特許第6038377号(P6038377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6038377
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年12月7日
(54)【発明の名称】二次電池保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/18 20060101AFI20161128BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20161128BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20161128BHJP
【FI】
   H02H7/18
   H02J7/00 S
   H01M10/44 P
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-137100(P2016-137100)
(22)【出願日】2016年7月11日
【審査請求日】2016年7月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516207827
【氏名又は名称】アイティーエム セミコンダクター カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】安部 修平
(72)【発明者】
【氏名】ナ ヒョク−フィ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ホ−ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨン−ソク
(72)【発明者】
【氏名】アン サン−ホン
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−210137(JP,A)
【文献】 特開2008−283743(JP,A)
【文献】 特開2006−108568(JP,A)
【文献】 特開平11−68527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
H02H 7/10 − 7/20
H01M 10/44
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と負荷との間の電源経路に挿入されたMOSトランジスタを制御することによって前記二次電池を保護する二次電池保護回路であって、
前記二次電池と前記MOSトランジスタとの間で前記電源経路に接続される第1の端子と、
前記負荷と前記MOSトランジスタとの間で前記電源経路に接続される第2の端子と、
前記MOSトランジスタのゲートに接続される第3の端子と、
前記MOSトランジスタのバックゲートに接続される第4の端子と、
前記二次電池の異常を検出する異常検出回路と、
前記二次電池の異常検出結果に基づいてスイッチ制御信号を出力する制御回路と、
前記制御回路の出力に基づいて前記MOSトランジスタのゲートを制御するゲート制御信号を前記第3の端子に出力させ、且つ、前記制御回路の出力に基づいて前記MOSトランジスタのバックゲートの電位を制御するバックゲート制御信号を前記第4の端子に出力させるスイッチ制御回路とを有し、
前記スイッチ制御回路は、
前記二次電池の異常状態に応じて前記第4の端子と前記第1の端子とを接続する第1のスイッチと、前記二次電池の異常状態に応じて前記第4の端子と前記第2の端子とを接続する第2のスイッチとを備え、
前記第4の端子と前記第1の端子とが前記第1のスイッチを介して接続された状態での前記第4の端子と前記第1の端子との間の抵抗値、又は、前記第4の端子と前記第2の端子とが前記第2のスイッチを介して接続された状態での前記第4の端子と前記第2の端子との間の抵抗値は、前記MOSトランジスタのオン抵抗値よりも大きい、二次電池保護回路。
【請求項2】
前記第4の端子は、前記二次電池の充電異常が検出されている場合、前記第2の端子に接続され、前記二次電池の放電異常が検出されている場合、前記第1の端子に接続される、請求項1に記載の二次電池保護回路。
【請求項3】
前記二次電池の過充電が検出されている場合、前記二次電池の電荷を前記第4の端子に放電させる放電回路を備える、請求項1又は2に記載の二次電池保護回路。
【請求項4】
前記第4の端子は、前記第1の端子又は前記第2の端子と抵抗素子を介して接続される、請求項1から3のいずれか一項に記載の二次電池保護回路。
【請求項5】
集積化された、請求項1から4のいずれか一項に記載の二次電池保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池と負荷との間の電源経路に挿入されたスイッチング素子をオフすることによって、前記二次電池を保護する保護回路が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図1は、特許文献1に開示された保護回路12の構成を示す図である。二次電池11が充電器15に接続されるとき、制御回路14は、スイッチング素子13のゲート電圧をスイッチング素子13のオン電圧とする。このとき、図1に示されるように、バックゲートコンタクト21の電位は、ドレイン電位とする。
【0004】
二次電池11の電圧が最高設定電圧よりも高くなると、制御回路14は、スイッチング素子13のゲート電圧をカットオフ電圧とする。これにより、充電電流は、スイッチング素子13及び寄生ダイオード26のダイオード26Bにより遮断される一方で、二次電池11が負荷16に接続されると、放電電流は、ダイオード26Bを介して流れる。
【0005】
一方、二次電池11の電圧が最低設定電圧よりも低くなると、制御回路14は、スイッチング素子13のゲート電圧をカットオフ電圧とし、バックゲートコンタクト21の電位をドレイン電位からソース電位に切り換える。これにより、放電電流は、スイッチング素子13及び寄生ダイオード26のダイオード26Aにより遮断される一方で、二次電池11が充電器15に接続されると、充電電流は、ダイオード26Aを介して流れる。
【0006】
制御回路14は、切換スイッチSWを端子Vss側又は端子Vm1側に切り換えることで、バックゲートコンタクト21の電位を、スイッチング素子13のソース又はドレインと同電位とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4522384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図1に示される回路では、充電電流がスイッチング素子13により遮断された状態での放電電流は、負荷16のマイナス側の端子、Vm1端子、切換スイッチSW、BG端子、バックゲートコンタクト21、ダイオード26B、二次電池11の負極の順に流れる。一方、放電電流がスイッチング素子13により遮断された状態での充電電流は、二次電池11の負極、Vss端子、切換スイッチSW、BG端子、バックゲートコンタクト21、ダイオード26A、充電器15のマイナス側の端子の順に流れる。
