(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デジタルゲイン適用部は、前記撮像部において、各フレーム期間での露光の結果生成された撮像信号に対し、次のフレーム期間にゲインを乗算して輝度が調整された撮像信号を出力し、
前記制御部は、前記各フレーム期間に前記輝度検出部で検出された輝度に基づいて、前記各フレーム期間から2フレーム期間後のフレーム期間における前記撮像部による露光の条件、及び前記各フレーム期間から3フレーム期間後のフレーム期間における前記デジタルゲイン適用部での乗算に使用されるデジタルゲインを設定し、
前記制御部は、前記第1のフレーム期間において前記第2の領域について検出された輝度に基づく前記露光の条件及び前記デジタルゲインの決定を開始し、
前記切り出し部に、前記第1のフレーム期間の3フレーム期間後のフレーム期間以降前記第2の領域の画像の切り出しを行わせる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
前記輝度検出部が、各フレーム期間において、前記複数の領域のうちの現に切り出されている領域及び切り出しの対象となる可能性がある領域のすべてについて領域毎の輝度を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
前記輝度検出部は、前記撮像画像を分割することで形成される複数の区域毎に輝度を検出し、前記複数の領域の各々に、少なくとも部分的に含まれる1又は2以上の前記区域の輝度から、当該領域の輝度を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
前記露光の条件の設定及び前記デジタルゲインの設定が各フレーム期間の垂直ブランキング期間内に行われることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の画像処理装置を備えた画像生成装置10を示す。図示の画像生成装置10は、広角画像取得部12と、画像処理装置14とを備える。
広角画像取得部12は、広角レンズ20と、撮像部30とを有する。
画像処理装置14は、デジタルゲイン適用部40と、輝度検出部50と、画像生成部60と、切り出し部70と、画像合成部80とを有する。
【0011】
広角レンズ20は、例えば魚眼レンズで構成され、広い画角の画像を撮像部30の撮像面に結像させる。
魚眼レンズによる撮像は、
図2に示すように、実空間内の被写体OJの仮想球面PLへの投影、仮想球面PLから平面状の撮像面SLへの投影として把握することができる。撮像面SL上の画像に対しては、画像の用途に応じた画像への補正、例えば、通常の撮像で得られる画像、即ち透視投影法で得られる画像NLに近付けるための補正(歪補正)が行われる。
【0012】
撮像部30は結像した画像を電子データに変換して出力する画像センサで構成されている。撮像部30は予め定められたフレーム期間単位で、即ちフレーム期間毎に、撮像画像を生成するものであり、各フレーム期間における露光による電荷蓄積で生成された撮像画像を表す撮像信号を次のフレーム期間に出力する。撮像部30は、R画素、G画素、B画素がベイヤ配列されたものであり、これらのR画素、G画素、B画素で得られたそれぞれの画素値(色信号)によって上記の撮像信号が構成される。撮像部30は露光時間及びゲイン(アナログゲイン)を変更可能であり、露光時間とゲインを変更することによって、撮像画像の明るさを調整することができる。
【0013】
デジタルゲイン適用部(デジタル増幅器)40は撮像部30からの撮像信号に対してゲイン(デジタルゲイン)を乗算する(ゲイン倍率を適用する)。乗算に使用されるゲインは変更可能であり、撮像部30と同様にゲインを制御することによりデジタルゲイン適用部40から出力される画像の明るさを調整可能である。上記のように撮像部30では、あるフレーム期間(第1のフレーム期間)にある露光条件で露光を行うことで生成された撮像信号が、次のフレーム期間(第2のフレーム期間)に出力される。各フレーム期間におけるデジタルゲイン適用部40でのデジタルゲインの乗算は、前のフレーム期間における撮像部30での露光の結果生成され、撮像部30から入力された撮像信号を対象としている。
