(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)の干渉色薄片状タルクは、薄片状タルクの表面が酸化チタンによって被覆されたものである。母粉体となる薄片状タルクとしては、特に制限されず、例えば、タルク原鉱石を粉砕分級して得られる薄片状タルクを用いることができる。
成分(A)の干渉色薄片状タルクは、このような薄片状タルク表面に、例えば、湿式加水分解法で、酸化チタンを被覆することにより得ることができる。
薄片状タルクと酸化チタンの質量割合は、30/70〜70/30であるのが好ましい。
【0009】
成分(A)の干渉色薄片状タルクは、酸化チタン層の層厚を調整することによって得られる干渉色の色相を調整することができる。また、薄片状タルクの粒子の大きさ及び粒子の厚さによって干渉色が違ってくる。代表的なものを示すと、マンセル色相(H)がP、RP、R領域にある干渉色を生成させる場合には、粉体の比として、薄片状タルク60〜63質量%、酸化チタン37〜40質量%、又は、薄片状タルク46〜49質量%、酸化チタン51〜54質量%であることが好適である。マンセル色相(H)が、YR、Y領域にある干渉色を生成させる場合には、薄片状タルク64〜67質量%、酸化チタン33〜36質量%、又は、薄片状タルク50〜52質量%、酸化チタン48〜50質量%であることが好適である。マンセル色相(H)が、GY、G、BG領域にある干渉色を生成させる場合には、薄片状タルク53〜57質量%、酸化チタン43〜47質量%、又は、薄片状タルク37〜41質量%、酸化チタン59〜63質量%であることが好適である。マンセル色相(H)が、B、PB領域にある干渉色を生成させる場合には、薄片状タルク58〜59質量%、酸化チタン41〜42質量%、又は、薄片状タルク42〜45質量%、酸化チタン55〜58質量%であることが好適である。
さらに、成分(A)の干渉色薄片状タルクは、設計する色により、酸化チタン以外に、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛及び酸化ジルコニウムから選ばれる1種又は2種以上で被覆されていても良い。
【0010】
成分(A)の粉体は、通常の方法により、撥水処理、撥水・撥油化処理等の各種表面処理を施したものを用いることもできる。
なお、本発明において、「干渉色」とは、光輝性顔料が有する構造発色の反射干渉光の色調のことをいう。
【0011】
成分(A)の干渉色薄片状タルクは、外観色と塗布色のくすみの抑制、干渉色による発色、自然な透明感、肌へのフィット感、使用感の点から、平均粒子径は、1μm以上であり、5μm以上が好ましく、80μm以下であり、30μm以下が好ましい。また、成分(A)の平均粒子径は、1〜80μmであり、5〜30μmが好ましい。
また、アスペクト比は、肌へのフィット感、使用感の点から、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、100以下が好ましく、50以下がより好ましい。成分(A)のアスペクト比は、5〜100が好ましく、10〜50がより好ましい。
【0012】
成分(A)は、1種又は2種以上用いることができ、外観色と塗布色のくすみの抑制、干渉色による発色、自然な透明感、肌へのフィット感、使用感の点の点から、含有量は、全組成中に0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、20質量%以下であり、17質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、0.1〜20質量%であり、0.5〜17質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
【0013】
本発明で用いる成分(B)のワックスは、25℃で固形の油性成分である。成分(B)は、くすみがあることが多く、口紅に用いると、外観色にくすみが生じ、色を綺麗に出しにくい。
成分(B)のワックスとしては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス;フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、木ロウ、サンフラワーワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;シリコーンワックス、合成ミツロウ等の合成ワックス;脂肪酸、高級アルコール及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0014】
成分(B)は、スティック等の形成、油の染み出し抑制、潤いの付与、塗布膜の持続性向上などの点から、融点50℃以上、140℃以下が好ましく、60℃以上、110℃以下がより好ましい。
【0015】
本発明で用いる成分(B)のワックスは、25℃で固形のワックスであり、塗布膜の持続性、使用感が滑らかで良い点、潤い性能が高い点から、25℃での針入度が15以上、110以下の25℃で固形の油性成分を含むことが好ましい。
ここで、針入度は、25±0.1℃に保ったワックスの試料に、規定の針(針の質量2.5±0.02g、針保持具の質量47.5±0.02g、おもりの質量50±0.05g)が、5秒間に針入する長さを測定し、その針入距離(mm)を10倍した値を針入度とするものであり、JIS K−2235−5.4(1991年)に準じて測定した値である。
【0016】
25℃での針入度が15以上、110以下の固形のワックスとしては、鉱物系ワックス、石油系ワックス及び合成炭化水素が挙げられる。なかでも、外観色のくすみを抑制し、塗布膜の持続性、潤いの性能が高い点から、針入度が15以上、110以下のマイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスが好ましく、針入度が15以上、110以下のマイクロクリスタリンワックスがより好ましい。また、25℃での針入度が、25以上、80以下のマイクロクリスタリンワックスであることが好ましい。
