特許第6037891号(P6037891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037891
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】工具形状測定方法及び工具形状測定装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/24 20060101AFI20161128BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B23Q17/24 Z
   G01B11/24 K
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-35367(P2013-35367)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-163807(P2014-163807A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】315017775
【氏名又は名称】三菱重工工作機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】山本 英明
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−19645(JP,A)
【文献】 特開平9−85584(JP,A)
【文献】 特開平10−96616(JP,A)
【文献】 米国特許第5361308(US,A)
【文献】 特開2000−131032(JP,A)
【文献】 特開昭62−267607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00−17/24,
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工工具又は前記加工工具を保持する工具保持機構に対してスリット状のレーザを照射するラインレーザと該ラインレーザにより照射される前記レーザによる前記加工工具又は前記工具保持機構の切断面を撮影するカメラとからなる計測ユニットに対して前記加工工具又は前記工具保持機構を相対的にスキャニング移動させることにより、前記切断面による2次元的な形状を測定する工具形状測定方法において、前記計測ユニットは工作機械又はその周辺機器に固定される一方、前記加工工具又は前記工具保持機構は、前記工作機械又はその周辺機器による移動手段によりスキャニング移動させられることを特徴とする工具形状測定方法。
【請求項2】
請求項1において、前記計測ユニットは、前記工作機械のコラムに装着される一方、前記工作機械のZ軸又はY軸方向移動手段により前記加工工具はスキャニング移動させられることを特徴とする工具形状測定方法。
【請求項3】
請求項1において、前記計測ユニットは、前記周辺機器である自動工具交換装置に固定される一方、前記自動工具交換装置の工具交換動作により前記加工工具はスキャニング移動させられることを特徴とする工具形状測定方法。
【請求項4】
請求項1において、前記工具保持機構は、前記加工工具と前記工作機械の主軸との間に介装されるアタッチメントであることを特徴とする工具形状測定方法。
【請求項5】
加工工具又は前記加工工具を保持する工具保持機構に対してスリット状のレーザを照射するラインレーザと該ラインレーザにより照射される前記レーザによる前記加工工具又は前記工具保持機構の切断面を撮影するカメラとからなる計測ユニットに対して前記加工工具又は前記工具保持機構を相対的にスキャニング移動させることにより、前記切断面による2次元的な形状を測定する工具形状測定装置において、前記計測ユニットは工作機械又はその周辺機器に固定される一方、前記加工工具又は前記工具保持機構は、前記工作機械又はその周辺機器による移動手段によりスキャニング移動させられることを特徴とする工具形状測定装置。
【請求項6】
請求項5において、前記計測ユニットは、前記工作機械のコラムに装着される一方、前記工作機械のZ軸又はY軸方向移動手段により前記加工工具はスキャニング移動させられることを特徴とする工具形状測定装置。
【請求項7】
請求項5において、前記計測ユニットは、前記周辺機器である自動工具交換装置に固定される一方、前記自動工具交換装置の工具交換動作により前記加工工具はスキャニング移動させられることを特徴とする工具形状測定装置。
【請求項8】