【0009】
しかしながら、オン抵抗値が数mΩのFET(電界効果トランジスタ)によって切換スイッチSWが構成されると、切換スイッチSWだけで数mm四方のチップ面積が必要となり、回路面積が増大する場合がある。なぜなら、FETのサイズは、そのオン抵抗値が小さくなるほど大きくなるからである。
【0010】
そこで、本開示の一態様は、二次電池保護回路の回路面積の増大を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本開示の一態様では、
二次電池と負荷との間の電源経路に挿入されたMOSトランジスタを制御することによって前記二次電池を保護する二次電池保護回路であって、
前記二次電池と前記MOSトランジスタとの間で前記電源経路に接続される第1の端子と、
前記負荷と前記MOSトランジスタとの間で前記電源経路に接続される第2の端子と、
前記MOSトランジスタのゲートに接続される第3の端子と、
前記MOSトランジスタのバックゲートに接続される第4の端子と、
前記二次電池の異常を検出する異常検出回路と、
前記二次電池の異常検出結果に基づいてスイッチ制御信号を出力する制御回路と、
前記制御回路の出力に基づいて前記MOSトランジスタのゲートを制御するゲート制御信号を前記第3の端子に出力させ、且つ、前記制御回路の出力に基づいて前記MOSトランジスタのバックゲートの電位を制御するバックゲート制御信号を前記第4の端子に出力させるスイッチ制御回路とを有し、
前記スイッチ制御回路は、
前記二次電池の異常状態に応じて前記第4の端子と前記第1の端子とを接続する第1のスイッチと、前記二次電池の異常状態に応じて前記第4の端子と前記第2の端子とを接続する第2のスイッチとを備え、
前記第4の端子と前記第1の端子とが前記第1のスイッチを介して接続された状態での前記第4の端子と前記第1の端子との間の抵抗値、又は、前記第4の端子と前記第2の端子とが前記第2のスイッチを介して接続された状態での前記第4の端子と前記第2の端子との間の抵抗値は、前記MOSトランジスタのオン抵抗値よりも大きい、二次電池保護回路が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様によれば、二次電池保護回路の回路面積の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】特許文献1に開示された保護回路の構成を示す図である。
図2】電池パックの第1の構成例を示す図である。
図3】電池パックの第2の構成例を示す図である。
図4】電池パックの第3の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態において、二次電池と負荷との間の電源経路に挿入されたMOSトランジスタにおけるソースとドレインは、相互に同様な構造を備え、ソース又はドレインと単に呼称されているだけである。したがって、当該MOSトランジスタにおいて、ソースとドレインの呼称が相互に置換されてもよい。
【0015】
図2は、電池パックの第1の例である電池パック100の構成例を示す図である。電池パック100は、二次電池200と、二次電池保護装置110とを内蔵して備える。
【0016】
二次電池200は、充放電可能な電池の一例である。二次電池200は、プラス端子5(P+端子)とマイナス端子6(P−端子)に接続された負荷130に電力を供給できる。二次電池200は、プラス端子5とマイナス端子6に接続された充電器150によって充電されることが可能である。二次電池200の具体例として、リチウムイオン電池やリチウムポリマ電池などが挙げられる。電池パック100は、負荷130に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。
【0017】
負荷130は、電池パック100の二次電池200を電源とする負荷の一例である。負荷130の具体例として、携帯可能な携帯端末装置などの電子機器が挙げられる。携帯端末装置の具体例として、携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ゲーム機、テレビ、音楽や映像のプレーヤー、カメラなどの電子機器が挙げられる。
【0018】
二次電池保護装置110は、二次電池200を電源として動作し、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過放電等から保護する二次電池保護装置の一例である。二次電池保護装置110は、充放電制御回路140と、電池正極接続端子3(B+端子)と、電池負極接続端子4(B−端子)と、プラス端子5と、マイナス端子6とを備える。
【0019】
充放電制御回路140は、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過放電等から保護する充放電制御回路の一例である。充放電制御回路140は、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ17と、二次電池保護集積回路120と、抵抗1と、キャパシタ2と、抵抗9とを備える。
【0020】
電池正極接続端子3は、二次電池200の正極201に接続される端子の一例である。電池負極接続端子4は、二次電池200の負極202に接続される端子の一例である。プラス端子5は、負荷130又は充電器150のプラス側端子に接続される端子の一例である。マイナス端子6は、負荷130又は充電器150のマイナス側端子に接続される端子の一例である。
【0021】
電池正極接続端子3とプラス端子5とは、プラス側電源経路8によって接続され、電池負極接続端子4とマイナス端子6とは、マイナス側電源経路7によって接続される。プラス側電源経路8は、電池正極接続端子3とプラス端子5との間の充放電電流経路の一例であり、マイナス側電源経路7は、電池負極接続端子4とマイナス端子6との間の充放電電流経路の一例である。
【0022】
二次電池保護装置110は、MOSトランジスタ17を備える。MOSトランジスタ17は、第1のマイナス側接続点7aと第2のマイナス側接続点7bとの間でマイナス側電源経路7に直列に挿入されたMOS電界効果トランジスタの一例である。MOSトランジスタ17のオフにより、二次電池200の充電電流又は放電電流が流れるマイナス側電源経路7が遮断される。MOSトランジスタ17は、Nチャネル型MOSトランジスタの一例である。
【0023】
