(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平板上に、それぞれの軸が直立した4つの柱状体が四角形の四角に設置されているとともに、前記柱状体において、第1の柱状体及び第2の柱状体に対して第3の柱状体及び第4の柱状体が平行に配置されている磁性体からなる下部コアと、
前記第1の柱状体に巻回された第1のコイル導体と前記第3の柱状体に巻回された第3のコイル導体の巻回方向が互いに異なるとともに、前記第1のコイル導体と前記第3のコイル導体が直列に接続されている第1のコイルと、
前記第2の柱状体に巻回された第2のコイル導体と前記第4の柱状体に巻回された第4のコイル導体の巻回方向が互いに異なるとともに、前記第2のコイル導体と前記第4のコイル導体が直列に接続されている第2のコイルと、
前記第1の柱状体と前記第2の柱状体の上部に接触された磁性体からなる第1の上部コアと、
前記第3の柱状体と前記第4の柱状体の上部に接触された磁性体からなる第2の上部コアと、を備え、
前記第1の上部コアと前記第2の上部コアとは、間隙が設けられて配置されており、また、前記第1のコイル導体の巻回方向と前記第2のコイル導体の巻回方向とが異なることを特徴とするデュアルモードチョークコイル。
平板上に、それぞれの軸が直立した4つの柱状体が四角形の四角に設置されているとともに、前記柱状体において、第1の柱状体及び第2の柱状体に対して第3の柱状体及び第4の柱状体が平行に配置されている磁性体からなる下部コアと、
前記第1の柱状体に巻回された第1のコイル導体と前記第3の柱状体に巻回された第3のコイル導体の巻回方向が互いに異なるとともに、前記第1のコイル導体と前記第3のコイル導体が並列に接続されている第1のコイルと、
前記第2の柱状体に巻回された第2のコイル導体と前記第4の柱状体に巻回された第4のコイル導体の巻回方向が互いに異なるとともに、前記第2のコイル導体と前記第4のコイル導体が並列に接続されている第2のコイルと、
前記第1の柱状体と前記第2の柱状体の上部に接触された磁性体からなる第1の上部コアと、
前記第3の柱状体と前記第4の柱状体の上部に接触された磁性体からなる第2の上部コアと、を備え、
前記第1の上部コアと前記第2の上部コアとは、間隙が設けられて配置されており、また、前記第1のコイル導体の巻回方向と前記第2のコイル導体の巻回方向とが異なることを特徴とするデュアルモードチョークコイル。
前記第1の柱状体と前記第3の柱状体及び前記第2の柱状体と前記第4の柱状体の間の前記下部コアの側面の一部に、前記間隙に対して平行方向に切込み部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデュアルモードチョークコイル。
前記第1の柱状体と前記第2の柱状体及び前記第3の柱状体と前記第4の柱状体の間の前記下部コアの側面の一部に、前記間隙に対して直交方向に切込み部が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデュアルモードチョークコイル。
前記第1のコイルと前記第2のコイルとが同種のコイルからなり、前記第2のコイルと前記第1のコイルとが互いに反転された関係にあることを特徴とする請求項1、請求項3及び請求項4のいずれか1項に記載のデュアルモードチョークコイル。
前記第1の柱状体及び前記第2の柱状体と前記第1の上部コアとの間、並びに前記第3の柱状体及び前記第4の柱状体と前記第2の上部コアとの間に、磁性体粉末が含有された弾性体が配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のデュアルモードチョークコイル。
前記第1の上部コア及び前記第2の上部コアに一体化した状態で、それぞれ2ケの筒状体が設けられており、前記筒状体の内部に前記第1の柱状体から前記第4の柱状体が嵌合されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のデュアルモードチョークコイル。
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の前記デュアルモードチョークコイルを備え、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に少なくとも1つのコンデンサが接続されていることを特徴とする高周波フィルタ。
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の前記デュアルモードチョークコイルを備え、接地端子が設けられているとともに、前記接地端子と前記第1のコイル及び前記第2のコイルとの間にそれぞれ少なくとも1つのコンデンサが接続されていることを特徴とする高周波フィルタ。
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の前記デュアルモードチョークコイルを直流電源からの入力部に備えたことを特徴とする車載用モータ一体型電動パワーステアリング。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイルの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1におけるデュアルモードコア部の分解斜視図である。
【
図3】実施の形態1におけるコイル部を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1におけるデュアルモードチョークコイルの電源及び負荷との接続を示す概略図である。
【
