特許第6037802号(P6037802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許6037802-詰め替え容器 図000002
  • 特許6037802-詰め替え容器 図000003
  • 特許6037802-詰め替え容器 図000004
  • 特許6037802-詰め替え容器 図000005
  • 特許6037802-詰め替え容器 図000006
  • 特許6037802-詰め替え容器 図000007
  • 特許6037802-詰め替え容器 図000008
  • 特許6037802-詰め替え容器 図000009
  • 特許6037802-詰め替え容器 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037802
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】詰め替え容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20161128BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B65D47/06 F
   B65D1/02
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-262471(P2012-262471)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-108787(P2014-108787A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】今西 裕樹
【審査官】 佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−030860(JP,A)
【文献】 特開2000−016442(JP,A)
【文献】 特開2005−242240(JP,A)
【文献】 特開平11−130073(JP,A)
【文献】 実開昭48−033658(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるとともに容器軸方向に押し潰し可能な胴部を有する容器本体と、該容器本体の口部に装着されるとともに内容物を注出する注出口が形成された注出部材と、を備える詰め替え容器であって、
前記注出部材には、前記注出口を開閉する開閉弁が備えられ、該開閉弁は、前記注出口の開口周縁上に接離自在に配置されて該注出口を閉じる弁本体と、該弁本体を弾性変位自在に支持する支持部と、を備え
前記弁本体は、前記注出口の開口周縁上に接離自在に配置される環状の外フランジ部と、前記外フランジ部の内周端から上方に起立する円筒部と、を有し、前記円筒部の上端が前記口部に装着されたキャップに当接して、キャップ装着状態での前記注出口の開放を制限することを特徴とする詰め替え容器。
【請求項2】
前記容器本体が、
第1パネル面と第2パネル面とが周方向に交互に連設され、第1パネル面及び第2パネル面のそれぞれが容器軸を挟んで向かい合うように一対設けられた、横断面視矩形状の前記胴部を具備し、
前記第1パネル面には、第1折曲ラインが周方向に沿って形成され、前記第2パネル面には、周方向の中央部分において前記容器軸方向に沿って延びた第2折曲ラインと、該第2折曲ラインの上端部及び下端部からそれぞれ上方及び下方に向かうにしたがって漸次周方向に広がるように二又状に延び、前記第2パネル面と前記第1パネル面との稜線に繋がる第3折曲ラインと、前記第2折曲ラインを間にして周方向に並んで配設されると共に、前記第1パネル面と前記第2パネル面との稜線における、前記第1折曲ラインに対して容器軸方向の高さが一致する部分から、前記第2折曲ラインに向けて延びた第4折曲ライン及び第5折曲ラインと、が形成され、
前記第4折曲ラインが周方向に沿って延び、その延長線が第2折曲ラインに交差するように形成され、前記第5折曲ラインが、前記第2折曲ラインに向かうにしたがって漸次容器軸方向に広がるように二又状に延び、該第2折曲ラインとの間で平面視三角形状の折曲パネル面を画成させることを特徴とする請求項1に記載の詰め替え容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器の胴部に形成された折曲ラインに沿って該胴部を折り畳むことで、容器軸方向に押し潰すことができる詰め替え容器が記載されている。