二次電池保護装置110は、二次電池保護集積回路120を備える。二次電池保護集積回路120は、二次電池200を電源として動作し、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過電流等から保護する二次電池保護回路の一例である。二次電池保護集積回路120は、二次電池200から給電されて二次電池200を保護する。
【0024】
二次電池保護集積回路120は、例えば、電源端子91と、グランド端子92と、ゲート制御端子93と、バイアス出力端子94と、検出端子95とを備える保護IC(Integrated Circuit)の一例である。
【0025】
電源端子91は、プラス側接続点8a及び電池正極接続端子3を介して二次電池200の正極201に接続される正極側電源端子であり、VDD端子と呼ばれることがある。電源端子91は、例えば、プラス側電源経路8に一端が接続される抵抗1の他端と、マイナス側電源経路7に一端が接続されるキャパシタ2の他端との接続点に接続される。キャパシタ2の一端は、電池負極接続端子4とMOSトランジスタ17との間の第1のマイナス側接続点7aでマイナス側電源経路7に接続される。
【0026】
グランド端子92は、第1のマイナス側接続点7a及び電池負極接続端子4を介して二次電池200の負極202に接続される負極側電源端子であり、VSS端子と呼ばれることがある。グランド端子92は、電池負極接続端子4とMOSトランジスタ17との間の第1のマイナス側接続点7aでマイナス側電源経路7に接続される。グランド端子92は、第1の端子の一例である。
【0027】
ゲート制御端子93は、MOSトランジスタ17のゲートGに接続され、MOSトランジスタ17のゲートGを制御する制御信号を出力する端子である。ゲート制御端子93は、第3の端子の一例である。
【0028】
バイアス出力端子94は、MOSトランジスタ17のバックゲートBGに接続され、バックゲートBGの電位を決定するための端子である。バイアス出力端子94は、第4の端子の一例である。
【0029】
検出端子95は、負荷130のグランド側端子に接続されるマイナス端子6に接続される端子であり、V−端子と呼ばれることがある。検出端子95は、マイナス端子6とMOSトランジスタ17との間の第2のマイナス側接続点7bでマイナス側電源経路7に抵抗9を介して接続される。検出端子95は、第2の端子の一例である。
【0030】
二次電池保護集積回路120は、MOSトランジスタ17を制御することで二次電池200の保護動作を行う。二次電池保護集積回路120は、第1の異常検出回路22と、第2の異常検出回路23と、スイッチ41〜46と、抵抗素子31〜34と、制御回路98とを備える。
【0031】
第1の異常検出回路22及び第2の異常検出回路23は、二次電池200の充電又は放電の異常を検出する手段であり、例えば当該異常を検出するコンパレータを有する。
【0032】
制御回路98は、第1の異常検出回路22と第2の異常検出回路23の少なくとも一方による異常検出結果に基づいて、スイッチ制御回路40を制御するスイッチ制御信号を出力し、MOSトランジスタ17のオン又はオフをスイッチ制御回路40により制御する。制御回路98は、例えば、二次電池200の充電又は放電の異常を検出するコンパレータの出力を遅延回路を通してラッチする。制御回路98は、例えば、論理回路によって構成される。図2において、スイッチ制御回路40は、スイッチ41〜45と、抵抗素子31〜34とを含む。
【0033】
スイッチ41及び抵抗素子31は、バイアス出力端子94とグランド端子92とを二次電池保護集積回路120内で結ぶ電流経路に直列に挿入されている。スイッチ42及び抵抗素子32は、バイアス出力端子94と検出端子95とを二次電池保護集積回路120内で結ぶ電流経路に直列に挿入されている。バイアス出力端子94は、スイッチ41とスイッチ42との間の電流経路に二次電池保護集積回路120内で接続されている。
【0034】
スイッチ43及び抵抗素子33は、ゲート制御端子93とグランド端子92とを二次電池保護集積回路120内で結ぶ電流経路に直列に挿入されている。スイッチ44及び抵抗素子34は、ゲート制御端子93と検出端子95とを二次電池保護集積回路120内で結ぶ電流経路に直列に挿入されている。ゲート制御端子93は、スイッチ43とスイッチ44との間の電流経路に二次電池保護集積回路120内で接続され、且つ、スイッチ45を介して電源端子91の電位に二次電池保護集積回路120内で接続されている。
【0035】
スイッチ46は、検出端子95と電源端子91とを二次電池保護集積回路120内で結ぶ電流経路に直列に挿入されている。スイッチ46のオンにより、検出端子95は電源端子91の電位にプルアップされる。
【0036】
第1の異常検出回路22は、例えば、電源端子91とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、二次電池200の電池電圧(セル電圧)を監視する。
【0037】
第1の異常検出回路22は、所定の過充電検出電圧Vdet1以上のセル電圧をコンパレータによって検知することにより、二次電池200の過充電が検出されたとして、過充電検出信号を出力する。二次電池200の過充電は、二次電池200が過剰に充電された異常状態(二次電池200の充電異常状態の一例)を表す。
【0038】
第1の異常検出回路22は、所定の過放電検出電圧Vdet2以下のセル電圧をコンパレータによって検知することにより、二次電池200の過放電が検出されたとして、過放電検出信号を出力する。二次電池200の過放電は、二次電池200が過剰に放電された異常状態(二次電池200の放電異常状態の一例)を表す。
【0039】
第2の異常検出回路23は、例えば、検出端子95とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、マイナス端子6と電池負極接続端子4との間の電圧(センス電圧)を監視する。
【0040】
第2の異常検出回路23は、MOSトランジスタ17のオン状態で所定の放電過電流検出電圧Vdet3以上のセンス電圧をコンパレータによって検知することにより、二次電池200の放電過電流が検出されたとして、放電過電流検出信号を出力する。二次電池200の放電過電流は、二次電池200を放電する方向に過剰な放電電流が流れる異常状態(二次電池200の放電異常状態の一例)を表す。
【0041】
第2の異常検出回路23は、MOSトランジスタ17のオン状態で所定の充電過電流検出電圧Vdet4以下のセンス電圧をコンパレータによって検知することにより、二次電池200の充電過電流が検出されたとして、充電過電流検出信号を出力する。二次電池200の充電過電流は、二次電池200を充電する方向に過剰な充電電流が流れる異常状態(二次電池200の充電異常状態の一例)を表す。
【0042】