図5】実施の形態1におけるコイル部の上面から見たコモンモード電流に対する図である。
【
図6】実施の形態1における上部コアの上面から見たコモンモード電流に対する図である。
【
図7】実施の形態1における下部コアの上面から見たコモンモード電流に対する図である。
【
図8】実施の形態1におけるコイル部の上面から見たノーマルモード電流に対する図である。
【
図9】実施の形態1における上部コアの上面から見たノーマルモード電流に対する図である。
【
図10】実施の形態1における下部コアの上面から見たノーマルモード電流に対する図である。
【
図11】実施の形態1におけるコイル配置の他の実施態様を示す平面図である。
【
図12】実施の形態1におけるデュアルモードコア部に磁性体粉末が含有された弾性体であるゴム材が配置された他の実施態様を示す分解斜視図である。
【
図13】実施の形態1におけるデュアルモードコア部の第二の実施態様を示す断面図である。
【
図14】実施の形態1におけるデュアルモードコア部の第三の実施態様を示す断面図である。
【
図15】実施の形態2に係るデュアルモードチョークコイルの全体構成を示す斜視図である。
【
図16】実施の形態2におけるデュアルモードコア部の分解斜視図である。
【
図17】実施の形態2におけるコイル部を示す斜視図である。
【
図18】実施の形態2におけるコイル部の上面から見たコモンモード電流に対する図である。
【
図19】実施の形態2におけるコイル部の上面から見たノーマルモード電流に対する図である。
【
図20】実施の形態3に係るデュアルモードチョークコイルにおけるデュアルモードコア部の分解斜視図である。
【
図21】実施の形態3における下部コアの上面から見たコモンモード電流に対する図である。
【
図22】実施の形態3における下部コアの上面から見たノーマルモード電流に対する図である。
【
図23】実施の形態4に係るデュアルモードチョークコイルにおけるデュアルモードコア部の分解斜視図である。
【
図24】実施の形態4における下部コアの上面から見たコモンモード電流に対する図である。
【
図25】実施の形態4における下部コアの上面から見たノーマルモード電流に対する図である。
【
図26】実施の形態5に係る高周波フィルタのコイル部の上面から見た図である。
【
図28】実施の形態6に係る高周波フィルタにおけるデュアルモードコア部の分解斜視図である。
【
図29】実施の形態6におけるコイル部の上面から見た図である。
【
図31】実施の形態7に係る車載用モータ一体型電動パワーステアリングの分解斜視図である。
【
図32】実施の形態7におけるEPSの概略回路図である。
【
図33】実施の形態8に係る車載用充電装置の概略回路図である。
【
図34】実施の形態8におけるAC/DC変換部の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るデュアルモードチョークコイル及び高周波フィルタ並びにモータ一体型電動パワーステアリング及び車載用充電装置の詳細について、
図1から
図34を参照して説明する。
【0020】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイルの全体構成を示す斜視図であり、
図2は、デュアルモードコア部の分解斜視図であり、
図3は、コイル部を示す斜視図である。また、
図4は、デュアルモードチョークコイルの電源及び負荷との接続を示す概略図である。
【0021】
まず、
図1から
図4を用いて、実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイルの全体構成について説明する。
図1に示すように、デュアルモードチョークコイル1は、デュアルモードコア部2とコイル部3から構成されている。
図2に示すように、デュアルモードコア部2は、第1の柱状体5aと第2の柱状体5b及びこれらが形成する軸に対して平行に第3の柱状体5cと第4の柱状体5dが平板5fの上に配置された磁性体からなる下部コア4と、第1の柱状体5aと第2の柱状体5bの上部に接触させる平板状の磁性体からなる第1の上部コア6aと、第1の上部コア6aと間隙7を設けて第3の柱状体5cと第4の柱状体5dの上部に接触させる平板状の磁性体からなる第2の上部コア6bと、で構成されている。また、
図3に示すように、コイル部3は、第1の柱状体5aと第3の柱状体5cのそれぞれに、互いに発生する磁束方向が逆になるように巻回された2つのコイル導体が直列に接続された第1のコイル3aと、第2の柱状体5bと第4の柱状体5dのそれぞれに、互いに発生する磁束方向が逆になるように巻回された2つのコイル導体が直列に接続されるとともに、第1の柱状体5aに巻回されたコイル導体により発生する磁束方向と第2の柱状体5bに巻回されたコイル導体により発生する磁束方向とが同じになるように配置された第2のコイル3bと、で構成されている。ここで、上記磁束の方向の定義は、
図4に示すように、デュアルモードチョークコイル1が、電源50と負荷60とに接続され、負荷駆動時に流れる電流が、
図4に示す電流方向8の場合のものである。第1の柱状体5aと第2の柱状体5bに発生する磁束の方向は、紙面奥側から手前側への方向であり、第3の柱状体5cと第4の柱状体5dに発生する磁束の方向は、紙面手前側から奥側への方向である。なお、電力変換回路等は省略されている。
【0022】
次に,
図5から
図7を用いて、実施の形態1におけるデュアルモードチョークコイル1のコモンモード電流に対する動作について説明する。
図5は、第1のコイル3a及び第2のコイル3bの上面図であり、コモンモード電流方向及びコモンモード電流が流れる際に発生する磁束方向を示している.
