特許第6038306号(P6038306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6038306熱可塑性靴補強材を製造するための充填剤混合物
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  • 特許6038306-熱可塑性靴補強材を製造するための充填剤混合物 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6038306
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】熱可塑性靴補強材を製造するための充填剤混合物
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/00 20060101AFI20161128BHJP
   A43B 1/00 20060101ALI20161128BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20161128BHJP
   B29K 105/06 20060101ALN20161128BHJP
   B29K 201/00 20060101ALN20161128BHJP
   B29K 267/00 20060101ALN20161128BHJP
【FI】
   B29C47/00
   A43B1/00
   A43B23/02 101A
   B29K105:06
   B29K201:00
   B29K267:00
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-518891(P2015-518891)
(86)(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公表番号】特表2015-526316(P2015-526316A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】EP2013001894
(87)【国際公開番号】WO2014005684
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2015年7月30日
(31)【優先権主張番号】102012013432.0
(32)【優先日】2012年7月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515170838
【氏名又は名称】レーノフレックス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Rhenoflex GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリエッテ イェアガー
(72)【発明者】
【氏名】マークス フィービガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェアナー ブザルト
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−515895(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0154047(US,A1)
【文献】 特開2002−256250(JP,A)
【文献】 特開2002−371187(JP,A)
【文献】 特表2012−525875(JP,A)
【文献】 特開平04−221612(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00448294(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C47/00−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖状ポリエステル、エチレン酢酸ビニル共重合体又は熱可塑性ポリウレタンから及び/又は前記プラスチックの混合物からなる、熱可塑性ホットメルト接着剤、を含有する靴補強材を製造するための充填剤混合物において、該充填剤混合物が、
a.15〜50質量%までの量の米殻粉末
b.25〜70質量%までの量のポリ乳酸粉末
を含むことを特徴とする、前記充填剤混合物。
【請求項2】
請求項1に記載の充填剤混合物において、該充填剤混合物を、前記靴補強材において、前記熱可塑性ホットメルト接着剤に対して75質量%までの割合で使用できることを特徴とする、前記充填剤混合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の充填剤混合物において、前記米殻粉末の全米殻粉末の粒径が1〜3000μmの粒径分布を有していることを特徴とする、前記充填剤混合物。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の充填剤混合物において、前記ポリ乳酸粉末が再生ポリ乳酸粉末であることを特徴とする、前記充填剤混合物。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の充填剤混合物において、該充填剤混合物が、無機充填剤を1質量%までの最大量で含有していることを特徴とする、前記充填剤混合物。