これらのワックスは、市販品を使用することができ、例えば、マイクロクリスタリンワックスとして、Multiwax W−445、W−835(以上、SONNEBORN社製)、Paracera M(Paramelt社製)、Hi−Mic−1045、1070、2045(以上、日本精鑞社製)、精製マイクロクリスタリンワックス(日興リカ社製)、155°マイクロワックス(日本石油社製)等が挙げられる。
針入度が15以上、110以下のマイクロクリスタリンワックスは、成分(B)中に好ましくは、20質量%以上含まれ、より好ましくは、30質量%以上含まれる。
【0017】
成分(B)は、1種又は2種以上用いることができ、塗布膜の持続性、使用感、潤いの性能の点から、含有量は、全組成中に14質量%以上であり、15質量%以上が好ましく、30質量%以下であり、27質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、14〜30質量%であり、15〜27質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
【0018】
本発明で用いる成分(C)の水添ポリイソブテンは、付着性を向上させる点、塗布時のつやを付与する点、潤いを付与する点から、平均分子量が800以上であり、900以上が好ましく、1000以上がより好ましい。また、過剰なベタ付きのない好ましい使用感を得る点から、平均分子量5000以下が好ましく、3000以下がより好ましい。
【0019】
成分(C)は、1種又は2種以上用いることができ、塗布時につやを付与する点、潤いを付与する点、べた付きのない良好な使用感を得る点から、含有量は、全組成中に1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。また、成分(C)の含有量は、1〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましく、5〜45質量%がさらに好ましい。
【0020】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、口紅の外観色のくすみを抑制し、口紅の外観色と、唇に塗布した後の塗布色が一致し、外観色及び塗布色ともに、透明感、つやがある点から、0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.05以上がさらに好ましく、10以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。成分(A)及び(B)の質量割合は、(A)/(B)=0.005〜10が好ましく、0.01〜3がより好ましく、0.05〜1がさらに好ましい。
【0021】
本発明において、成分(A)及び(C)の質量割合(A)/(C)は、口紅の外観色のくすみを抑制し、口紅の外観色と、唇に塗布した後の塗布色が一致し、外観色及び塗布色ともに、透明感、つやがある点から、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、20以下が好ましく、6以下がより好ましく、2.5以下がさらに好ましい。成分(A)及び(C)の質量割合は、(A)/(C)=0.01〜20が好ましく、0.02〜6がより好ましく、0.1〜2.5がさらに好ましい。
【0022】
本発明の口紅組成物は、さらに、(D)主鎖にセルロース骨格を有し、全水酸基の67mol%以上が基-O-M-R(MはCH
2又はカルボニル基C=Oを示し、Rは炭素数10〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換されているセルロース誘導体を含有することができ、塗布色をより持続させることができる。
【0023】
かかるセルロース誘導体は、主鎖にセルロース骨格を有するものであれば特に限定されないが、原料セルロース誘導体としては、セルロースを含むほか、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース等の短鎖アシル化セルロース、ヒドロキシアルキル基、グリセリルエーテル基、(モノ)アルキルグリセリルエーテル基で変性されたセルロースが好ましい。より具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセリルセルロース、メチルグリセリルセルロース等が挙げられる。
更には、原料セルロース誘導体としては、以下の構成単位を有するものが好ましい。
【0025】
(式中、Rは炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nはグルコース単位当たりのROの平均付加モル数が0.1〜10となる数を示す)
【0026】
当該構成単位において、Rとしては、直鎖又は分岐鎖の炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、更には、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。またnとしては、グルコース単位当たりのROの平均付加モル数が0.3〜5となる数が好ましく、0.5〜4.5となる数がより好ましく、1〜4となる数が更に好ましい。
【0027】
原料セルロース誘導体の好ましいものとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられ、特に、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