図5において、矢印8は、第1のコイル3a及び第2のコイル3bに流れる電流方向を、磁束方向9aから9dは、それぞれ第1の柱状体5aから第4の柱状体5dに発生する磁束の方向を示しており、
図5から
図7では、磁束方向9aと9dは、紙面奥側から手前側への方向を、磁束方向9bと9cは、紙面手前側から奥側への方向をそれぞれ示している。
図6は、第1の上部コア6aと第2の上部コア6bの上面図で、コモンモード電流が流れる際に、第1の上部コア6aと第2の上部コア6bに発生する磁束の方向を示しており、同様に、
図7は、下部コア4の上面図で、コモンモード電流が流れる際に、下部コア4に発生する磁束の方向を示している。
図6と
図7において、矢印9は、磁束方向を示している。
【0023】
第1のコイル3aと第2のコイル3bに、同相電流であるコモンモード電流が流れると、第1の柱状体5aから第4の柱状体5dには、それぞれ
図5において、9aから9dに示した方向に磁束が発生する。第1の上部コア6aで発生する磁束について考えると、第1の柱状体5aで発生し、
図6において、紙面奥側から手前側方向で第1の上部コア6aに至り、発生する磁束方向が紙面手前側から奥側方向である第2の柱状体5bまたは第3の柱状体5cに吸い込まれる経路を取ろうとする。しかし、第1の柱状体5aから第3の柱状体5cに至る経路には、間隙7が存在し、第1の柱状体5aから第2の柱状体5bに至る経路よりも磁気損失が大きくなるため、第1の柱状体5aから第3の柱状体5cに至る経路には磁束はほぼ発生せず、よって、第1の柱状体5aで発生するほぼ全ての磁束は、第2の柱状体5bに至る経路を取る。同様に、第4の柱状体5dで発生するほぼ全ての磁束は、第3の柱状体5cに至る経路を取る。その結果、
図6の磁束方向9で示すように、第1の上部コア6aには、第1の柱状体5aから第2の柱状体5bの方向に磁束が発生し、第2の上部コア6bには、第4の柱状体5dから第3の柱状体5cの方向に磁束が発生する。
【0024】
一方、下部コア4で発生する磁束について考えると、
図7において、第2の柱状体5bで発生する磁束は、紙面手前側から奥側方向で下部コア4に至り、磁束が発生する方向が紙面奥側から手前側方向である第1の柱状体5aまたは第4の柱状体5dに吸い込まれる経路を取ろうとする。その際、第1の上部コア6a、第2の上部コア6bとは異なり、下部コア4には間隙が存在しないので、第2の柱状体5bで発生する磁束は、第1の柱状体5aまたは第4の柱状体5dに至る経路を取る。同様に、第3の柱状体5cで発生する磁束も第1の柱状体5aまたは第4の柱状体5dに至る経路を取る。その結果、
図7の磁束方向9で示すように,下部コア4には、第2の柱状体5bから第1の柱状体5aまたは第4の柱状体5d、及び第3の柱状体5cから第1の柱状体5aまたは第4の柱状体5dの方向に磁束が発生する。
【0025】
したがって、本実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1にコモンモード電流が流れると、デュアルモードコア部2には、複数の磁束経路が発生し、コモンモード電流に対するインダクタンスを実現することができる。更に、本実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1では、
図7に示したように、下部コア4において第3の柱状体5cから第1の柱状体5aの方向、及び第2の柱状体5bから第4の柱状体5dの方向にも磁束が発生するので、従来例よりも多くの磁束経路が発生し、その結果、従来例よりもコモンモード電流に対して高いインダクタンスを実現することができる。
【0026】
続いて、
図8から
図10を用いて、実施の形態1におけるデュアルモードチョークコイル1のノーマルモード電流に対する動作について説明する。
図8は、第1のコイル3a及び第2のコイル3bの上面図であり、ノーマルモード電流方向及びノーマルモード電流が流れる際に発生する磁束方向を示している。
図8において、矢印8は、電流の流れる方向を、9aから9dは、それぞれ第1の柱状体5aから第4の柱状体5dに発生する磁束の方向を示しており、
図8から
図10では、磁束方向9aと9bは、紙面奥側から手前側への方向を、磁束方向9cと9dは、紙面手前側から奥側への方向をそれぞれ示している。
図9は、第1の上部コア6aと第2の上部コア6bの上面図で、ノーマルモード電流が流れる際に、第1の上部コア6aと第2の上部コア6bに発生する磁束方向を示しており、同様に、
図10は、下部コア4の上面図で、ノーマルモード電流が流れる際に、下部コア4に発生する磁束方向を示している。
図9と
図10において、矢印9は、磁束方向を示している。
【0027】
第1のコイル3aと第2のコイル3bに、逆相電流であるノーマルモード電流が流れると、第1の柱状体5aから第4の柱状体5dには、それぞれ
図8において、9aから9dに示した方向に磁束が発生する。第1の上部コア6aで発生する磁束について考えると、第1の柱状体5aで発生し、
図9において、紙面奥側から手前側方向で第1の上部コア6aに至り、発生する磁束方向が紙面手前側から奥側方向である第3の柱状体5cまたは第4の柱状体5dに吸い込まれる経路を取ろうとする。ここで、どちらの経路も間隙7が存在するため磁気損失は大きいが、間隙7を通らない他の経路は存在しないため、これらの経路を取らざるを得ず、この2経路のうちで、距離の短い第1の柱状体5aから第3の柱状体5cの経路を取る。よって、第1の柱状体5aで発生するほぼ全ての磁束は、間隙7を介して第3の柱状体5cに至る経路を取る。同様に、第2の柱状体5bで発生するほぼ全ての磁束は、間隙7を介して第4の柱状体5dに至る経路を取る。その結果、
図9の磁束方向9で示すように、第1の上部コア6aと第2の上部コア6bには、第1の柱状体5aから第3の柱状体5c、及び第2の柱状体5bから第4の柱状体5dの方向に磁束が発生する。
【0028】
一方、下部コア4で発生する磁束について考えると、
図10において、第3の柱状体5cで発生する磁束は、紙面手前側から奥側方向で下部コア4に至り、磁束が発生する方向が紙面奥側から手前側方向である第1の柱状体5aまたは第2の柱状体5bに吸い込まれる経路を取る。同様に、第4の柱状体5dで発生する磁束も第1の柱状体5aまたは第2の柱状体5bに至る経路を取る。その結果、
