【実施例】
【0020】
本発明に係る芝生結束用作業装置及び芝生結束方法の実施例を
図1〜5とともに説明する。この実施例の芝生結束用作業装置1は、
図1〜
図3に示すように、結束作業台2と結束バンド供給具3を備えている。
【0021】
なお、本明細書及び本発明では、説明の都合上、
図1において、結束作業台2側(
図1中の右側)を前方とし、結束バンド供給具3側(
図1中の左側)を後方とし、前方に向かって(結束バンド供給具3から結束作業台2の後記するハンドル23に向かって)左右を左右方向とする。
【0022】
結束作業台2は、
図1、
図2及び
図3(a)に示すように、底部フレーム5と、上部フレーム6と、底部フレーム5と上部フレーム6を結合する柱部フレーム7と、を備えている。
【0023】
底部フレーム5は、左右の側部フレーム材10と、左右の側部フレーム材10を互いに橋絡する前部フレーム材(図示せず)及び後部フレーム材12(
図3(a)参照)を備えている。
【0024】
結束作業台2を移動可能とするために、底部フレーム5に、車輪を設けてもよい。本実施例では、左右の側部フレーム材10において、それぞれ前後に車輪取り付けブラケット13を設け、この車輪取り付けブラケット13にそれぞれ車輪を有するキャスタ14が設けられている。
【0025】
上部フレーム6は、
図2に示すように、左右の側部フレーム材18、前部フレーム材19及び後部フレーム材20を有し、平面視で矩形に形成されている。上部フレーム6で囲まれた平面には、芝生載置部21が形成されている。
【0026】
この芝生載置部21は、芝生の束22(
図4、
図5参照)を載せても、破損したりしない強度を有する金網部材から形成されており、芝生について付いていた泥は落ちるが、芝生自体は落下したりしない網目サイズで形成されている。
【0027】
上部フレーム6の前部フレーム材19には、
図2に示すように、前方に伸びる平面視略コの字型のハンドル23が設けられている。このハンドル23には、平面視で矩形に形成された留め片24が固定されて設けられている。なお、留め片24は、ハンドル23ではなく前部フレーム材19に設けてもよい。
【0028】
ハンドル23へ留め片24を取り付け構造の拡大図を、
図3(b)、(c)に示すが、その一端側がハンドル23に溶着等で固定され、他端側はハンドル23との間に隙間25が形成されている。後記するが、この留め片24におけるハンドル23との隙間25に、結束バンド28を挟んで、仮留めすることができ、結束作業においてきわめて便利である。
【0029】
図1、
図2、
図3(a)に示すように、上部フレーム6の後部フレーム材20の左右の幅方向のおける中央部には、バンドガイド29が設けられている。バンドガイド29は、略∩字型をした長細い部材からなり、上方に起立するようにして、その下端が後部フレーム材20に固定されている。
【0030】
このバンドガイド29の作用、機能等については後記するが、一見、単なるガイドのように考えられるが、本発明においては、結束作業において、きわめて顕著な効果を奏する部材であり、本発明の特徴的構成の一つである。
【0031】
結束バンド供給具3は、
図1、
図2、
図3(a)に示すように、ドラム支持フレーム35と結束バンド供給ドラム36を備えている。
【0032】
ドラム支持フレーム35は、
図1、
図2、
図3(a)に示すように、左右の側部フレーム37と、側部フレーム37を結合する前部フレーム杆38(
図2、
図3(a)参照)と、後部フレーム杆(図示せず)と、を有する。
【0033】
左右の側部フレーム37は、それぞれ上下斜め方向に起立した起立フレーム杆41と、斜めに延びその上端が起立フレーム杆41に結合した斜めフレーム杆42と、起立フレーム杆41と斜めフレーム杆42の間を結合し、前後方向に延びる側杆43と、を有する。
【0034】
斜めフレーム杆42の略中央に、ドラム取り付けブラケット46が固定されている。結束バンド供給ドラム36は、左右の側部フレーム37の間において、それぞれのドラム取り付けブラケット46の間に装着された支持軸47に回転可能に取り付けられている。
【0035】
なお、結束バンド28のなくなった結束バンド供給ドラム36を取り外し、取り替え用の結束バンド供給ドラム36を装着する取り替え作業を容易にするために、図示はしないが、結束バンド供給ドラム36の左右の側面にそれぞれ側方に突出した支持軸を設け、一方、ドラム取り付けブラケット46の内面に、上方が開放した軸受け用凹部を設け、支持軸を軸受け用凹部に着脱可能に装着でき構成としてもよい。
【0036】
結束バンド供給ドラム36には結束バンド28が巻かれており、この結束バンド28は作業者が前方に引き出すことで、
図1に示すように、芝生載置部21上を通して結束作業台2のハンドル23の前方まで引き出すことが可能である。
【0037】
結束バンド28は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂材で製造され、熱溶着可能な市販の梱包用の結束バンドを使用する。この結束バンド28は、後で詳記するが、結束作業において、その前端部と後端部を重ねて熱溶着する。熱溶着は、市販されているコードレスハンディー梱包機(例えば、ストラパック株式会社販売、ストラパック株式会社製のハンディ梱包機STB70)等、周知の熱溶着バンド結束機48を使用すればよい。
【0038】
ドラム支持フレーム35の前部フレーム38(
図2、
図3(a)参照)には、
図1、
図2及び
図3(a)に示すように、ガイドローラ取り付け杆50が起立して設けられている。このガイドローラ取り付け杆50によって、ガイドローラ51が回転可能に設けられている。ガイドローラ51は、左右方向に延びた長細い筒状のローラである。
【0039】
