特許第6037819号(P6037819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037819
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20161128BHJP
【FI】
   A47J37/06 326
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-279577(P2012-279577)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2014-121459(P2014-121459A)
(43)【公開日】2014年7月3日
【審査請求日】2015年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】大久保 直也
【審査官】 木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−229903(JP,A)
【文献】 特開昭63−014016(JP,A)
【文献】 特開2007−135733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を出し入れするための前面開口部を有し、この前面開口部が扉によって覆われているとともに、吸込口と該吸込口よりも低い位置に吹出口を有する調理室と、
前記調理室内に着脱自在に収容されて前記扉と連動し、被加熱物から滴下する油や汁を受ける受皿と、
前記調理室の内部を上方から加熱する加熱手段と、
前記吸込口より前記調理室の加熱空気を吸い込み、前記吹出口より前記調理室内に吹き出すファンとを備えた加熱調理器において、
前記調理室の左右側壁に、前記扉を案内して該扉と共に前記受皿を引き出すための左右レールを設け、
前記吹出口は、
前記調理室の後壁正面からみて前記左右レールの間となる位置に配置され
前記受皿は、
少なくとも前記吹出口に対向する側の上縁部が周囲の上縁部に対して低く形成され、
前記調理室への設置時に前後となる側の上縁部が周囲の上縁部に対して低く設定されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
低く設定された上縁部には、水平方向に延出するフランジ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記ファンは、前記調理室の背面側に配置されて該調理室の前記後壁と対向する垂直面内で回転する遠心ファンであり、
前記吹出口は、左右一列に配置された複数の孔で形成され、かつこれら孔は、前記調理室の左右幅方向の中間点を境にして前記遠心ファンの回転方向の上流側と下流側とに分けて見た場合、上流側に位置する孔の数が、下流側に位置する孔の数よりも少ないことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記吸込口には、調理時に発生した匂いと煙を除去する触媒体が設けられており、
前記加熱手段は、一部が前記触媒体と対向するように構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記ファンにより送りだされた空気を再加熱するための再加熱手段を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記左右レールは、前記調理室の左右側壁にそれぞれ固定された固定レールと、これら固定レールにそれぞれ案内されて移動可能な可動レールとを備え、
前記可動レールには前記扉が着脱可能に連結されているとともに、
前記固定レールと前記可動レールには、磁性体と磁石が閉扉時に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理室内に収容された被加熱物を加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、調理室内に収容された被加熱物に加熱空気を吹き付けて加熱するコンベクション調理が可能な加熱調理器が知られている。例えば、被加熱物を出し入れするための前面開口部を有し、この前面開口部が被加熱物から滴下する油や汁を受ける受皿と連動する扉によって覆われているとともに、吸込口とこの吸込口よりも低い位置に吹出口を有する調理室と、調理室の内部を上方から加熱する加熱手段と、吸込口より調理室の加熱空気を吸い込み、調理室の両側面に設けた吹出口より調理室内に吹き出す循環流を発生させるファンとを備えた加熱調理器がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−57847号公報(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、調理室内への加熱空気の吹出口が調理室の両側面に設けられた特許文献1に記載の加熱調理器においては、扉や受皿を案内するレールを配置することができず、被加熱物から滴下する油や汁を受ける受皿の出し入れが摺動方式となっており、被加熱物を出し入れする際の操作性が悪かった。このため、被加熱物を出し入れする際の操作性を向上させることができるコンベクション調理が可能な加熱調理器が望まれていた。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、被加熱物を出し入れする際の操作性を向上させることができるコンベクション調理が可能な加熱調理器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を出し入れするための前面開口部を有し、この前面開口部が扉によって覆われているとともに、吸込口とこの吸込口よりも低い位置に吹出口を有する調理室と、調理室内に着脱自在に収容されて前記扉と連動し、被加熱物から滴下する油や汁を受ける受皿と、調理室の内部を上方から加熱する加熱手段と、吸込口より調理室の加熱空気を吸い込み、吹出口より調理室内に吹き出すファンとを備えた加熱調理器において、調理室の左右側壁に、扉を案内してこの扉と共に受皿を引き出すための左右レールを設け、吹出口は、調理室の後壁正面からみて左右レールの間となる位置に配置され受皿は、少なくとも吹出口に対向する側の上縁部が周囲の上縁部に対して低く形成され、調理室への設置時に前後となる側の上縁部が周囲の上縁部に対して低く設定されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンベクション調理が可能な加熱調理器において、調理室の左右側壁に、扉を案内してこの扉と共に受皿を引き出すための左右レールを設け、調理室の後壁には、正面からみて左右レールの間となる位置に、吹出口を配置したので、調理室の左右側壁への左右レールの設置が可能となり、受皿及びこれと連動する扉の動きがスムースとなる。このため、被加熱物を出し入れする際の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る加熱調理器100を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態1に係る加熱調理器100の筐体1内部の主要部の斜視図である。
図3】本発明の実施形態1に係る調理室20、受皿23、左右レール14、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40の正面視の概略断面図である。
図4】本発明の実施形態1に係る調理室20、受皿23、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40の側面視の概略断面図である。
図5】本発明の実施形態1に係る受皿23の斜視図である。
図6】本発明の実施形態1に係る受皿23の正面図、平面図、側面図である。
図7】本発明の実施形態1に係るコンベクションユニット40の斜視図である。
図8】本発明の実施形態1に係るコンベクションユニット40の正面図である。
図9】本発明の実施形態2に係る調理室20、受皿23、左右レール14、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40の正面視の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る加熱調理器を、誘導加熱による調理鍋載置部を左右手前に二口と中央奥側に一口設けた、ビルトイン型(組込み型)の加熱調理器(IHクッキングヒーター)に適用した場合を例に説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図において、同一の構成には同一の符号を付している。
【0010】
実施形態1.