図10の磁束方向9で示すように、下部コア4には、第3の柱状体5cから第1の柱状体5aまたは第2の柱状体5b、及び第4の柱状体5dから第1の柱状体5aまたは第2の柱状体5bの方向に磁束が発生する。
【0029】
したがって、本実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1にノーマルモード電流が流れると、デュアルモードコア部2には、複数の磁束経路が発生し、ノーマルモード電流に対するインダクタンスを実現することができる。更に、本実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1では、
図10に示したように、下部コア4において、第3の柱状体5cから第2の柱状体5bの方向、及び第4の柱状体5dから第1の柱状体5aの方向にも磁束が発生するので、従来例よりも多くの磁束経路が発生し、その結果、従来例よりもノーマルモード電流に対して高いインダクタンスを実現することができる。
【0030】
ここで、ノーマルモード電流が流れる際に、発生する全ての磁束経路は、間隙7を通過するので、磁束は間隙7に集中する。その結果、デュアルモードコア部2は、磁気飽和を起こしにくく、機器の動作モードである直流または低周波のノーマルモード電流が流れる場合においても、ノーマルモード電流に対するインダクタンスを保持することができる。つまり、本実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1により、1部品で、コモンモード電流とノーマルモード電流に対し、従来例よりも高いインダクタンスを有するデュアルモードチョークコイルを実現することができる。
【0031】
また、本実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1では、デュアルモードコア部が一体型なので、コアが分離型である従来例よりも強固な構造であり、且つ、振動等の外力により間隙寸法が変動しにくい特長を備えている。
【0032】
また、実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1では、デュアルモードコア部2の第1の上部コア6aと第2の上部コア6b及び下部コア4は直方体の形状であり、柱状体は円柱の形状であるが、本実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1と同様の効果が得られるのであれば、各コアの形状は直方体又は円柱に限定されるものではない。デュアルモードコア部2には、磁性体としてフェライトを使用することができるが、他の磁性体であってもよい。
【0033】
また、実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1では、コイル部3には、導線状の金属導体を用いているが、厚銅基板の導体パターン等で形成したものであってもよい。
【0034】
また、
図11のコイル配置の他の実施態様の平面図で示すように、コイル部3は、第1のコイル3cと第2のコイル3dに同種のコイルを用いて構成し、第2のコイル3dは、第1のコイル3cをA−A軸に対して反転させたものであってもよい。このように、第1のコイル3cと第2のコイル3dを同種の形状のものにすれば、コイルの種類の数を削減することができる。
【0035】
また、
図12のデュアルモードコア部に磁性体粉末が含有された弾性体であるゴム材が配置された他の実施態様の分解斜視図で示すように、第1の柱状体5aと上部コア6aとの間、第2の柱状体5bと上部コア6aとの間、第3の柱状体5cと上部コア6bとの間、及び第4の柱状体5dと上部コア6bとの間に、磁性体粉末が含有されたゴム材21aから21dをそれぞれ配置する。このように、磁性体粉末が含有されたゴム材21a〜21dを挿入することで、ゴム材が圧縮されることにより、柱状体5a〜5dと上部コア6a,6bとの突合せ部の間隔が小さくなり、コモンモードにおいて高いインダクタンスを実現することが可能となる。また、挿入されるゴム材は、磁性体粉末が含有されたゴム材21a〜21dとしたが、これに限らず、比透磁率が1を越える材質で柱状体5a〜5dと上部コア6a,6bよりも柔らかい物質であればよい。
【0036】
また、
図13のデュアルモードコア部の第二の実施態様の断面図で示すように、
図2の断面Bで示すコア部2のコア材の構造を変更してもよい。上部コア61a及び上部コア61bには、それぞれ一体化された2ケの筒状体62aと62b及び62cと62dが設けられており(筒状体62aと62cは、図示せず。)、上部コア61a及び上部コア61bは、平板と筒状体が一体となった磁性体である。筒状体62aから62dの内部に下部コア44の第1の柱状体51aから第4の柱状体51dが嵌合される(第1の柱状体51aと第3の柱状体51cは、図示せず。)。これにより、上部コ61a,61bと下部コア44とが接触する面積が大きくなり、コモンモードにおいて高いインダクタンスを実現することが可能となる。さらに、柱状体にコイル3a,3bが挿入されることで、上部コア61a,61bが固定され、位置決めが容易になる。
【0037】
また、
図14のデュアルモードコア部の第三の実施態様の断面図で示すように、
図2の断面Bで示すコア部2のコア材の構造を変更してもよい。上部コア63a及び上部コア63bには、それぞれ一体化された2ケの柱状体64aと64b及び64cと64dが設けられており(柱状体64aと64cは、図示せず。)、上部コア63a及び上部コア63bは、平板と柱状体が一体となった磁性体である。柱状体64aから64dに、それぞれ下部コア45の柱状体52aから52dが接触される(柱状体52aと52cは、図示せず。)。このように、柱状体を下部コアと上部コアの両方に設けてもよく、上述した
図2で示すデュアルモードコア部の場合と同様の効果が得られる。
【0038】
このように、実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイルによれば、デュアルモードコア部の構成において、上部コアが複数の平板状の磁性体により構成されていることで、複数の磁束経路を発生させることができ、これにより、従来例よりもコモンモード電流及びノーマルモード電流に対して高いインダクタンスを実現することができ、コモンモードノイズ及びノーマルモードノイズをより大きく低減できるという効果がある。
