特許第6037923号(P6037923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6037923表示情報生成装置および表示情報生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037923
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】表示情報生成装置および表示情報生成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0484 20130101AFI20161128BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20161128BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   G06F3/0484 150
   G01C21/26 A
   B60R16/02 640J
【請求項の数】18
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-80157(P2013-80157)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-203318(P2014-203318A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】若柳 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】下谷 光生
【審査官】 笠田 和宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−317418(JP,A)
【文献】 特開2013−003597(JP,A)
【文献】 特開2006−010531(JP,A)
【文献】 特開2009−205302(JP,A)
【文献】 特開2011−138421(JP,A)
【文献】 特開2012−208044(JP,A)
【文献】 特開2007−131291(JP,A)
【文献】 特開2011−089820(JP,A)
【文献】 特開2005−284592(JP,A)
【文献】 特開2007−010498(JP,A)
【文献】 特開2011−027626(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/100890(WO,A1)
【文献】 特開2007−069766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B60R 16/00 −17/02
G01C 21/00 −21/36
23/00 −25/00
G06F 3/01
3/048− 3/0489
3/14 − 3/153
G06T 11/00 −11/40
15/00 −17/00
17/10 −17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載の表示部に表示すべき情報を生成する表示情報生成装置であって、
ぼかし処理の対象である第1の描画オブジェクトと、前記ぼかし処理の対象でない第2の描画オブジェクトとを生成する描画オブジェクト生成部と、
前記描画オブジェクト生成部にて生成された前記第1の描画オブジェクトに対して前記ぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の前記第1の描画オブジェクトと、前記描画オブジェクト生成部にて生成された前記第2の描画オブジェクトとを合成する描画オブジェクト合成部と、
予め定められた条件に応じて、前記描画オブジェクト合成部にて行われる前記ぼかし処理のぼかしの程度を制御する制御部と、
を備え、
前記ぼかし処理は、ブラー処理であり、
前記第1の描画オブジェクトは、背景画像であり、
前記第2の描画オブジェクトは、予め定められた情報を提示する情報画像であり、
前記描画オブジェクト合成部は、前記第1の描画オブジェクトの予め定められた領域に対して前記ぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の前記第1の描画オブジェクトに前記第2の描画オブジェクトを重畳して合成し、
前記描画オブジェクト合成部は、前記第2の描画オブジェクトと重畳している領域のみに対して前記ぼかし処理を行うことを特徴とする、表示情報生成装置。
【請求項2】
車載の表示部に表示すべき情報を生成する表示情報生成装置であって、
ぼかし処理の対象である第1の描画オブジェクトと、前記ぼかし処理の対象でない第2の描画オブジェクトとを生成する描画オブジェクト生成部と、
前記描画オブジェクト生成部にて生成された前記第1の描画オブジェクトに対して前記ぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の前記第1の描画オブジェクトと、前記描画オブジェクト生成部にて生成された前記第2の描画オブジェクトとを合成する描画オブジェクト合成部と、
予め定められた条件に応じて、前記描画オブジェクト合成部にて行われる前記ぼかし処理のぼかしの程度を制御する制御部と、
を備え、
前記第1の描画オブジェクトは、背景画像であり、
前記第2の描画オブジェクトは、予め定められた情報を提示する情報画像であり、
前記描画オブジェクト合成部は、前記第1の描画オブジェクトの予め定められた領域に対して前記ぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の前記第1の描画オブジェクトに前記第2の描画オブジェクトを重畳して合成し、
前記背景画像は、ビットマップ画像および映像画像のうちの少なくとも一方であり、
前記描画オブジェクト合成部は、前記第2の描画オブジェクトと重畳している領域のみに対して前記ぼかし処理を行うことを特徴とする、表示情報生成装置。
【請求項3】
前記情報画像は、運転者に対する注意喚起の情報を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の表示情報生成装置。
【請求項4】
前記背景画像は、ビットマップ画像、地図画像、および映像画像を含むことを特徴とする、請求項ないしのいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項5】
前記第1の描画オブジェクトは、複数の第3の描画オブジェクトを含み、
前記描画オブジェクト合成部は、前記第3の描画オブジェクトのそれぞれに対して、ぼかしの程度が異なるように前記ぼかし処理を行うことを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項6】
前記第1の描画オブジェクトは、操作制限がかかっているときの前記第1の描画オブジェクトであることを特徴とする、請求項1または2に記載の表示情報生成装置。
【請求項7】
前記条件は、自車両の速度であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項8】
前記条件は、経路案内時における、自車両の現在位置と予め定められた地点との距離であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項9】
前記条件は、警告灯がオンであることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項10】
前記条件は、電話あるいはメールの着信であることを特徴とする、請求項1ないしのいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項11】
前記ぼかし処理は、ブラー処理、半透過処理、およびグラデーション処理を含むことを特徴とする、請求項2ないし10のいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記ぼかしの程度を多段階または連続的に変化させる制御を行うことを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項13】
前記表示部は、スプリットビューの機能を有し、
前記制御部は、前記条件に応じて、前記スプリットビューの各画面の少なくとも一方において、前記第1の描画オブジェクトの前記ぼかしの程度を制御することを特徴とする、請求項1ないし12のいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記スプリットビューの各画面で前記ぼかしの程度を制御し、
一方の画面と他方の画面とで前記第1の描画オブジェクトが異なることを特徴とする、請求項13に記載の表示情報生成装置。
【請求項15】
前記表示部は、自車両内に複数備えられ、
前記制御部は、前記条件に応じて、予め定められた前記表示部にのみ表示される前記第1の描画オブジェクトの前記ぼかしの程度を制御することを特徴とする、請求項1ないし12のいずれかに記載の表示情報生成装置。
【請求項16】
前記条件は、電話またはメールの着信であり、
前記制御部は、前記予め定められた前記表示部以外の他の前記表示部にのみ表示される、前記着信に関する情報を含む前記第1の描画オブジェクトの前記ぼかしの程度を制御することを特徴とする、請求項15に記載の表示情報生成装置。
【請求項17】
車載の表示部に表示すべき情報を生成する表示情報生成方法であって、
(a)ぼかし処理の対象である第1の描画オブジェクトと、前記ぼかし処理の対象でない第2の描画オブジェクトとを生成する工程と、
(b)前記工程(a)にて生成された前記第1の描画オブジェクトに対して前記ぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の前記第1の描画オブジェクトと、前記工程(a)にて生成された前記第2の描画オブジェクトとを合成する工程と、