[加熱調理器100の構成]
図1は本発明の実施形態1に係る加熱調理器100を示す斜視図である。
図1において、加熱調理器100の筐体1の上側には、筐体上枠2が着脱自在に配置される。筐体上枠2の中央にはトッププレート3、前面側には操作部4、後部右側には筐体吸気口5、後部左側には筐体排気口6が設けられている。筐体吸気口5及び筐体排気口6は、吸排気口カバー7によって覆われている。また、筐体1の内部には、調理室20が設けられている。
【0011】
トッププレート3には、鍋等の被加熱物(図示せず)が載置される載置部9が設けられている。ここでは、トッププレート3の前面側右、背面側中央、及び前面側左、の3箇所に載置部9が設けられている。筐体1内のトッププレート3の下方には、各載置部9に対向する位置に、載置部9に載置される被加熱物を加熱するための加熱手段として誘導加熱コイルが設けられている。加熱手段としては、誘導加熱コイルのほか、例えばラジエントヒーター等の電気ヒーターを用いることができるが、具体的な加熱手段はこれらに限定されない。また、ここでは、トッププレート3上においても加熱調理を行う加熱調理器を例に示しているが、トッププレート3上において加熱調理を行うための加熱手段は必要に応じて搭載すればよく、調理室20における加熱調理のみを行う加熱調理器としてもよい。
【0012】
また、トッププレート3には、液晶画面やLED等の視覚的な表示手段を備えた表示部8が設けられている。表示部8は、加熱調理器100の動作状態、操作部4に対する入力内容等を表示するとともに、使用者に対して加熱調理器100の状態等を報知する報知手段として機能する。なお、ここでは、報知手段として表示部8を設けた例を示すが、表示部8に代えてあるいはこれに加えて、音声で報知を行うブザーやスピーカ等の報知手段を備えてもよい。
【0013】
操作部4は、加熱調理器100における加熱動作の設定を受け付けるための操作ボタンやスイッチ等で構成されている。ここでは、筐体1の前面にも操作部4が設けられている。操作部4の具体的構成を限定するものではなく、例えばタッチパネルにより構成された操作部4を設けてもよい。
【0014】
筐体吸気口5は、加熱調理器100の内部に設けられた各種発熱部品を冷却するための冷却風を筐体1の内部に導入するための開口部である。筐体排気口6は、加熱調理器100の内部を冷却した後の冷却風及び調理室20からの排気を、筐体1の外部に排出するための開口部である。通常の使用状態においては、筐体吸気口5及び筐体排気口6は、図1に示すように吸排気口カバー7によって覆われている。
吸排気口カバー7は、通気性を有するパンチングメタル又は格子状の金属部材で構成されていて通気性があり、通気抵抗が少ない。冷却風の吸気及び排気、並びに調理室20からの排気は、吸排気口カバー7をスムースに通過する。
【0015】
筐体1の前面の左側には、調理室20の扉21が設けられている。この扉21は、筐体1内に設けられた調理室20の前面開口部を開閉自在に覆う扉であり、調理室20内で調理される被加熱物を調理室20内に出し入れできるように、後述のレールに案内されて奥行き方向にスライド可能である。また、扉21は、調理室20及び扉21そのものの清掃等のメンテナンスを容易にするため、調理室20すなわちレールに対して着脱可能に構成されている。
【0016】
なお、本発明の実施形態1の調理室20、操作部4、及び表示部8の配置は一例であり、これに限るものではない。例えば、調理室20を筐体1の中央や右側に寄せて配置してもよい。また、操作部4を、トッププレート3と筐体1の前面の両方に設けるのではなく、いずれかにのみ設けてもよい。
【0017】
図2は本発明の実施形態1に係る加熱調理器100の筐体1内部の主要部の斜視図である。図2は加熱調理器100から、筐体上枠2、トッププレート3、吸排気口カバー7、及びトッププレート3に載置される被加熱物を加熱するための加熱手段を取り外した状態を示している。図2に示すように、筐体1の内部は、仕切板10によって概ね左右に仕切られており、一方の収容空間(図2の紙面右側)には基板ユニット11が収容され、他方の収容空間(図2の紙面左側)には調理室20が収容されている。
【0018】
なお、図示しないが、基板ユニット11と調理室20の上側には、筐体1の内部を上下に仕切る上下仕切板が配置され、この上下仕切板の上に誘導加熱コイル等の加熱手段が配置される。
【0019】
基板ユニット11は、内部に収容空間を有する基板ケース111を有する。この基板ケース111の内部には、加熱調理器100を構成する発熱部品に冷却風を送るための冷却ファン、トッププレート3に載置される被加熱物を加熱するための誘導加熱コイルに高周波電力を供給するインバータ回路、及び調理室20を含め加熱調理器100を構成する各部を制御するためのマイコンや制御回路等の電子部品が実装された電子回路基板等が収容されている。なお、図2では基板ユニット11内に収容される部品は図示していない。また、ここでは、加熱調理器100の動作を制御する機能部品の集合体を、制御手段と称する。
【0020】
基板ケース111の上面には、複数の冷却風吹出口12が開口している。基板ユニット11内に設けられた冷却ファンが動作すると、筐体1の外部の空気が筐体吸気口5から筐体1内に吸い込まれ、吸い込まれた空気は基板ケース111内に流入する。基板ケース111内に流入した空気は、冷却ファンにより吸引されて送出され、冷却風としてインバータ回路及び電子回路基板を冷却した後、冷却風吹出口12から基板ケース111の外側へ吹き出される。
【0021】
