(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉塞部は、前記気体排出管内における前記配管から流入する前記液体の水位の上昇に伴って前記気体排出管を閉塞することを特徴とする請求項1に記載の気体排出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した気体排出装置は、配管内に液体を流通させる際に発生する気泡のような少量の気体を除去するには適しているが、気体透過膜を用いているために大量の気体を一斉に排出することが難しい。例えば、配管に液体が流通しておらず気体である空気が充満している状態で循環ポンプ等が起動した場合には配管内に大量の液体が流れ込むため配管内の大量の空気を一斉に排出する必要がある。しかし、気体透過膜にて閉塞された状態では、大量の空気を効率的に排出することができないという問題を有している。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、大量の気体を排出可能としながら、配管内に液体が流通し満水となっても液体を漏らすことなく気体を排出し続けることが可能な気体排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る気体排出装置は、軸線方向に延在する配管と、該配管の径方向に延びるように設けられ、該配管の内外を連通させる気体排出管と、液体の透過を不能とするとともに気体の透過を可能とする気体透過膜を有する閉塞部を備え、前記閉塞部は、前記配管に流通する液体に作用する力に基づいて前記気体排出管を前記気体透過膜によって前記配管の内外が隔てられるように閉塞することを特徴とする。
【0009】
このような構成の気体除去構造よれば、配管内に流通する液体に作用する力に基づいて気体排出管を閉塞部で閉塞させるようにすることで、配管内に液体がない場合には、力が働かず気体排出管が開口しており大量の空気を一斉に排出することができる。そして、配管内を液体が流通すると、力が働き気体排出管を閉塞することで配管内を流通する液体が満水となっても漏れることがない。また、閉塞後も、閉塞部が気体透過膜を有することで配管内を流通する液体内に混在する気体のみを気体透過膜によって排出し続けることができる。これによって、配管内に液体がない状態では大量の気体を排出可能としながら、配管内に液体が流通し満水となっても液体を漏らすことなく気体を排出し続けることが可能となる。
【0010】
また、本発明の他の態様に係る気体排出装置は、前記閉塞部は、前記気体排出管内における前記配管から流入する前記液体の水位の上昇に伴って前記気体排出管を閉塞することを特徴とする。
【0011】
このような構成の気体除去構造よれば、気体排出管内の水位が上昇してから気体排出管を閉塞することで、一定の水位となるまでは気体排出管が開放されており大量の気体を一斉に排出することができる。そして、水位が上昇すると閉塞部によって気体排出管を閉塞することで配管内を流通する液体が満水となっても漏れることを防止することができる。このように液体や気体の通過できる流路が閉塞されても、閉塞部が気体透過膜を有することで配管内を流通する液体内に混在する気体のみを気体透過膜によって排出し続けることができる。これによって、配管内に液体がない状態では大量の気体を排出可能としながら、配管内に液体が流通し満水となっても液体を漏らすことなく気体を排出し続けることが容易に可能となる。
【0012】
また、本発明の他の態様に係る気体排出装置は、前記閉塞部は、前記水位の上昇によって浮力を受けることで上昇することを特徴とする。
【0013】
このような構成の気体除去構造によれば、水位が上昇するに伴って配管内の液体から作用する浮力を受けて閉塞部が上昇して気体排出管を閉塞することで、気体排出管内への液体の流入に伴って、液体が満水となって漏れだす前に自動的に気体排出管を閉塞する構造を容易に形成することが可能となる。
【0014】
さらに、本発明の他の態様に係る気体排出装置は、前記水位を検知する検知部と、前記閉塞部を可動させて前記気体排出管を閉塞させる駆動部と、前記検知部による予め定めた規定水位までの前記水位の上昇の検知に基づいて、前記駆動部に閉塞部の可動を行わせる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
このような構成の気体排出装置によれば、予め定めた規定水位まで水が上昇すると検知部で液体を検知し制御部を介して閉塞部で気体排出管を閉塞することで、空気の排出量をコントロールすることができる。これによって、効率的な空気の排出を行うことが可能となる。
