【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るコンバインは
、
走行機体を支持する走行装置と、
前記走行機体に上下昇降可能に支持され、植立穀稈を刈取る刈取部と、
刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、
前記脱穀装置によって脱穀された穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記穀粒タンクに貯留された穀粒の重量測定を行う重量測定部と、
前記刈取部の上下位置を検出する刈取高さセンサと、
重量測定信号を出力する測定指示部と、
前記走行装置、前記刈取部、及び前記脱穀装置の状態から、作業状態であるか非作業状態であるかの作業状態判定を行う作業状態判定部と、
前記重量測定信号に基づいて前記重量測定部に前記重量測定を指令する制御部と、が備えられ、
前記制御部は、前記測定指示部から前記重量測定信号が出力されると
、前記作業状態判定部に前記作業状態判定を指令し
、
前記制御部は、前記作業状態判定部によって前記作業状態であることが判定されると
、前記上下位置の高さに関わらず前記重量測定部に前記重量測定を指令
せず、前記作業状態判定部によって前記非作業状態であることが判定されると、前記上下位置が所定の高さ以上である場合に前記重量測定部に前記重量測定を指令し、前記上下位置が前記所定の高さよりも低い場合に前記重量測定部に前記重量測定を指令しないものである。
【0007】
本発明によると、穀粒タンクに貯留された穀粒の重量測定を行うために、測定指示部から重量測定信号が出力されると、走行装置、刈取部、及び脱穀装置の状態から、作業状態であるか非作業状態であるかの作業状態判定が行われる。そして、作業状態であると判定されると、重量測定部による穀粒タンクに貯留された穀粒の重量測定は行われない。つまり、本発明によれば、穀粒タンクに振動が生じている作業状態のときには、重量測定部による穀粒タンクに貯留された穀粒の重量測定は行われないので、穀粒タンク内の穀粒の重量として正確性に欠く値が測定されてしまう可能性が排除され、結果として、穀粒タンクに貯留された穀粒の重量を精度よく測定できる。
さらに、本発明によると、非作業状態であって、刈取部の上下位置が、所定の高さよりも高い場合に、重量測定部による穀粒タンクに貯留された穀粒の重量測定が行われる。これにより、例えば、重量測定が行われる前に走行機体を水平化する制御が行われて走行機体が下降するような場合に、刈取部の先端等が不測に圃場に接触してしまうというような不都合を回避できる。
【0008】
上記構成において
、
前記走行機体の傾きを検出する姿勢検出部と、
前記走行機体の傾きが所定の傾斜許容範囲内にあるか否かの姿勢判定を行う姿勢判定部と、が備えられ、
前記制御部は、前記作業状態判定部によって前記非作業状態であることが判定されると
、前記姿勢判定部に前記姿勢判定を指令し
、
前記制御部は、前記姿勢判定部によって前記走行機体の傾きが所定の傾斜許容範囲内にあることが判定された場合
に前記重量測定部に前記重量測定を指令し、
前記姿勢判定部によって前記走行機体の傾きが前記傾斜許容範囲内にないことが判定された場合
に前記重量測定部に前記重量測定を指令しないと好適である。
【0009】
走行機体が傾くことにより穀粒タンクも傾くので、走行機体が傾いた状態で測定される重量は正確でないおそれがある。しかし、本構成によれば、非作業状態であると判定された後に、さらに、走行機体の傾きが所定の傾斜許容範囲内にあると判定されてから重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量の測定が行われる。そして、走行機体の傾きが傾斜許容範囲内にないと判定されると重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量の測定が行われない。したがって、穀粒タンク内の穀粒の重量として正確性に欠く値が測定されてしまう可能性が排除され、結果として、穀粒タンクに貯留された穀粒の重量を精度よく測定できる。
【0010】
上記構成において
、
前記走行機体の左右傾斜姿勢を変更する左右姿勢変更部が備えられ、
前記姿勢検出部として、前記走行機体の左右傾斜角度を検出する左右傾斜角度検出部が備えられ、
前記制御部は、前記姿勢判定部によって前記
左右傾斜角度が所定の左右傾斜許容範囲内にないことが判定された場合
、前記重量測定部に前記重量測定を指令せずに、前記左右傾斜角度が前記左右傾斜許容範囲内になるように前記左右姿勢変更部を制御し、前記左右傾斜角度が前記左右傾斜許容範囲内になった後に、前記重量測定部に前記重量測定を指令すると好適である。
