特許第6038098号(P6038098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6038098風力発電装置のタワーの建造方法およびセンタリングピン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038098
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】風力発電装置のタワーの建造方法およびセンタリングピン
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/20 20160101AFI20161128BHJP
   E04H 12/12 20060101ALI20161128BHJP
   B66B 9/00 20060101ALN20161128BHJP
   B66B 9/02 20060101ALN20161128BHJP
   B66B 9/187 20060101ALN20161128BHJP
【FI】
   F03D13/20
   E04H12/12
   !B66B9/00 C
   !B66B9/02 Z
   !B66B9/187 E
【請求項の数】19
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-223324(P2014-223324)
(22)【出願日】2014年10月31日
(62)【分割の表示】特願2013-550827(P2013-550827)の分割
【原出願日】2012年1月18日
(65)【公開番号】特開2015-92078(P2015-92078A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】102011003164.2
(32)【優先日】2011年1月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ファン オーレン、ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルシャ、ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ホンツェック、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】カピッツァ、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ブック、ラルフ
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102009061027(DE,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02394498(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0213145(US,A1)
【文献】 特開2007−046292(JP,A)
【文献】 特開2000−283019(JP,A)
【文献】 特開2009−092069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/20
E04H 12/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置のコンクリートタワーの第1のタワーセグメント固定し、かつ第2のタワーセグメントを前記第1のタワーセグメントの上に降下する際に前記コンクリートタワーの前記第2のタワーセグメントを案内するためのセンタリングピンであって、
・前記第1のタワーセグメントに固定するための固定部分と、
・前記第2のタワーセグメントを案内するための案内部分と、
を有し、
・前記固定部分は、前記第1のタワーセグメントにねじ込むための外ネジを有し、
・前記案内部分は円錐形に構成されており、前記固定部分とは反対の方向に向かって先細になっており、
・前記固定部分と前記案内部分は、共通の軸を中心に同心に構成されている、
ンタリングピン。
【請求項2】
前記外ネジは金属ネジである、請求項に記載のセンタリングピン。
【請求項3】
前記案内部分は、プラスチックから作製されている、請求項またはに記載のセンタリングピン。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載の、第1と第2のセンタリングピンを備えるセンタリングピンペアであって、
前記第1のセンタリングピンは、前記第2のセンタリングピンよりも20%から70%短い案内部分を有し、
前記2つのセンタリングピンの固定部分は同じ大きさを有するセンタリングピンペア。
【請求項5】
風力発電装置のコンクリートタワーの第2のタワーセグメントにコンクリート埋め込みされ、かつ第1のタワーセグメントの上に降下する際に前記第2のタワーセグメントを案内するためのセンタリングスリーブであって、
・請求項1からのいずれか一項に記載のセンタリングピンを収容するための内側輪郭を備える中空空間と、
・前記センタリングピンを前記中空空間に導入するための開口部と、
・前記センタリングスリーブを前記タワーセグメントのコンクリート内に保持するための外側輪郭と、
を有するセンタリングスリーブ。
【請求項6】
切欠部または突起の形態の少なくとも1つの位置決め部分が、
正確な位置決めのために、または
コンクリート型枠内に前記センタリングスリーブを固定するために、または
サポート面上で第2のタワーセグメントをキャスティングし、もって前記センタリングピンを導入するための開口部が閉鎖されないままとなるよう、前記センタリングスリーブを前記第2のタワーセグメント内にコンクリート埋め込みするために、
設けられている、ことを特徴とする請求項に記載のセンタリングスリーブ。
【請求項7】
前記センタリングスリーブは、プラスチックから作製されている、ことを特徴とする請求項記載のセンタリングスリーブ。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の少なくとも1つのセンタリングピンと、前記センタリングピンに適合された請求項からのいずれか一項に記載のセンタリングスリーブとを有するセンタリングセット。
【請求項9】
請求項からのいずれか一項に記載の少なくとも1つのセンタリングスリーブがコンクリート埋め込みされたコンクリートタワーのタワーセグメント。
【請求項10】
風力発電装置のタワーの建造方法であって、
・第1のタワーセグメントを基礎部の上に載置する工程と、
・さらなるタワーセグメントを前記第1のタワーセグメントの上に載置する工程と、
を有する建造方法であって、
・前記第1のタワーセグメントの上側に、請求項1からのいずれか一項に記載の第1と第2のセンタリングピンを設け、
・前記さらなるタワーセグメントを前記第1のタワーセグメントの上に、前記第1のセンタリングピンが、前記さらなるタワーセグメントの下側にある対応の第1のセンタリング切欠部に部分的に係合するよう部分的に降下し、
・前記さらなるタワーセグメントを、前記第1のセンタリングピンと前記対応の第1のセンタリング切欠部の軸を中心に、前記さらなるタワーセグメントの下側にある第2のセンタリング切欠部が前記第2のセンタリングピンの略上方に配置されるまで旋回し、
・前記さらなるタワーセグメントを完全に降下し、その際に前記第1と第2のセンタリングピンが前記第1と第2のセンタリング切欠部に、前記さらなるタワーセグメントがその所望の配向位置で前記第1のタワーセグメントの上に案内されるように係合する、建造方法。
【請求項11】
さらに前記タワーセグメントと前記タワー基礎部との間に周回するリング状の突き合わせ領域を覆うよう、加熱装置を当該タワーセグメントに配置する工程を含む、請求項10に記載の建造方法。
【請求項12】
さらに作業プラットフォーム装置を、タワーないしはタワー部分内において可変の高さで、タワー梯子において作業する作業員を収容するために配置する工程を含む、請求項10または11に記載の建造方法。
【請求項13】
さらに前記作業プラットフォーム装置の持ち上げ手段を、前記さらなるタワーセグメントにあるタワー梯子の上方領域に移動させ、前記作業プラットフォーム装置の作業ケージを前記タワー梯子に沿って当該タワー梯子の上方領域に引っ張り上げる工程を含む、請求項12に記載の建造方法。
