(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遷移金属以外の元素が、アルミニウム(Al)、炭素(C)、ホウ素(B)、シリコン(Si)、及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項3記載のモールドの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
熱リソグラフィーにおいては、遷移金属の不完全酸化物を含む熱反応型レジストが用いられている。この熱反応型レジストに含まれる遷移金属の不完全酸化物は、熱力学的に準安定状態であり、酸化反応により透明な完全酸化物へ変化しやすい特性を有している。この透明な遷移金属の完全酸化物は、光吸収がほとんどないので、上述した酸化反応が進行すると熱反応型レジストに必要な特性である(1)照射された光を吸収して熱エネルギーに変換する特性が消失する。
【0018】
また、熱リソグラフィーにおいては、熱反応型レジストが数十nmの薄膜に成膜されて用いられている。このため、酸化雰囲気により遷移金属の不完全酸化物の酸化反応が進行しやすく、熱反応型レジストの特性が低下する場合がある。特に、この酸化反応は、熱反応型レジストが高温状態となる露光中に顕著であり、露光時に不完全酸化物から完全酸化物への酸化が促進される。そして、この酸化反応がレジスト層の熱エネルギー照射領域内で進行する場合にはパターン形成への影響はないが、熱エネルギー照射領域外にも及んだ場合、熱反応型レジストとしての特性が低下する領域が増大して高解像度のパターン形成が困難となる。また、ナノオーダーの伝熱制御は困難であるため、解像度の安定性や大面積における解像度の均一性を確保することが困難となる問題がある。
【0019】
本発明者は、レジスト層に含まれる遷移金属の不完全酸化物の価数が、レジスト層内において不均一であること、及び経時変化すること、に着目し、この価数の不均一性及び経時変化が、レジスト層形成後の雰囲気湿度及び温度の影響を受けること、及び熱リソグラフィーの露光中に雰囲気湿度の影響が特に顕著となること、を見出した。そして、本発明者は、熱リソグラフィーの露光中に雰囲気湿度を所定範囲とすることにより、遷移金属の不完全酸化物を含む熱反応型レジストの不完全酸化状態を略一定とし、遷移金属の不完全酸化物の価数の変化を抑制することを着想し、この着想に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0020】
すなわち、本発明の骨子は、遷移金属の不完全酸化物を含むレジスト層を相対湿度30%以下の雰囲気で露光する工程を含むモールドの製造方法である。これにより、露光時の遷移金属の不完全酸化物の反応性を下げることができるので、露光時における遷移金属の不完全酸化物の酸化反応を抑制でき、レジスト層の熱反応型レジストとして要求される機能が損なわれることがない。この結果、遷移金属の不完全酸化物を含むレジストを用いた熱リソグラフィーにおいても、高解像度のパターンが得られ、解像度の安定性や大面積における解像度の均一性を改善できる。
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。
本実施の形態に係るモールドの製造方法は、基材上に遷移金属の不完全酸化物を含むレジスト層を設けてレジスト積層体を得る積層工程と、このレジスト積層体のレジスト層を相対湿度30%以下の雰囲気で露光する露光工程と、露光後のレジスト層を現像してモールドを得る現像工程とを含む。以下、各工程について説明する。
【0022】
(積層工程)
積層工程においては、任意の方法により基材上に遷移金属の不完全酸化物を含むレジスト層を成膜してレジスト積層体を作製する。積層工程においては、レジスト層は、スパッタリング法又は蒸着法により成膜することが好ましい。これにより、レジスト層を形成する遷移金属の不完全酸化物の酸化度を制御できるので、より酸化しにくい不完全酸化物組成とすることができ、成膜後の意図しない酸化反応を抑制できる。
【0023】
スパッタリング法によりレジスト層を成膜する場合、例えば、遷移金属の単体からなるターゲットを用いて、アルゴン及び酸素雰囲気中で成膜する。この場合、真空雰囲気中の酸素ガス濃度を変えることにより、遷移金属の不完全酸化物の酸化度合を制御できる。
【0024】