(c)予め定められた条件に応じて、前記工程(b)にて行われる前記ぼかし処理のぼかしの程度を制御する工程と、
を備え、
前記ぼかし処理は、ブラー処理であり、
前記第1の描画オブジェクトは、背景画像であり、
前記第2の描画オブジェクトは、予め定められた情報を提示する情報画像であり、
前記工程(b)は、前記第1の描画オブジェクトの予め定められた領域に対して前記ぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の前記第1の描画オブジェクトに前記第2の描画オブジェクトを重畳して合成し、
前記工程(b)は、前記第2の描画オブジェクトと重畳している領域のみに対して前記ぼかし処理を行うことを特徴とする、表示情報生成方法。
【請求項18】
車載の表示部に表示すべき情報を生成する表示情報生成方法であって、
(a)ぼかし処理の対象である第1の描画オブジェクトと、前記ぼかし処理の対象でない第2の描画オブジェクトとを生成する工程と、
(b)前記工程(a)にて生成された前記第1の描画オブジェクトに対して前記ぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の前記第1の描画オブジェクトと、前記工程(a)にて生成された前記第2の描画オブジェクトとを合成する工程と、
(c)予め定められた条件に応じて、前記工程(b)にて行われる前記ぼかし処理のぼかしの程度を制御する工程と、
を備え、
前記第1の描画オブジェクトは、背景画像であり、
前記第2の描画オブジェクトは、予め定められた情報を提示する情報画像であり、
前記工程(b)は、前記第1の描画オブジェクトの予め定められた領域に対して前記ぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の前記第1の描画オブジェクトに前記第2の描画オブジェクトを重畳して合成し、
前記背景画像は、ビットマップ画像および映像画像のうちの少なくとも一方であり、
前記工程(b)は、前記第2の描画オブジェクトと重畳している領域のみに対して前記ぼかし処理を行うことを特徴とする、表示情報生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載の表示装置に表示すべき情報を生成する表示情報生成装置および表示情報生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載の表示装置に表示する表示情報の視認性を良くするために、種々の工夫がなされている。
【0003】
例えば、カメラで撮影した映像(以下、映像画像という)を複数の領域に分割し、各領域に含まれる対象物と自車両との相対速度に応じて領域ごとにぼかし処理を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−27138号公報
【特許文献2】特開2007−69766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、画像を表示する機能を有するメータパネルなどの表示装置では、一般的に2種類以上の描画オブジェクトが画像として表示されており、例えば、第1の描画オブジェクトであるカメラによって撮影された映像画像や地図画像等に重畳して、第2の描画オブジェクトである速度等の自車両の情報を表示するシステムが提案されている。この場合、自車両の走行速度が速いと第2の描画オブジェクトの背景である第1の描画オブジェクトの表示内容が次々と変化し、第2の描画オブジェクトである速度等の情報の視認性が悪くなるという問題がある。
【0006】
特許文献1では、表示装置に表示される描画オブジェクトは映像画像のみ(すなわち、描画オブジェクトは1つ)であり、当該映像画像を分割した各領域に対してぼかし処理を行うことによって、運転者が注意すべき対象物の認知・判断を容易にしている。しかし、映像画像を分割する処理をリアルタイムで行っているため、処理の負担が大きくなるという問題がある。また、画像処理の誤りによって、表示装置に表示される映像画像にチラつきや、各領域の境界部分における色調の不一致などが生じることが予想される。
【0007】
また、特許文献1に開示される技術は言い換えると第1の描画オブジェクトの視認性を向上するために、第1の描画オブジェクトの一部にぼかし処理を入れるものであり、2種類以上の描画オブジェクトが存在する場合に、一方の描画オブジェクトの一部をぼかすことにより他方の描画オブジェクトの視認性を向上させる方法については何ら示唆されていない。2種類以上の描画オブジェクトが表示される表示装置において、無理に特許文献1に開示される技術を採用すると、第1の描画オブジェクトに対して分割した領域ごとにぼかし処理を行っているため、第2の描画オブジェクトの位置とは無関係にぼかし処理がなされるので、第2の描画オブジェクトの視認性の向上には寄与することができなかった。
【0008】
また、複数の描画オブジェクトの背景間の色調が急激に変化しないように、異なる描画オブジェクトの背景の境界部分に対してグラデーション処理を行う技術(例えば、特許文献2参照)が開示されているが、この文献の主旨は色調を合わし込みデザイン性を追及するものであり、第2の描画オブジェクトの視認性を向上させる効果はなかった。
【0009】
このように、従来では、運転状況に応じて必要な情報の視認性を向上させているとはいえない。
【0010】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、運転状況に応じて必要な情報の視認性を向上させることが可能な表示情報生成装置および表示情報生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明による表示情報生成装置は、車載の表示部に表示すべき情報を生成する表示情報生成装置であって、ぼかし処理の対象である第1の描画オブジェクトと、ぼかし処理の対象でない第2の描画オブジェクトとを生成する描画オブジェクト生成部と、描画オブジェクト生成部にて生成された第1の描画オブジェクトに対してぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の第1の描画オブジェクトと、描画オブジェクト生成部にて生成された第2の描画オブジェクトとを合成する描画オブジェクト合成部と、予め定められた条件に応じて、描画オブジェクト合成部にて行われるぼかし処理のぼかしの程度を制御する制御部とを備え、ぼかし処理は、ブラー処理であり、第1の描画オブジェクトは、背景画像であり、第2の描画オブジェクトは、予め定められた情報を提示する情報画像であり、描画オブジェクト合成部は、第1の描画オブジェクトの予め定められた領域に対してぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の第1の描画オブジェクトに第2の描画オブジェクトを重畳して合成し、描画オブジェクト合成部は、第2の描画オブジェクトと重畳している領域のみに対してぼかし処理を行う
【0012】
また、本発明による表示情報生成方法は、車載の表示部に表示すべき情報を生成する表示情報生成方法であって、(a)ぼかし処理の対象である第1の描画オブジェクトと、ぼかし処理の対象でない第2の描画オブジェクトとを生成する工程と、(b)工程(a)にて生成された第1の描画オブジェクトに対してぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の第1の描画オブジェクトと、工程(a)にて生成された第2の描画オブジェクトとを合成する工程と、(c)予め定められた条件に応じて、工程(b)にて行われるぼかし処理のぼかしの程度を制御する工程とを備え、ぼかし処理は、ブラー処理であり、第1の描画オブジェクトは、背景画像であり、第2の描画オブジェクトは、予め定められた情報を提示する情報画像であり、工程(b)は、第1の描画オブジェクトの予め定められた領域に対してぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の第1の描画オブジェクトに第2の描画オブジェクトを重畳して合成し、工程(b)は、第2の描画オブジェクトと重畳している領域のみに対してぼかし処理を行う
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、表示情報生成装置は、車載の表示部に表示すべき情報を生成する表示情報生成装置であって、ぼかし処理の対象である第1の描画オブジェクトと、ぼかし処理の対象でない第2の描画オブジェクトとを生成する描画オブジェクト生成部と、描画オブジェクト生成部にて生成された第1の描画オブジェクトに対してぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の第1の描画オブジェクトと、描画オブジェクト生成部にて生成された第2の描画オブジェクトとを合成する描画オブジェクト合成部と、予め定められた条件に応じて、描画オブジェクト合成部にて行われるぼかし処理のぼかしの程度を制御する制御部とを備え、ぼかし処理は、ブラー処理であり、第1の描画オブジェクトは、背景画像であり、第2の描画オブジェクトは、予め定められた情報を提示する情報画像であり、描画オブジェクト合成部は、第1の描画オブジェクトの予め定められた領域に対してぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の第1の描画オブジェクトに第2の描画オブジェクトを重畳して合成し、描画オブジェクト合成部は、第2の描画オブジェクトと重畳している領域のみに対してぼかし処理を行うため、運転状況に応じて必要な情報の視認性を向上させることが可能となる。
