【実施例】
【0027】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
実施例及び比較例における分析又は定量の方法を以下に示す。
【0029】
[シリカ微粒子濃度測定方法]
シリカゾル10gに50体積%硫酸水溶液2mlを加え、白金皿上にて蒸発乾固し、得られた固形分を1000℃にて1時間焼成後、冷却して秤量する。次に、秤量した固形物を微量の50体積%硫酸水溶液にとかし、更にフッ化水素酸20mlを加えてから、白金皿上にて蒸発乾固し、1000℃にて15分焼成後、冷却して秤量する。これらの重量差によりシリカゾル中のシリカ微粒子の濃度を求めた。
【0030】
[可溶性シリカ含有量及びモノケイ酸含有量測定方法]
トリメチルシリル3mlに、CaOにて脱水したメタノール6mlを加えて撹拌した後、ヘキサメチルジシロキサン9mlを添加して、5分撹拌した。撹拌を維持しつつ、シリカゾルを100ml添加し、20分以上撹拌した。作成したサンプルを全量回収し、上澄み液を分離した後、イオン交換樹脂(Amberlite15(登録商標))を2g添加して1.5時間撹拌した。得られたサンプルから前記イオン交換樹脂を分離した後、水洗を行い、再度、同様のイオン交換樹脂を2g添加して1.5時間撹拌した。得られたサンプルから前記イオン交換樹脂を分離し、ガスクロマトグラフィー用の試料とした。
次に、検出器として水素炎イオン化検出器を用いたガスクロマトグラフ質量分析計を用いて、試料の分析を行った。カラムは直径2mm、長さ1mのステンレス管に充填剤としてDexsil400(登録商標)及びクロモソルブWを充填したものを使用し、キャリヤーガスはアルゴンを使用し、試料導入部及び検出器の温度は400℃に設定した。カラムの温度は70℃から350℃まで0.125℃/sの速度で昇温しながら分析を行った。
分析の結果について、表1の検出温度及び質量電荷比m/eからモノケイ酸及び可溶性シリカのピーク帰属を行い、得られた全ピークの総面積からそれぞれのピーク面積の比率を求めることで、試料中のモノケイ酸量及び可溶性シリカ量を算出した。
【0031】
[シリカ微粒子濃度測定方法]及び[可溶性シリカ量及びモノケイ酸量測定方法]から得られた値を用いて、可溶性シリカ量/全シリカ量、及びモノケイ酸量/可溶性シリカ量の値を算出した。
【0032】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
【0033】
[実施例1]
[散布液の調製]
水995gに市販のシリカ粉末(AEROSIL(登録商標):RX300)70gと、メタケイ酸ナトリウム100g及び水酸化ナトリウム5gを混合して、SiO
2換算濃度8.3質量%の溶液を調製した。この溶液を150℃で5時間加熱し、減圧蒸発装置にてSiO
2換算濃度が40質量%となるまで濃縮を行い、植物の成長促進剤を得た。該植物の成長促進剤100gについて、可溶性シリカ成分含有量及びモノケイ酸含有量を測定した結果、全シリカ量は40gで、可溶性シリカ量は31.7gで、可溶性シリカ量中のモノケイ酸量は15.5gであった。また、シリカゾルを室温で60日保管したが、沈殿物の生成及びゲル化は見られなかった。該シリカゾル50gと肥料(商標:微粉ハイポネックス)12gを水5938gと混合し、散布液とした。
【0034】
[植物育成試験]
ベント芝の株を値切りして、畑地土壌からなる培地に植えつけた。芝を植えつけた日に、該散布液を、SiO
2の散布量が各培地の芝に対して0.5g/m
2となるように散布した。植付け日から30日後に、再度、該散布液肥を散布した他は、水だけを毎日1回散布した。
【0035】
[育成効果の確認]
上記のようにして育成したベント芝の成長量を、芝の植付け日から60日後に測定した。測定に当たり、先ず10cm×10cmの芝を10個切り取り、付着物を水洗除去して、地上部の草丈と根長を測定した。次いで、室温で1日中乾燥後、葉部と根部を切り離し、それぞれの重量を測定した。さらに、切り離した葉部と根部を酸に溶解した後、誘導結合プラズマ発光分析法にてSiの含有量を測定した。それぞれの測定結果を表1に示す。なお、各測定値は平均値である。
【0036】
[実施例2]
