特許第6037735号(P6037735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6037735ダンパー、ダンパーユニット、およびベッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037735
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】ダンパー、ダンパーユニット、およびベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 21/06 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   A47C21/06 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-197047(P2012-197047)
(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公開番号】特開2014-50566(P2014-50566A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文俊
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05426799(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダンパーでマットレスを支持するダンパーであって、
前記ダンパーは弾性を有する樹脂発泡体からなり、
その形状は側面と略円形または略楕円形の正面及び背面とからなる略円筒形であり、
前記正面から背面に貫通する1以上の孔を備え、前記貫通する孔の形状は略円形または略楕円形の形状であり、
前記ダンパーの円筒形の中心軸を荷重方向に対し垂直に配置して荷重を受けるようにして使用されるダンパーであって、
前記1以上の孔のうちのいずれかの孔の中心が、前記中心軸に一致することを特徴とするダンパー
【請求項2】
複数のダンパーでマットレスを支持するダンパーであって、
前記ダンパーは弾性を有する樹脂発泡体からなり、
その形状は側面と略円形または略楕円形の正面及び背面とからなる略円筒形であり、
前記正面から背面に貫通する1以上の孔を備え、前記貫通する孔の形状は略円形または略楕円形の形状であり、
前記ダンパーの円筒形の中心軸を荷重方向に対し垂直に配置して荷重を受けるようにして使用されるダンパーであって、
前記正面及び背面において、その中心を通る線分が、前記1以上の孔のうちのいずれかの孔を横切るように前記孔が配置されることを特徴とするダンパー
【請求項3】
前記側面の一部において荷重方向に垂直な面を設置面とし、当該設置面が対向する2辺が母線である矩形平面となることを特徴とする請求項1または2に記載のダンパー。
【請求項4】
前記略円筒形の中心軸を通り、前記設置面に対して垂直方向から受ける荷重に対する軸を基準にして、前記正面から背面に貫通する前記孔が線対称に形成されていることを特徴とする請求項に記載のダンパー。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載のダンパーと、
前記ダンパーを内部に配置して、前記ダンパーの前記側面に当接して保持する保持部と、
マットレスを支持する支持部と、
当該支持部と前記保持部とを連結する連結部と、
前記保持部の下部に配置して、基台に取り付ける取付部と、
を備えるダンパーユニット。
【請求項6】
請求項に記載のダンパーユニットが複数取り付けられたベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスを支持するダンパー、そのダンパーを含むダンパーユニット、および、そのダンパーユニットを備えるベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人が直接寝たり座ったりするベッドやソファのマットレスを支持するすのこには、単なる床板のみからなるすのこに加え、より優れた体圧分散を実現し、それぞれの人の身体にフィットした寝心地や座り心地を得るために、すのこ自体にクッション性を持たすことが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
そのすのこ自体のクッション性において、より良い体圧分散を実現するために点で支える構造が好ましいとされている。従来、点で支える構造としては、コイルスプリングを面上に配置することがなされていたが、近年では、コイルスプリングに代えて樹脂発泡体から形成されたばね要素を配置することが実用化されている。
【0004】
例えば、特許文献2では、クロスバー構造を有する各ばね要素の主体を成すばね本体が、少なくとも1つの室を有する中空室成形品として構成されており、各ばね本体の軸線が、ばね本体の頭部に設けた支持受皿に対して平行な平面内に位置していて負荷力の方向に対して直角な方向に配向されており、かつばね本体が、一体に成形されたプラスチック成形部品として構成されているクッション性を有するすのこが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許5426799号公報