冷却風吹出口12から吹き出された冷却風は、筐体1の後部に向かって筐体1内を流れ、その過程において、基板ユニット11及び調理室20の上に配置される誘導加熱コイル等の加熱手段を冷却する。加熱手段を冷却した後の冷却風は、筐体排気口6から筐体1の外部へと排出される。
【0022】
調理室20は、食材等の被加熱物を収容する収容空間を内部に有し、被加熱物を出し入れするための前面開口部20aが設けられている。この調理室20の前面開口部20aは、図1に示した扉21によって開閉自在に覆われる。調理室20の上には吸引ダクト30が設けられ、調理室20の背面にはコンベクションユニット40が設けられている。調理室20、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40は互いに連通している。また、コンベクションユニット40には、調理室20内の空気を排気する調理室排気ダクト41が設けられている。調理室20の内部の下方には、図2のように被加熱物から滴下する油や汁を受けるための受皿23が着脱自在に収容されている。受皿23は、扉21と連動し、開扉時に調理室20内から引き出されるようになっている。
【0023】
[調理室20の構成]
図3は本発明の実施形態1に係る調理室20、受皿23、左右レール14、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40の正面視の概略断面図である。図4は本発明の実施形態1に係る調理室20、受皿23、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40の側面視の概略断面図である。
調理室20は、基本的に直方体の外形を有する。調理室20の外郭のうち、天面を構成する部分を上壁201、左右両側の壁を側壁202、前面開口部20aと対向する壁を後壁203と称する。調理室20の内部の上方には、調理室20内を上方から加熱する加熱手段である上ヒーター22が設けられている。本発明の実施形態1の上ヒーター22は、抵抗発熱体であるシーズヒーターである。この上ヒーター22は、幅方向及び奥行き方向に複数回折り曲げられた形状を有しており、調理室20内の幅方向及び奥行き方向において広範囲に加熱することができる。上ヒーター22は、基板ユニット11内の電子回路基板に配線接続され、上ヒーター22の加熱の有無や加熱量は、制御手段によって制御される。
【0024】
なお、ここでは、調理室20内を上方から加熱する加熱手段としてシーズヒーターからなる上ヒーター22を設ける例を示したが、シーズヒーターに代えて、遠赤外線ヒーター、近赤外線ヒーター、又はカーボンヒーターを用いてもよい。また、調理室20内に上ヒーター22を設けるのではなく、調理室20の上壁201の上側にフラットヒーターや誘導加熱コイルを設け、これらにより調理室20の上壁201を加熱してもよい。調理室20内の被加熱物を、放射又は空気の熱伝達で上方から加熱できる手段であれば、上ヒーター22として任意の構成を採用することができる。
【0025】
調理室20の内部の側壁202の下部には、図3のように扉21を案内する左右レール14がそれぞれ設けられている。左右レール14は、いずれも側壁202に固定された固定レール14aと、これら固定レール14aにそれぞれ案内されて移動可能な可動レール14bとを備えている。可動レール14bには、扉21が着脱可能に連結されている。このため、扉21の出し入れが容易となり、被加熱物を出し入れする際の操作性を向上させることができ、かつ扉21を外せるので、扉21の清掃だけでなく、調理室20内の清掃も容易に行うことができる。
【0026】
固定レール14aと可動レール14bには、図示しない磁性体と磁石が閉扉時に近設して対向するように設けられている。このため、閉扉時に、扉21が半開き状態となるのを防止することができ、扉21からの煙漏れを低減することができる。
【0027】
図5は本発明の実施形態1に係る受皿23の斜視図である。図6は本発明の実施形態1に係る受皿23の正面図、平面図、側面図である。
受皿23は、図5図6のように有底の矩形枠状に形成され、被加熱物から滴下した油や汁を受皿23内に溜めることができるとともに、調理室20の内部から取り外すことができる。この矩形枠状の受皿23の上縁部は、水平方向に突出する外向きのフランジとして形成されている。受皿23は、左右両側に位置するフランジ部23a,23cが、前後に位置するフランジ部23b,23dよりも突出長さが長く設定されている。そのため、受皿23のフランジ部23a,23cは、図3のように調理室20への設置時に、左右レール14の可動レール14bに載置可能となっている。また、受皿23は、前後に位置するフランジ部23b,23dの高さ、つまり前後に位置する上縁部高さが、図3図4のようにいずれも周囲の上縁部に対して低く形成されている。このように、受皿23の前後に位置するフランジ部23b,23dの構成を同一構成としているので、受皿23を調理室20内に設置する際に前後を意識する必要が無くなり、使い易い受皿23が得られる。
【0028】
受皿23の上には、被加熱物が載置される調理台としての調理網24が、着脱自在に載置されている。調理網24の載置面241は、例えば左右方向に延びる棒状のステンレス鋼を複数並べて構成された、いわゆるストレートタイプの焼網で構成されている。調理網24の素材は、耐熱性のある素材で調理に適した毒性のない素材であればステンレス鋼以外でもよく、また、素材の表面に非粘着性や防汚性を備えた無機セラミックコーティング剤等を塗布してもよい。また、調理網24は、受皿23上に起立する脚部242を有する。調理網24の載置面241と受皿23との間には、脚部242の高さ分の通風空間50が形成されている。なお、調理網24の載置面241の形状は図示のものに限定されず、格子状の焼網や、前後方向に延びる棒状部材を備えた焼網、パンチングメタル等、任意のものを採用することができる。いずれを採用するにせよ、調理網24の載置面241の下側の通風空間50には、後述するようにコンベクションユニット40から供給される加熱空気(コンベクションユニット40から供給される加熱空気を熱気と称する場合がある)が流れるので、この熱気と被加熱物の下面とが接触できるようにするために、調理網24の載置面241は、開口のない平板形状ではなく、空気の流通が可能な開口が形成されているものとする。