請求項5において、前記工具保持機構は、前記加工工具と前記工作機械の主軸との間に介装されるアタッチメントであることを特徴とする工具形状測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具形状測定方法及び工具形状測定装置に関する。特に、工作機械に使用される加工工具に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
工作機械の干渉チェックや誤加工(工具の装着ミス、工具長/工具径などの工具データの設定ミスによる誤加工・工具破損・機械の衝突)を防止するためには、加工素材(加工ワーク)の3次元形状計測とともに実際の加工に使用される加工工具の形状の測定が必要である。
その取組として、各社より以下特許が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
【0003】
ところで、いずれの手法も加工工具と測定機器(カメラなど)との相対的な位置関係は一定であり、数学的な算出式を用いて形状測定を実現しており煩雑である。
また、機上での測定(工作機械の主軸に加工工具を装着した状態及びこれに類する状態での測定)については、具体的な手法は明記されていない。
【0004】
例えば、図11に示すように、ラム01にホルダ02を介して取り付けられた加工工具03に対して、CCD又はCMOSセンサなどのカメラ04が位置決めされ、カメラ04で加工工具03又はホルダ02を撮影し、撮影したデータが画像処理装置05により画像処理され、画像処理により得られたデータ(工具の3次元形状)が記憶装置06に保存され、記憶装置06に記憶された工具の3次元形状に基づきNC装置07が工作機械を制御することになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−52638号
【特許文献2】特許第3958815号
【特許文献3】特許第5001521号
【特許文献4】特開2012−168186号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、工作機械に使用される加工工具に関して、機上での測定についての具体的な手法である工具形状測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係る工具形状測定方法は、加工工具又は前記加工工具を保持する工具保持機構に対してスリット状のレーザを照射するラインレーザと該ラインレーザにより照射される前記レーザによる前記加工工具又は前記工具保持機構の切断面を撮影するカメラとからなる計測ユニットに対して前記加工工具又は前記工具保持機構を相対的にスキャニング移動させることにより、前記切断面による2次元的な形状を測定する工具形状測定方法において、前記計測ユニットは工作機械又はその周辺機器に固定される一方、前記加工工具又は前記工具保持機構は、前記工作機械又はその周辺機器による移動手段によりスキャニング移動させられることを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項2に係る工具形状測定方法は、請求項1において、前記計測ユニットは、前記工作機械のコラムに装着される一方、前記工作機械のZ軸又はY軸方向移動手段により前記加工工具はスキャニング移動させられることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する本発明の請求項3に係る工具形状測定方法は、前記計測ユニットは、前記周辺機器である自動工具交換装置に固定される一方、前記自動工具交換装置の工具交換動作により前記加工工具はスキャニング移動させられることを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項4に係る工具形状測定方法は、前記工具保持機構は、前記加工工具と前記工作機械の主軸との間に介装されるアタッチメントであることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明の請求項5に係る工具形状測定装置は、加工工具又は前記加工工具を保持する工具保持機構に対してスリット状のレーザを照射するラインレーザと該ラインレーザにより照射される前記レーザによる前記加工工具又は前記工具保持機構の切断面を撮影するカメラとからなる計測ユニットに対して前記加工工具又は前記工具保持機構を相対的にスキャニング移動させることにより、前記切断面による2次元的な形状を測定する工具形状測定装置において、前記計測ユニットは工作機械又はその周辺機器に固定される一方、前記加工工具又は前記工具保持機構は、前記工作機械又はその周辺機器による移動手段によりスキャニング移動させられることを特徴とする。