【0014】
また、表示情報生成方法は、車載の表示部に表示すべき情報を生成する表示情報生成方法であって、(a)ぼかし処理の対象である第1の描画オブジェクトと、ぼかし処理の対象でない第2の描画オブジェクトとを生成する工程と、(b)工程(a)にて生成された第1の描画オブジェクトに対してぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の第1の描画オブジェクトと、工程(a)にて生成された第2の描画オブジェクトとを合成する工程と、(c)予め定められた条件に応じて、工程(b)にて行われるぼかし処理のぼかしの程度を制御する工程とを備え、ぼかし処理は、ブラー処理であり、第1の描画オブジェクトは、背景画像であり、第2の描画オブジェクトは、予め定められた情報を提示する情報画像であり、工程(b)は、第1の描画オブジェクトの予め定められた領域に対してぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後の第1の描画オブジェクトに第2の描画オブジェクトを重畳して合成し、工程(b)は、第2の描画オブジェクトと重畳している領域のみに対してぼかし処理を行うため、運転状況に応じて必要な情報の視認性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1による表示情報生成装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1による表示情報生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態1による表示部における表示の一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態2による表示情報生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態2による表示部における表示の一例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態3による表示情報生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態3による表示部における表示の一例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態4による表示部における表示の一例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態5による表示部における表示の一例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態6による表示情報生成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態6による表示部における表示の一例を示す図である。
図12】本発明の実施の形態6による表示部における表示の他の一例を示す図である。
図13】本発明の実施の形態7による表示部における表示の一例を示す図である。
図14】本発明の実施の形態7による表示部における表示の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて以下に説明する。
【0017】
<実施の形態1>
まず、本発明の実施の形態1による表示情報生成装置の構成について説明する。
【0018】
図1は、表示情報生成装置1の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
表示情報生成装置1は、車載の表示部11に表示すべき情報を生成する装置であって、全体制御部2と、描画オブジェクト生成部3と、描画オブジェクト合成部4と、描画オブジェクト格納部7と、映像入力部8と、車両センサI/F(インターフェース)部9と、通信部10とを備えている。
【0020】
全体制御部2は、表示情報生成装置1の各構成部の制御を行う。特に、後述のぼかし処理に関する各構成部の制御や、経路案内処理などを行う。
【0021】
描画オブジェクト生成部3は、全体制御部2による制御に基づいて、ぼかし処理の対象であるぼかし対象描画オブジェクト(第1の描画オブジェクト)と、ぼかし処理の対象でない非ぼかし対象描画オブジェクト(第2の描画オブジェクト)とを生成する。
【0022】
描画オブジェクト合成部4は、ぼかし処理部5と合成処理部6とを備えている。
【0023】
ぼかし処理部5は、描画オブジェクト生成部3にて生成されたぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行う。ぼかし処理部5にて行われるぼかし処理のぼかし度(ぼかしの程度)は、予め定められた条件に応じて全体制御部2によって制御される。
【0024】
合成処理部6は、ぼかし処理部5にてぼかし処理を行った後のぼかし対象描画オブジェクトと、描画オブジェクト生成部3にて生成された非ぼかし対象描画オブジェクトとを重畳して合成する。ここで、ぼかし対象描画オブジェクトは表示部11にて表示される背景画像であり、非ぼかし対象描画オブジェクトはぼかし対象描画オブジェクトに重畳された、予め定められた情報を提示する情報画像(表示部11に表示すべき情報を具現化したもの)である。
【0025】
描画オブジェクト格納部7は、地図情報、アイコン画像、メニュー画面、各種メータのフォーマットなど、表示部11に表示するための情報を描画オブジェクト(描画オブジェクトのデータ)として格納されている。ここで、地図情報とは、道路や建物など、地図表示に必要な情報を含む。また、アイコン画像とは、例えば図5に示すような方位アイコンや縮尺アイコンなど、ビットマップ形式の画像(ビットマップ画像)を含む。
【0026】
また、各描画オブジェクトには、「ぼかし」あるいは「非ぼかし」の属性が含まれている。従って、「ぼかし」の属性を含む描画オブジェクトはぼかし対象描画オブジェクトとなり、「非ぼかし」の属性を含む描画オブジェクトは非ぼかし対象描画オブジェクトとなる。
【0027】
映像入力部8は、カメラ20にて撮影された映像(映像画像)を入力する。
【0028】
カメラ20は、自車両周辺を撮影する。例えば、自車両の前方を撮影するカメラであってもよく、自車両の後方を撮影するカメラであってもよい。
【0029】
車両センサI/F部9は、車内LAN(Local Area Network)19を介して、GPS(Global Positioning System)13、車速パルス14、ジャイロセンサ15、車両制御装置16、エンジン制御装置17、ボディ系制御装置18などに接続されている。全体制御部2は、車内LAN19および車両センサI/F部9を介して各種情報を取得することができる。
【0030】
GPS13、車速パルス14、およびジャイロセンサ15の各々で取得された情報は、車両センサI/F部9を介して全体制御部2に入力され、全体制御部2にて自車両の位置が検出される。すなわち、全体制御部2は、自車両の位置を検出する機能を有している。
【0031】
車両制御装置16は、ブレーキペダル、アクセルペダル、またはハンドルからの運転者による操作を入力し、自車両の走行を制御する。例えば、エンジンの回転数、ブレーキ系装置などを制御して自車両の速度を制御したり、シャフトの姿勢などを制御して自車両の進行方向を制御したりする。また、オートクルーズなどの半自動運転の機能も制御する。
【0032】
エンジン制御装置17は、燃料制御や点火時期制御を行う。
【0033】
ボディ系制御装置18は、自車両において走行に直接関わらない動作を制御する。例えば、ワイパーの駆動、灯火情報の伝達、ウィンカーの点灯、ドアの開閉、窓の開閉などを制御する。
【0034】
通信部10は、自車両内外に存在する通信装置と通信を行い、電話あるいはメールの送受信が可能である。ここで、通信装置とは、通話あるいはメールの送受信が可能であればよく、例えば携帯電話やスマートフォン、道路近辺に設置された路車間用の無線LAN、Bluetooth(登録商標)などであってもよい。
【0035】
表示部11は、描画オブジェクト合成部4にて合成された描画オブジェクトを表示する。ここで、表示部11は、ナビゲーション装置のモニタや、車両のインストルメントパネル(instrument panel)部に設けられたメータパネルであってもよく、スプリットビュー機能を有したものであってもよい。なお、スプリットビュー機能とは、1つの表示部において、見る方向によって表示内容が異なる画像を表示する機能のことをいう。例えば、運転席と助手席とからは、それぞれ異なる画像を同時に見ることができる。
【0036】
操作入力部12は、例えば、タッチパネルや機械的なスイッチなど、ユーザの操作を入力するものであればよい。
【0037】
次に、本実施の形態1による表示情報生成装置1の動作について、図2,3を参照して説明する。なお、図3に示すように、表示部11はメータパネルであるものとし、メータパネルには走行距離(図中の左上に10000Kmと表示)、タコメータ(図中の中央に0・1・2・・・・・9と表示し、回転数に対応して数値や「・」の表示色を変化させる)、スピードメータ(図中の右下)を表示しているものとする。
【0038】
図2は、表示情報生成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0039】
ステップS21において、描画オブジェクト生成部3は、車両センサI/F部9を介して、車両制御装置16から自車両の速度情報、エンジンの回転情報、および走行距離情報を含む車両情報を取得する。また、描画オブジェクト生成部3は、描画オブジェクト格納部7から走行距離、タコメータ、スピードメータのフォーマット(描画オブジェクト)の描画オブジェクトを取得する。
【0040】
