特許第6037916号(P6037916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037916
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】回転軸支持構造及び回転機械
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/10 20060101AFI20161128BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   F16C33/10 Z
   F16C17/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-72643(P2013-72643)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-196788(P2014-196788A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】堤 栄一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆博
【審査官】 瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−060532(JP,A)
【文献】 特開2000−213542(JP,A)
【文献】 特開昭62−062021(JP,A)
【文献】 特開2005−240691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/10
F16C 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を支持し、
前記回転軸と対面する面に直接潤滑方式により潤滑油が供給され、前記回転軸から漏洩した前記潤滑油のミストを回収する吸引機構を保有するキャビティ内に配置された軸受と、
前記軸受の前記回転軸の軸方向の端面側で、かつ、前記回転軸の鉛直方向上側に配置された少なくとも1つの飛散防止板を有し、
前記飛散防止板は、前記回転軸の径方向内側の端面に、径方向内側に向かうにしたがって、軸方向において前記軸受から離れる向きに傾斜した傾斜部を有することを特徴とする回転軸支持構造。
【請求項2】
前記飛散防止板は、前記軸受に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の回転軸支持構造。
【請求項3】
前記回転軸支持構造は2つの飛散防止板を備え、1つの飛散防止板が前記軸受の前記回転軸の軸方向の一方の端面側に配置され、
他の1つの飛散防止板が前記軸受の前記回転軸の軸方向の他方の端面側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転軸支持構造。
【請求項4】
前記飛散防止板は、前記回転軸の接線を回転方向に沿った向きに伸ばした場合、水平方向または水平方向よりも鉛直方向上側に傾斜した接線と、前記傾斜部の内周面が形成する内周領域とが、軸方向から前記飛散防止板を見て重なるように配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の回転軸支持構造。
【請求項5】
前記軸受は、ジャーナル軸受であることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の回転軸支持構造。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の回転軸支持構造、を有する回転機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸をラジアル方向に支持する回転軸支持構造及び回転機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン、蒸気タービン等の回転機械は、回転軸を回転させる機構である。このような回転軸を有する回転機械では、ラジアル方向の力を受け、ラジアル方向の位置を規制するためにジャーナル軸受(ラジアル軸受)を設けているものがある(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1に記載のジャーナル軸受は、回転軸の回転時にロータとステータとの間の抵抗を低減するために、直接潤滑方式により軸受パッドの表面に直接潤滑油を供給する機構を備えている。また、特許文献2には、潤滑油ミストを回収する機構として、軸受カバーと軸受カバーで形成されたキャビティ内の空気を排出するためのダクトを設けることが記載されている。
