特許第6037982号(P6037982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6037982
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】廃棄物処分場における廃棄物処理工法
(51)【国際特許分類】
   B09B 1/00 20060101AFI20161128BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   B09B1/00 AZAB
   B09B3/00 301P
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-188342(P2013-188342)
(22)【出願日】2013年9月11日
(65)【公開番号】特開2015-54275(P2015-54275A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2015年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】502126921
【氏名又は名称】株式会社エムエルティーソイル
(73)【特許権者】
【識別番号】000155034
【氏名又は名称】株式会社本間組
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】畠山 正樹
(72)【発明者】
【氏名】畠山 寛之
(72)【発明者】
【氏名】川浦 栄太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 秀樹
【審査官】 金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−302273(JP,A)
【文献】 特開2001−355382(JP,A)
【文献】 特開2006−015309(JP,A)
【文献】 特開平10−272432(JP,A)
【文献】 特開2008−168181(JP,A)
【文献】 特開平09−158658(JP,A)
【文献】 特開2006−015262(JP,A)
【文献】 特開2001−286843(JP,A)
【文献】 実開昭57−033789(JP,U)
【文献】 特開昭58−020823(JP,A)
【文献】 特開2009−228419(JP,A)
【文献】 特開昭62−086228(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0670187(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第0610661(EP,A2)
【文献】 特開2014−205095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00− 5/00
E21B 1/00−49/10
E02D 7/00−13/10
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物処分場において、ケーシングの先端に、回転方向終端側が掘削孔と対応する径とした圧密板を、回転方向に対応して順次上方にその上下位置で一部が重なるように複数周設し、下方開口部に、閉口時に逆円錐形状となり且つ上方部分をヒンジ連結して嘴状に開閉可能とした開閉刺突部を設けた掘削部を連結した掘削体を用いて、ケーシングを抱持して回転掘削する掘進機構を備えた掘削装置で、所望の深さの掘削孔を形成する掘削工と、前記掘削工の後に、ケーシング上部開口箇所から廃棄物を投入すると共に投入廃棄物に対して下方への充填圧を加え、ケーシングを順時上方に引き抜いて開口した開閉刺突部からケーシング内廃棄物を掘削孔内に残存させて、掘削孔に廃棄物を満たす埋戻し工とを、掘削位置を変更して順次繰り返して行うに際して、前記埋戻し工の当初にスクリュー羽根を備えた回転充填体を掘削体の底方に垂下配置し、回転充填体で投入廃棄物に対して下方への充填圧を加えると共に、適宜掘削体を僅かに上方に引き抜いて開閉刺突部を完全に開口させる開口埋戻し工を行ってなることを特徴とする廃棄物処分場における廃棄物処理工法。
