【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のドッキングコネクタは、(1)両端面に電極を有する扁平柱状のチップコンデンサと、前記チップコンデンサを保持する上面及び底面を有する絶縁性のハウジングと、を備え、前記上面底面方向を高さ方向とし、前記高さ方向に直交する方向を軸方向及び、前記高さ方向、軸方向ともに直交する方向を幅方向とするときに、前記チップコンデンサの前記電極のうち少なくとも前記上面側の電極は、
前記ハウジングの面上に露出する態様で前記軸方向又は前記幅方向に沿って規則的に整然と保持され、このように露出する前記電極のうち少なくとも前記上面側の電極は、弾力性を有する導電性部材を備えるところに特徴を有するものである。
【0007】
この発明によれば、ドッキングコネクタは、チップコンデンサを内蔵し、チップコンデ
ンサの平坦な電極が少なくともハウジングの上面側に露出し、その電極の表面には導電性部材がコートされている。これにより、導電性部材がコートされたチップコンデンサの平坦な電極をドッキングコネクタの電極として使用できる。したがって、平坦で弾力性のあるドッキングコネクタの電極が得られるので、たとえば、ノートPC側の拡張コネクタがその底面に対して平坦な弾力性のある電極を備えていて、その電極の位置(配置)と、このドッキングコネクタの電極の位置(配置)とを合わせておけば、ドッキングステーションの所定の場所にノートPCを置くだけで電気的な接続をおこなうことができる。これにより、ノートPCのドッキングステーションとの挿脱操作に要する力の軽減を図ることができる。
【0008】
チップコンデンサの電極がハウジングの上面側だけでなく、底面側にも露出する形態であってもよく、この場合、チップコンデンサの平坦な電極は、弾力性のある導電性部材でコートされていてもよく、あるいは導電性部材でコートされていない本来の金属の電極であってもよい。
【0009】
導電性部材は、合成樹脂に添加されたカーボン粒子により導電性が付与された導電性樹脂であってよく、また、たとえばシリコーンゴムに導電性が付与された導電性ゴムであってもよい。さらに、弾力性を有する樹脂である導電性エラストマであってもよい。また、カーボンの代わりに銀フィラー等の金属粒子で導電性が付与されたものであってよく、樹脂ビーズの表面が金メッキされた導電性粒子が添加されたものであってもよい。
【0010】
この発明によれば、ドッキングコネクタは、チップコンデンサを内蔵するので、その容量を選択することで必要な周波数のみを通過させるフィルタ機能を備えるものである。したがって、比較的低い周波数帯のノイズ成分を除くハイパスフィルタを構成することも可能である。これにより、配線基板上にコンデンサを装着する必要がなくなるので、そのためのスペースを有効利用できる。
【0011】
チップコンデンサは、一般に市場で入手可能なセラミック積層チップコンデンサ、チップタンタル電解コンデンサ、あるいはチップアルミ電解コンデンサなどから選択してよい。これらチップコンデンサは、素子が熱硬化性樹脂等で封止されたブロック体で、両端面にリン青銅等の銅系合金や42アロイ等の鉄系合金で電極が形成されたものであってよい。
【0012】
ハウジングへのチップコンデンサの埋め込みは、いわゆるインサート成形による方法であってよい。すなわち、チップコンデンサをハウジング成形金型内の所定の位置にセットし、この状態のキャビティに母材を鋳込む方法である。この方法によれば、ハウジングの成形と同時にチップコンデンサの埋め込みが行なわれるので、作業効率の向上が図られる。また、チップコンデンサにセラミック積層コンデンサを選択すると、このコンデンサ自体が一般的に千数百度の温度で焼成されているので、成形温度で素子の劣化が生じるおそれはない。
【0013】
ハウジング材料は、絶縁性の合成樹脂、シリコーンやウレタン等の合成ゴム、あるいは柔軟性のあるエラストマであってよい。ゴムやエラストマを選択すると薄く柔軟性を有するシート状のドッキングコネクタが得られる。
【0014】
さらに好ましくは、本発明のドッキングコネクタは、(2)前記ハウジングが前記一方の面に
前記チップコンデンサを収容するための開口部、この開口部に連設された収容室を備え、前記ハウジングに組み込まれ、前記チップコンデンサの反開口部側にある電極に接続する接続部、この接続部につながる前記ハウジングの底面に露出する実装部、を備えた導電性部材を備えるところに特徴を有する(1)記載のものである。