【0029】
調理室20の後壁203には、背面吸込口25と、この背面吸込口25よりも低い位置に設けられた吹出口26とが開口している。調理室20は、背面吸込口25及び吹出口26を介して、コンベクションユニット40の内部と連通している。
背面吸込口25は、吸引ダクト30を介して吸引される調理室20内の空気を、コンベクションユニット40に流入させるための開口部である。
【0030】
吹出口26は、コンベクションユニット40から送られる熱気を調理室20内に吹き出すための開口部である。吹出口26は、正面から見て、左右レール14の間に左右一列に配置された円形の複数の孔で形成されている。すなわち、吹出口26を構成する複数の孔は、調理室20の幅方向に間隔をあけてほぼ同じ高さに設置されている。これら複数の孔から調理室20内に吹き出された熱気により、被加熱物が加熱される。
また、吹出口26は、調理網24の載置面241と受皿23の底面との間の通風空間50の高さの範囲内に配置されている。このようにすることで、吹出口26から吹き出される空気の多くが、調理網24の載置面241の下側の通風空間50を流れるので、調理網24の載置面241に載置される被加熱物の下部を効率よく加熱することができる。ここでは、受皿23における調理室20の後壁203に対向する側の周壁の上縁部の高さを、周囲の上縁部に対して低く形成しているので、その分、吹出口26の設置位置を低くでき、調理網24の載置面241の高さも低くできる。そのため、調理室20の高さの確保が容易となり、調理室20の外郭を大きくすることなく、調理室20の容積を広くすることができる。
また、受皿23における調理室20の後壁203に対向する側の周壁の上縁部のフランジ部23bを水平方向に突出させたので、フランジ部23bが風向板として機能し、吹出口26から吹き出される熱気の吹出し風向を水平方向に向かわせることができる。このため、吹出口26から吹き出される空気の多くが調理網24の載置面241の下側の通風空間50を流れ、かつ熱気の到達距離が延びる。このため、調理網24の載置面241に載置される被加熱物の下部を効率よく加熱することができ、被加熱物を短時間で焼くことができる。
【0031】
扉21の下部には、調理室20内と連通する吸気用開口部29(図4)が設けられている。吸気用開口部29は、調理室排気ダクト41を経て排気される調理室20内の空気量に相当する量の空気を、調理室20内に補うためのものである。図4では扉21が外されているが、吸気用開口部29は、扉21の下部であって前面から使用者が扉21を見たときに扉21の取っ手によって隠れる位置に、設けられている。このようにすることで、吸気用開口部29が使用者に視認されにくく、意匠性がよい。
【0032】
[吸引ダクト30の構成]
図3図4を参照して、吸引ダクト30を説明する。
吸引ダクト30は、調理室20内の空気を、コンベクションユニット40内に導くための通風路であり、大まかには上面ダクト31と背面ダクト32とによって構成されている。上面ダクト31は、調理室20の上壁201の上に設けられており、上壁201の手前側から奥側に向かって延びる略直線状の通風路を内部に形成する。上面ダクト31の下面は、調理室20の上壁201によって構成されている。上壁201の手前側には、上面ダクト31への空気の流入口となる上面吸込口27が開口しており、上壁201の奥側には、上面ダクト31からの空気の流出口となる連通口28が開口している。上面吸込口27は、調理室20の奥行き方向中央に開口している。上面ダクト31の一端側に設けられた上面吸込口27から上面ダクト31内に流入した空気は、上面ダクト31の他端側に設けられた連通口28を通って背面ダクト32に流入する。
【0033】
背面ダクト32は、調理室20の上壁201に設けられた連通口28と、後壁203に設けられた背面吸込口25とを結ぶ通風路である。背面ダクト32は、後壁203と背面ダクト32内部との間に通風路を形成する。背面ダクト32は、下方から上方に向かって調理室20の内部方向(前面方向)に突出するように傾斜した傾斜面を有する背面ダクト前壁321と、この背面ダクト前壁321の側端部から背面側に向かって延び後壁203に接続される背面ダクト側壁322とを備えている。背面ダクト32の上端において後壁203との間に形成される開口部は、上壁201に設けられた連通口28に接続される。上面ダクト31と背面ダクト32とによって、上面吸込口27から連通口28を経て背面吸込口25に至る通風路が形成される。
【0034】
背面吸込口25の周囲の後壁203であって、背面ダクト32と対向する部分は、後方に向かって凹んでいる。この凹んだ部分を凹部204と称する。背面ダクト32内の後壁203に凹部204が形成されたことにより、背面ダクト32と後壁203(凹部204)との間の空間の容積が拡大されている。
【0035】