【請求項14】
前記さらなるタワーセグメントは、リフティング装置と前記センタリングピンによって昇降される、請求項10から13のいずれか一項に記載に記載の建造方法。
【請求項15】
風力発電装置のタワーまたはタワー部分内において可変の高さで作業する作業員を収容するための前記作業プラットフォーム装置は、
・タワー内において可変の高さで作業する作業員を収容するための作業ケージ(102)と、
・横木(110)と安全レール(112)の設けられたタワー梯子(108)に前記作業ケージ(102)を、事故が起きないよう固定するための固定部分(116)と、
を有し、さらに
前記作業ケージ(102)を前記タワー梯子(108)の前記安全レール(108)に固定するための持ち上げ手段(104)であって、安全レールの設けられたタワー梯子に沿って前記作業ケージを第1の作業位置から当該第1の作業位置よりも高い第2の作業位置に引っ張り上げるための持ち上げ手段(104)を有する、請求項12から14のいずれか一項に記載の建造方法。
【請求項16】
前記作業ケージは床部分を有し、該床部分は、成人作業員が当該作業ケージから下方に去ることのできる床開口部が生じるように開放することができる、ことを特徴とする請求項15に記載の建造方法。
【請求項17】
前記床開口部は、前記作業ケージがタワー梯子に固定されている場合において前記床開口部を通って作業員が作業ケージを去る際に、安全器具によって安全レールにある安全キャリッジを介して当該作業員を完全に確保したままにすることができ、当該作業員は、前記作業ケージを去る際に安全キャリッジを安全レールにおいて案内することができるように構成されている、請求項16に記載の建造方法。
【請求項18】
前記持ち上げ手段(104)は、前記固定部分(116)によって前記安全レール(112)に固定されている負荷アーム(114)を有する、請求項15から17のいずれか一項に記載の建造方法
【請求項19】
前記持ち上げ手段(104)は、支持ワイヤを変向するための変向手段および/または滑車ブロックシステムを有しており、前記滑車ブロックシステムないしは変向手段は、前記タワー梯子または前記安全レールに固定するよう構成されている、請求項15から18のいずれか一項に記載の建造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置のタワーの建造方法に関する。さらに本発明は、風力発電装置のコンクリートタワーの第1のタワーセグメントを固定し、かつ第2のタワーセグメントを前記第1のタワーセグメントの上に降下する際に前記コンクリートタワーの前記第2のタワーセグメントを案内するためのセンタリングピンに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置のタワー、とりわけコンクリートタワーを建造する方法は基本的に公知である。まずコンクリート基礎部が設けられる。プレハブ形式のコンクリートタワーが複数のタワーセグメントから統合される。このようなタワーセグメントは筒状エレメントとして、つまり円筒状エレメントとして設けることができる。すなわち軽く円錐形をした円筒体とは異なる。タワー直径が大きい場合には周方向に分割することも考えられる。したがって例えば断面が略半円形の2つのエレメントが統合されるか、または部分的に円形の他のセグメントが統合される。
【0003】
まず1つまたは複数のタワーセグメントが第1のタワー最下面として基礎部の上に載置される。この第1の面は非常に綿密に配向されることが重要である。すなわち平準化(水準平面化)されることが重要である。このためにこの第1のセグメントないしは複数のセグメントが正確に平準化され、この平準化された位置でまず少なくとも暫定的に固定され、これにより基礎部とこの最下タワーセグメントないしはこれら最下タワーセグメントとの間に調整質量が挿入され、この調整質量が最終的に硬化し、この平準化された配向を固定する。
【0004】
一般的には、US3074564A、DE102009023538A1およびDE202010000868U1を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US3074564A
【特許文献2】DE102009023538A1
【特許文献3】DE202010000868U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで問題なのは、調整質量(Ausgleichsmasse)の硬化が所定の最小温度を必要とすることである。外気温が氷点前後の低い場合には、硬化が極端に緩慢になるか、または完全に失敗する。このことは一方では、調整質量の劣化したないしは不完全な硬化につながる。他方では、延長された硬化時間を待機することにより、例えば据え付けのために必要なクレーンに対する待機時間が延長される。すでに第1のタワーセグメント(単数または複数)を基礎部の上に持ち上げたこのようなクレーンが、この調整質量の硬化時間の間、使用されないままとなる。 そのためコストの掛かるクレーンの付加的な待機時間が生じる。
【0007】
さらにタワーは、それまでに建造された部分タワーの上にさらなるタワーセグメントを載置することにより順々に建設される。したがってそのために必要な作業は、次々に高くなる高さで発生する。したがってそれぞれ完成したタワー部分の最上面の領域には骨組または作業プラットフォームが規則的に配置され、その上で建築チームの作業員が新たなタワーセグメントンの載置をコントロールすることができる。ここではとりわけ、正しく設けられた位置にそれぞれ新たなタワーセグメントが正確に配置されることをコントロールしなければならない。クレーンによって各タワーセグメントが当該タワーセグメントの大体の場所に順次に持ち上げられ、クレーン操縦者は該当するタワーセグメントの微細な位置決めを行う。そして各タワーセグメントの正確な位置決めは、前記作業プラットフォーム上の建築チームの作業員により手作業で、すなわち筋力により行われる。とりわけ該当するタワーセグメントを規則的に正しい位置へ回転しなければならない。建設作業員は、配向されたタワーセグメントを手作業で正しい位置に保持し、次にクレーン操縦者がそのタワーセグメントをゆっくりと下降させ、その間、建設チームは配向された位置が保持されるようにする。この際、このようなタワーセグメントは約5tから120tの重量があることを考慮すべきである。したがって大きな筋力を投入するにもかかわらず、非常に微細な位置決めを行わなければならない。
【0008】
したがってさらなるタワーセグメントを載置するこの方法は複雑であり、時間と労力が掛かり、エラーがある程度生じ易い。とりわけ現場作業員に対する怪我のおそれがあり、特に押し潰される危険性がある。
【0009】
新しいタワーセグメントがそれまでに建造されたタワーの上に配置されたならば、クレーンがタワーセグメントを持ち上げるのに使用した横梁からタワーセグメントを分離しなければならない。そのために支持ループ、すなわちループに成形されたスチールワイヤをタワーセグメントに固定することができる。次に横梁がこのループから外され、例えば留め金が外され、このスチールワイヤループ等が作業プラットフォーム上にいる作業員の手作業で、載置されたタワーセグメントから除去される。このことも面倒で手間が掛かり、それまでに完成されたタワーの高さでの適切な作業プラットフォームも含めてまさに大きな人的労力を必要とする。
【0010】
本発明の基礎とする課題は、上記の問題を少なくとも1つ取り除き、または低減し、とりわけ風力発電装置のタワーの建造、とりわけコンクリートタワーの建造を効率的に行うことである。少なくとも代替的な解決手段を提案するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の本発明によれば、風力発電装置のコンクリートタワーの第1のタワーセグメント固定し、かつ第2のタワーセグメントを前記第1のタワーセグメントの上に降下する際に前記コンクリートタワーの前記第2のタワーセグメントを案内するためのセンタリングピンであって、前記第1のタワーセグメントに固定するための固定部分と、前記第2のタワーセグメントを案内するための案内部分と、を有し、前記固定部分は、前記第1のタワーセグメントにねじ込むための外ネジを有し、前記案内部分は円錐形に構成されており、前記固定部分とは反対の方向に向かって先細になっており、前記固定部分と前記案内部分は、共通の軸を中心に同心に構成されている、センタリングピンが提案される。(形態1)