【0004】
軸受の潤滑方式における直接潤滑方式とは、軸受パッドの表面に給油ノズル等を用いて直接潤滑油を供給して、軸方向に排油する方法である。この方式による回転軸廻りの潤滑油の流れを、図13および図14を用いて説明する。図13は、回転軸の軸方向から見た潤滑油の流れ図を示す。図14は、回転軸の径方向から見た潤滑油の流れ図を示す。潤滑油は、回転機械に組み込まれた図示していない潤滑油循環機構に配置された供給ポンプから配管を介して軸受機構に供給される。
【0005】
図13は、一例としてジャーナル軸受の回転軸の軸方向から見た断面図を示している。軸受150は、上部キャリアリング161aと下部キャリアリング161bとを有するキャリアリング161と、キャリアリング161の回転軸20側に配置された上部軸受パッド163と、下部軸受パッド164と、給油ノズル166と、を有する。潤滑油Lは、軸受150の下部キャリアリング161bに設けられた油供給穴167から油通路165に供給され、下部キャリアリング161b内の回転軸20の周方向に設けられた油通路165を経て、下部軸受パッド164に配置された給油ノズル166から回転軸20の表面に排出される。給油ノズル166は、周方向に複数配置されている。
【0006】
図14に示すように、油ノズル166から回転軸20の表面と軸受150の内周面の間の隙間に排出された潤滑油Lは、回転軸20の表面に沿って軸方向の上流側及び下流側に流れる。軸受150の軸方向の両端は、回転軸廻りの全周をサイドプレート155、156で覆われている。潤滑油Lは、サイドプレート155、156と回転軸20の表面の隙間から軸受が配置された軸受カバー内のキャビティ内に排出される。キャビティは、軸受カバーから外部に潤滑油の油ミスト等が漏れ出ないよう、潤滑油循環機構から吸引されて、減圧状態に保持されている。軸受150から排出された潤滑油Lは、キャビティ内の底部に油ドレンDRとして溜められ、潤滑油循環機構に戻されて循環使用される。また、キャビティ中の油ミストは、キャビティ内に設置された吸引口を有する吸引機構により吸引され、回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−203481号公報
【特許文献2】特開2005−240691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図14に示すように、軸受から排出された潤滑油は、サイドプレート155、156と回転軸の隙間からキャビティに排出されるが、回転軸20が高速で回転している場合、排出された潤滑油Lは、油ドレンDRとしてキャビティの底部に流下せずに、回転軸20の高速回転と共に回転軸20の廻りに連れ廻りして、遠心力により回転軸に直交する径方向に飛散する現象が発生する。すなわち、潤滑油がサイドプレート155、156から排出された直後に、遠心力によりサイドプレート155、156の側壁に沿って径方向の外側方向に流れ、サイドプレート155、156の端部の全周からキャビティ中に飛散する。キャビティの上方に飛び散った飛沫油SLの一部が、吸引口に流入して、吸引機構を閉塞させ、回転機械の運転ができなくなる恐れがある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、潤滑油の飛散による閉塞等を回避して、潤滑油が吸引機構等の他の機器に影響を与えることを抑制して、長期に渡り安定して運転することができる回転軸支持構造及び回転機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明の回転軸支持構造は、回転軸を支持し、前記回転軸と対面する面に直接潤滑方式により潤滑油が供給され、前記回転軸から漏洩した前記潤滑油のミストを回収する吸引機構を保有するキャビティ内に配置された軸受と、前記軸受の前記回転軸の軸方向の端面側で、かつ、前記回転軸の鉛直方向上側に配置された少なくとも1つの飛散防止板を有すること、を特徴とする。
【0011】