次いで、全体制御部2は、描画オブジェクト生成部3が描画オブジェクト格納部7から取得した描画オブジェクトに含まれる属性に基づいて、当該描画オブジェクトが「ぼかし」あるいは「非ぼかし」のいずれであるかを判断し、判断結果を描画オブジェクト生成部3に入力する。描画オブジェクト生成部3は、全体制御部2から入力された属性の判断結果に基づいて、ぼかし対象描画オブジェクトあるいは非ぼかし対象描画オブジェクトのいずれかを生成する。ここでは、描画オブジェクト生成部3は、車両センサI/F部9を介して取得した車両情報と、描画オブジェクト格納部7から取得した描画オブジェクトとに基づいて、非ぼかし対象描画オブジェクトを生成する。
【0041】
ステップS22において、全体制御部2は、映像入力部8に入力された映像画像には「ぼかし」の属性が含まれているものとし、当該属性の判断結果を描画オブジェクト生成部3に入力する。すなわち、本実施の形態1において、映像画像の属性は「ぼかし」であるものとしている。描画オブジェクト生成部3は、映像入力部8から取得したカメラ20によって撮影された映像(映像画像)を、ぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。
【0042】
ステップS23において、全体制御部2は、車両センサI/F部9を介して、車速パルス14をもとに自車両の速度情報を取得する。
【0043】
ステップS24において、全体制御部2は、ステップS23にて取得した自車両の速度Vに基づいて、条件分岐の判断を行う。判断の結果、速度Vが10km/h未満(V<10km/h)の場合はステップS25に移行し、速度Vが10km/h以上40km/h未満(10km/h≦V<40km/h)の場合はステップS26に移行し、速度Vが40km/h以上(V≧40km/h)の場合はステップS27に移行する。
【0044】
ステップS25において、全体制御部2は、ぼかし度=0であると決定する。ここで、ぼかし度=0とは、ぼかし処理を行わないことを示している。
【0045】
ステップS26において、全体制御部2は、ぼかし度=1であると決定する。ここで、ぼかし度=1とは、ぼかし度=2よりも弱くぼかすことを示している。
【0046】
ステップS27において、全体制御部2は、ぼかし度=2であると決定する。ここで、ぼかし度=2とは、ぼかし度=1よりも強くぼかすことを示している。
【0047】
ステップS28において、全体制御部2は、ステップS25,ステップS26,ステップS27のいずれかにて決定されたぼかし度の情報をぼかし処理部5に入力する。
【0048】
次いで、ぼかし処理部5は、全体制御部2から入力されたぼかし度の情報に基づいて、描画オブジェクト生成部3にて生成されたぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行う。このとき、ぼかし処理部5は、ぼかし対象描画オブジェクトの全体に対してぼかし処理を行う。
【0049】
ステップS29において、合成処理部6は、ぼかし処理部5にてぼかし処理を行った後のぼかし対象描画オブジェクトと、非ぼかし対象描画オブジェクトとを合成し、合成した描画オブジェクトを表示画像信号として表示部11に出力する。
【0050】
図3は、表示部11における表示の一例を示す図である。
【0051】
図3(a)は、自車両の速度が低速(V<10km/h)の場合における表示の一例を示している。例えば、図3(a)では、速度V=0km/hとなっている。この場合、ぼかし度=0となり、ぼかし対象描画オブジェクトである映像画像に対して、ぼかし処理は行われない。
【0052】
図3(b)は、自車両の速度が中速(10km/h≦V<40km/h)の場合における表示の一例を示している。例えば、図3(b)では、速度V=32km/hとなっている。この場合、ぼかし度=1となり、ぼかし対象描画オブジェクトである映像画像に対して、弱いぼかし処理が行われる。ぼかし処理後、映像画像は、少しぼやけた状態となる。
【0053】
図3(c)は、自車両が高速(V≧40km/h)の場合における表示の一例を示している。例えば、図3(c)では、速度V=62km/hとなっている。この場合、ぼかし度=2となり、ぼかし対象描画オブジェクトである映像画像に対して、図3(b)よりも強いぼかし処理が行われる。ぼかし処理後、映像画像の内容は判別できない状態となる。
【0054】
以上のことから、本実施の形態1によれば、ぼかし対象描画オブジェクトと非ぼかし対象描画オブジェクトとを生成し、非ぼかし対象描画オブジェクトに対して自車両の速度に応じたぼかし処理を行うため、運転状況に応じて必要な情報(本実施の形態1では、走行距離、タコメータ、スピードメータの情報)の視認性を向上させることが可能となる。
【0055】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2では、表示部11に自車両の位置とその周辺の地図を表示する場合について説明する。その他の構成および動作は、実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0056】
本実施の形態2による表示情報生成装置1の動作について、図4,5を参照して説明する。なお、図5に示すように、表示部11は車載の表示装置であるものとし、表示部11には自車両の現在位置とその周辺の地図、およびアイコン画像(方位アイコンおよび縮尺アイコン)を表示しているものとする。
【0057】
図4は、表示情報生成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0058】
ステップS41において、全体制御部2は、車両センサI/F部9を介して、GPS13、車速パルス14、およびジャイロセンサ15の各々で取得された情報を入力し、自車両の現在位置を検出する。検出した自車両の現在位置の情報は、描画オブジェクト生成部3に入力される。
【0059】
次いで、描画オブジェクト生成部3は、全体制御部2から入力された自車両の現在位置の情報に基づいて、描画オブジェクト格納部7から、自車両が走行中の道路、自車両周辺の主要道路、およびアイコン画像の描画オブジェクトを取得し、取得した描画オブジェクトを非ぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。ここで、自車両周辺の主要道路とは、高速道路や幹線道路を含む。
【0060】
ステップS42において、描画オブジェクト生成部3は、全体制御部2から入力された自車両の現在位置の情報に基づいて、描画オブジェクト格納部7から、上記の非ぼかし対象描画オブジェクト以外の道路、建物など地図表示に必要な情報の描画オブジェクトを取得し、取得した描画オブジェクトをぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。
【0061】
ステップS43において、全体制御部2は、車両センサI/F部9を介して、車速パルス14をもとに自車両の速度情報を取得する。
【0062】
ステップS44において、全体制御部2は、ステップS43にて取得した自車両の速度Vに基づいて、条件分岐の判断を行う。判断の結果、速度Vが10km/h未満(V<10km/h)の場合はステップS45に移行し、速度Vが10km/h以上40km/h未満(10km/h≦V<40km/h)の場合はステップS46に移行し、速度Vが40km/h以上(V≧40km/h)の場合はステップS47に移行する。
【0063】
ステップS45において、全体制御部2は、ぼかし度=0であると決定する。ここで、ぼかし度=0とは、ぼかし処理を行わないことを示している。
【0064】
ステップS46において、全体制御部2は、ぼかし度=1であると決定する。ここで、ぼかし度=1とは、ぼかし度=2よりも弱くぼかすことを示している。
【0065】
ステップS47において、全体制御部2は、ぼかし度=2であると決定する。ここで、ぼかし度=2とは、ぼかし度=1よりも強くぼかすことを示している。
【0066】
ステップS48において、全体制御部2は、ステップS45,ステップS46,ステップS47のいずれかにて決定されたぼかし度の情報をぼかし処理部5に入力する。
【0067】
次いで、ぼかし処理部5は、全体制御部2から入力されたぼかし度の情報に基づいて、描画オブジェクト生成部3にて生成されたぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行う。このとき、ぼかし処理部5は、ぼかし対象描画オブジェクトの全体に対してぼかし処理を行う。
【0068】
ステップS49において、合成処理部6は、ぼかし処理部5にてぼかし処理を行った後のぼかし対象描画オブジェクトと、非ぼかし対象描画オブジェクトとを合成し、合成した描画オブジェクトを表示画像信号として表示部11に出力する。
【0069】
図5は、表示部11における表示の一例を示す図である。
【0070】
図5(a)は、自車両の速度が低速(V<10km/h)の場合における表示の一例を示している。この場合、ぼかし度=0となり、ぼかし対象描画オブジェクトに対して、ぼかし処理は行われない。
【0071】
図5(b)は、自車両の速度が中速(10km/h≦V<40km/h)の場合における表示の一例を示している。この場合、ぼかし度=1となり、ぼかし対象描画オブジェクトに対して、弱いぼかし処理が行われる。ぼかし処理後、ぼかし対象描画オブジェクトは、少しぼやけた状態となる。
【0072】
図5(c)は、自車両が高速(V≧40km/h)の場合における表示の一例を示している。この場合、ぼかし度=2となり、ぼかし対象描画オブジェクトに対して、図5(b)よりも強いぼかし処理が行われる。ぼかし処理後、ぼかし対象描画オブジェクトの内容は、判別できない状態となる。
【0073】
