(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置が備える液晶表示素子は、自ら発光しない。このため、液晶表示装置は液晶表示素子を照明する光源として、液晶表示素子の背面にバックライト装置を備えている。近年では、青色発光ダイオード(以下、LED(Light Emitting Diode))の性能が飛躍的に向上したことに伴い、光源に青色LEDを利用したバックライト装置が広く採用されている。
【0003】
この青色LEDを利用した光源とは、青色のLEDと、青色LEDから発される光を吸収し青色の補色(即ち、緑色と赤色を含む色、即ち黄色)となる光を発光する蛍光体とから成る。このようなLEDを白色LEDと呼ぶ。
【0004】
白色LEDは、電気−光変換効率が高く、低消費電力化に有効である。しかしながら一方で、白色LEDはその波長帯域幅が広く、色再現範囲が狭いという問題を有する。液晶表示装置は、その液晶表示素子の内部にカラーフィルタを備えている。液晶表示装置は、このカラーフィルタによって赤色、緑色および青色のスペクトル範囲だけを取り出して、色表現を行っている。白色LEDのように波長帯域幅の広い連続スペクトルを有する光源は、色再現範囲を広げるために、カラーフィルタの表示色の色純度を高める必要がある。つまり、カラーフィルタを透過する波長帯域は狭く設定される。しかし、カラーフィルタを透過する波長帯域を狭く設定すると、光の利用効率が低下する。なぜなら、液晶表示素子の画像表示に用いられない不要な光の量が多くなるからである。また、液晶表示素子の表示面の輝度の低下、さらには液晶表示装置の消費電力の増大につながるという問題が発生する。
【0005】
このような問題点の改善策として、白色LEDに変え、より色純度の高い赤色、緑色、青色の単色LEDを採用したバックライト装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、単色LEDよりもさらに色純度の高い赤色、緑色、青色のレーザーを用いたバックライト装置が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。色純度が高いということは、波長幅が狭く単色性に優れていることである。これらの光源をバックライト装置に採用することで、液晶表示装置の色再現範囲を広げることが可能となる。
【0006】
しかし、3原色の単色LEDやレーザーで構成される光源は、素子温度が上昇するに従い電気−光変換効率が著しく低下する問題がある。特に赤色レーザーは高温状態で高出力の光を出射し続けると劣化が加速し、レーザー素子の寿命が短くなってしまう。そのため、レーザー素子の温度を検出する温度検出器を配置し、レーザー素子の温度が規定の温度を超えた場合は、光出力量を減らす制御が行われる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<背面板金の構成>
以下では、図の説明を容易にするために液晶表示装置100を設置したときの、液晶表示装置100の上下方向をY軸方向とし、左右方向をX軸方向とし、X−Y平面に垂直な方向をZ軸方向とする。液晶表示装置100の表示面側を+Z軸方向とする。また、液晶表示装置100の上方向を+Y軸方向とする。また、液晶表示装置100の表示面を正面から見て左側を+X軸方向とする。
【0014】
図1は、液晶表示装置100の背面斜視図である。
図2は、液晶表示装置100の正面斜視図である。また、
図3に、液晶表示装置100に備わる放熱器2a,2eの斜視図を示す。
【0015】
図1に示す様に、液晶表示装置100を設置したときに、背面板金1の左右に来る辺を側辺1bと定義する。また背面板金1の下側に来る辺を下辺1cと定義する。また、下辺1cに対向する辺を上辺と定義する。各辺の端部1aは、表示面側へ起立している。なお、
図1において、図の見易さのために、下辺1cにおける表示面側へ起立した端部1aは図示していない。
【0016】
液晶表示装置100は、背面板金1と、側辺1bの端部1aに沿ってLEDアレイ基板3a,3bを介して配置された複数の第1の光源4と、背面板金1の下辺1cに沿って配置された複数の放熱器2a,2b,2c,2d,2eとを備える。複数の放熱器2a,2b,2c,2d,2eの各々には第2の光源5が取り付けられている。放熱器2a,2eには、第2の光源5の温度を検出する温度検出器26が取り付けられている。また、液晶表示装置100は、温度検出器26の検出した温度に基づいて、第1、2の光源4,5の発光量を制御する制御部31(