本発明によれば、飛散防止板により、軸受と回転軸の間から軸方向に排出された潤滑油が、鉛直方向上側に飛散することを抑制することができる。これにより、潤滑油による閉塞等の他の機器に影響を与えることを抑制することができ、回転機械を長期に渡り安定して運転することができる。
【0012】
本発明の回転軸支持構造では、前記飛散防止板は、前記軸受に固定されてもよい。
【0013】
本発明によれば、飛散防止板を簡単に装着することができ、かつ、軸受に対して、所望の位置に設置しやすくなる。
【0014】
本発明の回転軸支持構造は、2つの飛散防止板を備え、1つの飛散防止板が前記軸受の前記回転軸の軸方向の一方の端面側に配置され、他の1つの飛散防止板が前記軸受の前記回転軸の軸方向の他方の端面側に配置されてもよい。
【0015】
本発明によれば、軸受の軸方向の両端に飛散防止板を設けることで、潤滑油が飛散することをより抑制することができる。
【0016】
本発明の回転軸支持構造では、前記飛散防止板は、前記回転軸の径方向内側の端面に、径方向内側に向かうにしたがって、軸方向において前記軸受から離れる向きに傾斜した傾斜部を有してもよい。
【0017】
従って、鉛直方向下側に潤滑油を案内することができ、潤滑油が飛散することをより抑制することができる。
【0018】
本発明の回転軸支持構造では、前記飛散防止板は、前記回転軸の接線を回転方向に沿った向きに伸ばした場合、水平方向または水平方向よりも鉛直方向上側に傾斜した接線と、傾斜部の内周面が形成する内周領域とが、軸方向から飛散防止板を見て、重なるように配置されていてもよい。
【0019】
従って、潤滑油が鉛直方向上側に飛散されることをより確実に抑制することができる。
【0020】
本発明の回転軸支持構造では、前記軸受は、ジャーナル軸受であってもよい。
【0021】
上記の目的を達成するための本発明の回転機械は、上記のいずれかに記載の回転軸支持構造と、を有する。
【0022】
本発明によれば、他の機器に影響を与えることを抑制することができ、回転機械を長期に渡り安定して運転させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の回転軸支持構造及び回転機械によれば、飛散防止板により、軸受と回転軸の間から軸方向に排出された潤滑油が、鉛直方向上側に飛散することを抑制することができる。これにより、潤滑油を鉛直方向下側に落すことができ、他の機器に影響を与えることを抑制することができる。その結果、回転機械を長期に渡り安定して運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、回転軸支持構造の一実施例であるジャーナル軸受機構を備えるガスタービンの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、本実施例のジャーナル軸受機構の回転軸の径方向から見た概略構成を示す断面図である。
図3図3は、本実施例のジャーナル軸受機構の回転軸の軸方向から見た概略構成を示す断面図である。
図4図4は、本実施例のジャーナル軸受機構の回転軸の径方向から見た概略構成を示す断面図である。
図5図5は、本実施例の一方の飛散防止板の概略構成を示す正面図である。
図6図6は、図5のA−A線断面図である。
図7図7は、図5のB−B線断面図である。
図8図8は、本実施例の他方の飛散防止板の概略構成を示す正面図である。
図9図9は、図8のC−C線断面図である。
図10図10は、本実施例の飛散防止板の機能を説明する説明図である。
図11図11は、本実施例の飛散防止板の機能を説明する説明図である。
図12図12は、本実施例の飛散防止板の機能を説明する説明図である。
図13図13は、回転軸の軸方向から見た潤滑油の流れ図を示す。
図14図14は、回転軸の径方向から見た潤滑油の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る回転軸支持構造の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。本実施例では、好適な実施例として、回転機械をガスタービンとした場合として説明するが、ガスタービン以外の回転機械、例えば蒸気タービンや、各種原動機およびポンプ等に用いることができる。本実施例の回転軸支持構造は、装置構成が大きくなるガスタービンに用いる場合により好適な効果を得ることができる。
【実施例】
【0026】
