(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記負荷への出力電圧が閾値以上である場合に、前記オンデューティを50%未満とし、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の同時オフ区間を設ける請求項11に記載の直流電源装置。
前記制御部は、前記負荷への出力電圧が閾値未満である場合に、前記オンデューティを50%以上とし、前記第1のスイッチング素子および前記第2のスイッチング素子の同時オン区間を設ける請求項11に記載の直流電源装置。
前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第1の逆流防止素子、および前記第2の逆流防止素子のうちの少なくとも1つがワイドバンドギャップ半導体で形成されている請求項3に記載の直流電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかる直流電源装置、およびそれを備えた冷凍サイクル適用機器について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる直流電源装置の一構成例を示す図である。
図1に示すように、実施の形態1にかかる直流電源装置100は、交流電源1から供給される三相交流を直流に変換して負荷11に供給する構成としている。なお、本実施の形態では、例えば冷凍サイクル適用機器に用いられる圧縮機モータを駆動するインバータ負荷等を負荷11として想定している。
【0011】
直流電源装置100は、三相交流を整流する整流回路2と、整流回路2の出力側に接続されたリアクトル3と、負荷11への出力端子間に直列接続された第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bと、これら第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bの一方あるいは両方を選択的に充電する充電手段7と、充電手段7を制御する制御部8と、三相交流の電圧を検出する電源電圧検出手段9とを備えている。なお、
図1に示す例では、リアクトル3を整流回路2の出力側に接続した例を示したが、整流回路2の入力側に接続した構成であってもよい。
【0012】
整流回路2は、6つの整流ダイオードがフルブリッジ接続された三相全波整流回路である。電源電圧検出手段9は、
図1に示す例では、交流電源1から供給される三相交流のうちの二相(ここでは、r相、s相)の線間電圧を検出する例を示している。
【0013】
充電手段7は、第1のコンデンサ6aの充電と非充電とをスイッチングする第1のスイッチング素子4aと、第2のコンデンサ6bの充電と非充電とをスイッチングする第2のスイッチング素子4bと、第1のコンデンサ6aの充電電荷の第1のスイッチング素子4aへの逆流を防止する第1の逆流防止素子5aと、第2のコンデンサ6bの充電電荷の第2のスイッチング素子4bへの逆流を防止する第2の逆流防止素子5bとを備えている。
【0014】
第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bからなる直列回路の中点と第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bからなる直列回路の中点とが接続され、第1のスイッチング素子4aのコレクタから第1のコンデンサ6aと負荷11との接続点に向けて順方向に第1の逆流防止素子5aが接続され、第2のコンデンサ6bと負荷11との接続点から第2のスイッチング素子4bのエミッタに向けて順方向に第2の逆流防止素子5bが接続されている。
【0015】
第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bには、それぞれ同容量のものが用いられる。また、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bとしては、例えば、パワートランジスタ、パワーMOSFET、IGBT等の半導体素子が用いられる。
【0016】
制御部8は、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bをオンオフ制御することにより、負荷11に供給する直流電圧を制御する。以下、この制御部8による第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのスイッチング制御について、
図1〜3を参照して説明する。
【0017】
図2は、実施の形態1にかかる直流電源装置におけるスイッチング制御状態を示す図である。なお、
図2に示す例では、各構成要素の符号を省略している。
【0018】
状態Aは、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bが双方ともオフ制御されている状態を示している。この状態では、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bの充電が行われる。
【0019】
状態Bは、第1のスイッチング素子4aのみオン制御されている状態を示している。この状態では、第2のコンデンサ6bのみ充電が行われる。
【0020】
状態Cは、第2のスイッチング素子4bのみオン制御されている状態を示している。この状態では、第1のコンデンサ6aのみ充電が行われる。
【0021】
状態Dは、2つのスイッチング素子4a,4bが双方ともオン制御されている短絡状態を示している。この状態では、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bの双方の充電が行われない。
【0022】
本実施の形態では、
図2に示す各状態を適宜切り替えることにより、負荷11に供給する直流電圧を制御する。
【0023】
図3は、実施の形態1にかかる直流電源装置における各動作モードを示す図である。
図3に示すように、実施の形態1にかかる直流電源装置100における動作モードとしては、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bを常時オフ制御状態とした全波整流モードと、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bを交互にオン制御する昇圧モードとを有している。