【0014】
制御部100は、撮像面SL上の画像を複数の領域に分割し、分割により生成された領域毎に輝度検出を行うことを、輝度検出部50に指示する。
輝度検出部50は、制御部100による分割で生成された領域毎に輝度の検出を行う。輝度の検出は、領域毎の平均画素値の算出により行われる。本実施の形態では、各フレーム期間において、すべての分割領域について輝度を検出する。
各フレーム期間における、各領域についての平均画素値の算出は、当該フレーム期間の最後までに、即ち次のフレーム期間の開始前には完了する。
【0015】
画像生成部60は、デジタルゲイン適用部40から出力される画像のうち、撮像部30の画素がベイヤ配列されたものであるために各画素位置において欠落している色成分の信号を色補間処理によって生成し、各画素位置においてすべての色成分の信号を有する映像信号を生成するとともに、被写体の照度条件に合わせた色補正、エッジ強調等の画像処理を行う。
【0016】
切り出し部70は画像生成部60から出力される画像のうち、制御部100による分割で形成された複数の領域のうちの一つの領域を選択し、選択した領域の画像を切り出し、歪補正と拡大を行う。
【0017】
画像合成部80は、切り出し部70から順次出力される複数の領域の画像を組み合わせて、それぞれの領域
に対応する画角よりも広い画角に対応する一枚の画像に合成する。
【0018】
制御部100による画像の分割を
仮想球面PL上の画像について表すと例えば
図2及び
図3(a)に点線で示す如くとなる。切り出し部70による切り出しは、
図3(b)に示される領域、例えば領域R1、R2、…のいずれか一つを切り出す処理である。
図3(b)の撮像面SL上の領域R1、R2、…は仮想球面PL上の領域R1、R2、…に対応する。
切り出し部70による歪補正は撮像面SL上の画像を、用途に応じた画像、例えば透視投影によって得られる画像NL(
図2)に近い画像に変換する処理である。
【0019】
画像合成部80による合成は、切り出し部70により順次切り出され、歪補正された複数の領域の画像、例えば
図3(c)に示す領域R1〜R6の画像を、
図3(d)に示すように連結して一枚の画像とする処理である。連結の対象となる領域は
図3(a)では枠CRで示す範囲内の領域に対応する。
【0020】
制御部100は、外部から切り出し領域を指定する指定情報DRを受け、この指定に応じて撮像部30、デジタルゲイン適用部40、輝度検出部50、画像生成部60、切り出し部70、及び画像合成部80に対して、切り出し領域の切り替え、及び画像の合成のための制御を行う。
指定情報DR
には、切り出し領域の位置、例えば中心の位置を示す情報、及び切り出し領域の大きさを示す情報が含まれる。また、複数の領域に予め識別番号が付されている場合には、該識別番号を示す情報が含まれ、この情報に基づいて制御部100で、切り出すべき領域を特定する。
【0021】
制御部100はまた、画像生成部60に対して、被写体の照度条件に合わせた色補正、エッジ強調等の画像処理の条件を設定し、これらの処理の制御を行う。
被写体の照度条件は、例えば輝度検出部50で検出された輝度値から推定したものであっても良い。
制御部100はさらに、画像合成部80に対して、画像の合成に関する制御を行う。
【0022】
制御部100はさらにまた、輝度検出部50から出力される輝度検出結果(画素平均値)を取得し、取得した輝度検出結果に基づいて、撮像部30に対する露光条件の設定、及びデジタルゲイン適用部40に対するデジタルゲインの設定を行う。
撮像部30に対する露光条件の設定は、露光時間の設定とゲイン(アナログゲイン)の設定を含む。
【0023】
図4(a)〜(k)は制御部100、撮像部30、デジタルゲイン適用部40、及び輝度検出部50の動作シーケンスを示したものである。
図4(a)〜(k)には、ある領域(第1の領域)Aから別の領域(第2の領域)Bへの切り替えに際しての、フレームn−4からn+3までの8フレーム期間における動作が示されている。領域A及びBは例えばそれぞれ領域R1〜R6のいずれかである。
【0024】
図4(a)〜(k)は、フレームn−1において、領域切り替えの指示があった場合を想定している。