図1は、回転軸支持構造の一実施例であるジャーナル軸受機構を備えるガスタービンの概略構成を示す模式図である。ガスタービン10は、図1に示すように、圧縮機12と、燃焼器14と、タービン16と、軸受装置18と、軸受装置19と、回転軸20と、を有する。ガスタービン10の各部は、ケーシング24の内部に配置されている。ガスタービン10は、圧縮機12の一部とタービン16の一部とが回転軸20に固定され、回転軸20とともに回転する。圧縮機12は、空気を取り入れて圧縮する。圧縮機12で圧縮された空気は、燃焼器14に供給される。燃焼器14は、圧縮機12で圧縮された空気に燃料を混合して燃焼ガスGを発生させる。
【0027】
タービン16は、燃焼器14で発生した燃焼ガスGをその内部に導入して膨張させて回転軸20に設けられた動翼22に吹き付けることで、燃焼ガスGの熱エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換して動力を発生させる。
【0028】
具体的には、タービン16は、図1に示すように、回転軸20と、回転軸20側に設けられた複数の動翼22と、回転軸20及び動翼22を収容するケーシング24と、ケーシング24側に固定された複数の静翼26とを備える。タービン16は、動翼22と静翼26とが、回転軸20の軸方向に交互に配列されている。動翼22は、燃焼器14から噴射されて回転軸20の軸方向に流れる燃焼ガスGによって回転軸20を回転させる。回転軸20の回転エネルギーは、回転軸20に連結された機構、例えば発電機により取り出される。なお、以下の説明において、タービン16から圧縮機12を見る側(図1の紙面上で左側)を上流側と呼び、圧縮機12側からタービン16を見る側(図1の紙面上で右側)を下流側と呼ぶ。また、回転軸20が延伸する方向を軸方向と呼び、軸方向に直交する方向を径方向と呼ぶ。また、回転軸20の軸中心Pが延伸する方向を水平方向と呼ぶ。さらに、水平面に対して垂直な方向を鉛直方向と呼ぶ。
【0029】
軸受装置18は、回転軸20の圧縮機12よりも上流側に配置されている。軸受装置18は、ジャーナル軸受機構30と、スラスト軸受機構40と、潤滑油循環機構41と、吸引機構48と、を有する。ジャーナル軸受機構30は、ケーシング24に固定されており、回転軸20の径方向の荷重を受け、ケーシング24に対する回転軸20の径方向の移動を規制する。スラスト軸受機構40は、ケーシング24に固定されており、回転軸20の軸方向の荷重を受け、ケーシング24に対する回転軸20の軸方向の移動を規制する。潤滑油循環機構41は、ジャーナル軸受機構30とスラスト軸受機構40に潤滑油を供給し、回収して、潤滑油を循環させる。また、吸引機構48は、ジャーナル軸受機構30を収容する軸受カバー31により形成される空間(キャビティ32)の空気を吸引して、潤滑油の油ミストを回収するために設けられる。潤滑油循環機構41には、図示していない排気ファン等が設けられ、空間中の空気を吸引して、空間内を減圧下に維持している。吸引機構48から潤滑油循環機構41に送られた空気中に含まれた油ミストは、空気中から分離され、ジャーナル軸受で回収された油ドレンDRと共に潤滑油循環機構41内に貯留される。回収された潤滑油Lは、図示していない供給ポンプで軸受機構に加圧供給される。これにより、吸引機構48は、ジャーナル軸受機構30に形成された空間内の空気に混入した潤滑油のミストを回収し、潤滑油循環機構41に戻すことができる。吸引機構48により、空間内の空気を吸引することで、空間内が常に減圧下に維持され、油ミストが軸受カバーから外部に漏れ出すことを防止できる。
【0030】
軸受装置19は、回転軸20のタービン16側の端部に設けられている。軸受装置19は、ジャーナル軸受機構30と、潤滑油循環機構42と、吸引機構49と、を有する。ジャーナル軸受機構30は、ケーシング24に固定されており、回転軸20の径方向の荷重を受け、ケーシング24に対する回転軸20の径方向の移動を規制する。潤滑油循環機構42は、ジャーナル軸受機構30に潤滑油を供給し、回収して、潤滑油を循環させる。吸引機構49は、吸引機構48と同じ機能を備え、ジャーナル軸受機構30に形成されたキャビティ32内の空気を吸引することで、油ミストがジャーナル軸受のキャビティ32から外部に漏れ出すことを防止することができる。ガスタービン10は、以上のような構成であり、軸受装置18、19が回転軸20をケーシング24に対して支持している。
