(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037761
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 19/13 20060101AFI20161128BHJP
H01Q 19/17 20060101ALI20161128BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
H01Q19/13
H01Q19/17
H01Q15/14 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-230922(P2012-230922)
(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-82709(P2014-82709A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(72)【発明者】
【氏名】西岡 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】稲沢 良夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛司
【審査官】
米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05543809(US,A)
【文献】
特開平11−220323(JP,A)
【文献】
特開2010−226695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 15/00−15/24
H01Q 19/00−19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を放射する1次放射器と、
上記1次放射器から放射された電波を反射する反射素子が曲面に複数配置されているリフレクトアレーとを備え、
上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における上記リフレクトアレーの焦点が、上記1次放射器の位置と異なる位置になるように、上記リフレクトアレーの曲面形状が定められ、
上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における上記リフレクトアレーの焦点、あるいは、上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の幾何光学的反射領域内に電波吸収体が配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
上記1次放射器と上記電波吸収体が同一の支持機構に支持されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
電波を放射する1次放射器と、
上記1次放射器から放射された電波を反射する反射素子が曲面に複数配置されているリフレクトアレーとを備え、
上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における上記リフレクトアレーの焦点が、上記1次放射器の位置と異なる位置になるように、上記リフレクトアレーの曲面形状が定められ、
上記反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における上記リフレクトアレーの焦点に、上記1次放射器と別の1次放射器が配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
上記2つの1次放射器が同一の支持機構に支持されていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1次放射器とリフレクトアレーから構成されているアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は一般的なアンテナ装置を示す構成図である。
図6のアンテナ装置では、電波を放射する1次放射器101と、多数の反射素子が表面に並べられている反射板であるリフレクトアレー102とから構成されており、1次放射器101から放射された電波が、リフレクトアレー102における多数の反射素子に反射されてメインビームが形成される。
このとき、多数の反射素子の反射位相を適切に選定することで、所望方向にメインビームを形成することができる。
図6の例では、φ=0°の方向にメインビームが形成されている。
【0003】
図7はリフレクトアレー102の構成例を示す斜視図である。
図7のリフレクトアレー102では、誘電体基板103の上面に対して、導体からなる方形の反射素子104が等間隔に配置され、誘電体基板103の底面には、地板105が配置されている。
なお、反射素子104と地板105の距離は、通常、十分の一波長程度以下に選定され、反射素子104と地板105がマイクロストリップ共振器を形成して動作する。
【0004】
図8はリフレクトアレー102に入射される電磁波の周波数を一定にして、反射素子104の辺長を変化させたときの反射位相の変化を計算した結果を示す説明図である。
図8において、横軸は、入射波の周波数で共振する辺長(以下、「共振長」と称する)で規格化された反射素子104の辺長であり、縦軸は、反射位相である。
図8に示すように、共振長付近で反射位相が急峻に変化し、辺長と共振長の差が大きくなると、反射位相は一定値に漸近する。
【0005】
したがって、メインビームを所望方向に形成するための反射位相分布を実現するには、メインビームの方向、各々の反射素子104の位置及び1次放射器101の位置によって決まる反射位相となるように、各々の反射素子104の辺長を共振長付近で選定すればよい。
