特許第6037876号(P6037876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6037876半導体装置、積層ズレ測定装置及び積層ズレ測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037876
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】半導体装置、積層ズレ測定装置及び積層ズレ測定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20161128BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 21/50 20060101ALI20161128BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H01L25/08 B
   H01L21/50 F
   H01L21/60 311Q
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-24125(P2013-24125)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-154738(P2014-154738A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】石川 通弘
【審査官】 小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−222809(JP,A)
【文献】 特開平03−064944(JP,A)
【文献】 特開2005−093999(JP,A)
【文献】 特開昭63−029541(JP,A)
【文献】 特開2008−021984(JP,A)
【文献】 特開昭48−016578(JP,A)
【文献】 特開昭58−083853(JP,A)
【文献】 特開昭62−273725(JP,A)
【文献】 特開2001−144197(JP,A)
【文献】 特開2003−031993(JP,A)
【文献】 特開2010−135837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/065
H01L 21/50
H01L 21/60
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層される二枚の半導体チップと、
二枚の半導体チップが対向する面の一方に、第1の間隔で整列されて並べられて設けられた第1の金属バンプの群と、
二枚の半導体チップが対向する面の他方に、第1の間隔と異なる第2の間隔で整列され、前記二枚の半導体チップが重ねられた状態において、重なりのズレに応じて第1の金属バンプとの間の接続抵抗値が変化する位置に並べられて設けられた第2の金属バンプの群と、
前記二枚の半導体チップが重ねられた状態において接触する第1の金属バンプと第2の金属バンプとによる対の接続抵抗値を取り出すための配線と
を具備することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
金属バンプは、二枚の各半導体チップにおいて一列またはマトリックス状に整列されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記二枚の半導体チップがズレなく重ねられた状態においては、積層される二枚の半導体チップに設けられた一対の金属バンプのみが最低の接続抵抗値となる状態で接触することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記半導体装置の配線に接続して、第1の金属バンプと第2の金属バンプとによる対の接続抵抗値を取り出す検出手段と、
前記検出手段により測定された接続抵抗値に基づいて二枚の半導体チップにおける重なりのズレの量及び方向を測定する測定手段と
を具備することを特徴とする積層ズレ測定装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置を用い、
前記半導体装置の配線に接続して、第1の金属バンプと第2の金属バンプとによる対の接続抵抗値を取り出し、