【特許文献2】特開平8−252151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図7に示すような従来技術のクロスバー構造を有するエラストマーからなるばね要素であるダンパーは、P1のように真上から荷重を受ける場合には、スムーズな変形により荷重を吸収分散できる。しかし、それ以外の方向、例えばP2のようにクロスバーを軸線に含むような荷重を受ける場合には、荷重の受け始めに大きな抗力を示し、クロスバーが屈曲すると突然異なる抗力を示すことになる。即ち、荷重や衝撃の入力方向により、ダンパーの弾性性能が不均一となり、優れた体圧分散を実現し、身体にフィットした寝心地や座り心地を得ることが困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することにある。さらに、かかるダンパーを使用したベッドに取り付けるためのダンパーユニット、および、そのダンパーユニットを使用したベッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、複数のダンパーでマットレスを支持するダンパーであって、そのダンパーは弾性を有する樹脂発泡体からなり、その形状は側面と略円形または略楕円形の正面及び背面とからなる略円筒形であり、正面から背面に貫通する1以上の孔を備え、その貫通する孔の形状は略円形または略楕円形の形状であり、ダンパーの円筒形の中心軸を荷重方向に対し垂直に配置して荷重を受けるようにして使用されるダンパーであって、1以上の孔のうちのいずれかの孔の中心が、中心軸に一致することを特徴とするダンパーが提供される。また、同様に、正面及び背面において、その中心を通る線分が、1以上の孔のうちのいずれかの孔を横切るように孔が配置されることを特徴とするダンパーであってもよい。
これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。
【0009】
さらに、側面の一部において荷重方向に垂直な面を設置面とし、その設置面が対向する2辺が母線である矩形平面となることを特徴としてもよい。
これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受ける場合であっても、ダンパーを安定的に配置できる。
【0010】
さらに、ほぼ円筒形の中心軸を通り、設置面に対して垂直方向から受ける荷重に対する軸を基準にして、正面から背面に貫通する孔が線対称に形成されていることを特徴としてもよい。
これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても、より優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。
【0011】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、上記のダンパーと、そのダンパーを内部に配置して、そのダンパーの側面に当接して保持する保持部と、マットレスを支持する支持部と、その支持部とその保持部とを連結する連結部と、その保持部の下部に配置して、基台に取り付ける取付部と、を備えるダンパーユニットが提供される。
これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを含むダンパーユニットを提供することができる。
【0012】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、上記のダンパーユニットが複数取り付けられたベッドが提供される。
これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを備えるベッドを提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパー、ダンパーユニット、およびベッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る第一実施例のダンパーの正六面図等。(A)正面図、(B)平面図、(C)底面図、(D)背面図、(E)左側面図、(F)右側面図、(G)斜視図。
図2】本発明に係る第一実施例のダンパーユニットの正六面図等(ダンパーを除く)。(A)正面図、(B)平面図、(C)底面図、(D)背面図、(E)左側面図、(F)右側面図、(G)斜視図。
図3】本発明に係る第一実施例のダンパーユニットが取り付けられたベッドの斜視図。
図4】本発明に係る第二実施例のダンパーの正六面図等。(A)正面図、(B)平面図、(C)底面図、(D)背面図、(E)左側面図、(F)右側面図、(G)斜視図。
図5】本発明に係る第二実施例のダンパーユニットの斜視図。
図6】本発明にダンパーのバリエーションを示す正面図。
図7】従来技術のダンパーの(A)正面図、(B)斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
<第一実施例>
図1は、本発明に係る第一実施例におけるダンパー10の正六面図等を示す。ダンパー10は、弾性を有する樹脂発泡体からなる。
【0016】