また、原料セルロース誘導体の重量平均分子量(Mw)は、油剤への溶解性、及び感触の点から、好ましくは1万〜400万、より好ましくは10万〜300万、更に好ましくは50万〜200万である。
【0028】
原料セルロース誘導体の水酸基の置換基である基−O−M−R中、MはCH
2又はカルボニル基C=Oを示し、Rは炭素数3〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基である。
(i)直鎖のアルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ヘキサトリアコンチル基、ヘプタトリアコンチル基、オクタトリアコンチル基、ノナトリアコンチル基、テトラコンチル基等が挙げられる。
【0029】
(ii)分岐鎖のアルキル基としては、メチルペンチル基、メチルヘキシル基、メチルヘプチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、メチルウンデシル基、メチルヘプタデシル基、エチルヘキサデシル基、メチルオクタデシル基、プロピルペンタデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルドデシル、2−ヘプチルウンデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−オクタデシルベヘニル基等が挙げられる。
【0030】
(iii)直鎖のアルケニル基としては、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、イコセニル、ヘニコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、ヘキサコセニル、ヘプタコセニル、オクタコセニル等が挙げられる。
(iv)分岐鎖のアルケニル基としては、イソトリデセニル、イソオクタデセニル、イソトリアコンテニル、2−ブチルオクテニル、2−ヘキシルデセニル、2−オクチルドデセニル、2−デシルテトラデセニル、2−ドデシルヘキサデセニル等が挙げられる。
【0031】
これらのうち、塗布時の滑らかさ付与の観点から、直鎖アルキル基が好ましい。更には、伸ばしやすさ、密着性の良さから、炭素数9〜21が好ましく、更に、炭素数11〜17、特に15が好ましい。
【0032】
水酸基の基−O−M−R置換率は、67mol%以上であり、特に70mol%以上が好ましく、80mol%以上100mol%がより好ましい。基−O−M−Rの置換率は、油剤への溶解性を高める観点からは高い方が好ましいが、うるおい感やすべり性の観点からは、90mol%以下が好ましい。また、水酸基が適当に残留していることが、ざらつきのなさの点で好ましい。好ましい水酸基量は2〜33mol%、より好ましくは、5〜20mol%である。
【0033】
成分(D)のセルロース誘導体の重量平均分子量は、10万以上、更には20万以上が好ましく、400万以下、更には300万以下が好ましい。特に、溶解性、滑らかな感触が持続する点で50万〜200万が好ましい。
なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(クロロホルム溶媒、直鎖ポリスチレンを標準として定められた較正曲線、視差屈折率検出器を用いる)測定によって求められるものである。
【0034】
このようなセルロース誘導体は、原料セルロース誘導体と、炭素数4〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する酸ハライドとを反応させ、原料セルロース誘導体の全水酸基の67mol%以上を置換することにより製造される。
また、MがCH
2であるものは、塩基存在下に、セルロース誘導体と対応するアルキルハライドあるいはアルキルメシラート等のスルホン酸エステルを反応させることによって製造することができる。主鎖がセルロース骨格からなるものは、アセチルセルロースのエステル交換反応(アシドーリシス)によっても得ることができる。この方法によれば、水酸基の残留量が極めて低いセルロースエステル誘導体が得られる。
【0035】
具体的には、ヒドロキシエチルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシエチルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシエチルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシエチルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシエチルセルロースベヘン酸エステル;ヒドロキシプロピルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースベヘン酸エステル;ヒドロキシエチルメチルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシエチルメチルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシエチルメチルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシエチルメチルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシエチルメチルセルロースベヘン酸エステル;ヒドロキシプロピルメチルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースベヘン酸エステル等が挙げられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロースラウリン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースミリスチン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースステアリン酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースベヘン酸エステルが好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルが、特に好ましい。