【0012】
さらに本発明によれば、形態1〜3の何れかの第1と第2のセンタリングピンを備えるセンタリングピンペアであって、前記第1のセンタリングピンは、前記第2のセンタリングピンよりも20%から70%だけ、とりわけ40%から60%だけ短い案内部分を有し、前記2つのセンタリングピンの固定部分は同じ大きさを有するセンタリングピンペアが提案される。(形態
【0013】
さらに本発明によれば、風力発電装置のコンクリートタワーの第2のタワーセグメントにコンクリート埋め込みされ、かつ第1のタワーセグメントの上に降下する際に前記第2のタワーセグメントを案内するためのセンタリングスリーブであって、形態1〜3の何れかのセンタリングピンを収容するための内側輪郭を備える中空空間と、前記センタリングピンを前記中空空間に導入するための開口部と、前記センタリングスリーブを前記タワーセグメントのコンクリート内に保持するための外側輪郭と、を有するセンタリングスリーブが提案される。(形態
【0014】
さらに本発明によれば、形態1〜3の何れかの少なくとも1つのセンタリングピンと、前記センタリングピンに適合されたセンタリングスリーブとを有するセンタリングセットが提案される。(形態
【0015】
さらに本発明によれば、形態5〜7の何れかの少なくとも1つのセンタリングスリーブがコンクリート埋め込みされたコンクリートタワーのタワーセグメントが提案される。(形態
【0016】
さらに本発明によれば、風力発電装置のタワーの建造方法であって、第1のタワーセグメントを基礎部の上に載置する工程と、さらなるタワーセグメントを前記第1のタワーセグメントの上に載置する工程と、を有する建造方法であって、前記第1のタワーセグメントの上側に、形態1〜3の何れかの第1と第2のセンタリングピンを設け、前記さらなるタワーセグメントを前記第1のタワーセグメントの上に、前記第1のセンタリングピンが、前記さらなるタワーセグメントの下側にある対応の第1のセンタリング切欠部に部分的に係合するよう部分的に降下し、前記さらなるタワーセグメントを、前記第1のセンタリングピンと前記対応の第1のセンタリング切欠部の軸を中心に、前記さらなるタワーセグメントの下側にある第2のセンタリング切欠部が前記第2のセンタリングピンの略上方に配置されるまで旋回し、前記さらなるタワーセグメントを完全に降下し、その際に前記第1と第2のセンタリングピンが前記第1と第2のセンタリング切欠部に、前記さらなるタワーセグメントがその所望の配向位置で前記第1のタワーセグメントの上に案内されるように係合する、建造方法が提案される。(形態10
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明では以下の形態が可能である
形態形態1のセンタリングピンにおいて、前記外ネジは金属ネジであることが好ましい。
(形態形態1又は2のセンタリングピンにおいて、前記案内部分は、プラスチックから作製されていることが好ましい。
(形態形態5のセンタリングスリーブにおいて、切欠部または突起の形態の少なくとも1つの位置決め部分が、正確な位置決めのために、またはコンクリート型枠内に前記センタリングスリーブを固定するために、またはサポート面上で第2のタワーセグメントをキャスティングし、もって前記センタリングピンを導入するための開口部が閉鎖されないままとなるよう、前記センタリングスリーブを前記第2のタワーセグメント内にコンクリート埋め込みするために、設けられていることが好ましい。
(形態形態5のセンタリングスリーブは、プラスチックから作製されていることが好ましい。
(形態11形態10の建造方法において、さらに前記タワーセグメントと前記タワー基礎部との間に周回するリング状の突き合わせ領域を覆うよう、加熱装置を当該タワーセグメントに配置する工程を含むことが好ましい。
(形態12形態10又は11の建造方法において、さらに作業プラットフォーム装置を、タワーないしはタワー部分内において可変の高さで、タワー梯子において作業する作業員を収容するために配置する工程を含むことが好ましい。
(形態13形態12の建造方法において、さらに前記作業プラットフォーム装置の持ち上げ手段を、前記さらなるタワーセグメントにあるタワー梯子の上方領域に移動させ、前記作業プラットフォーム装置の作業ケージを前記タワー梯子に沿って当該タワー梯子の上方領域に引っ張り上げる工程を含むことが好ましい
(形態14形態10〜13の何れかの建造方法において、前記さらなるタワーセグメントは、リフティング装置と前記センタリングピンによって昇降されることが好ましい。
(形態15形態12〜14の何れかの建造方法において、風力発電装置のタワーまたはタワー部分内において可変の高さで作業する作業員を収容するための前記作業プラットフォーム装置は、・タワー内において可変の高さで作業する作業員を収容するための作業ケージと、・横木と安全レールの設けられたタワー梯子に前記作業ケージを、事故が起きないよう固定するための固定部分と、を有し、さらに前記作業ケージを前記タワー梯子の前記安全レールに固定するための持ち上げ手段であって、安全レールの設けられたタワー梯子に沿って前記作業ケージを第1の作業位置から当該第1の作業位置よりも高い第2の作業位置に引っ張り上げるための持ち上げ手段を有することが好ましい。
(形態16形態15の建造方法において、前記作業ケージは床部分を有し、該床部分は、成人作業員が当該作業ケージから下方に去ることのできる床開口部が生じるように開放することができることが好ましい。
(形態17形態16の建造方法において、前記床開口部は、前記作業ケージがタワー梯子に固定されている場合において前記床開口部を通って作業員が作業ケージを去る際に、安全器具によって安全レールにある安全キャリッジを介して当該作業員を完全に確保したままにすることができ、当該作業員は、前記作業ケージを去る際に安全キャリッジを安全レールにおいて案内することができるように構成されていることが好ましい。
(形態18形態15〜17の何れかの建造方法において、前記持ち上げ手段は、前記固定部分によって前記安全レールに固定されている負荷アームを有することが好ましい。
(形態19形態15〜18の何れかの建造方法において、前記持ち上げ手段は、支持ワイヤを変向するための変向手段および/または滑車ブロックシステムを有しており、前記滑車ブロックシステムないしは変向手段は、前記タワー梯子または前記安全レールに固定するよう構成されていることが好ましい。
【0018】
リフティング装置は支持構造体、とりわけ横梁として構成されており、タワーセグメントを持ち上げ、その際に自身はクレーンによって持ち上げられ、とりわけクレーンワイヤに固定されている。このリフティング装置ないしは横梁は、タワーセグメントをそれ自身に固定するために少なくとも1つの固定手段を有する。この固定手段は、ループに係合するフックまたは2つの取付側面部の間の横ボルトとすることができる。基本的には少なくとも2つの固定手段、好ましくは4つの固定手段が設けられており、複数の個所でタワーセグメントに接続することができ、これにより持ち上げる際にタワーセグメントを安定させることができる。基本的にはただ1つの固定手段で十分であり得るが、重力を分配し、安定化させるために多くの場合は複数の固定手段を設けるべきである。
【0019】
さらに解除装置が設けられており、この解除装置はリフティング装置とタワーセグメントとの間の接続を解除することができる。とりわけ自動的もしくは半自動的または遠隔制御で接続が解除ないしは分離され、または接続の解除が解除装置によって行われる。この解除装置は例えば無線遠隔制御を介して操作することができる。しかし実際の解除はこの解除装置によって実行される。したがって接続の解除が行われる場所で、作業員が接続の解除作業を手作業で直接実行しなければならないことが回避される。
【0020】
接続を遠隔制御で解除する代わりに、状況に応じた接続の解除も考えられる。すなわち例えば、タワーセグメントを降下することにより、リフティング装置とタワーセグメントとの間の接続の解除を実行または開始するのである。
【0021】