以上のことから、本実施の形態2によれば、ぼかし対象描画オブジェクトと非ぼかし対象描画オブジェクトとを生成し、非ぼかし対象描画オブジェクトに対して自車両の速度に応じたぼかし処理を行うため、運転状況に応じて必要な情報(本実施の形態2では、自車両が走行中の道路、自車両周辺の主要道路、およびアイコン画像)の視認性を向上させることが可能となる。
【0074】
なお、本実施の形態2では、ぼかし対象オブジェクトに対して一律のぼかし度を施したが、例えば図5に示す建物に対しては、図5(b)ではぼかし度=0、図5(c)ではぼかし度=1というように、描画オブジェクト毎にぼかし具合を異なるようにしてもよい。
【0075】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3では、経路案内時における自車両の現在位置と予め定められた地点(案内地点)との距離に基づいて、ぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行うことを特徴とする。その他の構成および動作は、実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0076】
なお、本実施の形態3において、全体制御部2は、自車両の現在位置から目的地までの経路を算出して案内する経路案内処理を実行するものとする。経路案内処理は、自車両の現在位置の情報や、描画オブジェクト格納部7に格納されている地図情報などに基づいて行われる。
【0077】
次に、本実施の形態3による表示情報生成装置1の動作について、図6,7を参照して説明する。なお、図7(a)に示すように、表示部11は車載の表示装置であるものとし、表示装置には自車両の現在位置、目的地までの経路(図中の三角印に沿った経路)、自車両周辺の地図(建物を含む)、およびアイコン画像(方位アイコンおよび縮尺アイコン)を表示しているものとする。
【0078】
また、図7(b)に示すように、予め定められた案内地点に近づくと案内画面が表示される。ここで、案内画面とは、案内地点における経路案内を認識容易に表示する画面のことである。本実施の形態では、現在位置から目的地までの経路における右左折地点(例えば交差点)を案内地点であるものとし、案内画面にて右折を案内表示する場合について説明する。
【0079】
図6は、表示情報生成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0080】
ステップS61において、全体制御部2は、車両センサI/F部9を介して、GPS13、車速パルス14、およびジャイロセンサ15の各々で取得された情報を入力し、自車両の現在位置を検出する。検出した自車両の現在位置の情報は、描画オブジェクト生成部3に入力される。
【0081】
次いで、描画オブジェクト生成部3は、全体制御部2から入力された自車両の現在位置の情報に基づいて、描画オブジェクト格納部7から、自車両が走行中の道路、現在位置から目的地までの経路、自車両周辺の主要道路、およびアイコン画像の描画オブジェクトを取得し、取得した描画オブジェクトを非ぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。ここで、自車両周辺の主要道路とは、高速道路や幹線道路を含む。
【0082】
ステップS62において、描画オブジェクト生成部3は、全体制御部2から入力された自車両の現在位置の情報に基づいて、描画オブジェクト格納部7から、上記の非ぼかし対象描画オブジェクト以外の道路、建物など地図表示に必要な情報の描画オブジェクトを取得し、取得した描画オブジェクトをぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。
【0083】
ステップS63において、全体制御部2は、自車両の現在位置と案内地点との距離を算出する。このとき、案内地点の位置情報は、経路案内処理によって算出された現在位置から目的地までの経路情報に含まれているものとする。
【0084】
ステップS64において、全体制御部2は、ステップS63にて算出した自車両の現在位置と案内地点との距離Xに基づいて、条件分岐の判断を行う。判断の結果、距離Xが50mより長い(X>50m)場合はステップS65に移行し、距離Xが10mより長く50m以下(10m<X≦50m)の場合はステップS66に移行し、距離Xが10m以下(X≦10m)の場合はステップS68に移行する。
【0085】
ステップS65において、全体制御部2は、ぼかし度=0であると決定する。ここで、ぼかし度=0とは、ぼかし処理を行わないことを示している。
【0086】
ステップS66において、描画オブジェクト生成部3は、案内画面を非ぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。ここで、案内画面は描画オブジェクトとして描画オブジェクト格納部7に格納されており、描画オブジェクト生成部3は、必要に応じて案内画面を描画オブジェクト格納部7から取得することができる。
【0087】
ステップS67において、全体制御部2は、ぼかし度=1であると決定する。ここで、ぼかし度=1とは、ぼかし度=2よりも弱くぼかすことを示している。
【0088】
ステップS68において、描画オブジェクト生成部3は、案内画面を非ぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。
【0089】
ステップS69において、全体制御部2は、ぼかし度=2であると決定する。ここで、ぼかし度=2とは、ぼかし度=1よりも強くぼかすことを示している。
【0090】
ステップS70において、全体制御部2は、ステップS65,ステップS67,ステップS69のいずれかにて決定されたぼかし度の情報をぼかし処理部5に入力する。
【0091】
次いで、ぼかし処理部5は、全体制御部2から入力されたぼかし度の情報に基づいて、描画オブジェクト生成部3にて生成されたぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行う。このとき、ぼかし処理部5は、ぼかし対象描画オブジェクトの全体に対してぼかし処理を行う。
【0092】
ステップS71において、合成処理部6は、ぼかし処理部5にてぼかし処理を行った後のぼかし対象描画オブジェクトと、非ぼかし対象描画オブジェクトとを合成し、合成した描画オブジェクトを表示画像信号として表示部11に出力する。
【0093】
図7は、表示部11における表示の一例を示す図である。
【0094】
図7(a)は、自車両が案内地点から50mよりも離れた範囲を通常走行中の場合(X>50m)における表示の一例を示している。この場合、ぼかし度=0となり、ぼかし対象描画オブジェクトに対して、ぼかし処理は行われない。
【0095】
図7(b)は、自車両が案内地点から10mより離れ50m以下の範囲内を走行中の場合における表示の一例を示しており、例えば、「50m先右折」と示された案内画面が表示画面の右側に表示される。この場合、ぼかし度=1となり、ぼかし対象描画オブジェクトに対して、弱いぼかし処理が行われる。ぼかし処理後、ぼかし対象描画オブジェクトは、少しぼやけた状態となる。
【0096】
図7(c)は、自車両が案内地点から10m以下の範囲内を走行中の場合における表示の一例を示しており、例えば、「10m先右折」と示された案内画面が表示画面の右側に表示される。この場合、ぼかし度=2となり、ぼかし対象描画オブジェクトに対して、図7(b)よりも強いぼかし処理が行われる。ぼかし処理後、ぼかし対象描画オブジェクトの内容は、判別できない状態となる。
【0097】
なお、案内地点を通過した後は、図7(a)に示すような表示画面に戻るようにしてもよい。また、図7(a)に示すような表示画面に戻るタイミングは、例えば、案内地点通過後の自車両の現在位置と案内地点との距離に基づいてもよく、自車両が案内地点を通過した後の時間に基づいてもよい。
【0098】
以上のことから、本実施の形態3によれば、ぼかし対象描画オブジェクトと非ぼかし対象描画オブジェクトとを生成し、経路案内時において、非ぼかし対象描画オブジェクトに対して自車両の現在位置と案内地点との距離に応じたぼかし処理を行うため、運転状況に応じて必要な情報(本実施の形態3では、自車両が走行中の道路、自車両周辺の主要道路、アイコン画像、および案内画面)の視認性を向上させることが可能となる。
【0099】
<実施の形態4>
本発明の実施の形態4では、車内に設けられた警告灯が点灯(オン)のときに、ぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行うことを特徴とする。その他の構成および動作は、実施の形態2と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0100】
図8は、本実施の形態4による表示情報生成装置1によって生成された表示情報の表示の一例を示す図であり、車両のインストルメントパネル部を示している。
【0101】
図8に示すように、インストルメントパネル部には、表示部11、警告灯21、および各種メータが備えられている。なお、通常、警告灯21は複数備えられているが、図8では代表的に1つの警告灯21を示している。警告灯21としては、例えば、燃料残量警告灯、充電警告灯、ブレーキ警告灯、油圧警告灯、半ドア警告灯、シートベルト警告灯、エアバック警告灯、エンジン警告灯、ABS(Antilock Brake System)警告灯などが挙げられる。
【0102】
警告灯21は、車両制御装置16、エンジン制御装置17、あるいはボディ系制御装置18から取得した各情報に基づいて点灯(オン)または消灯(オフ)する。例えば、警告灯21が燃料残量警告灯である場合は、車両の燃料の残量が残りわずかである旨を知らせるときに点灯する。なお、警告灯21の点灯または消灯の制御は全体制御部2が行ってもよく、表示情報生成装置1以外の他の装置に備えられる制御部が行ってもよい。