水995gに市販のシリカ粉末(AEROSIL(登録商標):RX300)70gと、メタケイ酸ナトリウム100g及び水酸化ナトリウム5gを混合して、SiO
2換算濃度8.3質量%の溶液を調製した。この溶液を150℃で5時間加熱し、減圧蒸発装置にてSiO
2換算濃度が20質量%となるまで濃縮を行い、シリカゾルを得た。該シリカゾル100gについて、可溶性シリカ成分含有量及びモノケイ酸含有量を測定した結果、全シリカ量は20gで、可溶性シリカ量は15.7gで、可溶性シリカ量中のモノケイ酸量は7.5gであった。また、シリカゾルを室温で60日保管したが、沈殿物の生成及びゲル化は見られなかった。該シリカゾル150gと肥料(商標:微粉ハイポネックス)12gを水5838gと混合し、散布液とした。[植物育成試験]及び[育成効果の確認]については、実施例1と同様の条件で実施した。
【0037】
[実施例3]
水1000gに市販のシリカ粉末(AEROSIL(登録商標):RX300)70gと、メタケイ酸ナトリウム100gを混合して、SiO
2換算濃度8.3質量%の溶液を調製した。この溶液を150℃で5時間加熱し、減圧蒸発装置にてSiO
2換算濃度が20質量%となるまで濃縮を行い、シリカゾルを得た。該シリカゾル100gについて、可溶性シリカ成分含有量及びモノケイ酸含有量を測定した結果、全シリカ量は20gで、可溶性シリカ量は11.0gで、可溶性シリカ量中のモノケイ酸量は、5.1gであった。また、シリカゾルを室温で60日保管したが、沈殿物の生成及びゲル化は見られなかった。該シリカゾル150gと肥料(商標:微粉ハイポネックス)12gを水5838gと混合し、散布液とした。[植物育成試験]及び[育成効果の確認]については、実施例1と同様の条件で実施した。
【0038】
[実施例4]
水1000gに市販のシリカ粉末(AEROSIL(登録商標):RX300)40gと、メタケイ酸ナトリウム160gを混合して、SiO
2換算濃度8.3質量%の溶液を調製した。この溶液を150℃で5時間加熱し、減圧蒸発装置にてSiO
2換算濃度が20質量%となるまで濃縮を行い、シリカゾルを得た。該シリカゾル100gについて、可溶性シリカ成分含有量及びモノケイ酸含有量を測定した結果、全シリカ量は20gで、可溶性シリカ量は12.2gで、可溶性シリカ量中のモノケイ酸量は9.5gであった。また、シリカゾルを室温で60日保管したが、沈殿物の生成及びゲル化は見られなかった。該シリカゾル150gと肥料(商標:微粉ハイポネックス)12gを水5838gと混合し、散布液とした。[植物育成試験]及び[育成効果の確認]については、実施例1と同様の条件で実施した。
【0039】
[実施例5]
水1000gに市販のシリカ粉末(AEROSIL(登録商標):RX300)100gと、メタケイ酸ナトリウム40gを混合して、SiO
2換算濃度8.3質量%の溶液を調製した。この溶液を150℃で5時間加熱し、減圧蒸発装置にてSiO
2換算濃度が20質量%となるまで濃縮を行い、シリカゾルを得た。該シリカゾル100gについて、可溶性シリカ成分含有量及びモノケイ酸含有量を測定した結果、全シリカ量は20gで、可溶性シリカ量は3.8gで、可溶性シリカ量中のモノケイ酸量は1.4gであった。また、シリカゾルを室温で60日保管したが、沈殿物の生成及びゲル化は見られなかった。該シリカゾル150gと肥料(商標:微粉ハイポネックス)12gを水5838gと混合し、散布液とした。[植物育成試験]及び[育成効果の確認]については、実施例1と同様の条件で実施した。
【0040】
[比較例1]
水1000gにメタケイ酸ナトリウム260gを混合して、SiO
2換算濃度10質量%の溶液を調製した。この溶液を150℃で5時間加熱したところ、ゲル化した。
【0042】
[
比較例2]
肥料(商標:微粉ハイポネックス)12gを水5988gと混合し、散布液とした。[植物育成試験]及び[育成効果の確認]については、実施例1と同様の条件で実施した。
【0043】
植物の成長促進剤を施用した実施例1の芝は、植物の成長促進剤を施用しなかった比較例
2の芝と比較して根の発育が顕著であり、葉の育成密度も高いことが明らかである。これらの効果は、表1に示す芝丈、根長、葉部重量、根部重量、葉部Si含有量、根部Si含有量からも確認されている。
【0044】
【表1】