(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなメトロノームは、ケースに振動を伝播させて拍子音を発音するため、拍子音の音質等がケースの材質、形状等に影響してしまう。また、響板を用いた場合、響板はケースの内面に貼り付けられ、ケースに覆われている。そのため、拍子音は、ケースへ振動が伝播し、ケースを介して外の空気が振動することで聞こえる。よって、この場合も拍子音の音質等は、ケースの材質等に影響してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、振り子と、前記振り子を揺動可能に軸支する振り子軸と、前記振り子軸を回動可能に支持するとともに、前記振り子軸に軸方向の振動を加える機械体と、前記機械体を収納するケースと、を備えるメトロノームにおいて、前記ケースと別体で構成され、前記ケースの外表面から露出するとともに、前記振り子軸の軸方向に位置する当接部を有する発音体を備え、前記振り子軸は、前記振動により前記当接部に当接することを特徴とする。
【0007】
発音体がケースの外表面から露出しているため、発音体の振動や発音体の振動によって発生する音はケースを伝播せずに露出部分よりケースの外の空気へ伝播し、発音体固有の音色をもつ拍子音となる。そのため、発音体自体から発音する音を、ケースの影響を抑制して拍子音として聞くことができる。
【0008】
また、前記発音体を固定するとともに、前記ケース又は前記機械体に設けられる支持部を有し、前記発音体は前記ケースと対向する面に前記振り子軸の軸方向に振動可能な振動部を有してもよい。
【0009】
発音体は支持部により固定されるため、振り子軸を当接部に確実に当接させることができる。さらに、発音体は、ケースと対向する面に振動部を有している。すなわち、振動部は、支持部に固定されていないため、振動可能になっている。
【0010】
支持部の固定により、発音体の支持部に固定される部分の振動は抑制される。支持部はこの固定される部分からの振動の伝搬により振動するため、支持部の振動も抑制される。 また、ケース又は機械体は、支持部からの振動の伝搬により振動するため、これらの振動も抑制される。一方、振動部は、支持部に固定されていないため、振動は抑制されない。すなわち、ケースまたは機械体の振動より、振動部の振動は大きい。そのため、発音体自体から発音される拍子音を強調することができる。
【0011】
この際、前記発音体は、凹部を備えてもよい。
これにより、当接部からの凹部に振動が伝播し、凹部内で共鳴するため、より発音体自体から発音される拍子音を強調することができる。
【0012】
また、前記発音体において、前記当接部と異なる他の部分を有し、前記当接部の厚さが前記他の部分の厚さより薄くてもよい。
これにより、当接部の振動が大きくなるため、拍子音の音量が大きくなり、発音体自体から発音される拍子音を強調することができる。
【0013】
また、前記発音体の前記ケースと対向する面が、前記ケースから離間してもよい。
これにより、前記ケースから離間した面では、発音体の端部の振動が固定部からケースへ伝播せずにケースの外の空気へ伝播するため、発音体固有の音色を持つ音の音量が大きくなり、より発音体自体から発音される拍子音を強調することができる。
【0014】
また、前記発音体を前記振り子軸の軸方向に可動する位置調節部を有してもよい。
これにより、振り子軸の振動による当接部への振動の大きさを調節できるため、拍子音の音量を調節できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発音体がケースの外表面から露出しているため、発音体の振動や発音体の振動によって発生する音はケースを伝播せずに露出部分よりケースの外の空気へ伝播し、発音体固有の音色をもつ拍子音となる。そのため、発音体自体から発音する音を、ケースの影響を抑制して拍子音として聞くことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1、
図2は、それぞれ本発明に係るメトロノームの正面図、側面図である。
