(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6038372
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】水受け部材
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20161128BHJP
E03C 1/02 20060101ALI20161128BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
D06F39/08 301B
E03C1/02
E03C1/042 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-102892(P2016-102892)
(22)【出願日】2016年5月24日
【審査請求日】2016年5月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516152871
【氏名又は名称】岸本 章志
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(72)【発明者】
【氏名】岸本 章志
(72)【発明者】
【氏名】大橋 梓
【審査官】
横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−183259(JP,A)
【文献】
特開2002−371600(JP,A)
【文献】
特開昭47−021956(JP,A)
【文献】
特開2002−223967(JP,A)
【文献】
特開平09−285408(JP,A)
【文献】
実開平05−081369(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0005731(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00−51/02
E03C 1/02
E03C 1/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分から漏水した場合の水を受ける水受け部材であって、前記水栓が取り付けられる枠体と前記枠体が取り付けられる壁との間に取り付けられる水受け部本体と、前記水受け部本体が受けた水を外部に排出するホース部とを備えた水受け部材。
【請求項2】
前記水受け部本体と前記ホース部とが一体成形品である
請求項1に記載の水受け部材。
【請求項3】
前記ホース部は長尺である
請求項1または2に記載の水受け部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分から漏水した場合の水を受ける水受け部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に洗濯機は、水栓(水栓金具)と洗濯機本体とを洗濯機用給水ホースにより接続して使用される。水栓と洗濯機用給水ホースとの接続には、通常、ワンタッチで接続可能な洗濯機用給水栓ジョイント等が使用されている。
【0003】
しかし、洗濯機用給水栓ジョイント内のゴムパッキン等の経年劣化により、水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分近傍から漏水する場合がある。また、洗濯機の脱水時の振動等により、水栓と洗濯機用給水ホースとの接続が緩み、接続部分近傍から漏水する場合もある。漏水すると水栓が取り付けられている壁を伝って水が浸み込む。特にマンション等のコンクリート建築物において、コンクリート内に水が浸み込むと蒸発しにくいため、クロスが浮く等の被害が生じる。また、漏水がひどくなると、床を伝ってマンションの階下への被害も大きくなる。
【0004】
従来は、外出時に水栓や元栓を閉めたりする等により、漏水を予防していた。しかしながら、水栓は洗濯機が設置される後ろ側の壁に取り付けられていることが多く、手が届きにくい等の理由により、外出の度に水栓や元栓を閉める等の作業は煩雑であった。
【0005】
また、漏水による被害を回避するために、洗濯機置き場に水漏れ防止用のドレンパン等を施工したり、あるいは漏水検知手段を備えた洗濯機等も提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、いずれの手法もコストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−094326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分からの漏水による被害を予防することができる水受け部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る水受け部材は、水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分から漏水した場合の水を受け
る水受け部材
であって、前記水栓が取り付けられる枠体と前記枠体が取り付けられる壁との間に取り付けられる水受け部本体と、前記水受け部本体が受けた水を外部に排出するホース部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分からの漏水による被害を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】水受け部材の取付状態を説明する斜視図である。
【
図6】水受け部材の取付状態を説明する部分拡大図である。
【
図7】他の実施形態に係る水受け部材の取付状態を説明する斜視図である。
【
図8】水受け部材の取付状態を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<概要>
本発明の一態様に係る水受け部材は、水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分から漏水した場合の水を受けることを特徴とする。
このような構成によれば、水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分からの漏水による被害を予防することができる。
【0012】
他の一態様に係る水受け部材において、前記水受け部材は、前記水栓が取り付けられる枠体と、該枠体が取り付けられる壁との間に取り付けられる。
このような構成によれば、水受け部材を簡便に取り付けて使用することができる。
【0013】
また、他の一態様に係る水受け部材において、前記水受け部材は、水を受ける水受け部本体と、受けた水を外部に排出するホース部とを備える。
このような構成によれば、受けた水を連続的に外部に排出できるため、水受け部材から水が溢れ出る心配がなく、継続的に安心して使用できる。
【0014】
また、他の一態様に係る水受け部材において、前記水受け部本体と前記ホース部とが一体成形品である。
このような構成によれば、部品点数が減少し製造コストが低下するとともに、耐久性が向上する。