取り出された接続抵抗値に基づいて二枚の半導体チップにおける重なりのズレの量及び方向を測定することを特徴とする積層ズレ測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層した二枚の半導体チップの積層ズレ測定が可能に構成された半導体装置、その半導体装置を用いた積層ズレ測定装置及び積層ズレ測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層半導体チップを製造する際の歩留まりを高める技術として、チップ集合体を載置し、それぞれ任意に移動可能な複数のステージと、複数のステージの各々に載置されたチップ集合体の、積層時のチップの集合体への加熱により変化する各チップの電極位置の予想変化量を記憶する記憶手段と、記憶手段からの各チップの電極位置の予想変化量と、チップ集合体に形成された各チップの位置情報とに基づいて、積層時における複数のステージの互いの位置を設定し、複数のステージの少なくとも一方を制御する制御手段とを有するものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記の従来技術によると構成が大掛かりな装置が必要であり、制御も複雑であるという問題があった。
【0004】
上記に対し、図16に示すように、積層する上側半導体チップ6の底面に、例えば一辺に平行に複数の金属バンプ7〜10を一定間隔に設ける。積層されて上記上側半導体チップ6の下に位置する下側半導体チップ1の上面に、上記金属バンプ7〜10と同じ間隔で複数の金属バンプ2〜5を設ける。
【0005】
上記の上側半導体チップ6と下側半導体チップ1とが適切に位置合わせされて積層されたときには、図16に示されるように、金属バンプ7の中央を上下に走る線分と金属バンプ2の中央を上下に走る線分とが一致する。これに対し、上側半導体チップ6と下側半導体チップ1とが不適切に位置合わせされて積層されたときには、図17に示されるように、金属バンプ7の中央を上下に走る線分と金属バンプ2の中央を上下に走る線分とがズレた状態となる。
【0006】
従って、このような積層半導体チップの合わせズレを測定するためには、金属バンプ7、2の接続部を劈開し、断面観察を行うことが考えられる。しかしながら、このような手法によると、測定値が測定者の熟練度に左右されてしまうため、必ずしも適切な測定が保障されない問題がある。断面観察を繰り返す場合に誤差が生じる可能性があり、常に一定精度の測定が行えないという問題がある。更に、断面観察ためのサンプルを作成するために、多くの時間と人手を要し、多量の積層半導体チップの合わせズレを測定することは時間やコストの点から問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−135837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来の積層された半導体チップにおける合わせズレ測定における問題点を解決せんとしてなされたもので、その目的は、精度良く短時間でしかも熟練を要することなく積層された半導体チップにおける合わせズレ測定を行うことが可能な半導体装置を提供することである。また、この半導体装置を用いた精度良く短時間でしかも熟練を要することなく測定が可能な積層ズレ測定装置及び積層ズレ測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体装置は、積層される二枚の半導体チップと、二枚の半導体チップが対向する面の一方に、第1の間隔で整列されて並べられて設けられた第1の金属バンプの群と、二枚の半導体チップが対向する面の他方に、第1の間隔と異なる第2の間隔で整列され、前記二枚の半導体チップが重ねられた状態において、重なりのズレに応じて第1の金属バンプとの間の接続抵抗値が変化する位置に並べられて設けられた第2の金属バンプの群と、前記二枚の半導体チップが重ねられた状態において接触する第1の金属バンプと第2の金属バンプとによる対の接続抵抗値を取り出すための配線とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る半導体装置では、金属バンプは、二枚の各半導体チップにおいて一列またはマトリックス状に整列されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る半導体装置は、前記二枚の半導体チップがズレなく重ねられた状態においては、積層される二枚の半導体チップに設けられた一対の金属バンプのみが最低の接続抵抗値となる状態で接触することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る積層ズレ測定装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置と、前記半導体装置の配線に接続して、第1の金属バンプと第2の金属バンプとによる対の接続抵抗値を取り出す検出手段と、前記検出手段により測定された接続抵抗値に基づいて二枚の半導体チップにおける重なりのズレの量及び方向を測定する測定手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る積層ズレ測定方法は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置を用い、前記半導体装置の配線に接続して、第1の金属バンプと第2の金属バンプとによる対の接続抵抗値を取り出し、取り出され接続抵抗値に基づいて二枚の半導体チップにおける重なりのズレの量及び方向を測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、重なりのズレに応じて第1、第2の金属バンプとの間の接続抵抗値が変化する位置に並べられて金属バンプが設けられているので、接続抵抗値の測定により積層ズレ測定を行うことができ、精度良く短時間でしかも熟練を要することなく積層された半導体チップにおける合わせズレ測定を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の下側に積層される半導体チップの構成を示す平面図。