【0036】
成分(D)のセルロース誘導体は、1種又は2種以上を用いることができ、良好な使用感を得る点、塗布膜の持続性を向上させる点から、含有量は、本発明の口紅組成物中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、本発明の口紅組成物中に0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜7質量%がより好ましく、0.3〜5質量%がさらに好ましい。
【0037】
本発明の口紅組成物は、さらに、(E)下記一般式(1)
【0039】
(式中、R
1及びR
9は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数の最頻値が8〜32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;R
2〜R
8は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数1〜5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;Qは炭素数3〜20の直鎖または分岐を有する二価の炭化水素基;R
10及びR
11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基で、少なくとも一方は水素原子;pは繰り返し単位個数を表し、平均値で5以上50以下の数;qは繰り返し単位個数を表し、平均値で2.5以上10以下の数;繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよい)
で表される変性ポリシロキサンを含有することができ、口紅組成物をゲル化して色材の唇への密着性を高めることができ、塗布色をより持続させることができる。
この変性ポリシロキサンは、両末端をアルキル基等の炭化水素基で置換して変性し、かつ、側鎖をグラフト状にアルキルグリセリルエーテル基で変性したものである。
【0040】
一般式(1)において、R
1及びR
9は、それぞれ独立に炭素数の最頻値が8〜32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基を示し、好ましくは炭素数の最頻値が12〜28、さらに好ましくは16〜18である。ここで炭素数の最頻値とは、分布を有する炭化水素基の鎖長のうち、最も多く含まれる炭化水素基の炭素数をいい、口紅等のメイクアップ化粧料に一般的に用いられる油剤との相溶性と、化粧持続性の発現を左右する重要な因子である。炭素数の最頻値が8以上であると油剤との良好な相溶性が得られ、32以下であると化粧仕上がりの持続性能が維持される。
【0041】
上記一般式(1)において、R
2〜R
8は、それぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基を示し、同一であっても異なってもよい。炭素数がこの範囲の炭化水素基を使用することによって、化粧仕上がりの持続性能を維持することができる。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基の直鎖アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基等の分岐鎖アルキル基などが挙げられる。これらのうち、特に入手のしやすさの点から、メチル基が好ましい。
【0042】
また、上記一般式(1)において、Qは炭素数3〜20の直鎖または分岐を有する二価の炭化水素基を示す。炭素数が3以上であると顔料の分散を阻害することがなく、炭素数が20以下であると化粧仕上がりの持続性が維持される。
Qで示される炭素数3〜20の二価の炭化水素基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等の直鎖アルキレン基;プロピレン基、2−メチルテトラメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、3−メチルペンタメチレン基、2−エチルオクタメチレン基等の分岐鎖アルキレン基などが挙げられる。これらのうち、特に化粧持続性を最大限発揮させる点から、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基が好ましい。
【0043】
次に、R
10及びR
11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基であって、少なくとも一方は水素原子である。この組み合わせによって、化粧仕上がりの持続性が維持される。炭素数1〜28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、ドエイコシル基、テトラエイコシル基、ヘキサエイコシル基、オクタエイコシル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、1−エチルプロピル基、1−ヘプチルデシル基等の分岐鎖アルキル基などが挙げられる。これらのうち、特に化粧持続性の面からR
10及びR
11はともに水素原子であることが好ましい。
【0044】
一般式(1)において、pは繰り返し単位個数を表し、平均値で5〜50の数を示し、好ましくは20〜30の数である。pの値が5以上であると顔料の分散を阻害することがなく、また50以下であると、口紅等のメイクアップ化粧料に一般的に使用される油剤との相溶性が確保される。ここで、pの平均値は
