの異常がなくなって、操作者の行為等による復旧信号がある場合には、前述した異常のない場合の処理に戻ることができる(ステップ4b参照)。
【0060】
また、上記構成の開閉装置1によれば、上述したように、従来のスイッチ回路を、ハーネス1を装着するだけで、容易に本実施例とすることができる。
また、メンテナンス作業等において、接点13aを含むリミットスイッチの故障や、第二抵抗13cの接触不良等を発見した場合には、これらの故障箇所を、ハーネスH1及び/又はハーネスH2の交換によって容易に修理することができる。
【0061】
なお、制御部60による好ましい制御例を
図3のフローチャートに示したが、このフローチャートは、判断のための各範囲や、各判断に対応した制御、処理の順序等を、必要に応じて適宜に変更可能である。
【0062】
また、上記実施例では、可動座板12の開閉体本体11に相対する上昇によって開閉する接点13aについて上記スイッチ回路13を構成したが、他例としては、障害物等の物体を非接触感知するセンサ(例えば、光電管センサや、焦電センサ等)の接点について上記スイッチ回路13を構成したり、開閉機40等の回転部分の回転量によって開閉する接点(より具体的には開閉体10の全閉位置や全開位置を前記回転部分の回転量によって感知するカウンター式リミットスイッチの接点)について上記スイッチ回路13を構成したり、開閉体10の負荷値が所定のしきい値を超えた際に開閉する接点について上記スイッチ回路13を構成したり、当該開閉装置1の近傍に設けられるマットスイッチの接点について上記スイッチ回路13を構成したり、図示しない人感センサーの出力接点について上記スイッチ回路13を構成したり等、所定の事象の発生に応じて開閉する接点について上記スイッチ回路13を構成することが可能である。
【0063】
また、上記実施例によれば、二つの抵抗13b,13cのうち、第二抵抗13cのみを着脱可能に構成したが、他例としては、第一抵抗13bと第二抵抗13cの双方を着脱可能にしたり、第一抵抗13bのみを着脱可能にしたり等することも可能である。
【0064】
また、上記実施例によれば、コネクター13hの片半部13h1、コネクター13fの他半部13f2、第二抵抗13c及び電線13gからなるハーネスH1の着脱によって、第二抵抗13cが着脱されるようにしたが、他例としては、第二抵抗13cの両端にコネクターを設けて、第二抵抗13cのみが着脱する構成とすることも可能である。
【0065】
また、第一抵抗13bと第二抵抗13cは(詳細には、コネクター13h,13f、及びハーネスH1,H2も)、抵抗測定手段61により合成抵抗値を測定できるようにすれば、電気配線上の配置を任意とすることが可能であるが、好ましくは、開閉体10の全開から全閉までの範囲において(特に全開状態において)、リール装置70に巻き取られない位置に設けられ、さらに好ましくは、開閉体10の閉鎖方向端部側(より好ましくは、固定座板11bの位置や、該固定座板11bの近傍となる位置)に設けられる。
【0066】
また、固定座板11bの上側で電気配線Bを保護する構成は、上記配線保護部材15等に置換して、
図6に示す配線保護部材15’及び保持ブラケット17等とすることが可能である。
配線保護部材15’は、電気配線Bを環状に囲むパイプ状の配線保護部材であり、固定座板11bの上面に止着されている。この配線保護部材15’は、固定座板11b上面に固定される基部と、該基部に対し断面略凹状に嵌合されたカバー部とからなり、メンテナンス等のために前記カバー部を着脱することが可能である。
また、保持ブラケット17は、アングル状の部材であり、その上面に、電気配線Bを沿わせるとともに、該電気配線Bを挿通保持する配線保持具16を固定している。
よって、
図6に示す保護構造によっても、配線保護部材15’のカバー部を着脱して電気配線Bの接続箇所(ハーネスH1、コネクター13h,13f等)メンテナンスが可能である。その上、
図5に示す上記実施例と同様に、電気配線Bの結び目b1と配線保持具16との係合によって、電気配線Bに生じる張力でコネクター13h,13fが外れるようなことを、防ぐことができる。
【0067】
また、上記実施例によれば、開閉体10の一例として複数のスラットを連設してなるシャッターカーテンを示したが、この開閉体10の他例としては、単数もしくは複数のパネルや、シート状物、ネット状物を開閉方向へ配設してなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様等とすることも可能である。