(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る処理システム10の構成を示すブロック図である。
【0015】
図1において、処理システム10は、制御部11a,11bと、第1カード20から第nカード20までのn枚のカード20と、これらを接続するデータ伝送バス30とを備える。なお、処理システム10は、制御部11a,11bのうちいずれか1つのみ、あるいは、制御部11a,11bと同等の機能をもつ制御部を3つ以上備えていてもよい。
【0016】
制御部11a,11bは、図示していない筐体に挿抜自在に装着されるカードとして、あるいは、その他の形態で実装される。
【0017】
制御部11a,11bは、それぞれ処理システム10の構成制御を行う。制御部11aは、バックアップ状態管理部12a、自カード内異常検出部13a、他カード異常監視部14a、系切り替え部15aを有する。同様に、制御部11bは、バックアップ状態管理部12b、自カード内異常検出部13b、他カード異常監視部14b、系切り替え部15bを有する。制御部11a,11bは、冗長構成となっており、他カード異常監視部14a,14b間が相互監視用の信号線16で接続され、系切り替え部15a,15b間が異常時の系切り替え用の信号線17で接続されている。
【0018】
バックアップ状態管理部12a,12bには、n枚のカード20のそれぞれが保持するデータをバックアップする方法(即ち、データのコピーを別のカード20でも保持する方法)を定めたバックアップ状態管理情報が記憶されている。バックアップ状態管理情報では、n枚のカード20のうち、どのカード20のデータを別のどのカード20(1枚に限らず、2枚以上でもよい)でバックアップするか(即ち、データのバックアップ元とバックアップ先との対応関係)が設定されている。例えば、第1カード20のデータのバックアップ先が第2カード20であるとすると、バックアップ状態管理部12a,12bに記憶されたバックアップ状態管理情報では、第1カード20のデータを第2カード20でバックアップすることが設定されていることになる。
【0019】
処理システム10が起動すると、制御部11aが運用系として、制御部11bが待機系として動作を開始する。なお、制御部11aが待機系として、制御部11bが運用系として動作してもよい。あるいは、制御部11a,11bの両方が運用系として並列に動作してもよい。
【0020】
まず、制御部11aは、バックアップ状態管理部12aに記憶されたバックアップ状態管理情報に基づいて、それぞれのカード20をデータのバックアップ元とし、バックアップ元のカード20ごとに、他のカード20のうち少なくとも1枚のカード20をデータのバックアップ先とし、バックアップ元のカード20を識別する識別子(ID)を、データ伝送バス30を介してバックアップ先のカード20に通知する。このとき、制御部11aは、どのカード20に、バックアップ元のカード20の識別子を通知済であるかといったバックアップ動作の状況を示す情報もバックアップ状態管理情報の一部としてバックアップ状態管理部12aに記憶する。例えば、第1カード20のデータのバックアップ先が第2カード20であれば、制御部11aは、第1カード20の識別子をバックアップ元のカード20の識別子として、バックアップ先のカード20である第2カード20に通知する。
【0021】
制御部11aの自カード内異常検出部13aが異常を検出するか、あるいは、制御部11bの他カード異常監視部14bが信号線16を介して制御部11aの異常を検出すると、制御部11aの系切り替え部15aと制御部11bの系切り替え部15bとの間で、系切り替えの動作が行われる。このとき、制御部11aの系切り替え部15aは、制御部11aのバックアップ状態管理部12aに記憶されたバックアップ状態管理情報を、信号線17を介して制御部11bの系切り替え部15bに送信する。制御部11bは、系切り替え部15bで受信したバックアップ状態管理情報に基づいて、バックアップ状態管理部12bに記憶されたバックアップ状態管理情報を更新する(同期させる)。なお、制御部11bは、制御部11aの異常発生時に限らず、定期的に、バックアップ状態管理情報を更新してもよい。
【0022】
n枚のカード20は、図示していない筐体に挿抜自在に装着される。この筐体は、制御部11a,11bがカードとして実装される場合には、制御部11a,11bが装着される筐体と同じものであってよい。このとき、筐体には、データ伝送バス30を実装したバックプレーン等が設けられる。なお、n枚のカード20は、カード以外の形態で実装されてもよい。
【0023】