【0024】
昇圧モードとしては、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティが50%の昇圧モードa(倍電圧モード)と、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティが50%未満の昇圧モードbと、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティが50%よりも大きい昇圧モードcとがある。
【0025】
全波整流モードでは、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bを常時オフ制御状態とすることにより、整流回路2により全波整流された電圧が出力電圧となる。
【0026】
昇圧モードa(倍電圧モード)では、第1のスイッチング素子4aのオンタイミングと第2のスイッチング素子4bのオフタイミングとがほぼ同時となり、第1のスイッチング素子4aのオフタイミングと第2のスイッチング素子4bのオンタイミングとがほぼ同時となり、
図2に示す状態Bと状態Cとが繰り返される。このときの出力電圧は、全波整流モードにおける出力電圧の略2倍となる。
【0027】
昇圧モードbでは、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bが共にオフとなる同時オフ期間を設けている。このとき、
図2に示す状態B→A→C→Aの状態遷移が周期的に繰り返され、このときの出力電圧は、全波整流モードにおける出力電圧と、昇圧モードa(倍電圧モード)における出力電圧との中間電圧となる。
【0028】
昇圧モードcでは、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bが共にオンとなる同時オン期間を設けている。このとき、
図2に示す状態D→C→D→Bの状態遷移が周期的に繰り返され、この同時オン期間(ここでは状態Dの期間)において、リアクトル3にエネルギーが蓄えられる。このときの出力電圧は、昇圧モードa(倍電圧モード)における出力電圧以上の電圧となる。
【0029】
このように、本実施の形態では、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを変化させることにより、負荷11に供給する直流電圧を制御することが可能である。
【0030】
つぎに、実施の形態1にかかる直流電源装置100の昇圧モードにおける第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bの充電周波数について、
図1、
図4〜6を参照して説明する。ここで、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bの充電周波数とは、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bの1組の充電期間と非充電期間とを組み合わせた期間、つまり、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bの1組のオン期間とオフ期間とを組み合わせた期間を1周期とするとき、この1周期の逆数であるスイッチング周波数を示すものとする。なお、以下の説明では、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bを主体とする表現においては「充電周波数」を用いて説明し、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bを主体とする表現においては「スイッチング周波数」を用いて説明する。
【0031】
図4は、実施の形態1にかかる直流電源装置のスイッチングパターン、および、三相交流の各相電圧/各相電流のシミュレーション波形の一例を示す図である。
図4(a)は、三相交流の各相電圧のシミュレーション波形を示している。また、
図4(b)は、三相交流のr相電流波形のシミュレーション波形を示し、
図4(c)は、三相交流のs相電流波形のシミュレーション波形を示し、
図4(d)は、三相交流のt相電流波形のシミュレーション波形を示している。また、
図4(e)は、第1のスイッチング素子4aのスイッチングパターンを示し、
図4(f)は、第2のスイッチング素子4bのスイッチングパターンを示している。
【0032】
本実施の形態では、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bの充電周波数が、三相交流の周波数の3n倍(nは自然数)となるように制御する。
図4に示す例では、n=1、つまり、三相交流の周波数の3倍で第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bを交互にオン制御するようにしている。このようにすれば、
図4に示すように、各相電流の波形が相似形となる。
【0033】
図5は、実施の形態1にかかる直流電源装置との比較例として、三相交流の周波数の4倍の周波数でスイッチング制御した場合のスイッチングパターン、および、三相交流の各相電圧/各相電流のシミュレーション波形の一例を示す図である。
図5(a)は、三相交流の各相電圧のシミュレーション波形を示している。また、
図5(b)は、三相交流のr相電流波形のシミュレーション波形を示し、
図5(c)は、三相交流のs相電流波形のシミュレーション波形を示し、
図5(d)は、三相交流のt相電流波形のシミュレーション波形を示している。また、
図5(e)は、第1のスイッチング素子4aのスイッチングパターンを示し、
図5(f)は、第2のスイッチング素子4bのスイッチングパターンを示している。
【0034】
図5に示すように、三相交流の周波数の4倍の周波数で第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bをスイッチング制御した場合には、各相電流の波形が相似形とならず、各相電流の不平衡が生じることとなる。