制御回路98は、二次電池200の充電異常状態及び放電異常状態が第1の異常検出回路22及び第2の異常検出回路23により検出されていない場合、スイッチ制御信号を出力することによって、スイッチ41をオン、スイッチ42をオフ、スイッチ43をオフ、スイッチ44をオフ、スイッチ45をオン、スイッチ46をオフさせる。これにより、制御回路98は、スイッチ45をオンにしてMOSトランジスタ17をオンさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路40を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、バイアス出力端子94を検出端子95と接続させずにグランド端子92と二次電池保護集積回路120内で接続させる。
【0043】
つまり、制御回路98は、二次電池200の充電異常状態及び放電異常状態が第1の異常検出回路22及び第2の異常検出回路23により検出されていない場合、MOSトランジスタ17をオンさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路40を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、グランド端子92の電位のバックゲート制御信号をスイッチ制御回路40を介してバイアス出力端子94から出力させる。これにより、MOSトランジスタ17はオンされ、且つ、MOSトランジスタ17のバックゲートBGは、スイッチ41及びグランド端子92を介してMOSトランジスタ17のドレインDと接続される。
【0044】
ゲート制御信号は、MOSトランジスタのゲートを制御する。バックゲート制御信号は、バックゲートBGの電位を制御する。バックゲート制御信号により、バックゲートBGの電位は固定される。
【0045】
したがって、二次電池200を充電する方向に流れる充電電流は、充電器150が接続されると、オン状態のMOSトランジスタ17を介して流れる。一方、二次電池200を放電する方向に流れる放電電流は、負荷130が接続されると、オン状態のMOSトランジスタ17を介して流れる。
【0046】
一方、制御回路98は、二次電池200の充電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、スイッチ制御信号を出力することによって、スイッチ41をオフ、スイッチ42をオン、スイッチ43をオフ、スイッチ44をオン、スイッチ45をオフさせる。これにより、制御回路98は、MOSトランジスタ17をオフさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路40を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、バイアス出力端子94をグランド端子92と接続させずに検出端子95と二次電池保護集積回路120内で接続させる。
【0047】
つまり、制御回路98は、二次電池200の充電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、MOSトランジスタ17をオフさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路40を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、検出端子95の電位のバックゲート制御信号をスイッチ制御回路40を介してバイアス出力端子94から出力させる。これにより、MOSトランジスタ17はオフされ、且つ、MOSトランジスタ17のバックゲートBGは、スイッチ42及び検出端子95を介してMOSトランジスタ17のソースSと接続される。
【0048】
したがって、二次電池200の充電異常状態で二次電池200を充電する方向に流れる充電電流は、充電器150が接続されても、オフ状態のMOSトランジスタ17及び寄生ダイオード18により遮断される。一方、二次電池200の充電異常状態で二次電池200を放電する方向に流れる放電電流は、負荷130が接続されると、マイナス端子6、抵抗9、検出端子95、抵抗素子32、スイッチ42、バイアス出力端子94、バックゲートBG、寄生ダイオード18、電池負極接続端子4の順に流れる。寄生ダイオード18は、MOSトランジスタ17のバックゲートBGとドレインDとの間に形成される。
【0049】
ここで、二次電池200の充電異常状態での放電電流の電流値は、スイッチ42のオン抵抗、抵抗素子32及び抵抗9により制限される。しかしながら、MOSトランジスタ17のオン抵抗値よりも第1の制御ライン(具体的には、バイアス出力端子94と検出端子95との間の電流経路)のインピーダンスを上げることによって、チップ面積の増大を抑制することができる。また、スイッチ42を駆動するためのドライバ回路を容易に設計することが可能となる。例えば、MOSトランジスタ17の数mΩオーダのオン抵抗値よりも大きな数kΩオーダのオン抵抗値を有するFETによってスイッチ42が構成されることによって、スイッチ42の実装に必要なチップ面積を0.1mm四方程度に抑制することができる。
【0050】
このように、二次電池保護集積回路120において、バイアス出力端子94と検出端子95とがスイッチ42を介して接続された状態でのバイアス出力端子94と検出端子95との間の抵抗値は、MOSトランジスタ17のオン抵抗値よりも大きい。したがって、二次電池保護集積回路120の回路面積の増大を抑制することができる。
【0051】
また、抵抗素子32がバイアス出力端子94と検出端子95との間の電流経路に直列に挿入されている。したがって、バイアス出力端子94と検出端子95とがスイッチ42を介して接続された状態でのバイアス出力端子94と検出端子95との間の抵抗値を大きく設定することが、抵抗素子32の抵抗値によって容易になる。
【0052】
また、制御回路98は、二次電池200の過充電が第1の異常検出回路22により検出されている場合、スイッチ46をオンさせてもよい。これにより、過充電状態の二次電池200の電荷は、電源端子91、オン状態のスイッチ46、抵抗素子32、オン状態のスイッチ42、バイアス出力端子94、バックゲートBG、寄生ダイオード18を介して、電池負極接続端子4に放電される。よって、二次電池200を過充電状態から速やかに抜け出すことが可能となる。なお、スイッチ46は、二次電池200の過充電が検出されている場合、二次電池200の電荷を検出端子95に放電させる放電回路の一例である。
【0053】
他方、制御回路98は、二次電池200の放電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、スイッチ制御信号を出力することによって、スイッチ41をオン、スイッチ42をオフ、スイッチ43をオン、スイッチ44をオフ、スイッチ45をオフさせる。これにより、制御回路98は、MOSトランジスタ17をオフさせる論理の制御信号をスイッチ制御回路40を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、バイアス出力端子94を検出端子95と接続させずにグランド端子92と二次電池保護集積回路120内で接続させる。