【請求項6】
熱可塑性ホットメルト接着剤を含有し、かつ請求項1から5までのいずれか1項に記載の充填剤混合物を使用した靴補強材において、該靴補強材が押出及び/又は共押出により得られることを特徴とする、前記靴補強材。
【請求項7】
熱可塑性ホットメルト接着剤を含有し、かつ請求項1から5までのいずれか1項に記載の充填剤混合物を使用した靴補強材において、該靴補強材が二重ベルト装置での方法により得られることを特徴とする、前記靴補強材。
【請求項8】
請求項7に記載の靴補強材において、該靴補強材に片面若しくは両面に担体材料が具備されていることを特徴とする、前記靴補強材。
【請求項9】
熱可塑性ホットメルト接着剤を含有し、かつ請求項1から5までのいずれか1項に記載の充填剤混合物を使用した靴補強材において、前記熱可塑性ホットメルト接着剤が、50質量%までの直鎖状ポリエステル、30質量%までのエチレン酢酸ビニル共重合体及び50質量%までの熱可塑性ポリウレタンから及び/又は前記プラスチックの混合物から選択されていることを特徴とする、前記靴補強材。
【請求項10】
靴部品を製造するための、請求項6から9までのいずれか1項に記載の靴補強材の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴工業用の熱可塑性補強材、主にトウキャップ及びカウンターを製造するための充填剤混合物に関する。
【0002】
前記粉末混合物は、バイオプラスチック及び特別に選択された再生天然材料からなる。
【0003】
本発明による充填剤混合物を用いた靴補強材の製造は、二重ベルト装置でのみならず、押出によっても、特に共押出によっても行うことができる。
【背景技術】
【0004】
DE2621195号Cには、面状製品/板状製品として製造される補強材が記載されている。その際、テキスタイル状担体材料が、充填剤をも含んでいる粉末状の溶融性プラスチック材料で被覆される。溶融性プラスチックとして、ポリエチレン、酢酸ビニル及びその共重合体が使用され、適した充填剤として、例えば木粉又はチョーク粉末が使用される。この発明の目的は、前記被覆中の充填剤の割合を高めつつ、前記材料の曲げ強さ及び剛性を得ることであった。プラスチック粉末の粒径分布と充填剤粉末の粒径分布とが類似若しくは同等である場合に、充填剤割合を50%にまで上げることができることが見出された。その際、溶融されたプラスチック粒子が充填剤粒子を完全に被覆することができるため、該充填剤もプラスチックのように振る舞う。前記材料は十分な接着特性を有していないため、該材料を靴の胴部材料と持続的に接着させうるためには、該材料にさらに、表面に施与された接着剤層が具備されねばならない。
【0005】
EP183912号B2には、すでに付加的な接着剤なしに靴革に直接接着可能である靴補強材が記載されている。ホットメルト接着剤として、そこではポリカプロラクトンタイプが使用されており、該ポリカプロラクトンタイプはその融点が約60℃と低いため特に適していた。充填剤として、前記ホットメルト接着剤には溶解しないプラスチック粉末か又はプラスチックで被覆された有機若しくは無機粉末が使用された。要求に応じて、前記材料には片面若しくは両面にさらに担体材料が具備された。
【0006】
前記の公知の材料における欠点は、高められた温度で前記材料の複合体及び結合体を得て、かつ靴組立物を機械により製造する際に必要な温かい状態での強度を得るか若しくは達成するためには、往々にして担体材料の使用が必要であることであった。靴キャップは面状長尺物から打ち抜き及び漉きにより製造されるため、常に漉き屑や切り屑が生じる。そこにさらに担体材料残分が付着するため、これらの屑をまた製造プロセスへと返送することはできなかった。
【0007】
ホットメルト接着剤/充填剤混合物コンパウンドが記載されているEP1525284号Blでは、上記の欠点のうち幾つかを克服することができた。前記ホットメルト接着剤/充填剤混合物コンパウンドは、例えばメルトボリュームインデックス、長手方向伸び、粘度、表面粘着性、またさらには「タック」といった物理的パラメーターが厳密に調節されているため、とりわけ、担体材料なしで加工するのに十分な固有安定性を有していた。このことは、使用する原材料の言及されたパラメーターを厳密に調節することにより達成された。例えば、前記ホットメルト接着剤は、2〜300、好ましくは10〜30cm3/10分のMVI値(100℃、21.6kgでDIN ISO 1133により測定)を有していなければならなかった。充填剤に対するホットメルト接着剤の量比も、充填剤50〜5質量%に対して50〜95質量%でなければならなかった。ここで使用される充填剤である10〜500μmの粒径を有する球状、多角形粒子は、有機天然充填剤のみならず、無機鉱物充填剤でもあった。前記材料からも、例えば押出により面状長尺物を製造することができ、該面状長尺物から打ち抜き及び漉きにより相応する三次元補強部品を製造することができ、その際、前記材料の漉き屑や打ち抜き屑は出発物質と同一の組成を有しているため、問題なくまた押出プロセスへ導入することが可能であった。しかしながら前記材料における欠点は、前記コンパウンドの内部の結合を可能にするために、ホットメルト接着剤の割合が比較的高いことであった。とりわけ高められた温度では、ホットメルト接着剤の割合が比較的低いと、前記材料が長手方向においてばらばらになったり、冷却若しくは硬化後にもろくなったりすることが起こりえた。