図2】第1の実施形態に係る半導体装置の下側に積層される半導体チップの構成を示す断面図。
図3】第1の実施形態に係る半導体装置の上側に積層される半導体チップの構成を示す平面図。
図4】第1の実施形態に係る半導体装置の上側に積層される半導体チップの構成を示す断面図。
図5】本発明の積層ズレ測定装置の実施形態を示すブロック図。
図6】第1の実施形態に係る半導体装置の半導体チップにおけるズレの無い積層状態を示す断面図。
図7図6の状態で得られる接続抵抗値を示す図。
図8】第1の実施形態に係る半導体装置の半導体チップにおけるズレが生じている積層状態を示す断面図。
図9図8の状態で得られる接続抵抗値を示す図。
図10】第2の実施形態に係る半導体装置の下側に積層される半導体チップの構成を示す平面図。
図11】第2の実施形態に係る半導体装置の上側に積層される半導体チップの構成を示す平面図。
図12】第2の実施形態に係る半導体装置の半導体チップにおけるズレの無い積層状態を示す平面透過図。
図13】第2の実施形態に係る半導体装置の半導体チップにおけるズレが生じている積層状態を示す平面透過図。
図14】第1の実施形態に係る半導体装置によって二次元のズレを測定できない場合を示す断面図。
図15】第2の実施形態に係る半導体装置によって二次元のズレを測定できることを示す平面透過図。
図16】金属バンプにより、ズレの無い積層状態で積層した二枚の半導体チップの積層ズレ測定例を説明するための断面図。
図17】金属バンプにより、ズレが生じている積層状態で積層した二枚の半導体チップの積層ズレ測定例を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下添付図面を参照して本発明に係る半導体装置、積層ズレ測定装置及び積層ズレ測定方法の実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1図4に、本発明に係る半導体装置の第1の実施形態を示す。図1図2は、積層される二枚の半導体チップの一方を示し、図3図4は、積層される二枚の半導体チップの他方を示す。図1図2に示される半導体チップ101を下側として、図3図4に示される半導体チップ121を上側として、積層することができる。積層の位置関係は上下逆でも良い。
【0017】
半導体チップ101は、平面図を図1に示し、断面図を図2に示すように、直方体形状となっている。また、半導体チップ121は、平面図を図3に示し、断面図を図4に示すように、半導体チップ101と同一寸法の直方体形状となっている。半導体チップ101の表面には、一列に並んだ金属バンプ111〜119が設けられる。金属バンプ111〜119は、同一形状同一大きさのもので、図2に示すように直径を例えば10.0μmとすることができる。金属バンプ111〜119において隣接する金属バンプ間の距離は、図2に示すように例えば20.0μmとすることができる。金属バンプ111〜119には、それぞれ接続抵抗値を測定するための配線パターン102〜110が独立して接続されている。配線パターン102〜110の端部は、半導体チップ101の一短辺縁まで延び、図示しない電極に接続されている。上記の金属バンプ111〜119中の金属バンプ115は、基準位置に設けられており、例えば、半導体チップ101の長辺の1/2の距離(長辺の中央)に設けられている。
【0018】
半導体チップ121の表面には、一列に並んだ金属バンプ131〜139が設けられる。金属バンプ131〜139は、金属バンプ111〜119と同一形状同一大きさ及びそれぞれが同一形状同一大きさのもので、図4に示すように直径を例えば10.0μmとすることができる。金属バンプ131〜139において隣接する金属バンプ間の距離は、図4に示すように例えば22.5μmとすることができる。従って、金属バンプ111〜119のバンプ間距離とは異なっている。金属バンプ131〜139には、接続抵抗値を測定するための配線パターン122が、これら金属バンプ131〜139を連絡するように設けられている。配線パターン122の端部は、半導体チップ121の一短辺縁まで延び、図示しない電極に接続されている。上記の金属バンプ131〜139中の金属バンプ135は、金属バンプ115と同じ基準位置に設けられており、例えば、半導体チップ121の長辺の1/2の距離(長辺の中央)に設けられている。金属バンプ111〜119の平面中心を結ぶ線分と半導体チップ101の一長辺との距離は、金属バンプ131〜139の平面中心を結ぶ線分と半導体チップ121の一長辺との距離に等しい。