図5に示す例では、三相交流の周波数の4倍の周波数でスイッチング制御する例を示したが、三相交流の周波数に同期してスイッチング制御を行う場合においても同様に、三相交流の各相電流の不平衡が生じる。
【0035】
図1に示す構成において、単相交流を入力とし、整流回路2を4つの整流ダイオードがフルブリッジ接続された単相全波整流回路とした場合、スイッチング損失の低減と力率の改善とを両立するためには、電源周波数に同期してスイッチング制御を行うのが一般的である。
【0036】
これに対し、本実施の形態にかかる直流電源装置100では、三相交流を入力としているため、三相交流の各相の位相が電源周期に対して120度ずつずれている。このため、電源周波数に同期してスイッチング制御を行った場合には、各相毎に異なる位相で第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのスイッチングが行われることとなる。
【0037】
図3に示した第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオン/オフタイミングが略一致する昇圧モードa(倍電圧モード)において、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bの同時オン期間、同時オフ期間が生じない場合には、スイッチング周波数が電源周波数に同期していなくても、各相電流の不平衡は生じないが、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bの同時オフ期間が生じる昇圧モードbや、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bの同時オン期間が生じる昇圧モードcでは、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bの何れか一方のオン期間と同時オフ期間あるいは同時オン期間との間で電流量差が生じる。
【0038】
図6は、スイッチング周波数と三相交流の各相電流の基本波形(正弦波形)に対する歪み率との関係を示す図である。
図6に示すように、スイッチング周波数が三相交流の電源周波数の3n倍となる周波数において、各相電流の歪み率が極小値をとる。
【0039】
つまり、三相交流の電源周波数の3n倍で第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのスイッチングが行われず、各相毎に異なる位相でスイッチングが行われた場合には、
図5に示したように各相電流の不平衡が生じることとなり、延いては、
図6に示したように各相電流の歪み率が大きくなり、力率の悪化や高調波電流の増加を招くこととなる。
【0040】
本実施の形態では、上述したように、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのスイッチング周波数、つまり、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bの充電周波数が、三相交流の周波数の3n倍となるように制御することにより、電源周期に対して120度ずつずれた三相交流の各相の同一位相で第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのスイッチングが行われるため、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bの同時オフ期間が生じる昇圧モードbや、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bの同時オン期間が生じる昇圧モードcであっても、
図4に示したように三相交流の各相電流の波形が相似形となり、各相電流の不平衡が生じず、延いては、
図6に示したように各相電流の歪み率が極小値となり、力率の改善や高調波電流の抑制が可能となる。
【0041】
つぎに、実施の形態1にかかる直流電源装置100の動作について、
図1〜6を参照して説明する。
【0042】
本実施の形態では、
図1に示すように、三相交流の電圧を検出する電源電圧検出手段9を具備した構成としている。なお、
図1に示す例では、三相交流のr−s相間の線間電圧を検出する構成としているが、s−t相間やt−r相間の線間電圧を検出する構成であってもよいし、各相電圧を検出する構成であってもよく、この電源電圧検出手段9の構成により本発明が限定されるものではない。
【0043】
制御部8は、電源電圧検出手段9の検出結果から得た三相交流の検出電圧値に応じて、昇圧モードにおける第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを変化させる。
【0044】
図7は、実施の形態1にかかる直流電源装置の動作例を示す図である。
図7において、横軸は時間を示し、縦軸は三相交流の電圧値を示している。
【0045】
制御部8は、三相交流の基準電圧値を閾値として保持しておき、この基準電圧値において、例えば、
図3に示す第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティが50%の昇圧モードa(倍電圧モード)で動作するようにしておく(
図7に示す期間ta〜tb)。そして、基準電圧値に対して検出電圧値が小さい場合には(
図7に示す期間tb〜tc)、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティが50%以上となる昇圧モードcで動作させ、基準電圧値に対して検出電圧値が大きい場合には(
図7に示す期間tc〜)、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティが50%未満となる昇圧モードbで動作させる。
【0046】
あるいは、例えば、三相交流の検出電圧値に対して出力電圧が一定となるような第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティをテーブルとして保持しておき、三相交流の検出電圧値に応じた第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを適用するようにしてもよい。
【0047】