結束バンド供給具3は、結束作業台2と同じ接地面に設置してもよいが、本実施例では、
図1に示すように、結束作業台2の底部フレーム5の側部フレーム10の上に載置して設置する。
【0040】
なお、結束バンド供給具3の起立フレーム杆41及び斜めフレーム杆43の両方又はいずれかに、車輪を付けておくと、設置の際の移動が楽となるので設置作業が容易となる。本実施例では、斜めフレーム杆43の下端に車輪52が付設されている。
【0041】
(芝生結束方法)
上記構成から成る芝生結束用作業装置1を使用した芝生結束方法、芝生結束用作業装置1の作用等について、以下に説明する。
【0042】
芝生の結束作業を行う際には、結束作業台2と結束バンド供給具3を、
図1に示す状態にセットする。結束バンド供給ドラム36に巻かれた結束バンド28を、その先端部30から前方に引出す。
【0043】
そして、結束バンド28を、ガイドローラ51及びバンドガイド29を介して、結束作業台2の芝生載置部21の上を通し、さらに前方に引出し、隙間25を通し、留め片24に掛けて留めておく。
【0044】
芝生の結束作業は、通常、屋外で行うが、風がある場合には、芝生の一つの束を結束して、次の束の結束作業に移る合間等、作業者が結束バンド28を把持していない場合には、結束バンド28がその先端から風に吹かれて手元から飛んでしまう等の問題がある。
【0045】
本発明の芝生結束用作業装置1では、結束バンド28の先端側を、ハンドル23に縛る等する必要なく、留め片24に掛けて簡単に留めておくことができるので、屋外で芝生の結束作業を行う際に、風が吹いていても、結束バンド28がその先端から風に吹かれて手元から飛んでしまうことを防止でき、作業効率が低下することがない。
【0046】
図1に示すように芝生結束用作業装置1をセットしてから、芝生の束22を結束する場合は、
図4(a)に示すように、芝生の束22を、結束バンド28の上方から金網で形成された芝生載置部21に載置する。そして、結束バンド28の先端側を、芝生の束22の前面側から上面側に沿わせる。
【0047】
次に、
図4(a)の状態から、結束バンド28における芝生の束22の後方の部分55を上方に引いて、
図4(b)に示すように、さらに結束バンド28を結束バンド供給具3から、ガイドローラ51及びバンドガイド29を介して前方に引出し、芝生の束22の下面の後端から後面に沿わせて上面の上方まで伸ばし、U字状に後方に折り返し、折り返し部56で切断し(
図4(b)の一点鎖線で示す切断線S参照)、結束バンド28の後端部57(
図5(a)参照)を形成する。
【0048】
バンドガイド29は、
図1に示すように、結束バンド28を結束作業台2の前方(ハンドル23方向)に引き出す際に、結束バンド28を案内する機能を奏するだけではなく次のような顕著な機能を奏する。
【0049】
即ち、上記のとおり、結束バンド28における芝生の束22の後方の部分55を、
図4(b)に示すように、上方に引いて、結束バンド28を結束バンド供給具3から引出す際においても、案内する機能を奏する。このように、バンドガイド29は、きわめて有用な部品であり、本発明の芝生結束用作業装置1及び芝生結束方法は、このバンドガイド29を効果的に使用した点でも特徴を有する。
【0050】
そして、
図5(a)に示すように、結束バンド28の先端部30と、芝生の束22の後方の部分55であって折り返し部56が切断されて形成された後端部57と、を重ね合わせ、重ね合わせた先端部30と後端部57を、市販されている手持ち可能な携帯式の周知の熱溶着バンド結束機48によって熱溶着する。その結果、
図5(b)に示すように、芝生の束22は、結束バンド28で結束される。
【0051】
図6は、
図4及び
図5に示す芝生結束方法と略同じであるが、結束バンド28の折り返し部56を切断する前に、熱溶着バンド結束機48で結束バンド28の先端部30と結束バンド28の後方の部分55を熱溶着する点で異なる。
【0052】
即ち、
図4(a)の状態から、結束バンド28における芝生の束22の後方の部分55を上方に引いて、
図6(a)に示すように、折り返し部56を形成し、結束バンド28の先端部30と後方の部分55を重ねた箇所を、熱溶着バンド結束機48で挟んで熱溶着する。その後、
図6(b)に示すように、折り返し部56の近くで結束バンド28を切断する(
図6(b)の一点鎖線で示す切断線S参照)。
【0053】
なお、芝生の束22を結束バンド28で、十字状に結束する場合は、上記のとおり結束された芝生の束22を、一度持ち上げ、水平面内で90度回転して芝生載置部21に再度、載置する。そして、上記の結束作業を繰り返せばよい。
【0054】
ところで、上記結束作業では、結束すべき芝生の束22は、芝生載置部21において、バンドガイド29を経て引き出される結束バンド28が、当接し始める部分60より、少なくとも前方の箇所に載置する。
【0055】
この当接し始める部分60から留め片24で留めた部分までの結束バンド28の長さは、
図4(a)において、少なくとも芝生の束22の下面の後端から前面に沿わして上面まで巻き付けた結束バンド28の長さより長くする必要がある。そのような長さとすると、
図4(b)に示すように、結束バンド28の前端部30は、芝生の束22の上面の適正な位置まで巻き付けることができる。
【0056】
そのためには、芝生載置部21上に当接する部分60から留め片24で留めた部分までの結束バンド28の長さが、芝生の束22の下面の後端から上面まで巻き付けた結束バンド28の長さより長くなるように、結束作業台2の上部フレーム6とハンドル23の前後方向の長さ寸法を設計するとよい
【0057】
以上、本発明に係る芝生結束用作業装置及び芝生結束方法を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。