図4(a)には、切り出し部70により切り出される領域が示されている。図示の例では、フレームn+1までは領域Aが切り出され、フレームn+2以降は領域Bが切り出される。
図4(b)、(c)、(d)及び(e)には、制御部100の処理が示されている。
図4(b)には、輝度検出部50による輝度検出の結果を取得する処理が示されている。
【0025】
上記のように、本実施の形態では、各フレームにおいてすべての領域の輝度が検出されるが、制御部100はそのうちの1つの領域についての検出結果のみを取得し、設定値の演算に利用する。
図示の例では、フレームn−1までは領域Aについての輝度検出結果、フレームn以降は領域Bについての輝度検出結果が取得される。
【0026】
図4(c)には、
図4(b)における処理で取得した輝度検出結果に基づく設定値の演算が示され、
図4(d)には、
図4(c)における演算の結果算出された露光条件(露光時間、アナログゲイン)の設定値の撮像部30に対する設定が示され、
図4(e)には、
図4(c)における演算の結果算出されたデジタルゲイン設定値のデジタルゲイン適用部40に対する設定が示されている。
図4(f)には、各フレームにおける画像有効期間VA及び垂直ブランキング期間BLが示されている。
【0027】
図4(b)〜(e)において、各処理を示すブロックの時間軸方向の位置は、各処理が行われるタイミングを概略的に示す。
また、
図4(b)〜(j)において、一つの処理から別の処理への矢印を付けた線は、各処理で得られた結果を表す情報乃至信号の別の処理への伝達を示す。
【0028】
図4(b)の輝度検出結果取得の処理は、各フレームの開始時に行われる。各フレームにおいて取得される輝度検出結果は、直前のフレームにおける画素値の平均値の算出により得られたものである。どの領域の輝度検出結果を取得するかは、各フレームの開始時に決まるので、その前のフレームではすべての領域の輝度を検出しておく。
【0029】
図4(c)の設定値演算の処理は、
図4(a)の処理の後に、同じフレーム期間内に行われる。
図4(d)及び
図4(e)の撮像部30に対する露光条件の設定及びデジタルゲイン適用部40に対するデジタルゲインの設定の処理は
図4(c)の処理の後に同じフレーム期間内に、具体的には、当該フレーム期間の最後の垂直ブランキング期間BL内に行われる。
ブランキング期間BL内に設定の処理を行うことで、画像有効期間VA内に設定が変更されて同じフレーム内で画像の明るさに変化が生じるのを避けることができる。
【0030】
図4(g)及び
図4(h)には、撮像部30における処理が示されている。
図4(g)には、露光処理が示され、
図4(h)には、データ出力が示されている。
【0031】
図4(i)には、デジタルゲイン適用部40におけるデータ出力が示され、
図4(j)には、輝度検出部50による輝度の検出(そのための画素値の計測)が示されている。
先にも述べたように、本実施の形態では、各フレームにおいて、すべての領域の輝度の検出が行われるので、そのことを示すため
図4(j)には「全領域」と記載され、次のフレームの先頭で、輝度値検出結果の取得の対象となる領域が、
図4(j)に「全領域」の文字の次の括弧内に示されている。
図示の例では、フレームn−2まではそれぞれのフレームでの領域Aの輝度検出結果が次のフレーム
の先頭で取得され、フレームn−1以降は、それぞれのフレームでの領域Bの輝度検出結果が、次のフレームの先頭で取得される。
【0032】
以下輝度検出部50による輝度検出結果に基づいて撮像部30に対する露光条件の設定、デジタルゲイン適用部40に対するデジタルゲインの設定が行われ、これらの設定の結果に応じて得られたデータが出力されるまでの(輝度検出結果が出力データに反映されるまでの)過程を説明する。
【0033】
例えば、フレームn−4において領域Aを含むすべての領域の輝度が検出され(
図4(j))、領域Aの輝度検出結果がフレームn−3の開始時に制御部100に取得され(
図4(b))、同じフレームn−3内に、設定値の演算(
図4(c))、撮像部30に対する設定(
図4(d))、及びデジタルゲイン適用部40に対する設定(