【0019】
以上の構成は、合わせズレ測定専用の半導体装置であっても良く、また、製品の積層チップの一部に備えていても良い。製品の積層チップの一部に備える場合には、配線パターン102〜110、122の電極は、製品のものとは異なるものとなる。図5には、積層ズレ測定装置の構成が示されている。接続抵抗値測定装置11からは、配線12〜20が延び、配線パターン102〜110の電極に接続される。また、接続抵抗値測定装置11からは、配線32が延び、配線パターン122の電極に接続される。接続抵抗値測定装置11は、配線12〜20のいずれかの測定対象配線と配線32の間に順次に所定電圧を印加し、流れる電流を測定して接続抵抗値を求める。
【0020】
上記のように構成されている半導体装置を搭載した半導体チップ101と半導体チップ121を所定の積層治具により位置合わせして積層した場合の、半導体チップ101と半導体チップ121の長辺側を正面とする積層状態を示す断面図は、図6または図8のようになる。図6は、合わせズレが発生していない状態を示す。この状態では、基準位置に設けられた金属バンプ115と金属バンプ135間の接続抵抗値が最も低く、その次には、両側の金属バンプ114と金属バンプ134間の接続抵抗値と金属バンプ116と金属バンプ136間の接続抵抗値が同じ値で低く測定される。以下、両隣の接続抵抗値が同じ値で、徐々に高くなる。
【0021】
金属バンプ112と金属バンプ132間及び金属バンプ118と金属バンプ138間は接触していないために、それらの間の接続抵抗値は無限大である。同様に、金属バンプ111と金属バンプ131間及び金属バンプ119と金属バンプ139間も接触していないために、それらの間の接続抵抗値は無限大である。
【0022】
接続抵抗値測定装置11は、CPUと表示部を有するように構成することができ、上記の測定結果を図7に示すようにグラフ化して画像データとし表示部に表示することができる。この表示結果によれば、金属バンプ115と金属バンプ135間の接続抵抗値が一番低い値を示し、この接触部位を中心として図の左右対称に接続抵抗値が高くなっている。このとき金属バンプの基準位置(金属バンプ115と金属バンプ135)と、接続抵抗値が一番低い金属バンプ(金属バンプ115と金属バンプ135)とが一致しているため、積層した際に下側チップとなる半導体チップ101と積層した際に上側チップとなる半導体チップ121の間には合わせズレが発生していない、と判定することができる。
【0023】
図8は積層した際に下側チップとなる半導体チップ101が、積層した際に上側チップとなる半導体チップ121に対して左側に2.5umの合わせズレが発生した状態を示す図である。この場合、半導体チップ101上の金属バンプ114と半導体チップ121上の金属バンプ134間の接続抵抗値が一番低い値になる。また、金属バンプ113と金属バンプ133間の接続抵抗値及び金属バンプ115と金属バンプ135間の接続抵抗値が同じ値で、二番目に低い値になる。更に、金属バンプ112と金属バンプ132間の接続抵抗値及び金属バンプ116と金属バンプ136間の接続抵抗値が同じ値で、三番目に低い値になる。また、金属バンプ111と金属バンプ131間、金属バンプ117と金属バンプ137間、金属バンプ118と金属バンプ138間、更に、金属バンプ119と金属バンプ139間は、接触していないため抵抗は無限大になる。
【0024】
接続抵抗値測定装置11は、図7の場合と同様に、上記の測定結果を図9に示すようにグラフ化して画像データとし表示部に表示することができる。この測定結果によれば、金属バンプ114と金属バンプ134間の接続抵抗値が一番低い値を示し、この接触部位を中心として図の左右対称に接続抵抗値が高くなっている。このとき金属バンプの基準位置(金属バンプ115と金属バンプ135)と、接続抵抗値が一番低い金属バンプ(金属バンプ114と金属バンプ134)とは一致しておらず、接続抵抗値が一番低い金属バンプは金属バンプの基準位置から左側に1つズレた金属バンプの位置となっている。係る結果から、積層した際に下側チップとなる半導体チップ101は、積層した際に上側チップとなる半導体チップ121に対して左側に2.5umずれている、と判定できる。
【0025】
上記の通り、本実施例に係る積層ズレ測定方法では、接続抵抗値が一番低い金属バンプの位置が基準位置からどの方向にいくつの金属バンプの数だけズレたかを求め、ズレ方向(ここでは、左又は右)と、ズレの距離を求めることができる。距離は、積層した際に下側チップとなる半導体チップ101と積層した際に上側チップとなる半導体チップ121とのそれぞれのバンプ間距離の差に、いくつの金属バンプの数だけズレたかを示す数を、乗算して求めることができる。
【0026】
別の合わせズレ測定方法として、金属バンプ間が接続せず金属バンプ間接続抵抗値が無限大になることを利用することもできる。この測定方法は合わせズレによる金属バンプ間接続抵抗値の変動が少ないときに利用できる。