上記課題を解決する本発明の請求項6に係る工具形状測定装置は、請求項5において、前記計測ユニットは、前記工作機械のコラムに装着される一方、前記工作機械のZ軸又はY軸方向移動手段により前記加工工具はスキャニング移動させられることを特徴とする工具形状測定装置。
【0010】
上記課題を解決する本発明の請求項7に係る工具形状測定装置は、請求項5において、前記計測ユニットは、前記周辺機器である自動工具交換装置に固定される一方、前記自動工具交換装置の工具交換動作により前記加工工具はスキャニング移動させられることを特徴とする工具形状測定装置。
上記課題を解決する本発明の請求項8に係る工具形状測定装置は、請求項5において、前記工具保持機構は、前記加工工具と前記工作機械の主軸との間に介装されるアタッチメントであることを特徴とする工具形状測定装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る工具形状測定方法によれば、計測ユニットは工作機械又はその周辺機器に固定されるので、機上での測定、つまり、工作機械の主軸に加工工具を装着した状態での測定が可能であるという効果を奏し、また、ラインレーザ及びカメラによる測定のため高精度な工具形状測定が可能であるという効果を奏する。工具形状として、工具長測定の代用も可能である。
本発明の請求項2に係る工具形状測定方法によれば、工作機械のZ軸又はY軸移動でスキャニング動作をさせるため高速測定が可能であるという効果を奏する。
【0012】
本発明の請求項3に係る工具形状測定方法によれば、機上での測定、つまり、自動工具交換装置により保持された状態での計測が可能であるという効果を奏する。
本発明の請求項4に係る工具形状測定方法によれば、加工工具と工作機械の主軸との間に介装されるアタッチメントの形状を計測できるという効果を奏する。
【0013】
本発明の請求項5に係る工具形状測定装置によれば、計測ユニットは工作機械又はその周辺機器に固定されるので、機上での測定、つまり、工作機械の主軸に加工工具を装着した状態での測定が可能であるという効果を奏し、また、ラインレーザ及びカメラによる測定のため高精度な工具形状測定が可能であるという効果を奏する。工具形状として、工具長測定の代用も可能である。
本発明の請求項6に係る工具形状測定装置によれば、工作機械のZ軸又はY軸移動でスキャニング動作をさせるため高速測定が可能であるという効果を奏する。
【0014】
本発明の請求項7に係る工具形状測定装置によれば、機上での測定、つまり、自動工具交換装置により保持された状態での計測が可能であるという効果を奏する。
本発明の請求項8に係る工具形状測定装置によれば、加工工具と工作機械の主軸との間に介装されるアタッチメントの形状を計測できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の前提となる光切断法を示す模式図である。
図2】本発明の基本的な構成を示す概略図である。
図3】一般的な門型工作機械を示す斜視図である。
図4】本発明の第1の実施例に係る工具形状測定方法を適用した工作機械の斜視図である。
図5】本発明の第1の実施例に係る工具形状測定方法を実現するためのブロック図である。
図6】本発明の第1の実施例に係る工具形状測定方法を実施するためのフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施例に係る工具形状測定方法を適用した工作機械の斜視図である。
図8】本発明の第3の実施例に係る工具形状測定方法を適用した自動工具交換装置の斜視図である。
図9】本発明の第3の実施例に係る工具形状測定方法を適用した自動工具交換装置の要部斜視図である。
図10】本発明の第4の実施例に係る工具形状測定方法を適用した工作機械の斜視図である。
図11】従来技術に係る工具形状測定方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、図面に示す実施例を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の前提となる光切断法を示す模式図である。
【0017】
図1に示すように、光切断法においては、被測定対象物1に対してラインレーザ2よりスリット状のレーザを照射し、ラインレーザ2によるレーザの被測定対象物1の切断面を、ラインレーザ2とは異なる角度からカメラ3で撮影し、ラインレーザ2及びカメラ3に対して被測定対象物1を相対的にスキャニング移動させて、前記切断面による2次元的な形状を計測する。更には、得られた2次元的な形状を移動方向に展開して3次元的な形状を計測する。