【0054】
つまり、制御回路98は、二次電池200の放電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、MOSトランジスタ17をオフさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路40を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、グランド端子92の電位のバックゲート制御信号をバイアス出力端子94から出力させる。これにより、MOSトランジスタ17はオフされ、且つ、MOSトランジスタ17のバックゲートBGは、スイッチ41及びグランド端子92を介してMOSトランジスタ17のドレインDと接続される。
【0055】
したがって、二次電池200の放電異常状態で二次電池200を放電する方向に流れる放電電流は、負荷130が接続されても、オフ状態のMOSトランジスタ17及び寄生ダイオード19により遮断される。一方、二次電池200の放電異常状態で二次電池200を充電する方向に流れる充電電流は、充電器150が接続されると、電池負極接続端子4、グランド端子92、抵抗素子31、スイッチ41、バイアス出力端子94、バックゲートBG、寄生ダイオード19、マイナス端子6の順に流れる。寄生ダイオード19は、MOSトランジスタ17のバックゲートBGとソースSとの間に形成される。
【0056】
ここで、二次電池200の放電異常状態での充電電流の電流値は、スイッチ41のオン抵抗及び抵抗素子31により制限される。しかしながら、MOSトランジスタ17のオン抵抗値よりも第2の制御ライン(具体的には、バイアス出力端子94とグランド端子92との間の電流経路)のインピーダンスを上げることによって、チップ面積の増大を抑制することができる。また、スイッチ41を駆動するためのドライバ回路を容易に設計することが可能となる。例えば、MOSトランジスタ17の数mΩオーダのオン抵抗値よりも大きな数kΩオーダのオン抵抗値を有するFETによってスイッチ41が構成されることによって、スイッチ41の実装に必要なチップ面積を0.1mm四方程度に抑制することができる。
【0057】
このように、二次電池保護集積回路120において、バイアス出力端子94とグランド端子92とがスイッチ41を介して接続された状態でのバイアス出力端子94とグランド端子92との間の抵抗値は、MOSトランジスタ17のオン抵抗値よりも大きい。したがって、二次電池保護集積回路120の回路面積の増大を抑制することができる。
【0058】
また、抵抗素子31がバイアス出力端子94とグランド端子92との間の電流経路に直列に挿入されている。したがって、バイアス出力端子94とグランド端子92とがスイッチ41を介して接続された状態でのバイアス出力端子94とグランド端子92との間の抵抗値を大きく設定することが、抵抗素子31の抵抗値によって容易になる。
【0059】
図3は、電池パックの第2の例である電池パック101の構成例を示す図である。図2と同様の構成及び効果の説明については、図2についての上述の説明を援用して、省略又は簡略する。図3の構成は、プラス側電源経路8に直列に挿入されたPチャネル型MOSトランジスタで二次電池を保護する点で、図2の構成と異なる。
【0060】
電池パック101は、二次電池200と、二次電池保護装置111とを内蔵して備える。二次電池保護装置111は、二次電池200を電源として動作し、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過放電等から保護する二次電池保護装置の一例である。二次電池保護装置111は、充放電制御回路141と、電池正極接続端子3(B+端子)と、電池負極接続端子4(B−端子)と、プラス端子5と、マイナス端子6とを備える。充放電制御回路141は、MOSトランジスタ57と、二次電池保護集積回路121と、抵抗1と、キャパシタ2と、抵抗10とを備える。
【0061】
二次電池保護装置111は、MOSトランジスタ57を備える。MOSトランジスタ57は、第1のプラス側接続点8aと第2のプラス側接続点8bとの間でプラス側電源経路8に直列に挿入されたMOS電界効果トランジスタの一例である。MOSトランジスタ57のオフにより、二次電池200の充電電流又は放電電流が流れるプラス側電源経路8が遮断される。MOSトランジスタ57は、Pチャネル型MOSトランジスタの一例である。
【0062】
二次電池保護集積回路121は、例えば、電源端子91と、グランド端子92と、ゲート制御端子93と、バイアス出力端子94と、検出端子96とを備えるICの一例である。
【0063】
検出端子96は、負荷130のプラス側端子に接続されるプラス端子5に接続される端子であり、V+端子と呼ばれることがある。検出端子96は、プラス端子5とMOSトランジスタ57との間の第2のプラス側接続点8bでプラス側電源経路8に抵抗10を介して接続される。検出端子96は、第2の端子の一例である。
【0064】
二次電池保護集積回路121は、MOSトランジスタ57を制御することで二次電池200の保護動作を行う。二次電池保護集積回路121は、第1の異常検出回路22と、第2の異常検出回路23と、スイッチ61〜65と、抵抗素子51〜54と、制御回路98とを備える。
【0065】
制御回路98は、第1の異常検出回路22と第2の異常検出回路23の少なくとも一方による異常検出結果に基づいて、スイッチ制御回路60を制御するスイッチ制御信号を出力し、MOSトランジスタ57のオン又はオフをスイッチ制御回路60により制御する。制御回路98は、例えば、二次電池200の充電又は放電の異常を検出するコンパレータの出力を遅延回路を通してラッチする。制御回路98は、例えば、論理回路によって構成される。図3において、スイッチ制御回路60は、スイッチ61〜65と、抵抗素子51〜54とを含む。
【0066】
スイッチ61及び抵抗素子51は、バイアス出力端子94と電源端子91とを二次電池保護集積回路121内で結ぶ電流経路に直列に挿入されている。スイッチ62及び抵抗素子52は、バイアス出力端子94と検出端子96とを二次電池保護集積回路121内で結ぶ電流経路に直列に挿入されている。バイアス出力端子94は、スイッチ61とスイッチ62との間の電流経路に二次電池保護集積回路121内で接続されている。
【0067】
スイッチ63及び抵抗素子53は、ゲート制御端子93と電源端子91とを二次電池保護集積回路121内で結ぶ電流経路に直列に挿入されている。スイッチ64及び抵抗素子54は、ゲート制御端子93と検出端子96とを二次電池保護集積回路121内で結ぶ電流経路に直列に挿入されている。ゲート制御端子93は、スイッチ63とスイッチ64との間の電流経路に二次電池保護集積回路121内で接続され、且つ、スイッチ65を介してグランド端子92の電位に二次電池保護集積回路121内で接続されている。