このようにすれば、三相交流の電圧の変動分を吸収することができ、負荷11への出力電圧を安定化することができる。
【0048】
また、制御部8は、電源電圧検出手段9の検出結果から得た三相交流の周波数の3n倍で、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bを交互にオン制御する。より具体的には、電源電圧検出手段9の検出結果から得た三相交流の電圧周期の(1/3n)倍に同期して、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bを交互にオン制御する。
【0049】
これにより、上述したように各相電流の不平衡を生じることなく、延いては、各相電流の歪み率が極小値となり、力率の改善や高調波電流の抑制が可能となる。
【0050】
以上説明したように、実施の形態1の直流電源装置によれば、三相交流を整流する整流回路と、整流回路の入力側あるいは出力側に接続されたリアクトルと、負荷への出力端子間に直列接続された第1のコンデンサおよび第2のコンデンサと、これら第1のコンデンサおよび第2のコンデンサの一方あるいは両方を選択的に充電する充電手段と、この充電手段を制御する制御部と、三相交流の電圧を検出する電源電圧検出手段とを備え、三相交流を直流に変換して負荷に供給する構成において、第1のコンデンサおよび第2のコンデンサの1組の充電期間と非充電期間とを組み合わせた期間を1周期とするとき、この1周期の逆数である充電周波数が三相交流の周波数の3n倍(nは自然数)となるように、充電手段を制御するようにしたので、電源周期に対して120度ずつずれた三相交流の各相の同一位相でスイッチングが行われるため、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の同時オフ期間が生じる場合や、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の同時オン期間が生じる場合であっても、三相交流の各相電流の波形が相似形となり、各相電流の不平衡が生じず、延いては、各相電流の歪み率が極小値となり、力率の改善や高調波電流の抑制が可能となる。
【0051】
より具体的には、第1のコンデンサの充電と非充電とをスイッチングする第1のスイッチング素子と、第2のコンデンサの充電と非充電とをスイッチングする第2のスイッチング素子と、第1のコンデンサの充電電荷の第1のスイッチング素子への逆流を防止する第1の逆流防止素子と、第2のコンデンサの充電電荷の第2のスイッチング素子への逆流を防止する第2の逆流防止素子とにより充電手段を構成し、電源電圧検出手段の検出結果から得た三相交流の周波数の3n倍で、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を交互にオン制御するようにしている。
【0052】
また、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を常時オフ制御状態とした全波整流モードと、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を交互にオン制御する昇圧モードとを有し、電源電圧検出手段の検出結果から得た三相交流の検出電圧値に応じて、昇圧モードにおける第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンデューティを変化させるようにしたので、三相交流の電圧の変動分を吸収することができ、負荷への出力電圧を安定化することができる。
【0053】
なお、上述した実施の形態1では、電源電圧検出手段を具備した構成例について説明したが、例えば、実施の形態1にかかる直流電源装置が適用される三相交流の種別(電圧、周波数)が予め決まっている場合には、電源電圧検出手段を省略した構成であっても、スイッチング周波数を電源周波数の3n倍とすることで、電源電圧の変動は吸収できないものの、力率の改善や高調波電流の抑制を図ることは可能である。
【0054】
また、例えば、実施の形態1にかかる直流電源装置が複数種の三相交流に適用する場合には、スイッチング周波数を各三相交流の周波数の最小公倍数の3n倍とすればよい。例えば、50Hzおよび60Hzの三相交流に適用される場合には、スイッチング周波数を50Hzおよび60Hzの最小公倍数である300Hzの3n倍としておくことで対応可能である。
【0055】
また、電源電圧検出手段を具備した構成においても、三相交流の周波数や電圧周期が検出できない場合を想定して、このような非常時におけるスイッチング周波数を複数種の三相交流の周波数の最小公倍数の3m倍(上述した例では300Hzの3m倍(mは自然数))として設定しておいてもよい。このようにすれば、例えば、電源電圧検出手段の故障等により三相交流の周波数や電圧周期が検出できなくなった場合でも、力率の改善や高調波電流の抑制効果を得ることができる。
【0056】
また、スイッチング周波数が高くなるとスイッチング損失が増加することとなるので、通常の運用時にはnやmの値を出来るだけ小さくしてスイッチング周波数をより低くする方が好ましいことは言うまでもない。例えば、50Hzおよび60Hzの三相交流に適用される場合には、非常時におけるスイッチング周波数を900Hz(m=1)とし、通常時にはこの900Hzあるいはそれ以下で運用するのが望ましい。
【0057】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる直流電源装置の構成は、実施の形態1にかかる直流電源装置と同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0058】
実施の形態1では、電源電圧検出手段9の検出結果から得た三相交流の電圧周期の(1/3n)倍に同期して、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bを交互にオン制御する例について説明したが、本実施の形態では、電源電圧検出手段9の検出結果から得た三相交流の電圧ゼロクロスに対して、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンタイミングを制御する例について説明する。