好ましくはリフティング装置は、このリフティング装置とタワーセグメントとの間の接続が遅滞なく解除されるように構成されており、これによりタワーセグメント上にさらなるタワーセグメントを規定どおりに配置することができる。言い替えると、接続が解除された後には、タワーセグメントの上側にはさらなるタワーセグメントをこの上側に載置するのに障害となるエレメントが突き出ていない。載置すべきさらなるタワーセグメントに対応する切欠部または他の適合部が存在する場合には、この位置関係では下方となるタワーセグメントの上側にエレメントを残しておくことができる。この構成で重要なことは、リフティング装置による接続の解除後には、これに関連するさらなる手動の操作がこのタワーセグメントでは不要なことである。
【0022】
例えばこの構成は、リフティング装置がタワーセグメントの1つまたは複数の支持リングまたは支持ループの接続だけを解除し、すなわち外し、残った支持リングまたは支持ループを手作業でさらに除去しなければならないことを回避するものである。
【0023】
ここでこの一実施形態は、リフティング装置とタワーセグメントとの間の接続を解除する際に、例えば支持リングまたは支持ループ等のような補助手段もタワーセグメントから解除される場合を含むこともできる。タワーセグメントから解除されるこの補助手段は、リフティング装置の一部である必要はない。
【0024】
リフティング装置、とりわけ解除装置が、接続エレメント、とりわけタワーセグメントにねじ込まれた留め輪またはスチールワイヤループをタワーセグメントから解除するように、とりわけネジ外しするように構成されていると有利である。この一実施形態は、持ち上げるべきタワーセグメントに固定された、とりわけねじ込まれた1つまたは複数の接続エレメントが使用されることを前提にする。これには留め輪、スチールワイヤループ、リング等の接続エレメントが基礎となっており、これらはねじ切りされた開口部、とりわけねじ切りされた有底孔にねじ込むためにネジ部分を付加的に有する。留め輪、ループ、リング等の開口部に、リフティング装置はフックまたは他の係合エレメントによって係合することができ、これによりタワーセグメントを持ち上げることができる。タワーセグメントを最終的に降下した後、リフティング装置だけが接続エレメントから解除されると、この接続エレメントが残ってしまい、さらなるタワーセグメントをこのタワーセグメントの上に載置することの妨げとなる。したがって解除装置はこの一実施形態によれば、接続エレメントもこのタワーセグメントから外すことができるように構成されている。接続エレメントがねじ込まれた好ましい実施例に対しては、これらの接続エレメントがタワーセグメントからネジ外しされる。このことはリフティング装置用のモータまたは個々の解除装置用のモータ、とりわけ電気モータによって行うことができる。したがってモータは、接続エレメントに係合する係合手段を回転させる。この回転運動は接続エレメントに伝達され、これによりこの接続エレメントはタワーセグメントからネジ外しされる。タワーセグメント内には開口部だけが取り残されるが、この開口部はさらなるタワーセグメントの載置を妨げない。
【0025】
基本的に、別の接続部を接続エレメントとタワーセグメントとの間に設けることもでき、この接続部は脱着可能な接続、例えばロック装置を含む。
【0026】
好ましくは各固定手段は、スチールループの1つまたは他の接続エレメントに接続されるように構成されている。各固定手段には解除装置の1つが設けられており、これによりそれぞれの固定手段に接続されたスチールループまたは他の接続エレメントを、タワーセグメントからネジ外しすることができる。対応して各固定手段は、これに接続された個々の接続エレメントをタワーセグメントからネジ外しすることができる。これにより個々の解除装置と解除過程とを分離することができる。とりわけ電気モータを使用する場合には、簡単で適切な分離が可能である。
【0027】
好ましくは少なくとも2つの固定手段が設けられており、これらはそれぞれスチールワイヤループに脱着可能に接続することができる。このためにとりわけ、スチールワイヤループに挿入するための支持用横ボルトまたはスチールワイヤループに係留するためのフック部分が設けられており、これらは好ましくはそれぞれ確保手段によって確保されている。この確保手段は、接続エレメントが固定手段から意図せずに解離するのを阻止する。ここでも、接続エレメントをタワーセグメントから解除した後、この接続エレメントをさらにリフティング装置によって設置場所にある工事現場の地面に降ろさなければならず、このときに落下させてはならないことが基本にある。リフティング装置がこれらの接続エレメントも含めて地面に降ろされると、そこで接続エレメントを固定手段から除去することができる。
【0028】
好ましくは固定手段のすべてまたは複数は、好ましくは解除装置も含めて、リフティング装置におけるそれらの位置が可変であり、これにより持ち上げるべきタワーセグメントの種々の大きさに適合することができる。これにより、上に向かって細くなる風力発電装置タワーの高さが増すにつれ、タワーセグメントの大きさおよび/または形式が変化しても、風力発電装置タワー建造での機械コストを低く抑えることができる。
【0029】
本発明のセンタリングピンは、風力発電装置のコンクリートタワーの第1のタワーセグメントに固定するため、および第2のタワーセグメントが第1のタワーセグメントの上に降下される際に、コンクリートタワーのこの第2のタワーセグメントを案内するために設けられている。このためにセンタリングピンは、第1のタワーセグメントに固定するための固定部分と、第2のタワーセグメントを案内するための案内部分とを有する。したがってセンタリングピンは第1の、すなわち下方のタワーセグメントに固定される。対応して案内部分は降下の際に、第2の、すなわち上方のタワーセグメントを案内するよう構成されている。
【0030】
プレハブ形式の風力発電装置タワーは、複数のタワーセグメントから統合され、これらのタワーセグメントはとりわけ重なり合って載置される。全体として垂直で安定したタワーを得るために、すべてのセグメントをきちんと重なり合って載置しなければならない。提案されたセンタリングピンはこれに寄与し、第2のタワーセグメントを第1のタワーセグメントの上に、すなわち上方のタワーセグメントを下方のタワーセグメントの上にできるだけ正確に積み重ねることを可能にする。
【0031】
好ましくはセンタリングピンは以下の特徴ないしは特性の少なくとも1つを有する。好ましくはセンタリングピンの固定部分には、外ネジ、とりわけ金属ネジが第1のタワーセグメントにねじ込むために設けられている。したがってタワーセグメントにはセンタリングピンをねじ込むための対応する(雌)ネジを設けるべきである。このネジの形式および大きさは有利には、支持ループまたは他の支持手段を受け入れる上記ネジないしはネジを備える有底孔に対応し、とりわけこれと同一である。センタリングピンは第1のタワーセグメントの上側でネジにねじ込み、固定することができる。対応するネジを使用する場合、これによって第1のタワーセグメントにおけるセンタリングピンの正確な位置決めも達成される。
【0032】
好ましくは案内部分は円錐形に構成されており、固定部分とは反対の側で先細になっている。したがってセンタリングピンが第1のタワーセグメントの上部に規定どおりに装着(嵌装)される場合、とりわけねじ込まれる場合、案内部分は上方に向かって先細になっている。したがって案内部分は例えば円錐部分に対応することができる。
【0033】
案内部分は好ましくはプラスチックから作製することができる。これによりセンタリングピンの簡単な形態が可能であり、とりわけその形状を簡単に作製し、複製することができる。とりわけセンタリングピンの案内部分は、第2の、すなわち上方のタワーセグメントの下側にある対応する開口部に係合するために設けられている。
【0034】
固定部分と案内部分とが共通の軸を中心に同心に構成されていると有利である。これにより簡単な作製と、スペースを節約した保管および搬送が可能である。しかしこのことはとりわけ取り扱いを容易にし、可及的に良好な取り扱い特性を保証し、とりわけ降下の際に上方のタワーセグメントの良好な案内特性を保証する。
【0035】