【0016】
また、本発明の他の態様に係る気体排出装置は、前記閉塞部は、前記配管内を流通する液体の流通方向に作用する力に基づいて、前記気体排出管を閉塞することを特徴とする。
【0017】
このような構成の気体排出装置によれば、液体の流通方向に働く力を受けて閉塞部で閉塞する構造とすることによって、液体の性質に関わらず配管内を流通すれば自動的に気体排出管を閉塞することができる。これによって、密度の高い液体を配管内に流通させても容易に気体排出管を閉塞すること可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の気体排出装置によれば、配管内に流通する液体に作用する力によって気体透過膜を有する閉塞部が気体排出管を閉塞することで、配管内に液体が少ない状態では大量の気体を排出可能としながら、配管内に液体が流通し満水となっても液体を漏らすことなく気体を排出し続けることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る第一実施形態について
図1を参照して説明する。
図1に示すように、第一本実施形態の気体排出装置は、軸線O方向(
図1左右方向)に沿って延在する配管1と、軸線O方向と垂直方向(
図1上下方向)に配管1から延びる気体排出管2と、気体排出管2の内部に配置されている閉塞部30とを備えている。
【0021】
配管1は、断面円形状をなして軸線O方向に延在して設けられている。配管1は、内部に液体である水Wが流通可能となっており、図示しないポンプを起動することで、配管1内へ水Wが流入を開始する。
【0022】
気体排出管2は、配管1から配管1の径方向である垂直方向の上側に延びるように配管1を内外に連通して設けられている。気体排出管2は、配管1の上部と接続され垂直方向に延びる気体排出管接続部21と、気体排出管接続部21の上面と接続され垂直方向の上側が開口する気体排出管開口部22とを有している。
【0023】
気体排出管接続部21は、円筒形状をなして垂直方向の上側に延びており、垂直方向の下側が配管1と接続されている。気体排出管接続部21は、垂直方向の上側が閉塞されており、この上側の面に周方向に離間する複数の孔部が形成されており、複数の孔部を閉塞するようにそれぞれに気体排出管気体透過膜23が張られている。気体排出管気体透過膜23は、後述の気体透過膜303と同様の膜材で構成されている。
気体排出管開口部22は、気体排出管接続部21よりも径の小さい円筒形状をなして垂直方向の上側に延びており、気体排出管接続部21と同軸上に配置されて、垂直方向の下側で気体排出管接続部21の上側の面と接続されている。気体排出管開口部22は、配管1から気体排出管接続部21と気体排出管開口部22との内部を介して上側の開口まで連通している。
【0024】
閉塞部30は、気体排出管2を閉塞、開放可能に設けられている。この閉塞部30は、垂直方向に延在しており、気体排出管2の内部に配置される。閉塞部30は、気体排出管接続部21の内周面から離間して配置される閉塞部本体301と、閉塞部本体301の上面に接続され気体排出管開口部22の内周面から離間して配置されるガイド部302と、閉塞部本体301の下側に配置される気体透過膜303と、ガイド部の上面に設けられる落下防止鍔部304とを有する。
閉塞部本体301は、垂直方向に延在する有底円筒形状をなしており、底面の中心に孔部が形成され、この孔部を閉塞するように気体透過膜303が張られている。閉塞部本体301は、気体排出管接続部21と同軸上に、外周面が気体排出管接続部21の内周面と離間して配置されている。
ガイド部302は、閉塞部本体301よりも径の小さい円筒形状をなして垂直方向に延在しており、閉塞部本体301と同軸上に配置されて閉塞部本体301の上面に接続されている。ガイド部302は、外周面が気体排出管開口部22の内周面と離間して配置されている。
閉塞部30は、閉塞部本体301の下側の孔部からガイド部302の上側の開口まで連通している。
【0025】
気体透過膜303は、液体である水Wの透過を不能とし気体である空気Aのみを透過を可能とする膜材で構成されている。気体透過膜303は、フィルム状をなして閉塞部本体301の下側の孔部に設けられている。気体透過膜303に用いられる膜材としては、例えば、フッ素系樹脂重合体やシリコーン系樹脂重合体が用いられる。
閉塞部30が気体排出管2を閉塞する際は、該閉塞部30の気体透過膜303が気体排出管2の内外が隔てられる。