図7)をさらに備える。背面板金1は、例えば鉄をプレス加工によって成形した板材である。
【0017】
図1に示す様に、放熱器2a,2b,2c,2d,2eは背面板金1の下辺1cに沿って配置されている。背面板金1の裏面側(−Z軸方向側)には、放熱器2a,2b,2c,2d,2eの放熱フィン21が露出している。
【0018】
放熱器2aと2e、および放熱器2bと2dは、背面板金1の中心に対して左右対称に配置されている。放熱器2cは、背面板金1の略中心に配置されている。また、放熱器2a,2b,2c,2d,2eの放熱フィン21は、風路がY軸方向に平行になるように設けられている。
【0019】
図2は、液晶表示装置100を液晶表示面側から見た斜視図である。
図2は、
図4で説明する、液晶表示素子13、光学シート12,拡散板11、導光板9、10および反射シート8を外した状態の図である。背面板金1の正面側(+Z軸方向側)には、放熱器2a,2b,2c,2d,2eの取り付け部22が露出している。
【0020】
液晶表示装置100において、第1の光源4は、青緑色LED素子であり、第2の光源5は赤色レーザー素子である。LEDアレイ基板3a,3bには、複数の第1の光源4が配置されている。LEDアレイ基板3a,3bは、細長い矩形形状をしており、背面板金1の側辺1bから起立する端部1aに取り付けられる。
【0021】
液晶表示装置100はいわゆるエッジ照明方式である。なお、LEDアレイ基板3a,3bは、複数に分割されていても良い。例えば、LEDアレイ基板3aは、Y軸方向の中央部分で2つに分割されていても良い。また、放熱器2a,2b,2c,2d,2eの数は、5個に限らない。放熱器2a,2b,2c,2d,2eの数は、例えば液晶表示装置100の大きさに応じて、任意の個数に設定できる。
【0022】
<放熱器の構成>
図3は、放熱器2a,2eの形状を示す斜視図である。放熱器2a,2eは、熱伝導率の高い材料、例えばアルミニウムで作られている。放熱器2a,2eは、ベース板部24、放熱フィン21および取り付け部22から構成される。放熱フィン21は、ベース板部24の−Z軸方向の面に形成されている。ベース板部24は、X−Y平面に平行な板形状をしている。放熱フィン21は、ベース板部24に対して垂直に形成されている。
【0023】
ベース板部24の+Z軸方向の面の下端(−Y軸方向)には、取り付け22が形成されている。取り付け部22は、+Z軸方向に突き出た板形状をしている。取り付け部22には、穴23が形成されている。穴23はY軸方向に開けられている。穴23内部には、第2の光源5(即ちレーザー素子)が、レーザー光線が+Y軸方向に出射されるように取り付けられる。
【0024】
さらに、取り付け部22には温度検出器取り付け部25が設けられている。つまり、温度検出器取り付け部25は放熱フィン21と反対側(+Z軸方向)に設けられている。温度検出器26は温度検出器取り付け部25に、接着剤やネジ止めなどの方法で固定される。放熱器2b,2c,2dは、温度検出器取り付け部25を備えない(即ち温度検出器26が取り付けられない)こと以外は、放熱器2a,2eと同じ構成であるため、説明を省略する。
【0025】
なお、
図3では、取り付け部22はZ方向から見ると矩形であるが、これに限らず、例えば楕円形状など他の形状でも良い。また、第2の光源5は、光線が−Y軸方向に出射されるように穴23に取り付けられても良い。ただし、その場合は、放熱器2a,2b,2c,2d,2eは上下逆にして配置される。このように配置すると放熱フィン21が背面板金1の下辺1c側にはみ出して配置される。このため、液晶表示装置100のベゼル部(額縁部)を細くすることが出来なくなる。
【0026】
第2の光源5で発生した熱は、穴23から取り付け部22を伝わり、放熱フィン21を経由し、外気へと放出される。アルミニウムのような熱伝導率の高い材料を用いた場合でも、熱源である第2の光源5から放熱フィン21に向かって流熱量に応じて温度勾配が生じる。つまり、多くの熱は放熱フィン21側に流れるため、穴23から温度検出器取り付け部25へ向かって流れる熱量は少なく、温度検出器取り付け部25と穴23との温度差は小さい。よって、温度検出器取り付け部25は放熱フィン21と反対側(+Z軸方向)に設けられているため、温度検出器取り付け部25に温度検出器26を取り付けることにより、第2の光源5の温度を精度良く測定することができる。
【0027】