本発明において用いられる樹脂発泡体は、樹脂発泡体の気泡が連通された構造を有する連続気泡構造を有する。ただし、一部に半連続半独立気泡構造(独立気泡構造と連続気泡構造とが混在している気泡構造であり、その割合は特に制限されない)を含んでいてもよい。この樹脂発泡体の気泡構造は、樹脂発泡体の素材の種類に応じて、樹脂発泡体形成の際の発泡方法や発泡条件(例えば、発泡剤の種類や量、発泡の際の温度や圧力や時間など)を選択することにより調整される。
【0017】
樹脂発泡体は、例えば、ウレタンフォーム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ポリスチレンフォーム、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ系樹脂フォーム、フェノール樹脂フォーム等であり、特に限定されず、また、常法によって製造される。例えば、オープン発泡体としては、原料を常温、大気圧下で自然発泡し、硬化させ、その後、裁断等により製品形状にされる。オープン発泡体の代表的なものとしてスラブ発泡体がある。スラブ発泡体は、原料をベルトコンベア上に吐出し、ベルトコンベアが移動する間に、原料が常温、大気圧下で自然発泡し、硬化することで連続的に製造され、その後、乾燥炉内で硬化(キュア)した後、所定形状に裁断される。また、モールド発泡体としては、原料をモールド(成形型)に注入してモールド内で発泡させ、その後に脱型することにより得られる。
【0018】
樹脂発泡体は、長期にわたり荷重がかかるため圧縮永久歪が小さく、様々な振動を低減するため幅広い硬度域を有し高いダンピング効果を有することが好ましい。例えば、本実施例では、イノアック社製の製品名「セルダンパー」を用いており、その一般物性においては、密度は155〜690Kg/m3、25%圧縮強さは0.04〜1.06MPa、引張強度は0.64〜2.67MPa、伸びは150〜177%、引裂強度は2.02〜8.60N/mm、圧縮永久歪みは4.1〜8.3%である。
【0019】
ダンパー10の形状(外形)は、側面11とほぼ円形の正面12a及び背面12bとからなるほぼ円筒形(円柱形)である。円筒形であれば、押出し成型も可能であり安価に製造することができる。なお、側面11は、中心軸Cの方向に曲率を有していてもよく、その場合は太鼓形をなすことになる。また、正面12aと背面12bはほぼ楕円形であってもよい。この場合、短径方向が荷重を受ける方向に一致すると安定し易い。また、本実施例では、正面12aと背面12bとは互いに平行であるが、これに限定されない。互いに平行でない場合は、側面視で上側から下側に向けて正面と背面の距離が大きくなるようにすると安定し易い。また、本実施例では、正面12aおよび背面12bと側面とは直角をなし、平面視長方形であるが、これに限定されず、平面視平行四辺形であってもよい。
【0020】
ダンパー10は、正面12aから背面12bに貫通する1つの孔14を備える。孔14の形状は、正面視でほぼ円形であるが、ほぼ楕円形であってもよい。本実施例では、正面視で孔14の中心は、正面12aおよび背面12bの中心と同心であるが、これに限定されない。但し、上方からの荷重に対する偏心がないので、両方の中心が、正面視左右方向で一致していることが好ましい。また、両方の中心が、円筒形のダンパー10の中心軸Cに一致していることがより好ましい。そうすると、側面11と内側面15との距離が一定となり、ダンパー10の変形が上下左右で対称となりやすく、荷重に対する均一な弾性を示しやすい。
【0021】
ダンパー10は、その円筒形の中心軸Cを荷重方向に対し垂直に配置して荷重を受けるようにして使用される。即ち、円筒を横置きにして、側面11に荷重がかかるようにして使用される。円筒形の側面から荷重を受ける場合、球状に比べ線(母線)で荷重を受けることができ、荷重を受けた時に安定感がある。また、ダンパー10の外形が円筒形であれば、太鼓型よりも、その弾性の制御がしやすい。
【0022】
かかるダンパー10を、すのことマットレスの間に複数配置することで、ダンパー10はマットレスを支持する。そうすると、複数のダンパーでマットレスを支持するダンパー10であって、ダンパー10は弾性を有する樹脂発泡体からなり、その形状は側面11と略円形または略楕円形の正面12a及び背面12bとからなる略円筒形であり、正面12aから背面12bに貫通する1つの孔14を備え、貫通する孔14の形状は略円形または略楕円形の形状であり、ダンパー10の円筒形の中心軸Cを荷重方向に対し垂直に配置して荷重を受けるようにして使用されるダンパーを提供することができる。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。
【0023】
また、ダンパー10は、側面11の一部において荷重方向に垂直な面を設置面13とし、対向する2辺が母線である矩形平面となる設置面13を有する。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受ける場合であっても、ダンパーを安定的に配置できる。本実施例では、設置面13の母線は、正面12aから背面12bまでをなすが、これに限定されず、かかる母線の一部となる母線であってもよい。
【0024】