【0018】
本発明は、このような光切断法を応用し、例えば、図2に示すように、工作機械の主軸10に装着された加工工具11に対してスリット状のレーザをラインレーザ12から照射し、ラインレーザ12から照射されるレーザによる加工工具11の切断面を、ラインレーザ12とは異なる角度からCCD又はCMOSセンサ等のカメラ13で撮影しつつ、ラインレーザ12及びカメラ13(本発明では、ラインレーザ12及びカメラ13よりなる計測ユニットを工作機械のコラム等に固定する)に対して工作機械の軸移動機能により加工工具11をスキャニング移動させる。
【0019】
更に、カメラ13により取得した加工工具11の二次元形状を画像処理装置14で画像処理し、画像処理して得られた加工工具11の2次元形状データ及びこの2次元形状を加工工具11のスキャニング移動方向に展開して得られる3次元形状データを記憶装置15に保存し、記憶装置15に保存されたこれら2次元形状又は3次元形状データに基づきNC装置16が工作機械を動作させるものである。
【0020】
工作機械として一般的な門型工作機械100を図3に示す。図3に示す門型工作機械100は、ワークを載置して前後方向(X軸方向)に移動するテーブル110と、テーブル110の左右に立設されるコラム120と、これらのコラム120上に渡って設けられるクロスレール130と、クロスレール130上を水平方向(Y軸方向)に移動可能なサドル140と、サドル140に対して上下方向(Z軸方向)に移動可能なラム150とからなり、ラム150の主軸には加工工具11が装着されている。
【0021】
本発明においては、ラインレーザ12及びカメラ13よりなる計測ユニット160がコラム120に固定されている。
従って、コラム120に計測ユニット160を固定した状態で、ラインレーザ12からスリット状のレーザを主軸に装着された加工工具11に照射して、スリット状のレーザによる加工工具11の切断面をカメラ13で撮影しつつ、工作機械の軸移動機能、即ち、サドル140又はラム150によるY軸方向又はZ軸方向移動手段にて、加工工具11をスキャニング移動させることにより、加工工具11の2次元的な形状測定が可能であり、2次元的な形状を加工工具11のスキャニング移動方向に展開して加工工具11の3次元的な形状測定が可能となるものである。
【0022】
なお、工作機械には周辺機器として自動工具交換装置(ATC)が併設されるのが一般的であり、図3においても、複数の加工工具を収納するATCマガジン220がコラム120の側方に位置している。自動工具交換装置は、ATCマガジン220に収納した複数の加工工具をチェーンにて回転移動させ、工具交換位置に来た加工工具を図示省略したATCアーム(チェンジャー)にて、工作機械の主軸に対して取り付け、取り外すものである。
【0023】
本発明においては、工作機械の軸移動機能に代えて自動工具交換装置の工具交換動作を利用することにより、加工工具11をスキャニング移動させることも可能である。
【実施例1】
【0024】
本発明の第1の実施例に係る工具形状測定方法について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、工作機械のコラム120には、ラインレーザ12及びカメラ13よりなる計測ユニット160が固定されている。工作機械としては、図3に示す門型工作機械100を使用し、ラム150の主軸には加工工具11が装着されている。
【0025】
ラインレーザ12からは、ラム150の主軸に装着された加工工具11に対して、略水平なスリット状のレーザが照射され、このラインレーザ12とは異なる角度から、スリット状のレーザによる加工工具11の切断面がカメラ13により撮影されつつ、加工工具11が図中矢印で示すZ軸方向(上下方向)にスキャニング移動させられる。
【0026】
従って、カメラ13により、加工工具11の水平方向の切断面による2次元画像がZ軸方向に沿って複数取得されることになる。
ラインレーザ12、カメラ13に対しては、図5に示すように、画像処理装置14、記憶装置15、NC装置16、機械干渉チェックシステム17及び工具形状チェックシステム18が接続されている。
【0027】
画像処理装置14は、カメラ13により取得された切断面による加工工具11の2次元画像を画像処理して加工工具11の2次元形状データとし、更には、2次元画像をZ軸方向に展開して加工工具11の3次元形状データとし、これらの2次元形状データ及び3次元形状データを記憶装置15へ送る。