【0011】
本構成によれば、走行機体の左右傾斜角度を検出する左右傾斜角度検出部が備えられており、左右の傾きが所定の左右傾斜許容範囲内にないと判定されると、まず、左右傾斜角度が左右傾斜許容範囲内になるように左右姿勢変更部が制御される。そして、左右傾斜角度が左右傾斜許容範囲内になってから、重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量の測定が行われる。このように、本構成であれば、走行機体の左右傾斜角度が大きなときは、自動的に左右傾斜角度の調整が行われるので、重量測定部による正確な重量測定をスムーズに実行できる。
【0012】
上記構成において
、
前記走行機体の前後傾斜姿勢を変更する前後姿勢変更部が備えられ、
前記姿勢検出部として、前記走行機体の前後傾斜角度を検出する前後傾斜角度検出部が備えられ、
前記制御部は、前記姿勢判定部によって前記前後傾斜角度が所定の前後傾斜許容範囲内にないことが判定された場合
、前記重量測定部に前記重量測定を指令しないと共に、前記前後傾斜角度が前記前後傾斜許容範囲内になるように前記前後姿勢変更部を制御し、前記前後傾斜角度が前記前後傾斜許容範囲内になった後に、前記重量測定部に前記重量測定を指令すると好適である。
【0013】
本構成によれば、走行機体の前後傾斜角度を検出する前後傾斜角度検出部が備えられており、前後の傾きが所定の前後傾斜許容範囲内にないと判定されると、まず、前後傾斜角度が前後傾斜許容範囲内になるように前後姿勢変更部が制御される。そして、前後傾斜角度が前後傾斜許容範囲内になってから、重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量の測定が行われる。このように、本構成であれば、走行機体の前後傾斜角度が大きなときは、自動的に前後傾斜角度の調整が行われるので、重量測定部による正確な重量測定をスムーズに実行できる。
【0014】
上記構成において
、
前記走行装置の走行速度を検出する車速センサが備えられ、
前記作業状態判定部が前記非作業状態であることを判定する条件に、前記走行速度がゼロであることが含まれていると好適である。
【0015】
走行装置の走行速度がゼロ以外のとき、すなわち走行中は、穀粒タンクの振動が大きくなるため重量測定の誤差が大きくなるおそれがある。しかし、本構成によれば、車速センサにより検出される走行装置の走行速度がゼロ以外のときは、非作業状態とは判定されず、重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量の測定が行われない。したがって、穀粒タンク内の穀粒の重量として正確性に欠く値が測定されてしまう可能性が排除され、結果として、穀粒タンクに貯留された穀粒の重量を精度よく測定できる。
【0016】
上記構成において
、
前記脱穀装置へ動力伝達を入り切りする脱穀クラッチが備えられ、
前記作業状態判定部が前記非作業状態であることを判定する条件に、前記脱穀クラッチが切り状態であることが含まれていると好適である。
【0017】
脱穀クラッチが入り状態のときは脱穀装置の作動により穀粒タンクへ振動が伝達される状態となるため重量測定の誤差が大きくなるおそれがある。しかし、本構成によれば、脱穀装置へ動力伝達を入り切りする脱穀クラッチが切り状態でないとき、すなわち脱穀クラッチが入り状態のときには、非作業状態とは判定されず、重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量の測定が行われない。したがって、穀粒タンク内の穀粒の重量として正確性に欠く値が測定されてしまう可能性が排除され、結果として、穀粒タンクに貯留された穀粒の重量を精度よく測定できる。
【0018】
上記構成において
、
前記刈取部に設けられて刈取穀稈の存在を検出する穀稈センサが備えられ、
前記作業状態判定部が前記非作業状態であることを判定する条件に、前記刈取部に刈取穀稈が存在していないことが含まれていると好適である。
【0019】
刈取部に穀稈が存在しており穀稈センサによって刈取穀稈が検出されている状態のとき、つまり、刈取部が作動しているときは、作動する刈取部から穀粒タンクへ振動が伝達され、重量測定の誤差が大きくなるおそれがある。しかし、本構成によれば、少なくとも刈取部に刈取穀稈が存在していないことを非作業状態であると判定する条件としているので、穀粒タンク内の穀粒の重量として正確性に欠く値が測定されてしまう可能性が排除され、結果として、穀粒タンクに貯留された穀粒の重量を精度よく測定できる。