上面ダクト31の入口である上面吸込口27には、触媒体33が設けられている。触媒体33は、通風可能な小孔を有しており、調理室20から上面ダクト31内に流入する空気に含まれる汚染物質の少なくとも一部を吸着して酸化分解し、空気の清浄度を高める機能を発揮する。なお、触媒体33は、図4に示すように上壁201の下面に取り付けられていてもよいし、上面ダクト31の内部に一部又は全部が挿入されていてもよい。
【0036】
触媒体33には、酸化触媒が添着されており、上ヒーター22により加熱され触媒活性を得て、空気が通過するときに油煙や臭気成分等の物質を吸着して酸化分解を行い、空気を浄化する。触媒体33に添着される酸化触媒としては、白金、パラジウム、マンガン等のいずれかまたはすべてを含んだものが用いられる。低温活性の白金やマンガンを含む触媒を用いることで、より高い浄化性能を得ることができる。
【0037】
触媒体33は、上壁201に設けられた上面吸込口27内に設置されており、上ヒーター22によって加熱される。上ヒーター22によって触媒体33の温度を高めることで、触媒体33での汚染物の分解に係る化学反応速度が速まり、より多くの汚染物質が除去され、排気の清浄度を高めることができる。上ヒーター22によって触媒体33を加熱することができるので、触媒体33を加熱するための専用の加熱手段を設ける必要もない。ここでは、上から見たときに触媒体33と上ヒーター22の少なくとも一部が重なるようにすることで、触媒体33と上ヒーター22とを近接配置し、触媒体33が上ヒーター22からの放射熱を受けることができるようにしている。なお、触媒体33の触媒活性を得ることができるように触媒体33及び上ヒーター22の配置を決定すればよい。
【0038】
[コンベクションユニット40の構成]
図7は本発明の実施形態1に係るコンベクションユニット40の斜視図である。図8は本発明の実施形態1に係るコンベクションユニット40の正面図である。図1図4、及び図7図8を参照してコンベクションユニット40の構成を説明する。
コンベクションユニット40は、調理室20内の空気を吸い込んで加熱し、加熱した空気を再び調理室20に供給するためのものである。コンベクションユニット40は、内部に収容空間を有する加熱室42と、加熱室42内に収容されるコンベクションファン43及びコンベクションヒーター44(図4)と、コンベクションファン43を回転させるモーター45と、加熱室42の後方に設けられモーター45を収容するモーター収容ケース46とを備える。加熱室42を構成する加熱室後壁421の上部には、調理室排気ダクト41が接続されている。加熱室42の内部と調理室排気ダクト41は連通している。調理室排気ダクト41の出口側は、筐体排気口6(図1)に接続され、調理室排気ダクト41から排出される排気は筐体排気口6から筐体1の外部へと流出する。
【0039】
加熱室42は、調理室20の後壁203に設けられた吹出口26を、後壁203の背面側から覆っている。すなわち、加熱室42の内部に、吹出口26を構成する複数の孔のすべてが配置されている。図7図8に示すように、本発明の実施形態1の加熱室42は、上部の幅よりも下部の幅の方が大きく構成されており、この幅が拡大された加熱室42の下部に対向して、吹出口26が配置される。
【0040】
コンベクションファン43は、遠心ファンであり、モーター45の回転軸と固定され、モーター45の動作により回転する。コンベクションファン43は、空気を吸引する中央部分が、調理室20の後壁203に設けられた背面吸込口25に対面するようにして、加熱室42内に配置されている。コンベクションファン43が回転すると、その中央部から空気が吸引され、吸引された空気は羽根の外周部から送出される。モーター45とコンベクションファン43は、吸引ダクト30を介して吸い込んだ調理室20内の空気を、吹出口26を介して調理室20へ送る送風手段として機能する。
【0041】
モーター45は、DCモーター又は誘導モーターである。モーター45は、回転軸が後から前に向かって略水平の向きになるように設置されており、モーター45の回転軸には、加熱室42内に設けられたコンベクションファン43が取り付けられている。すなわち、コンベクションファン43は、調理室20の背面側に配置されて、調理室20の後壁203と対向する垂直面内で回転する。調理室20内における加熱調理動作中は、モーター45の回転の有無や回転数等が制御手段によって制御される。
【0042】
コンベクションヒーター44は、加熱室42内を加熱することで、コンベクションファン43により送りだされた調理室20からの空気を再加熱するための再加熱手段である。コンベクションヒーター44は、図4に示すように、シーズヒーターで構成されており、加熱室42内のコンベクションファン43の下側に設けられている。コンベクションヒーター44は、図7図8では取り外されているが、加熱室42の下部の一方の加熱室側壁422から他方の加熱室側壁422にわたってほぼ全域に配置されている。加熱室42の下部は、吹出口26と対向配置されるので、コンベクションヒーター44も吹出口26と対向配置される。
【0043】
コンベクションヒーター44は、基板ユニット11(図2)内の電子回路基板に配線接続され、コンベクションヒーター44の加熱の有無や加熱量は、制御手段によって制御される。なお、ここでは、コンベクションヒーター44としてシーズヒーターを用いる例を示すが、セラミックヒーター、ニクロム線ヒーター、ハロゲンランプヒーター、カーボンヒーター等のガラス管ヒーターを用いてもよい。
【0044】
また、コンベクションヒーター44は、その少なくとも一部が高さ方向において吹出口26と重なるように配置されていることにより、コンベクションヒーター44と吹出口26とが近接配置されている。このようにコンベクションヒーター44を吹出口26に近づけて配置することで、コンベクションヒーター44により加熱された空気温度をなるべく低下させることなく吹出口26から吹き出すことができる。したがって、調理室20内の被加熱物の加熱効率を高めることができる。