図3では、取り付け部22は、放熱フィン21と一体に成形されている。しかし、取り付け部22と放熱フィン21は別部品で構成されていてもよい。この場合、放熱性能は若干低下する。しかし、取り付け部22を別部品で構成すると、放熱器の製造が容易となり、製造コストを抑えられる可能性がある。また、
図3では1つの放熱器2a,2eに1つのレーザー素子を配置しているが、複数のレーザー素子を配置しても良い。
【0028】
<第1の光源および第2の光源>
第1の光源4即ち青緑色LED素子は、光源として青色LEDおよび蛍光体を有している。具体的には、青色の光を発する青色LEDチップを備えたパッケージに、この青色の光を吸収して主に緑色の光を発する蛍光体が充填されている。
【0029】
人間は赤色の色差に対する感度が高い。そのため、赤色における波長帯域幅の差は、人間の視覚にはより顕著な差となって感じられる。ここで、波長帯域幅の差は色純度の差である。従来、液晶表示装置に光源として使用されている白色LEDは、特に600nmから700nmまでの波長帯の赤色のスペクトルのエネルギー量が少ない。つまり、波長域幅の狭いカラーフィルタを用いて純粋な赤色として好ましい630〜640nmの波長領域で色純度を高めようとすると、極めて透過光量が減少し、光の利用効率が低下する。従って、著しく輝度が低下するという問題が発生する。
【0030】
一方で、一般にレーザー光源は波長帯域幅が狭く、光を損失することなしに高い色純度の光が得られる。3原色の色の中でも、赤色の光の光源として単色性の高いレーザー光源を用いることによって、低消費電力化および色純度向上が期待される。そこで、本実施の形態における液晶表示装置100では、第2の光源5として、赤色の光を発する赤色レーザー光源を採用する。
【0031】
純赤色として好ましい630〜640nmの波長のレーザー光を発する第2の光源5は、素子温度の上昇に伴って電気−光変換効率が著しく低下する。つまり赤色のレーザー光源は熱の影響を受けやすい光源である。純赤色とは、波長幅の狭い純度の高い赤色で、深い色の赤色のことである。深い赤色としては、630〜640nmの波長が好ましい。また、赤色のレーザー光源が高温の状態で高出力の光を出射し続けると、素子の劣化が加速し寿命が短くなってしまう。このため効率の良い冷却システムの導入が必要となる。
【0032】
一方、第1の光源4として用いる青緑色LED素子の温度に対する電気−光変換効率の変化は、レーザー光源と比較して極めて少ない。つまり、LED素子は熱の影響を受けにくい光源である。しかし、その発熱を第2の光源5即ち赤色レーザー光源に伝えないように効率よく放熱させる必要がある。
【0033】
第2の光源5、即ち赤色のレーザー素子から出力されるレーザー光は指向性が高い。このため、面発光装置としての光の均一性を得るためには、レーザー素子は高い位置精度で配置される必要がある。第2の光源5は、例えば、直径が約6mmの円筒形状のパッケージ形状とする。第2の光源5は、パッケージを放熱器2a,2b,2c,2d,2eの取り付け部22の穴23に圧入され固定される。第2の光源5は、レーザー光が出射する発光側から、取り付け部22に設けられた穴23に圧入される。
【0034】
<全体構成>
図4は、液晶表示装置100のY−Z面における断面図である。取り付け部22に第2の光源5が圧入された放熱器2a,2b,2c,2d,2eは、背面板金1に取り付けられる。このとき、放熱フィン21およびベース板部24は背面板金1の背面側(-Z軸方向)に露出している必要があり、取り付け部22は、背面板金1に穿孔された貫通穴14に差し込まれて固定される。
【0035】
また、
図4に示すように、ベース板部24と背面板金1の背面側との間には断熱部15が介在している。ここでいう断熱部15とは、その熱伝導率が、背面板金1や放熱器2a,2b,2c,2d,2eの熱伝導率よりも著しく低い材料で形成される。例えば、断熱部15は樹脂材やゴム材である。また、断熱部15は数mm程度の空気層でも良い。
【0036】
また、断熱部15をベース板部24と背面板金1の間隙以外に、例えば、取り付け部22と背面板金1の間隙に追加して配置してもよい。こうすることで、第1の光源4と、第2の光源5との距離が近い場合などには、熱の影響を受けにくい第1の光源4(LED素子)の熱が、熱の影響を受けやすい第2の光源5(レーザー素子)に伝わり難くできる。
【0037】
ただし、このような場合でも通常の断熱材では熱流を完全に切断することは困難であり、多少なりとも熱の出入りは発生する。複数の第1の光源4が、背面板金1の側辺1bの端部1aに沿って配置される、サイドエッジ方式を採用する本実施の形態では、第2の光源5(レーザー素子)には第1の光源4(LED素子)からの熱がより流れ込みやすくなる。