【0031】
次に、図2から図12を用いて、回転軸を支持する回転軸支持構造の一例であるジャーナル軸受機構30について説明する。なお、本実施例では、軸受装置18のジャーナル軸受機構30について説明するが、軸受装置19のジャーナル軸受機構30も同様の構成とすることが好ましい。まず、図1及び図2を用いて、ジャーナル軸受機構30の概略構成について説明する。図2は、本実施例のジャーナル軸受機構の概略構成を示す断面図である。
【0032】
ジャーナル軸受機構30は、図1に示すように、周囲がケーシング24で囲まれている。ジャーナル軸受機構30は、図2に示すように、軸受カバーに囲われて配置されており、ジャーナル軸受50と、サイドプレート55、56と、飛散防止板52、54と、を有する。ジャーナル軸受50を収容した軸受カバー31で囲まれた空間は、キャビティ32を形成している。
【0033】
ジャーナル軸受(軸受)50は、回転軸20の外周に配置され、内周面が回転軸20と対面している。ジャーナル軸受50は、ケーシング24に固定されている。ジャーナル軸受50は、潤滑油循環機構41から潤滑油Lが供給される。ジャーナル軸受50は、供給された潤滑油Lにより回転軸20との間に潤滑油膜を形成する。供給された潤滑油は、ジャーナル軸受と回転軸20の間の隙間から油ドレンDRとして排出され、基本的に回転軸20から鉛直方向下に落下し、キャビティ32の底に貯留される。回収された油ドレンDRは、潤滑油循環機構41で回収された油ミストと一緒にして、再循環、再使用される。また、サイドプレート55、56は、回転軸20の廻りのジャーナル軸受50の全周を軸方向から覆うように、ジャーナル軸受50の軸方向の両端に取付けられている。
【0034】
飛散防止板52は、ジャーナル軸受50の軸方向の上流側、つまり、スラスト軸受機構40側の面に固定されている。飛散防止板54は、ジャーナル軸受50の軸方向の下流側の面に固定されている。なお、飛散防止板52、54の形状、機能については、後述する。次に、吸引機構48は、ジャーナル軸受50が配置されているキャビティ32内で、ジャーナル軸受50の鉛直方向上側の空間内に、吸引口48aが形成されている。なお、吸引口48aの位置は、径方向ではジャーナル軸受50の外周側で、軸方向ではジャーナル軸受50の軸方向厚さの中間のキャビティ32内が好ましい。この位置であれば、飛沫油SLが直接吸引口48aに流入するおそれはない。
【0035】
次に、図3及び図4を用いて、ジャーナル軸受50について概略構造を説明する。図3は、本実施例の直接潤滑方式が適用されたジャーナル軸受50の概略構成を示す正面図である。ジャーナル軸受50は、ティルティングパッドジャーナル軸受であり、キャリアリング61と、上部軸受パッド63と、下部軸受パッド64と、給油ノズル66と、を有する。
【0036】
軸受のハウジングであるキャリアリング61は、上部キャリアリング61aと、下部キャリアリング61bと、からなる。上部キャリアリング61aと、下部キャリアリング61bと、は、ボルト締結等で連結されている。上部軸受パッド63は、外周面が上部キャリアリング61aの内周面に接している。下部軸受パッド64は、その外周面が下部キャリアリング61bの内周面に接して、径方向の内側に配置されている。
【0037】
上部軸受パッド63と下部軸受パッド64には、周方向の両端部及び中間部の内周面側に複数の給油ノズル66が設けられている。それぞれの給油ノズル66は、軸方向に回転軸に平行に配置されている。下部キャリアリング61bには、ジャーナル軸受50に潤滑油を供給するため、油供給穴67が設けられている。また、油供給穴67は、上部キャリアリング61aおよび下部キャリアリング61bの内周側の周方向に穿孔された油通路65に接続されている。さらに、油通路65は、径方向の内方側に分岐して給油ノズル66に連通している。給油ノズル66は、回転軸20の内周面側に、複数の開口を有している。なお、上述の構造は、直接潤滑方式のジャーナル軸受の構造の一例であり、直接潤滑方式のジャーナル軸受であれば、他の公知の構造でもよく、例えば、特許文献1に示す構造でもよい。
【0038】
次に、図2に加え、図5から図12を用いて、飛散防止板52、54について説明する。図5は、本実施例の一方の飛散防止板の概略構成を示す正面図である。図6は、図5のA−A線断面図である。図7は、図5のB−B線断面図である。図8は、本実施例の他方の飛散防止板の概略構成を示す正面図である。図9は、図8のC−C線断面図である。図10から図12は、それぞれ、本実施例の飛散防止板の機能を説明する説明図である。