【0045】
[加熱調理器の動作]
次に、本発明の実施形態1に係る加熱調理器100の動作を説明する。
【0046】
[トッププレート3上での加熱調理]
使用者がトッププレート3上の載置部9に鍋等の被加熱物を載置し、その載置部9に対応する操作部4を操作すると、基板ユニット11内の電子回路基板に実装された制御手段が、トッププレート3の下方に設けられた誘導加熱コイルやラジエントヒーター等の加熱手段に電力を供給する。これにより、トッププレート3の上に載置された被加熱物の加熱調理が行われる。また、制御手段は、基板ユニット11内に設けられた冷却ファンを駆動し、冷却ファンから供給される冷却風によって前述のように加熱調理器100内の各部の冷却が行われる。
【0047】
[調理室20での加熱調理]
調理室20内における加熱動作を、図3図4に基づき、図1図2を参照して説明する。なお、図4では、空気の流れを矢印で概念的に示している。
使用者が調理室20内の調理網24の上に被加熱物を載置して扉21を閉じ、調理室20に対応した操作部4を操作して加熱条件の設定を行うと、制御手段は、設定内容に応じた制御シーケンスにより、調理室20内における加熱制御を開始する。より具体的には、制御手段は、調理室20及び加熱室42内にそれぞれ設けられた図示しない温度検知センサの検知温度、及び操作部4によって設定された設定条件に基づき、上ヒーター22、コンベクションヒーター44、及びモーター45を動作させる。
【0048】
上ヒーター22が加熱を開始すると、上ヒーター22の放射熱により、調理網24に載置された被加熱物の上面が主に加熱される。
【0049】
また、コンベクションヒーター44が加熱を開始すると、コンベクションヒーター44の放射熱により、加熱室42内の空気が加熱される。
そして、モーター45の動作によってコンベクションファン43が回転すると、コンベクションファン43に対向して開口している背面吸込口25に吸引力が生じる。そうすると、背面吸込口25と背面ダクト32及び上面ダクト31を介して連通する上面吸込口27に吸引力が生じ、調理室20内の空気が上面吸込口27から上面ダクト31内へと吸い込まれる。上面吸込口27に吸い込まれる調理室20内の空気は、上ヒーター22の近傍を通過する際に、上ヒーター22の放射熱によって加熱される。また、上面吸込口27に吸い込まれる空気は、触媒体33を通過する際に煙及び油煙が浄化され、また酸化分解の反応熱でさらに加熱される。また、上面ダクト31内を流れる空気は、上面ダクト31の下面を構成する調理室20の上壁201からの伝熱によってさらに加熱される。
【0050】
上面ダクト31内を流れる空気は、連通口28を通って背面ダクト32に流入する。背面ダクト32の背面ダクト前壁321は、その上部が調理室20の内部に向かって傾斜しており、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分は鈍角であるので、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における圧力損失が低減され、スムースに空気が流れる。
なお、背面ダクト前壁321の傾斜角度を大きくすると、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における流路の曲がりが小さくなって圧力損失を低減することができる一方で、調理室20内の容積が縮小されて調理室20内に収容できる被加熱物の大きさが制限される。また、背面ダクト前壁321の傾斜角度を小さくすると、調理室20内の容積を拡大することができる一方で、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における圧力損失が相対的に大きくなる。このため、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における圧力損失と、調理室20内の容積とを考慮して、背面ダクト前壁321の傾斜角度を設定するのがよい。
【0051】
背面ダクト32に流入した空気は背面吸込口25を通って加熱室42内に流入する。背面吸込口25の周囲の後壁203に凹部204を形成することにより、背面ダクト32内の容積を拡大しているので、背面吸込口25に空気を吸い込みやすい。
背面吸込口25から加熱室42内に流入した空気は、コンベクションファン43の回転中心に吸い込まれ、コンベクションファン43の羽根の外周へと送出される。
【0052】
コンベクションファン43から遠心方向に送出された空気の多くは、コンベクションファン43の下側に設けられたコンベクションヒーター44の近傍を通り、コンベクションヒーター44によって加熱される。コンベクションヒーター44によって加熱された空気は、コンベクションヒーター44と対向する位置に設けられた吹出口26から、調理室20内へと吹き出される。コンベクションヒーター44と吹出口26とが対向しているので、コンベクションヒーター44により加熱された加熱空気を吹出口26から吹き出すことができる。
【0053】
吹出口26から吹き出された熱気は、風向板として機能する受皿23のフランジ部23bに案内されて、受皿23の低くなった周壁の上縁部を通過し、調理網24の載置面241と受皿23との間の通風空間50内を、扉21側に向かって流れる気流となる。調理網24の載置面241の下側を流れる気流は、調理網24の載置面241に載置された被加熱物の下面を主に加熱する。
【0054】