落下防止鍔部304は、ガイド部302の上面に外周面から矩形状の突起が複数突出して形成されており、それぞれの突起が離間して配置されている。
【0026】
次に、上記構成の第一実施形態の気体排出装置の作用について説明する。
上記のような第一実施形態の気体排出装置は、ポンプを起動すると配管1内に液体である水Wが流入する。水Wが配管1内に流入し始めた段階では、閉塞部30は気体排出管2に落下防止鍔部304が引っ掛かった状態となっている。このため配管1内に水Wがない状態でも閉塞部30は配管1内に落下することがない。
この状態で、水Wが配管1内に流入し始めると、配管1内に充満している気体である空気Aが、気体排出管2を介して落下防止鍔部304の突起の隙間から外部へ排出される。
その後、配管1内を流通する水Wの水位が上昇し始めると、配管1に流通する液体である水Wから作用する力である浮力Fを閉塞部30が閉塞部本体301の下側から受けて、閉塞部30は垂直方向の上側に水位の上昇と共に上昇し始める。この際、閉塞部30のガイド部302は気体排出管開口部22の内周面に沿って、かつ、閉塞部本体301も気体排出管接続部21の内周面に沿って垂直方向の上側へ移動する。ガイド部302の外周面と気体排出管開口部22の内周面との間、閉塞部本体301の外周面と気体排出管接続部21の内周面との間、及び閉塞部本体301の上面と気体排出管接続部21の上面の内側面との間にはそれぞれ隙間があり、水Wや空気Aが流通可能となっているため、これらの隙間から空気Aが外部へ排出され続ける。
【0027】
そして、水Wが配管1内に充満すると気体排出管2である気体排出管接続部21内に配管1から水Wが流入する。気体排出管2である気体排出管接続部21内の水位の上昇に伴って、閉塞部本体301の上面と気体排出管接続部21の上面の内側面とが接地し隙間がなくなる。これにより、閉塞部30と気体排出管2との間に隙間がなくなり水Wや空気Aが通過できる流路がなくなるため水Wが満水となっても外部へ漏れることがない。また、閉塞部本体301の外周面と気体排出管接続部21の内周面との隙間に溜まった空気Aは、気体排出管接続部21の上側の面に設けられた気体排出管気体透過膜23から外部へ排出される。
【0028】
一方、配管1内にわずかに残る空気Aや流通する水Wに混在する空気Aは、閉塞部本体301の下側に設けられた気体透過膜303を介して、閉塞部本体301とガイド部302との内部を介して外部へ排出し続けられる。
さらに、ポンプを止めて配管1内の水Wがなくなり水位が下がってくると、閉塞部30も水位に合わせて下がり始める。そして、再び気体排出管2の開口が開放され、空気Aの流路が確保されることで、再度ポンプを起動して配管1内に水Wが流通すると、大量の空気Aを気体排出管2から再び排出することができる。
【0029】
上記のような気体排出装置によれば、配管1内に流通する水Wの力に基づいて気体排出管2を閉塞する構造としているため、気体排出管2である気体排出管接続部21及び気体排出管開口部22と、閉塞部30である閉塞部本体301及びガイド部302との隙間は、配管1内に水Wが少ない場合には閉塞部30に浮力が働かず、この隙間が閉塞されない。そのため、気体排出管2の内部であるこの隙間を介して気体排出管開口部22の開口から大量の空気Aを一斉に排出することができる。そして、配管1内に液体が流通すると、液体である水Wから浮力が働き、この隙間が閉塞されるため、水Wも空気Aも気体排出管開口部22の開口から排出することができなくなり配管1内を流通する水Wが満水となっても外部に漏れることがない。また、気体排出管2と閉塞部30との隙間を閉塞した後も、閉塞部30である閉塞部本体301の下側に気体透過膜303を有することで、配管1内を流通する水Wに混在する気体のみを排出し続けることができる。これによって、配管1内に液体が少ない状態では大量の気体を排出可能としながら、配管1内に液体が流通し満水となっても液体を漏らすことなく気体を排出し続けることが可能となる。
【0030】
また、気体排出管2である気体排出管接続部21内の水位が上昇してから、気体排出管2である気体排出管接続部21と閉塞部30である閉塞部本体301との隙間を閉塞することで、一定の水位となるまでガイド部302と気体排出管開口部22との隙間や、閉塞部本体301と気体排出管接続部21との隙間によって気体排出管2の開口は開放されている状態を維持できる。そのため、配管1内にたまっており水Wによって押し出されてくる大量の空気Aを一斉に排出することができる。