【0103】
図8(a)は、警告灯21が消灯している通常の状態を示している。表示部11には自車両の現在位置とその周辺の地図、およびアイコン画像(方位アイコンおよび縮尺アイコン)が表示されている。例えば、表示部11は、図5(a)と同様の表示状態である。
【0104】
図8(b)は、警告灯21が点灯しているときの状態を示している。警告灯21が点灯すると、表示部11に表示される画像のうち、ぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理が行われる。例えば、表示部11は、図5(b)と同様の表示状態となる。または図5(c)と同様の表示状態となってもよい。
【0105】
なお、図8(b)に示すような表示状態で一定時間が経過すると、ぼかし対象描画オブジェクトに対するぼかし処理を終了する(例えば、表示部11を図8(a)に示す表示状態に戻す)ようにしてもよい。このとき、警告灯21は点灯したままの状態となる。
【0106】
また、所定の条件(一定周期時間後、または、警告灯に関係する対応施設の近傍に近づいた場合)では、再度図8(b)のような表示をし、一定時間後図8(a)に遷移してもよい。リマインダとしての効果や、対応すべき施設を表示し目的地にするなど利便性が向上する。
【0107】
以上のことから、本実施の形態4によれば、警告灯21が点灯すると、表示部11に表示される画像のうち、ぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理が行われるため、警告灯21の点灯に気付きやすくなる。特に、表示部11に表示される画像がカラー表示である場合は、警告灯21が点灯しても当該点灯に気付きにくかったが、上記の処理を行うことによって警告灯21の点灯の視認性が向上する。
【0108】
<実施の形態5>
本発明の実施の形態5では、非ぼかし対象描画オブジェクトと重畳しているぼかし対象描画オブジェクトの領域に対してぼかし処理を行うことを特徴としている。その他の構成および動作は、実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0109】
図9は、本実施の形態5による表示情報生成装置1によって生成された表示情報の表示の一例を示す図である。なお、図9では、表示部11はメータパネルであるものとして説明する。
【0110】
図9に示すように、メータパネルには、非ぼかし対象描画オブジェクトとして、走行距離(図中の左上)、タコメータ(図中の中央)、スピードメータ(図中の右下)が表示されており、ぼかし対象描画オブジェクトとして、カメラ20によって撮影された映像画像が表示されている。
【0111】
また、各非ぼかし対象描画オブジェクトと重畳している映像画像の領域に対して、ぼかし処理が行われている。具体的に、ぼかし処理部5は、走行距離、タコメータ、スピードメータが表示されている領域と重畳している映像画像の領域に対してぼかし処理を行う。このとき、ぼかし処理を行った映像画像の領域以外の他の領域には、ぼかし処理を行っていない。
【0112】
なお、このとき、ぼかし具合をユーザが設定できるようなHMI(Human Machine Interface)を設けてもよい。
【0113】
以上のことから、本実施の形態5によれば、非ぼかし対象描画オブジェクトが表示されている領域と重畳しているぼかし対象描画オブジェクトの領域に対してぼかし処理を行うことによって、非ぼかし対象描画オブジェクト(本実施の形態5では、走行距離、タコメータ、スピードメータ)の視認性が向上する。また、映像画像の全体に対してぼかし処理を行うことに比べて、本実施の形態5によるぼかし処理を行った映像画像の視認性が向上する。
【0114】
<実施の形態6>
本発明の実施の形態6では、運転者に対する注意喚起の情報を情報画像として表示部11に表示する際に、ぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行うことを特徴とする。その他の構成および動作は、実施の形態2と同様であるため、ここでは説明を省略する。なお、運転者に対する注意喚起の手段としては、テロップ表示やポップアップ表示が挙げられる。
【0115】
次に、本実施の形態6による表示情報生成装置1の動作について、図10,11を参照して説明する。なお、図11に示すように、表示部11は車載の表示装置であるものとし、表示部11には自車両の現在位置とその周辺の地図、およびアイコン画像(方位アイコンおよび縮尺アイコン)が表示されているものとする。また、以下では、運転者に対する注意喚起として、運転者宛に電話着信がある旨をテロップにて表示する場合について説明する。
【0116】
図10は、表示情報生成装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0117】
ステップS101において、全体制御部2は、車両センサI/F部9を介して、GPS13、車速パルス14、およびジャイロセンサ15の各々で取得された情報を入力し、自車両の現在位置を検出する。検出した自車両の現在位置の情報は、描画オブジェクト生成部3に入力される。
【0118】
次いで、描画オブジェクト生成部3は、全体制御部2から入力された自車両の現在位置の情報に基づいて、描画オブジェクト格納部7から、自車両が走行中の道路、自車両周辺の主要道路、およびアイコン画像の描画オブジェクトを取得し、取得した描画オブジェクトを非ぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。ここで、自車両周辺の主要道路とは、高速道路や幹線道路を含む。
【0119】
ステップS102において、描画オブジェクト生成部3は、全体制御部2から入力された自車両の現在位置の情報に基づいて、描画オブジェクト格納部7から、上記の非ぼかし対象描画オブジェクト以外の道路、建物など地図表示に必要な描画オブジェクトを取得し、取得した描画オブジェクトをぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。
【0120】
ステップS103において、全体制御部2は、通信部10を介して、自車両内外に存在する通信装置から電話着信があるか否かを判断する。電話着信がないと判断した場合はステップS104に移行し、電話着信があると判断した場合はステップS105に移行する。
【0121】
ステップS104において、全体制御部2は、ぼかし度=0であると決定する。ここで、ぼかし度=0とは、ぼかし処理を行わないことを示している。
【0122】
ステップS105において、描画オブジェクト生成部3は、電話着信がある旨のテロップを非ぼかし対象描画オブジェクトとして生成する。テロップのフォーマット(例えば図11(b)のテロップ表示における「(電話番号)YYYさんから着信」)は描画オブジェクトとして描画オブジェクト格納部7に格納されており、描画オブジェクト生成部3は、テロップのフォーマットの描画オブジェクトを描画オブジェクト格納部7から取得する。また、例えば図11(b)のテロップ表示における相手方の電話番号や氏名の情報については、通信部10を介して相手方の通信装置から取得する。描画オブジェクト生成部3は、テロップのフォーマットと相手方の電話番号の情報とに基づいてテロップを生成する。
【0123】
ステップS106において、全体制御部2は、ぼかし度=1であると決定する。ここで、ぼかし度=1とは、ぼかし処理を行うことを示している。
【0124】
ステップS107において、全体制御部2は、ステップS104またはステップS106にて決定されたぼかし度の情報をぼかし処理部5に入力する。
【0125】
次いで、ぼかし処理部5は、全体制御部2から入力されたぼかし度の情報に基づいて、描画オブジェクト生成部3にて生成されたぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行う。このとき、ぼかし処理部5は、ぼかし対象描画オブジェクトの全体に対してぼかし処理を行う。
【0126】
ステップS108において、合成処理部6は、ぼかし処理部5にてぼかし処理を行った後のぼかし対象描画オブジェクトと、非ぼかし対象描画オブジェクトとを合成し、合成した描画オブジェクトを表示画像信号として表示部11に出力する。
【0127】
図11は、表示部11における表示の一例を示す図である。
【0128】
図11(a)は、電話着信がない場合における表示の一例を示している。この場合、ぼかし度=0となり、ぼかし対象描画オブジェクトに対して、ぼかし処理は行われない。
【0129】
図11(b)は、電話着信時における表示の一例を示している。この場合、ぼかし度=1となり、ぼかし対象描画オブジェクトに対して、ぼかし処理が行われる。このとき、ぼかし対象描画オブジェクトに対して弱いぼかし処理を行ってもよく、強いぼかし処理を行ってもよい。
【0130】
以上のことから、本実施の形態6によれば、運転者に対する注意喚起の情報をテロップとして表示部11に表示する際に、ぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行うため、テロップの視認性を向上させることが可能となる。なお、電話着信時ではなく、メール着信時であっても同様の効果が得られる。
【0131】
また、図12に示すように、電話着信時において、テロップと重畳するぼかし対象描画オブジェクトの領域に対してのみぼかし処理を行うようにしてもよい。
【0132】
また、テロップは、電話着信など通信系だけでなく、緊急放送受信機から送られるメッセージにしてもよい。また、DSRC(Dedicated Short Range Communication)(登録商標)などの路上器側からの情報テロップであってもよく、ETC(Electronic Toll Collection System)(登録商標)通過時の料金表テロップであってもよい。また、表示形態はテロップにこだわるものではない。