【0027】
例えば図7では、金属バンプ間接続抵抗値が無限大で、かつ金属バンプの基準位置(金属バンプ115と金属バンプ135)に一番近い金属バンプは、金属バンプ112と金属バンプ132、および金属バンプ118と金属バンプ138である。ここで金属バンプ112と金属バンプ132、および金属バンプ118と金属バンプ138の中央に位置する金属バンプを求めると、金属バンプ115と金属バンプ135となる。これは金属バンプの基準位置と一致していることから、積層した際に下側チップとなる半導体チップ101と積層した際に上側チップとなる半導体チップ121の間には合わせズレが発生していない、と判定できる。
【0028】
一方、図9では、金属バンプ間接続抵抗値が無限大で、かつ金属バンプの基準位置(金属バンプ115と金属バンプ135)に一番近い金属バンプは、金属バンプ111と金属バンプ131、および金属バンプ117と金属バンプ137である。ここで金属バンプ111と金属バンプ131、および金属バンプ117と金属バンプ137の中央に位置する金属バンプを求めると、金属バンプ114と金属バンプ134となる。これらの中央に位置する金属バンプは金属バンプの基準位置から左側に1つずれていることから、積層した際に下側チップとなる半導体チップ101は、積層した際に上側チップとなる半導体チップ121に対して左側に2.5umずれている、と測定できる。
【0029】
上記した半導体装置において、積層チップ間の合わせズレ測定パターンは、金属バンプが一次元で配列されている。この合わせズレ測定パターンを直交するように2つ設置することにより、X(図の横)方向とY(図の縦)方向の合わせズレを測定することが可能となる。測定結果に基づき、チップを積層する装置に対し制御を行って、下側チップと上側チップの位置のオフセット量を調整するようにすることもできる。
【0030】
図10図11に、本発明に係る半導体装置の第2の実施形態を示す。図10は、積層される二枚の半導体チップの一方の平面図を示し、図11は、積層される二枚の半導体チップの他方の平面図を示す。図10に示される半導体チップ201を下側として、図11に示される半導体チップ221を上側として、積層することができる。積層の位置関係は上下逆でも良い。
【0031】
半導体チップ201、221は、同一形状であり、平面が正方形の平板状の直方体となっている。 半導体チップ201の表面には、チップの横辺をX方向、チップの横辺と直交する縦辺をY方向として、X方向Y方向にマトリックス状に例えばX1〜X9とY1〜Y9で示される位置に金属バンプが設けられている。半導体チップ201に設けられている金属バンプには、それぞれ異なる配線パターンが接続され、端部は電極とされ、例えば半導体チップ201の一辺側に並べられて配列される。この配線の図示は省略してある。
【0032】
半導体チップ201上の金属バンプの直径を例えば10.0μmとし、隣接する金属バンプ間の距離は例えば20.0μmとすることができる。半導体チップ201の中央位置を基準位置とし、この基準位置(X5、Y5)を中心として金属バンプが設けられている。
【0033】
半導体チップ221の表面には、チップの横辺をX方向、チップの横辺と直交する縦辺をY方向として、X方向Y方向にマトリックス状に例えばX1〜X9とY1〜Y9で示される位置に金属バンプが設けられている。半導体チップ221に設けられている金属バンプには、共通する一本の配線パターンが接続され、端部は電極とされ、例えば半導体チップ221の一辺側に並べられて配列される。この配線の図示は省略してある。
【0034】
半導体チップ221上の金属バンプの直径を例えば10.0μmとし、隣接する金属バンプ間の距離は例えば22.5μmとすることができる。半導体チップ221の中央位置を基準位置とし、この基準位置(X5、Y5)を中心として金属バンプが設けられている。
【0035】
以上の構成は、合わせズレ測定用の半導体装置であっても良く、また、製品の積層チップの一部に備えていても良い。製品の積層チップの一部に備える場合には、配線パターンの電極は、製品のものとは異なるものとなる。積層ズレ測定装置の構成の図5に示したものと同様であるが、接続抵抗値測定装置11から半導体チップ201、221へ延びる配線数が、半導体チップ201、221の金属バンプと接続される配線パターン数に対応して変更される。
【0036】
上記のように構成されている半導体装置を搭載した半導体チップ201と半導体チップ221を所定の積層治具により位置合わせして積層した場合の、半導体チップ201と半導体チップ221の積層状態を示す平面図は、図12または図13のようになる。図12は、合わせズレが発生していない状態を示す。
【0037】