図4(e))が行われ、これらの設定に応じて、次のフレームn−2における撮像部30の露光(
図4(g))が行われ、露光の結果生成された撮像信号がさらに次のフレームn−1に撮像部30から出力され、同じフレームn−1でデジタルゲイン適用部40によるデジタルゲインの乗算(
図4(i))が行われる。
【0034】
このように、フレームn−1には、フレームn−3で設定された露光条件で行われたフレームn−2での露光により得られたデータが撮像部から出力され(
図4(h))、このデータに対して同じくフレームn−3で設定されたデジタルゲインが乗算される。
輝度検出結果の取得(フレームn−3)から、取得結果に基づいて設定された露光条件での露光、及びデジタルゲインの乗算の結果生成されたデータの出力(フレームn−1)までに2フレーム期間の遅れがある。
【0035】
本発明では、あるフレーム、例えばフレームn−1中に切り出し領域Bへの切り替えの指示(指定領域の変更)があると(
図4(k))、制御部100は次のフレームnで、輝度検出結果取得の対象を領域Bに切り替え(フレームn−1における領域Bの輝度検出結果を取得し)、それよりも2フレーム後(切り替えの指示から3フレーム後)のフレームn+2から切り出し領域を領域Bに切り替える(
図4(a))。
切り出し領域切り替えの指示のあったフレームの次のフレームnの先頭で輝度検出結果取得の対象を切り替えることができるのは、各フレームにおいて、すべての領域の輝度情報を検出しているためである。
【0036】
切り出し領域の切り替え前のフレームn+1においては、領域Aが切り出されるが、このフレームn+1では、フレームn−1において取得した領域Aの輝度検出結果に基づいて設定された露光条件による露光(フレームn)及びデジタルゲインの乗算(フレームn+1)の結果得られたデータが出力される。
一方、切り出し領域の切り替え後のフレームn+2においては、領域Bが切り出されるが、このフレームn+2では、フレームnにおいて取得した領域Bの輝度検出結果に基づいて設定された露光条件による露光(フレームn+1)及びデジタルゲインの乗算(フレームn+2)の結果得られたデータが出力される。
このように、切り出し領域の切り替えの前後において、切り出される各領域のデータは、同じ領域についての輝度検出結果に基づいて設定された条件で、露光及びデジタルゲインの乗算を行った結果得られたデータである。
【0037】
比較のため、従来の構成における処理について
図5(a)〜(k)を参照して説明する。
従来の方法では、各フレームにおける輝度検出は、選択されている領域についてのみ行われる。例えば、
図5(k)に示すように、フレームn−1に切り替え要求があったとする。
この場合、
図5(j)に示すように、フレームn−1までは領域Aの輝度が検出され、フレームn以降は、領域Bの輝度が検出される。
その結果、フレームnまでは領域Aの輝度検出結果が取得され、フレームn+1以降は領域Bの輝度検出結果が取得される(
図5(b))。
【0038】
従って、フレームnまでは、領域Aの輝度検出結果に基づく、設定値演算、露光条件の設定、及びデジタルゲインの設定が行われ、フレームn+1以降は、領域Bの輝度検出結果に基づく、設定値演算、露光条件の設定、及びデジタルゲインの設定が行われる。
【0039】
さらに、フレームn+1までは、領域Aの輝度検出結果に基づいて設定された露光条件での露光、及び領域Aの輝度検出結果に基づいて設定されたデジタルゲインの乗算が行われ、フレームn+2以降は、領域Bの輝度検出結果に基づいて設定された露光条件での露光、及び領域Bの輝度検出結果に基づいて設定されたデジタルゲインの乗算が行われる。
【0040】
このような処理をする結果、フレームn+1で、領域Aの輝度検出結果に基づいて設定された露光条件での露光(
図5(g))の結果、フレームn+2に撮像部から出力されたデータ(
図5(h))が領域Bの輝度検出結果に基づいて設定されたデジタルゲインが乗算される(
図5(i))。
【0041】
フレームn+3以降は、領域Bの輝度検出結果に基づいて設定された露光条件での露光、及び領域Bの輝度検出結果に基づいて設定されたデジタルゲインの乗算により得られたデータが出力される。
