【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題は、ポリ(メタ)アクリルイミドと接着促進剤もしくは接着促進剤混合物と任意の助剤とから発泡成形体を製造するための新規の方法において、以下の工程:
− ポリ(メタ)アクリルイミドからのプラスチック成形体を粉砕する工程、
− 前の工程で得られた粉砕物を接着促進剤で被覆する工程、
− 被覆された粉砕物を金型に充填する工程、
− 任意に助剤を添加する工程、
− 金型を加熱する工程、
− 金型を発泡温度未満に冷却する工程、
− 発泡成形体を離型する工程
を含むことを特徴とする方法により解決された。
【0023】
ここで、本発明によれば、一段法と二段法の2つの方法のバリエーションが存在する。
【0024】
ここで、一段法は以下の工程を含む:
− ポリ(メタ)アクリルイミドからのプラスチック成形体を粉砕する工程、
− 前の工程で得られた粉砕物を接着促進剤で被覆する工程、
− 被覆された粉砕物を金型に充填する工程、
− 任意に助剤を添加する工程、
− 金型を加熱する工程、
− 金型を発泡温度未満に冷却する工程、
− 発泡成形体を離型する工程。
【0025】
二段法は以下の工程を含む:
− ポリ(メタ)アクリルイミドからのプラスチック成形体を粉砕する工程、
− 粉砕物を予備発泡させる工程、
− 前の工程で得られた粉砕物を接着促進剤で被覆する工程、
− 被覆された粉砕物を金型に充填する工程、
− 任意に助剤を添加する工程、
− 金型を加熱する工程、
− 金型を発泡温度未満に冷却する工程、
− 発泡成形体を離型する工程。
【0026】
ここで、好ましくは、接着促進剤としてポリアミドを使用することができる。これは特に、粉砕物に対して1質量%〜20質量%、好ましくは1質量%〜15質量%、特に好ましくは1質量%〜10質量%の量で使用される。
【0027】
同様に好ましくは、接着促進剤としてポリ(メタ)アクリレートを使用することができる。これは特に、粉砕物に対して1質量%〜20質量%、好ましくは1質量%〜15質量%、特に好ましくは1質量%〜10質量%の量で使用される。
【0028】
接着促進剤を用いたコポリマー粉砕物からの発泡材部品の製造における本質的な利点は、以下の通りである:
− 粉砕物を接着促進剤と一緒に金型(工具)へ容易に計量供給することができる。
− 接着促進剤が即座に溶融することで、粉砕物を相応する金型の箇所に(例えば斜面に)配置することができる。
− 発泡体コアにおいて、粒界(結合継ぎ目)間の密着力が確立される。
− 発泡体コアに、金型表面の厳密でかつ平滑な像形成が行われる。
− 発泡体コアとカバー層の相応するマトリックス(例えば熱可塑性、熱硬化性又は金属性)との間に、最適化された密着性が確立される。
【0029】
膨張性のメタクリル系及びアクリル系のポリマー粉砕物と接着促進剤とから均質な発泡体を製造するためには、まず最初に、工具容積に対して所望の密度が達成されるように、相応するポリマーからの粉砕物を秤量する。その後、この粉砕物を、固体の接着促進剤、又は液体の接着促進剤、又は固体の接着促進剤と液体の接着促進剤とからの混合物と混合することによって、この粉砕物を接着促進剤で覆う。接着促進剤は、粉砕粒を部分的もしくは表面全体的に覆い、この粉砕粒の周囲に多少なりとも閉じた層を形成する。
【0030】
粉砕物の粒度は、1.5mm〜5mm、好ましくは2mm〜4mm、極めて特に好ましくは2.5mm〜3.5mmである。粒度の測定は、5mm、3mm、1.5mm及び1mmの目開きの篩を用いた篩分けにより行われる。
【0031】
粉砕物の製造は、例えばカッティングミル中で行われる。このカッティングミルは、垂直的な配置で、それぞれ2つのステータ−及びロータカッターを備えている。ロータの回転数は50rpmであり、モータの電力は1.5kWである。カッティングミル(製造元:Siemens、132S型)の場合、処理量は例えば約1kg/h〜1.5kg/hである。
【0032】
例えば、粉末状の接着促進剤の添加量は、粉砕物の1質量%〜20質量%、好ましくは粉砕物の1質量%〜15質量%、極めて特に好ましくは粉砕物の1質量%〜10質量%である。溶融状態の接着促進剤によって、溶融すべきポリマー粒子が互いにすべり合い、かつ金型の壁部に接してすべることが可能となる。