【0038】
図4に示すように、液晶表示素子13、光学シート12、拡散板11、導光板10、導光板9および反射シート8が、表示面側から順に、X−Y平面に平行に配置されている。
【0039】
導光板9の−Y軸側には第2の光源5、即ちレーザー素子が配置されている。第2の光源5から出射された光は導光板9の端面から内部に入射して拡散され、+Z軸方面に配置されている導光板10の背面に対して、均一な発光強度分布をもつ面光源として出射される。また、一部の光は導光板9から−Z軸方向に出射されるが、反射シート8によって反射され、+Z軸方向へ向かう光として、導光板10に入射する。
【0040】
図5は、液晶表示装置100のX−Z平面における断面図である。導光板10の+X軸側、−X軸側にはそれぞれ第1の光源4、即ち青緑色LED素子が配置されている。第1の光源4から出射された光は導光板10内で拡散され、+Z軸方面に配置されている拡散板11に対して、均一な発光強度分布をもつ面光源として出射される。
【0041】
第2の光源5、即ち赤色レーザー光源からは赤色の光が出力される。一方、第1の光源4、即ち青緑色LED素子は、青色の光を発する青色LEDチップを備えたパッケージに、この青色の光を吸収して主に緑色の光を発する蛍光体が充填されている。つまり第1の光源4からは赤色の補色であるシアン色の光が出力される。
【0042】
導光板10から出射される光は、第1の光源4から出射された光と、導光板9から入射する光とが混合された光であるため、出射する光は白色になり、液晶表示素子13のバックライトとして用いることが可能になる。
【0043】
図6は、
図5から液晶表示素子13、光学シート12,拡散板11、導光板9、10および反射シート8を取り外した状態の図である。最も第1の光源4に近い放熱器、即ち放熱器2a、2eのみに、温度検出器26が取り付けてある。温度検出器26は、放熱器2a,2bの温度検出器取り付け部25に取り付けられる。なお、本実施の形態の様に第1の光源4からの距離が等しい放熱器2a,2eが複数存在する場合、少なくともその内の1つの放熱器に温度検出器26を取り付ければよい。
【0044】
第1の光源4および第2の光源5は、電気から光にエネルギーを変換する際、その光変換効率に応じて発熱する。例えば第2の光源5即ち赤色レーザー素子の場合、出力光量やジャンクション温度により変化するが、室温程度ではエネルギー変換効率はおよそ25パーセント程度である。つまり投入電力の3/4(即ち発光量の3倍)のエネルギーが熱として発生することになる。
【0045】
一般的に、青緑色LED素子の寿命はディスプレイに求められる寿命を十分に満足する。一方赤色レーザー素子の寿命は、青緑色LED素子の寿命と比べて短く、ディスプレイに求められる寿命を確保するためには、その動作温度に注意を払う必要がある。つまり、複数配置される第2の光源5(レーザー光源)のうち、液晶表示装置100の構造的に最も温度が高くなる位置に配置される第2の光源5の温度さえ管理できれば、液晶表示装置100の信頼性は確保できるといえる。
【0046】
本実施の形態では、背面板金1は平面視で矩形であり、側辺1bの端部1aに沿って複数の第1の光源4が、下辺1cに沿って複数の第2の光源5が配置されている。下辺1cに沿って並べられた第2の光源5の間隔が等しく、発熱量が同じであるとする。このとき、側辺1bに沿って第1の光源4が配置されているため、熱密度が最も高くなる側辺1b側に配置された第2の光源5の温度が最も高くなる。つまり、本実施の形態においては、放熱器2a,2eに配置された第2の光源5の温度が最も高くなる。
【0047】
つまり、中央に配置された放熱器2cに取り付けられた第2の光源5の温度は、最も側辺1b側に配置された放熱器2a,2eに取り付けられた第2の光源5の温度より高くなることは無い。よって、少なくとも、第1の光源4からの距離が最も近い第2の光源5の温度を管理できれば、液晶表示装置100の信頼性を確保することが可能になる。
【0048】
<動作>
図7は、液晶表示装置100の制御系の構成例を示す図である。液晶表示装置100は、温度検出器26の検出した温度に基づいて、第1、2の光源4,5の発光量の制御を行う制御部31を備える。液晶表示装置100は、制御部31の出力する信号に基づいて動作を行う、液晶表示素子駆動部32、LED光源駆動部33a、レーザー光源駆動部33bを備える。