【0133】
<実施の形態7>
本発明の実施の形態7では、表示部11がスプリットビューの機能を有することを特徴とする。その他の構成および動作は、実施の形態6と同様であるため、ここでは説明を省略する。ただし、表示部11にて異なる2つの画像(助手席側から見た画面に表示される画像、運転席側から見た画面に表示される画像)を表示するために、図1に示す描画オブジェクト生成部3および描画オブジェクト合成部4は、それぞれ2つずつ備えられているものとする。以下では、運転者に対する注意喚起として、運転者宛に電話着信がある旨をテロップにて表示する場合について説明する。
【0134】
図13は、電話着信時における表示部11の表示の一例を示す図である。図13(a)は、助手席側から見た表示部11の画面を示している。図13(b)は、運転席側から見た表示部11の画面を示している。
【0135】
図13(a)に示すように、運転者宛に電話着信がある場合において、助手席側から見た画面にはテロップを表示しない。すなわち、描画オブジェクト生成部3は、助手席側から見た画面に表示させる画像を生成する際に、テロップを生成しない。
【0136】
一方、図13(b)に示すように、運転者宛に電話着信がある場合において、運転席側から見た画面には、電話着信がある旨のテロップが表示される。このとき、画面におけるぼかし対象描画オブジェクトに対するぼかし処理は、実施の形態6と同様である(図11(b)参照)。
【0137】
上記より、全体制御部2は、運転者宛の電話着信に応じて、運転席側から見た画面において(すなわち、スプリットビューの各画面の少なくとも一方において)、ぼかし対象描画オブジェクトのぼかし度を制御している。
【0138】
なお、運転者宛に電話着信がない場合おいて、助手席側から見た画面、および運転席側から見た画面は、例えば図13(a)に示すような画面を表示している。
【0139】
以上のことから、本実施の形態7によれば、運転者に対する注意喚起の情報を運転席側から見た画面にのみテロップで表示するとともに、当該テロップを表示する際にぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行うため、テロップの視認性を向上させることが可能となる。また、助手席側から見た画面ではテロップを表示しないため、運転者のプライバシーを保護することができる。なお、電話着信だけでなく、メール着信であっても同様の効果が得られる。
【0140】
なお、図14に示すように、運転者宛に電話着信がある場合において、運転席側から見た画面に表示されるテロップ(図14(b)参照)を、助手席側から見た画面に表示するようにしてもよい。ただし、助手席側から見た画面に表示されるテロップに対しては、テロップの内容が分からない程度のぼかし処理が行われている(図14(a)参照)。すなわち、全体制御部2は、助手席側から見た画面および運転席側から見た画面(スプリットビューの各画面)でぼかし度を制御しており、助手席側から見た画面と運転席側から見た画面とでは、ぼかし対象描画オブジェクトが異なる。このような場合であっても、助手席側から見た画面に表示されるテロップにはぼかし処理が行われているため、運転者のプライバシーを保護することができる。
【0141】
<実施の形態8>
本発明の実施の形態8では、表示部11が自車両内に複数備えられ、予め定められた表示部11にのみ表示されるぼかし対象描画オブジェクトのぼかし度を制御することを特徴としている。その他の構成および動作は、実施の形態6と同様であるため、ここでは説明を省略する。ただし、表示情報生成装置1は、各表示部11に表示する画面を生成する機能を有するものとする。
【0142】
以下では、一例として、自車両内の各座席に表示部11が設置されたマルチモニタシステムにおいて、各座席の着席している者が所有する携帯電話が着信した場合における各表示部11の表示について説明する。
【0143】
まず、各座席に設置された表示部11と、各座席に着席している者が所有する携帯電話との対応関係を予め登録しておく。登録の方法としては、表示情報生成装置1または表示部11と携帯電話とを通信(例えば、Bluetooth(登録商標))することによって登録する方法、携帯電話を各座席に設置されたクレードルに置くことによって登録する方法、表示部11に表示されるメニュー画面に沿って登録する方法などがある。なお、登録する情報としては、携帯電話の番号であってもよい。
【0144】
上記のように登録した後、任意の携帯電話の所有者宛に電話またはメールの着信があると、着信がある携帯電話の所有者が着席している座席に設置された表示部11には、着信がある旨のテロップを含む画面が表示される。具体的には、例えば、図13(b)あるいは図14(b)に示すような画面が表示される。
【0145】
一方、着信がある携帯電話の所有者以外の者が着席している座席に設置された表示部11には、着信がある旨のテロップを表示させない、あるいはぼかし処理を行ったテロップが表示される。具体的には、例えば、図13(a)あるいは図14(b)に示すような画面が表示される。
【0146】
以上のことから、本実施の形態8によれば、着信がある携帯電話の所有者が着席している座席に設置された表示部11には、テロップを表示するとともにぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行うため、テロップの視認性を向上させることが可能となる。また、着信がある携帯電話の所有者以外の者が着席している座席に設置された表示部11には、着信がある旨のテロップを表示させない、あるいはぼかし処理を行ったテロップが表示されるため、着信がある携帯電話の所有者のプライバシーを保護することができる。
【0147】
以上で説明した表示情報生成装置は、車載用ナビゲーション装置、すなわちカーナビゲーション装置だけでなく、車両に搭載可能な、PND(Portable Navigation Device)および携帯通信端末(例えば携帯電話、スマートフォンおよびタブレット端末など)、並びにサーバなどを適宜に組み合わせてシステムとして構築されるナビゲーション装置にも適用することができる。この場合、表示情報生成装置の各機能あるいは各構成要素は、上記システムを構築する各機能に分散して配置される。
【0148】
具体的には、表示情報生成装置の一部の機能を携帯通信端末、PNDあるいはサーバに配置することができる。また、車載装置としてDA(Display Audio)を用いた場合、DAは表示および音声出力のみ可能なのでそれ以外の機能を携帯通信端末、PND、あるいはサーバに配置することができる。
【0149】
上記の構成とした場合であっても、上記の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0150】
また、上記の実施の形態における動作を実行するソフトウェア(表示情報生成方法)を、例えば携帯通信端末、PND、あるいはサーバに組み込んでもよい。
【0151】
具体的に、上記の表示情報生成方法は、(a)ぼかし処理の対象であるぼかし対象描画オブジェクト(第1の描画オブジェクト)と、前記ぼかし処理の対象でない非ぼかし対象描画オブジェクト(第2の描画オブジェクト)とを生成する工程と、(b)工程(a)にて生成されたぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行い、かつ、当該ぼかし処理を行った後のぼかし対象描画オブジェクトと、工程(a)にて生成された非ぼかし対象描画オブジェクトとを合成する工程と、(c)予め定められた条件に応じて、工程(b)にて行われるぼかし処理のぼかしの程度を制御する工程とを備える。
【0152】
上記より、上記の実施の形態における動作を実行するソフトウェアを携帯通信端末、PNDあるいはサーバに組み込んで動作させることによって、上記の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0153】
なお、図1において、表示情報生成装置1(全体制御部2、描画オブジェクト生成部3、描画オブジェクト合成部4、ぼかし処理部5、合成処理部6)の各々は、ソフトウェアに基づくCPUを用いたプログラム処理を実行することによって実現される。また、可能であれば、表示情報生成装置1(全体制御部2、描画オブジェクト生成部3、描画オブジェクト合成部4、ぼかし処理部5、合成処理部6)の各々を、ハードウェア(例えば、電気信号に対して特定の演算あるいは処理を行うように構成された演算/処理回路等)として構成するようにしてもよい。また、上記の両者を混在させてもよい。
【0154】
図1において、描画オブジェクト格納部7は、データを保持しておく機能を、例えばHDD(Hard Disk Drive)、DVD(Digital Versatile Disk)、半導体メモリなどによって構成してもよい。
【0155】
図1において、カメラ20は、ノーズビューカメラでもよく、ナイトビューカメラ(赤外線カメラ)であってもよい。
【0156】
図1において、描画オブジェクト格納部7は、通信部10を介して、外部から描画オブジェクトのデータを取得する機能を有し、必要時に必要な描画オブジェクトのデータを外部から取得するようにしてもよい。
【0157】
図2,4,6,10において、エンジンがかかると処理を開始し、エンジンが切れる(処理が終了する)まで処理を繰り返すようにしてもよい。ここで、エンジンがかかるとは、エンジンが回転し始めることをいい、エンジンが切れるとはエンジンの回転が止まることをいう。
【0158】