この詰め替え容器は、横断面視正方形又は長方形に形成された胴部と、該胴部の上端縁から肩部を介して起立された口部と、を具備し、胴部のうち容器軸を挟んで対向し合う一方の対向壁部には周方向に第1折目線が形成され、他方の対向壁部には第1折目線に繋がる第2折目線、及び該第2折目線内端から外端の上下方向に向けて延びた第3折目線、が形成されている。
このように構成された詰め替え容器によれば、例えば廃棄時に、上記した各折目線に沿って胴部を折り曲げながら、容器軸方向に折り畳んで押し潰すことができ、減容化を図ることが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−326621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の如く容器軸方向に押し潰することができる詰め替え容器の場合、口部が上向きの正立姿勢から口部が下向きの倒立姿勢として、詰め替え容器の口部を本容器の口部に接続し、詰め替え容器に上方から圧縮力を付与しつつ押し潰しながら内容物を詰め替えることが効率的である。
しかし、上記従来の詰め替え容器では、口部を開栓後に倒立姿勢にすると、口部から内容物がこぼれ出るという問題がある。逆に、本容器を傾けたり倒立姿勢として詰め替え容器に接続しようとしても、本容器に内容物が残っている場合はやはり内容物がこぼれ出るという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、本容器に内容物を詰め替える際の内容物のこぼれを抑制した上で、効率的な詰め替え作業が可能な詰め替え容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明に係る詰め替え容器は、内容物が収容されるとともに容器軸方向に押し潰し可能な胴部を有する容器本体と、該容器本体の口部に装着されるとともに内容物を注出する注出口が形成された注出部材と、を備える詰め替え容器であって、前記注出部材には、前記注出口を開閉する開閉弁が備えられ、該開閉弁は、前記注出口の開口周縁上に接離自在に配置されて該注出口を閉じる弁本体と、該弁本体を弾性変位自在に支持する支持部と、を備え、前記弁本体は、前記注出口の開口周縁上に接離自在に配置される環状の外フランジ部と、前記外フランジ部の内周端から上方に起立する円筒部と、を有し、前記円筒部の上端が前記口部に装着されたキャップに当接して、キャップ装着状態での前記注出口の開放を制限することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、注出口に弾性変位自在な開閉弁を有することで、内容物の詰め替え時に、単に容器本体を注出口が下向きの倒立姿勢にしただけでは、容器本体内の内容物が注出口から流出することが抑えられる。このため、本容器に内容物を詰め替える際の内容物のこぼれを抑制することができる。
また、注出口と本容器の注入口とを連通させた状態で、容器本体の胴部を容器軸方向に押し潰すと、容器本体の内圧が開閉弁に作用し、弁本体が注出口の開口周縁から離間するように支持部が弾性変形して、注出口から内容物を注出可能となる。
この際、容器本体を例えば径方向ではなく容器軸方向に押し潰すので、詰め替え時に本容器及び詰め替え容器の相対的な位置ずれを生じ難くすることができるとともに、開閉弁に容器本体の内圧を効率よく及ぼすことも可能になる。
【0008】
本発明に係る詰め替え容器は、前記容器本体が、第1パネル面と第2パネル面とが周方向に交互に連設され、第1パネル面及び第2パネル面のそれぞれが容器軸を挟んで向かい合うように一対設けられた、横断面視矩形状の前記胴部を具備し、