【請求項2】
掘削部の外周面における各圧密板の形成位置より下方に、螺旋間欠状に配置した攪拌羽根を設け、掘削時に孔壁面構成物を攪拌圧密して無排出掘削孔を形成してなる請求項1記載の廃棄物処分場における廃棄物処理工法。
【請求項3】
埋戻し工において、廃棄物処分場の表層廃棄物をバックホーによって掻き寄せてケーシング内に投入すると共に、クレーン装置で吊下げたウエイトで投入廃棄物を填圧する請求項1又は2記載の何れかの廃棄物処分場における廃棄物処理工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め立て地等の軟弱地盤や地下水が生ずる悪条件の廃棄物処分場において廃棄物の減容(廃棄空間の拡大)や埋設廃棄を実現する廃棄物処理工法及び前記廃棄物処理工法に使用する掘削体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般廃棄物や産業廃棄物等のうち再利用されない廃棄物は、廃棄物処分場に投棄しているもので、投棄は単に従前の廃棄物の上になされ、廃棄物が順次積層されていくものである。放置しておくと自重による自然の圧縮以外に減容がなされない。このため処分場が満杯になると別の処分場を探さなければならない。
【0003】
そこで廃棄物処分場において、外周にコテ部を備えた掘削土砂圧密形のオーガ(掘削体)を使用して、無排出で掘削穿孔して圧密孔を形成し、前記圧密孔によって新たに廃棄物廃棄空間を形成し、当該空間に廃棄物を廃棄充填する廃棄物処理工法が知られている。
【0004】
例えば特許文献1(特開平10−272432号公報)には、圧密孔を形成した後に掘削体を孔内に差し入れた状態で逆回転をさせて引き抜きながら、孔口から廃棄物を投入し、孔底へと落下させながらコテ部(圧密板)で孔壁に圧密させ、更に残りを孔底に順次堆積させる手段が開示されている。
【0005】
特許文献2(特開2001−286843号公報)には、圧密コテ(圧密板)を周面に設けたケーシングと、このケーシング内を通し且つ先端から突出する掘削ヘッドを有する掘削ロッドとからなる掘削体を使用し、ケーシングの圧密コテで無排出掘削を行い、ケーシングを残した状態でケーシング内に表層廃棄物を投入し、後にケーシングを引き抜く廃棄物処理工法が開示されている。
【0006】
特許文献3(特開2006−15262号公報)には、無排出圧密孔を形成しオーガを引き抜いた後に、圧密孔に外周面が平滑なケーシングを立て込み、ケーシング内に廃棄物を投入充填しながら若しくは充填後にケーシングの引き抜きを行う処理工法が開示されている。
【0007】
更に特許文献4(特開2008−302273号公報)には、圧密コテ部を周設した筒状本体の先端に、逆円錐台形状の掘削部を設けた掘削ヘッドと、前記掘削ヘッドと連続連結したケーシングとで圧密孔を形成保持し、掘削部材を引き抜いた後に圧密孔に廃棄物を投入する廃棄物処理工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−272432号公報。
【特許文献2】特開2001−286843号公報。
【特許文献3】特開2006−15262号公報。
【特許文献4】特開2008−302273号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
廃棄物処理場の地盤状況にあっては、前記した圧密孔を形成した際に、圧密孔に直ぐに地下水が侵入する場合がある。特に埋立地の廃棄物処理場では、埋め立てに際して浚渫土砂や建築廃材や焼却灰等の廃棄物で行われていたために、地盤自体が緻密ではなく堆積廃棄物が海水面下まで達している場合は、前記の圧密孔を掘削形成しても、直ぐに海水が浸透してきて圧密孔が崩壊してしまう。
【0010】
前記の状況下で特許文献1記載の工法を採用したとしても、ケーシングで圧密孔の孔壁を保持するものではないので、廃棄物投入作業時に圧密孔の孔壁が崩壊してしまう虞がある。しかも掘削体の先端ビットで態々堆積廃棄物を粉砕して圧密孔を形成する無駄があり、また掘削した圧密孔内に掘削体(オーガ軸)が存在する状態で、掘削孔への廃棄物の投入を行うため、孔底への通過断面が狭く廃棄物投入が効率的に行われない等、その作業効率の点に問題がある。