【0068】
第1の異常検出回路22は、図2の場合と同様に、電源端子91とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、二次電池200の過充電又は過放電を検出する。
【0069】
第2の異常検出回路23は、例えば、検出端子96と電源端子91との間の電圧を検出することによって、図2の場合と同様に、二次電池200の放電過電流又は充電過電流を検出する。
【0070】
制御回路98は、二次電池200の充電異常状態及び放電異常状態が第1の異常検出回路22及び第2の異常検出回路23により検出されていない場合、スイッチ制御信号を出力することによって、スイッチ61をオン、スイッチ62をオフ、スイッチ63をオフ、スイッチ64をオフ、スイッチ65をオンさせる。これにより、制御回路98は、スイッチ65をオンにしてMOSトランジスタ57をオンさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、バイアス出力端子94を検出端子96と接続させずに電源端子91と二次電池保護集積回路121内で接続させる。
【0071】
つまり、制御回路98は、二次電池200の充電異常状態及び放電異常状態が第1の異常検出回路22及び第2の異常検出回路23により検出されていない場合、MOSトランジスタ57をオンさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、電源端子91の電位のバックゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してバイアス出力端子94から出力させる。これにより、MOSトランジスタ57はオンされ、且つ、MOSトランジスタ57のバックゲートBGは、スイッチ61及び電源端子91を介してMOSトランジスタ57のドレインDと接続される。
【0072】
したがって、二次電池200を充電する方向に流れる充電電流は、充電器150が接続されると、オン状態のMOSトランジスタ57を介して流れる。一方、二次電池200を放電する方向に流れる放電電流は、負荷130が接続されると、オン状態のMOSトランジスタ57を介して流れる。
【0073】
一方、制御回路98は、二次電池200の充電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、スイッチ制御信号を出力することによって、スイッチ61をオフ、スイッチ62をオン、スイッチ63をオフ、スイッチ64をオン、スイッチ65をオフさせる。これにより、制御回路98は、MOSトランジスタ57をオフさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、バイアス出力端子94を電源端子91と接続させずに検出端子96と二次電池保護集積回路121内で接続させる。
【0074】
つまり、制御回路98は、二次電池200の充電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、MOSトランジスタ57をオフさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、検出端子96の電位のバックゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してバイアス出力端子94から出力させる。これにより、MOSトランジスタ57はオフされ、且つ、MOSトランジスタ57のバックゲートBGは、スイッチ62及び検出端子96を介してMOSトランジスタ57のソースSと接続される。
【0075】
したがって、二次電池200の充電異常状態で二次電池200を充電する方向に流れる充電電流は、充電器150が接続されても、オフ状態のMOSトランジスタ57及び寄生ダイオード59により遮断される。一方、二次電池200の充電異常状態で二次電池200を放電する方向に流れる放電電流は、負荷130が接続されると、電池正極接続端子3、寄生ダイオード59、バックゲートBG、バイアス出力端子94、スイッチ62、抵抗素子52、検出端子96、抵抗10、プラス端子5の順に流れる。寄生ダイオード59は、MOSトランジスタ57のバックゲートBGとドレインDとの間に形成される。
【0076】
ここで、二次電池200の充電異常状態での放電電流の電流値は、スイッチ62のオン抵抗、抵抗素子52及び抵抗10により制限される。しかしながら、MOSトランジスタ57のオン抵抗値よりも第3の制御ライン(具体的には、バイアス出力端子94と検出端子96との間の電流経路)のインピーダンスを上げることによって、チップ面積の増大を抑制することができる。また、スイッチ62を駆動するためのドライバ回路を容易に設計することが可能となる。例えば、MOSトランジスタ57の数mΩオーダのオン抵抗値よりも大きな数kΩオーダのオン抵抗値を有するFETによってスイッチ62が構成されることによって、スイッチ62の実装に必要なチップ面積を0.1mm四方程度に抑制することができる。
【0077】
このように、二次電池保護集積回路121において、バイアス出力端子94と検出端子96とがスイッチ62を介して接続された状態でのバイアス出力端子94と検出端子96との間の抵抗値は、MOSトランジスタ57のオン抵抗値よりも大きい。したがって、二次電池保護集積回路121の回路面積の増大を抑制することができる。
【0078】
また、抵抗素子52がバイアス出力端子94と検出端子96との間の電流経路に直列に挿入されている。したがって、バイアス出力端子94と検出端子96とがスイッチ62を介して接続された状態でのバイアス出力端子94と検出端子96との間の抵抗値を大きく設定することが、抵抗素子52の抵抗値によって容易になる。
【0079】
他方、制御回路98は、二次電池200の放電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、スイッチ制御信号を出力することによって、スイッチ61をオン、スイッチ62をオフ、スイッチ63をオン、スイッチ64をオフ、スイッチ65をオフさせる。これにより、制御回路98は、MOSトランジスタ57をオフさせる論理の制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、バイアス出力端子94を検出端子96と接続させずに電源端子91と二次電池保護集積回路120内で接続させる。
【0080】