1H−NMRにより、ポリシロキサンの両末端に導入された炭化水素基の末端メチル基を基準に、R
4及びR
5に帰属されるピークの強度比から算出する。
また、qは繰り返し単位個数を表し、平均値で2.5〜10の数を示し、好ましくは3.0〜6.0の数である。qの値が2.5以上であると化粧仕上がりの持続性が維持され、10以下であると顔料の分散を阻害することがない。ここで、qの平均値は
1H−NMRにより、ポリシロキサンの両末端に導入された炭化水素基の末端メチル基を基準に、OR
10及びOR
11が付加したメチン及びメチレン水素に帰属されるピークの強度比から算出する。
繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよいが、顔料の分散をより阻害しない、ランダム共重合体が好ましい。また、pはqよりも大きいことが好ましい。
【0045】
上記一般式(1)で表される変性ポリシロキサンは、特開平4−134013号公報記載の方法に従って、少なくとも1個のケイ素−水素結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンに、対応するアルケニルグリセリルエーテルなどをヒドロシリル化反応させることにより製造することができる。
ヒドロシリル化に用いられる触媒としては、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、白金等の金属の錯体化合物、これらをシリカゲル、アルミナ、またはカーボンに担持させたもの等が挙げられる。これらのうち、塩化白金酸、Spiers触媒(塩化白金酸の2−プロパノール溶液)等が好ましい。
触媒の使用量は、オレフィン1molに対して10
-6〜10
-1molの範囲が好ましい。本反応においては、反応溶媒は使用しても使用しなくても良い。反応溶媒は反応を阻害しないものであれば特に限定されず、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン系溶媒等が挙げられる。アルコール系溶媒を使用する場合には、ケイ素−水素結合と水酸基間における脱水反応を防止、もしくは抑制するために、酢酸カリウム等のpH調整剤(特開昭57−149290参照)を用いるのが好ましい。本反応は、0〜200℃で進行するが、反応速度や生成物の着色などを考え、0〜100℃で行うのが好ましい。また反応時間は、0.5〜24時間程度とするのが好ましい。
【0046】
上記一般式(1)で表される変性ポリシロキサンの合成に用いられる、シリコーン鎖の両末端にシリコーン鎖中の他のアルキル基とは異なるアルキル基を有し、シリコーン鎖中にケイ素−水素結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、特許第3032420号公報記載の方法にしたがって製造されたジシロキサン化合物や、1,1,3,3−テトラアルキル−1,3−ジヒドロジシロキサンに末端オレフィン化合物を定法により、ヒドロシリル化して付加したジシロキサン化合物を、酸触媒または塩基触媒存在下、環状ジメチルテトラシロキサン、環状メチルヒドロテトラシロキサン等と平衡化重合させることにより、製造することができる。
【0047】
成分(E)としては、両末端アルキル(C16−18)変性・ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)シロキサン共重合体(ソフケアRS−U、花王社製)が好ましい。
なお、上記一般式(1)で表される変性ポリシロキサンは、1種単独のものの構造、又は2種以上の混合物で、これらの平均的な構造を示すものである。
【0048】
成分(E)は、1種又は2種以上を用いることができ、塗布膜の付着性を向上させる点から、含有量は、本発明の口紅組成物中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。また、成分(E)の含有量は、本発明の口紅組成物中に0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらに好ましい。
【0049】
本発明の口紅組成物は、成分(E)の変性ポリシロキサンを組成物中に微細かつ安定に分散するため、無水ケイ酸を含有することが好ましい。その際、成分(E)の変性ポリシロキサンと無水ケイ酸の質量比が、40:1〜1:1であるのが好ましく、25:1〜5:1であるのがより好ましい。
【0050】
前記無水ケイ酸の平均粒子径は5〜50nmであるのが好ましく、10〜20nmがより好ましい。このような無水ケイ酸を使用することにより、分散性が向上し、良好な使用感が得られる。
無水ケイ酸は、熱分解法によって得られる無水ケイ酸であることが好ましい。また、アエロジルOX50、アエロジル90G、アエロジル130、アエロジル200、アエロジル300(以上、日本アエロジル社)等の市販品を用いることができる。
【0051】
本発明の口紅組成物は、さらに、前記以外の油性成分を含有することができる。
かかる油性成分としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ホホバ油、オクチルドデカノール、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/2−オクチルドデシル)等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン等のシリコーン油;ラノリン、ダイマー酸エステル、ダイマージオール誘導体、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。