【0059】
図8は、実施の形態2にかかる直流電源装置のスイッチングパターンの一例を示す図である。
図8に示す例では、実施の形態1において
図3で示した昇圧モードbにおけるスイッチングパターンを示している。
【0060】
図8に示すように、本実施の形態では、制御部8は、電源電圧検出手段9の検出結果から得た電圧ゼロクロスを基準として、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンタイミングを、位相角θだけずらすようにしている。なお、基準とする電圧ゼロクロスは、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンタイミングの基準となるものであれば、各相電圧、各線間電圧の何れのゼロクロスであってもよい。
【0061】
図9は、力率とスイッチング素子のオンタイミングとの関係の一例を示す図である。
図9に示す例において、縦軸は力率を示し、横軸はスイッチング素子のオンタイミングを示している。
【0062】
図9に示すように、力率は、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンタイミングによって変化する。また、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティによっても、
図9に示す関係は変化する。
【0063】
さらに、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンタイミングとオンデューティとによって三相交流の電流波形も変化し、高調波電流も変化する。
【0064】
したがって、本実施の形態では、例えば、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティに対し、上述した電圧ゼロクロスを基準としたオンタイミングの位相角θをテーブル化して保持しておき、実施の形態1において説明した第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを適用して、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bをオン制御する際に、そのテーブルから読み出した位相角θを適用し、電源電圧検出手段9の検出結果から得た電圧ゼロクロスを基準として、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンタイミングを、位相角θだけずらしてスイッチング制御を行う。
【0065】
このようにすれば、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティに応じた最適なタイミングでスイッチング制御を行うことができ、力率改善や高調波電流の低減効果をより高めることができる。
【0066】
以上説明したように、実施の形態2の直流電源装置によれば、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンデューティに応じた最適なタイミングでスイッチング制御を行えるように、電源電圧検出手段の検出結果から得た電圧ゼロクロスを基準として、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンタイミングを、位相角θだけずらすようにしたので、力率改善や高調波電流の低減効果をより高めることができる。
【0067】
実施の形態3.
図10は、実施の形態3にかかる直流電源装置の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1,2と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0068】
図10に示すように、実施の形態3にかかる直流電源装置100aは、実施の形態1において
図1で示した構成に加え、負荷11の状態を検出する負荷状態検出手段22として、負荷11への出力電圧を検出する出力電圧検出手段20と、負荷11への出力電流を検出する出力電流検出手段21とをさらに備えている。
【0069】
図10に示す構成において、制御部8aは、出力電圧検出手段20の検出結果である負荷11への出力電圧値に応じて、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを変化させる。
【0070】
例えば、負荷11への出力電圧の基準電圧値を閾値として保持しておき、この基準電圧値において、
図3に示す第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティが50%の昇圧モードa(倍電圧モード)で動作するようにしておき、基準電圧値に対して検出した出力電圧値が大きい場合には、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティが50%未満となる昇圧モードbで動作させ、基準電圧値に対して検出した出力電圧値が小さい場合には、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティが50%以上となる昇圧モードcで動作させる。
【0071】
あるいは、例えば、負荷11への出力電圧が一定となるような第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティをテーブルとして保持しておき、検出した出力電圧値に応じた第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを適用するようにしてもよい。
【0072】
このようにすれば、負荷11の状況の変化、例えば、負荷11が、空気調和機、ヒートポンプ給湯機、冷蔵庫、および冷凍機等に用いられる圧縮機モータ等を駆動するインバータ負荷である場合に、圧縮機モータの回転数が変化する等、直流電源装置100aの出力電流が変動することによる出力電圧の変動を吸収して、負荷11への出力電圧を安定化することができ、出力電圧の低下に伴う圧縮機モータの出力低下を抑制することができる。
【0073】