調理網24の載置面241の下側を扉21側に向かって流れる気流は、扉21に到達すると、扉21により上方に向きを曲げられ、上面吸込口27に生じる吸引力によって上面吸込口27へと吸い込まれる。上面吸込口27に吸い込まれた空気は、上面ダクト31及び背面ダクト32を通って加熱室42に流入し、加熱室42内のコンベクションファン43によって吹出口26から調理室20内に吹き出される。このように、調理室20内の空気は、上ヒーター22からの放射熱、触媒体33の反応熱、上ヒーター22によって加熱された調理室20の上壁201からの伝熱、及びコンベクションヒーター44によって加熱され、調理室20内の被加熱物を加熱する。
【0055】
また、加熱室42内でコンベクションファン43により送出された空気の一部は、調理室排気ダクト41を経て、加熱調理器100の外部に排気される。調理室排気ダクト41から排気された調理室20内の空気に相当する量の空気は、扉21と調理室20との隙間(図示せず)又は吸気用開口部29から調理室20内に供給される。なお、ここでは、吸気用開口部29を扉21の下部に設けているが、吸気用開口部29を扉21の上部(すなわち調理網24の載置面241の下側を流れる気流と高さ方向において対向する位置)に、設けてもよい。このようにすることで、調理網24の載置面241の下側を流れる気流は、吸気用開口部29から調理室20内に供給される空気によって流れを乱されにくいので、扉21側に向かってまっすぐに流れやすい。したがって、調理網24の載置面241に載置される被加熱物の下面の加熱ムラを抑制することができる。
【0056】
使用者が操作部4を操作して調理室20における加熱停止を指示すると、あるいは予め定められた加熱時間が経過すると、制御手段は、調理室20における加熱動作を停止させる。
【0057】
[実施形態1の効果]
以上のように本発明の実施形態1では、コンベクション調理が可能な加熱調理器において、調理室20の左右の側壁202に、扉21を案内してこの扉21と共に受皿23を引き出すための左右レール14を設け、調理室20の後壁203には、正面からみて左右レール14の間となる位置に、吹出口26を配置した。このため、調理室20の左右の側壁202への左右レール14の設置が可能となり、受皿23及びこれと連動する扉21の動きがスムースとなる。このため、被加熱物を出し入れする際の操作性を向上させることができる。
【0058】
また、本発明の実施形態1では、吹出口26に対向する側の上縁部を周囲の上縁部に対して低く形成した。このため、吹出口26に対向する側の上縁部を周囲の上縁部に対して低くした分、吹出口26の設置位置を低くでき、調理網24の載置面241の高さも低くできる。そのため、調理室20の高さの確保が容易となり、調理室20の外郭を大きくすることなく、調理室20の容積を広くすることができる。
【0059】
また、本発明の実施形態1では、受皿23における調理室20への設置時に前後となる側の上縁部すなわちフランジ部23b,23dを、周囲の上縁部(フランジ部)に対して低く設定して、受皿23の前後に位置するフランジ部23b,23dの構成を同一構成とした。このため、受皿23を調理室20内に設置する際に前後を意識する必要が無くなり、使い易い受皿23が得られる。
【0060】
また、本発明の実施形態1では、受皿23における低く設定された上縁部には、水平方向に延出するフランジ部23b,23dを形成した。このため、受皿23における調理室20の後壁203に対向する側の周壁の上縁部のフランジ部23bが吹出口26から吹き出される熱気の風向板として機能し、吹出口26から吹き出される熱気を水平方向に向かわせることができる。そして、吹出口26から吹き出される空気の多くを調理網24の載置面241の下側の通風空間50に流すことができ、熱気の到達距離を延ばすことができる。その結果、調理網24の載置面241に載置される被加熱物の下部を効率よく加熱することができ、被加熱物を短時間で焼くことができる。
【0061】
また、本発明の実施形態1では、上面吸込口27に、調理時に発生した匂いと煙を除去する触媒体33を設け、上から見たときに触媒体33と上ヒーター22の少なくとも一部が重なるようにした。このため、調理室20から排気される空気を浄化することができる。また、触媒体33を加熱するための専用の加熱手段を設ける必要もない。
【0062】
また、本発明の実施形態1では、コンベクションファン43により送りだされた調理室20からの空気を再加熱するためのコンベクションヒーター(再加熱手段)44を設けた。このため、上面吸込口27から吹出口26に至る風路が長くなっても、この風路内を流れる空気の温度を低下させることなく吹出口26から吹き出させることができる。したがって、調理室20内の被加熱物の加熱効率を高めることができる。
【0063】
また、本発明の実施形態1では、左右レール14が、調理室20の左右の側壁202にそれぞれ固定された固定レール14aと、これら固定レール14aにそれぞれ案内されて移動可能な可動レール14bとを備え、可動レール14bには、扉21を着脱可能に連結した。また、受皿23は、フランジ部23a,23cを可動レール14bに載置可能とした。このため、扉21の出し入れが容易となり、被加熱物を出し入れする際の操作性を向上させることができ、かつ扉21を外せるので、扉21の清掃だけでなく、調理室20内の清掃も容易に行うことができる。
また、固定レール14aと可動レール14bには、磁性体と磁石を閉扉時に対向するように設けた。このため、閉扉時に、扉21が半開き状態となるのを防止することができ、扉21からの煙漏れを低減することができる。
【0064】
実施形態2.