前記第1パネル面には、第1折曲ラインが周方向に沿って形成され、前記第2パネル面には、周方向の中央部分において前記容器軸方向に沿って延びた第2折曲ラインと、該第2折曲ラインの上端部及び下端部からそれぞれ上方及び下方に向かうにしたがって漸次周方向に広がるように二又状に延び、前記第2パネル面と前記第1パネル面との稜線に繋がる第3折曲ラインと、前記第2折曲ラインを間にして周方向に並んで配設されると共に、前記第1パネル面と前記第2パネル面との稜線における、前記第1折曲ラインに対して容器軸方向の高さが一致する部分から、前記第2折曲ラインに向けて延びた第4折曲ライン及び第5折曲ラインと、が形成され、前記第4折曲ラインが周方向に沿って延び、その延長線が第2折曲ラインに交差するように形成され、前記第5折曲ラインが、前記第2折曲ラインに向かうにしたがって漸次容器軸方向に広がるように二又状に延び、該第2折曲ラインとの間で平面視三角形状の折曲パネル面を画成させることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、容器本体に容器軸方向の圧縮力が付与されると、該圧縮力によって第1パネル面が第1折曲ラインに沿って徐々に折れ曲がると共に、第2パネル面が第2折曲ライン〜第5折曲ラインに沿って徐々に折れ曲がるので、胴部全体が折り畳まれて、容器軸方向に押し潰されはじめる。
この際、第2パネル面のうち第4折曲ラインが形成されている部分については、直線状に延びた第4折曲ラインに沿って折れ曲がるので、徐々に第4折曲ラインの延長線と第2折曲ラインとが交差する部分に応力が集中しはじめる。一方、第2パネル面のうち第5折曲ラインが形成されている部分については、V字状に延びた第5折曲ラインに沿って折れ曲がる。
そして、折り畳みがさらに進行すると、上記した応力集中によって、第2折曲ラインが第4折曲ラインの延長線との交差部分を中心として第5折曲ライン側に屈曲する。そのため、この屈曲ポイントを起点として折曲パネル面を折り畳むことができ、これによって胴部全体の折り畳みを速やかに進行させることができる。その結果、容器軸方向に容器本体を押し潰すことができる。
特に、折り畳みによって生じる応力を積極的に第2折曲ラインに集中させることができ、それにより第2折曲ラインを屈曲させて折れ曲がりの起点を決まった位置に作ることができる。そのため、折曲パネル面を決まった位置で確実に折り畳むことができ、胴部全体の折り畳みを安定に行うことが可能とされている。従って、残容積を極力残すことなく均一に押し潰すことができる。
そして、容器本体の押し潰しがスムーズに行われることで、内圧を受けた弁本体の開作動及び内容物の流出が安定し、内容物の詰め替え作業をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本容器に内容物を詰め替える際の内容物のこぼれを抑制した上で、効率的な詰め替え作業が可能な詰め替え容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態における詰め替え容器の正立状態の正面図である。
図2図1の側面図である。
図3図1のA−A断面図である。
図4図1のB−B断面図である。
図5】上記詰め替え容器を容器軸方向に押し潰した状態の正面図である。
図6図5の側面図である。
図7図1の要部拡大図である。
図8】上記詰め替え容器の開閉弁を図7の矢印C方向から見た矢視図である。
図9】上記詰め替え容器を倒立姿勢にして本容器に接続した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態の詰め替え容器1は、ブロー容器(容器本体)2の口部3に注出口9aを形成する注出部材9を装着し、この注出部材9に逆止弁として機能する開閉弁40を備えた構成を有する。
【0013】
(ブロー容器の構成)
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る詰め替え容器1は、ダイレクトブロー成形等の各種ブロー成形により形成され、後述する容器軸O方向に圧縮力が付与されることで押し潰し可能とされた合成樹脂製の容器であり、図示しない内容物が充填される。詰め替え容器1は、容器軸O方向に押し潰し可能な胴部6と、図中上端に突設されて内容物を注出可能とする口部3と、を備え、これらが中心軸線を共通軸上に位置した状態で連設されている。
【0014】
以下、上記共通軸を容器軸Oとし、この容器軸Oに沿って口部3側を上側、詰め替え容器1の底部5側を下側とする。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
詰め替え容器1は、底部5と、底部5の外周縁に連設された胴部6と、胴部6の上端縁に連設された肩部7と、肩部7の中央部から上方に向けて起立する円筒状の口部3と、を一体形成する。口部3の内側には、内容物を注出する注出口9aが形成された注出部材9が装着されると共に、口部3の外側には、該口部3を閉栓する有頂筒状のキャップ8が着脱自在に螺着される。口部3の外周には、キャップ8内周の雌ネジ8aを螺合させる雄ネジ3aが形成される。口部3の上下中間部の外周で雄ネジ3aの下方には、環状のストッパ壁3bが立設される。