【0011】
また地下水問題がある廃棄物処理場では、前記特許文献3記載の工法のように圧密孔形成後にケーシングを圧密孔に投入設置する手段では、ケーシングの設置前に圧密孔が崩壊してしまう虞があり、特許文献4記載の工法のように、掘削体を引き抜いて圧密孔自体の形状保持を前提とする手法では圧密孔の崩壊によって成立しない。
【0012】
更に特許文献2記載の廃棄物処理工法のように、ケーシングを残したまま廃棄物投入を行う手段は、地下水問題には対応できるが、掘削体をケーシングと、掘削ロッド及び掘削ロッドからなる掘削部の二重構造が必要となり、而も回転駆動装置も掘削圧密時の掘削ロッド駆動機構とケーシング引抜時のケーシング駆動機構が必要となり、装置全体が複雑になってしまう。
【0013】
そこで、地下水問題に対応できる新規な掘削体及び前記掘削体を使用する廃棄物処理工法を、特願2013−82952号として提案したもので、本発明は、前記の基本的工法に加え、確実な実施を目指した工法を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明方法に使用する装置は、所定の掘削体を備えた掘削装置と、スクリュー羽根を備えた回転充填体(掘削ヘッドを備えていないオーガ形状の部材)及び前記回転充填体の回転駆動装置と、前記両者の吊下げ装置(クレーン)で、特に掘削体は、所定のケーシングの先端に回転方向終端側が掘削孔と対応する径とした圧密板を、回転方向に対応して順次上方にその上下位置で一部が重なるように複数周設して掘削物を孔壁に押圧する機能を備え、下方開口部に、閉口時に逆円錐形状となり、且つ上方部分をヒンジ連結して嘴状に開閉可能とした開閉刺突部を設けた掘削部を連結したもので、掘削装置は、前記掘削体のケーシングを抱持して回転し、掘削体の掘進或いは引抜を行うものである。
【0015】
本発明(請求項1)に係る廃棄物処分場における廃棄物処理工法は、廃棄物処分場において、ケーシングを抱持して掘削装置を動作させて、所望の深さの掘削孔を形成する掘削工と、前記掘削工の後に、ケーシング上部開口箇所から廃棄物を投入すると共に投入廃棄物に対して下方への充填圧を加え、ケーシングを順時上方に引き抜いて開口した開閉刺突部からケーシング内廃棄物を掘削孔内に残存させて、掘削孔に廃棄物を満たす埋戻し工とを、掘削位置を変更して順次繰り返して行うもので、特に前記の埋戻し工の当初に回転充填体を掘削体の底方に垂下配置し、投入廃棄物に対して下方への充填圧を加えると共に、適宜掘削体を僅かに上方に引き抜いて開閉刺突部を完全に開口させる開口埋戻し工を行ってなることを特徴とするものである。
【0016】
而して廃棄物処分場で掘削体を使用して圧密孔を形成し、掘削体をそのままにして廃棄物投入を行うものであるから、地下水(海水も含む)を含む層に達する深さまで圧密孔を形成しても、圧密孔の孔壁崩壊の虞が無い状態で廃棄物の投入が可能となり、また必要時に回転充填体を掘削体内に垂下配置し、回転充填体を回転作動させることで、投入廃棄物を掘削体内の下方に圧送し、投入廃棄物を填圧してその密度を高め、ケーシングを順時上方に引き抜いて開口した開閉刺突部からケーシング内の投入廃棄物を掘削孔内に残存させることで、廃棄処分場の減容を実現するものである。
【0018】
掘削部の開閉刺突部は、掘削中は掘削対向圧力を受けて開口する虞は無いが、仮に僅かでも開口すると、圧密掘削対象の廃棄物がケーシング内に侵入し、更には開口して圧密孔を形成できない場合も想定される。そこで開口刺突部の閉口状態を維持する適宜な留め具を設けて(例えば開閉刺突部の外側を細い番線で連繋しておく)、前記留め具で開口刺突部の開口を阻止して掘削する場合がある。また掘削工終了時に、掘削部先端部分に対して強い土圧(開閉刺突部の開口抵抗力)が加わっている場合もある。前記状態で投入廃棄物の自重と掘削体の上方移動で開閉刺突部が開口しない虞もあるが、廃棄物の投入と共に回転充填体を掘削孔底方に配置して、投入廃棄物を下方に圧送して、投入廃棄物で開閉刺突部側に押し付けて、掘削体を僅かに上方に引き抜くと、投入廃棄物が回転充填体で上方移動が阻止されると共に強く下圧されているので、開閉刺突部には強い開口圧力が加わり、細い番線の留め具は切断され、開閉刺突部は確実に開放状態となる。