これにより、1次放射器101の位置が焦点となる。また、反射素子104の共振周波数と入射波の周波数との差が大きい場合、リフレクトアレー102は、導体板のように、反射位相が周波数に依存しない反射板として動作する。
【0006】
リフレクトアレー102を搭載しているアンテナ装置では、経路長(1次放射器101→反射素子104→開口面の経路長)が、反射素子104毎に異なる。
このアンテナ装置では、各々の反射素子104の反射位相を調整することで、開口面で等位相となるように、上記の経路長差が補償されるが、このような補償は、厳密には単一周波数でしか実現することができない。このため、リフレクトアレー102を搭載しているアンテナ装置の動作周波数帯域は狭いと言える。
【0007】
一方、近年では、所望物体がレーダに探知され難くするステルス技術の研究が活発になされており、アンテナ装置においても、ステルス化が重要な課題になっている。
図9は以下の非特許文献1に開示されているセンターフィード反射鏡アンテナのレーダ断面積(RCS)パターンを示す説明図である。
図9において、横軸は、反射鏡アンテナのボアサイト(メインビーム方向)から測った角度であり、縦軸は、RCSである。
図9に示すように、メインビーム方向を除く|φ|<25°の範囲の反射は、主に反射鏡の鏡面反射が寄与している。これに比べて、メインビーム方向のRCSは非常に大きくなっている。
【0008】
図10はメインビーム方向のRCSが非常に大きくなる原理を説明するための概念図である。
図10(a)に示すように、メインビーム方向(φ=0°方向)から入射された平面波は、反射鏡で反射され、反射鏡の焦点に配置された1次放射器に集束されて入射される。
このとき、1次放射器に入射された電波のおよそ半分は、その1次放射器の給電回路に吸収される。
しかし、残りのおよそ半分は、その1次放射器から再放射され、
図10(b)に示すように、メインビーム方向に戻る。この原理によって、メインビーム方向のRCSが非常に高くなる。
【0009】
リフレクトアレー102を搭載しているアンテナ装置でも、反射鏡アンテナと同様に、1次放射器101をリフレクトアレー102の焦点に配置するので、上述した原理によって、メインビーム方向のRCSが非常に高くなる。
更に、入射波の周波数が反射素子104の共振周波数から離れている場合には、リフレクトアレー102が単なる反射板として動作する。このため、リフレクトアレー102の形状が
図7のような平面である場合には、リフレクトアレー102の法線と入射波の到来方向から定まる幾何光学的反射方向への反射波が非常に高くなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】D. D. Reuster and G. A. Thiele,“Development of low RCS reflector antenna systems,”IEEE AP-S Dig., vol. 3, pp. 2325-2328, 1994.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来のアンテナ装置は以上のように構成されているので、リフレクトアレー102における焦点の数が1つであり、1つの焦点に1次放射器101が配置される。また、反射素子104毎に異なる経路長が開口面で等位相となるように補償されるが、厳密には単一周波数でしか補償することができない。このため、1次放射器101を配置する位置が制限され、使用可能な周波数が狭周波数帯に限定される課題があった。
また、リフレクトアレー102の焦点に1次放射器101を配置することで、その1次放射器101に入射された電波が1次放射器101から再放射されて、メインビーム方向のRCSが非常に高くなってしまう課題があった。
なお、リフレクトアレー102の形状を平面形状とすれば、製作が容易になるが、リフレクトアレー102の法線と入射波の到来方向から定まる幾何光学的反射方向のRCSが非常に高くなってしまう課題があった。
【0012】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、メインビーム方向のRCSを低減することができるアンテナ装置を得ることを目的とする。
また、この発明は、使用可能な周波数の帯域を広げることができるアンテナ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係るアンテナ装置は、電波を放射する1次放射器と、その1次放射器から放射された電波を反射する反射素子が曲面に複数配置されているリフレクトアレーとを備え、その反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における
そのリフレクトアレーの焦点が、その1次放射器の位置と異なる位置になるように、そのリフレクトアレーの曲面形状が定められ
、その反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるそのリフレクトアレーの焦点、あるいは、その反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の幾何光学的反射領域内に電波吸収体が配置されているようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレーの焦点が、1次放射器の位置と異なる位置になるように、そのリフレクトアレーの曲面形状が定められ
、その反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるそのリフレクトアレーの焦点、あるいは、その反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の幾何光学的反射領域内に電波吸収体が配置されているように構成したので、メインビーム方向のRCSを低減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図である。