また、図2,4,6,10において、操作入力部12の機械的なスイッチが押されるとぼかし処理(各ステップにおける処理)を実行するプログラムが開始され、その後、操作入力部12の機械的なスイッチ(ぼかし処理を開始するためのスイッチと同じであってもよい)が押されるとぼかし処理を実行するプログラムを終了するようにしてもよい。このとき、ぼかし処理を終了するためのスイッチが押されるまでは、ぼかし処理を繰り返すことになる。
【0159】
図2,4において、ぼかし度を決定する自車両の速度Vの閾値は、10km/h,40km/hに限らず、いかなる値であってもよい。
【0160】
図5,7,8,11〜14において、表示される地図画像は、平面的な地図画像、立体的な地図画像など、いかなる地図画像であってもよい。また、建物についても立体的あるいは平面的に表示されていてもよい。また、建物に限らず道路など他の地物についても同様である。
【0161】
実施の形態1〜3,5において、全体制御部2は、自車両の速度に応じてぼかし度を0〜2に変化させる制御を行っているが、自車両の速度に応じてぼかし度を多段階または連続的に変化させる制御を行うようにしてもよい。このような場合であっても、実施の形態1,2と同様の効果が得られる。
【0162】
実施の形態1〜8において、ぼかし対象描画オブジェクトに対するぼかし処理は、ブラー処理、半透過処理、およびグラデーション処理を含んでいる。例えば、ブラー処理は、ぼかし処理を行うエリア全体に対して一様にぼかし処理を行う。また、半透過処理は、ぼかし処理を行うエリア全体の透明度を変える処理を行う。また、グラデーション処理は、ぼかし処理を行うエリアに対して任意のグラデーション処理を行う。このような各処理を行うことによって、実施の形態1〜8と同様の効果を得ることができる。
【0163】
実施の形態1〜8において、非ぼかし対象描画オブジェクトは、背景色(ぼかし対象描画オブジェクトの配色)に応じて視認性の良い配色に変更してもよい。このとき、非ぼかし対象描画オブジェクトが複数存在する場合は、非ぼかし対象描画オブジェクトごとに配色を変更してもよい。例えば、背景色が暗い色の場合は非ぼかし対象描画オブジェクトの配色を明るい色とし、背景色が明るい色の場合はぼかし対象描画オブジェクトの配色を暗い色とするなど、背景色と非ぼかし対象描画オブジェクトの配色とが補色の関係を有するようにしてもよい。なお、実施の形態4では、警告灯21の点灯色とぼかし対象描画オブジェクトの配色とが補色の関係を有するようにしてもよい。
【0164】
実施の形態1〜8において、非ぼかし対象描画オブジェクトおよびぼかし対象描画オブジェクトは一例であり、例えばアイコン画像に対してぼかし処理を行ってもよい。すなわち、ぼかし処理の対象である背景画像(ぼかし対象描画オブジェクト)にアイコン画像(ビットマップ画像)、地図画像、および映像画像を含めてもよい。
【0165】
実施の形態2では、ぼかし対象描画オブジェクトの全体に対してぼかし処理(ブラー処理)を行っているが(図5参照)、非ぼかし対象描画オブジェクトから離れるに従ってぼかしを強くする(ぼかし度を大きくする)グラデーション処理を行ってもよい。
【0166】
実施の形態3において、案内地点は、現在位置から目的地までの経路における右左折地点(例えば交差点)であるものとして説明したが、高速道路の入り口、高速道路の分岐点などであってもよい。
【0167】
図6において、ぼかし度を決定する距離Xは、10m,50mに限らず、いかなる値であってもよい。
【0168】
実施の形態3において、全体制御部2は、自車両の現在位置と案内地点との距離に応じてぼかし度を0〜2に変化させる制御を行っているが、自車両の現在位置と案内地点との距離に応じてぼかし度を多段階または連続的に変化させる制御を行うようにしてもよい。このような場合であっても、実施の形態3と同様の効果が得られる。
【0169】
実施の形態3では、自車両が案内地点に近づくと案内画面を表示する場合について説明したが、例えば、自車両が交差点に差しかかるとレーン情報(左折レーン、直進レーン、右折レーンなど)を表示するレーン案内などの案内アイコンを表示する場合であっても適用可能である。
【0170】
実施の形態3では、自車両が案内地点に近づくと地図画像のうちの非ぼかし対象描画オブジェクト(建物を含む)に対してぼかし処理を行うことについて説明したが、地図画像で表示される建物のうち案内地点付近の建物に対してのみぼかし処理を行わないようにしてもよい。すなわち、ぼかし対象描画オブジェクト(第1の描画オブジェクト)は複数の描画オブジェクト(第3の描画オブジェクト)を含み、ぼかし処理5は、複数の描画オブジェクト(第3の描画オブジェクト)のそれぞれに対してぼかし度が異なるようにぼかし処理を行うようにしてもよい。このようにすることによって、運転者は案内地点付近の目印となる建物を容易に認識することができる。
【0171】
実施の形態4では、表示部11に図5に示すような地図画像を表示する場合について説明したが、表示部11に図3に示すようなメータを表示してもよい(すなわち、表示部11をメータパネルとしてもよい)。この場合、ぼかし処理は実施の形態1と同様である。
【0172】
実施の形態4では、図8(b)に示す表示状態で一定時間経過後にぼかし処理を終了することについて説明したが、一定時間の間隔でぼかし処理を繰り返し行うようにしてもよい。
【0173】
実施の形態4において、警告灯21が点灯すると、表示部11に表示されるぼかし対象描画オブジェクトに対してグラデーション処理を行ってもよい。このとき、ぼかし対象オブジェクトのうち警告灯21に近い側のぼかしを強くし(ぼかし度を大きくし)、警告灯21から離れるに従ってぼかしを弱く(ぼかし度を小さく)するようなグラデーション処理を行ってもよい。この場合であっても、実施の形態4と同様の効果が得られる。
【0174】
実施の形態5において、非ぼかし対象描画オブジェクトと重畳しているぼかし対象描画オブジェクトの領域以外の他の領域に対しても、重畳している領域とは異なるぼかし度でぼかし処理を行うようにしてもよい。すなわち、全体制御部2は、非ぼかし対象描画オブジェクトとぼかし対象描画オブジェクトとが重畳している領域と、当該重畳している領域以外の他の領域とで、ぼかし度が異なるように制御するようにしてもよい。例えば、重畳している領域のぼかしを強くし(ぼかし度を大きくし)、重畳している領域から離れるに従ってぼかしを弱く(ぼかし度を小さく)するようなグラデーション処理を行ってもよい。また、重畳している領域以外の領域については、自車両の速度が速くなるに従ってぼかしを強くするようにしてもよい。このような場合であっても、実施の形態5と同様の効果が得られる。
【0175】
実施の形態5において、ぼかし処理は、実施の形態1のように自車両の速度に応じてぼかし度を変えてもよく、自車両の速度に関係なく一定のぼかし度としてもよい。
【0176】
実施の形態6では、運転者に対する注意喚起として、電話またはメール着信時の場合について説明したが、緊急情報の受信時など、通信部10を介して取得した種々の情報であってもよい。
【0177】
実施の形態7において、運転席側から見た画面は、例えば、実施の形態1〜5にて述べたような種々の条件に応じたぼかし処理を行うことができる。
【0178】
図14(b)において、テロップと重畳するぼかし対象描画オブジェクトの領域に対してのみぼかし処理を行ってもよい。あるいは、図13(b)と同様の表示であってもよい。
【0179】
自車両内にHUD(Head Up Display)およびメータパネルが備えられている場合は、メータパネルに対して実施の形態1,4,5のようなぼかし処理を行うようにしてもよい。また、HUDやメータパネルの他に、ナビゲーション装置などの表示部を備えている場合は、当該表示部に対して実施の形態2,3,4,6のようなぼかし処理を行うようにしてもよい。
【0180】
実施の形態7では、自車両内の後部座席に着席している者が所有する通信装置(例えば、携帯電話)から運転者宛に文字メッセージを送信した場合においても適用可能である。具体的には、運転者宛に送られた文字メッセージをテロップで表示するとともに、ぼかし対象描画オブジェクトに対してぼかし処理を行う(例えば、図11(b)を参照)。
【0181】
表示部11に表示される地図画像をスクロールするときのスクロール速度に応じて、ぼかし対象描画オブジェクトのぼかし度を変化させるようにしてもよい。具体的には、スクロール速度が速くなるに従って、ぼかし対象描画オブジェクトのぼかしを強くするようにしてもよい。
【0182】
表示部11に表示される地図画像がヘディングアップの場合は、自車両が山道やカーブが多い道路を走行するときに地図画像が頻繁に回転することがある。このような場合において、地図画像の回転速度に応じて、ぼかし対象描画オブジェクトのぼかし度を変化させるようにしてもよい。具体的には、回転速度が速くなるに従って、ぼかし対象描画オブジェクトのぼかしを強くするようにしてもよい。
【0183】
実施の形態1〜8において、ぼかし対象描画オブジェクトは、操作制限がかかっているときのぼかし対象描画オブジェクトであってもよい。ここで、操作制限がかかっている画面とは、停車して操作しなければならない画面のことをいい、例えば目的地設定画面などが挙げられる。このような場合であっても、実施の形態1〜8と同様の効果が得られる。
【0184】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0185】
1 表示情報生成装置、2 全体制御部、3 描画オブジェクト生成部、4 描画オブジェクト合成部、5 ぼかし処理部、6 合成処理部、7 描画オブジェクト格納部、8 映像入力部、9 車両センサI/F部、10 通信部、11 表示部、12 操作入力部、13 GPS、14 車速パルス、15 ジャイロセンサ、16 車両制御装置、17 エンジン制御装置、18 ボディ系制御装置、19 車内LAN、20 カメラ、21 警告灯。
図1
図2
図4
図6
図10
図3
図5
図7
図8
図9
図11
図12
図13
図14