つまり、制御回路98は、二次電池200の放電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、MOSトランジスタ57をオフさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、電源端子91の電位のバックゲート制御信号をバイアス出力端子94から出力させる。これにより、MOSトランジスタ57はオフされ、且つ、MOSトランジスタ57のバックゲートBGは、スイッチ61及び電源端子91を介してMOSトランジスタ57のドレインDと接続される。
【0081】
したがって、二次電池200の放電異常状態で二次電池200を放電する方向に流れる放電電流は、負荷130が接続されても、オフ状態のMOSトランジスタ57及び寄生ダイオード58により遮断される。一方、二次電池200の放電異常状態で二次電池200を充電する方向に流れる充電電流は、充電器150が接続されると、プラス端子5、寄生ダイオード58、バックゲートBG、バイアス出力端子94、スイッチ61、抵抗素子51、電源端子91、抵抗1、電池正極接続端子3の順に流れる。寄生ダイオード58は、MOSトランジスタ57のバックゲートBGとソースSとの間に形成される。
【0082】
ここで、二次電池200の放電異常状態での充電電流の電流値は、スイッチ61のオン抵抗、抵抗素子51及び抵抗1により制限される。しかしながら、MOSトランジスタ57のオン抵抗値よりも第4の制御ライン(具体的には、バイアス出力端子94と電源端子91との間の電流経路)のインピーダンスを上げることによって、チップ面積の増大を抑制することができる。また、スイッチ61を駆動するためのドライバ回路を容易に設計することが可能となる。例えば、MOSトランジスタ57の数mΩオーダのオン抵抗値よりも大きな数kΩオーダのオン抵抗値を有するFETによってスイッチ61が構成されることによって、スイッチ61の実装に必要なチップ面積を0.1mm四方程度に抑制することができる。
【0083】
このように、二次電池保護集積回路121において、バイアス出力端子94と電源端子91とがスイッチ61を介して接続された状態でのバイアス出力端子94と電源端子91との間の抵抗値は、MOSトランジスタ57のオン抵抗値よりも大きい。したがって、二次電池保護集積回路121の回路面積の増大を抑制することができる。
【0084】
また、抵抗素子51がバイアス出力端子94と電源端子91との間の電流経路に直列に挿入されている。したがって、バイアス出力端子94と電源端子91とがスイッチ61を介して接続された状態でのバイアス出力端子94と電源端子91との間の抵抗値を大きく設定することが、抵抗素子51の抵抗値によって容易になる。
【0085】
図4は、電池パックの第3の例である電池パック102の構成例を示す図である。図2及び図3と同様の構成及び効果の説明については、図2及び図3についての上述の説明を援用して、省略又は簡略する。図4の構成は、プラス側電源経路8に直列に挿入されたNチャネル型MOSトランジスタで二次電池を保護する点で、図2及び図3の構成と異なる。
【0086】
電池パック102は、二次電池200と、二次電池保護装置112とを内蔵して備える。二次電池保護装置112は、二次電池200を電源として動作し、二次電池200の充放電を制御することによって二次電池200を過放電等から保護する二次電池保護装置の一例である。二次電池保護装置112は、充放電制御回路142と、電池正極接続端子3(B+端子)と、電池負極接続端子4(B−端子)と、プラス端子5と、マイナス端子6とを備える。充放電制御回路142は、MOSトランジスタ157と、二次電池保護集積回路122と、抵抗1と、キャパシタ2と、抵抗10とを備える。
【0087】
二次電池保護装置112は、MOSトランジスタ157を備える。MOSトランジスタ157は、第1のプラス側接続点8aと第2のプラス側接続点8bとの間でプラス側電源経路8に直列に挿入されたMOS電界効果トランジスタの一例である。MOSトランジスタ157のオフにより、二次電池200の充電電流又は放電電流が流れるプラス側電源経路8が遮断される。MOSトランジスタ157は、Nチャネル型MOSトランジスタの一例である。
【0088】
二次電池保護集積回路122は、例えば、電源端子91と、グランド端子92と、ゲート制御端子93と、バイアス出力端子94と、検出端子96と、容量接続端子90,97,99とを備えるICの一例である。容量接続端子90,97,99は、それぞれ、Vout端子、CN端子、CP端子とも呼ばれる。容量接続端子99と容量接続端子97との間にはキャパシタ25が接続され、容量接続端子90とグランド端子92との間にはキャパシタ24が接続される。
【0089】
二次電池保護集積回路122は、MOSトランジスタ57を制御することで二次電池200の保護動作を行う。二次電池保護集積回路122は、第1の異常検出回路22と、第2の異常検出回路23と、スイッチ61〜64,67と、抵抗素子51〜54と、昇圧回路28と、ドライバ回路27と、制御回路98とを備える。図4において、スイッチ制御回路60は、スイッチ61〜64,67と、抵抗素子51〜54とを含む。
【0090】
昇圧回路28は、キャパシタ25とキャパシタ24とによって電圧を昇圧するチャージポンプ回路である。昇圧回路28は、電源端子91とグランド端子92との間の電圧よりも昇圧機能によって高く昇圧した電圧を、ドライバ回路27の電源電圧として供給する。
【0091】
図3の場合、制御回路98は、スイッチ65をオンさせることにより、Pチャネル型のMOSトランジスタ57をオンさせるローレベルのゲート制御信号を出力する。これに対し、図4の場合、制御回路98は、スイッチ67をオンさせることにより、Nチャネル型のMOSトランジスタ157をオンさせるハイレベル(昇圧回路28により昇圧された電圧レベル)のゲート制御信号を出力する。
【0092】
図4の制御回路98は、二次電池200の充電異常状態及び放電異常状態が第1の異常検出回路22及び第2の異常検出回路23により検出されていない場合、スイッチ制御信号を出力することによって、スイッチ61をオン、スイッチ62をオフ、スイッチ63をオフ、スイッチ64をオフ、スイッチ67をオンさせる。これにより、制御回路98は、MOSトランジスタ157をオンさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、バイアス出力端子94を検出端子96と接続させずに電源端子91と二次電池保護集積回路121内で接続させる。
【0093】
つまり、制御回路98は、二次電池200の充電異常状態及び放電異常状態が第1の異常検出回路22及び第2の異常検出回路23により検出されていない場合、昇圧回路28により昇圧された電圧レベルのゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、電源端子91の電位のバックゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してバイアス出力端子94から出力させる。これにより、MOSトランジスタ157はオンされ、且つ、MOSトランジスタ157のバックゲートBGは、スイッチ61及び電源端子91を介してMOSトランジスタ157のドレインDと接続される。