【
図3】この発明の実施の形態3によるアンテナ装置を示す構成図である。
【
図4】この発明の実施の形態4によるアンテナ装置を示す構成図である。
【
図5】この発明の実施の形態5によるアンテナ装置を示す構成図である。
【
図7】リフレクトアレー102の構成例を示す斜視図である。
【
図8】リフレクトアレー102に入射される電磁波の周波数を一定にして、反射素子104の辺長を変化させたときの反射位相の変化を計算した結果を示す説明図である。
【
図9】非特許文献1に開示されているセンターフィード反射鏡アンテナのレーダ断面積(RCS)パターンを示す説明図である。
【
図10】メインビーム方向のRCSが非常に大きくなる原理を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるアンテナ装置を示す構成図である。
図1において、1次放射器1は電波を放射する電波放射源である。
リフレクトアレー2は1次放射器1から放射された電波を反射する反射素子が曲面に複数配置されている反射板である。
リフレクトアレー2は、
図7のリフレクトアレー102と同様に、誘電体基板103の上面に対して、導体からなる方形の反射素子104が等間隔に配置され、誘電体基板103の底面には、地板105が配置されている。
多数の反射素子104の反射位相を適切に選定することで、所望方向にメインビームを形成することができる。
図1の例では、φ=0°の方向にメインビームが形成されている。
【0017】
ただし、リフレクトアレー2は、
図7のリフレクトアレー102と異なり、形状が曲面形状(湾曲形状)である。
即ち、反射素子104の動作周波数帯域(反射素子104の共振周波数付近の周波数帯)におけるリフレクトアレー2の焦点10の他に、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレー2の焦点11が現れるように、リフレクトアレー2の曲面形状が定められている。
図1の例では、1次放射器1がリフレクトアレー2の焦点10に配置されている。
図中、12が付されている実線は、反射素子104の動作周波数帯域における電波の伝搬経路であり、13が付されている破線は、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の伝搬経路である。
【0018】
次に動作について説明する。
ここでは、説明の便宜上、φ=0°の方向にメインビームが形成されるように、アンテナ装置が設計されることを前提として説明を行う。
【0019】
リフレクトアレー2の曲面に配置される各々の反射素子104の寸法は、反射素子104の動作周波数帯域である使用周波数帯付近で共振する寸法を基本寸法として、メインビーム方向、各々の反射素子104の位置及び1次放射器1の位置から定められる反射位相と一致するように選定される。
これにより、1次放射器1から放射される使用周波数帯の電波の伝搬経路は、伝搬経路12になる。
【0020】
反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域では、上述したように、リフレクトアレー2は導体板として動作するので、リフレクトアレー2の形状が平面形状であるとすると、リフレクトアレー2の法線方向のRCSが非常に高くなる。
そこで、この実施の形態1では、焦点10と別の位置に焦点11が生じるように、リフレクトアレー2の形状を湾曲させている。
湾曲しているリフレクトアレー2の形状は、通常の反射鏡アンテナと同様に、メインビーム方向と第2の焦点11の位置を与え、光路長一定の法則に従って定めればよい。
【0021】
このように、焦点10と別の位置に焦点11が生じる構成とすることで、メインビーム方向から到来した電波の伝搬経路は、使用周波数帯では伝搬経路12となるが、使用周波数帯域以外では伝搬経路13となる。
したがって、使用周波数帯域以外のすべての周波数において、メインビーム方向への反射波をほぼ皆無にすることが可能になる。
また、リフレクトアレー2の形状が曲面形状であるため、形状が平面形状である場合と比べて、法線方向のRCSを大幅に抑圧することが可能になる。
【0022】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレー2の焦点が、1次放射器1の位置と異なる位置になるように、そのリフレクトアレー2の曲面形状が定められているように構成したので、メインビーム方向のRCSを低減することができる効果を奏する。
【0023】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、
図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
領域21は反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の幾何光学的反射領域であり、幾何光学的反射領域21はメインビーム方向、リフレクトアレー2の形状及び焦点11から定まる。
電波吸収体22は焦点11の付近に配置され、メインビーム方向から到来する使用周波数帯域以外の電波を吸収する部材である。
なお、電波吸収体22の配置位置は、メインビーム方向から到来する使用周波数帯域以外の電波を吸収することができれば、焦点11の位置と必ずしも一致している必要はなく、一部又は全部が幾何光学的反射領域21に含まれるように配置されていればよい。
【0024】
上記実施の形態1のアンテナ装置では、メインビーム方向から使用周波数帯域以外の電波が到来したとき、メインビーム方向への反射波をほぼ皆無にすることができるが、焦点11の方向に反射波が生じるため、ステルス化の観点からは万全とは言い難い。
そこで、この実施の形態2では、焦点11の付近に電波吸収体22を配置するようにしている。