【0015】
<実施形態>
(第1の実施形態)
以下に実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は実施形態に係る水受け部材1の斜視図、
図2は水受け部材1の正面図、
図3は水受け部材1の側面図、
図4は水受け部材1を上側から見た平面図である。
図5は水受け部材1の取付状態を説明する斜視図、
図6は水受け部材1の取付状態を説明する部分拡大図である。
【0016】
1.全体構成
主に
図1、
図5、
図6を用いて説明する。
水受け部材1は、水栓30と洗濯機用給水ホース32との接続部分近傍から漏水した場合の水を受ける水受け部本体10と、受けた水を外部に排出する長尺のホース部20とを備える。
【0017】
水受け部材1は、水栓30が取り付けられる枠体31と、枠体31が取り付けられる壁40との隙間に、取付部11の先端11aを挟み込んだ状態で取り付けて使用される。
【0018】
2.水栓
主に
図5を用いて説明する。
水栓30は、一般に水道蛇口もしくは水栓金具と呼ばれているものである。水栓30は枠体31に埋設された状態で取り付けられている。水栓30の種類は特に限定はなく、単水栓でも混合栓でもよい。
【0019】
3.洗濯機用給水ホース
主に
図5を用いて説明する。
長尺の洗濯機用給水ホース32の一端は、ワンタッチで接続可能なジョイント部33により水栓30に接続されており、洗濯機用給水ホース32の他端は、洗濯機本体(図示せず)と接続されている。洗濯機本体は、通常、排水口を備える洗濯機用防水パン(図示せず)上に載置される。なお、図面では長尺の洗濯機用給水ホース32の一部のみを示している。
【0020】
4.水受け部本体
主に
図1を用いて説明する。
水受け部本体10は、矩形状の取付部11と、水を一時的に受ける水受け部12と、ホース部20との接続箇所となる筒部13とを備える。
【0021】
(4−1)取付部
主に
図1、
図2、
図5、
図6を用いて説明する。
取付部11は、通常、枠体31と壁40との隙間に挟み込んだ状態で取り付けて使用される。取付部11の厚み(T)は、枠体31と壁40との隙間に挟み込んだ際に落ちない程度の厚みであれば問題はなく、通常、0.3〜0.7mmであり、好ましくは0.4〜0.6mm、特に好ましくは0.5mm程度である。また、取付部11の横幅(W)は、枠体31の横幅と同等であることが好ましく、通常90〜110mm、好ましくは95〜105mm、特に好ましくは100mm程度である。取付部11の高さ(H)は、通常、30〜50mm、好ましくは35〜45mm、特に好ましくは40mm程度である。
【0022】
(4−2)水受け部
主に
図1、
図2、
図4を用いて説明する。
水受け部12は、下方(図面下側)にむかって横幅が小さくなる筒状であり、取付部11の内壁を伝って下方に流れてきた水を一時的に受けるために上部は開口している。
【0023】
(4−3)筒部
主に
図1、
図3、
図4を用いて説明する。
筒部13はホース部20の先端に挿通されて使用されるため、筒部13の外径(D
1)は、ホース部20の内径(d
1)と略同じ大きさである。具体的には、筒部13の外径(D
1)は、通常10〜18mm、好ましくは13〜17mm、特に好ましくは15mm程度である。
【0024】
筒部13の長さは、ホース部20の先端に挿通できる程度の長さであればよく、通常、10〜50mm、好ましくは15〜35mmであり、特に好ましくは20mm程度である。
【0025】
5.ホース部
主に
図1、
図2、
図4を用いて説明する。
ホース部20は、水受け部12で一時的に受けた水を外部に排出する長尺のホースである。
【0026】
ホース部20の一端は筒部13と接続され、ホース部20の他端は、図示しないが防水パン側に延伸されている。なお、図面では長尺のホース部20の一部のみを示している。
【0027】
6.作用
水栓30と洗濯機用給水ホース32との接続部分近傍から漏水した水は、取付部11の内壁を伝って下方側の水受け部12に案内され、もしくは直接水受け部12に溜まり、ホース部20を介して防水パン(図示せず)上に排出される。防水パン(図示せず)上の水は、防水パンの排水口を介して外部に排水される。
【0028】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る水受け部材1の取付状態を説明する斜視図、
図8は水受け部材1の取付状態を説明する側面図である。
【0029】
1.水栓
図5では、水栓30が枠体31に埋設されているタイプを示したが、これに限定されず、例えば、
図7、
図8に示すように、水栓34が枠体35から突出しているタイプであってもよい。
【0030】
第2の実施形態では、水栓34と洗濯機用給水ホース32との接続部分近傍から漏水した水は、取付部11の内壁を伝って下方側の水受け部12に案内され、もしくは直接水受け部12に溜まり、ホース部20を介して防水パン(図示せず)上に排出される。防水パン(図示せず)上の水は、防水パンの排水口を介して外部に排水される。
【0031】
<変形例>
以上、一実施形態に係る水受け部材を説明したが、本発明はこの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0032】
1.水受け部材
実施形態では、水受け部本体10と水受け部12と筒部13とは、同一の樹脂材料により一体的に成形されているが、別部品であってもよい。
実施形態の水受け部材1は、主に水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分近傍から漏水した場合の水を受けるために使用されるが、上記接続部分以外の他の箇所から漏水した場合の水を受けるために使用することもできる。
【0033】
2.取付部
取付部11は、横方向に長い矩形状をしているが、これに限定されず、縦方向に長い矩形状をしていてもよく、略正方形状であってもよい。
【0034】
3.ホース部
実施形態では、筒部13の外側にホース部20を挿通させているが、筒部13の内側にホース部20を挿通させてもよい。
【0035】
また、実施形態では、水受け部本体10とホース部20とは別部品であるが、一体成形品であってもよい。なお。水受け部本体10とホース部20とが一体成形品の場合、筒部13は省略してもよい。
【0036】
実施形態でのホース部20は長尺であり、他端を防水パン側まで延伸させているが、短尺であっても差し支えない。この場合、ホース部20から排出される水はバケツやPETボトル等で受けることもできる。なお、ホース部20自体を省略して水受け部本体10からの水を、PETボトル等で直接受けることもできる
【符号の説明】
【0037】
1 水受け部材
10 水受け部本体
20 ホース部
30 水栓
31 枠体
32 洗濯機用給水ホース
40 壁
【要約】
【課題】水栓と洗濯機用給水ホースとの接続部分からの漏水による被害を予防することができる水受け部材を提供する。
【解決手段】水栓30と洗濯機用給水ホース32との接続部分から漏水した場合の水を受ける水受け部材1である。
【選択図】
図5