図1のメトロノーム1は、ケース2と、ケース2の前面に設けられた目盛盤5と、目盛盤5の上部に配置された振り子11と、振り子11に設けられた遊錘12と、ケース2の側面に設けられたぜんまい巻4とを備える。また、ケース2の下部は、基部8で構成されている。また、メトロノーム1は、基部8に発音体60を備えている。すなわち、基部8は、発音体60が収納される開口部を有している。
【0018】
発音体60は、ケース2と別体で構成され、ケース2の基部8の外表面から露出している。また、発音体60は、振り子11に対してケースの前面側に設けられている。なお、
図2において、発音体60は、点線で囲まれている部分である。また、発音体60は、木製である。なお、発音体60の材料はこれに限らず、所望の材料を選択することができる。
また、ケース2は例えば樹脂製である。なおケース2の材料はこれに限らず、所望の材料を選択することができる。
【0019】
図3は、
図1におけるメトロノームのAA線での断面図である。なお、
図3においてケース2の目盛盤5側及び振り子11を省略している。また、
図4は、
図2におけるメトロノームのBB線での断面図である。また、
図5は、本発明に係るメトロノームの上面図である。
【0020】
ケース2は、発音体60を露出する部分に穴を設けている。本実施形態においては、ケース2は、ケース2の外表面から発音体60の振り子11に対して前面側の面の少なくとも一部を露出する穴を有している。また、ケース2は、振り子11をケースの外表面に露出する貫通孔を有している。なお、ケース2において、発音体60を露出する穴と振り子11を露出する貫通孔は、つながっていてもよいし、別々に形成されてもよい。本実施形態では、それぞれの穴は繋がって形成されている。
【0021】
ケース2は、基部8に発音体60を固定する支持部7を有する。本実施形態において、支持部7は、基部8の開口部を挟んで対向する両端部からそれぞれケース2の中央の開口部に向かって水平方向に延びている。すなわち、支持部7は一対で構成されている。また、本実施形態において、支持部7は、基部8の両端部のそれぞれに複数形成されている。また、発音体60は、固定部61を有している。なお、
図5において、支持部7及び固定部61は点線で示している。固定部61は、支持部7に対応する位置に設けられた窪み部で形成されている。本実施形態において、固定部61の窪み部は、基部8の一端部の支持部7に対応する位置から基部8の反対側の端部の支持部7に対応する位置まで形成されている。また、複数の窪み部が、基部8の一端部に形成された複数の支持部7に対応して形成されている。発音体60は、支持部7と固定部61の窪み部とを嵌合して、ケース2に支持されている。このとき、基部8の一端部に支持部7が複数形成されているため、発音体60は揺動することなくケース2に支持されている。また、本実施形態では、発音体60を押圧せずに支持するため、発音体60の振動が固定部からケースへ伝播することを抑制し、ケースの外の空気へ振動を伝播することができる。
【0022】
すなわち、本実施形態では、支持部7は、発音体60を固定するとともに、ケース2に設けられる。また、発音体60はケース2と対向する面に振り子軸の軸方向に振動可能な振動部を有している。
【0023】
発音体60は支持部7により固定されるため、振り子軸を当接部62に確実に当接させることができる。さらに、発音体60は、ケース2と対向する面に振動部を有している。すなわち、振動部は、支持部7に固定されていないため、振動可能になっている。
【0024】
支持部7の固定により、発音体60の支持部に固定される部分の振動は抑制される。支持部7はこの固定される部分からの振動の伝搬により振動するため、支持部7の振動も抑制される。また、ケース2は、支持部7からの振動の伝搬により振動するため、これらの振動も抑制される。一方、振動部は、支持部7に固定されていないため、振動は抑制されない。すなわち、ケース2の振動より、振動部の振動は大きい。そのため、発音体60自体から発音される拍子音を強調することができる。
【0025】
また、