これらの油性成分は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、全組成中に40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。また、全組成中に40〜85質量%含有するのが好ましく、45〜80質量%含有するのがより好ましい。
【0052】
また、本発明の口紅化粧料は、更に、前記以外の粉体を含有することができる。かかる粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、体質顔料、着色顔料、光輝性顔料等を用いることができる。
体質顔料としては、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料及びこれらの複合粉体が挙げられる。
【0053】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、更にカーボンブラック等の無機顔料、タール系色素、レーキ顔料等の有機顔料、カルミン等の天然色素などが挙げられる。
【0054】
光輝性顔料としては、雲母、合成金雲母、ガラス、シリカ、アルミナ等の板状粉体等の表面を酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、水酸化クロム、金、銀、カルミン、有機顔料等の着色剤で被覆したものなど、及びポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミ蒸着末、ポリエチレンテレフタレート・金蒸着積層末などの、フィルム原反を任意形状に断裁したものなどを用いることができる。
これらの粉体は、通常の方法により、撥水処理、撥水・撥油化処理等の各種表面処理を施したものを用いることもできる。
【0055】
光輝性顔料の含有量は、外観色と塗布色のくすみを抑制する点から、全組成中に20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0056】
成分(A)を除く粉体は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、40質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。また、全組成中に0.1〜40質量%含有するのが好ましく、1〜25質量%含有するのがより好ましい。
【0057】
本発明において、成分(A)及び他の粉体に被覆又は内包された酸化チタンを除く、白色顔料として用いられる酸化チタンの含有量は、優れたつやを得る点から4質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。ここで言う白色顔料として用いられる酸化チタンは、平均粒子径(一次粒子)が0.2μm以上、0.3μm以下のものである。
【0058】
本発明の口紅組成物は、前記成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、高分子化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、香料、防汚剤、保湿剤、水等を含有することができる。
【0059】
本発明の口紅組成物は、通常の方法により、製造することができ、固形状、非固形状のものとして得ることができる。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0060】
<1>次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)薄片状タルクの表面が酸化チタンによって被覆され、平均粒子径が1〜80μmである干渉色薄片状タルク 0.1〜20質量%、
(B)25℃で固形のワックス 14〜30質量%、
(C)平均分子量800以上の水添ポリイソブテン
を含有し、成分(A)及び他の粉体に被覆又は内包された酸化チタンを除く、白色顔料として用いられる酸化チタンの含有量が4質量%以下である口紅組成物。
【0061】
<2>成分(A)の平均粒子径が5〜30μmで、アスペクト比が5〜100である前記<1>記載の口紅組成物。
<3>成分(A)の含有量が、0.5〜17質量%であって、1〜15質量%が好ましい前記<1>又は<2>記載の口紅組成物。
【0062】
<4>成分(B)中、針入度15以上、110以下のマイクロクリスタリンワックスが、20質量%以上であって、30質量%以上が好ましい前記<1>〜<3>のいずれか1記載の口紅組成物。
<5>成分(B)の含有量が、15〜27質量%であって、15〜25質量%が好ましい前記<1>〜<4>のいずれか1記載の口紅組成物。
【0063】
<6>成分(C)の含有量が、1〜60質量%であって、3〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましい前記<1>〜<5>のいずれか1記載の口紅組成物。
<7>成分(A)及び(B)の質量割合が、(A)/(B)=0.005〜10であって、0.01〜3が好ましく、0.05〜1がより好ましい前記<1>〜<6>のいずれか1記載の口紅組成物。
<8>成分(A)及び(C)の質量割合が、(A)/(C)=0.01〜20であって、0.02〜6が好ましく、0.1〜2.5がより好ましい前記<1>〜<7>のいずれか1記載の口紅組成物。
【0064】
<9>さらに、(D)主鎖にセルロース骨格を有し、全水酸基の67mol%以上が基-O-M-R(MはCH
2又はカルボニル基C=Oを示し、Rは炭素数10〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す)で置換されているセルロース誘導体を含有する前記<1>〜<8>のいずれか1記載の口紅組成物。
<10>成分(D)の含有量が、0.1〜10質量%であって、0.2〜7質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましい前記<9>記載の口紅組成物。