【0008】
TW201008765号は、環境に優しい表底を、添加物としての再生米殻、小麦殻及び類似の植物性物質から製造する方法に関する。前記原材料は、ふるい分けされ、次いで天然ゴムと機械で均一に混合され、そして相応する厚さを有する環境に優しい材料小片物へと成形される。そのようにして、米殻粒を含み、かつ極めて良好な物理的特性を有するゴム表底用材料が生じる。前記製造方法により、良好な使用特性を有する環境に優しい表底を製造することが可能であった。
【0009】
TW45548号Bは、米殻の他に主に、履物全体に対して13質量%の割合までのスチロポール屑材料を含有する「米殻を用いた靴の製造方法」に関する。
【0010】
WO2011/098842号では、とりわけ食品工業において使用される環境に優しくかつ生分解性の包装材のためのポリ乳酸及びポリ乳酸誘導体が製造された。ポリマー、例えば熱可塑性ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)及びポリヒドロキシブチラート(PHB)及び無機充填剤、例えばナノ炭酸カルシウム並びに有機充填剤、例えば粒径20μmまでの粉末状わら、サトウキビ葉、ヤシ葉又は米殻からの組成物は、改善された断熱性を有していた。典型的な組成物は、例えばポリ乳酸(PLA)71%、PHB9%及びナノ炭酸カルシウム20%からなっていた。前記材料は、熱可塑性靴補強材としては適していなかった。
【0011】
従って、靴キャップを製造するためのさらなる改善された靴補強材、並びにそれに適した製造方法を見出すという課題が課されていた。前記靴補強材は、改善された曲げ強さ、長手方向伸び、表面粘着性並びに剥離強さに加えて、良好な生分解性及びリサイクル性をも有することが望まれていた。とりわけ、前記材料は経済的かつ環境に配慮した製造が可能であることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従ってとりわけ、完成した熱可塑性補強材が組込み及び加工の際に不安定となることなく、特に熱でばらばらになることなく、一方では特に植物由来の天然の再生原材料であるが他方ではバイオプラスチックを含有し、かつこれら双方をホットメルト接着剤に対して75質量%までの割合で充填剤として使用することができる、原材料として適した充填剤混合物を見出すことが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題は、意想外にも、公知のホットメルト接着剤とも相容性である充填剤混合物により解決可能であった。前記混合物は、バイオプラスチックであるポリ乳酸粉末若しくは再生ポリ乳酸粉末(ポリ乳酸若しくはPLA)と、特別に選択された植物繊維、つまり清浄化された米殻とからなる。製造方法としては、二重ベルト装置での従来の粉体塗装技術の他に、とりわけマルチチャネル押出機中での押出又は共押出が挙げられ、特に、本発明による充填剤組み合わせ物を75質量%の量まで使用することを可能にし、その際に、例えば熱安定性や曲げ強さ、表面粘着性といった必要な材料特性を失うことのない押出又は共押出が挙げられる。それどころか、そのようにして製造された生成物はいずれも実地で必要とされる特性を示しており、従って靴補強材として、靴キャップとして特に好適である。
【0014】
前記充填剤成分であるポリ乳酸若しくは再生ポリ乳酸(以下でPLA又はr−PLAと称される)は、十分な生分解性を示す。工業において、PLAはすでに極めて多くの種々の用途で消費されている。公知のものは、包装材工業、食品工業、農業、園芸、医療技術、スポーツ用衣類、機能性衣類における、複合材としての、PLAの使用である。PLAはバイオプラスチックに属するが、再生原材料でもあり、何故ならば、まず最初に糖及びトウモロコシ澱粉から乳酸が得られ、後で重合によりそれからポリ乳酸が製造されるためである。
【0015】
バイオプラスチックは、統一的なポリマークラスではなく、極めて多様なプラスチック種の大きなファミリーである。その際、前記概念は様々に解釈されている:一方ではバイオプラスチックは生分解性プラスチックであると解釈されており、他方では主に農業用原材料をベースとして製造されるプラスチックであると解釈されている。多くの場合、これら2つの定義は一致している。
【0016】
PLAの特徴は、該PLAが工業的コンポスト化装置中の特定の環境条件下で十分な生分解性を示し、かつ工業的コンポスト条件下に分解が数ヶ月以内に生じることである。
【0017】
本発明の範囲内では、粉末状の再生ポリ乳酸r−PLAが有利に使用される。
【0018】
双方の充填剤PLA及び/又はr−PLA並びに米殻は、靴の製造においてすでに使用されている熱可塑性ホットメルト接着剤、例えばポリカプロラクトンタイプ(Capaタイプ)又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)又はエチレン酢酸ビニル(EVA)と組み合わせて、好ましい充填剤混合物を形成する。前記充填剤混合物は、これら全ての熱可塑性ホットメルト接着剤と、また多くの他の熱可塑性ホットメルト接着剤とも、相容性であって、問題なくフィルム、面状長尺物又は板状物へと加工可能である。前記材料を、任意に片面若しくは両面に担体材料で被覆することもできる。