【0039】
飛散防止板52は、図2及び図5に示すように、ジャーナル軸受50に対して軸方向の上流側に配置され、内径が回転軸20よりも大きく、外径がジャーナル軸受50の外径と略同じリング形状の部材である。さらに、飛散防止板52は、回転軸20の軸廻りの方向(回転方向)において、半円(180度)分に切断した形状である。つまり、飛散防止板52は、回転方向における配置領域が全周の半分となる。飛散防止板52は、回転方向における2つの端面79を結んだ線が、水平方向に対して傾斜した状態でジャーナル軸受50の鉛直方向上側部分を覆っている。具体的には、2つの端面79を軸方向の上流側から見た場合、水平方向から回転方向に対して逆方向に一定角度回転させた状態となる。
【0040】
飛散防止板52は、図5及び図6に示すように、径方向外側の環状板材部分が基部70となり、ジャーナル軸受50と接触している。飛散防止板52は、基部70よりも径方向内側の部分が、基部70に対して傾斜した傾斜部72となる。傾斜部72は、径方向内側に向かうにしたがって、基部70が固定されているジャーナル軸受50から軸方向に離れる向きに傾斜している。傾斜部72の回転軸20に対面する側の内周面72aは、基部70の内周端70aに連接している。また、傾斜部72の軸方向上流側の先端には、鋭角状の先端部72bが形成されている。
【0041】
また、飛散防止板52は、図5及び図7に示すように、回転方向の後方側において、水平方向に突起部74が設けられている。突起部74は、基部70及び傾斜部72のジャーナル軸受50と接触している面とは軸方向の反対側の面に配置されており、基部70の面から回転軸20の軸方向に突出している。また、突起部74は、基部70の径方向外側の端部よりもさらに径方向の外側に突出している。また、飛散防止板52は、基部70に飛散防止板52をジャーナル軸受50に締結するためのボルトを挿入するボルト穴78が複数設けられている。
【0042】
飛散防止板54は、図2及び図8に示すように、ジャーナル軸受50に対して軸方向の下流側に配置され、内径が回転軸20よりも大きく、外径がジャーナル軸受50の外径と略同じリング形状の部材である。さらに、飛散防止板54は、回転軸20の軸廻りの方向(回転方向)において、半円(180度)分に切断した形状である。つまり、飛散防止板54も、回転方向における配置領域が全周の半分となる。飛散防止板54は、回転方向における2つの端面89を結んだ線が、水平方向に対して傾斜した状態でジャーナル軸受50の鉛直方向上側部分を覆っている。具体的には、2つの端面89を軸方向の下流側から見た場合、水平方向から回転方向に対して逆方向に一定角度回転させた状態となる。したがって、飛散防止板54は、軸方向から見た場合に、回転方向における配置位置が飛散防止板52と重なる。
【0043】
飛散防止板54は、基本的な断面形状が飛散防止板52と同様の形状となる。具体的には、飛散防止板54は、基本的な断面形状が図6に示すA−A線断面と同様の形状となる。飛散防止板54は、径方向外側の環状板材部分が基部80となり、ジャーナル軸受50と接触している。飛散防止板54は、基部80よりも径方向内側の部分は、基部80に対して傾斜した傾斜部82となる。傾斜部82は、径方向内側に向かうにしたがって、基部80が固定されているジャーナル軸受50から軸方向に離れる向きに傾斜している。傾斜部82の形状は、傾斜部72と実質同じ形状である。
【0044】
また、飛散防止板54は、図8及び図9に示すように、鉛直方向の最も下側となる位置に突起部84が設けられている。突起部84は、基部80及び傾斜部82のジャーナル軸受50と接触している面とは軸方向の反対側の面に配置されており、基部80の面から回転軸20の軸方向に突出している。また、飛散防止板54は、基部80に飛散防止板54をジャーナル軸受50に締結するためのボルトを挿入するボルト穴88が複数設けられている。
【0045】