そこで、切り出し領域の切り替えをフレームn+2とフレームn+3の間で行い、フレームn+3以降は領域Bを切り出す。
従って、切り出し領域の切り替えの指示(
図5(k))があったフレームの先頭から、切り出し領域の切り替えまでに、4フレーム期間の遅れがある。
これに対して、本発明では、切り出し領域の切り替えの指示(
図4(k))があったフレームの先頭から切り出し領域の切り替え(
図4(a))までの遅れが3フレーム期間となる。
【0042】
また、
図5(a)〜(k)の場合には、フレームn+2で出力されるデータは、領域Aの輝度検出結果に基づいて設定された露光条件と領域Bの輝度検出結果に基づいて設定されたデジタルゲインとで調整されたものであり、適切な明るさになる保証がなく、前後のフレームとの明るさに違いが生じる可能性がある。
これに対して
図4(a)〜(k)では、切り出し領域の切り替え前は領域Aの輝度検出結果に基づいて設定された露光条件での露光と、同じく領域Aの輝度検出結果に基づいて設定されたデジタルゲインの乗算とにより得られた画像が出力され、切り出し領域の切り替え後は領域Bの輝度検出結果に基づいて設定された露光条件での露光と、同じく領域Bの輝度検出結果に基づいて設定されたデジタルゲインの乗算とにより得られた画像が出力される。即ち、領域の切り替えの前でも後でも画像の明るさが適切に調整されたものとなる。
【0043】
なお、
図4(a)〜(k)で示した例では、設定値の演算を行ったのと同じフレーム内で、デジタルゲインをデジタルゲイン適用部40に設定し、デジタルゲイン適用部40で、設定されたデジタルゲインの使用を1フレーム遅らせることとしているが、
図6(a)〜(k)に示すように、設定値の演算を行ったフレームの次のフレームでデジタルゲインをデジタルゲイン適用部40に設定し、デジタルゲイン適用部40では、新たに設定されたデジタルゲインを直ちに乗算に使用することとしても良い。即ち遅延の処理をデジタルゲイン適用部40で行う代わりに制御部100で行うこととしても良い。
【0044】
上記の実施の形態では、輝度検出部が各フレームにおいて画像のすべての領域の輝度を検出するものとしたが、領域のうちの現に切り出しの対象となっている領域及び切り出しの対象となる予定乃至可能性のある領域についてのみ、領域毎の輝度検出を行うこととしても良い。例えば、上記の例のように、領域R1〜R6を順次選択して画像を取り出す場合には、領域R1〜R6のみを現に切り出しの対象になっている領域或いは切り出しの対象となる可能性のある領域として、これらの領域についてのみ各フレームにおける輝度の検出を行うこととしても良い。
【0045】
上記の実施の形態では、切出される領域(R1〜R6など)が、互いに重なり合わないものとして示されているが、縁部において互いに重なり合う領域の画像を生成して、合成の際に重なり合う部分に対して加重加算或いは選択の処理を行うようにしても良い。
【0046】
上記の実施の形態では、切り出し部で順次切り出された異なる領域の画像を画像合成部で合成しているが、本発明はこのような場合に限定されず、例えば切り出された領域の画像をそのまま(他の領域の画像と連結せずに)順次表示する構成にも適用可能である。この場合、ある領域を切り出しているときに、次に切り出される領域が既知である場合には、該既知の領域についてのみ、輝度検出を行うこととしても良い。また、ある領域を切り出しているときに、次に切り出される領域が複数の既知の領域(例えば現に切り出されている領域に隣接する領域)のいずれかであるかが既知である場合には、該複数の既知の領域についてのみ、輝度検出を行うこととしても良い。
【0047】
また複数の領域を連結して1枚の合成画像を生成する場合にも、合成画像の一部となる領域を順次切り替えることで、合成画像が占める範囲を次第に移動させることとしても良い。例えば、
図2(a)の領域R1〜R6で合成画像を形成している状態から、左端の領域R1,R2を除き、代わりに右側に隣接する領域R7、R8を加えることで、領域R3〜R8から成る合成画像を形成し、以下同様の処理を繰り返すこととしても良い。