さらに、本実施の形態では、負荷状態検出手段22として、出力電流検出手段21を具備することにより、制御部8aは、出力電圧検出手段20の検出結果である負荷11への出力電圧値と、出力電流検出手段21の検出結果である負荷11への出力電流値とから負荷11の消費電力を算出し、この負荷11の消費電力に応じて、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを変化させるようにすることも可能である。
【0074】
この場合には、例えば、負荷11の消費電力に対し、負荷11への出力電圧値が最適な値となる第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティをテーブル化して保持しておき、算出した負荷11の消費電力量に応じた第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティをそのテーブルから読み出して、スイッチング制御を行うようにすればよい。
【0075】
図11は、実施の形態3にかかる直流電源装置の動作例を示す図である。
図11において、横軸は負荷11の消費電力を示し、縦軸は負荷11への出力電圧を示している。
【0076】
図11に示す例では、例えば、負荷11の消費電力が所定値P1未満である場合には、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを0%、つまり、全波整流モードで動作させる。
【0077】
また、負荷11の消費電力が所定値P2(P1<P2)よりも大きい場合には、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを50%、つまり、昇圧モードa(倍電圧モード)で動作させる。
【0078】
そして、負荷11の消費電力が所定値P1以上、且つ所定値P2以下である場合には、昇圧モードbで動作させ、負荷11の消費電力量に応じて、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを制御する。具体的には、
図11に示す例では、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを、0%〜50%の範囲内で変化させる。
【0079】
図12は、負荷の消費電力量が大きくなる過程におけるスイッチングパターンの一例を示す図である。
【0080】
図12に示すように、負荷11の消費電力が
図11に示す所定値P1から所定値P2に至る過程では、負荷11の消費電力量に応じて第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを上昇させていく。
【0081】
このようにすれば、負荷11の消費電力量に応じた最適な出力電圧値とすることができ、例えば、負荷11が上述したような圧縮機モータ等を駆動するインバータ負荷である場合に、圧縮機モータの回転数の上昇に応じて消費電力量が増加した場合でも、出力電流の増加を抑制することが可能となる。
【0082】
また、負荷11の消費電力が所定値P2以下である領域では、全領域において倍電圧動作させる場合に対して、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bの導通損失を低減することができ、高効率化を図ることができる。
【0083】
なお、
図11に示す例では、全波整流モードから昇圧モードa(倍電圧モード)までの領域を出力電圧の変化範囲とし、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティの変化範囲を0%〜50%とした例を示したが、昇圧モードc、つまり、昇圧モードa(倍電圧モード)を超える領域まで出力電圧の変化範囲とすることも可能である。この場合には、所定値P2をより大きくして、例えば、昇圧モードcにおいて第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティを60%まで許容し、第1のスイッチング素子4aおよび第2のスイッチング素子4bのオンデューティの変化範囲を0%〜60%とする。また、逆に、全波整流モードから昇圧モードa(倍電圧モード)に満たない領域を出力電圧の変化範囲とすることも可能である。このように、消費電力量に応じた出力電圧の変化範囲の自由度が大きく、汎用性の高い直流電源装置を得ることができる。
【0084】
以上説明したように、実施の形態3の直流電源装置によれば、負荷の状態を検出する負荷状態検出手段として、負荷への出力電圧を検出する出力電圧検出手段を備え、出力電圧検出手段の検出結果である負荷への出力電圧値に応じて、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンデューティを変化させることにより、負荷の状況の変化、例えば、負荷が圧縮機モータ等を駆動するインバータ負荷である場合に、圧縮機モータの回転数が変化する等、直流電源装置の出力電流が変動することによる出力電圧の変動を吸収して、負荷への出力電圧を安定化することができ、出力電圧の低下に伴う圧縮機モータの出力低下を抑制することができる。
【0085】
さらに、負荷状態検出手段として、負荷への出力電流を検出する出力電流検出手段を備え、出力電圧検出手段の検出結果である負荷への出力電圧値と、出力電流検出手段の検出結果である負荷への出力電流値とから負荷の消費電力を算出し、この負荷の消費電力に応じて、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンデューティを変化させることにより、負荷の消費電力量に応じた最適な出力電圧値とすることができ、例えば、負荷が圧縮機モータ等を駆動するインバータ負荷である場合に、圧縮機モータの回転数の上昇に応じて消費電力量が増加した場合でも、出力電流の増加を抑制することが可能となる。
【0086】
また、負荷の消費電力が低い領域では、全領域において倍電圧動作させる場合に対して、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の導通損失を低減することができ、高効率化を図ることができる。
【0087】
また、消費電力量に応じた出力電圧の変化範囲の自由度が大きく、汎用性の高い直流電源装置を得ることができる。
【0088】
実施の形態4.