【0019】
前記面状長尺物、板状物又はフィルムは、その後、打ち抜き機中で成形部材へと打ち抜かれ、そのままで靴の製造において、三次元成形部材として、トウキャップ又はカウンターとして使用されることができる。米粒の殻を取り除くことにより得られる天然再生植物性材料としての米殻は、場合により乾燥せずに充填剤材料として使用されることもできる。
【0020】
本発明により使用される原材料は、以下の物理化学的特性を有する:
a.40,000〜80,000g/モルの分子量、及びタイプに応じて100乃至160℃/2.16kgで測定された2.5〜31のMFI値を有する粉末状のポリ−ε−カプロラクトンタイプ又はポリカプロラクトンベースのポリウレタンであって、粒径分布は50〜1000μmで変動するものとする。
b.10〜50g/10分、好ましくは25〜40g/10分(190℃/2.16kgで)のメルトフローインデックス(MFI)を有する粉末状の熱可塑性ポリウレタン又はTPUであって、粒径分布は50〜1000μmで変動するものとする。
c.MFI=20〜50g/10分+20〜40質量%のVA割合(=酢酸ビニル割合)を有する粉末状のエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)であって、粒径分布は50〜1000μmで変動するものとする。
d.1〜3000μm、好ましくは20〜800μmの粒径を有する米殻粉末。
e.MFI=190℃/2.16kgで2〜40g/10分、50〜1000μmの粒径分布及び最大2500ppmの残留水分を有するポリ乳酸粉末及び/又はr−PLA。
f.担体材料として、10〜120g/m2の坪量を有する、ウォータージェットにより補強されたミシン目つきの/ミシン目なしのポリエステル不織布、又は25〜120g/m2の坪量を有する綿若しくは綿混織物を使用することができる。
【0021】
担体材料の使用は、常に任意である。
【0022】
メルトフローインデックス(MFI)の測定は、DIN EN ISO 1133の規定に従って行われる。
【0023】
試験した製品の曲げ強さは、DIN EN ISO 20864(ドーム試験)により測定された。
【0024】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
本発明による熱可塑性補強材の製造は、押出又は共押出により行うことができるが、粉体塗装法を用いて二重ベルト装置で行うこともできる。
【0026】
二重ベルト装置での製造例
予め、粉末状の原材料である米殻及びr−PLAを割合通りに一緒に混合して均一な粉末混合物にし、場合によりアグロメレーションも行う。前記混合物を二重ベルト装置で処理する。
【0027】
前記二重ベルト装置は、連続回転する上方ベルト並びに同様の下方ベルトからなり、その際、前記両ベルトの間には調節可能な間隙が生じている。前記間隙内に前記粉末混合物を所定の圧力値及び温度値で施与し、フィルム化する。前記フィルム化のための熱は、加熱プレートにより発生させる。前記フィルム化は、前記混合物を連続フロー法で溶融させ、次いで面状にプレスし、かつ冷却後に引き続き硬化させることを意味する。
【0028】
前記材料に片面若しくは両面に担体材料を具備させる必要がある場合には、前記粉末混合物をそのまま若しくは担体材料上に施与し、かつそのようにして処理することができる。
【0029】
二重ベルト装置との相違は、熱が輻射加熱器又は赤外線ヒーターを用いて生成され、かつ、前記粉末の圧密が上方ベルト若しくは下方ベルトに代えてカレンダーロールにより行われるという点にある。第1表に、二重ベルト装置で製造した補強材の測定値を示す。
【0030】
そこでは、以下の本発明による組成物を試験した:
1.米殻50質量%とEVA粉末50質量%とからなる米殻アグロメレート粉末50質量%、並びにポリカプロラクトン粉末15質量%及びEVA粉末10質量%及びr−PLA粉末25質量%を、全て均一に混合した。
【0031】
2.r−PLA粉末25質量%を有する米殻凝集粉25質量%を、EVA粉末5質量%及びポリカプロラクトン粉末45質量%と均一に混合した。
【0032】
比較として、特許WO2011/098842号による組成物を、本発明による組成物と同一の様式で測定した。
【0033】
押出法又は共押出法による本発明による補強材の製造例:
単純な押出のみならず共押出も、靴補強材の製造において極めて有利に使用することができる。
【0034】
どちらの方法においても、以下に示す実施例若しくは配合物を使用することができる。
【0035】
従って、任意に、清浄化された米殻及びr−PLAの双方を合わせて50〜75質量%の量で、並びに熱可塑性ホットメルト接着剤を25〜50質量%の量で、予備アグロメレーション処理にかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】マルチチャネル押出機の一例を示す図。
【実施例】
【0037】
製造例1