図5に示すように、メトロノーム1は、振り子11を揺動可能に軸支する振り子軸14を備えている。また、発音体60は、振り子軸14の軸方向に位置する当接部62を有する。当接部62は、たとえば金属材料などの振り子軸14の当接により研削されない材料、または破壊されない材料で形成されている。なお、本実施形態においては、当接部62は、別部材で形成されているが、これに限定されず、発音体60の一部を当接部62としてもよい。
【0026】
なお、支持部7及び固定部61の構造は本実施形態に限定されず、ケース2が発音体60を固定していればよい。例えば、発音体60全体がケース2の外表面から露出し、発音体のケース2の外表面と対向する面が、ケース2の外表面に固定されていてもよい。この場合、ケース2の外表面の一部に振り子軸14を露出する穴が形成され、振り子軸の軸方向に位置するように、当接部62は穴と対向する位置に配置される。また、発音体60は、発音体60とケース2を接着して支持されてもよいし、ケース2が外表面から立設する支持部を有し、その支持部で支持されてもよい。
【0027】
図6、
図7は、ケースの内部を示す図であり、それぞれ側面図、正面図である。
機械体10は、ぜんまい31と、ぜんまい31からの駆動力を伝達する伝達輪列と、を備える。また、機械体10は、支持板30を備えている。
【0028】
伝達輪列は、支持板30に軸支されるとともに、1番歯車29を含む複数の歯車と、歯車を回転可能に軸支する支持軸とを有している。伝達輪列は、例えば、以下の通りに構成されている。
【0029】
支持板30は、ぜんまい31の巻き上げ軸を1番軸32として、その両端を回転可能に軸支している。1番軸32は、1番歯車29を軸支している。また、支持板30は、2番軸33を軸支している。2番軸33は、1番歯車29と噛合可能に図示しない2番ピニオンを設けるとともに、溝付歯車21を軸支している。
【0030】
溝付歯車21は、打突溝及び平坦面が同一円周上に形成された溝形成面を有する。また、支持板30は、3番軸34を軸支している。3番軸34は、溝付歯車21と噛合可能に3番ピニオン35を設けている。また、3番軸34は、ホイール36を軸方向に移動可能に設けている。
【0031】
ホイール36は、筒状に形成され、両端には、つば部39が形成されている。また、両端のつば部39には、それぞれ端部から中心に向かって軸方向に延びる逃げ板部37が設けられている。また、それぞれの逃げ板部37は、同一直線状ではない互いに平行な位置関係で設けられている。たとえば、それぞれの逃げ板部37は、つば部39の周方向に180度ずれた位置関係に形成されている。
【0032】
また、メトロノーム1は振り子11を有している。また、振り子11は、周期を設定するためのものであり、振り子11の中央部で振り子軸14によって揺動可能に軸支される。また、遊錘12は、振り子11の上下に可動可能に取り付けられ、振り子11の周期を設定する。また、振り子11の下端には、振り子11の揺動を補助するための固定錘13が固定されている。振り子軸14は、ホイール36の中心に向かってホイール36の径方向に突出する振り子ピン15が設けられている。また、機械体10は、振り子軸14を回動可能に支持するとともに、振り子軸14に軸方向の振動を加える。
【0033】
次に、機械体10が振り子軸14を回動させ、振り子を所望の周期で揺動させる動作について説明する。
ぜんまい31を巻き上げると、伝達輪列中の歯車等が回転する。これにより、伝達輪列中のホイール36が回転する。ホイール36の回転により、振り子ピン15が両逃げ板部37に交互に係合する。
図7において、振り子ピン15は、一方の逃げ板部37に係合している。さらに、ホイール36が回転すると、両方のつば部39がホイール36の回転方向と同方向に回転する。そして、つば部39の回転に合わせて、逃げ板部37が回転する。
【0034】
なお、逃げ板部37は、係合した振り子ピン15を反対側のつば部39に設けられた逃げ板部37に向かって揺動する構成となっている。たとえば、逃げ板部37は、先端部に向かうにつれて細くなる構成となっている。そのため、一方のつば部39に設けられた逃げ板部37に係合した振り子ピン15は、逃げ板部37が回転すると、係合している逃げ板部37の先端部に向かって揺動し、係合している逃げ板部37から離間する。その後、振り子ピン15は、反対側のつば部39に設けられた逃げ板部37に向かって揺動を続ける。
【0035】