図13は、実施の形態4にかかる直流電源装置の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0089】
図13に示すように、実施の形態4にかかる直流電源装置100bは、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bからなる直列回路に並列接続した平滑コンデンサ40と、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bにそれぞれ並列接続したバランス抵抗41,42を具備した構成としている。なお、
図13に示す例では、実施の形態1において
図1で説明した電源電圧検出手段9を省略している。
【0090】
負荷11の状況の変化、例えば、実施の形態3において説明したように、負荷11が圧縮機モータ等を駆動するインバータ負荷である場合に、圧縮機モータの回転数の変化に伴う消費電力の変化等により、第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bの両端電圧に不平衡が生じることが考えられる。このような場合には、負荷11への出力電圧が不安定となり、後段のインバータによる圧縮機モータの安定駆動が困難となる。
【0091】
本実施の形態では、上述したように、平滑コンデンサ40を第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bからなる直列回路に並列接続する、あるいは、バランス抵抗41,42を第1のコンデンサ6aおよび第2のコンデンサ6bにそれぞれ並列接続することにより、負荷11への出力電圧を安定化することができ、後段のインバータによる圧縮機モータの安定駆動が容易となる。
【0092】
なお、
図13に示す例では、平滑コンデンサ40とバランス抵抗41,42とを双方とも具備した構成例を示したが、平滑コンデンサ40あるいはバランス抵抗41,42のいずれか一方を具備することで、負荷11への出力電圧を安定化することも可能であり、平滑コンデンサ40あるいはバランス抵抗41,42のいずれか一方を具備した構成であってもよいことは言うまでもない。
【0093】
以上説明したように、実施の形態4の直流電源装置によれば、平滑コンデンサを第1のコンデンサおよび第2のコンデンサからなる直列回路に並列接続する、あるいは、バランス抵抗を第1のコンデンサおよび第2のコンデンサにそれぞれ並列接続することにより、負荷の状況の変化、例えば、負荷が圧縮機モータ等を駆動するインバータ負荷である場合に、圧縮機モータの回転数の変化に伴い、消費電力が変化する場合等においても、第1のコンデンサおよび第2のコンデンサの両端電圧に不平衡が生じることなく、負荷への出力電圧を安定化することができ、後段のインバータによる圧縮機モータの安定駆動が容易となる。
【0094】
実施の形態5.