n枚のカード20は、データを用いて処理を実行する、互いにメッセージを送受信可能な複数の処理部の例である。n枚のカード20は、I/Oインタフェースや信号処理等、処理システム10に必要な様々な機能を提供するための処理を実行する。例えば、処理システム10を固定通信又は移動体通信のネットワーク機器に適用し、n枚のカード20のうちいずれか複数枚で呼処理を実行することが考えられる。あるいは、例えば、処理システム10をマルチメディア放送の中継機器に適用し、n枚のカード20のうちいずれか複数枚で音声や映像等のマルチメディアデータの記録処理を実行することが考えられる。
【0024】
n枚のカード20のそれぞれは、上記のような主機能とは別に、バックアップのための機能を提供するために、通信部21、自データ保持部22、バックアップデータ領域23を有する。
【0025】
自データ保持部22は、カード20が実行する処理に用いられるデータを記憶する第1データ記憶部の例である。例えば、第1カード20の自データ保持部22には、第1カード20が実行する処理に用いられるデータが記憶される。同様に、第2カード20の自データ保持部22には、第2カード20が実行する処理に用いられるデータが記憶される。
【0026】
バックアップデータ領域23は、他のカード20が実行する処理に用いるデータ(即ち、バックアップされたデータ)を記憶する第2データ記憶部のデータ領域の例である。バックアップデータ領域23は、バックアップ元である他のカード20ごとに、バックアップデータ領域A,B,・・・といった形で論理的あるいは物理的に区切られて、複数設けられている。なお、バックアップ元のカード20が1枚しかない場合は、バックアップデータ領域23は、1つだけ設けられていればよい。例えば、第1カード20のデータのバックアップ先が第2カード20であるとすると、第2カード20のバックアップデータ領域23のいずれか1つ(例えば、バックアップデータ領域A)に、第1カード20のデータが記憶されることになるが、このデータは、後述するバックアップ動作のための通信により第1カード20から第2カード20に渡される。
【0027】
図2は、通信部21の構成を示すブロック図である。
【0028】
図2において、通信部21は、識別子記憶部41、メッセージ送信部42、メッセージ受信部43、データ取得部44を有する。
【0029】
識別子記憶部41は、自カード情報とバックアップ元情報とを記憶する。自カード情報は、その識別子記憶部41を有するカード20に予め付与された識別子を示す情報である。バックアップ元情報は、制御部11a(又は制御部11b)から通知されたバックアップ元のカード20の識別子を示す情報である。例えば、第1カード20の識別子記憶部41に記憶された自カード情報では、第1カード20の識別子が示されている。同様に、第2カード20の識別子記憶部41に記憶された自カード情報では、第2カード20の識別子が示されている。このとき、第1カード20のデータのバックアップ先が第2カード20であるとすると、第2カード20の識別子記憶部41に記憶されたバックアップ元情報では、第1カード20の識別子が示されていることになる。
【0030】
メッセージ送信部42は、識別子記憶部41に記憶された自カード情報が示す識別子と自データ保持部22に記憶されたデータとを含みデータのバックアップを要求するメッセージをバックアップ要求メッセージとして、データ伝送バス30を介して他のカード20に一斉送信する。例えば、第1カード20のメッセージ送信部42は、第1カード20の識別子と第1カード20の自データ保持部22に記憶されたデータとを含むバックアップ要求メッセージを一斉送信する。
【0031】
メッセージ受信部43は、データ伝送バス30を介して他のカード20から一斉送信されたメッセージを受信する。例えば、第2カード20のメッセージ受信部43は、第1カード20から一斉送信されたメッセージを受信する。
【0032】
データ取得部44は、メッセージ受信部43によりバックアップ要求メッセージが受信される度に、受信されたバックアップ要求メッセージに含まれる識別子が、識別子記憶部41に記憶されたバックアップ元情報が示す識別子と一致するかどうか判定する。データ取得部44は、識別子が一致すると判定した場合、そのバックアップ要求メッセージに含まれるデータを取得してバックアップデータ領域23に記憶する。データ取得部44は、識別子が一致しないと判定した場合、そのバックアップ要求メッセージを破棄する。例えば、第1カード20のデータのバックアップ先が第2カード20であれば、第2カード20のデータ取得部44は、第2カード20のメッセージ受信部43により受信されたバックアップ要求メッセージに含まれる識別子が第1カード20の識別子と一致する場合に、そのバックアップ要求メッセージに含まれるデータを第2カード20のバックアップデータ領域23のうち第1カード20用のバックアップデータ領域23(例えば、バックアップデータ領域A)に記憶する。
【0033】