【0031】
そして、一定の水位よりも上昇した後には、気体透過膜303を設けられた閉塞部30によって気体排出管2との隙間が閉塞され、配管1内を流通する液体である水Wが満水となっても外部に漏れることを防止できる。このように水Wや空気Aが通過できる流路が閉塞されても、閉塞部30の下側に気体透過膜303を有することで、配管1内を流通する水Wに混在する気体のみを排出し続けることができる。これによって、配管1内に液体がない状態では大量の気体を排出可能としながら、配管1内に液体が流通し満水となっても液体を漏らすことなく気体を排出し続けることが容易に可能となる。
【0032】
また、水位の上昇に伴って配管1に流通する水Wから作用する力である浮力Fを受けて閉塞部30が上昇し、閉塞部30によって気体排出管2との隙間を閉塞することで、気体排出管2内への水Wの流入に伴って、水Wが満水となって漏れだす前に自動的に気体排出管2を閉塞する構造を容易に得ることが可能となる。
【0033】
次に、
図2を参照して第二実施形態の気体排出装置について説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の気体排出装置は、制御部5を用いて閉塞部30を可動させて気体排出管2を閉塞する構造を有する点について、第一実施形態と相違する。
【0034】
即ち、第二実施形態の気体排出装置は、第一実施形態の気体排出管2の代わりに円筒気体排出管20と、検知部4からの信号を受けて閉塞蓋を可動させる信号を出力する制御部5と、制御部5からの信号を受けて円筒気体排出管20を閉塞する第二閉塞部(閉塞部)31とを備えている。
円筒気体排出管20は、配管1から垂直方向の上側に円筒形をなして延びており、垂直方向の下側で配管1と接続されている。
【0035】
検知部4は、予め定めた規定水位となる位置に設置された水位計を有しており、水位計から出力される信号を制御部5へと送っている。水位計は、円筒気体排出管20の側面の予め定められた規定水位となる位置に設けられており、水Wと接触すると信号を出力する。水位計は、本実施形態において接触式としているがこれに限定されるものではなく、例えば、フロート式や超音波式や静電容量式等の公知の水位計を用いても良い。
制御部5は、検知部4から出力された信号を受けて円筒気体排出管20内の水位が規定水位まで上昇していることを検知し、第二閉塞部31が円筒気体排出管20を閉塞するように可動する信号を出力する。
【0036】
第二閉塞部31は、制御部5から信号を受けて可動する駆動部311と、円筒気体排出管20を閉塞する第二閉塞部本体312と、第二閉塞部本体312に配置される気体透過膜303とを有している。
駆動部311は、制御部5と接続されており、円筒気体排出管20の上側の端部に固定されている。駆動部311は、軸線O方向及び垂直方向と直交する方向(
図2紙面奥行方向)を軸方向として回転可能とされており、制御部5からの信号により回転する。
第二閉塞部本体312は、円板形状をなし側面の一部が駆動部311と固定されており、駆動部311を起点に回転して円筒気体排出管20の上側の開口を閉塞可能とされている。閉塞部本体301は、中心に円形状の孔部を有しており、この孔部に第一実施形態と同様の気体透過膜303が張られている。
【0037】
次に、上記構成の第二実施形態の気体排出装置の作用について説明する。
上記のような第二実施形態の気体排出装置は、第一実施形態と同様にポンプが起動すると配管1内に液体である水Wが流入する。水Wが流入し始めると、配管1内に充満している気体である空気Aが、円筒気体排出管20を介して外部へ排出される。
その後、配管1内を流通する水Wの水位が上昇して円筒気体排出管20内まで水Wが流入し、さらに規定水位まで水位が上昇すると検知部4である水位計が水Wを検知する。そして、検知部4から信号が出力され、制御部5にて第二閉塞部31を可動させる信号が出力される。第二閉塞部31である第二閉塞部本体312は、制御部5からの信号を受けて駆動部311を起点に回転し円筒気体排出管20の上側の開口を閉塞する。これにより、円筒気体排出管20の開口から水Wが満水となっても外部へ漏れることがない。
一方、第二閉塞部31が円筒気体排出管20の開口を閉塞した後でも、配管1内にわずかに残る空気Aや流通する水Wに混在する空気Aは、第二閉塞部本体312の設けられた気体透過膜303を介して、外部へ排出し続ける。
【0038】