そして、逃げ板部37は継続して回転しているため、反対側のつば部39に設けられている逃げ板部37と振り子ピン39とが係合する。
これにより、ホイール36の回転が一定の周期で停止及び回転を繰り返し、振り子ピン15は一定の周期で揺動するため、振り子ピン15の揺動に合わせて振り子11が一定の周期で揺動する。このとき、振り子軸14は、振り子ピン15の揺動に合わせて回動する。なお、ホイール36の停止及び回転は、遊錘12の可動位置によって設定された周期によってタイミングが決まる。
なお、伝達輪列及び振り子11は、本実施形態の構成に限られず、従来のメトロノームで採用されている構成を採用してもかまわない。
【0036】
また、本実施形態において、機械体10は、溝形成面に当接する打鈴棒50を備えている。また、支持板30は、円弧状に長孔38が形成されている。長孔38に打鈴棒50が挿入されることにより、打鈴棒50が図示しない溝形成面に当接する。なお、本実施形態に限らず、第1の打鈴部51が溝形成面22に当接すればよい。また、本実施形態において、機械体10は、打鈴棒50に打鈴される鈴55を有している。
なお、本発明のメトロノームは本実施形態に限られない。例えば、打鈴機構である打鈴棒50及び鈴55は必ずしも必要ない。
【0037】
次に、機械体10が振り子軸14に軸方向の振動を加える動作について説明する。
図8は、本発明に係る振り子軸の振動を説明する図である。
図8(a)、
図8(b)は、それぞれ振り子ピン15が一方のつば部39の逃げ板部37と係合していない状態、振り子ピン15が一方のつば部39の逃げ板部37と係合している状態を示す。なお、点線で示す逃げ板部37は、反対側のつば部39に設けられた逃げ板部37である。
【0038】
図8(a)に示すように、振り子ピン15は、つば部39の逃げ板部37から離間すると、反対側のつば部39に向かって回動する。このとき、振り子軸14は、機械体の逃げ板部37から軸方向の振動を加えられていない。
【0039】
その後、ホイール36が回転すると、両方のつば部39がホイール36の回転方向と同方向に回転する。そして、
図8(b)に示すように、つば部39の回転に合わせて、逃げ板部37が回転する。このとき、振り子ピンは、一方のつば部39へ揺動しているため、逃げ板部37と係合する。
【0040】
このとき、
図8(b)に示すように、振り子ピン15は、逃げ板部37に打撃を加えられる。そのため、振り子ピン15は、軸方向に振動する。
なお、振り子ピン15に振動を加える構成は、本実施形態の構成に限られず、従来のメトロノームで採用されている構成を採用してもかまわない。
【0041】
次に、発音体60が拍子音を発音する動作を説明する。
振り子ピン15は、発音体60の当接部62に当接し、振動を伝播する。また、振り子ピン15は、一定の周期で、当接部62への当接を繰り返す。そのため、発音体60は、当接部62からの振動の伝播により、一定の周期で振動する。これにより、発音体60は、一定の周期の拍子音を発音する。
【0042】
発音体60は、ケース2と別体で構成され、ケース2の外表面から露出している。そのため、発音体60の振動や、発音体60の振動によって発生する音はケース2を伝播せずに露出部分よりケース2の外の空気へ伝播し、発音体60の固有の音色をもつ拍子音となる。そのため、発音体60自体から発音する音を、ケースに影響を受けずに拍子音として聞くことができる。
【0043】
本実施形態においては、発音体60は、木製であるため、柔らかみのある木の音色をもつ音を発音することができる。
また、本実施形態においては、ケース2はプラスチック製であるため、ケースそのものが木製のメトロノームよりも安価に製作可能である。
【0044】
また、発音体60は、凹部を備えてもよい。本実施形態においては、当接部62とは異なる表面から当接部の反対側まで凹部が形成されている。すなわち、凹部は、表面を開口端とし、当接部62側を底部とする構成になっている。
【0045】
これにより、当接部62から凹部に振動が伝播し、凹部内で共鳴するため、より発音体自体から発音される拍子音を強調することができる。なお、発音体60は、必ずしも凹部を有する必要はない。
【0046】