上記のように、本実施の形態に係る処理システム10では、制御部11a(又は制御部11b)が、バックアップ元のカード20ごとに、他のカード20のうち少なくとも1枚のカード20をデータのバックアップ先とし、バックアップ元のカード20を識別する識別子をバックアップ先のカード20に通知する。バックアップ元のカード20は、予め付与された識別子と自データ保持部22に記憶されたデータとを含むバックアップ要求メッセージを一斉送信する。バックアップ先のカード20は、識別子が制御部11a(又は制御部11b)から通知された識別子と一致するバックアップ要求メッセージを受信すると、そのバックアップ要求メッセージに含まれるデータをバックアップデータとしてバックアップデータ領域23に記憶する。このように、本実施の形態に係る処理システム10では、バックアップ動作のための通信が一斉送信により行えるため、通常処理のための通信を圧迫することなくバックアップ動作を行える。
【0034】
以下では、本実施の形態に係る処理システム10の動作(データのバックアップ方法)の一例について説明する。
【0035】
図3は、処理システム10のバックアップ動作のための通信の一例を示す図である。
図4は、処理システム10内で送受信されるメッセージの構成を示す図である。
【0036】
図3において、制御部11aは、第1カード20から第nカード20までのそれぞれが、どのカード20のバックアップデータを保存するかを示すバックアップ状態管理情報をバックアップ状態管理部12aにて記憶・管理する。起動時等の処理システム10が動作し始めた際に、制御部11aは、各カード20に対して、どのカード20のデータをバックアップするかの設定を、各カード20の通信部21の識別子記憶部41に対して行い、その後通常運用動作へ移行する。
【0037】
次に、各カード20の通信部21は、以下のように、識別子記憶部41に格納される自カードの動作に必要な情報をバックアップするための通信を行う。
図3の例では、第1カード20がバックアップ元、第2カード20がそのバックアップ先として設定されているものとする。
(1)第1カード20のメッセージ送信部42は、第1カード20の識別子記憶部41よりバックアップに必要なデータを読み取る。
(2)第1カード20のメッセージ送信部42は、読み取ったバックアップ対象のデータを含むバックアップデータ伝送用パケット(バックアップ要求メッセージの例)をデータ伝送バス30へ伝送する。このとき、第1カード20のメッセージ送信部42は、宛先の指定はなく、第1カード20を示す識別情報が判別できるフォーマットでデータ伝送バス30へブロードキャストを行う。なお、この識別情報は、例えば、第1カード20がマッピングされているメモリ空間上のアドレスや、第1カード20を処理システム10内で区別するために付与されたユニークなID番号等である。
図4には、シリアル通信形態の場合のバックアップデータ伝送用パケットのフォーマットの一例を示しているが、これはあくまでも一例であり、このフォーマットに限定されるものではない。
【0038】
次に、第1カード20以外の各カード20の通信部21は、以下のように、バックアップ動作を行う。
・バックアップ先として設定されている第2カード20のメッセージ受信部43は、ブロードキャストされたバックアップデータ伝送用パケットを受信する。第2カード20のデータ取得部44は、受信されたバックアップデータ伝送用パケットのカード識別情報と第2カード20の識別子記憶部41に保持されているバックアップ元情報とを比較し、一致していることが確認できた場合は、第2カード20のバックアップデータ領域23へバックアップデータを保存する。なお、複数のバックアップデータ領域23がある場合には、指定された領域へ保存を行う。例えば、第2カード20において、第1カード20と第3カード20(図示せず)のデータのバックアップを行うように設定するのであれば、第2カード20の識別子記憶部41に、第1カード20のデータはバックアップデータ領域Aへ、第3カード20のデータはバックアップデータ領域Bへ保存する、といった情報も記憶しておく。こうすることで、複数のバックアップデータ領域23がある場合において、いずれのバックアップデータ領域23へデータを保存するかを判別することが可能となる。
・バックアップ先として設定されていない第nカード20のメッセージ受信部43は、ブロードキャストされたバックアップデータ伝送用パケットを受信する。第nカード20のデータ取得部44は、受信されたバックアップデータ伝送用パケットのカード識別情報と第nカード20の識別子記憶部41に保持されているバックアップ元情報とを比較し、一致していないことが確認できた場合は、受信されたバックアップデータを破棄し、第nカード20のバックアップデータ領域23への保存動作は行わない。この第nカード20の通信部21と同様の動作が、バックアップ先として設定されていない第1カード20及び第2カード20以外のカード20の通信部21で行われる。
【0039】