【0016】
胴部6は、横断面視矩形状のパネルユニット6A、6Bが容器軸O方向に2段に連設された多連式の胴部とされており、図3に示すように、これらパネルユニット6A、6Bの接続部分には両ユニット6A、6Bを上下に区分けする境界折曲ライン15が周方向に沿って間欠的に全周に亘って形成されている。なお、図示の例では、容器外方に突出する凸リブ(第1パネル面20内)と容器内方に突出する凹リブ(第2パネル面21内)との組み合わせによって境界折曲ライン15が形成されている。
【0017】
上記パネルユニット6A、6Bは、図1図2及び図4に示すように、第1パネル面20と第2パネル面21とが周方向に交互に連設され、第1パネル面20及び第2パネル面21のそれぞれが容器軸Oを挟んで径方向に向かい合うように一対設けられることで、横断面視矩形状に形成されている。
【0018】
以下、パネルユニット6A、6Bについて詳細に説明するが、上段側のパネルユニット6Aと下段側のパネルユニット6Bとは基本的な構成は同一であるため、下段側のパネルユニット6Bについてはその説明を省略し、上段側のパネルユニット6Aについて説明する。
【0019】
第1パネル面20には、容器軸O方向の中央部分において第1折曲ライン30が周方向に沿って直線状に形成されている。この際、第1折曲ライン30の両端部は、第1パネル面20と第2パネル面21との稜線Lに達しない長さとされている。
また、上記第1折曲ライン30の両端部の少なくとも一方を、稜線Lに繋がるように形成しても良い。
【0020】
なお、本実施形態では、後述するカット面37によって稜線Lが面取りされているので、各図では稜線Lを仮想線として図示している。また、図示の例では、凹リブによって第1折曲ライン30が形成されている。更に、第1パネル面20は、図示の例では第2パネル面21側から見た側面視で第1折曲ライン30を中心として径方向内方に向けてV字状に窪んだ状態とされている(図2参照)。
【0021】
第2パネル面21には、第2折曲ライン31、第3折曲ライン32、第4折曲ライン33及び第5折曲ライン34の複数の折曲ラインが形成されている。なお、第2パネル面21は、図示の例では第1パネル面20側から見た側面視で第2折曲ライン31を頂辺として、径方向外方に向けて膨出した状態とされている(図1参照)。
【0022】
第2折曲ライン31は、第2パネル面21における周方向の中央部分において、容器軸O方向に沿って直線状に延びるように形成されている。この際、第2折曲ライン31の中央部は、上記した第1折曲ライン30に対して容器軸O方向の高さが略一致する部分に形成されている。
【0023】
第3折曲ライン32は、第2折曲ライン31の上端部及び下端部からそれぞれ上方及び下方に向かうにしたがって漸次周方向に広がるように二又状に延びて形成されている。この際、第3折曲ライン32は、第1パネル面20と第2パネル面21との稜線Lに繋がるように形成されている。
なお、上記第3折曲ライン32を、稜線Lに繋がらないように形成しても良い。
【0024】
そして、肩部7と第2パネル面21との稜線と、第3折曲ライン32と、で囲まれる部分、及び境界折曲ライン15と、第3折曲ライン32と、で囲まれる部分は、側面視三角形状の非折曲パネル面35とされている。これに対して、第2パネル面21のうち非折曲パネル面35以外の面は、詰め替え容器1の押し潰し時に折り畳まれる面とされている。
【0025】
第4折曲ライン33及び第5折曲ライン34は、第2折曲ライン31を間にして周方向に並んで配設されると共に、第1パネル面20と第2パネル面21との稜線Lにおける、第1折曲ライン30に対して容器軸O方向の高さが一致する部分を起点として、該起点部分Sから第2折曲ライン31に向けて互いに逆方向に延びるように形成されている。
【0026】
より詳しくは、第4折曲ライン33は、上記起点部分Sから第2折曲ライン31に向けて周方向に延び、その延長線が第2折曲ライン31の略中間部で交差するように形成されている。一方、第5折曲ライン34は、上記起点部分Sから第2折曲ライン31に向かうにしたがって漸次容器軸O方向に広がるように二又状(例えば、V字状やY字状)に伸びて形成されている。そして、これら第5折曲ライン34と第2折曲ライン31との間には、側面視三角形状の折曲パネル面36が画成されている。