【0039】
なお、上記実施の形態では、第1コイル及び第2のコイルは、それぞれ、2つのコイル導体の巻回方向が異なるものを接続して使用する場合について述べたが、2つのコイル導体の巻回方向に依らず、通電時に2つのコイル導体間で互いに発生する磁束方向が異なるように接続してもよい。
【0040】
実施の形態2.
図15は、実施の形態2に係るデュアルモードチョークコイルの全体構成を示す斜視図であり、
図16は、デュアルモードコア部の分解斜視図であり、
図17は、コイル部を示す斜視図である。
図17に示すように、実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイル1との違いは、コイル部13の構成が異なる点である。
【0041】
まず、
図15から
図17を用いて、実施の形態2に係るデュアルモードチョークコイルの全体構成について説明する。
図15に示すように、デュアルモードチョークコイル10は、デュアルモードコア部2とコイル部13から構成されている。
図16に示すように、デュアルモードコア部2の構成については、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。また、
図17に示すように、コイル部13は、第1の柱状体5aと第3の柱状体5cのそれぞれに、互いに発生する磁束方向が逆になるように巻回された2つのコイル導体が並列に接続された第1のコイル13aと、第2の柱状体5bと第4の柱状体5dのそれぞれに、互いに発生する磁束方向が逆になるように巻回された2つのコイル導体が並列に接続されるとともに、第1の柱状体5aに巻回されたコイル導体により発生する磁束方向と第2の柱状体5bに巻回されたコイル導体により発生する磁束方向とが同じになるように配置された第二のコイル13bと、で構成されている。
【0042】
次に,
図18を用いて、実施の形態2におけるデュアルモードチョークコイル10のコモンモード電流に対する動作について説明する。
図17は、第1のコイル13a及び第2のコイル13bの上面図であり、コモンモード電流方向及びコモンモード電流が流れる際に発生する磁束方向を示している。
図18において、矢印9は、電流の流れる方向を示し、実線矢印は紙面手前側の第1のコイル13a及び第2のコイル13bの入出力端部での電流の向きを、破線矢印は紙面奥側の第1のコイル13a及び第2のコイル13bの入出力端部での電流の向きをそれぞれ示している。また、磁束方向9aから9dは、それぞれ第1の柱状体5aから第4の柱状体5dに発生する磁束の方向を示す。
図18から分かるように、第1の柱状体5aから第4の柱状体5dに発生する磁束方向9aから9dは、
図5で示した実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイル1にコモンモード電流が流れた場合と同様である。したがって、コモンモード電流によりデュアルモードコア部2に発生する磁束は、
図6及び
図7で示した磁束方向と同じになり、その結果、実施の形態2に係るデュアルモードチョークコイル10は、実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイル1と同じく、コモンモード電流に対して、従来例よりも高いインダクタンスを実現することができる。
【0043】
続いて、
図19を用いて、実施の形態2におけるデュアルモードチョークコイル10のノーマルモード電流に対する動作について説明する。
図19は、第1のコイル13a及び第2のコイル13bの上面図で、ノーマルモード電流及びノーマルモード電流が流れる際に、発生する磁束方向を示している。
図19において、矢印8は、電流の流れる方向を示し、実線矢印は紙面手前側の第1のコイル13a及び第2のコイル13bの入出力端部での電流の向きを、破線矢印は紙面奥側の第1のコイル13a及び第2のコイル13bの入出力端部での電流の向きをそれぞれ示している。また、磁束方向9aから9dは、それぞれ第1の柱状体5aから第4の柱状体5dに発生する磁束の方向を示す。
図19から分かるように、第1の柱状体5aから第4の柱状体5dに発生する磁束方向9aから9dは、
図8で示した実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイル1にノーマルモード電流が流れた場合と同様である。したがって、ノーマルモード電流によりデュアルモードコア部2に発生する磁束は、
図9及び
図10で示した磁束方向と同じになり、その結果、実施の形態2に係るデュアルモードチョークコイル10は、実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイル1と同じく、ノーマルモード電流に対して、従来例よりも高いインダクタンスを実現することができる。
【0044】
さらに、実施の形態2に係るデュアルモードチョークコイル10では、2つのコイル導体を並列に接続しているので、同じ大きさの入力電流に対して、第1の柱状体5aから第4の柱状体5dに巻かれたコイル導体に流れる電流量は、実施の形態1の場合の約半分となる。したがって、同じ電流量の場合には、コイル部13のコイル導体の断面積を、実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイルのコイル部3の断面積よりも小さくすることができ、実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイル1よりも部品全体の寸法の小型化を可能とするとともに、コイル部の巻回構造の形成が容易となる。
【0045】
このように、実施の形態2に係るデュアルモードチョークコイルによれば、実施の形態1と同様の効果を有するとともに、それぞれのコイルを構成する2つのコイル導体が並列に接続されているので、コイル導体の断面積を小さくすることができ、コイル部の巻回構造の形成が容易となり、デュアルモードチョークコイルの全体の寸法を小型化することができるという効果がある。
【0046】
実施の形態3.