【0065】
<11>さらに、(E)下記一般式(1)
【0067】
(式中、R
1及びR
9は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数の最頻値が8〜32の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;R
2〜R
8は、それぞれ独立に同一であっても異なってもよい炭素数1〜5の直鎖又は分岐を有する炭化水素基;Qは炭素数3〜20の直鎖または分岐を有する二価の炭化水素基;R
10及びR
11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜28の直鎖又は分岐を有する炭化水素基で、少なくとも一方は水素原子;pは繰り返し単位個数を表し、平均値で5以上50以下の数;qは繰り返し単位個数を表し、平均値で2.5以上10以下の数;繰り返し数p及びqの構成単位はブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよい)
で表される変性ポリシロキサンを含有する前記<1>〜<10>のいずれか1記載の口紅組成物。
<12>成分(E)の含有量が、0.1〜15質量%であって、0.5〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい前記<11>記載の口紅組成物。
【実施例】
【0068】
製造例1
含水率46%の平均粒子径23μmのタルク435gを40Lの琺瑯容器に入れ、これに上水30Lと硫酸チタニル370g及び硫酸1000gを加えて加熱撹拌した。液温が80℃以上になってから4時間保持した。放置冷却後、デカンテーション法で水洗した。水洗後150℃で乾燥させ、850℃で2時間焼成し、赤色干渉色薄片状タルク320g得た。
【0069】
製造例2(ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルの製造)
窒素下クロロホルム中室温で、5g(8.3×10
-6mol)のヒドロキシプロピルセルロース(セルニーM;日本曹達社製)に、50mLのピリジンと0.17g(0.001mol)のDMAP(ジメチルアミノピリジン)を加えて溶解させた。27.9g(0.101mol)の塩化パルミトイルを0.5時間かけて滴下した。その後50℃で15時間反応させ、メタノール中で沈殿させて精製し、乾燥させると、ヒドロキシプロピルセルロースパルミチン酸エステルが得られた(重量平均分子量87万、平均アシル置換度は全水酸基の85mol%)。
なお、重量平均分子量及び平均アシル置換度は、以下の方法により測定した。
【0070】
(重量平均分子量の測定)
重合体の平均分子量(Mw)は日立L−6000型高速液体クロマトグラフィーを使用し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。溶離液流路ポンプは日立L−6000、検出器はショーデックスRI SE-61示差屈折率検出器、カラムはGMHHR-Hをダブルに接続したものを用いた。サンプルは、溶離液で0.5g/100mLの濃度に調整し、20μLを用いた。溶離液には、1mmol/Lのジメチルドデシルアミンのクロロホルム溶液を使用した。カラム温度は40℃で、流速は1.0mL/分で行った。
【0071】
(平均アシル(エステル)置換度の測定)
セルロース誘導体を約0.5g精秤し、5N水酸化ナトリウム4mL及びエタノール25mLを加え、約90℃で5時間還流し、完全にエステルを加水分解した。水を30g加え、約90℃で5時間還流した後、リン酸で中和し、完全に中和されていることをpH試験紙で確認した。テトラヒドロフラン70gを加え30分撹拌、3時間室温で静置した後に、上澄み液を、日立L-7000型高速液体クロマトグラフィーを使用し、脂肪酸の量を測定した。検出器は日立L-7400(UV測定)を用い、210nmの波長で測定し、溶離液にはTHF:水:リン酸=60:39:1を使用した。
【0072】
製造例3(ジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)シロキサン共重合体の製造)
(1)STEP−1(シリコーン鎖の両末端にシリコーン鎖中の他のアルキル基とは異なるアルキル基を有するテトラメチルジシロキサンの合成):
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン44.8g、Spiers触媒1.0g(2質量%塩化白金酸の2−プロパノール溶液)を三ツ口フラスコに加え70℃に加温した。窒素雰囲気下に70℃で、α−オレフィン(三菱化学社製「ダイアレン168」、炭素数16及び18の1/1(質量比)混合物))174.2gを滴下した後、2時間撹拌を行った。冷却後、水酸化ナトリウム水溶液で反応系内を中和し、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の
1H−NMRスペクトル(400MHz)より、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有する1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン誘導体であることを確認した(22.1g、収率;85%)。
【0073】
(2)STEP−2(シリコーン鎖の両末端にシリコーン鎖中の他のアルキル基とは異なるアルキル基を有し、シリコーン鎖中にケイ素-水素結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合成):