飛散防止板52、54は、前述のような形状である。ジャーナル軸受機構30は、図10から図12に示すように飛散防止板52、54を設けることで、回転軸20とジャーナル軸受50との間から軸方向に排出され潤滑油Lが、飛沫油SLとして回転軸20に対して鉛直方向上側に飛散することを抑制することができる。すなわち、上述の図14に示す軸受150で説明したように、ジャーナル軸受50に供給された潤滑油Lは、軸方向の両端に配置されたサイドプレート55、56と回転軸20との間の隙間から回転軸20に沿って飛散防止板52、54側に排出される。さらに、図10図11及び図14に示すように、サイドプレート55、56から排出された潤滑油Lは、回転軸20の遠心力でサイドプレート55,56の側壁に沿って、全ての径方向の外側方向に飛散しようとする(矢印102)。飛散防止板52で囲われた領域の場合、回転軸20の表面に沿って流出した潤滑油Lは、図12の矢印102に示すように、一旦サイドプレート55の側壁に沿って径方向外側方向に流れる。潤滑油Lは、サイドプレート55の側壁に沿って径方向外側方向に流れた後、基部70の内周端70a及び傾斜部72の内周面72aに衝突して、矢印103に示すように、傾斜部72の傾斜する径方向内側に折り返す流れを形成する。従って、傾斜部72の先端部72bを離れた潤滑油Lが、先端部72bから傾斜部の外周面に沿って径方向の外側を流れて、飛沫油SLとして飛散することはない。ここで、本実施例において、図10及び図11に示すように、回転軸20は矢印101の方向に回転しているため、排出された潤滑油Lは、回転軸20の表面に沿って、軸方向に排出されると共に、回転軸20の遠心力により、回転軸20の表面の接線方向、かつ、回転方向前方側の方向である、矢印102の方向に排出される。
【0046】
ジャーナル軸受機構30は、図10及び図11に示すように、リング状の半円分の形状となる飛散防止板52、54が水平鉛直方向上側の半分を覆う位置から所定角度回転させた位置に配置されている。本実施例では、飛散防止板52、54を90度以下の角度で回転させている。具体的には、飛散防止板52、54は、軸方向から飛散防止板52、54を見た場合、傾斜部72、82の内周面72a、82aが形成する領域、すなわち、基部70の内周端70aと傾斜部72の径方向先端部72bで囲まれた領域(内周領域)とが、回転軸20の表面の接線重なる領域に配置されることが好ましい。回転軸20の表面から離れた潤滑油の流線が形成する矢印102の中で、水平方向に対して鉛直方向の上方を向く接線が、傾斜部72の内周面72aに衝突するような角度で取り付けられていればよい。つまり、図10において、回転方向の最前方側の基部70の内周端70aと端面79の交差する内周縁79aを通る接線となる矢印102aが、水平方向に対して平行か又は鉛直方向の下向きとなる取付け角度であればよい。
【0047】
これにより、飛散防止板52、54は、水平方向または水平方向よりも鉛直方向上側に排出された潤滑油を、図12に示すように、傾斜部72(82)の内周面72a(82a)に接触させることができる。傾斜部72(82)の内周面72a(82a)に接触した潤滑油は、進行方向が径方向外向きの流れから反対向きの流れとなる。つまり、潤滑油は、傾斜部72(82)により、水平方向または水平方向よりも鉛直方向下側に傾いた向きで、かつ、径方向内側の向きに流れが変えられ、油ドレンDRとしてキャビティ32の底部に落下する。
【0048】
なお、図10において、飛散防止板52がない回転軸20の鉛直方向の下側の領域の場合、大半の潤滑油の流線が形成する接線となる矢印102の方向は、水平方向に対して回転方向に下向きとの方向となるので、潤滑油がキャビティ32内に飛沫油SLとなって飛散するおそれはない。但し、飛散防止板52は、傾斜部72の内周面72aの回転方向の最後方側の端面79と交差する内周端79bを通る接線となる矢印102bが、水平方向に対して平行か又は鉛直方向の下向きとなる取付け角度が好ましい。
【0049】
このように、ジャーナル軸受機構30は、飛散防止板52、54を設けることで、ジャーナル軸受50と回転軸20との間から排出され、径方向外側方向に飛散する潤滑油を水平方向に対して鉛直方向下側に案内することができる。つまり、飛散防止板52、54で径方向に飛散する潤滑油を鉛直方向下側に案内することで、ジャーナル軸受50の径方向よりも外側において、潤滑油が鉛直方向上側に排出され、飛沫油SLとしてキャビティ32内に飛散することを抑制することができる。回転軸20から鉛直方向下方に流下した潤滑油は、油ドレンDRとしてキャビティ32の底部に貯留され、潤滑油循環機構41、42に返送される。
【0050】