図20は、実施の形態3に係るデュアルモードチョークコイルにおけるデュアルモードコア部の分解斜視図である。実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイル1との違いは、デュアルモードコア部12の下部コア41に、第1の柱状体5aと第3の柱状体5c及び第2の柱状体5bと第4の柱状体5dの間の側面の一部に、間隙7に対して平行となる方向にそれぞれ切込み部17が設けられている点である。他の構成は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
【0047】
図21と
図22に、コモンモード電流とノーマルモード電流に対する下部コア41の磁束をそれぞれ示す。
図21及び
図22に示す磁束方向9から明らかなように、切込み部17の存在により、
図7及び
図10に示す磁束方向9と比較して、第1の柱状体5aと第3の柱状体5cとの間、及び第2の柱状体5bと第4の柱状体5dとの間の磁束経路が変化する。つまり、切込み部17によって、下部コア41に発生するコモンモード及びノーマルモードの磁束の調整が可能であり、その結果、デュアルモードチョークコイルのコモンモード及びノーマルモードのインダクタンスを調整することが可能となる。
【0048】
このように、実施の形態3に係るデュアルモードチョークコイルによれば、下部コアの側面の一部に、上部コアの間隙と平行となる方向に切込み部が設けられていることで、コモンモード及びノーマルモードのインダクタンスを調整することが可能となるという効果がある。
【0049】
実施の形態4.
図23は、実施の形態4に係るデュアルモードチョークコイルにおけるデュアルモードコア部の分解斜視図である。実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイル1との違いは、デュアルモードコア部22の下部コア42に、第1の柱状体5aと第2の柱状体5b及び第3の柱状体5cと第4の柱状体5dの間の側面の一部に、間隙7に対して直交となる方向にそれぞれ切込み部18が設けられている点である。他の構成は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
【0050】
図24と
図25に、コモンモード電流とノーマルモード電流に対する下部コア42の磁束をそれぞれ示す。
図24及び
図25に示す磁束方向9から明らかなように、切込み部18の存在により、
図7及び
図10に示す磁束方向9と比較して、第1の柱状体5aと第2の柱状体5bとの間、及び第3の柱状体5cと第4の柱状体5dとの間の磁束経路が変化する。ここで、実施の形態1では、ノーマルモードの磁束は、第1の柱状体5aと第2の柱状体5bとの間、及び第3の柱状体5cと第4の柱状体5dとの間には、発生していないので、実施の形態3とは異なり、実施の形態4では、コモンモードの磁束のみ切込み部18の影響を受ける。つまり、切込み部18によって、下部コア42に発生するコモンモードの磁束のみ調整が可能であり、その結果、デュアルモードチョークコイルのコモンモードのみインダクタンスを調整することが可能となる。
【0051】
このように、実施の形態4に係るデュアルモードチョークコイルによれば、下部コアの側面の一部に、上部コアの間隙と直交する方向に切込み部が設けられていることで、コモンモードのみインダクタンスを調整することが可能となるという効果がある。
【0052】
実施の形態5.