スパッタリング法としては、例えば、モリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)を含んだターゲットを用いて、アルゴン(Ar)及び酸素(O
2)雰囲気中で成膜する方法が挙げられる。この場合には、チャンバー内への導入ガスの全流量に対して、酸素(O
2)を5%〜20%とする。また、ガス圧は、通常のスパッタリングのガス圧(1Pa〜10Pa)でよい。また、予め所望量の酸素を含有する遷移金属の不完全酸化物からなるターゲットを用いてアルゴン雰囲気中でスパッタリングを行ってもよい。
【0025】
蒸着法によりレジスト層を成膜する場合、モリブデン(Mo)やタングステン(W)などの遷移金属の不完全酸化物を蒸着する方法が挙げられる。
【0026】
レジスト積層体は、次工程の露光工程で処理するまでに、レジスト層の遷移金属の不完全酸化状態が変化しにくい雰囲気で保管することが好ましく、相対湿度30%以下の雰囲気で保管されることがさらに好ましい。露光工程前まで相対湿度30%以下の雰囲気で保管することにより、レジスト層に含まれる遷移金属の不完全酸化物は、価数が略一定に保たれるので、吸光度が低い完全酸化物となることを防ぐことができる。この結果、照射された光を吸収し熱エネルギーに変えるという特性の消失を防ぐことができるので、良好に露光を行うことができる。
【0027】
(露光工程)
露光工程では、レジスト積層体のレジスト層を露光装置により露光する。この露光により、レジスト層における露光領域の一部が熱反応して化学的性質が変化した熱反応領域となり、レジスト層に熱反応領域と未反応領域とが形成される。この熱反応領域と未反応領域とはアルカリ又は酸に対するエッチング速度が異なるので、いわゆる選択比が得られた状態となる。
【0028】
ここで、本実施の形態に係るモールドの製造方法においては、相対湿度30%以下の雰囲気でレジスト層を露光することから、露光時の遷移金属の不完全酸化物の反応性を下げることができるので、露光時にレジスト層が高温状態となっても、遷移金属の不完全酸化物の酸化反応を抑制できる。これにより、レジスト層の熱反応型レジストとして要求される機能が損なわれずに露光することができるので、高解像度のパターンを形成することができる。
【0029】
露光時の相対湿度としては、露光時の相対湿度としては、1%以上、25%以下であることが好ましい。露光時の相対湿度が1%以上であれば、所望の相対湿度を得るための過大な設備が不要となり、相対湿度が25%以下であれば、露光時の高温状態における不完全酸化物の酸化反応を抑制でき、より高精細のパターンを得ることができる。
【0030】
露光工程では、例えば、紫外光、可視光又は熱線を照射するレーザー装置などを備えた露光装置が用いられる。本実施の形態に係るモールドの製造方法においては、コストが高い特殊光源及び高精度な露光装置を用いることなく微細パターンを形成できるので、小型、かつ、安価な半導体レーザーなどの光源装置を用いることができる。
【0031】
露光工程で形成されるパターンは、ナノオーダーのパターンであり、ピッチが50nm以上1μm以下であることが好ましい。パターンの形状は、特に限定されるものではなく、ライン・アンド・スペース(以下、「L/S」という)、ドット、長穴などが挙げられる。これらのパターンが1つの基材の中で複数設けられていてもよく、また、異なるピッチのパターンが混在していてもよい。
【0032】
(現像工程)
現像工程においては、所望の現像液を用いてレジスト層の熱反応領域を選択的に溶解除去する。この結果、基材上にレジスト層の未反応領域によって構成された所定の露光パターンが形成され、レジスト原盤が得られる。
【0033】
現像工程においては、酸又はアルカリ現像液によるウェットプロセスを用いることができる。ウェットプロセスの条件は、パターンの選択比、モールドの使用目的、用途、装置設備などに応じて適宜選択することが可能である。
【0034】
アルカリ現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液、KOH、NaOH、Na
2CO
3などの無機アルカリ水溶液などが挙げられる。酸現像液としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸、シュウ酸、フッ酸などが挙げられる。これらの現像液は、単独又は混合溶液として用いることができる。
【0035】