また、ポンプを止めて配管1内の水Wがなくなり水位が下がると、検知部4である水位計と水Wが接触しなくなることで、制御部5への信号が止まり、第二閉塞部本体312が駆動部311を起点に回転し、円筒気体排出管20の開口が開放され始める。そして、再び円筒気体排出管20の開口が開放され空気Aの流路が確保されることで、再度ポンプを起動して配管1内に水Wが流通すると大量の空気Aを円筒気体排出管20から再び排出することができる。
【0039】
上記のような気体排出装置によれば、配管1内の水位が上昇し円筒気体排出管20内の予め定めた規定水位まで水Wが上昇すると、検知部4である水位計が水Wを検知し、制御部5を介して第二閉塞部31で円筒気体排出管20を閉塞する構造としている。そのため、使用される配管1によって規定水位の位置を任意に指定したり、制御部5によって第二閉塞部31が円筒気体排出管20を閉口させるタイミングをずらしたりすることで、空気Aの排出量をコントロールすることができる。これにより、使用される配管1ごとに効率的な空気Aの排出を行うことが可能となる。
【0040】
次に、
図3を参照して第三実施形態の気体排出装置について説明する。
第三実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第三実施形態の気体排出装置は、配管1内の液体である水Wの流通方向の力を用いて、閉塞部30を可動させて気体排出管2を閉塞する構造を有する点について、第一実施形態と相違する。
【0041】
即ち、第三実施形態の気体排出装置は、気体排出管2として第二実施形態と同様の円筒気体排出管20を備え、さらに配管1内の液体の流通方向の力を受けて円筒気体排出管20を閉塞する第三閉塞部(閉塞部)32を備えている。
第三閉塞部32は、配管1内に垂らされた水受け部321と、円筒気体排出管20の開口を直接閉塞する第三閉塞部本体322と、第三閉塞部本体322に接続された弾性部材であるバネ323を有している。
第三閉塞部本体322は、円板形状をなし、中心に円形状の孔部を有しており、この孔部に第一実施形態と同様の気体透過膜303が張られている。
【0042】
水受け部321は、展張時に半球状をなす傘体321aと、傘体321aと第三閉塞部本体322とを接続する紐状部材321bとを有している。水受け部321は、傘体321aを第三閉塞部本体322から紐状部材321bを介して配管1内に垂らして配置されている。
バネ323は、公知のバネ材が使用され、一方を第三閉塞部本体322と接続され、他方を円筒気体排出管20の開口の上側の壁面に接続されており、第三閉塞部本体322を垂直方向の上側に弾性的に引張りながら配置されている。なお、バネ323は公知の弾性部材であれば良く、例えばゴム材のように第三閉塞部本体322を弾性的に引っ張ることを可能とする弾性部材であれば良い。
【0043】
次に、上記構成の第三実施形態の気体排出装置の作用について説明する。
上記のような第三実施形態の気体排出装置は、第一実施形態と同様にポンプが起動すると配管1内に液体である水Wが流入する。水Wが流入し始めると、配管1内に充満している気体である空気Aが、円筒気体排出管20を介して外部へ排出される。
その後、配管1内を流通する水Wの水位が上昇し水Wが一定の水位まで上昇すると、傘体321aが水Wを受けて展張し水Wの流通方向に力を受ける。その結果、紐状部材321bを介して第三閉塞部本体322が垂直方向の下側に引っ張られる力が、弾性部材であるバネ323によって垂直方向の上側に引っ張られる力よりも大きくなると、第三閉塞部本体322が下降し円筒気体排出管20を閉塞する。これにより、円筒気体排出管20の開口から水Wが満水となっても外部へ漏れることがない。なお、紐状部材321bの長さを変更し、傘体321aの位置を調整することで、配管1内の水Wが任意の水位まで達した時に円筒気体排出管20の開口を閉塞することができる。
【0044】
一方、第三閉塞部本体322が円筒気体排出管20の開口を閉塞した後でも、配管1内にわずかに残る空気Aや流通する水Wに混在する空気Aは、第三閉塞部本体322に設けられた気体透過膜303を介して、外部へ排出し続ける。
また、ポンプを止めて配管1内の水Wがなくなり水位が下がると、傘体321aが水Wの流通方向へ引っ張られる力が弱くなることで、弾性部材であるバネ323に引っ張られる力の方が大きくなり、第三閉塞部本体322が上昇し円筒気体排出管20の開口が開放される。そして、再び円筒気体排出管20の開口が開放され、空気Aの流路が確保されることで、再度ポンプを起動して配管1内に水Wが流通すると、大量の空気Aを円筒気体排出管20から再び排出することができる。
【0045】