図26は、実施の形態5に係る高周波フィルタのコイル部の上面から見た図であり、
図27は、その等価回路図である。
図26に示すように、実施の形態5に係る高周波フィルタは、実施の形態1に係るデュアルモードチョークコイル1の第1のコイル3aと第2のコイル3bとの間に、3個のチップコンデンサ20が接続されたものである。デュアルモードチョークコイルの構成は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
【0053】
図27において、14は、容量回路を示し、15は、ノーマルモードチョーク回路を示す。
図27では、第1のコイル3aと第2のコイル3b間に容量回路14とノーマルモードチョーク回路15が交互に接続された高周波フィルタ回路が構成されており、ノーマルモードノイズ電流に対する低減効果が高い回路構成である。
【0054】
つまり、実施の形態5に係る高周波フィルタは、実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1を用い、ノーマルモードノイズ電流の低減効果が高い高周波フィルタの構成が可能となる。
【0055】
なお、実施の形態5の高周波フィルタでは、容量回路として3個のチップコンデンサを用いた場合について説明したが、容量回路であれば部品の形態は、チップコンデンサに限定されるものではなく、また、個数も3個に限定されるものでもない。
【0056】
このように、実施の形態5に係る高周波フィルタによれば、デュアルモードチョークコイルを用いて、ノーマルモードノイズ電流の低減効果があるノーマルモードチョークコイルとして利用し、その一対のコイル間に容量回路が付加されていることで、ノーマルモードノイズ電流の高周波に対応した高周波フィルタを実現することができるという効果がある。
【0057】
実施の形態6.
図28は、実施の形態6に係る高周波フィルタにおけるデュアルモードコア部の分解斜視図であり、
図29は、コイル部の上面から見た図である。
図30は、その等価回路図である。
図28及び
図29に示すように、実施の形態6に係る高周波フィルタは、デュアルモードコア部32の下部コア43を貫通する貫通孔30と、貫通孔30を通って接地線31により接地される接地端子33とが設けられ、接地端子33を介して第1のコイル3aと第2のコイル3bとの間に6個のチップコンデンサ20が接続されたものである。デュアルモードチョークコイルの構成は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
【0058】
図30において、14は、容量回路を示し、19は、コモンモードチョーク回路を示す。
図30では、第1のコイル3a及び第2のコイル3bと線対地間に容量回路14とコモンモードチョーク回路19が交互に接続された高周波フィルタ回路が構成されており、コモンモードノイズ電流に対する低減効果が高い回路構成である。
【0059】
つまり、実施の形態6に係る高周波フィルタは、実施の形態1によるデュアルモードチョークコイル1を用い、コモンモードノイズ電流の低減効果が高い高周波フィルタの構成が可能となる。
【0060】
なお、実施の形態6の高周波フィルタでは、容量回路として6個のチップコンデンサを用いた場合について説明したが、容量回路であれば部品の形態は、チップコンデンサに限定されるものではなく、また、その個数も6個に限定されるものでもない。
【0061】
また、実施の形態6の高周波フィルタでは、デュアルモードコア部32の下部コア43に設けられた貫通孔30に接地線31を通しているが、接地端子33により接地できるのであれば、必ずしも貫通孔30を設けて接地線31を通す必要はなく、接地線31を第1の上部コア6a及び第2の上部コア6bと下部コア4との間を通って接地させてもよい。
【0062】
このように、実施の形態6に係る高周波フィルタによれば、デュアルモードチョークコイルを用いて、コモンモードノイズ電流の低減効果があるコモンモードチョークコイルとして利用し、接地端子を介して一対のコイル間に容量回路が付加されていることで、コモンモードノイズ電流の高周波に対応した高周波フィルタを実現することができるという効果がある。
【0063】
実施の形態7.
図31は、実施の形態7に係る車載用モータ一体型電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering、以下、EPSと称する。)を示す分解斜視図である。
図32は、EPSの概略回路図である。実施の形態7では、EPSにノイズフィルタとしてデュアルモードチョークコイルを備えたものである。
【0064】
図31に示すように、筐体130に収納されたEPS100には、正側電線123と負側電線124により直流電力が供給される直流電源106が接続されている。
【0065】
EPS100は、筐体蓋131のコネクタ125を介して導入された正側電線123と負側電線124との間に接続されたコンデンサ102と、正側電線123と負側電線124に接続されたデュアルモードチョークコイル1と、正側電線123及び負側電線124と接地(筐体130)間に、それぞれ接地されたコンデンサ103,104と、ヒートシンク105上に設けられ、直流電力を三相の交流電力に変換するインバータ回路127と、インバータ回路127を制御する制御基板120上に設けられたマイクロコンピュータ121と、制御基板120とヒートシンク105との間に介在された絶縁基板122と、インバータ回路127から出力された交流にて駆動されるモータ126により構成されている。ここで、デュアルモードチョークコイル1、制御基板120、絶縁基板122、ヒートシンク105及びモータ126は、筐体130に収納されている。
【0066】
次に、EPS100の回路について説明する。デュアルモードチョークコイル1が、直流電源106とインバータ回路127との間に設けられており、インバータ回路127に接続されている。インバータ回路127は、u相の出力用の一対のMOSFET127a,127b、v相の出力用の一対のMOSFET127c,127d、w相の出力用の一対のMOSFET127e,127fでそれぞれ構成され、制御用のマイクロコンピュータ121により直流電力を三相の交流電力に変換する。変換された交流電力にて、モータ126が駆動される。
【0067】
マイクロコンピュータ121の制御信号により、MOSFET127aから127fがスッチング動作を行う、このスッチング動作に伴って発生する伝導ノイズは、デュアルモードチョークコイル1とコンデンサ102によりデカップリングされ、これらがノイズフィルタとして働くことにより、低減される。
【0068】
CISPR(国際無線障害特別委員会:International Special Commitee on Radio Interference)により、車載受信機保護のため150kHz〜1,000MHzの周波数帯における無線妨害波の限度値の推奨値が規格CISPR25で規定されている。本実施の形態におけるインバータ回路127のスッチング動作の周波数は、例えば、20kHzであるので、150kHz以上となる20kHzの8倍以上の高調波の伝導ノイズが対象となり、これらを低減させることが要求されている。
【0069】
EPS100は、自動車に搭載されるので、その伝導ノイズによりカーラジオの聴取に影響を与えないようにしなくてはならない。150kHz〜1.5MHzは、カーラジオに使われる周波数で、自動車メーカから伝導ノイズの低減要求の強い周波数帯である。本実施の形態では、デュアルモードチョークコイル1をEPS100のノイズフィルタとして用いることにより、最も伝導ノイズが大きくなる1.5MHz以下の周波数帯において、伝導ノイズを大幅に低減することができるので、カーラジオの聴取への影響を小さくすることができる。
【0070】
このように、実施の形態7に係るEPSによれば、モータを駆動させるインバータ回路のスイッチング動作に伴う、伝導ノイズを低減させるために、デュアルモードチョークコイルをノイズフィルタとして備えることで、1.5MHz以下の周波数帯において、伝導ノイズを大幅に低減することができるという効果がある。
【0071】
実施の形態8.