さらに大きさの異なる2つのセンタリングピンからなるセンタリングピンペアが提案される。ここではとりわけ固定部分、すなわちネジを備える固定部分は同じ大きさを有し、これに対して案内部分の大きさが異なる。第1のタワーセグメント、すなわち下方のタワーセグメントの上側にこれらの2つのセンタリングピン、すなわちこのセンタリングピンペアが配置されている場合、これらの2つのセンタリングピンは異なる高さで第1のタワーセグメントの上側から突き出る。第1のタワーセグメントの上に載置されるべき第2のタワーセグメントを配向するために、第2のタワーセグメントはまずクレーンによって、第1のタワーセグメントの略上方で宙吊り位置に搬送される。そして第2のタワーセグメントは、下方を指す開口部を備える第2のタワーセグメントにあるセンタリングスリーブが、比較的に大きなセンタリングピンの上方に存在するように緩慢に降下することができ、この比較的に大きなセンタリングピンの一部が対応するセンタリングスリーブに入り込むまで降下される。このときこの第2のタワーセグメントは、比較的に小さなセンタリングピン、すなわち比較的に短い案内部分を備えるセンタリングピンがまだ空いているようにだけ降下される。したがってまだ第2のタワーセグメントの下側(底面)は、この比較的に小さなセンタリングピンの最上部先端のすぐ上方にある。比較的に大きなセンタリングピンがその対応するセンタリングスリーブに部分的に係合することにより、第2のタワーセグメントはちょうどこの領域で比較的大きなセンタリングピンを中心に、さらなるセンタリングスリーブが比較的小さなセンタリングピンの上方に配置されるよう旋回することができる。次に第2のタワーセグメントはさらに降下することができ、比較的小さなセンタリングピンもその対応するスリーブに係合する。そして少なくとも2つのセンタリングピンがそれぞれセンタリングスリーブに部分的に導入される。すなわち少なくとも上記の比較的に大きなセンタリングピンと上記の比較的小さなセンタリングピンが部分的に導入される。そしてこの第2のタワーセグメントをさらに降下することができ、このときに好ましくは円錐形のセンタリングピンがタワーセグメントの位置決めを引き受ける。
【0036】
したがって本発明によれば、風力発電装置のコンクリートタワーの第2のタワーセグメントにコンクリート埋め込みするためのセンタリングスリーブが提案される。このようなセンタリングスリーブは、上に述べたように第1のタワーセグメント上に降下する際に第2のタワーセグメントを案内するのに使用され、このときに前記センタリングピンと共同作用する。このようなセンタリングスリーブは、円錐形のセンタリングピンを受け入れる内側輪郭を備える少なくとも1つの中空空間と、このような円錐形のセンタリングピンを導入するための開口部とを有する。ここで中空空間と開口部はとりわけ形状も寸法も、これらが対応するセンタリングピンと共同作用できるように構成されている。言い替えると対応するセンタリングピンは、導入の際に正しい位置に導かれるよう、できるだけ正確にセンタリングスリーブに、すなわちセンタリングスリーブの中空空間に適合すべきである。
【0037】
センタリングスリーブは、このセンタリングスリーブをタワーセグメントのコンクリート内に保持するための外側輪郭を有する。これに関し、外側輪郭が例えば突起、例えば周回する突起を有しており、これによりセンタリングスリーブが硬化したコンクリートから脱落するのを回避すると有利である。センタリングスリーブの材料の粗さおよび場合によりさらなる保持手段の材料の粗さのような周辺条件によっては、外側輪郭が中空空間の内側輪郭に実質的に対応していれば十分であり得る。
【0038】
好ましくはセンタリングスリーブは実質的にプラスチックから作製される。センタリングスリーブに対する材料としてプラスチックが使用されることに関連する要点は、場合により例えば金属または他の材料から成る保持フック等の保持エレメントを補充することができることである。とりわけ中空空間の形態は、プラスチック材料によって例えば射出成形法で簡単に実現される。
【0039】
好ましくはセンタリングスリーブにはさらに位置決め部分が設けられており、この位置決め部分はセンタリングスリーブをコンクリート型枠に、または関連して使用されるコンクリート型枠のサポート面上に位置決めし、および/または固定するように構成されている。この位置決め部分によりセンタリングスリーブは可及的に正確にセンタリングされ、引き続きコンクリートセグメントのキャスティング(流し込み成形)が行われる。ここでは対応するセグメント型枠へのコンクリートの流し込みが、センタリングスリーブの位置および配向をそのままにし、移動させたり、さらに運動させたりしないことを保証しなければならない。相応にしてセンタリングスリーブはタワーセグメント内にともにキャスティングされる。このとき開口部は閉鎖すべきではない。またはこのような閉鎖部を硬化の後に再び簡単に除去できるようすべきある。これにより対応して簡単に、少なくとも1つの簡単に組み込まれたセンタリングスリーブを備えるタワーセグメントが得られる。すなわちセンタリングピンと共同作用することのできる明確に規定されたセンタリング切欠部を備えるタワーセグメントが簡単に得られる。
【0040】
対応して、中にコンクリート埋め込みされたセンタリングスリーブを備えるコンクリートタワーのタワーセグメントが提案される。
【0041】
したがって有利には、少なくとも1つのセンタリングピンと、それに適合されたセンタリングスリーブとを有するセンタリングセットが設けられる。
【0042】
本発明によれば、風力発電装置のタワーまたはタワー部分において可変の高さで作業するための作業プラットフォーム装置が提案される。この作業プラットフォーム装置は、タワーを建造するためと、タワー部分と称することのできる部分的に完成したタワーで使用するために設けられる。作業プラットフォーム装置は、タワー内で可変の高さで作業する作業員を収容するための作業ケージを含む。 その点で作業ケージは、現在のところ最上位に配置されたタワー部分のそれぞれの領域に設けられるように構成されている。ここではとりわけタワーセグメントを上下に配置することによりセグメントごとに統合される風力発電装置のタワーを前提にする。これは好ましくはコンクリートタワーのタワーセグメント、すなわちコンクリートセグメントとすることができる。しかし鋼鉄製タワーの使用も同様に考えられる。
【0043】
さらに作業プラットフォーム装置は、安全レールの設けられたタワー梯子に事故が起きないよう作業ケージを固定するための固定部分を有する。したがって固定部分は、作業ケージだけがタワー梯子にほぼ任意に固定できるだけでなく、事故防止規則を考慮して、少なくとも一人の作業員がその中で安全に、タワーのそれぞれの高さで作業でき、作業しても良いように構成しなければならない。この安全ケージが事故の起きないよう固定されているタワー梯子は安全レールを有し、タワー内の作業員はこの安全レールに自分の安全器具を規定どおりにかつ規則どおりに確保することができる。これに作業ケージの固定部分は適合していなければならない。
【0044】
一実施形態によれば、作業ケージは床部分を有し、この床部分は床開口部が生じるように開放することができ、この床開口部を通って成人の作業員、すなわち風力発電装置タワーの建築チームの作業員は作業ケージの下方に去ることができる。対応して作業ケージは下方について開放することができ、建築チームの構成員が、とりわけ作業ケージが固定されたタワー梯子を介して作業ケージを下方に去ることができる。
【0045】
好ましくは床開口部は、作業ケージがタワー梯子に固定されているときに作業員が床開口部を通って作業ケージを去る際に、安全器具により安全キャリッジを介して作業員を安全レールに完全に確保したままにすることができ、とりわけ作業ケージを去る際に作業員が安全キャリッジをレールに案内することができるように構成されている。言い替えると床開口部の開放時に安全レールはその点で完全に解放される。したがって作業ケージを下方に去ろうとする作業員は、安全器具と安全レールにある対応の安全キャリッジによってすでにバスケット内で確保されている。このことは作業ケージ内での全滞在中、いずれにしろ行われるべきである。そうすれば開口部を開放することができ、このとき作業員は常に確保されたままである。最後にタワー梯子にいる作業員は簡単に作業ケージから梯子を降りることができる。ここで安全キャリッジは通常公知のように安全レールに案内され、ここではいずれの時点でも作業員が確保されていないという状況は発生しない。作業員は、全プロセスを通じて一貫して確保されている。
【0046】
さらなる一実施形態によれば、作業プラットフォーム装置に持ち上げ手段(リフト手段)を設けることが提案される。この持ち上げ手段は、タワー梯子に固定し、作業ケージを安全レールの設けられたタワー梯子に沿って第1の作業位置からそれより高い第2の作業位置に引っ張り上げるために設けられている。
【0047】