上記のような気体排出装置によれば、水Wの流通方向に働く力である水Wの流れる力を受けて第三閉塞部本体322が下降して閉塞する構造とすることによって、液体の性質に関わらず配管1内を流通すれば自動的に円筒気体排出管20を閉塞することができる。これによって、密度の高い液体を配管1内に流通させても容易に円筒気体排出管20を閉塞すること可能となる。
また、第三閉塞部32を配管1の外部に設けることができるため、すでに敷設された配管1に対しても容易に気体排出装置を設置することが可能となる。
【0046】
次に、
図4を参照して第四実施形態の気体排出装置について説明する。
第四実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を伏して詳細な説明を省略する。この第四実施形態の気体排出装置は、閉塞部30の代わりに配管1内の液体である水Wの静圧を用いる外部閉塞機構(閉塞部)6を備えている点について、第一実施形態と相違する。
【0047】
即ち、第四実施形態の気体排出装置は、第一実施形態の気体排出管2の代わりに第二実施形態と同様の円筒気体排出管20を備え、閉塞部30の代わりに外部閉塞機構6を備えている。
外部閉塞機構6は、配管1に円筒気体排出管20と隣接して形成される静圧受け管61と、静圧受け管61内に配置される静圧受け部62と、静圧受け部62を配管1に向かって押圧する押圧部63と、円筒気体排出管20を閉塞するよう可動する外部閉塞蓋64と、静圧受け部62と外部閉塞蓋64をつなぐ滑車部65と、静圧受け管61と円筒気体排出管20との間で配管1を縮径する配管絞り部66とを有している。
【0048】
静圧受け管61は、円筒形状をなし、配管1の上側に円筒気体排出管20と離間して垂直方向の上側に開口して配置されている。
静圧受け部62は、円板形状をなし、静圧受け管61の内周面に沿って摺動可能に配置されている。
押圧部63は、弾性部材であるバネ材で構成されており、静圧受け部62の垂直方向の上に設けられた壁面7に一端が固定され、他端が静圧受け部62に固定されている。押圧部63は、弾性部材であるバネ材を圧縮して配置されており、静圧受け部62を垂直方向の下側に押圧している。
【0049】
外部閉塞蓋64は、垂直方向に延在し垂直方向の上側に底面を有する有底円筒形状をなしており、底面の中心に孔部が形成されている。この孔部には、気体透過膜303が張られている。
滑車部65は、二つの滑車を介して静圧受け部62と浮力F閉塞部30とを接続している。滑車部65は、静圧受け部62が上昇すると外部閉塞蓋64を下降させ、静圧受け部62が下降すると外部閉塞蓋64を上昇させるように静圧受け部62と外部閉塞蓋64とを接続している。
配管絞り部66は、静圧受け管61と円筒気体排出管20との間に配置され、配管1を円筒気体排出管20に向かうにしたがって縮径している。
【0050】
このような構造にすることで、配管1内の水位が上昇すると、静圧受け管61内に配置された静圧受け部62は配管1内を流通する水Wから静圧を受けて押圧部63を垂直方向の上方に押返すようにして上昇を開始する。これに伴い、滑車部65を介して、外部閉塞蓋64が下降を開始する。そして、円筒気体排出管20内の水Wが満水となる前に、外部閉塞蓋64が円筒気体排出管20を閉塞する。配管1内に流通する水Wが満水になると得静圧受け部62だけでなく、外部閉塞蓋64も流通する水Wから静圧を受ける。ところが、配管1に配管絞り部66が設けられていることで、円筒気体排出管20がある下流側の方が水の流速が早くなる。そのため、外部閉塞蓋64にかかる圧力が静圧受け部62にかかる圧力よりも小さくなり、外部閉塞蓋64は浮き上がること円筒気体排出管20を閉塞し続けることが可能となる。
【0051】
なお、配管1内を水Wが流通する間に圧力損失を生じさせるだけ円筒気体排出管20と静圧受け管61の位置を離すことで、配管絞り部66を設けずとも外部閉塞機構6を設けることができる。これにより、静圧よって気体排出管2を閉塞する構造を配管1の外部から設けることできるため、すでに敷設された配管1に対しても容易に設置することが可能となる。
【0052】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、第一実施形態の変形例として
図5から
図10が挙げられる。
図5に示すように、第一変形例として、閉塞部本体301の底面ではなく側面に気体透過膜303を設けても良い。