本実施の形態では、バックアップ状態を管理する制御部11a,11bが冗長化されており、自カード内異常検出部13a,13bにおいて、制御部11a,11bの各カード内部の異常(例えば、制御カードの構成要素として一般的なCPUやメモリ、搭載ソフトウェアの異常等の中で、自カード内で検出可能な異常)に関して、監視及び検出の動作を行う。他カード異常監視部14a,14bでは、電源故障等、自カード内では検出できないような異常について相互監視用の信号線16を介して、それぞれの異常のクロスチェックを行う。運用系に異常が発生した場合は、最終的に系切り替え部15a,15b及び異常時の系切り替え用の信号線17を用いて待機系への切り替えを行う。例えば、運用系である制御部11aに異常が発生した場合は待機系である制御部11bへの切り替えを行い、処理を続行する。このとき、第1カード20から第nカード20までのバックアップ状態を示すバックアップ状態管理情報については、バックアップ状態管理部12bに保持しているため、滞りなく処理を引き継ぐことが可能となる。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、バックアップデータ送信時は、宛先を含める必要がないため、送信パケットサイズの小型化や送信制御用ロジックの単純化が可能となる。また、送信元にバックアップ先を意識させる必要がないように構成しているため、バックアップ先の変更時も送信元に対しては特段の処理が不要である(ただし、必要に応じて、変更後のバックアップ先のカード20から、あるいは、その変更を検知した制御部11aから、バックアップ元のカード20に対してバックアップ対象のデータを再度一斉送信するよう要求するものとする)。さらに、特定の1箇所に多量のバックアップデータを保存/管理する領域を設けず、各カード20に分散して保存するように構成しているため、拡張性の向上や、バックアップデータ用領域の容量の最適化が可能となる。
【0041】
なお、本実施の形態において、各カード20がバックアップ動作のための通信を行うタイミングは、定期的、即ち、一定時間間隔でもよいし、自データの内容に変化が生じた場合でもよい。例えば、第1カード20のメッセージ送信部42は、一定の時間間隔で、バックアップ要求メッセージを他のカード20に一斉送信してもよい。あるいは、例えば、第1カード20のメッセージ送信部42は、第1カード20の自データ保持部22に記憶されたデータが更新されたことを検知した場合に、バックアップ要求メッセージを他のカード20に一斉送信してもよい。
【0042】
また、本実施の形態において、各カード20は、バックアップデータの内容として、全データを毎回更新してもよいし、変更があったデータのみを変更してもよい。例えば、第1カード20のメッセージ送信部42は、バックアップ要求メッセージを送信する際に、毎回、第1カード20の自データ保持部22に記憶されたデータのうち全てをバックアップ要求メッセージに含めてもよい。あるいは、例えば、第1カード20のメッセージ送信部42は、バックアップ要求メッセージを送信する際に、第1カード20の自データ保持部22に記憶されたデータのうち前回からの更新分のみをバックアップ要求メッセージに含めてもよい。
【0043】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0044】
本実施の形態に係る処理システム10の構成は、
図1に示した実施の形態1のものと同様である。
【0045】
図5は、n枚のカード20のそれぞれが有する通信部21の構成を示すブロック図である。
【0046】
図5において、通信部21は、実施の形態1(
図2参照)と同様に、識別子記憶部41、メッセージ送信部42、メッセージ受信部43、データ取得部44を有するほか、さらに、データ送信部45、データ受信部46を有する。
【0047】
識別子記憶部41は、実施の形態1と同様に、自カード情報とバックアップ元情報とを記憶する。
【0048】
メッセージ送信部42は、カード20の起動時に、カード20内のメモリから所定のデータを読み取るか、あるいは、外部から所定の信号を受け取ることにより、カード20が初めて起動したのか、それとも再起動したのか、また、カード20が初めて起動したのであればカード20が交換されたのかどうかを判定する。メッセージ送信部42は、カード20が再起動したこと又は交換されたことを検知すると、識別子記憶部41に記憶された自カード情報が示す識別子を含みデータのリストアを要求するメッセージをリストア要求メッセージとして、データ伝送バス30を介して他のカード20に一斉送信する。例えば、第1カード20が不具合等により再起動するか又は交換され、再起動後又は交換後の第1カード20の自データ保持部22にはデータが記憶されていないか(特に、自データ保持部22が不揮発性メモリの場合)、最新のものか不明なデータが記憶されているとする。このとき、再起動後又は交換後の第1カード20のメッセージ送信部42は、第1カード20が再起動したこと又は交換されたことを検知して、第1カード20の識別子を含むリストア要求メッセージを一斉送信する。