焦点11の付近に電波吸収体22を配置することで、メインビーム方向から到来する使用周波数帯域以外の電波をすべて吸収することができるため、どの方向へも到来電波が反射しないようにすることが可能になる。
【0025】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレー2の焦点11、あるいは、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の幾何光学的反射領域21内に電波吸収体22が配置されているように構成したので、アンテナ装置のステルス化を高めることができる効果を奏する。
【0026】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、
図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
支持機構30は1次放射器1と電波吸収体22を支持する小型の機構である。
【0027】
上記実施の形態2のアンテナ装置では、1次放射器1が焦点10に配置され、電波吸収体22が焦点11付近に配置されているものを示したが、この場合、1次放射器1と電波吸収体22の距離が遠くなるため、実際に
図2のアンテナ装置を製作する際には、1次放射器1を支持する支持機構の他に、電波吸収体22を支持する支持機構が必要になる。このため、アンテナ装置全体の大型化と高コスト化を招いてしまう。
【0028】
そこで、この実施の形態3では、
図3に示すように、焦点10と焦点11の距離が近くなるようにアンテナ装置を設計して、小型な支持機構30が、1次放射器1と電波吸収体22を同時に支持できるようにしている。
これにより、アンテナ装置全体の小型化と低コスト化を図ることが可能になる。
【0029】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、
図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
1次放射器40は反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレー2の焦点11に配置され、動作周波数帯域以外の周波数の電波を放射する電波放射源である。
【0030】
上記実施の形態1では、1次放射器1が、反射素子104の動作周波数帯域におけるリフレクトアレー2の焦点10に配置されているものを示したが、この実施の形態4では、1次放射器1の他に、1次放射器1と異なる周波数の電波を放射する1次放射器40が、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレー2の焦点11に配置されているようにしている。
【0031】
反射素子104の動作周波数帯域における電波は伝搬経路12に沿って伝搬し、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波は伝搬経路13に沿って伝搬することは、既に説明しているが、反射素子104の動作周波数帯域(以下、「第1の使用周波数帯」と称する)で所望の特性が得られるように1次放射器1の放射電波の周波数を設計し、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域(以下、「第2の使用周波数帯」と称する)で所望の特性が得られるように1次放射器40の放射電波の周波数を設計すれば、第1の使用周波数帯で通信・レーダなどの機能を実現するとともに、第2の使用周波数帯で、広帯域に通信、レーダ、電波妨害などの機能を実現することが可能になる。
【0032】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、反射素子104の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレー2の焦点11に、1次放射器1と別の1次放射器40が配置されているように構成したので、使用可能な周波数の帯域を広げることができる効果を奏する。
【0033】
実施の形態5.
図5はこの発明の実施の形態5によるアンテナ装置を示す構成図であり、図において、
図4と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
支持機構50は1次放射器1と1次放射器40を支持する小型の機構である。
【0034】
上記実施の形態4のアンテナ装置では、1次放射器1が焦点10に配置され、1次放射器40が焦点11付近に配置されているものを示したが、この場合、1次放射器1と1次放射器40の距離が遠くなるため、実際に
図4のアンテナ装置を製作する際には、1次放射器1を支持する支持機構の他に、1次放射器40を支持する支持機構が必要になる。このため、アンテナ装置全体の大型化と高コスト化を招いてしまう。
【0035】
そこで、この実施の形態5では、
図5に示すように、焦点10と焦点11の距離が近くなるようにアンテナ装置を設計して、小型な支持機構50が、1次放射器1と1次放射器40を同時に支持できるようにしている。
これにより、アンテナ装置全体の小型化と低コスト化を図ることが可能になる。
【0036】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 1次放射器、2 リフレクトアレー、10 反射素子の動作周波数帯域におけるリフレクトアレーの焦点、11 反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域におけるリフレクトアレーの焦点、12 反射素子の動作周波数帯域における電波の伝搬経路、13 反射素子の動作周波数帯域以外の周波数帯域における電波の伝搬経路、21 幾何光学的反射領域、22 電波吸収体、30 支持機構、40 1次放射器、50 支持機構、101 1次放射器、102 リフレクトアレー、103 誘電体基板、104 反射素子、105 地板。