【0033】
その後、固体混合物が金型内に均一に撒かれる。金型は任意の複雑性を有するものであってよいが、その際、約3mm未満の厚さでは十分な発泡が不可能であることに留意すべきである。
【0034】
その後、金型が閉鎖され、炉、加熱可能なプレス中で、又はその他の方法で加熱される。その際、加熱されたポリマーが発泡し、接着促進剤が溶融する。発泡させるべきポリマーの周囲に接着促進剤からの層が生じ、それにより、発泡の際に粒界が合体する。
【0035】
ポリマー
(メタ)アクリル酸という用語は、メタクリル酸、アクリル酸又はこれら双方からの混合物を指す。(メタ)アクリロニトリルという用語は、メタクリロニトリル、アクリロニトリル又はこれら双方からの混合物を指す。例えばアルキル(メタ)アクリレートという用語についても、同様のことが言える。この用語は、メタクリル酸、アクリル酸又はその双方からの混合物のアルキルエステルを指す。
【0036】
注型ポリマーを製造するに当たり、まず最初に、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリロニトリルとを好ましくは2:3〜3:2のモル比で主成分として含むモノマー混合物が製造される。さらに、例えばアクリル−もしくはメタクリル酸のエステル、スチレン、マレイン酸もしくはイタコン酸ないしその無水物、又はビニルピロリドンといった、さらなるコモノマーを使用することができる。ここで、このコモノマーの割合は、2つの主成分の30質量%以下、好ましくは10質量%以下であることが望ましい。例えばアリルアクリレートのような架橋性モノマーを少量併用することができる。しかしながらその量は、好ましくはせいぜい0.05質量%〜2.0質量%であることが望ましい。
【0037】
共重合用の混合物は、さらに発泡剤を含有しており、この発泡剤は、約150〜250℃の温度で分解もしくは蒸発し、その際に気相を形成するものである。
【0038】
重合は、好ましくはスラブ金型中で行われる。例えば厚さ80mmまでの層状の平面スラブを製造する場合には、モノマー混合物は、縁部でそれぞれ封止されていて一種の平面チャンバを形成している2枚のガラス板の間に存在している。この平面チャンバは、所望の重合温度に調節されている水浴により包囲されている。
【0039】
重合は、十分に、又は広い範囲にわたって、等温条件下に、即ち一定の水浴温度で実施されてよい。多くの場合、重合の開始から終了まで水浴温度を一定に保持することが可能である。しかしながら場合により、重合の一部をより高温で行うために、水浴温度をまず最初に長時間一定に保持し、所定の時間後に高めることもできる。
【0040】
この、より高温で行われる次の重合段階においても、水浴温度を一定に保持することができる。
【0041】
水浴温度の選択は、重合チャンバの厚さと、重合時に使用される配合物とに依存する。ここで一般には、製造すべきボードが厚いほど、重合温度、ひいては水浴温度をより低い値へとシフトすることが好ましい。
【0042】
配合物及び厚さに適した温度は、その都度単純な予備試験によって最適化され得る。
【0043】
当然のことながら、温度は、チャンバの厚さ及び配合物に対して、上で挙げた限度の範囲内で、重合の間に重合混合物が望ましくない温度となることなく、重合の際に放出される熱が十分な程度で排出され得るように調節される。周囲の水浴により制御される重合工程が終了した後に、加熱棚中での熱処理が実施される。熱処理は一般に80〜130℃の温度で行われ、その際、すでに説明した通り、38℃から出発して、好ましくは重合温度から出発して、均一な、もしくは段階的に上昇する温度レジームが設定され得る。この熱処理棚における最終重合には、一般に10〜1000時間で十分である。
【0044】
発泡剤