本実施の形態では、実施の形態1〜4に記載した直流電源装置を適用した冷凍サイクル適用機器について説明する。
【0095】
ここでは、実施の形態5にかかる冷凍サイクル適用機器のより具体的な構成について、
図14を参照して説明する。
【0096】
図14は、実施の形態5にかかる冷凍サイクル適用機器の一構成例を示す図である。なお、
図14に示す例では、実施の形態3において
図10で説明した直流電源装置100aの負荷として、インバータ30を接続した構成例を示している。
【0097】
実施の形態5にかかる冷凍サイクル適用機器としては、例えば、空気調和機、ヒートポンプ給湯機、冷蔵庫、および冷凍機等を想定しており、
図14に示すように、冷凍サイクル200を有している。
【0098】
冷凍サイクル200は、圧縮機31と、四方弁32と、内部熱交換器33と、膨張機構34と、熱交換器35とが冷媒配管36を介して順次接続され形成される。圧縮機31の内部には、冷媒を圧縮する圧縮機構37と、この圧縮機構37を動作させる圧縮機モータ38とが設けられている。
【0099】
圧縮機モータ38は、U相、V相、W相の三相の巻線を有する三相モータであり、直流電源装置100aの負荷として接続されたインバータ30により駆動制御される。
【0100】
図14に示すように構成された冷凍サイクル適用機器では、上述した実施の形態1〜4において説明した直流電源装置により得られる効果を享受することができる。
【0101】
つまり、昇圧モードにおいて、電源電圧検出手段の検出結果から得た三相交流の周波数の3n倍で、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を交互にオン制御することにより、三相交流の各相電流の波形が相似形となり、各相電流の不平衡が生じず、延いては、各相電流の歪み率が極小値となり、力率の改善や高調波電流の抑制が可能となる。
【0102】
また、電源電圧検出手段の検出結果から得た三相交流の検出電圧値に応じて、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンデューティを変化させることにより、三相交流の電圧の変動分を吸収することができ、負荷への出力電圧を安定化することができる。
【0103】
また、電源電圧検出手段の検出結果から得た電圧ゼロクロスを基準として、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンデューティに応じた最適なタイミングでスイッチング制御を行うことにより、力率改善や高調波電流の低減効果をより高めることができる。
【0104】
また、負荷への出力電圧値に応じて、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンデューティを変化させることにより、負荷への出力電圧を安定化することができ、出力電圧の低下に伴う圧縮機モータの出力低下を抑制することができる。
【0105】
さらに、負荷の消費電力に応じて、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子のオンデューティを変化させることにより、負荷の消費電力量に応じた最適な出力電圧値とすることができ、圧縮機モータの回転数の上昇に応じて消費電力量が増加した場合でも、出力電流の増加を抑制することが可能となる。
【0106】
また、負荷の消費電力が低い領域では、全領域において倍電圧動作させる場合に対して、第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子の導通損失を低減することができ、高効率化を図ることができる。
【0107】
また、消費電力量に応じた出力電圧の変化範囲の自由度が大きく、冷凍サイクル適用機器としての汎用性を高めることができる。
【0108】
以上説明したように、実施の形態5の冷凍サイクル適用機器によれば、上述した実施の形態1〜4に記載の直流電源装置を用いて構成することにより、実施の形態1〜4において説明した直流電源装置により得られる効果を享受することができる。
【0109】
なお、上述した実施の形態において、コンデンサの充電手段を構成するスイッチング素子や逆流防止素子としては、一般的には珪素(Si:シリコン)を材料とするSi系半導体を用いるのが主流であるが、炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンドを材料とするワイドバンドギャップ(WBG)半導体を用いてもよい。
【0110】
このようなWBG半導体によって形成されたスイッチング素子や逆流防止素子は、耐電圧性が高く、許容電流密度も高い。そのため、スイッチング素子や逆流防止素子の小型化が可能であり、これら小型化されたスイッチング素子や逆流防止素子を用いることにより、これらの素子を用いて構成した直流電源装置の小型化が可能となる。
【0111】
また、このようなWBG半導体によって形成されたスイッチング素子や逆流防止素子は、耐熱性も高い。そのため、ヒートシンクの放熱フィンの小型化や、水冷部の空冷化が可能であるので、直流電源装置の一層の小型化が可能になる。
【0112】
さらに、このようなWBG半導体によって形成されたスイッチング素子や逆流防止素子は、電力損失が低い。そのため、スイッチング素子や逆流防止素子の高効率化が可能であり、延いては直流電源装置の高効率化が可能になる。
【0113】
なお、スイッチング素子および逆流防止素子の両方がWBG半導体によって形成されていることが望ましいが、いずれか一方の素子がWBG半導体よって形成されていてもよく、上述した効果を得ることが可能である。
【0114】
また、上述した実施の形態では、スイッチング素子として、例えば、パワートランジスタ、パワーMOSFET、IGBTを例として挙げたが、高効率なスイッチング素子として知られているスーパージャンクション構造のMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)や、絶縁ゲート半導体装置、バイポーラトランジスタ等を用いても、同様の効果を得ることが可能である。
【0115】
また、制御部は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)、マイクロコンピュータ(マイコン)の離散システムで構成可能であるが、その他にもアナログ回路やデジタル回路等の電気回路素子などで構成してもよい。
【0116】
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。