【0019】
また本発明(請求項3)は、特に前記掘削部の外周面における各圧密板の形成位置より下方に、螺旋間欠状に配置した攪拌羽根を設けた掘削体を使用し、掘削時に孔壁面構成物を攪拌圧密して無排出掘削孔を形成してなるもので、無排出圧密孔の構築を速やかに行うことができたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記のとおりで、圧密孔を掘削して圧密孔に廃棄物投入を行うに際して、埋め立て地等の地下水層や海面下に達する悪条件の廃棄処分場でも、圧密孔を維持した状態での廃棄物投入が可能となったもので、廃棄物減容処理は勿論のこと、埋め立て地等への直接の廃棄物埋設処理をも実現したものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明工法に使用する掘削体の実施形態の正面図。
図2】本発明工法に使用する回転充填体及び回転駆動装置の実施形態の説明図。
図3】本発明工法の実施状況の説明図(掘削工)。
図4】同図(開口埋戻し工)。
図5】同図(埋戻し工)。
図6】同図(終了時)。
図7】同図(連続施工)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明工法の実施の形態について説明する。本発明の実施装置は、掘削体1と、掘削装置2と、バックホー3と、クレーン装置4と、回転充填体5と回転充填体5の回転駆動装置6で構成される。
【0023】
実施形態として示した掘削体1は、掘削部11と、2個のケーシング12a,12bで構成している。
【0024】
掘削部11は、筒状本体111の上端縁にケーシング接続部112を設け、外周面に攪拌羽根113と圧密板114を設け、下端部分に開閉刺突部115を設けたものである。
【0025】
攪拌羽根113は、掘削孔(圧密孔)Aと対応する外径で、螺旋状で且つ間欠的に設けたものである。圧密板114は、攪拌羽根113の上方に回転方向終端側が掘削孔Aと対応する径で、且つ回転方向に対応して順次上方に設け、上下位置でその一部が重なるように複数周設したものであり、開閉刺突部115は、筒状本体111の下方開口部に設けたもので、各々上方部分をヒンジ連結して嘴状に開閉可能とした複数枚で構成され、閉口時に逆円錐形状となるものである。尚図示していないが、開閉刺突部115の内面には、開閉刺突部115の開口を阻止する留め具、例えば細い番線で開閉刺突部115の外側を連繋しておくものである。
【0026】
ケーシング12a,12bは、筒状本体111と同一径で、上下端縁に前記掘削部11及び他のケーシング12a,12bと互いに連続して接続する連結部121を設けてなるものである。
【0027】
掘削装置2は、全回転型オールケーシング掘削機と称される既存の装置で、前記ケーシング12a,12bを抱持して回転掘削する掘進機構21を備えたものである。またバックホー3と、クレーン装置4は、周知の既存機器を使用する。
【0028】
回転充填体5及び回転充填体5の回転駆動装置6は、連結シャフト51で連結されてクレーン装置4に吊下げて使用されるもので、回転駆動装置6は回転駆動部を内装し、吊下げ掛け止部61を設けると共に、捻じれ防止用腕部62を横方へ突設してなり、連結シャフト51を下方に接続してなるものである。
【0029】
回転充填体5は、一般の掘削オーガにおいて掘削ヘッドを取り除いた形状のもので、シャフト部52にスクュー羽根53を備えたものである。
【0030】
次に前記実施装置を使用して本発明工法(施工作業)の実施について説明する。実施形態は、集積廃棄物Bが存在する処分場を例にしたが、埋め立て地のように直接廃棄物を埋設する場合にも本発明工法は適用されるもので、その場合、掘削対象は軟弱地盤となる。
【0031】
本発明工法の施工は、掘削工と、開口埋戻し工を含む埋戻し工を実施するもので、掘削工は、図3に示すように掘削部11とケーシング12aを連結した掘削体1を掘削装置2の掘進機構21に装着し、掘削孔の掘穿予定位置において掘削を開始する。
【0032】