【0027】
なお、図示の例では、凹リブによって第4折曲ライン33及び第5折曲ライン34が形成されている。また、第4折曲ライン33及び第5折曲ライン34の一部は、上記起点部分Sから第1折曲ライン30に向けて第1パネル面20側にも直線状に若干延びている。
【0028】
また、第1パネル面20と第2パネル面21との稜線Lには、上方及び下方から第4折曲ライン33及び第5折曲ライン34の上記起点部分Sに向けて漸次広がるテーパ状のカット面37が形成されて、面取りされている。
【0029】
ところで、上述したように下段側のパネルユニット6Bは、上記した上段側のパネルユニット6Aと基本的な構成は同一であるが、本実施形態では第4折曲ライン33及び第5折曲ライン34の形成位置が、両パネルユニット6A、6Bにおいて互い違いに配置されている。つまり、上段側のパネルユニット6Aの第4折曲ライン33と下段側のパネルユニット6Bの第5折曲ライン34とが容器軸O方向に並び、上段側のパネルユニット6Aの第5折曲ライン34と下段側のパネルユニット6Bの第4折曲ライン33とが容器軸O方向に並ぶように配置されている。
【0030】
(注出部材の構成)
図7に示すように、注出部材9は、合成樹脂からなる成型品であり、口部3の内周に上部外周を嵌入させる円筒状の外筒部10と、外筒部10の上端から径方向外周側に延設して口部3上端に下面を当接させる環状の上部短フランジ部11と、外筒部10の下端から径方向内周側に延設する環状の下部短フランジ部12と、下部短フランジ部12の内周端から上方に起立する円筒状の下部内筒部13と、下部内筒部13の上端から段差部13aを介して内周側に変化して上方に起立して注出口9aを形成する円筒状の上部内筒部14と、を一体形成する。外筒部10の上部外周には、口部3の内周に密接する環状のシール部10aが突設される。外筒部10の上端内周には、開閉弁40の後述する保持筒部41の上方移動を制限する環状の押さえ部10bが突設される。
【0031】
(開閉弁の構成)
図7図8に示すように、開閉弁40は、合成樹脂からなる成型品であり、注出部材9の外筒部10の内周に嵌入される円筒状の保持筒部41と、保持筒部41の上下中間位置の内周面に一端を接続する容器軸O方向視で円弧状の複数の支持部42と、保持筒部41の内周に配置されて複数の支持部42の他端を接続する容器軸O方向視で円形の弁本体43と、を一体形成する。
【0032】
図7を参照し、開閉弁40は、保持筒部41の上部外周が注出部材9の外筒部10の上部内周に嵌入されるとともに、保持筒部41の下部が注出部材9の外筒部10の下部及び下部内筒部13間の隙間に差し込まれ、保持筒部41の下端が注出部材9の下部短フランジ部12の上面に当接し、保持筒部41の上端が注出部材9の押さえ部10bの下方に係合した状態で保持される。このとき、弁本体43の外周下面(以下、シール面という)43aが、注出部材9の上部内筒部14の上端面(以下、注出口9aの開口周縁という)9bに干渉(圧接)し、弁本体43が複数の支持部42を弾性変形させて上方に変位する。
【0033】
これにより、開閉弁40に大きな入力のない平時には、弁本体43が複数の支持部42の弾性力によって注出口9aの開口周縁9b側に付勢され、弁本体43のシール面43aが開口周縁9bに密接して注出口9aを閉塞する。一方、弁本体43にブロー容器2の内圧等が作用した際は、弁本体43が注出口9aの開口周縁9bから離間して注出口9aを開放する(図9右側参照)。
【0034】
図7図8を参照し、弁本体43は、複数の支持部42を接続するとともに注出口9aの開口周縁9b上に接離自在に配置される環状の外フランジ部44と、外フランジ部44の内周端から上方に起立する円筒部45と、円筒部45の上端内周に接続される下方に凸の椀状部46と、を有する。円筒部45の上端は、口部3に装着されたキャップ8の頂部下面に突設されたガイド壁8bの下端に当接し、キャップ8装着状態での注出口9aの開放を制限する。
【0035】
支持部42は、周方向に沿って延びる円弧状をなし、図8の時計回り方向の先端部を弁本体43の外周に連結するとともに、図8の反時計回り方向の先端部を保持筒部41の内周に連結する。支持部42は、保持筒部41と弁本体43との間で、周方向に間隔を空けて複数(本実施形態では3つ)配置される。複数の支持部42は、弁本体43を容器軸O方向で変位可能に支持し、この弁本体43の変位によって注出口9aが開閉可能となる。