接続抵抗値の測定においては、半導体チップ201上の測定対象の金属バンプに接続された配線パターンの電極に接続される配線(図示せず)と半導体チップ221上の金属バンプに接続された配線パターンの電極に接続された配線(図示せず)の間に順次電圧を与え、そのときの電流を測定して金属バンプ間接続抵抗値を得る。その後、金属バンプ間の接続抵抗値が一番低い金属バンプ位置と金属バンプの基準位置(X5,Y5)との位置関係から、積層したチップ間の合わせズレを測定する。
【0038】
図12では金属バンプ間の接続抵抗値が一番低い金属バンプ位置(X5,Y5)と金属バンプの基準位置(X5,Y5)が一致しているため、積層した際に下側チップとなる半導体チップ201と積層した際に上側チップとなる半導体チップ221の間には合わせズレが発生していない、と測定できる。
【0039】
一方、図13に示す積層状態では金属バンプ間の接続抵抗値が一番低い金属バンプ位置(X4,Y6)と金属バンプの基準位置(X5,Y5)は一致しておらず、接続抵抗値が一番低い金属バンプ位置(X4,Y6)は金属バンプの基準位置(X5,Y5)から左上側に1つずれている(X=−1位置,Y=+1位置)。これにより、積層した際に下側チップとなる半導体チップ201は、積層した際に上側チップとなる半導体チップ221に対して左上側に2.5umずれている(X=−2.5um,Y=+2.5um)、と判定することができる。また、別の合わせズレ測定方法として第1の実施形態において説明した通り、金属バンプ間が接続せず金属バンプ間接続抵抗値が無限大になることを利用することも可能である。測定結果に基づき、チップを積層する装置に対し制御を行って、下側チップと上側チップの位置のオフセット量を調整するようにすることもできる。
【0040】
次に、図14図15を用いて、第2の実施形態によって積層したチップ間の合わせズレ測定を行った場合の優位性を説明する。例えば、第1の実施形態では積層チップ間の合わせズレがX方向に−7.5umであると、直交して設置されたY方向測定用の全ての金属バンプ間もX方向に−7.5umずれてしまう。つまり、Y方向にズレが無くともX方向の−7.5umズレを原因として、Y方向測定用の全ての金属バンプ間が接続しない状態となるため、Y方向の積層チップ間の合わせズレが測定できなくなる(図14(a)、(b))。しかし、金属バンプが二次元的にマトリックス配列された第2の実施形態によれば、積層チップ間の合わせズレがX方向に−7.5um生じた場合においても、図15に示すように金属バンプ間の接続抵抗値が一番低い金属バンプ位置がX5列からX2列へ移動するだけなので、積層チップ間の合わせズレを測定することができる。このように、金属バンプを二次元配列とした第2の実施形態による優位性は、広範囲の合わせズレ量を測定することができる点にある。
【0041】
本発明に係る実施形態は全て従来技術で製造することが可能である。即ち、第1の実施形態において、積層した際に下側チップとなる半導体チップ101の測定用の配線パターン102〜110と積層した際に上側チップとなる半導体チップ121の測定用の配線パターン122は、従来技術の配線形成方法で形成することができる。また、半導体チップ101の金属バンプ111〜119と半導体チップ121の金属バンプ131〜139は、従来技術の金属バンプ形成方法で形成することができる。さらに、半導体チップ101の配線パターン102〜110と金属バンプ111〜119の接続、及び半導体チップ121の配線パターン122と金属バンプ131〜139の接続も、従来技術の接続手法で接続することができる。同様に、第2の実施形態においても、半導体装置は全て従来技術で製造することが可能である。
【0042】
なお、上記の第1の実施形態では、積層した際に下側チップとなる半導体チップ101及び積層した際に上側チップとなる半導体チップ121において、配線パターンを平面図の一辺まで延ばして電極とするものを示した。しかしながら、半導体チップ101もしくは半導体チップ121のいずれか一方に、電極まで延びる配線パターンをまとめて設けるように構成することができる。この構成を採用する場合、積層した際に下側チップとなる半導体チップ101もしくは積層した際に上側チップとなる半導体チップ121のいずれか一方に、電極まで延びる配線パターンをまとめて設け、合わせズレ測定用の金属バンプを実施形態と同様に設ける他に、電極まで延びる配線パターンに電気的に接続するための金属バンプを合わせズレの影響を受けないように設置するように構成すれば良い。係る構成は、第2の実施形態においても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
11 接続抵抗値測定装置
12〜20 配線
101 半導体チップ
102〜110 配線パターン
111〜119 金属バンプ
121 半導体チップ
122 配線パターン
131〜139 金属バンプ
201 半導体チップ
221 半導体チップ
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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