また、現像液としては、過酸化水素や過酸化マンガンなどの電位調整剤などを加えたものを用いてもよく、界面活性剤などを添加して現像性を向上させたものを用いてもよい。また、レジスト層に用いる材料によっては、まず酸現像液で現像した後に、アルカリ現像液で現像する処理を施してもよい。
【0036】
次に、上記実施の形態に係るモールドの製造方法に用いられるレジスト積層体の構成について詳細に説明する。
【0037】
基材としては、基材上にレジスト層を設けることができ、かつ、レジスト層を露光できるものであれば特に制限はない。これらの中でも、基材としては、高い露光感度を得る観点から、石英、ガラス、プラスチック、シリコン、アルミナ、チタンカーバイド、及びニッケルからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。石英としては、合成石英、溶融石英などを用いることができ、ガラスとしては、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスなどを用いることができる。
【0038】
基材としては、高い露光感度を得る観点から、熱伝導率が小さいものが好ましい。基材の熱伝導率が小さくなるにつれて露光時の温度上昇が大きくなり、基材上に設けられるレジスト層を構成するレジスト材料の化学的性質の変化が大きくなるので、レジスト層の熱反応を促進することができる。
【0039】
基材の形状としては、露光時にレジスト層に連続的に微細パターンを形成できるものであれば特に制限はなく、ウェハー状、四角形状などの平板状、円筒型などの基材を用いることができる。特に、レジスト層に形成されるパターンの面積の制限が少なくなる観点から、円筒型の基材が好ましい。
【0040】
レジスト層としては、遷移金属元素の不完全酸化物を含むものであれば特に制限はない。レジスト層の膜厚は、任意に設定可能であり、例えば、10nm〜80nmの範囲内とすることができる。
【0041】
遷移金属の不完全酸化物としては、モリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の不完全酸化物が好ましい。これにより、紫外線領域から可視光〜赤外線領域まで光吸収性が得られるので、現像性が向上する。
【0042】
なお、本明細書において、モリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の不完全酸化物とは、この不完全酸化物における酸素の含有量が、モリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)のとり得る価数に応じた化学量論組成の酸素含有量より小さい化合物である。
【0043】
モリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の酸化物の一例として、化学式MoO
3で表される酸化モリブデンについて詳細に説明する。酸化モリブデン(化学式MoO
3)の酸化状態を組成割合Mo
1−xO
xに換算すると、x=0.75の場合が完全酸化物であるのに対して、0<x<0.75で表される場合に化学量論組成より酸素含有量が不足した不完全酸化物であるといえる。
【0044】
また、モリブデン(Mo)やタングステン(W)などの遷移金属では、1つの元素が価数の異なる酸化物を形成可能なものがあるが、この場合には、遷移金属のとりうる価数に応じた化学量論組成より実際の酸素含有量が不足している場合を不完全酸化物の範囲内とする。例えば、モリブデン(Mo)は、先に述べた3価の酸化物(MoO
3)が最も安定であるが、その他に1価の酸化物(MoO)も存在する。この場合には組成割合Mo
1−xO
xに換算すると、0<x<0.5の範囲内であるとき化学量論組成より酸素含有量が不足した不完全酸化物であるといえる。
【0045】
なお、モリブデン(Mo)やタングステン(W)などの遷移金属の酸化物の酸化度合(価数)は、市販の分析装置で分析可能である。例えば、EDX(エネルギー分散型X線検出装置)や、XRF(蛍光X線分析装置)、X線光電子分光分析装置などの分析装置で分析可能である。
【0046】