好ましくは持ち上げ手段は、支持ワイヤの向きを変えるための滑車ブロックシステム(ないしチェーンブロックシステム)または少なくとも1つの変向手段を有し、滑車ブロックシステムもしくは変向手段はタワー梯子または安全レールに固定するよう構成されている。これにより滑車ブロックシステムないしは変向手段を作業ケージの上方で、同じタワー梯子ないしはこれと接続された安全レールに固定することができる。支持ワイヤの一方の端部ないしは滑車ブロックシステムの端部は、作業ケージの1つまたは複数の対応する個所に固定され、ワイヤの他方の端部は持ち上げ手段を操作する作業員に達する。ここでこの作業員は、前もって作業ケージを対応の開口部を通って下方に去っていて、作業ケージの下方に立つことができる。ワイヤは、作業ケージの床にあるこの開口部を通って作業員に達することができる。そしてこの作業員はワイヤで作業ケージを上方へ、比較的高い所にある作業位置に引っ張ることができる。このことはとりわけ、前記のようにして作業ケージがそれぞれ次第に上方のタワーセグメントの領域へ移動され、とりわけ最上位のタワーセグメントの上側縁部の近傍に移動されることによって、個々のタワーセグメントからなる風力発電装置タワーを建築する場合に有利である。なぜならそこに次のタワーセグメントを載置すべき場合にはそこで作業を実施すべきだからからである。ここで好ましくはタワー梯子部分が予め取り付けられたタワーセグメントが使用される。
【0048】
本発明によれば、周回するセグメント壁を備える筒状タワーセグメントと風力発電装置のタワー基礎部との間に周回するリング状の突き合わせ領域を、風力発電装置の建造時に加熱する加熱装置が提案される。この加熱装置は、突き合わせ領域を覆う1つまたは複数のカバーシートを有する。さらに加熱装置は、カバーシートを支持する1つまたは複数のリング状の支持フレームを有する。ここで1つまたは複数の支持フレームは、少なくとも一人の成人に対して、付き合わせ領域と支持フレームに載置されるカバーシートとの間に十分なスペースが存在するよう構成されている。
【0049】
この加熱装置が基礎とする知識は、タワーセグメントをタワー基礎部の上で配向するために調整質量を配置することができるが、この調整質量はとりわけ冷凍温度では、すなわち氷点前後、とりわけ氷点以下では硬化の質が悪く、緩慢であり、またはまったく硬化しないというものである。したがって寒冷地域および/または寒冷期での風力発電装置のタワーの建造には問題があり、少なくとも風力発電装置タワーの建造が遅れることがある。第1のタワーセグメントを設置するために対応するクレーンがすでに必要であることを考慮すると、工期の遅延は、設置したクレーンの無駄時間を意味し、これにはコストが付随する。したがって加熱装置を使用することにより、環境温度が低い場合でも、調整質量により平準化が行われる領域の温度を、少なくとも調整質量の硬化が阻害されない、または格段に阻害されない温度にまで高めることができる。
【0050】
このために提案された加熱装置は、前記加熱すべき領域の周囲を熱で覆う配置構成を提供する。このためにタワーに立て掛けられた保持装置またはタワーに固定された保持装置が提案され、この保持装置上には対応のカバーシートが配置される。支持フレームを使用することにより、作業のために一人または複数の作業員に対して十分なスペースが生じるよう、基本的にカバーを加熱すべき個所から離すことができる。このために支持フレームはリング状に構成される。ここでこのリング状の形態は、数学的な意味で円であるリング形状だけでなく、風力発電装置タワーないしはタワーセグメントの円形形状に適合した多角形構造も含む。
【0051】
好ましくは内部部分カバー装置が、タワーセグメントの内部に配置するために設けられており、この内部部分カバー装置はとりわけ支持フレームとカバーシートとからなる独立構造を含んでいる。追加的にまたは代替的に外部部分カバー装置が、タワーセグメントの外周囲に配置するために設けられており、この外部部分カバー装置は少なくとも1つのカバーシートと支持フレームとを有する。例えば外気温が過度に低くなく、第1のタワーセグメント内の空間の保護される位置が、そこに十分に高い温度を保証することができる場合には、1つの外部部分カバー装置を使用するだけで十分であり得る。
【0052】
好ましくは少なくとも1つの支持フレームは、タワーセグメントに固定するためにリング状に周回する上方支持部分を有する。そこから出発して支持フレームをさらに建造することができ、とりわけカバーシートを離しておくためのホールドオフ(離隔)支柱を配置することができる。
【0053】
カバーシートは防水材料から作製することができ、同時に雨水保護も提供する。他方でカバーシートはそれに制限されるものではなく、空気透過性および/または水透過性材料も考えられる。このシートに高い絶縁特性を付与することもできる。外気温によっては薄いシートでも十分であり、このシートは実質的に空気循環、およびとりわけ対流による暖かい空気の漏出を阻止するか、少なくとも最小にする。
【0054】
好ましくは加熱手段、とりわけファンヒータが設けられている。これは突き合わせ領域およびカバーシートとカバーシートとの間の空間の空気を加熱し、このように加熱された空気の漏出を実質的に阻止する。調整質量の硬化を可能にするには、氷点より少し高い温度への加熱でしばしば十分であり得ることを繰り返しておく。
【0055】
好ましくはカバーシートは光吸収性の表面を有する。これにより太陽光を付加的に加熱に利用することができる。外気温と太陽光線に応じて、このような加熱で十分であるかまたは例えばファンヒータのような加熱手段が補充的に使用される。
【0056】
以下、本発明の実施例に基づき添付図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】リフティング装置を下方から見た斜視図である。
図2図1のリフティング装置がタワーセグメントに固定された状態を示す図である。
図3】リフティング装置によって持ち上げられたタワーセグメントをリフティング装置とともに示す斜視図である。
図4】支持ループの斜視図である。
図5】センタリングピンとセンタリングスリーブの斜視図である。
図6図5のセンタリングピンとセンタリングスリーブを部分的に嵌合した状態を示す図である。
図7】作業プラットフォーム装置の斜視図である。
図8図7の作業プラットフォーム装置の固定手段を安全レールに接続する前後の様子を示す図である。
図9図8の接続エレメントを安全レールに接続した状態を示す図である。
図10】作業プラットフォーム装置の側面図である。
図11】別の一実施形態による作業プラットフォーム装置の側面切開図である。
図12】作業プラットフォーム装置の一部をタワー梯子とともに裏側から示す図である。
図13】作業プラットフォーム装置をタワー梯子に保持するためのサポート装置を示す図である。
図14】加熱装置を備える第1タワーセグメントの斜視図である。
図15】タワーセグメントの内部にある加熱装置の下部構造の部分図である。
【実施例】
【0058】
図1は、タワーセグメントをリフティング装置1に固定するための4つの固定手段2を備えるリフティング装置1を示す。各固定手段2には解除装置4が配設されている。ここではこの解除装置4は、実質的に規定どおり垂直のそれぞれの回転軸を中心にそれぞれの固定手段2を回転させる装置として構成されている。リフティング装置1は、中央支持部材6と、この中央支持部材6に固定された2つの横支持部材8とを有する。横支持部材8は、中央支持部材6における位置が可変であるよう固定されている。さらに横支持部材8は、固定手段2を備える解除装置4を支持し、解除装置4はそれぞれの横支持部材8に可動に、すなわち移動可能に配置されている。これによりリフティング装置1は、種々のタワーセグメントサイズに適合することができる。
【0059】
各固定手段2は、各1つの支持ボルト12を備える2つの保持ウェブ10を有する。固定手段2の2つの保持ウェブ10の間には、タワーセグメント16の支持ループ14が規定どおりに受け入れられるべきであり、支持ボルト12が支持(吊り上げ)ループ14を通り抜け、これによりこの支持ループを支持する(吊り上げる)ようにする。
【0060】
各解除装置4は電気モータを含む。この電気モータは、固定手段を実質的に垂直の軸を中心に回転させるように構成されており、これにより保持ウェブ10の間に受け入れられた支持ループ14も同様に回転し、これによりそれぞれの支持ループ14をタワーセグメント16からネジ外しすることができる。