また、本実施形態において、当接部62は、基部8の両端部のそれぞれの支持部7から等距離に位置する。発音体60は支持部7で支持されている。当接部62が基部8の両端部の支持部7から離れた位置であるため、支持部7からケース2への振動の伝播をさらに抑制することができる。そのため、発音体60自体から発音する音を、ケースに影響を受けずに拍子音として聞くことができる。
【0047】
また、当接部62は、基部8の両端部のそれぞれの支持部7を結んだ線上に位置してもよい。基部8の両端部のそれぞれの支持部7を結んだ線上は、発音体60において、振り子軸14の軸方向に対して揺動せずに固定される位置である。そのため、振り子軸14が当接部62を一定の振動数で揺動したとしても、振り子軸14は当接部62に毎回同じ強さで振動させることができる。
【0048】
また、発音体60のケース2と対向する端部が、ケース2から離間してもよい。
これにより、発音体60の端部の振動が固定部からケース2へ伝播せずにケース2の外の空気へ伝播する。そのため、発音体60の固有の音色を持つ音の音量が大きくなり、より発音体60自体から発音される拍子音を強調することができる。
また、発音体60において、当接部62が、振り子軸14の軸方向に可動してもよい。これにより、当接部62は振り子軸14から離間するため、消音することができる。
【0049】
なお、本発明のメトロノームは本実施形態に限られない。本発明は、振り子11と、振り子11を揺動可能に軸支する振り子軸14と、振り子軸14を回動可能に支持するとともに、振り子軸14に軸方向の振動を加える機械体10と、機械体10を収納するケース2と、を備えるメトロノーム1において、ケース2と別体で構成され、ケース2の外表面から露出するとともに、振り子軸14の軸方向に位置する当接部62を有する発音体60を備え、振り子軸14は、前記振動により当接部62に当接すればよい。
【0050】
この場合でも、発音体60がケース2の外表面から露出しているため、発音体60の振動や発音体60の振動によって発生する音はケースを伝播せずに露出部分よりケース2の外の空気へ伝播し、発音体60の固有の音色をもつ拍子音となる。そのため、発音体60自体から発音する音を、ケース2に影響を受けずに拍子音として聞くことができる。
【0051】
図9に、本発明のメトロノームの実施形態の変形例を示す。なお、
図6と同様の構成になる部分については、その詳細な説明を省略する。
図9においては、発音体60は、機械体10に形成される支持部40で支持されている。この場合、
図6と同様に支持部40は、発音体60を挟んで一対で構成されている。また、支持部40及び固定部61の構造は、
図5に示す支持部7及び固定部61と同様である。なお、発音体60を支持する構成は、これに限られず、一対の支持部40は発音体60を対向する位置から押圧して支持する構成でもよい。ただし、この場合、発音体60への振動が支持部40に伝播しやすくなるため、発音体60からケース2を伝播せずに露出部分よりケース2の外の空気へ伝播して発音される音が小さくなる。そのため、
図9のように発音体60を支持することが好ましい。
【0052】
すなわち、本実施形態では、支持部7は、発音体60を固定するとともに、機械体10に設けられる。また、発音体60は機械体10と対向する面に振り子軸の軸方向に振動可能な振動部を有している。
なお、発音体60は、ケース2または機械体10に支持されることに限定されず、振り子軸14が当接する位置であれば、発音体60を支持するものは限定されない。
【0053】
図10乃至
図14は、本発明に係る発音体の構造を示す図である。なお、発音体60の固定部は省略している。
図10(a)は、発音体60において当接部62を有する面側から見た図であり、
図10(b)は、発音体60の側面図である。
【0054】
図10において、発音体60は、凹部63を備える。発音体60は、円板状に形成され、当接部62を有する面が円の中心を含む切片で構成される。また、当接部62は、円の中心部に位置する。また、発音体60において、弦と反対側の端部の側面から当接部62に向かって、当接部62を有する面の方向に凹部63が形成されている。この場合、表面は、弦と反対側の端部の側面である。