【0049】
メッセージ受信部43は、実施の形態1と同様に、データ伝送バス30を介して他のカード20から一斉送信されたメッセージを受信する。
【0050】
データ送信部45は、メッセージ受信部43によりリストア要求メッセージが受信される度に、受信されたリストア要求メッセージに含まれる識別子が、識別子記憶部41に記憶されたバックアップ元情報が示す識別子と一致するかどうか判定する。データ送信部45は、識別子が一致すると判定した場合、そのリストア要求メッセージに応じて、データ伝送バス30を介して、その識別子によって識別されるカード20に対し、バックアップデータ領域23に記憶されたデータを個別に送信する。例えば、第1カード20のデータのバックアップ先が第2カード20であれば、第2カード20のデータ送信部45は、第2カード20のメッセージ受信部43により受信されたリストア要求メッセージに含まれる識別子が第1カード20の識別子と一致する場合に、第2カード20のバックアップデータ領域23のうち第1カード20用のバックアップデータ領域23(例えば、バックアップデータ領域A)に記憶されたデータを第1カード20宛に送信する(例えば、
図4に示したフォーマットのヘッダ部に、宛先のカード識別情報を加えたパケットを送信する)。
【0051】
データ受信部46は、データ伝送バス30を介して他のカード20から個別に送信されたデータを受信する。データ受信部46は、受信したデータを自データ保持部22に記憶する。例えば、第1カード20のデータ受信部46は、第2カード20から第1カード20宛に送信されたデータを受信して第1カード20の自データ保持部22に記憶する。
【0052】
上記のように、本実施の形態に係る処理システム10では、バックアップ元のカード20が異常の発生等に起因して再起動したり、交換されたりした場合、再起動後又は交換後のカード20が、予め付与された識別子を含むリストア要求メッセージを一斉送信する。バックアップ先のカード20は、識別子が制御部11a(又は制御部11b)から通知された識別子と一致するリストア要求メッセージを受信すると、その識別子によって識別されるカード20に対し、バックアップデータ領域23に記憶されたバックアップデータを送信する。再起動後又は交換後のカード20は、バックアップ先のカード20から送信されたデータを受信して自データ保持部22に記憶する。このように、本実施の形態に係る処理システム10では、再起動後又は交換後のカード20が、バックアップ先のカード20からバックアップデータを受け取って自動的にデータの復旧を行うことができるため、処理システム10の可用性が向上する。
【0053】
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0054】
図6は、本実施の形態に係る処理システム10の構成を示すブロック図である。
【0055】
図6において、処理システム10は、実施の形態1(
図1参照)と同様に、制御部11a,11bと、第1カード20から第nカード20までのn枚のカード20とを備えるが、
図1に示したデータ伝送バス30に代えて、バックアップ処理専用バス31及び通常データ伝送用バス32を備える。
【0056】
n枚のカード20は、上記のように物理的に分離された共通の複数のバスを介して接続され、これら複数のバスのうち一部のバスをデータのバックアップ専用のバスとして利用する。つまり、本実施の形態では、
図1に示したデータ伝送バス30を、バックアップ処理専用バス31と通常データ伝送用バス32とに物理的に分離している。このように、本実施の形態では、バックアップデータ伝送用の経路を、バックアップ処理専用バス31として独立させたことにより、バックアップ動作のための通信量が増大した場合でも、通常のデータ伝送に影響を与えることがないというメリットがある。
【0057】
実施の形態4.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0058】
図7は、本実施の形態に係る処理システム10の構成を示すブロック図である。
【0059】
図7において、処理システム10は、実施の形態1(
図1参照)と同様に、制御部11a,11bと、第1カード20から第nカード20までのn枚のカード20とを備えるが、
図1に示したデータ伝送バス30に代えて、スイッチ50及び複数の伝送路51を備える。
【0060】
n枚のカード20は、上記のように共通のスイッチ50を介して接続される。つまり、本実施の形態では、
図1に示したデータ伝送バス30を介したバス型の接続を、スイッチ50を介したスター型の接続に変更している。スイッチ50と制御部11a,11b及び第1カード20から第nカード20までのn枚のカード20は、それぞれ伝送路51で接続される。