このようなモリブデン(Mo)やタングステン(W)などの遷移金属の不完全酸化物は、従来からの露光装置に搭載されているレーザー装置などの光、すなわち紫外光、可視光又は熱線に対して吸収を示し、それらを照射されることでその化学的性質が変化する。その結果、無機レジストでありながら現像工程において熱反応領域と未反応領域との間でエッチング速度に差が生じることとなり、いわゆる選択比が得られる。また、モリブデン(Mo)やタングステン(W)などの遷移金属の不完全酸化物からなるレジスト材料は、膜粒子サイズが小さいために熱反応領域と未反応領域との間の境界部のパターンが明瞭なものとなり、分解能を高めることができる。
【0047】
レジスト層は、遷移金属の不完全酸化物を含むアモルファス無機材料を含有することが好ましい。アモルファス無機材料としては、例えば、モリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の不完全酸化物からなるものが好ましい。これにより、レジスト層を構成する結晶粒子サイズが小さくなるので、熱反応領域と未反応領域との間の境界部のパターンが明瞭なものとなり、分解能を高めることができる。
【0048】
また、レジスト層を構成する結晶粒子サイズが小さいことは、レジスト層が酸化雰囲気の影響を受けやすく、遷移金属の不完全酸化状態が変化しやすいことを意味している。しかしながら、レジストを構成する結晶粒子サイズが小さい場合であっても、本実施の形態に係るモールドの製造方法を適用して相対湿度30%以下の雰囲気で露光することにより、不要なレジスト層の酸化を抑えることが可能となる。
【0049】
また、レジスト積層体を構成するレジスト層は、遷移金属の不完全酸化物のほか、遷移金属以外の元素を含むことが好ましい。これにより、遷移金属の不完全酸化物の結晶粒が小さくなるので、熱反応領域と未反応領域との間の境界部がさらに明瞭となり、分解能の向上が図られると共に、露光感度も改善される。
【0050】
また、この場合にも、レジスト層を構成する結晶粒子サイズが小さくなるので、レジスト層が酸化雰囲気の影響を受けやすく、遷移金属の不完全酸化状態が変化しやすくなる。しかしながら、レジストを構成する結晶粒子サイズが小さい場合であっても、本実施の形態に係るモールドの製造方法を適用して相対湿度30%以下の雰囲気で露光することにより、不要なレジスト層の酸化を抑えることが可能となる。
【0051】
遷移金属以外の元素としては、アルミニウム(Al)、炭素(C)、ホウ素(B)、シリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。遷移金属以外の元素としては、レジストに必要とされる特性に応じて適宜選択することができる。例えば、赤外光付近の光を露光に使用する場合は、その波長域の吸収が大きい、シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)を添加すればよく、紫外線域であれば、アルミニウム(Al)を添加すればよい。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態に係るモールドの製造方法によれば、従来からの安価な露光装置が使え、高精度の微細加工ができるモリブデン(Mo)及び/又はタングステン(W)の不完全酸化物を含む熱反応型レジストの不完全酸化状態を略一定に保ち、露光時の不要な酸化反応を抑制することができるので、高解像度と解像度の安定性、さらに大面積の均一性を改善することが可能となる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0054】
<実施例1>
基材としては、直径2インチのガラス基板を用いた。このガラス基板上に、スパッタリング法によりタングステン(W)の不完全酸化物からなるレジスト層を成膜してレジスト積層体を形成した。スパッタリング法は、タングステン(W)の単体からなるスパッタターゲットを用い、アルゴンと酸素との混合雰囲気で実施した。タングステン(W)の不完全酸化物の酸化度合は、酸素ガス濃度を変えて制御した。
【0055】
堆積したレジスト層をエネルギー分散型X線検出装置にて解析したところ、組成割合W
1−xO
xで表したときにx=0.62であった。また、レジスト層の膜厚は40nmであった。得られたレジスト積層体は、露光工程まで温度25℃、相対湿度30%の恒温恒湿槽内で保管した。
【0056】
次に、温度25℃、相対湿度30%の雰囲気下、以下の条件でレジスト積層体にL/Sのパターンを露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:8mW