記憶装置15は、画像処理装置14により画像処理された2次元形状データ及び3次元形状データを記憶し、これら2次元形状データ又は3次元形状データをNC装置16、機械干渉チェックシステム17、工具形状チェックシステム18へ送る。
【0028】
NC装置16は、工作機械の座標位置(X軸、Y軸、Z軸)、工具情報(工具長、工具径、etc)、実行する加工プログラムを保有しており、機械干渉チェックシステム17に対して工作機械の座標位置を出力し、また、工具形状チェックシステム18に対して工具情報を出力する。
【0029】
機械干渉チェックシステム17は、加工ワークの3次元形状を記憶した記憶装置20が付属しており、機械の座標位置(X軸、Y軸、Z軸)、加工ワークの3次元形状データを用いて加工工具による切削シミュレーションを行いながら、機械及び加工工具とワーク間の干渉と、機械及び加工工具と治具間の干渉をチェックする。
ここで、治具とは、ワークを工作機械に対して保持する機構のことである。
【0030】
工具形状チェックシステム18は、加工で使用するNC装置16内部の工具データ(工具長、工具径、etc)と記憶装置15に記憶されている加工工具の2次元又は3次元形状データが同一かチェックする。
NC装置16は、機械干渉チェックシステム17、工具形状チェックシステム18のチェック結果に基づき、工作機械を制御する。
【0031】
本実施例に係る工具形状測定方法における処理の流れを図6に示す。
先ず、自動工具交換を実行する(ステップS1)。即ち、自動工具交換装置により、ATCマガジン220に収納された加工工具11を工具交換位置に移動する。
次に、工具交換位置に来た加工工具11を工作機械の主軸に装着する(ステップS2)。
【0032】
引き続き、主軸に装着された加工工具11を計測開始位置に移動する(ステップS3)。
その後、スキャニングを開始する(ステップS4)。即ち、加工工具11に対してレーザセンサからスリット状のレーザを照射しながら、スリット状のレーザによる加工工具11の切断面をカメラで撮影しながら、工作機械の軸移動機能により加工工具11をZ軸方向へスキャニング移動させる。本実施例は、Z軸方向であるが、実施例2ではY軸方向へ移動させる。
【0033】
そして、加工工具11のZ軸(又はY軸)方向への移動が完了すると(ステップS5)、スキャニングも完了することになる(ステップS6)。
スキャニング完了後、カメラで取得された加工工具11の2次元画像を画像処理して2次元形状データを作成し、更に、2次元形状データを加工工具11のスキャニング方向に展開して3次元形状データを作成する(ステップS7)。
【0034】
作成された3次元形状データに基づき、機械干渉チェックシステム17は、機械及び加工工具とワーク間の干渉と、機械及び加工工具と治具間の干渉をチェックし、工具形状チェックシステム18は、加工で使用するNC装置内部の工具データと記憶装置15に記憶されている加工工具の2次元又は3次元形状データが同一かチェックする。
【0035】
以上、実施例に基づいて具体的に説明した通り、本実施例の工具形状測定方法によれば、計測ユニット160を工作機械のコラム120に固定するので、機上での測定が可能であり、実際の加工状態での測定、つまり、工作機械の主軸に加工工具11を装着した状態での測定が可能となる。
【0036】
また、ラインレーザ12及びカメラ13による測定のため高精度な工具形状測定が可能である。
更には、工作機械のZ軸移動で加工工具11をスキャニング動作させるため、高速移動が可能となり、また、測定機器の移動装置が不要である。
【0037】
また、加工工具11がアタッチメントを介して工作機械の主軸に装着されている場合には、アタッチメントの形状測定も可能であり、更には、工具形状として、工具長測定の代用も可能である。
【実施例2】
【0038】
本発明の第2の実施例に係る工具形状測定方法について、図7を参照して説明する。
【0039】
図7に示すように、工作機械のコラム120には、ラインレーザ12及びカメラ13よりなる計測ユニット160が固定されている。工作機械としては、図3に示す門型工作機械100を使用し、ラム150の主軸には加工工具11が装着されている。
【0040】
ラインレーザ12からは、コラム120の主軸に装着された加工工具11に対して、上下方向を向いたスリット状のレーザが照射され、このラインレーザ12とは異なる角度から、スリット状のレーザによる加工工具11の切断面がカメラ13により撮影されつつ、加工工具11が図中矢印で示すY軸方向(水平方向)にスキャニング移動させられる。
【0041】