【0061】
解除装置4を制御するために解除制御部18が設けられており、この解除制御部は接続アーム20を介してそれぞれの解除装置4と、これを制御するために接続されている。
【0062】
リフティング装置1は、支持ワイヤ22でクレーンにより持ち上げられる。それぞれの解除装置4は該当する固定手段2を保持するためにも同時に用いられる。解除装置4はそれぞれのロックレール24によって、それぞれの横支持部材8に所定位置でロック可能であり、この所定位置は持ち上げるべきそれぞれの形状(タワー)セグメント16の大きさに適合されている。
【0063】
図2は、リフティング装置1がタワーセグメント16と接続された状態を示す。ここでの接続は、固定手段2により4つの支持ループ14を介して行われる。これらの支持ループのうち図2には2つだけが手がかりとして図示されている。支持ループ14は、タワーセグメント16に上方から上方載置面でねじ込まれる。タワーセグメント16がその適切な場所に、本実施例では基礎部の上に降ろされた後、リフティング装置1は、支持ループ14が有意の張力を受け入れる必要がなくなるまで、すなわち実質的に無負荷になるまで降下され、それぞれの解除装置4は固定手段2を回転し、これにより対応する支持ループ14が回転され、これによりタワーセグメントからネジ外しされる。
【0064】
図3は、固定されたタワーセグメント16を備えるリフティング装置1が宙吊りになっている状態を全体斜視図に示す。
【0065】
図4に詳細に図示された支持ループ14は、ループ部分26とネジ部分28を有する。ネジ部分28は、タワーセグメント16にある対応する対向ネジにねじ込まれるよう構成されている。したがってタワーセグメント16は、図1に示すようにリフティング装置1により持ち上げられるように構成することができる。このために支持ループ14がタワーセグメント16にねじ込まれ、上方に向かって起立する。(タワーセグメントの)支持のために支持ループ14が対応する固定手段2に接続され、図3に示すように持ち上げることができる。しかし降下の後、固定手段が支持ループ14から外されるのではなく、固定手段2が解除装置4によって回転され、それにより支持ループ14もともに回転され、それによってタワーセグメント16から外すことができる。タワーセグメント16はその適切な載置位置に留まり、このとき支持ループ14はすでに除去されており、次のタワーセグメントを最後に載置したタワーセグメントの上に降ろすことができる。
【0066】
図5は、センタリングピン50とセンタリングスリーブ52を示す。センタリングピン50は、固定部分54と案内部分56を有する。固定部分54は実質的にネジピンとして構成されており、案内部分56を支持する。案内部分は円錐形に構成されており、固定部分54とは反対の側に向かって先細になっている。ここで案内部分56はや略円錐形に構成されている。
【0067】
センタリングスリーブ52は開口部58を見せており、この開口部を通してセンタリングピン50の案内部分56をセンタリングスリーブ52の中空空間に導入することができる。図5にはセンタリングスリーブ52の外側輪郭60も実質的に示されており、この外側輪郭は基本的に中空空間の内側輪郭の形状も示唆する。
【0068】
センタリングスリーブ52は、コンクリート製のタワーセグメントに、このタワーセグメントの製作時にともにコンクリート埋め込みされるように設けられており、したがって開口部58およびさらに位置決めプレート62には、タワーセグメントの下方突き合わせ面において本質上まだアクセスすることができる。コンクリート埋め込みするために、位置決めプレート62は2つの位置決め切欠部64を有する。コンクリート埋め込みの前に、センタリングスリーブ52は位置決めプレート62とともに下方を指すように平坦な面の上に載置され、この平坦な面の上にはタワーセグメントをキャスティング(流し込み成形)するための型枠も配置される。この平坦な面ないしはプレートの上には、各センタリングスリーブ52ごとにそれぞれ2つのセンタリングノーズが設けられており、これらのセンタリングノーズはそれぞれ位置決め切欠部64に係合し、これによりセンタリングスリーブ52を正確に位置決めする。ここでは位置決めプレート62によって、中空区間を収容する特に外側輪郭60を基準にしてセンタリングスリーブ52が可及的に正確に垂直に配向されるようになる。
【0069】
センタリングスリーブ52をコンクリート内に保持するために保持板66が設けられており、この保持板は保持ストラップとも称することができ、とりわけセンタリングスリーブの位置をコンクリートの流し込みの際に保持する。さらに周回する丸められた外側ウェブ68もコンクリート内での良好な保持を支援する。
【0070】
図6は、センタリングピン50が部分的にセンタリングスリーブ52に装填された状態を例示する。使用時にはセンタリングピン50が、すなわち案内部分56が、2つのタワーセグメントが積み重ねられる際に初めてセンタリングスリーブ52に導入される。このときこのセンタリングスリーブは、2つのタワーセグメントの一方にすでにコンクリート埋め込みされている。
【0071】
図7の作業プラットフォーム装置100は、作業ケージ102と持ち上げ手段(リフト手段)104を含み、持ち上げ手段(リフト手段)は滑車ブロックシステム(ないしチェーンブロックシステム)106を有する。ここで作業プラットフォーム装置100はタワー梯子108に固定されており、タワー梯子には横木110と安全レール112が設けられている。このために持ち上げ手段104は負荷アーム114を有し、この負荷アームは固定部分116によって安全レール112に変位しないよう固定されている。負荷アーム114には滑車ブロックシステム106が固定されており、さらに滑車ブロックシステム(の一端)は作業ケージ102に固定されている。したがって作業ケージを滑車ブロックシステムによって比較的高い位置に引き上げることができる。
【0072】
作業ケージ102も同様にタワー梯子108に変位しないよう作業位置で固定されている。滑車ブロックシステム106ないしは持ち上げ手段104は全体で、作業ケージ102を移動させる際にだけこれを比較的高い位置に持ち上げ、保持する。したがって持ち上げ手段104は作業ケージ102を実質的に無負荷状態でだけ、すなわち作業員がいないときにだけ持ち上げ、保持する。
【0073】
作業ケージ102は、この作業ケージ102を持ち上げるための滑車ブロックシステム106を固定するために、種々のアタッチメントポイントを備える手すり118を有する。さらに手すり118は、作業員が作業ケージ102から落下するのを阻止するために設けられている。このことはいくつかの保護壁120によって支援される。
【0074】
さらに作業ケージ102は旋回可能なプラットフォーム122を有し、このプラットフォームは作業ケージ102の床ないしは床部分として用いられる。図7にはプラットフォーム122が横部に旋回された位置で図示されており、この位置で作業員が作業ケージ102を下方に去ることができる。このために外すように旋回されたプラットフォーム122は、対応する床開口部124を解放する。プラットフォームの旋回方向は矢印126により示されている。さらに旋回可能な工具ボックス128が設けられており、この工具ボックスは必要に応じて作業ケージ102に入り込み、またこれから出るように旋回することができる。場合によりスペースの理由から、持ち上げ手段104による作業ケージ102の位置変化の際に、工具ボックス128を作業ケージ102に入り込むよう旋回させると有利である。作業ケージ102内でないしは作業ケージ102からの作業を行う間、工具ボックス128を作業ケージ102の外の位置に旋回すると、作業ケージ102内に付加的なスペースを形成することができる。
【0075】
図8は、安全レール112に対する負荷アーム114の固定を示す。ここで負荷アーム114は固定部分116によって安全レール112に固定される。このために固定部分116は固定フック130を有しており、固定フックは、長手の開口部132に係合するように設けられている。この長手の開口部は長穴とも称することができ、安全レール112の裏側に配置されている。固定のために負荷アーム114の固定部分116と固定フック130は、いわゆるC字形材として構成された安全レール112に軽く傾斜して導入され、略下方へそれらの固定位置に押し込まれる。再び外れるのを阻止するためにラッチボルト134が設けられている。このラッチボルトは、固定位置で固定フック130と同じ長穴132に係合する。完全に装着された位置が図9の側面図に示されている。