図9は本発明の実施形態2に係る調理室20、受皿23、左右レール14、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40の正面視の概略断面図である。図中、前述の実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。なお、説明にあたっては、図4図8を参照するものとする。
この実施形態2においては、調理室20の後壁203に、左右一列に配置された円形の複数の孔で形成される吹出口26が設けられている。吹出口26は、調理室20の左右幅方向の中間点を境にしてコンベクションファン43の回転方向の上流側(紙面右側)と下流側(紙面左側)とに分けて見た場合、上流側に位置する孔26aの数が、下流側に位置する孔26bの数よりも少ないものである。それ以外の構成は実施形態1のものと同様である。
【0065】
本発明の実施形態2において、コンベクションファン43は、遠心ファンであり、既述したように空気を吸引する中央部分が、調理室20の後壁203に設けられた背面吸込口25に対面するようにして、加熱室42内に配置されている。つまり、コンベクションファン43は、調理室20の背面側に配置されて、調理室20の後壁203と対向する垂直面内で右回りに回転し、ファン中央部から空気を吸い込みファンの遠心方向に空気を吐き出す。そして、図8に示すように、ファン右上部の斜面、つまり加熱室42において、下流側に向けて末広がり状の風路を形成する斜面により、空気は矢印の方に多く流れる。その結果、正面から見て、左側より右側の孔26aから多く吹き出されることになる。
【0066】
[実施形態2の効果]
本発明の実施形態2では、吹出口26を形成する左右一列に配置された複数の孔26a,26bを、調理室20の左右幅方向の中間点を境にしてコンベクションファン(遠心ファン)43の回転方向の上流側と下流側とに分けて見た場合、上流側に位置する孔26aの数を、下流側に位置する孔26bの数よりも少なくなるようにしているので、吹出し風量の均一化が図れ、コンベクション調理用のファンとして遠心ファンを用いても、被加熱物の焼きムラのない加熱調理器を得ることができる。
【0067】
なお、前述の実施形態1,2では、吸引ダクト30を介して調理室20内の空気を背面吸込口25から加熱室42に吸い込むことを説明したが、吸引ダクト30を設けず、調理室20の後壁203に設けられた背面吸込口25から調理室20内の空気を吸い込むようにしてもよい。この場合、吸引ダクト30を設けない分、加熱室42側の風路を短くできるので、加熱室42内を通過する熱気の温度低下を抑制できる。このため、再加熱手段であるコンベクションヒーター44を不要にできる。
【符号の説明】
【0068】
1 筐体、2 筐体上枠、3 トッププレート、4 操作部、5 筐体吸気口、6 筐体排気口、7 吸排気口カバー、8 表示部、9 載置部、10 仕切板、11 基板ユニット、12 冷却風吹出口、14 左右レール、14a 固定レール、14b 可動レール、20 調理室、20a 前面開口部、21 扉、22 上ヒーター(加熱手段)、23 受皿、23a,23b,23c,23d フランジ部、24 調理網、25 背面吸込口、26 吹出口、26a,26b 孔、27 上面吸込口(吸込口)、28 連通口、29 吸気用開口部、30 吸引ダクト、31 上面ダクト、32 背面ダクト、33 触媒体、40 コンベクションユニット、41 調理室排気ダクト、42 加熱室、43 コンベクションファン(ファン)、44 コンベクションヒーター(再加熱手段)、45 モーター、46 モーター収容ケース、50 通風空間、100 加熱調理器、111 基板ケース、201 上壁、202 側壁(左右側壁)、203 後壁、204 凹部、241 載置面、242 脚部、321 背面ダクト前壁、322 背面ダクト側壁、421 加熱室後壁、422 加熱室側壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9