【0094】
したがって、二次電池200を充電する方向に流れる充電電流は、充電器150が接続されると、オン状態のMOSトランジスタ157を介して流れる。一方、二次電池200を放電する方向に流れる放電電流は、負荷130が接続されると、オン状態のMOSトランジスタ157を介して流れる。
【0095】
一方、制御回路98は、二次電池200の充電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、スイッチ制御信号を出力することによって、スイッチ61をオン、スイッチ62をオフ、スイッチ63をオン、スイッチ64をオフ、スイッチ67をオフさせる。これにより、制御回路98は、MOSトランジスタ157をオフさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、バイアス出力端子94を検出端子96と接続させずに電源端子91と二次電池保護集積回路122内で接続させる。
【0096】
つまり、制御回路98は、二次電池200の充電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、MOSトランジスタ157をオフさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、電源端子91の電位のバックゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してバイアス出力端子94から出力させる。これにより、MOSトランジスタ157はオフされ、且つ、MOSトランジスタ157のバックゲートBGは、スイッチ61、電源端子91及び抵抗1を介してMOSトランジスタ157のドレインDと接続される。
【0097】
したがって、二次電池200の充電異常状態で二次電池200を充電する方向に流れる充電電流は、充電器150が接続されても、オフ状態のMOSトランジスタ157及び寄生ダイオード158により遮断される。一方、二次電池200の充電異常状態で二次電池200を放電する方向に流れる放電電流は、負荷130が接続されると、電池正極接続端子3、抵抗1、電源端子91、抵抗素子51、スイッチ61、バイアス出力端子94、バックゲートBG、寄生ダイオード158、プラス端子5の順に流れる。寄生ダイオード158は、MOSトランジスタ157のバックゲートBGとソースSとの間に形成される。
【0098】
他方、制御回路98は、二次電池200の放電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、スイッチ制御信号を出力することによって、スイッチ61をオフ、スイッチ62をオン、スイッチ63をオフ、スイッチ64をオン、スイッチ67をオフさせる。これにより、制御回路98は、MOSトランジスタ157をオフさせる論理の制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、バイアス出力端子94を電源端子91と接続させずに検出端子96と二次電池保護集積回路122内で接続させる。
【0099】
つまり、制御回路98は、二次電池200の放電異常状態が第1の異常検出回路22又は第2の異常検出回路23により検出されている場合、MOSトランジスタ157をオフさせる論理のゲート制御信号をスイッチ制御回路60を介してゲート制御端子93から出力させ、且つ、検出端子96の電位のバックゲート制御信号をバイアス出力端子94から出力させる。これにより、MOSトランジスタ157はオフされ、且つ、MOSトランジスタ157のバックゲートBGは、スイッチ62、検出端子96及び抵抗10を介してMOSトランジスタ157のソースSと接続される。
【0100】
したがって、二次電池200の放電異常状態で二次電池200を放電する方向に流れる放電電流は、負荷130が接続されても、オフ状態のMOSトランジスタ157及び寄生ダイオード159により遮断される。一方、二次電池200の放電異常状態で二次電池200を充電する方向に流れる充電電流は、充電器150が接続されると、プラス端子5、抵抗10、検出端子96、抵抗素子52、スイッチ62、バイアス出力端子94、バックゲートBG、寄生ダイオード159、電池正極接続端子3の順に流れる。寄生ダイオード159は、MOSトランジスタ157のバックゲートBGとソースSとの間に形成される。
【0101】
二次電池保護集積回路122において、バイアス出力端子94と検出端子96とがスイッチ62を介して接続された状態でのバイアス出力端子94と検出端子96との間の抵抗値は、MOSトランジスタ157のオン抵抗値よりも大きい。バイアス出力端子94と電源端子91とがスイッチ61を介して接続された状態でのバイアス出力端子94と電源端子91との間の抵抗値は、MOSトランジスタ157のオン抵抗値よりも大きい。したがって、図3の場合と同様、二次電池保護集積回路122の回路面積の増大を抑制することができる。
【0102】
以上、二次電池保護回路、二次電池保護装置及び電池パックを実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0103】
5 プラス端子
6 マイナス端子
7 マイナス側電源経路
8 プラス側電源経路
22 第1の異常検出回路
23 第2の異常検出回路
91 電源端子
92 グランド端子
93 ゲート制御端子
94 バイアス出力端子
95,96 検出端子
98 制御回路
100,101,102,103 電池パック
110,111,112,113 二次電池保護装置
120,121,122,123 二次電池保護集積回路
200 二次電池
【要約】
【課題】二次電池保護回路の回路面積の増大を抑制すること。
【解決手段】二次電池とMOSトランジスタとの間で電源経路に接続される第1の端子と、負荷と前記MOSトランジスタとの間で前記電源経路に接続される第2の端子と、前記MOSトランジスタのゲートに接続される第3の端子と、前記MOSトランジスタのバックゲートに接続される第4の端子と、前記二次電池の異常状態に応じて前記第4の端子と前記第1の端子とを接続する第1のスイッチと、前記二次電池の異常状態に応じて前記第4の端子と前記第2の端子とを接続する第2のスイッチとを備え、前記第1のスイッチを介して接続された前記第4の端子と前記第1の端子との間の抵抗値、及び、前記第2のスイッチを介して接続された前記第4の端子と前記第2の端子との間の抵抗値は、前記MOSトランジスタのオン抵抗値よりも大きい、二次電池保護回路。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4