図2は、本実施例におけるダンパーユニット20の正六面図等を示す。なお、ダンパーユニット20はダンパー10を含むが、本図ではダンパー10を図示しない。ダンパーユニット20は、ダンパー10を内部に配置して、ダンパー10の側面に当接して保持する保持部21と、マットレスを支持する支持部22と、支持部22と保持部21とを連結する連結部24と、保持部21の下部に配置して、基台に取り付ける取付部23とを備える。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパー10を含むダンパーユニット20を提供することができる。
【0025】
保持部21は、環状をなし、ダンパー10の側面11に当接して、ダンパー10を周りから保持する。なお、保持部21は弾性を有し、ダンパー10の均一な弾性を有効に利用するために、その弾性率は、ダンパー10の弾性率に比し小さいことが好ましい。また、本実施例では、保持部21の材質は、プラスチックであるが、かかる弾性率を有すれば何であってもよく、プラスチック、金属など、特に限定されない。
【0026】
支持部22は、保持部21と連結部24において連結され、上にマットレスが載置され、複数の支持部22で下からマットレスを支持する。本実施例では、支持部22の材質は、プラスチックであるが、マットレスを支持する強度を有すれば何であってもよく、プラスチック、金属など、特に限定されない。
【0027】
本実施例では、連結部24は、支持部22と保持部21とがプラスチックなので、互いに融着させて一体成形されているが、これに限定されず、鋲止めなどであってもよい。
【0028】
取付部23は、ベッドの基台にある取り付けバーを挟み込むように取り付けられる。取付部23は、保持部21と反対側の下部に解放された部分を有すると共に、弾性を有する材質からなり、取付部23を取り付けバーに取り付ける際には、取付部23の下部にある解放された部分を取り付けバーの巾以上に広げて、自らの弾性力により取り付けバーを挟み込むようにして取り付けられる。
【0029】
図3は、本実施例のダンパーユニット20が取り付けられたベッドの斜視図である。図示されたように、複数のダンパーユニット20が、ベッドの基台に取り付けられ、すのこを形成する。この複数のダンパーユニット20で形成されたすのこの上に、マットレスが載置され、ベッドとなる。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを備えるベッドを提供することができる。
【0030】
本実施例における1つの孔14の直径の違いにより、側面11に荷重を受けた場合のダンパー10のひずみは異なる、即ち、そのダンパー10の弾性係数は異なるものとなる。例えば、樹脂発泡体として、イノアック社製 製品名:BF−300(密度は312Kg/m3、25%圧縮強さは0.14MPa、引張強度は1.11MPa、伸びは177%、引裂強度は4.63N/mm、圧縮永久歪は6.6%)を用い、ダンパー10の正面12aおよび背面12bの直径を60mmとした場合、孔14の直径が10mmだと弾性係数は5.86、孔14の直径が20mmだと弾性係数は3.33、孔14の直径が29mmだと弾性係数は1.67、孔14の直径が36mmだと弾性係数は0.75と変化する。
【0031】
すのこにおいてダンパーを置く位置などにより異なる弾性係数を有する必要があるので、ダンパーの弾性係数を正確に定める必要があるが、樹脂発泡体自体で弾性係数を正確に制御しようとするのは困難である。一方、上述のように、孔14の径の大きさの変化により弾性係数を容易に制御することが可能である。
【0032】
また、従来技術のダンパーは、荷重の方向により弾性係数が異なったが、本実施例のダンパー10は、荷重の方向により弾性係数が異なるようなことがない。また、本実施例のダンパー10は、荷重初期の小変形量において滑らかに荷重に応答し、200Nを超える中高荷重時においても滑らかにリニアに荷重変形することができ、さらに、樹脂発泡体からなるので従来技術のダンパーに比べ底付き感も小さく、クッション性が良好となる。
【0033】
<第二実施例>
図4は、本実施例におけるダンパー10Aの正六面図等を示す。なお、重複説明を避けるため、第一実施例と異なる点のみ記載する。
【0034】
ダンパー10Aは、正面12aAから背面12bAに貫通する7つの孔14Aを備える。孔14の形状は、正面視でほぼ円形であるが、ほぼ楕円形であってもよく、荷重がかかった時に応力が集中するような角のない形状が好ましい。孔14Aの径は、第一実施例に比べ、小さい。正面12aや背面12bにおける孔14Aは、中心軸Cを中心にして均等に配置されている。本実施例においても、ダンパー10Aの変形が左右で対称であり、上方からの荷重に対する偏心がなく、荷重に対する均一な弾性を示す。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。
【0035】