(1)で合成した両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有する1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン誘導体44.8g、デカメチルシクロペンタシロキサン78.6g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン19.8g、n−ヘプタン50g、活性白土5gを三ツ口フラスコに加え12時間環流した。冷却後、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の
1H−NMRスペクトルより、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体(p=23,q=4)であることを確認した(132.8g、収率;95%)。
【0074】
(3)STEP−3(両末端をアルキル基で置換し、かつ、側鎖をグラフト状にアルキルグリセリルエーテル基で変性したポリシロキサンの合成):
(2)で合成した両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体50.0g、10−ウンデセニルグリセリルエーテル61.0g、5質量%白金担持カーボン触媒0.25gを三ツ口フラスコに加え70℃で3時間撹拌を行った。冷却後、減圧下に蒸留精製を行った。得られた生成物の
1H−NMRスペクトルより、得られた生成物は両末端に炭素数16及び炭素数18のアルキル基を有するジメチルシロキサン・メチル(ウンデシルグリセリルエーテル)シロキサン共重合体(p=23,q=4)であることを確認した(63.0g、収率;95%)。
得られた共重合体は、一般式(1)において、以下のとおりのランダム共重合体である。
R
1及びR
9 =炭素数の最頻値が18であるアルキル基、
R
2〜R
8 =メチル基、
Q=炭素数11の直鎖であるアルキレン基、
R
10及びR
11 =水素原子、
p(平均値)=23、
q(平均値)=4.0
【0075】
実施例1〜6及び比較例1〜4
表1に示す組成のスティック口紅を製造し、口紅の外観色について、「外観色のくすみのなさ」、口紅を唇に塗布した後の「塗布色のくすみのなさ」、外観色と塗布色を比較した際の「外観色と塗布色の色みの一致」、唇に塗布した際の「塗布時の使用感」、口紅を唇に塗布した直後の塗布色について、「塗布色の透明感」、「塗布色のつや」、「塗布色の自然な色みの付与」、「塗布色の光輝感」、「塗布色の色つき感」及び塗布3時間後の「色残りの綺麗さ」を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0076】
(製造方法)
基材原料(色材以外)を105℃で30分間加熱溶解し、ディスパーにて均一混合した。次に、色材原料を加えて更に15分間均一混合し、脱泡した後、型に流し込み、冷却固化させ、スティック口紅を得た。
【0077】
(評価方法)
10名の専門パネラーが、口紅の外観色について、「外観色のくすみのなさ」、口紅を唇に塗布した後の「塗布色のくすみのなさ」、外観色と塗布色を比較した際の「外観色と塗布色の色みの一致」、唇に塗布した際の「塗布時の使用感」、口紅を唇に塗布した直後の塗布色について、「塗布色の透明感」、「塗布色のつや」、「塗布色の自然な色みの付与」、「塗布色の光輝感」、「塗布色の色つき感」、及び塗布3時間後の「色残りの綺麗さ」を、それぞれ以下の基準で官能評価した。結果を10名の積算値として、表1に示す。
【0078】
(1)外観色のくすみのなさ:
4;くすみがない。
3;あまりくすみがない。
2;ややくすみがある。
1;くすみがある。
【0079】
(2)唇に塗布した後の塗布色のくすみのなさ:
4;くすみがない。
3;あまりくすみがない。
2;ややくすみがある。
1;くすみがある。
【0080】
(3)外観色と塗布色の色みの一致:
4;色みが一致する。
3;やや色みが一致する。
2;あまり色みが一致しない。
1;色みが一致しない。
【0081】
(4)塗布時の使用感:
4;使用感がよい。
3;やや使用感がよい。
2;あまり使用感がよくない。
1;使用感がよくない。
【0082】
(5)塗布色の透明感:
4;透明感がある。
3;やや透明感がある。
2;あまり透明感がない。
1;透明感がない。
【0083】
(6)塗布色のつや:
4;つやがある。
3;ややつやがある。
2;あまりつやがない。
1;つやがない。
【0084】
(7)塗布色の自然な色みの付与:
4;自然な発色。
3;やや自然な発色。
2;やや不自然な発色。
1;不自然な発色。
【0085】
(8)塗布色の光輝感:
4;光輝感がある。
3;やや光輝感がある。
2;あまり光輝感がない。
1;光輝感がない。
【0086】
(9)塗布色の色つき感:
4;色つき感がある。
3;やや色つき感がある。
2;あまり色つき感がない。
1;色つき感がない。
【0087】
(10)色残りの綺麗さ:
4;綺麗に色残りする。
3;やや綺麗に色残りする。
2;あまり綺麗に色残りしない。
1;綺麗に色残りしない。
【0088】
【表1】
【0089】
実施例7〜8
表2に示す組成の液状口紅を製造し、実施例1〜6と同様にして、口紅の外観色について、「外観色のくすみのなさ」、口紅を唇に塗布した後の「塗布色のくすみのなさ」、外観色と塗布色を比較した際の「外観色と塗布色の色みの一致」、唇に塗布した際の「塗布時の使用感」、口紅を唇に塗布した直後の塗布色について、「塗布色の透明感」、「塗布色のつや」、「塗布色の自然な色みの付与」、「塗布色の光輝感」、「塗布色の色つき感」、及び塗布3時間後の「色残りの綺麗さ」を評価した。結果を10名の積算値として、表2に示す。
【0090】
(製造方法)
基材原料(色材以外)を90℃で30分間加熱溶解し、ディスパーにて均一混合した。次に色材原料を加えて更に15分間均一混合し、脱泡した後、透明なディッピング容器に流し込み、冷却固化させ、液状口紅を得た。
【0091】
【表2】