【0036】
(詰め替え容器の使用)
次に、上述したように構成された詰め替え容器1の内容物を注出する場合について、図9を参照して説明する。本実施形態では、一部図示する本容器51内に例えば高い粘度を有する内容物を注出して詰め替える場合を例にして説明する。
【0037】
まず、口部3からキャップ8を取り外し、詰め替え容器1を倒立姿勢にした後、正立姿勢とされた本容器51の口部52内に詰め替え容器1の口部3を挿入させる。
このとき、図9左側に示すように、詰め替え容器1の開閉弁40は、内容物の重量を受けるのみでは、複数の支持部42の弾性力によって弁本体43を注出口9aの開口周縁9b上に位置させたままとし、注出口9aからの内容物の漏出を抑えている。
【0038】
このため、詰め替え容器1を倒立姿勢にする際にも、注出口9aから内容物がこぼれ出ることはなく、また、注出口9aを手指で塞いだり本容器51の姿勢を変えたりしながらの難しい作業を要することもなく、詰め替え容器1の口部3を本容器51の口部52に挿入することができる。
詰め替え容器1の口部3を本容器51の口部52内に挿入した際には、詰め替え容器1の口部3のストッパ壁3bが本容器51の口部52の開口端に当接し、詰め替え容器1の口部3の挿入量が制限される。
【0039】
次いで、容器軸O方向に沿って詰め替え容器1に圧縮力を付与することで、図5及び図6に示すように詰め替え容器1の胴部6を押し潰し、該押し潰しによって内容物を本容器51側に押し出して内容物の詰め替え作業を行う。
このとき、詰め替え容器1の口部3が本容器51の口部52に挿入されることで、倒立姿勢の詰め替え容器1を自立させることができる。また、ストッパ壁3bによって詰め替え容器1の口部3の挿入量が制限されることで、倒立姿勢の詰め替え容器1の底部5に上方から圧縮力を付与した際に、詰め替え容器1の口部3が本容器51の口部52内に没入することがなく、かつ上方からの圧縮力は作業者が付与し易いことから、詰め替え容器1の胴部6を効率よくかつ容易に押し潰すことができる。
【0040】
胴部6の押し潰しについて詳細に説明すると、容器軸O方向に圧縮力が付与されると、該圧縮力によって第1パネル面20が第1折曲ライン30に沿って徐々に径方向内方に折れ曲がると共に、第2パネル面21が第2折曲ライン31〜第5折曲ライン34に沿って徐々に折れ曲がるので、上段側のパネルユニット6A及び下段側のパネルユニット6Bからなる胴部6の全体が折り畳まれて、容器軸O方向に押し潰されはじめる。
【0041】
この際、第2パネル面21には、第2折曲ライン31を挟んで形状の異なる第4折曲ライン33及び第5折曲ライン34が形成されているので、第2折曲ライン31を挟んだ周方向の両側部分の折り畳まれ方が異なる。
【0042】
即ち、第2パネル面21のうち第4折曲ライン33が形成されている部分については、直線状に延びた第4折曲ライン33に沿って折れ曲がるので、徐々に第4折曲ライン33の延長線と第2折曲ライン31とが交差する部分に応力が集中しはじめる。一方、第2パネル面21のうち第5折曲ライン34が形成されている部分については、V字状に延びた第5折曲ライン34に沿って折れ曲がる。
【0043】
そして、折り畳みが進行すると、上記した応力集中によって、第2折曲ライン31が第4折曲ライン33の延長線との交差部分を中心として、くの字状に第5折曲ライン34側に屈曲する(図6参照)。そのため、この屈曲ポイントを起点として折曲パネル面36を折り畳むことができ、これによって胴部6全体の折り畳みを速やかに進行させることができる。その結果、詰め替え容器1を容器軸O方向に押し潰すことができ、本容器51への内容物の詰め替え作業を行うことができる。
【0044】
特に、折り畳みによって生じる応力を積極的に第2折曲ライン31に集中させることができ、それにより第2折曲ライン31を屈曲させて折れ曲がりの起点を決まった位置に作っている。そのため、折曲パネル面36を決まった位置で確実に折り畳むことができ、胴部6全体の折り畳みを安定に行うことが可能とされている。従って、残容積を極力残すことがなく均一に押し潰すことができ、内容物を無駄に残すことなく本容器51側に詰め替えることができる。
【0045】