図10(a)において、点線は凹部63の底部を示している。また、凹部63の開口部は、弦と異なる位置である。すなわち、発音体60において、弦側が凹部63の底部である。また、凹部63の開口部は、弦と反対側の端部の側面から弦側の側面まで形成されている。
【0055】
これにより、当接部62から凹部63に振動が伝播し、凹部63内で共鳴するため、より発音体60の固有の音色を強調することができる。また、発音体60は、円板状に形成されているため、効率的に振動させることができる。
なお、発音体60は、必ずしも円板状でなくてもよく、矩形板状などの多角形の板状に形成されていてもよい。
【0056】
図11(a)は、発音体60において当接部62を有する面側から見た図であり、
図11(b)は、発音体60の側面図である。
図11に示す発音体60は、
図10に示す発音体60と異なり、凹部63の開口部が弦と反対側の端部の側面のみに形成されている。この場合においても、発音体60は、表面から当接部62まで形成される凹部63を備える。この場合、必ずしも弦と反対側の端部の側面に開口部を形成する必要はなく、側面の一部を開口部として、当接部62まで向かって凹部63が形成されていればよい。
【0057】
図12(a)は、発音体60において当接部62を有する面側から見た図であり、
図12(b)は、発音体60の側面図である。
図12において、当接部62を有する面と反対の面から厚さ方向に当接部62に向かって凹部63が形成されている。この場合、当接部62の厚さが当接部と異なる他の部分の厚さより薄くなっている。
【0058】
当接部62の振動が大きくなるため、拍子音の音量が大きくなり、発音体60の固有の音色を強調することができる。なお、当接部62を有する面に開口部として、当接部62を有する面から当接部62に向かって凹部63を形成してもよい。
【0059】
図13(a)は、発音体60において当接部62を有する面側から見た図であり、
図13(b)は、発音体60の側面図である。
図13において、
図10と同様に弦と反対側の端部の側面から当接部62に向かって、当接部62を有する面の方向に凹部63が形成されている。また、凹部63の開口部は、弦と反対側の端部の側面から弦側の側面まで形成されている。
【0060】
さらに、
図13において、当接部に形成された凹部63は、当接部63と異なる他の部分よりも弦側に底部を形成している。なお、
図13においても、
図10と同様に底部は一平面上に形成されてもよい。また、弦と反対側の端部の側面から当接部62に向かって形成された凹部は、他の部分の凹部より広く形成されている。そのため、当接部62の厚さが他の部分の厚さより薄くなっている。
【0061】
図14(a)は、発音体60において当接部62を有する面側から見た図であり、
図14(b)は、発音体60の側面図である。
図14において、発音体60は、矩形板状に形成されている。また、当接部62を有する面から厚さ方向に当接部62に向かって凹部63が形成されている。この場合、当接部62の厚さが当接部62と異なる他の部分の厚さより薄くなっている。
図14の構成にすると、発音体60を容易に形成することができる。
【0062】
なお、本発明のメトロノームは本実施形態に限られない。例えば、発音体60のケース2と対向する面が、ケース2から離間してもよい。この場合、
図1において、発音体60の側面がケース2から少なくとも一部離間している状態となる。また、発音体60は、固定部61のみで固定される構成でもよい。また、発音体60全体がケース2の外表面から露出している場合、発音体のケース2の外表面と対向する面が、ケース2の外表面の少なくとも一部から離間する構成でもよい。
【0063】
これにより、発音体60の面の振動が固定部61からケース2へ伝播せずにケース2の外の空気へ伝播するため、発音体60の固有の音色を持つ音の音量が大きくなり、より発音体60の固有の音色を強調することができる。
【0064】
また、発音体60を振り子軸14の前記軸方向に可動する位置調節部を有する構成でもよい。例えば、発音体60は、ケース2または機械体10に支持され、ケース2または機械体10から着脱可能に備えられていてもよい。この場合、当接部62は、振り子軸14から離間するため、消音することができる。