【0049】
制御部31は入力される映像信号に基づき、液晶表示素子駆動部32に液晶表示素子制御信号を出力する。液晶表示素子駆動部32は入力された液晶表示素子制御信号に基づいて液晶表示素子13を駆動する。
【0050】
また、制御部31は、入力する映像信号に基づき、LED光源駆動部33aにLED光源制御信号を、レーザー光源駆動部33bにレーザー光源制御信号をそれぞれ出力する。LED光源駆動部33aは入力されたLED光源制御信号に基づいて、第1の光源4即ちLED光源を、レーザー光源駆動部33bは入力されたレーザー光源制御信号に基づいて、第2の光源5即ちレーザー光源をそれぞれ駆動する。
【0051】
制御部31には、温度検出器26で検出された検出温度を表す検出温度信号が入力される。検出温度の閾値は予め設定されており、温度閾値信号として、制御部31に入力される。温度閾値信号によって与えられる閾値よりも検出温度が低い場合は、制御部31は、入力される映像信号にのみ従い、液晶表示素子制御信号、LED光源制御信号、およびレーザー光源制御信号を生成する。
【0052】
一方、検出温度が閾値よりも高い場合は、制御部31は、第2の光源5の発光量が少なくなるように、レーザー光源駆動部33bに出力するレーザー光源制御信号を補正する。第2の光源5の発光量が減少すると、光源の発熱量が少なくなるため、第2の光源5の温度を低く抑えることが可能になる。この時、第2の光源5の発光量のみを減少させると、バックライトとして求められるホワイトバランスが崩れる。よって、制御部31は、第2の光源5の発光量を減少させたときは、第1の光源4の発光量も減少させるようにLED光源制御信号を補正する。
【0053】
パッケージに密封されている第2の光源5(レーザー光源)のジャンクション温度を直接測定することは困難である。しかし第2の光源5の電気−光変換効率が分かっていれば、第2の光源5に与えている電力から発熱量を導くことは可能である。
【0054】
本実施の形態では、放熱器2a,2eにおいて、第2の光源5の近辺(即ち温度検出器取り付け部25)に温度検出器26を配置するため、第2の光源5のジャンクション温度を精度良く推定することが可能である。
【0055】
さらに、制御部31は、第1、第2の光源4,5の発光量を減少させる際、必要に応じて色補正技術などを用いてホワイトバランスを微調整しても良い。ホワイトバランス調整を行うためには、カラーセンサーを用いてバックライト内の光を測定し、制御部31に対してフィードバック制御を行うのが一般的である。しかし、カラーセンサーを用いるとコストが増大する。また、面状光源であるバックライトのどの位置を測定するかという問題も残るため好ましくない。
【0056】
発光量を減少させる前後でホワイトバランスを維持するためには、第1の光源4の発光量と第2の光源5の発光量との比率を、発光量の変化の前後で一定に保つ必要がある。
【0057】
レーザー素子およびLED素子のエネルギー変換効率(即ち、電力から光出力へエネルギーを変換する効率)は温度に依存して変化する。第1の光源4のエネルギー変換効率の温度依存性をX(T)(Tは温度)とし、第2の光源5のエネルギー変換効率の温度依存性をY(T)とする。本実施の形態における液晶表示装置100は、記憶部(図示せず)を備え、X(T)とY(T)の比率、即ちX(T)/Y(T)の値が制御テーブル38として記憶部に記憶されている。
【0058】
制御部31は、第2の光源5の発光量を減少させたとき、第1の光源4の発光量を減少させる際に、検出温度に基づいて制御テーブル38を参照して、X(T)/Y(T)の値に基づいてLED光源制御信号を生成し出力する。
【0059】
このように、発光量の減少前後で、第1、2の光源4,5の発光量の比率が変わらないように制御を行うことで、カラーセンサーを配置しなくてもホワイトバランスを一定に保つことが可能である。
【0060】
また、環境温度が変化するなどの要因で各光源の温度が変化すると、第1の光源4と第2の光源5とでは、温度特性が異なるため、ホワイトバランスにズレが生じることがある。環境温度の変化などにより光源の温度が変化した場合、制御部31は、制御テーブル38に予め記憶してある比率、X(T)/Y(T)の値を参照して、LED光源制御信号を出力して第1の光源4の発光量を調整する。この制御によって、ホワイトバランスを一定に保つことが可能になる。
【0061】