これにより、ジャーナル軸受50の周囲に配置されている他の機器に影響を与えることを抑制することができる。例えば、本実施例のように、ジャーナル軸受50が配置された空間の空気を吸引し、吸引機構48を設けた場合であっても、吸引口48aの周辺に飛散した潤滑油が到達することを抑制することができる。これにより吸引機構48は、ミスト状の潤滑油を含む空気の吸引時に液滴の潤滑油である飛沫油SLを吸引してしまうことを抑制することができる。これにより、吸引機構48が飛沫油SLを吸引してしまい、吸引口48a等が閉塞してしまうことを抑制することができる。これにより、潤滑油による閉塞等の他の機器に影響を与えることを抑制することができ、回転機械を長期に渡り安定して運転することができる。
【0051】
また、本実施例のように、飛散防止板52、54に傾斜部72、82を設けることで、飛散防止板52、54でより高確率で潤滑油を捕らえることができ、さらに、鉛直方向下側に潤滑油を案内することができる。これにより、潤滑油が他の機器に影響を与える恐れを低減することができる。これにより、潤滑油による閉塞等の他の機器に影響を与えることを抑制することができ、回転機械を長期に渡り安定して運転することができる。
【0052】
また、飛散防止板52、54は、突起部74、84を設けることで、他の部分で反射した潤滑油等が鉛直方向上側に跳ね返ってきた場合でも、鉛直方向上側に移動することを遮ることができる。これにより、潤滑油が他の機器に影響を与える恐れをより低減することができる。なお、突起部74、84は、回転方向に複数配置してもよい。
【0053】
なお、飛散防止板は、上記各種効果を得ることができるため、本実施例の各種形状を備えることが好ましいが、これに限定されない。例えば、飛散防止板の回転方向において配置する範囲は、回転軸の表面から離れた潤滑油の流線が形成する接線が、飛散防止板の内周領域に重なるという条件を満たす限り、180度に限定されない。90度でも170度でも250度でもよい。なお、飛散防止板は、180度とすることで、水平方向または水平方向よりも鉛直方向上側に傾いた向きで排出される潤滑油を好適に捕らえることができる。また、飛散防止板は、傾斜部、突起部を設けていることが好ましいが、これに限定されない。傾斜部に換えて、軸方向に平行な遮蔽部を設けてもよい。また、飛散防止板の径方向内側の面の形状は、断面が直線となっても曲線となっても、その組み合わせでもよい。
【0054】
また、ジャーナル軸受機構は、本実施例のように軸方向の両端のそれぞれに飛散防止板を配置することが好ましいが、一方側のみに設けてもよい。また、ジャーナル軸受機構は、吸引機構を備えている場合、軸方向において、吸引口が設けられている側のジャーナル軸受の端面には、飛散防止板を設けることが好ましい。これにより、吸引口に潤滑油が到達することを好適に抑制することができる。
【0055】
また、本実施例のジャーナル軸受機構は、飛散防止板をジャーナル軸受に固定したが、これに限定されない。飛散防止板は、ジャーナル軸受と回転軸の間から排出される潤滑油の飛散を防止できればよく、ジャーナル軸受以外の部品で支持されていてもよい。例えば、ケーシングに固定されていてもよい。
【0056】
本実施例のようにジャーナル軸受機構を回転軸支持構造とすることで、排出される潤滑油の影響をより好適に抑制することができる。なお、回転軸支持機構としては、ジャーナル軸受機構に限定されず、スラスト軸受機構に設けてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 ガスタービン
12 圧縮機
14 燃焼器
16 タービン
18、19 軸受装置
20 回転軸
22 動翼
24 ケーシング
26 静翼
30 ジャーナル軸受機構(回転軸支持機構)
31 軸受カバー
32 キャビティ
40 スラスト軸受機構
41、42 潤滑油循環機構
48 吸引機構
48a 吸引口
50 軸受(ジャーナル軸受)
52、54 飛散防止板
55、56 サイドプレート
61 キャリアリング
61a 上部キャリアリング
61b 下部キャリアリング
63 上部軸受パッド
64 下部軸受パッド
65 油通路
66 給油ノズル
67 油供給穴
70 基部
70a 内周端
72、82 傾斜部
72a、82a 内周面
72b 先端部
74、84 突起部
78 ボルト穴
79 端面
79a 内周縁
79b 内周端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14