しかも、均一に押し潰すことができるので、高粘度の内容物であっても容易に本容器51側に押し出すことができ、詰め替え作業をスムーズに行い易い。また、残容積を極力残すことがなく均一に押し潰すことができるので、詰め替え容器1の廃棄時における減容化が可能となる。
【0046】
また、第1パネル面20と第2パネル面21との稜線Lがテーパ状のカット面37によって面取りされているので、第1パネル面20及び第2パネル面21を各折曲ライン31〜34に沿って折り畳み易い。従って、より抵抗少なく詰め替え容器1の押し潰しを行うことができる。
【0047】
また、上段側のパネルユニット6Aと下段側のパネルユニット6Bとで、第4折曲ライン33及び第5折曲ライン34の形成位置が互い違いに配置されているので、図6に示すように、折り畳み時、それぞれの第2折曲ライン31を反対方向に屈曲させることができる。従って、折り畳まれた折曲パネル面36の厚みが容器軸O方向に重なってしまうことを防止でき、バランス良く詰め替え容器1の押し潰しを行うことができる。
【0048】
詰め替え容器1に圧縮力を付与して胴部6を押し潰した際には、内容量の減少に伴い詰め替え容器1の内圧が増加し、図9右側に示すように、開閉弁40の弁本体43を複数の支持部42の付勢力に抗して上方(図9では下方)に変位させる。これにより、弁本体43と注出口9aの開口周縁9bとの間に隙間Dが生じて注出口9aが開放し、詰め替え容器1の注出口9aと本容器51の注入口52aとが連通し、詰め替え容器1の内容物を本容器51に移し替えることができる。このとき、詰め替え容器1の胴部6の押し潰しがバランスよく安定して行われることで、弁本体43の開作動が安定し、内容物の詰め替え作業をスムーズに行うことができる。
【0049】
内容物の詰め替え作業を中断する等のために、詰め替え容器1への圧縮力の付与を停止すると、容器内圧の増加が無くなるとともに、胴部6の弾性変形が一部戻って注出口9aから容器内に外気を吸い込ませようとする。しかし、本実施形態では、圧縮力の付与が停止して容器内圧の増加が無くなることによって、開閉弁40が注出口9aを閉塞するため、圧縮力の付与を停止した後にも、注出口9aからの外気の吸い込みを抑制し、かつ詰め替え容器1を本容器51から取り外した際の注出口9aからの内容物のこぼれも抑制することができる。
【0050】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、パネルユニット6A、6Bを上下2段に連結することで胴部6を構成したが、パネルユニットを3段以上に連結しても構わない。この場合であっても、胴部6をパネルユニット毎に小分けして安定且つ確実に折り畳むことができるので、胴部6が長い大型の容器とされていてもスムーズな押し潰しを行い易い。
第1折曲ライン30〜第5折曲ライン34としては、凸リブ、凹リブ、又は段差を設けることで形成すれば良い。前記各折曲ライン30〜34は、連続する直線状に限られず間欠の直線状に形成されても良く、各折曲ライン同士、或いは折曲ラインと稜線との接続部分を、連結、非連結のどちらで形成しても良い。
【0052】
開閉弁40は、弁本体43と3つの支持部42とにより弁本体43を変位可能として注出口9aを開閉可能とするいわゆる三点弁とされるが、これに限らず、1つ又は2つの支持部42で弁本体43を支持したり4つ以上の支持部42で弁本体43を支持した構成でもよく、かつ、弁本体43を容器軸O方向で変位させて注出口9aを開閉させる以外の種々構成の開閉弁40を用いてもよい。
口部3にキャップ8を螺着させる構成としたが、口部3に対して破断可能な弱化部を介して蓋体を接続した構成としてもよい。詰め替え時、詰め替え容器1の口部3を本容器51の口部52に挿入する構成としたが、詰め替え容器1の口部3に本容器51の口部52を挿入したり、両口部3,52を突き当てる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 詰め替え容器
O 容器軸
2 ブロー容器(容器本体)
3 口部
6 胴部
6A,6B パネルユニット
9 注出部材
9a 注出口
9b 開口周縁
20 第1パネル面
21 第2パネル面
30 第1折曲ライン
31 第2折曲ライン
32 第3折曲ライン
33 第4折曲ライン
34 第5折曲ライン
36 折曲パネル面
40 開閉弁
42 支持部
43 弁本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9