従って、カメラ13により、加工工具11の上下方向の切断面による2次元画像がY軸方向に沿って複数取得されることになる。
【0042】
その他については、前述した第1の実施例と同様であり、図5に示すように、カメラ13により取得された切断面による2次元画像は、画像処理装置14により加工工具11の2次元形状データとなり、更には、2次元画像をY軸方向に展開して加工工具11の3次元形状データとなる。
【0043】
更には、図5に示すように、作成された2次元形状又は3次元形状データは記憶装置15に記憶される一方、NC装置16、機械干渉チェックシステム17、工具形状チェックシステム18へ送られ、機械干渉チェックシステム17は、機械及び加工工具とワーク間の干渉と、機械及び加工工具と治具間の干渉をチェックし、工具形状チェックシステム18は、加工で使用するNC装置内部の工具データと記憶装置15に記憶されている加工工具の2次元又は3次元形状データが同一かチェックすることになる。
【0044】
また、本実施例に係る工具形状測定方法における処理の流れは、図6に示すように前述した実施例1と同様である。
【0045】
以上、実施例に基づいて具体的に説明した通り、本実施例の工具形状測定方法によれば、計測ユニット160を工作機械のコラム120に固定するので、機上での測定が可能であり、実際の加工状態での測定、つまり、工作機械の主軸に加工工具11を装着した状態での測定が可能となる。
また、ラインレーザ12及びカメラ13による測定のため高精度な工具形状測定が可能である。
【0046】
更には、工作機械のY軸移動で加工工具11をスキャニング動作させるため、高速移動が可能となり、また、測定機器の移動装置が不要である。
また、加工工具11がアタッチメントを介して工作機械の主軸に装着されている場合には、アタッチメントの形状測定も可能であり、更には、工具形状として、工具長測定の代用も可能である。
【実施例3】
【0047】
本発明の第3の実施例に係る工具形状測定方法について、図8及び図9を参照して説明する。
【0048】
図8に示すように、工作機械のコラム120の側方には、周辺機器である自動工具交換装置(ATC)200が併設されている。工作機械としては、図3に示す門型工作機械が使用される。
自動工具交換装置200は、支持部材210によりATCマガジン220をコラム120に設けたものであり、支持部材210には、図9に示すように、ラインレーザ12及びカメラ13よりなる計測ユニット160が固定されている。
【0049】
自動工具交換装置200は、ATCマガジン220に収容され工具交換位置に移動して来た加工工具11を工作機械の主軸に対して取り付け、取り外すためのATCアーム(チェンジャー)が設けられているが、図中では省略されている。
ATCマガジン220は、図9に示すように、加工工具11を保持するマガジンポット230をチェーン駆動による割出動作、即ち、工具交換動作により、図中矢印で示すU軸方向に回転移動させるものである。
【0050】
そのため、支持部材210に固定された計測ユニット160に対して、マガジンポット230に保持された加工工具11が相対的に移動することになり、ラインレーザ12からは、マガジンポット230に保持された加工工具11に対して、略水平なスリット状のレーザが照射され、このラインレーザ12とは異なる角度から、スリット状のレーザによる加工工具11の切断面がカメラ13により撮影されつつ、マガジンポット230に保持された加工工具11が図中矢印で示すU軸方向(上下方向)にスキャニング移動させられる。
【0051】
従って、カメラ13により、加工工具11の水平方向の切断面による2次元画像がU軸方向に沿って複数取得されることになる。
【0052】
その他については、前述した第1の実施例と同様であり、図5に示すように、カメラ13により取得された切断面による2次元画像は、画像処理装置14により加工工具11の2次元形状データとなり、更には、2次元画像をU軸方向に展開して加工工具11の3次元形状データとなる。
【0053】
更には、図5及び図6に示すように、作成された2次元形状又は3次元形状データは記憶装置15に記憶される一方、NC装置16、機械干渉チェックシステム17、工具形状チェックシステム18へ送られ、機械干渉チェックシステム17は、機械及び加工工具とワーク間の干渉と、機械及び加工工具と治具間の干渉をチェックし、工具形状チェックシステム18は、加工で使用するNC装置内部の工具データと記憶装置15に記憶されている加工工具の2次元又は3次元形状データが同一かチェックすることになる。
【0054】
また、本実施例に係る工具形状測定方法における処理の流れは、図6に示すように前述した実施例1と同様である。