【0020】
【0021】
【0022】
上記構成において
、
前記穀粒タンクに接続された縦オーガ、及び、前記縦オーガに接続されて前記穀粒タンクに貯留された穀粒を一端から外部へ排出可能であると共に、上下揺動可能かつ収納位置と作業位置との間で旋回可能な横オーガを有するアンローダと、
前記横オーガを前記収納位置に支持するオーガ受けと、
前記横オーガが前記オーガ受けに収納されている収納状態であるか否かを検出する収納検出部と、が備えられ、
前記制御部は、前記作業状態判定部によって前記非作業状態であることが判定されると
、前記収納検出部の検出結果を確認し
、
前記制御部は、前記収納検出部によって前記収納状態が検出されている
場合に前記重量測定部に前記重量測定を指令し、
前記収納検出部によって前記収納状態が検出されていない場合
に前記重量測定部に前記重量測定を指令しないと好適である。
【0023】
アンローダの横オーガは縦オーガに片持ち支持されているものであり、横オーガがオーガ受けに適正に収納されている状態と、横オーガがオーガ受けに適正に収納されていない状態とでは、穀粒タンクにおける重心位置が変化して、重量測定の結果が異なるおそれがある。本構成によれば、非作業状態であると判定されてから、横オーガがオーガ受けに適正に収納されていると判定されると、重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量測定は行われる。しかし、非作業状態であると判定されたとしても、横オーガがオーガ受けに適正に収納されていないと判定されると、重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量測定は行われない。このように、横オーガがオーガ受けに適正に収納された安定状態のときに、重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量測定を行うので、正確性の高い重量の値を得ることができる。
【0024】
上記構成において
、
前記横オーガを上下揺動させる上下揺動駆動部と、
前記横オーガを旋回させる旋回駆動部と、が備えられ、
前記制御部は、前記収納検出部によって前記収納状態が検出されていない場合、前記重量測定部に前記重量測定を指令しないと共に、前記収納状態となるように前記上下揺動駆動部及び前記旋回駆動部を制御し、前記収納状態になった後に、前記重量測定部に前記重量測定を指令すると好適である。
【0025】
本構成によれば、横オーガが収納位置のオーガ受けに適正に収納されていない場合、横オーガがオーガ受けに適正に収納されてから重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量の測定が行われる。このように、本構成であれば、自動的に横オーガが正しくオーガ受けに収納されて重量測定が行われるので、重量測定部による正確な重量測定をスムーズに実行できる。
【0026】
上記構成において
、
前記穀粒タンクに接続された縦オーガ、及び、前記縦オーガに接続されて前記穀粒タンクに貯留された穀粒を一端から外部へ排出可能であると共に、上下揺動可能かつ収納位置と作業位置との間で旋回可能な横オーガを有するアンローダと、
前記横オーガを上下揺動させる上下揺動駆動部と、
前記横オーガを前記収納位置に支持するオーガ受けと、が備えられ、
前記制御部は、前記作業状態判定部によって前記非作業状態であることが判定されると、前記上下揺動駆動部を制御して前記横オーガを所定時間下降させた後に、前記重量測定部に前記重量測定を指令すると好適である。
【0027】
アンローダの横オーガは、旋回位置がずれるよりも、走行時の振動等によって上下位置がずれることの方が多い傾向にある。本構成によれば、横オーガが収納位置のオーガ受けに適正に収納されていない場合、横オーガを所定時間下降させてから重量測定部による穀粒タンク内の穀粒の重量の測定が行われる。このような場合には、横オーガを所定時間下降させれば、横オーガはオーガ受けに適正に収納される。このように、本構成であれば、自動的に横オーガが正しくオーガ受けに収納されて重量測定が行われるので、重量測定部による正確な重量測定をスムーズに実行できる。
【0028】
上記構成において
、
前記制御部は、前記重量測定部に前記重量測定を指令しない場合は、運転者に、測定に関する情報を報知すると好適である。
【0029】
本構成によれば、重量測定部に重量測定を指令しない場合には、測定に関する情報、例えば、重量測定を行うことができない旨の情報を運転者に報知できる。これにより、運転者は、重量測定ができないことを速やかに確認でき、種々の対応をとり得る。