【0076】
負荷アーム114を安全レール112から再び解除するためには、ラッチボルト134の操作ヘッド136を手作業で引き抜いて外さなければならない。さらに図9は、負荷アーム114に複数の固定孔部138が設けられていることを示す。これらの固定孔部は、持ち上げ手段104の滑車ブロックシステム106に対して種々の固定位置を提供する。固定孔部138が異なれば、受け入れることができる重量も異なる。さらに固定孔部138を上手く選択すれば、作業ケージ102を持ち上げる際に有利な引っ張り方向を選択することができる。
【0077】
図10は、図7の状況の基本的側面図である。ここにはとりわけ、操作部分140が滑車ブロックシステム106のワイヤ142に固定されており、ワイヤ(ないしザイル)142は作業ケージ102の上方の位置から作業ケージ102を通って作業ケージ102の下方の位置に達していることが分かる。対応して作業ケージ102を、作業ケージ102の下方にある位置から比較的に高い位置へ引き上げる、すなわち持ち上げることができる。ここで作業ケージ102は側方の案内プレートによって案内される。作業ケージ102に、とりわけ手すり118に固定するために、持ち上げ手段104には対応のロック式フック144を設けることができ、このロック式フックは一般的にカラビナフックと称することができる。このようなロック式フック144が図10図11に例として拡大して図示されている。その他、図8,10および11にも梯子保持部146が図示されている。この梯子保持部によってタワー梯子108は安全レール122も含めてタワー内壁に固定され、この梯子保持部146はタワー梯子108と該当するタワー壁との間に間隔も生じさせる。
【0078】
図11は、図10に示したのと類似の状況を示す。ここでは滑車ブロックシステム106のロック式フック144が作業ケージ102の別の位置に固定されている。したがって図10による手すり118での固定は行われておらず、固定はプラットフォーム122を旋回するための旋回軸148と作業ケージ102の別の保持支柱150で行われる。旋回軸148と保持支柱150をロック式フック144の係留のために使用することで、作業ケージ102を負荷アーム114にさらに接近させて引っ張ることができる。このことは、タワー内で、とりわけちょうど作業すべき最上位のタワーセグメント内で特に高い位置に作業ケージ102を持ち上げるべき場合に特に重要である。種々のセグメントから成るタワーの建造時にも、作業ケージ102をタワーセグメント内でできるだけ高く引き上げ、さらなるタワーセグメントを載置する際に良好な作業位置を獲得することが有利であり得る。ここで図11は、作業ケージ102の一部を切り開いて示す。すなわち図11の状況によれば、滑車ブロックシステム106は作業ケージ102内に配置されており、切開表示によって初めて見ることができる。
【0079】
図12は、作業ケージ102を裏側から示す。すなわち基本的にタワー梯子108が固定されたタワー壁から見た図である。したがって図12は、一連の固定手段を有するケージ裏側152を示す図である。作業ケージは6つの接続手段154によってケージ裏側152に固定されている。ここで各接続手段154はロッキングスライダ156を含み、このロッキングスライダにより作業ケージ102とケージ裏側152との接続が行われる。ここで矢印158はロックのための運動を、矢印160はロック解除のための運動を示す。
【0080】
さらに3つのサポートホルダ162が設けられており、これらは作業ケージをそれぞれの横木110にサポートすることにより高さ位置を決める。
【0081】
図13の詳細図には、サポートホルダ162が側面図で図示されている。サポートホルダはサポートレバー164を有し、このサポートレバーは図13では2つの位置で図示されている。すなわち水平の静止位置と傾斜した解除位置である。矢印166は解除位置への解除運動を示す。作業ケージが上方に引き上げられ、その際にサポートホルダ162が横木110を通過すると、作業ケージ102およびサポートホルダ162のこの上昇運動により、横木110はサポートレバー164を退避運動166させる。上昇運動が継続されると、横木110はサポートレバー164との接触領域を去り、このサポートレバー164は矢印168に示すように旋回運動して元に戻る。このときサポートレバー164はストッパ170に衝突する。このためにバネがサポートレバー164の旋回軸172の領域に配置されているが、このバネは図示されていない。
【0082】
さて作業ケージ102が再び少し沈下すると、サポートレバー164が該当する横木110に当接し、作業ケージ102を保持する。沈下運動は矢印174により示されている。
【0083】
作業ケージ102をさらに沈下すべき場合、対応して設けられたブロック装置によりサポートレバー164が戻り旋回するのを阻止しなければならない。このようなブロック装置は設けられているが、図示されていない。
【0084】
図14には、基礎部の上に載せられた第1のタワーセグメント200が斜視図で示されており、その周囲には外側部分カバー装置202を備える加熱装置が図示されている。この外側部分カバー装置202は、タワーセグメント200と基礎部204との間の図示されない突き合わせ領域を包囲する。ここでこの外側部分カバー装置202は、保護空間をタワーセグメント200の周囲に形成し、この保護空間の高さと幅は成人が簡単に立ち入ることができるようになっている。分かりやすくするためヒトが概略的に図示されている。
【0085】
外側部分カバー装置202は、タワーセグメント200にある上方の周回するレール206に固定されており、第1のタワーセグメントに対して実質的に密閉されている。このような密閉は、熱が対流により漏れるのを実質的に阻止する。さらに骨組が外側部分カバー装置202の下方に配置されており、この骨組も上方の周回するレールと接続されており、外側部分カバー装置202の外形状を実質的に規定する。
【0086】
図15は、まだ完成していない内部部分カバー装置の支持フレーム208の一部を示す。対応して図15は、タワーセグメント200の内部空間を示す。内部支持フレーム208も周回するレール、すなわち内側周回レール210を有する。図15にもヒトがスケッチされており、支持フレーム208および設けるべき内部部分カバー装置の大きさが理解される。その他、支持フレーム208は実質的にカバーシートを張架するために設けられており、カバーシートを保持するために支持フレーム208と接続されている。
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0087】
1 リフティング装置
2 固定手段
4 解除装置
6 中央支持部材
8 横支持部材
10 保持ウェブ
12 支持ボルト
14 支持ループ
16 タワーセグメント
18 解除制御部
20 接続アーム
22 支持ワイヤ
24 ロックレール
26 ループ部分
28 ネジ部分
50 センタリングピン
52 センタリングスリーブ
54 固定部分
56 案内部分
58 開口部
60 外側輪郭
62 位置決めプレート
64 位置決め切欠部
66 保持板
68 外側ウェブ
100 作業プラットフォーム装置
102 作業ケージ
104 持ち上げ手段
106 滑車ブロックシステム(ないしチェーンブロックシステム)
108 タワー梯子
110 横木
112 安全レール
114 負荷アーム
116 固定部分
118 手すり
120 保護壁
122 プラットフォーム
124 床開口部
128 工具ボックス
130 固定フック
132 長手の開口部(長穴)
134 ラッチボルト
136 操作ヘッド
138 固定孔部
140 操作部分
142 ワイヤ
144 ロック式フック
146 梯子保持部
148 旋回軸
150 保持支柱
152 ケージ裏側
154 接続手段
156 ロッキングスライダ
162 サポートホルダ
164 サポートレバー
170 ストッパ
172 旋回軸
200 タワーセグメント
202 外側部分カバー装置
204 基礎部
206 周回するレール
208 支持骨組
210 内側周回レール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15