図33は、実施の形態8に係る車載用充電装置の概略回路図である。
図34は、実施の形態8におけるAC/DC変換部の回路図である。車載用充電装置は、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)に搭載されるもので、商用交流電源から車載用2次電池に充電するものである。実施の形態8では、車載用充電装置にノイズフィルタとしてデュアルモードチョークコイルを備えたものである。
【0072】
図33に示すように、車載用充電装置200には、交流電力を供給する商用交流電源210と、充電対象となる車載用2次電池250が接続されている。さらに、車載用充電装置200は、ノイズフィルタ220と、AC/DC変換部230と、で構成されている。
【0073】
ノイズフィルタ220は、商用交流電源210の電源線210aと電源線210bとの間に接続されたコンデンサ221と、デュアルモードチョークコイル1と、電源線210a及び電源線210bと接地間にそれぞれ接続されたコンデンサ222,223とで構成されている。
【0074】
また、AC/DC変換部230は、例えば、
図34に示すように、PFC(Power Factor Correction)回路付整流回路231と、インバータ回路232と、絶縁トランス233及び整流回路234とで構成されている。
【0075】
PFC回路付整流回路231は、ブリッジを構成する4つのダイオード231a〜231dからなる整流回路部と、出力の正極側に接続されたリアクトル231e、リアクトル231eと負極側との間に接続されたスイッチング素子231f、リアクトル231eに接続されたダイオード231g及びダイオード231gと負極側との間に接続された平滑コンデンサ231hで構成されるPFC回路部とからなる。PFC回路は、スイッチング素子231fのスイッチングにより整流の効率を向上させるものである。これにより、商用交流が直流に変換される。
【0076】
インバータ回路232は、二組のスイッチング素子MOSFET232aと232b及びMOSFET232cと232dとで構成され、これらMOSFET232aから232dを交互にオンオフさせることにより、PFC回路付整流回路231から出力された直流を高周波の交流に変換する。変換された交流は、絶縁トランス233を介して、整流回路234に伝送され、整流回路234にて、直流に変換されて、車載用2次電池の充電に利用される。整流回路234は、PFC回路付整流回路231の整流回路部と同様、ブリッジを構成する4つのダイオード234a〜234dを有し、出力側に接続された平滑コンデンサ234eにより直流として出力する。スイッチング回路232のMOSFET232aから232dをオンオフ動作させ、パルス幅を制御することで出力電流を制御することができる。
【0077】
本実施の形態におけるインバータ回路232のスッチング動作の周波数は、例えば、65kHzであるので、規格CISPR25で規定されている150kHz以上となる65kHzの3倍以上の高調波の伝導ノイズが対象となり、これらを低減させることが要求されている。
【0078】
車載用充電装置200は、自動車に搭載されるので、上述したように、その伝導ノイズによりカーラジオの聴取に影響を与えないようにしなくてはならない。本実施の形態では、デュアルモードチョークコイル1を車載用充電装置200のノイズフィルタとして用いることにより、最も伝導ノイズが大きくなる1.5MHz以下の周波数帯において、伝導ノイズを大幅に低減することができるので、カーラジオの聴取への影響を小さくすることができる。
【0079】
このように、実施の形態8に係る車載用充電装置によれば、充電する電流を制御するインバータ回路のスイッチング動作に伴う、伝導ノイズを低減させるために、デュアルモードチョークコイルをノイズフィルタとして備えることで、1.5MHz以下の周波数帯において、伝導ノイズを大幅に低減することができるという効果がある。
【0080】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0081】
また、図中、同一符号は、同一または相当部分を示す。