150℃、10kgで測定された1〜25g/10分のMFI値を有する熱可塑性ポリウレタン15質量%、20〜40質量%のVA含有量を有するエチレン酢酸ビニル共重合体10質量%、及び40〜80,000の分子量分布を有する直鎖状ポリエステルポリ−ε−カプロラクトン20質量%、並びに再生ポリ乳酸粉末40質量%、及び400〜800μmの粒径を有する米殻粉末15質量%を予備アグロメレーションし、その後、押出機中でさらに処理する。
【0038】
製造例2
20〜40質量%のVA含有量を有するエチレン酢酸ビニル共重合体10質量%、及び40〜80,000の分子量分布を有する直鎖状ポリエステルポリ−ε−カプロラクトン40質量%を、再生ポリ乳酸粉末35質量%、及び米殻粉末15質量%と予備アグロメレーションし、その後、押出機中でさらに処理する。
【0039】
製造例3
150℃、10kgで測定された1〜25g/10分のMFI値を有する熱可塑性ポリウレタン20質量%、20〜20質量%のVA含有量を有するエチレン酢酸ビニル共重合体10質量%を、15〜35g/10分のMFI(メルトフローインデックス)を有する再生ポリ乳酸粉末45質量%、及び350〜700μmの粒径を有する米殻粉末15質量%と予備アグロメレーションし、その後、押出機中でさらに処理する。
【0040】
製造例4
米殻50質量%とEVA50質量%からのアグロメレートとして得られた米殻アグロメレート50質量%、並びにEVAさらに10質量%、及びr−PLA粒25質量%、及びポリカプロラクトン15質量%。
【0041】
比較例:
比較例1
20〜40質量%のVA含有量を有するエチレン酢酸ビニル共重合体25質量%、及び40〜80,000の分子量分布を有する直鎖状ポリエステルポリ−ε−カプロラクトン45質量%を、残留水分9%未満の、約25g/mlのかさ密度を有する木粉30質量%と、その後、押出機中でさらに処理する。
【0042】
比較例2
20〜40質量%のVA含有量を有するエチレン酢酸ビニル共重合体10質量%、及び40〜80,000の分子量分布を有する直鎖状ポリエステルポリ−ε−カプロラクトン60質量%を、残留水分9%未満の、約25g/mlのかさ密度を有する木粉30質量%と、その後、押出機中でさらに処理する。
【0043】
本発明による補強材の製造を共押出法により行う場合、選択する機器はマルチチャネル押出機の使用である。
【0044】
共押出の場合には、異なる流量(層厚)及び異なる流動特性の複数の溶融物流をまず一緒のフローチャネルに供給し、その後、一緒にこのチャネルを貫通させなければならない。個々の溶融物層を合流させ、この合流後にこれらの溶融物層を一緒に流動させると、共押出の際に問題を招き得るいわゆる降伏現象が生じ得る。
【0045】
こうした理由から、本発明による補強材を製造する際には、マルチチャネルダイ(Mehrkanal-Werkzeug)を用いて作業しなければならない。
【0046】
マルチチャネルダイでは、それぞれの溶融物層が固有のフローチャネル中で成形される。それぞれの個々の層の溶融物配分を、その幅にわたってチョークバー(Staubalken)により補正することができる。溶融物がノズルから吐き出される直前の範囲である口金帯域の範囲内で初めて個々の溶融物流が合流する。複合体全体の厚さ配分は、出口スリットの調節により補正可能である。
【0047】
溶融物の位置が入れ替わったり溶融物層が合わさって一つになったりすることを回避するためには、吐出範囲での全体層の流路長が比較的短いことが有利である。こうした観点から、大きな層厚差を有し、かつ流動特性が大きく異なる材料組み合わせからの本発明による補強材の製造は、マルチチャネルダイを用いて最適に実現することができる。
【0048】
こうした使用のために、3つのチャネルを有するマルチチャネルダイを使用することが望ましい。
【0049】
共押出後の最終生成物は、充填剤混合物から、特に米殻及びr−PLA並びにホットメルト接着剤からなる「コア」と、熱可塑性ホットメルト接着剤からの2つの外側接着層とからなる3層構造を有する。
【0050】
前記コア(図1では溶融物流A)は、例えばr−PLA50質量%及び米殻25質量%並びにEVA25質量%からなることができ、2つの外側接着層(図1によれば溶融物流B及びC)は、EVA、熱可塑性ポリウレタン又はポリエステル、例えばポリカプロラクトンからなることができ、これらを合わせて該コアの表面に1m2当たり約10〜250gの量で施与することができる。前記接着層の厚さは0.1〜2μmで変動してよい。「内側コア」を形成する前記充填剤混合物を、押出前に任意に予備アグロメレーションすることができる。
【0051】
前記内側コアが充填剤混合物を75質量%まで含有している場合には共押出が特に好ましく、それというのも、それにより該コア中のホットメルト接着剤の量を低下させることができ、このことは著しい経済的利点を有するためである。従って、(前記コア中の充填剤):(前記コア中の接着剤)の量比は3:1までであることができる。
【0052】
前記コア中の前記材料組成物、前記3層構造、及び外側層における層厚若しくは接着剤量のバリエーションは、要求に応じて種々の剛性及び曲げ強さの実現を可能にし、さらに、靴製造の際に靴に靴キャップを導入しかつ取扱う際に利点を有する。
【0053】
いわゆるマルチチャネル押出機の一例を、図1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
図1