このような構造にすることで、気体排出管接続部21の上面に気体排出管気体透過膜23を設けない無膜気体排出管2aとしても、閉塞部本体301の外周面と気体排出管接続部21の内周面との隙間に溜まった空気Aを排出することができ、より簡単な構造で気体排出装置を形成することができる。
なお、第一変形例の場合、さらに気体排出管気体透過膜23を有していても良い。
【0053】
また、
図6に示すように、第二変形例として、閉塞部本体301の底面を円板形状として板厚の薄い平板閉塞部本体301aとしても良い。
このような構造にすることで、気体排出管接続部21の上面に気体排出管気体透過膜23を設けなくとも、閉塞部本体301の外周面と気体排出管接続部21の内周面との隙間に溜まった空気Aを排出することができ、より簡単な構造で気体排出装置を形成することができる。
【0054】
さらに、
図7に示すように、第三変形例として、閉塞部30に気体透過膜303を設けない単純閉塞部30aと、第一実施形態と同様に、気体排出管接続部21の上面に気体排出管気体透過膜23とを有している。
このような構造にすることで、第一実施例と同様に、配管1内に液体が少ない状態では大量の気体を排出可能としながら、配管1内に液体である水Wが流通し満水となっても液体を漏らすことなく気体排出管気体透過膜23から気体を排出し続けることが可能となる。さらに、単純閉塞部30aは浮力によって気体排出管2を閉塞するだけの構造で形成することができる。
【0055】
なお、第三変形における単純閉塞部30aは、水Wが満水となって単純閉塞部30aが上昇して気体排出管接続部21の上面と接触しても気体排出管気体透過膜23と重ならない大きさとすることが好ましい。
このような構造とすることで、気体排出管気体透過膜23による気体の排出を妨げることがない。
【0056】
さらに、
図8(a)、(b)に示すように、第四変形例として、第一実施形態における最小構成の閉塞部30としては、円板形状をなして中心に孔部を有しており、孔部に閉塞する気体透過膜303を有する円板閉塞部33としても良い。
円盤閉塞部は、円盤形状をなしており、外周の一部を矩状に切り欠いた気体排出切欠き部33aと中心に気体透過膜303とを有している。
このような構造にすることで、配管1内に液体が少ない状態では気体排出切欠き部33aから大量の気体を排出可能とし、配管1内に液体である水Wが流通し満水となっても液体を漏らすことなく気体透過膜303から気体を排出し続けることが可能となる。これにより、非常に簡単な構造で閉塞部30を形成することが可能となる。
【0057】
なお、気体排出管接続部21の内周面に液体が配管1内に流通していない場合に円板閉塞部33が配管1内に落下しないよう落下防水構造を設けることが好ましい。落下防止構造としては、気体排出管接続部21の内周面に凸形状の落下防止部34を設けることで簡単に形成することができる。
【0058】
また、
図9に示すように、第五変形例として、
図6に示す円板閉塞部33を用いる場合、閉塞部ガイド35を設けても良い。閉塞部ガイド35は、円板閉塞部33の外縁に周方向に離間して複数設けられたガイド孔部35aと、気体排出管接続部21の内周面に円板閉塞部33を垂直方向の上下にて挟み込む突起部35bと、突起部35b間に垂直方向に沿ってガイド孔部35aと対応する位置に配置されるガイド棒35cとを有する。
このような構造にすることで、閉塞部ガイド35は、突起部35bに設けられたガイド棒35cが円板閉塞部33のガイド孔部35aに嵌められることで、円板閉塞部33を垂直方向のみに移動可能とすることができる。また、配管1内に水Wが流通していない時であっても、突起部35bによって配管1内に円板閉塞部33が落下しない。これにより、簡単な構造でありながら安定して機能を発揮することが可能な気体除去構造を得ることが可能となる。
【0059】
さらに、
図10に示すように、第六変形例として、円板閉塞部33の側面の一部と気体排出管開口部22の内周面に一部とを回転可能に接続する回転可動部331を有しても良い。
このような構造にすることで、円板閉塞部33は、配管1内の水Wの水位が上昇することで浮力Fを受けると回転軸を中心に回転して上昇し気体排出管開口部22を閉塞することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
【0061】
なお、本発明で対応とする気体は空気Aに限られるものではなく、例えば、ポンプではなく液体に圧力を加えて配管1内の液体を送る場合に加圧媒体として使用される窒素等でも良い。また、配管1内を流通する液体は水Wに限定されものではなく、例えば、粘性の高い他の水溶液であっても良い。