以上のように、本実施の形態における液晶表示装置100は、第1の光源4からの距離が最も近い位置に配置された第2の光源5の温度を検出し、検出した温度に基づいて第1、第2の光源4,5の発光量の制御を行う。よって、熱の影響を受けにくい第1の光源4と、熱の影響を受けやすい第2の光源5との2種類の光源を有する液晶表示装置100において、1つの温度検出器だけで信頼性を確保することが可能である。
【0062】
また、本実施の形態では、放熱器2a,2eの両方に温度検出器26を配置したが、本実施の形態のように、熱分布が左右対称の場合などは、放熱器2a,2eのどちらか一方にのみ温度検出器26を配置してもよい。
【0063】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【0064】
<効果>
本実施の形態における液晶表示装置100は、液晶表示素子13の表示面の背面側に配設され、端部1aが表示面側へ起立した背面板金1と、設置時に左右に来る背面板金1の側辺1bに沿って、起立した端部1aに取り付けられた複数の第1の光源4と、設置時に下側に来る背面板金1の下辺1cに沿って取り付けられた複数の放熱器2a,2b,2c,2d,2eと、を備え、放熱器2a,2b,2c,2d,2eは、背面板金1の背面に露出する放熱フィン21と、背面板金1を背面から貫通して背面板金1の正面側に露出する取り付け部22と、を備え、複数の放熱器2a,2b,2c,2d,2eの取り付け部22の各々に取り付けられた複数の第2の光源5と、第1の光源4からの距離が最も近い第2の光源5の温度を検出する温度検出器2a,2eと、温度検出器26が検出した検出温度に基づいて、第1の光源4および第2の光源5の発光量を制御する制御部31と、をさらに備え、制御部31は、検出温度が所定の温度よりも高い場合、第1の光源4および第2の光源5の発光量を減少させることを特徴とする。なお、所定の温度とは、予め設定された検出温度の閾値をいう。
【0065】
従って、温度検出器26は、複数配置された第2の光源5のうち、最も熱密度が高くなる位置に配置された第2の光源5の温度を検出する。つまり、温度検出器は、最も温度が高くなる光源の温度を検出するため、この検出温度に基づいて、第1、2の光源4,5の発光量を制御することで、液晶表示装置100の信頼性を向上させることが可能である。また、少なくとも1つ温度検出器26を配置すればよいため、温度検出器を複数配置する必要がなく、コストの削減が可能である。
【0066】
また、本実施の形態における液晶表示装置100において、温度検出器は、第1の光源4からの距離が最も近い放熱器2a,2eに取り付けられることを特徴とする。
【0067】
従って、第1の光源4からの距離が最も近い第2の光源5が取り付けられた放熱器2a,2eに、温度検出器26を取り付けることによって、この第2の光源5の近辺に温度検出器26を配置できるため、第2の光源5の温度を精度良く検出することが可能である。
【0068】
また、本実施の形態における液晶表示装置100において、温度検出器は、第1の光源4からの距離が最も近い放熱器2a,2eの取り付け部22に取り付けられることを特徴とする。
【0069】
従って、第2の光源5が取り付けられている取り付け部22に、温度検出器を取り付けることによって、より精度良く第2の光源5の温度を検出することが可能である。
【0070】
また、本実施の形態における液晶表示装置100は、記憶部をさらに備え、記憶部には、第1の光源4のエネルギー変換効率と、第2の光源5のエネルギー変換効率との比の温度依存性が記載された制御テーブル38が記憶されており、制御部31は、検出温度に基づいて制御テーブル38を参照して、第1、2の光源4,5の発光量を制御することを特徴とする。
【0071】
従って、温度変化により第1、2の光源4,5の出力特性が変化した場合であっても、制御部31は、制御テーブル38を参照して、第1、2の光源4,5の発光量を制御するため、発光量の変化の前後でホワイトバランスを一定に保つことが可能である。
【0072】
また、本実施の形態における液晶表示装置において、第1の光源4は、LED素子であり、第2の光源5は、レーザー素子である。従って、発熱の大きい第2の光源5の温度を検出することで、信頼性の高い温度管理が可能である。
【0073】
また、本実施の形態における液晶表示装置において、第1の光源4の発する光と、第2の光源5の発する光は補色関係にあることを特徴とする。従って、第1の光源4の発する光と、第2の光源5の発する光とを混色すると白色光になるため、液晶表示素子13のバックライトとしての使用に適している。