送りピッチ:300nm
【0057】
次に、露光後のレジスト積層体をアルカリ現像液により現像した。アルカリ現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液を用いた。現像時間は、30分とした。現像終了後に純水及びイソプロピルアルコールにより充分に洗浄し、エアブローなどで乾燥させた。
【0058】
得られたパターンは、ピッチ(P)300nm、パターン幅(W)100nmのL/Sパターンであった。パターン幅の標準偏差と合わせて、結果を下記表1に示す。
【0059】
<実施例2>
レジスト層としてモリブデン(Mo)の3価の不完全酸化物からなるレジスト層を成膜したこと以外は実施例1と同様にしてレジスト積層体を形成した。
【0060】
堆積したレジスト層をエネルギー分散型X線検出装置にて解析したところ、組成割合Mo
1−xO
xで表したときにx=0.60であった。また、レジスト層の膜厚は40nmとした。得られたレジスト積層体は、露光工程まで、温度25℃、湿度30%の恒温恒湿槽内で間保管した。
【0061】
次に、温度25℃、相対湿度30%の雰囲気下、以下の条件でレジスト積層体にL/Sのパターンを露光した。
露光用半導体レーザー波長:405nm
レンズ開口数:0.85
露光レーザーパワー:8mW
送りピッチ:500nm
【0062】
次に、露光後のレジスト積層体をアルカリ現像液により現像した。アルカリ現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム溶液を用いた。現像時間は、30分とした。現像終了後には純水及びイソプロピルアルコールにより充分に洗浄し、エアブローなどで乾燥させた。
【0063】
得られたパターンは、ピッチ(P)500nm、パターン幅(W)150nmのL/Sパターンであった。パターン幅の標準偏差と合わせて結果を下記表1に併記する。
【0064】
<比較例1>
実施例1と同様に、ガラス上にW
1−xO
xで示されるタングステン(W)の不完全酸化物からなるレジスト層を形成した。堆積したレジスト層をエネルギー分散型X線検出装置にて解析したところ、組成割合W
1−xO
xで表したときにx=0.62であった。得られたレジスト積層体は、露光工程まで、温度25℃、湿度30%の恒温恒湿槽内で保管した。
【0065】
次に、温度25℃、相対湿度50%の雰囲気下とした以外は、実施例1と同様の条件で、レジスト積層体を露光、現像した。
【0066】
得られたパターンは、ピッチ(P)300nm、パターン幅(W)150nmのL/Sパターンであった。
【0067】
<比較例2>
実施例1と同様にレジスト積層体を作成し、露光工程まで、温度25℃、湿度30%の恒温恒湿槽内で保管した。
【0068】
次に、温度25℃、相対湿度80%の雰囲気下とした以外は、実施例1と同様の条件で、レジスト積層体を露光、現像した。
【0069】
得られたガラスには、明瞭なパターンは観察されなかった。結果を下記表1に併記する。
【0070】
<比較例3>
実施例2と同様にして、ガラス上にMo
1−xO
xで表したときにx=0.60で示されるレジスト層を形成した。
【0071】
得られたレジスト積層体は、露光工程まで、温度25℃、湿度30%の恒温恒湿槽内で保管した。
【0072】
次に、温度25℃、相対湿度50%の雰囲気下とした以外は、実施例1と同様の条件で、レジスト積層体を露光、現像した。
【0073】
得られたパターンは、ピッチ(P)300nm、パターン幅(W)200nmのL/Sパターンであった。結果を下記表1に併記する。
【0074】
【表1】
【0075】
表1から分かるように、相対湿度30%以下の条件で露光した場合には、ピッチ(P)及びパターン幅(W)が適正な範囲となり、高解像度のパターンが得られることが分かる(実施例1及び実施例2)。これに対して、相対湿度50%の場合には、パターンのピッチに対して幅が広くなり、パターン幅の変動量も大きくなるため、実施例1よりも解像度が低下することが分かる(比較例1:解像度33%低下、比較例3:解像度25%低下)。また、相対湿度が80%の場合には、パターンが形成できないことが分かる(比較例2)。これらの結果は、露光時にレジスト層の酸化反応が進行したためと考えられる。
【0076】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。