図5は、本実施例におけるダンパーユニット20Aの斜視図を示す。ダンパーユニット20Aは、ダンパー10Aを内部に配置して、ダンパー10Aの側面に当接して保持する保持部21Aと、マットレスを支持する支持部22Aと、支持部22Aと保持部21Aとを連結する連結部24Aと(図示せず)、保持部21Aの下部に配置して、基台に取り付ける取付部23Aとを備える。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても均一な弾性を示すことにより、優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパー10Aを含むダンパーユニット20Aを提供することができる。
【0036】
<変形例>
ここで、図6を参照し、ダンパーの孔の変形例を説明する。孔の形状自体は、荷重がかかった時に応力が集中するような角のない曲率を有する形状が好ましいので、円形の場合で説明するが、これに限定されない。
【0037】
図6(A)は、第一実施例のダンパー10の正面図を示す。孔14は、外形の円と同心の1つのほぼ円である。即ち、ほぼ円筒形の中心軸Cを通り、設置面13に対して垂直方向から受ける荷重に対する軸Sを基準にして、正面12aから背面12bに貫通する孔14が線対称に形成されている。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても、より優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。
【0038】
図6(B)は、孔14Bを2つ有するダンパー10Bを示す。孔14Bは、線対称軸Sを挟み左右に配置されている。即ち、ほぼ円筒形の中心軸Cを通り、設置面13Bに対して垂直方向から受ける荷重に対する軸Sを基準にして、正面12aBから背面12bBに貫通する孔14Bが線対称に形成されている。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても、より優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。なお、この変形例では、2つの孔が左右対称に配置されているが、円の中心を軸S上に置き、上下に配置されてもよい。
【0039】
図6(C)は、孔14Cを3つ有するダンパー10Cを示す。孔14Cは、2つの孔が線対称軸Sを挟み左右に配置され、残りの1つの孔が線対称軸Sで二分割されるように配置されている。即ち、ほぼ円筒形の中心軸Cを通り、設置面13Cに対して垂直方向から受ける荷重に対する軸Sを基準にして、正面12aCから背面12bCに貫通する孔14Cが線対称に形成されている。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても、より優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。なお、この変形例では、下方に2つの孔、上方に1つの孔が配置されているが、下方に1つの孔、上方に2つの孔が配置されてもよい。
【0040】
図6(D)は、孔14Dを5つ有するダンパー10Dを示す。孔14Dは、中心軸Cを中心として、一つの頂点を線対称軸S上に有する、ほぼ正五角形として配置されている。即ち、ほぼ円筒形の中心軸Cを通り、設置面13Dに対して垂直方向から受ける荷重に対する軸Sを基準にして、正面12aDから背面12bDに貫通する孔14Dが線対称に形成されている。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても、より優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。
【0041】
図6(E)は、孔14Eを6つ有するダンパー10Eを示す。孔14Eは、中心軸Cを中心として、一つの頂点を線対称軸S上に有する、ほぼ正五角形として配置されていると共に、さらに1つが中心軸と同心に配置されている。即ち、ほぼ円筒形の中心軸Cを通り、設置面13Dに対して垂直方向から受ける荷重に対する軸Sを基準にして、正面12aEから背面12bEに貫通する孔14Eが線対称に形成されている。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても、より優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。
【0042】
図6(F)は、第二実施例のダンパー10Aの正面図を示す。ダンパー10Aは、孔14Aを7つ有する。孔14Aは、中心軸Cを中心として、2つの頂点を線対称軸S上に有する、ほぼ正六角形として配置されていると共に、さらに1つが中心軸と同心に配置されている。即ち、ほぼ円筒形の中心軸Cを通り、設置面13Aに対して垂直方向から受ける荷重に対する軸Sを基準にして、正面12aAから背面12bAに貫通する孔14Aが線対称に形成されている。これによれば、いかなる方向から荷重や衝撃を受けても、より優れた体圧分散と適正な身体のサポートが得られるダンパーを提供することができる。
【0043】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 ベッドの基台
10 ダンパー
11 側面
12a 正面
12b 背面
13 設置面
14 孔
15 内側面
20 ダンパーユニット
21 保持部
22 支持部
23 取付部
24 連結部
C 中心軸
S 線対称軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7