なお、工作機械の主軸に装着された加工工具11に対して、マガジンポット230に保持された加工工具11の位置は一意に定まるものであるから、機械干渉チェックシステム17、工具形状チェックシステム18によるチェックにおいても、工作機械の主軸に装着された場合と同様に行うことができる。
【0055】
以上、実施例に基づいて具体的に説明した通り、本実施例の工具形状測定方法によれば、計測ユニット160を自動工具交換装置200の支持部材210に固定するので、機上での測定が可能であり、加工前の事前測定が可能、つまり、マガジンポット230に保持された状態での測定が可能である。
また、ラインレーザ12及びカメラ13による測定のため高精度な工具形状測定が可能である。
【0056】
更には、マガジンポット230の割出動作で加工工具11をスキャニング動作させるため、高速移動が可能となり、また、測定機器の移動装置が不要である。
また、工具形状として、工具長測定の代用も可能である。
【実施例4】
【0057】
本発明の第4の実施例に係る工具形状測定方法について、図10を参照して説明する。
【0058】
図10に示すように、工作機械のコラム120には、ラインレーザ12及びカメラ13よりなる計測ユニット160が固定されている。工作機械としては、図3に示す門型工作機械100を使用し、ラム150の主軸にはアタッチメント30を介して加工工具11が装着されている。
アタッチメント30は、加工工具11を任意の角度に向けられるように、加工工具11を保持する工具保持機構である。
【0059】
ラインレーザ12からは、アタッチメント30に対して、略水平なスリット状のレーザが照射され、このラインレーザ12とは異なる角度から、スリット状のレーザによるアタッチメント30の切断面がカメラ13により撮影されつつ、アタッチメント30が図中矢印で示すZ軸方向(上下方向)にスキャニング移動させられる。
【0060】
従って、カメラ13により、アタッチメント30の水平方向の切断面による2次元画像がZ軸方向に沿って複数取得されることになる。
【0061】
その他については、前述した第1の実施例と同様であり、図5に示すように、カメラ13により取得された切断面による2次元画像は、画像処理装置14によりアタッチメント30の2次元形状データとなり、更には、2次元画像をZ軸方向に展開してアタッチメント30の3次元形状データとなる。
【0062】
更には、図5に示すように、作成された2次元形状又は3次元形状データは記憶装置15に記憶される一方、NC装置16、機械干渉チェックシステム17、工具形状チェックシステム18へ送られ、機械干渉チェックシステム17は、機械及び加工工具とワーク間の干渉と、機械及び加工工具と治具間の干渉をチェックし、工具形状チェックシステム18は、加工で使用するNC装置内部のアタッチメントデータと記憶装置15に記憶されているアタッチメントの2次元又は3次元形状データが同一かチェックすることになる。
【0063】
また、本実施例に係る工具形状測定方法における処理の流れは、図6に示すように前述した実施例1と同様である。
【0064】
以上、実施例に基づいて具体的に説明した通り、本実施例の工具形状測定方法によれば、計測ユニット160を工作機械のコラム120に固定するので、機上での測定が可能であり、実際の加工状態での測定、つまり、工作機械にアタッチメント30を装着した状態での測定が可能となる。
【0065】
また、ラインレーザ12及びカメラ13による測定のため高精度な工具形状測定が可能である。
更には、工作機械のZ軸移動での主軸をスキャニング動作させるため、高速移動が可能となり、また、測定機器の移動装置が不要である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、工作機械に使用される加工工具に適用して好適な工具形状測定方法及び工具形状測定装置として広く産業上利用可能なものである。
【符号の説明】
【0067】
10 主軸
11 加工工具
12 ラインレーザ
13 カメラ
14 画像処理装置
15,20 記憶装置
16 NC装置
17 機械干渉チェックシステム
18 工具形状チェックシステム
30 アタッチメント
100 門型工作機械
110 テーブル
120 コラム
130 クロスレール
140 サドル
150 ラム
160 計測ユニット
200 自動工具交換装置
210 支持部
220 工具マガジン
230 マガジンポット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11