【0061】
図8は、処理システム10のバックアップ動作のための通信の一例を示す図である。
【0062】
図8において、処理システム10の動作は、基本的には
図3に示した実施の形態1のものと同様である。
【0063】
なお、本実施の形態において、スイッチ50と制御部11a,11b及び第1カード20から第nカード20までのn枚のカード20とを接続する伝送路51を2重化して、一方をバックアップデータ伝送専用とすることで、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0064】
実施の形態5.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0065】
本実施の形態では、制御部11aのバックアップ状態管理部12a、制御部11bのバックアップ状態管理部12b、n枚のカード20のそれぞれが有するバックアップデータ領域23、通信部21の識別子記憶部41のうち少なくともいずれかが、不揮発性メモリに実装されている。
【0066】
上記のように、制御部11aのバックアップ状態管理部12a、制御部11bのバックアップ状態管理部12b、n枚のカード20のそれぞれが有するバックアップデータ領域23、通信部21の識別子記憶部41等が、電力非供給時においてもデータを保持できる構成とすることにより、停電等の異常による処理システム10の電源断時においても情報が保持できる。
【0067】
例えば、制御部11aのバックアップ状態管理部12a、制御部11bのバックアップ状態管理部12b、n枚のカード20のそれぞれが有するバックアップデータ領域23、通信部21の識別子記憶部41の全てにおいて情報が保持されていれば、処理システム10の電源復帰後に速やかに通常動作状態へ移行可能となる。
【0068】
また、例えば、制御部11aのバックアップ状態管理部12a、制御部11bのバックアップ状態管理部12bに異常が発生した場合においても、各カード20の通信部21の識別子記憶部41にバックアップ元情報が残されている。したがって、処理システム10の再起動後に制御部11aのバックアップ状態管理部12a、制御部11bのバックアップ状態管理部12bに異常の発生が確認された場合には、各カード20から情報を収集することで、バックアップ状態管理情報を再構築することができる。
【0069】
前述した各実施の形態において、制御部11a,11b、n枚のカード20は、それぞれCPU、メモリ、通信ボードといったハードウェアデバイスを備えている。これらのハードウェアデバイスはケーブルや信号線で接続されている。
【0070】
CPUは、バスを介してROM(Read・Only・Memory)、RAM(Random・Access・Memory)、フラッシュメモリ、通信ボード等と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。
【0071】
RAMは、揮発性メモリの一例である。ROM、フラッシュメモリは、不揮発性メモリの一例である。これらは、メモリの一例である。
【0072】
メモリには、プログラム及びファイルが記憶されている。プログラムは、CPUにより実行される。プログラムには、各実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれている。プログラムは、CPUにより読み出され実行される。ファイルには、各実施の形態の説明において、「〜データ」、「〜情報」、「〜ID」、「〜フラグ」、「〜結果」として説明するデータや情報や信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」の各項目として含まれている。「〜ファイル」や「〜データベース」や「〜テーブル」は、メモリに記憶される。メモリに記憶されたデータや情報や信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPUにより読み出され、任意の処理(動作)に用いられる。
【0073】
各実施の形態の説明において用いるブロック図やフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示す。データや信号は、メモリに記録される。また、データや信号は、バス、信号線、ケーブル、あるいは、その他の伝送媒体により伝送される。
【0074】
各実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜工程」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。
【0075】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。