【0015】
この発明によれば、チップコンデンサは完成されたハウジングに成形後組まれるので、ハウジングの成形を効率よく行なうことができる。ハウジングは、底面にチップコンデンサの電極と配線基板とを接続するための導電性部材を備える。導電性部材にたとえば板状銅合金を使用する場合、ドッキングコネクタをドッキングステーションに接続する手段として半田リフロー方式をとることができる。
【0016】
導電性部材は、カーボン粒子により導電性が付与された導電性樹脂、あるいは導電性ゴムであってよい。さらに、弾力性を有する樹脂である導電性エラストマであってもよい。また、金属粒子で導電性が付与されたものであってよく、樹脂ビーズの表面が金メッキされた導電性粒子が添加されたものであってもよい。
【0017】
さらに好ましくは、本発明のドッキングコネクタは、(3)前記開口部はカバーを備え、前記カバーは、
平坦な弾力性のある外部電極を備えるとともに、前記チップコンデンサの前記電極を前記外部電極に接続するための接続手段を備えるところに特徴を有する(2)記載のものである。
【0018】
この発明によれば、ドッキングコネクタは、平坦な弾力性のある電極を備えたカバーでハウジングの開口部が封止されているので、ドッキングステーションのノートPCの載置面上にドッキングコネクタ用の凹部を穿ち、その凹部にドッキングコネクタを嵌め込むことで載置面と面一でドッキングコネクタを装着することができる。これにより、載置面に突状部が生じないドッキングコネクタを組み付けることができる。
【0019】
この発明によれば、ドッキングコネクタは、ドッキングステーションの載置面に穿たれた凹部に嵌め込まれる。ドッキングコネクタは、内部にブロック状のチップコンデンサを収容するための収容室と、上下面に平坦な電極を備える構造であるので、その外形は、たとえばシンプルな矩形状をとることができる。これにより、比較的隙間なくドッキングコネクタを凹部に嵌め込むことができ、ほこりや水滴の進入を抑制することができる。
【0020】
さらに好ましくは、本発明のドッキングコネクタは、(4)前記カバーが弾力性のある導電性部材からなり、この導電性部材は前記チップコンデンサの開口部側の電極に電気的に接続し、前記カバーの外面は外部電極を形成するところに特徴を有する(3)記載のものである。
【0021】
この発明によれば、カバーは弾力性のある導電性部材からなるので、カバー自体がチップコンデンサの電極を外部電極に接続するための接続手段を備えるものである。これにより、カバーの構造がよりシンプルになり、ドッキングステーションの載置面との面一性や凹部との隙間の軽減が一層行ないやすくなる。
【0022】
導電性部材は、導電性樹脂、導電性エラストマ、導電性ゴム、あるいは、特定方向に電気を流す性質を備えた異方性導電シートであってよく、これらは、母材に添加されたカーボン粒子、銀や金など金属粒子、あるいはこれらのめっき粒子によって導電性が付与されたものであってよい。勿論、カバーが金属で成形されたものであってもよい。
【0023】
さらに好ましくは、本発明のドッキングコネクタは、(5)前記導電性部材がカーボン粒子を合成樹脂材に分散してなる導電性樹脂である(4)記載のものである。
【0024】
この発明によれば、カバーがカーボン添加による導電性樹脂からなるので、耐食性の優れたドッキングコネクタが得られる。
【0025】
さらに好ましくは、本発明のドッキングコネクタは、(6)前記カバーが導電性樹脂であり、前記ハウジングの前記収容室に前記チップコンデンサが収容された状態で、前記カバーを2次成形するところに特徴を有する(5)記載のものである。
【0026】
この発明によれば、カバーが導電性樹脂であり、チップコンデンサを収容した状態で2次成形するので、封止作業が容易になるとともに、型通りのカバーの外形が得られる。これにより、一層ドッキングステーションの載置面に対して平坦な面が得られる。また凹部との隙間も軽減される。
【0027】
さらに好ましくは、本発明のドッキングコネクタは、(7)前記チップコンデンサが50nF〜200nF(ナノファラド)の容量を有するところに特徴を有する
(1)〜(6)のいずれか1つに記載のものである。
【0028】
この発明によれば、50nF〜200nFのチップコンデンサを内蔵するので、比較的低い10kHz以下の周波数がカットされるハイパスフィルタが構成される。これにより、ノイズ成分が軽減された高周波信号が得られる。