この場合にも、移動の方向が既知である場合には、現に合成の対象となっている領域R1〜R6に加えて、次に合成の対象となる予定の領域R7、R8についても各フレームにおいて輝度の検出を行うこととしても良い。また、移動の方向が既知でないが、いずれかの方向に隣接領域を順次追加し、逆の側にある領域を除去していくことが既知である場合には、現に合成の対象となっている領域に加えて、隣接する領域(合成の対象となる可能性のある領域)について各フレームにおける輝度の検出を行うこととしても良い。
【0048】
上記の実施の形態では、画像の異なる位置を占める領域間での切り替えを行っているが、一つの領域と、該一つの領域を一部とする他の領域(より狭い領域とより広い領域)との間での切り替えの場合にも本発明を適用することができる。より狭い領域の画像とより広い領域の画像を相前後して選択して表示することで、ズーム処理を行うことができる。
【0049】
同じ位置(中心位置)において異なる傾き(チルト)角を持つ複数の領域間での切替えの場合にも、本発明を適用することができる。このように異なるチルト角の領域を相前後して選択して表示することで、チルト角を変化させながらの表示を行うことができる。
【0050】
以上のように、本発明によれば、画像の切り出し領域の切り替えを行なっても画像の輝度の変動が少ない安定した露光制御を行うことができ、しかも切り出し領域の切り替えの指示から、切り替えが実行されるまでの遅れが少ない。
【0051】
実施の形態2.
上記実施の形態1では画像の切り出し領域と、輝度検出の単位となる領域とが一致しているが、画像の切り出し領域と輝度
検出の単位となる領域が異なる場合にも、本発明は適用可能である。以下では、切出し領域との区別のため、輝度
検出の単位となる領域を「区域」と呼ぶ。輝度
検出の単位となる領域、即ち区域が画像の切り出し領域よりも小さく、各切出し領域が複数の区域にまたがる場合、即ち複数の区域の
各々の少なくとも一部が、当該切出し領域に含まれる場合、該複数の区域の輝度に基づいて、切出し領域の輝度を算出することとして良い。例えば
、撮像画像を複数の矩形の区域(ブロック)に分割し、ブロック毎の輝度を検出し、
切出し領域の輝度を、該切出し領域に少なくとも部分的に含まれるブロック
の各々の輝度に基づい
て算出することとしても良い。
【0052】
図7(a)は、画像が格子状の線により、複数の矩形の区域(ブロック)BKに分割されており、複数の矩形のブロックにまたがるように切出し領域ERが設定される例を示す。
図7(b)〜(d)には、切出し領域ERの輝度の算出に用いられるブロックBKeがハッチングで示されている。即ち、
図7(b)の例では、各々、その全体が切出し領域ERに含まれるブロックBKeのみが、切出し領域ERの輝度の算出に用いられ、
図7(c)の例では、各々、その半分以上が切出し領域ERに含まれるブロックBKeのみが、切出し領域ERの輝度の算出に用いられ、
図7(d)の例では、各々、少なくとも一部が切出し領域ERに含まれるブロックBKeはすべて、切出し領域ERの輝度の算出に用いられる。
ブロックの輝度に基づく切出し領域の輝度の算出は、単純平均であっても良く、重み付け平均であっても良い。重み付け平均の場合には、各ブロックのうちの、切出し領域に含まれる割合に応じた重みを付けても良い。
【0053】
以上のように、本実施の形態では、撮像画像を分割することで形成される矩形の区域(ブロック)毎の輝度を用いて切出し領域の輝度を算出するので、切り出し領域の形状の如何を問わず、また切り出し領域の形状が時間とともに変化する場合でも柔軟に切出し領域の輝度を算出することが可能である。
【0054】
以上本発明の画像処理装置を説明したが、上記の画像処理装置で実施される画像処理方法もまた本発明の一部を成す。また、上記の画像処理装置の構成要素の一部又は全部、或いは上記の画像処理方法における処理の一部又は全部をソフトウエアで、即ちプログラムされたコンピュータで実現することもできる。従って、上記の画像処理装置の構成要素の一部又は全部、或いは上記の画像処理方法における処理の一部又は全部をコンピュータに実行させるためのプログラム、ならびに該プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体もまた本発明の一部を成す。