発泡剤(C)として、以下の化合物又はそれらからの混合物が使用可能である:ホルムアミド、ギ酸、尿素、イタコン酸、クエン酸、ジシアンジアミド、水、モノアルキル尿素、ジメチル尿素、5,5’−アゾ−ビス−5−エチル−1,3−ジオキサン、2,2’−アゾ−ビス−イソ酪酸ブチルアミド、2,2’−アゾ−ビス−イソ酪酸−N−ジエチルアミド、2,2’,4,4,4’,4’−ヘキサメチル−2,2’−アゾペンタン、2,2’−アゾ−ビス−2−メチル−プロパン、ジメチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート、アセトンシアンヒドリンカーボネート、オキシ−イソ酪酸メチルエステル−カーボネート、N−メチルウレタン、N−エチルウレタン、N−tert−ブチルウレタン、ウレタン、シュウ酸、マレイン酸、オキシ−イソ酪酸、マロン酸、シアンホルムアミド、ジメチルマレイン酸、メタンテトラカルボン酸テトラエチルエステル、オキサミド酸−n−ブチルエステル、メタントリカルボン酸トリメチルエステル、メタントリカルボン酸トリエチルエステル、並びに3〜8個の炭素原子からの一価アルコール、例えばプロパノール−1、プロパノール−2、ブタノール−1、ブタノール−2、tert−ブタノール及びイソ−ブタノール。
【0045】
開始剤
開始剤として、ラジカル重合可能な化合物及び開始剤系が使用される。公知の化合物クラスは、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキソジスルフェート、ペルカーボネート、ペルケタール、ペルオキシエステル、過酸化水素及びアゾ化合物である。開始剤の例は、過酸化水素、ジベンゾイルペルオキシド、ジシクロヘキシルペルオキソジカーボネート、ジラウリルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クモールヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオクタノエート、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルネオデカノエート、tert−アミルペルピバレート、tert−ブチルペルピバレート、tert−ブチルペルベンゾエート、リチウム−、ナトリウム−、カリウム−及びアンモニウムペルオキソジスルフェート、アゾイソブチロニトリル、2,2−アゾビスイソ−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾ−ビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、及び4,4’−アゾビス(シアノ吉草酸)である。
【0046】
同様に好適なものは、レドックス開始剤である(H. Rauch-Puntigam, Th. Voelker, Acryl- und Methacrylverbindungen, Springer, Heidelberg, 1967、又はKirk-Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, Vol.1, 第286頁以下, John Wiley & Sons, New York, 1978)。時間及び温度に関して異なる分解特性を有する開始剤及び開始剤系を組み合わせることが有利である場合がある。好ましくは、開始剤は、モノマーの全質量に対して0.01質量%〜2質量%、特に好ましくは0.15質量%〜1.5質量%の量で使用される。
【0047】
重合は、好ましくは塊状重合の変法、例えばいわゆるチャンバ法により行われるが、これに限定されるものではない。
【0048】
ポリマーの分子量の重量平均
【化1】
は、好ましくは10
6g/モルを上回り、特に3×10
6g/モルを上回るが、これに制限されるものではない。
【0049】
さらに、前駆体は慣用の添加物を含有してよい。これには、とりわけ帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、着色剤、難燃剤、流動性向上剤、フィラー、光安定剤及び有機リン化合物、例えばホスファイト又はホスホネート、顔料、耐候剤及び可塑剤が含まれる。
【0050】
好ましい添加物のもう一つのクラスは、発泡材の静電気帯電を防止する伝導性粒子である。これには、とりわけ金属−及びカーボンブラック粒子が含まれ、これらは、EP0356714A1号に記載されているように10nm〜10mmの範囲内の寸法を有する繊維として存在していてもよい。
【0051】
極めて特に好ましく使用可能なポリ(メタ)アクリルイミド発泡材の一つは、例えば以下の工程により得ることができる:
1.以下のものからなる組成物のラジカル重合によるポリマーボードの製造:
(a)メタクリル酸とメタクリロニトリルとの合計に対して、メタクリロニトリル20質量%〜60質量%、メタクリル酸80質量%〜40質量%、及び場合により他の単官能性ビニル系不飽和モノマー20質量%まで、
(b)ホルムアミドもしくはモノメチルホルムアミドと、例えばイソプロパノールのような分子中に3〜8個の炭素原子を有する一価の脂肪族アルコールとからの発泡剤混合物0質量%〜15質量%、
(c)以下のものからなる架橋剤系
(c.1)分子中に少なくとも2個の二重結合を有するラジカル重合性ビニル系不飽和化合物0.005質量%〜5質量%、及び
(c.2)モノマー混合物中に溶解した酸化マグネシウム0.1質量%〜5質量%
(d)開始剤系
(e)慣用の添加物。
【0052】
2.この混合物を、寸法50cm×50cm、厚さ2.2cmの2枚のガラス板から縁部を封止して形成されたチャンバ内で、30℃〜45℃で数日間重合させる。次いで、このポリマーを、40℃〜130℃に達する熱処理プログラム下に約20hおいて最終重合させ、ポリ(メタ)アクリルイミドを得る。次に続く発泡を、200℃〜250℃で数時間行う。
【0053】
ポリ(メタ)アクリルイミドのための任意の添加物
さらに、混合物に慣用の添加物を添加することができる。好適な量は、モノマー混合物に対して例えば0質量%〜20質量%、0質量%〜10質量%、又は0質量%〜5質量%である。
【0054】
慣用の添加物は、上記のモノマー、架橋剤、発泡剤又は開始剤とは異なるものである。
【0055】
これにはとりわけ、帯電防止剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、着色剤、流動性向上剤、フィラー、光安定剤及び有機リン化合物、例えばホスファイト又はホスホネート、顔料、離型剤、耐候剤及び可塑剤が含まれる。考え得るさらなる添加物は難燃剤である。部分的に酸化アンチモンを含有するハロゲン含有難燃剤に加えて、リン含有化合物も使用可能である。リン含有化合物は、燃焼時の煙ガス毒性が低いために好ましい。リン化合物には、とりわけ、ホスファン、ホスファンオキシド、ホスホニウム化合物、ホスホネート、ホスファイト及び/又はホスフェートが含まれる。これらの化合物は有機及び/又は無機の性質のものであってよく、例えば、リン酸モノエステル、ホスホン酸モノエステル、リン酸ジエステル、ホスホン酸ジエステル及びリン酸トリエステル、並びにポリホスフェートであってよい。
【0056】
接着促進剤
原則的に、接着促進剤は液体であっても固体であってもよく、固体の接着促進剤同士の混合物、固体の接着促進剤と液体の接着促進剤とからの混合物、及び液体の接着促進剤同士の混合物も使用可能である。
【0057】
例えば、ホットメルト接着剤又は反応性接着剤を使用することができ、その際、接着促進剤は、種々のポリアミド(PA)型(例えば、PA6(Evonik Degussa GmbH 社から市販されているVestamelt
(R)型)、PMMA(例えばEvonik Roehm GmbH社より市販されているDegalan
(R) BM310)、PMMI(Evonik Roehm GmbH社より市販されているAcrymid
(R) TT50(Acrymid
(R) TT50は、耐熱変形性の高いポリ(n−メチルメタクリルイミド)である))又は、硬化剤(Evonik Roehm GmbH社より市販されているVestamin
(R)(Vestamin
(R)は、脂肪族及び脂環式アミンをベースとする架橋剤である)))をベースとしたものであってよい。場合により、接着促進剤は上記成分の混合物からなっていてもよい。
【0058】
接着促進剤の溶融温度は、120℃〜255℃、好ましくは120℃〜250℃、極めて特に好ましくは120℃〜245℃である。
【0059】
接着促進剤又は接着促進剤混合物の量は、ポリ(メタ)アクリルイミドポリマーに対して、1質量%〜20質量%、好ましくは1質量%〜15質量%、極めて特に好ましくは1質量%〜10質量%である。
【0060】
場合により、さらに慣用の離型助剤及び/又は離型剤が使用されてもよく、金型には付着防止被覆が備えられていてもよい。