掘削は掘進機構21で、掘削体1を回転させながら押し込むもので、掘削部11の開閉刺突部115が閉口の逆円錐形の状態で集積廃棄物(又は軟弱地盤)Bに喰い込み、更に攪拌羽根113の作用で集積廃棄物B内に捻り込みながら集積廃棄物Bを攪拌して押し上げて掘進する。この掘進によって圧密板114で連続的に孔壁が押圧されて圧密状態となる。
【0033】
特にケーシング12a,12bは筒状本体111と同径であるので、圧密孔Aの孔壁との間に空隙が生し、掘削体1の掘進がスムーズに行われると共に、ケーシング12aによって圧密孔Aの孔壁が多少崩壊しても掘削孔が維持されることになる。
【0034】
掘削がある程度進行すると、ケーシング12aに次段のケーシング12bをクレーン装置4で吊り上げて連結し、更に所定の深さまで掘削を行ない、掘削工を終了する(図3)。
【0035】
前記掘削工が終了すると、埋戻し工を実施するものであるが、埋戻し工の最初には、開口埋戻し工を実施する。開口埋戻し工は、図4に示すように、回転充填体5を連結シャフト51で連結した回転駆動装置6を、クレーン装置4に吊下げる。特に回転駆動装置6はその自転を阻止するように、クレーン装置4からのワイヤー63を捻じれ防止用腕部62に結んで、更に前記ワイヤー63を緊張して地表又は地表近くの機材をアンカーとして固定する。
【0036】
そして回転充填体5を懸垂状態でケーシング12a,12bを通過させて先端を掘削部11の底面まで到達させる。同時に廃棄物Cを掘削体1内に投入する。勿論掘削進行のために掘削体1の自重を増加させる目的で予め廃棄物Cを掘削体1内に投入しておいても良い。
【0037】
掘削体1の底方に投入廃棄物Dが存在する状態で、回転充填体5を充填回転(掘削逆回転)させると、投入された廃棄物Dは、掘削体1の内底方へ押し込められる。そして同時に掘削体1を僅かに上方に引き抜くと、投入廃棄物Dが回転充填体5で上方移動が阻止されると共に強く下圧されているので、開閉刺突部115には強い開口圧力が加わる。この結果、細い番線の留め具は切断され、開閉刺突部115は確実に開放状態となる。
【0038】
前記の開口埋戻し工を終了すると、回転充填体5及び回転駆動装置6を掘削体1内から引き抜いて、或いはそのままで、ケーシング12bの上部開口箇所から、処分場への搬入廃棄物や処分場の表層廃棄物をかき集めた廃棄物Cを、バックホー3等を使用して投入する。その際に掘削体1内に残した回転充填体5を作動させたり、クレーン装置4で吊下げたウエイトで投入廃棄物Dを填圧すると、より大量の廃棄物Cの投入が可能となる。
【0039】
ある程度の廃棄物Cを投入すると、掘削体1の開閉刺突部115を開口状態のまま、掘進機構21を逆転させて掘削体1を上方に移動させると、投入廃棄物Dは、そのまま圧密孔Aに残存することになる。
【0040】
掘削体1の上昇でケーシング12bが露出すると、ケーシング12bの連結を解除してクレーン装置4で吊り下げて取外し、再度ケーシング12aの上方開口部から廃棄物Cを投入する(図5)。圧密孔Aを投入廃棄物Dで満たすと、掘削体1を全て引抜き、埋戻し工を終了する(図6)。
【0041】
前記の掘削工及び埋戻し工を終了すると、次の掘削予定位置に移動して、次の掘削工、埋戻し工を順時実施し、これを繰り返すことで一杯となっている廃棄物処分場で更に大量の廃棄物を廃棄することができるものである(図7)。
【0042】
特に本発明は、形成した圧密孔Aを掘削体1で保護した状態のまま圧密孔A内への廃棄物投入を行うものであるから、圧密孔が崩壊しやすい埋め立て地等に設けた廃棄物処分場でも、何ら支障なく廃棄物減容処理が可能となったものであり、また近接地に連続して圧密孔Aへの廃棄物投入減容処理が可能で作業効率も高められたものである。
【符号の説明】
【0043】
1 掘削体
11 掘削部
111 筒状本体
112 ケーシング接続部
113 攪拌羽根
114 圧密板
115 開閉刺突部
12a,12b ケーシング
121 連結部
2 掘削装置
21 掘進機構
3 バックホー
4 クレーン装置
5 回転充填体
51 連結シャフト
52 シャフト部
53 スクリュー羽根
6 回転駆動装置
61 吊下げ掛け止部
62 捻じれ防止用腕部
63 ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7